2015 年 2 月 23 日 のアーカイブ

受験生活で大切にすべきことは何?

2015 年 2 月 23 日 月曜日

 2015年度の5・6年部講座が、2月21日(土)に開講しました(4年部は3月7日(土)に開講予定です)。

 言うまでもありませんが、中学受験をするのはまだ親の庇護のもとにある、義務教育期間中の小学生です。これから1年間、2年間続く受験生活を実りあるものにするためには、受験生である子ども自身のがんばりもさることながら、保護者の方々の見守りやサポートも大きな作用を果たします。

 そこで今回のブログでは、「親はどのような視点に立ち、わが子の受験生活を応援すべきか」ということについて一緒に考えていただこうと思います。今からお伝えすることは、弊社の会員家庭以外にもすべて当てはまると思います。他塾から受験されるかたにも、受験を考えておられないかたにも参考にしていただけるでしょう。

 受験勉強に限りませんが、人間が取り組むことがらは大きく分けて4つのカテゴリーに分けられると言います。これは、何かの書物で紹介されていたことのうろ覚えです。以前も一度ご紹介したような記憶があります。20150223a

 この4つのなかでは何が一番大切でしょうか。大人が毎日の生活、とりわけ仕事で取り組んでいることの大半は①に属するようなことがらでしょう。すぐに取り組まないとたちまち困ったことになる。そういう仕事をさばくのに四苦八苦するほど、目の前にある仕事に追われているかたもおありでしょう。

 しかし、「いちばん大切なものは何?」という問いかけに対する答えとしては、②のほうが妥当ではないでしょうか。時間をかけ、じっくりと取り組んで完成させていくものこそ、人間にとって重要なことが多いものです。

 目先の仕事も大変重要ではありますが、今すぐする必要はなくても自分の能力を磨けることがらがあるとすれば、それを地道にやっていくほうが結果として自分を大きく伸ばし、より快適に仕事をさばけるようになります。だから、先を見据えた取り組みのほうがより人間にとって大切と言えるでしょう。

 蛇足ですが、③や④を選ぶ人は稀だと思います。しかし、世の中を見渡すと結構③や④に時間を割いている人が多いと思いませんか?ただし、これらが息抜きの効果をもたらすとすれば、一定の範囲では意味をもつこともあるでしょう。

 ここから本題に沿った内容に移ります。中学受験をめざして学んでいる子どもにとって、先ほどの4つに当てはまるのは何かを考えていくと、家庭での受験勉強で大切にすべきことが何か見えてきます。

 大人と同じように、子どもも受験生活においては①に属するようなことがらに追われがちです。代表的なものが、当面控えているテストの対策。「今週末にあるマナビーテスト(弊社の定期テスト)でよい点をとりたい! よい成績をあげたい!」――そういう気持ちに支えられた勉強も重要です。そして、よい成績を取ったらうれしいし、次への励みになるでしょう。また、「次の時間にプリントを提出しなければならない」といった状況にあれば、それへの取り組みも「危急で重要なこと」の分類に当てはまるでしょう。

 しかしながら、より先を見越した勉強、将来まで見据えた勉強という視点に立つと、もっと大切なことがあるように思います。それが②に分類されるような勉強です。どんな勉強があるでしょうか。20150223b

 たとえば、テストが返された後の見直し。テストで間違えた個所を点検し、「次は必ずできる」と言える状態にしておくことは、次のテスト成績には反映されませんが、やがてくる入試までを見据えたなら、とても重要な勉強です。

 同じように、テスト結果から「弱点」としてクローズアップされてきた単元があれば、当面その単元を学ぶ機会はありませんが、放置せずに少しずつ巻き返しを図っておけば、やがてそれが大きな効力を発揮することになります。

 こうした学習を毎日の学習計画のなかに少しずつ組み入れ、期間を設定して成果を引き出していく姿勢が養われたとしたら、それは「見通しをもって、戦略的に物事に対処していく能力」を育むことになります。こういった成果こそ、将来の人生の歩みを後押ししてくれる重要なものに他なりません。

 また、弊社は「生活習慣の自立」「学習習慣の定着」といったことの重要性をご家庭にお伝えしています。これらは今取り組んでいる学習課題の理解促進とは無関係に見えますが、お子さんにしっかりと根付いたなら先々の学習において莫大な恩恵をもたらしてくれるものです。

 ②に分類されるような学習の重要性を、お子さん自身が理解し、毎日の学習に反映させることを望むのはまだ難しいと言えます。これからしばらくの間は親が上手に働きかけ、こうした方面の目配りや後押しをしていくのが望ましいでしょう。やがてそれが、子どもにとってすばらしい知的財産になっていきます。

 無論、親も子も一番気になるのは毎回のテスト結果です。「がんばれば必ず結果が伴う」ということをお子さんが肌で感じ取ることができれば、「目の前の重要なことがら」として毎日の予習や復習に取り組む姿勢も身につくでしょう。

 開講から当面は、「学習の取り組みかた」を中心に各教科とも指導していきますので、そうした観点からもお子さんの家庭勉強を見守ってあげてください。「やるべきことをやるべきときにやること」が成果につながるのだということをお子さんが実感すれば、徐々に②に分類したような学習にも目を向ける余裕が生まれてくるでしょう。

 「中学受験は親が大変」とよく言われます。しかし、その意味は決して勉強を教えることの負担を指摘するものではありません。子どもの独り立ちに向けた間合いを考え、常に子どもを見守り応援する必要があるからです。中学受験への挑戦を通じて、ぜひ親子の信頼関係を強化し、お子さんの望ましい自立を達成していただきたいと存じます。

 お子さんが②のような領域のことを自分で見据え、戦略的に取り組んでいく姿勢をもった人間に育てば、社会になくてはならない人になるに相違ありません。

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴