2015 年 3 月 のアーカイブ

わが子をどのように叱っていますか? その1

2015 年 3 月 30 日 月曜日

 前回は、子どもに言ってはいけない言葉のタブー集を記事にしてみました。「~という言葉は禁句です」といったようなことは、本来書きたくなかったのですが、筆者自身の子育て経験においても反省する場面がたくさんあったことを踏まえ、敢えて話題に取り上げてみました。多少なりとも参考にしていただけたなら幸いです。

 親子の関係、特に母親と子どもの関係は他に比較対象が見当たらないほど密着した関係です。それゆえ、子どもは無論のこと親ですら感情をむき出しにした言葉を口にしてしまいがちです。しかし、子どもの脳に繰り返しインプットされた親の言葉が、子どものものの感じ取りかたや考えかたにどんな影響を及ぼすかを考えてみることも重要であろうと思います。

 無論、これは「叱るのはよくない」という意味ではありません。特に、義務教育期間中までの子どもは常識も十分に身につけているとは言えませんし、我儘な面も抜けきっていません。ですから、親がわが子を叱るのは当たり前のことです。問題は、近すぎる関係ゆえに湧き上がってくる感情をどうコントロールし、わが子の素直な反省を引き出すかということでしょう。それがとても難しいことであると、大概の親は思っています。日本の親は実際のところ、どのような叱りかたをしているのでしょうか。そこで今回は、それを話題に採りあげてみようと思った次第です。

 さて、本題に入る前に筆者自身のことを少し書いてみようと思います。筆者は若いころ主として6年部の男子クラスで国語の指導を担当していました。落ち着きのない男の子、しかも生意気盛りの年齢の男の子を相手に、退屈に思われがちな国語の時間を受けもつのですから、察していただけるでしょう。そう、叱りたくなる、叱らざるを得ないような場面がそれこそしょっちゅうありました。指導担当者と子どもの間には、親子のような血縁関係はありません。しかし、「もっとよくなってほしい」「どうしてちゃんと取り組めないのか」という苛立ちを抑えるのは、とても難しいことだったと記憶しています。その意味では、親がわが子を叱るときに伴う感情と似た側面もあったように思います。

 そして、ときには筆者自身が「しまった、あまりに厳しい言葉で叱り過ぎた。これじゃ、あの子は塾をやめてしまうんじゃないか」と心配し反省するようなこともありました。こんな場合、次の回の授業にその男の子はやってくるでしょうか? やってくるとしたらどんな様子でしょうか? 実は、指導現場を退いたあと、同じような状況について話題にし、男の子が叱られたときの反応がどういうものかについて書かれている本(アメリカの学者の著書)に出合いました。ちょっとそのくだりをご紹介してみましょう。

 わたしはある日、生徒のひとりに向かって、大声でどなってしまいました」中学校教師のティナ・スペンサーがそう打ち明けた。「とにかくいらいらさせられたんです。サムは頭のいい男の子なのに、まるで勉強に不熱心でした。宿題はまともにやってきたためしがないし、それである日、とうとう我慢できなくなって、教室のほかの生徒の前でどなりつけたんです。そんなつもりはなかったのに。思わず声が出てしまって。

 そのあと心配になりました。彼が二度と口をきいてくれなくなるんじゃないか、親が怒って電話をかけてくるんじゃないかと。ところがつぎの日、サムは初めて宿題を完璧に、期限通りにやってきたんです(中略)

20150330b それから三週間後、彼の親から電話がかかってきました。もう、どんなに緊張したことか! きっと息子がどなられたことに腹を立てたんだろうって。でもちがいました。お礼の電話だったんです。あの一件のことは何も知らないみたいでした。サムは学校の勉強をすごくがんばるようになりました。どんな魔法を使ったのかときかれました。なんと答えたらいいのかわからなくて。ほんとうのことなんか、とてもいえないでしょう」

 このような、面と向かっての対決というのは、ほとんどの女の子にはまったく誤った方法だ。「もし女の子にそんなことをしたら、どんなに短くても、その学期の終わりまで話しかけてはもらえないでしょう」ミズ・スペンサーはつけ加えた。女の子には、対決するのではなく励ますやり方のほうがうまくいくことは、多くの教師の報告からもわかる。

 実験動物でも、ストレスのかかる状況下での学習には性差が見られる。ラドガーズ大学、プリンストン大学、ロックフェラー大学のメンバーからなるトレイシー・ショルス教授のグループは、ストレスがオスの学習能力を高めるのにたいし、メスでは低下させることを明らかにした。「ストレス要因にさらされたとき、メスの学習には、オスとは全く反対の影響があった」とショルス教授の報告にはある。

 またストレスは、オスの海馬における神経接続の強化をうながすいっぽう、メスの海馬での神経接続の強化を阻害することもわかった。(後略)

 どうでしょう。実は、筆者も大声で怒鳴りつけた次の授業のとき、「ちゃんと来てくれるだろうか」と心配していたのですが、何と爽やかな笑顔でやってきてくれました。「この間は、叱りすぎたな、ごめんよ」というと、「ううん」と小さく首を横に振り、その日は実に前向きな姿勢で授業に参加してくれました。男の子にはプライドがあるのでしょう。彼も親には何も伝えていませんでした。

 この方法は女の子には絶対に適用すべきでないことは、筆者も知っていました。引用文にもあるように、女の子には改めるべき点を指摘して優しく励ますほうが効果的です。筆者にも、若いころには様々なしくじりがありました。たとえば、女の子を厳しく叱った後、「しばらく口をきいてもらえなくなる」ようなことも体験しました。

 ある年、女の子のお子さんを担当したとき、「何があってもやかましく叱るまい」と決心し、勉強がうまくいかないお子さんには、徹底して自信をつけさせるような言葉で励ますことを試みてみました。国語の苦手なお子さんには特別な提出用のノートをつくらせ、1年間添削指導もしました。

 するとどうでしょう。やがて彼女らが中学校へ進学した後も、「よい本があったら紹介してください」などと書いた手紙をくれたりしました。また、筆者のことをよく覚えてくれていて、大変ありがたい思いをしました。

 20150330a以上は、指導する側がお預かりしたお子さんをどう叱るかに関する情報です。ですが、保護者の方々にも参考にしていただけるのではないかと思います。男の子とは、真正面から向き合いしっかりと叱ることも必要なのです。いわゆる「喝を入れる」といったような効果が男の子にはあるのでしょう。ただし、叱る理由に筋が通っていなければなりませんし、厳しく叱った後はあっさり切り上げることも必要です。いっぽう、女の子にはストレスを与えるように厳しい叱りかたではなく、問題はどこにあるのかを一緒に考え、改善すべきことについてアドバイスし励ますことが望ましいようです。

 すみません。まだ本題に入らないうちに大変な文字量になってしまいました。今回はこれでひとまず終わり、次回は予定通り「日本の親はわが子を叱るとき、どんな方法を採っているのか」を話題に採りあげ、子どもを叱ることについてより詳しい考察をしてみようと思います。

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親が言ってはいけない“言葉のタブー”

2015 年 3 月 23 日 月曜日

 早いもので、2015年度の5・6年部の講座が開講して約1か月が経過しました。また、4年部の講座も、3月7日に開講して2週間余りが経過しました。

 今は、年間の講座全体から見通せば“始まったばかり”です。保護者の方々も、まだお子さんの学習状況について判断を下せる状態にはなく、手探りで見守っておられる段階であろうと思います。ですから、塾での勉強を巡って衝突が生じ、わが子を叱り飛ばしたり、激しい親子喧嘩が繰り広げられたりするようなこともないでしょう。

 そこで、このような状況に至らないうちに保護者にお伝えしておきたいことがあります。中学受験の準備にあたる小学校4~6年生は、頭が柔らかく可塑性に満ちた年齢期であり、よい学習体験を上手に繰り返していけば、すばらしい可能性が開けていきます。その一方、子どもの心を傷つけるような対応をすると、脳にそれがインプットされ、がんばりの利かないタイプの人間に育つ恐れも生じます。わが子の合格を願ってのことであっても、それがわが子の健全な成長にとってどんな作用を及ぼすのかをよく考えたうえで対応をお願いいたします。20150323

 今回の記事は、いささかネガティブな切り口の話題で恐縮ですが、親がわが子にかける言葉の「タブー集」を取り上げてみました。成長途上の子どもの受験生活だけに、子どもの脳の発達にとってマイナスに作用する言葉をかけると、それが後々までも負の影響を及ぼす危険性があるからです。

 たとえば、試験が近づくたびに気分が悪くなったり、夜眠れなくなったりする大学生がいます。その原因を調べると、小学生の頃親が成績に過敏であったり、成績を見て叱ったりなじったりを繰り返したりしていたことだったりします。筆者が直接本人から聞いた例では、「中学受験のときに、合格力を謳う塾で猛烈な勉強を経験したことが尾を引き、大学で定期試験が近づくたびに体調が不安定になり、拒食症に陥って半年休学しました」という女性がおられました。その女性は、「私を合格に導くために、塾の先生も親も必死で応援してくれたのですから恨んではいません」と言っておられました。ですが、「こんな成績じゃ受からない」としばしば注意を受けたそうで、そういう経験がトラウマとなったとしたら、やはり周囲の大人に改めるべきところが多分にあったと思わざるを得ません。

 以下にあげたタブー集は、筆者の現場での指導経験と、これまでに実施した会員児童へのアンケート調査の結果を合わせてまとめたものです。

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 子どもの勉強がはかどらない様子を見ると、たいていの親はイライラを募らせます。とくに、だらだらと時間ばかりかけていたり、注意散漫になってほかのことにかまけていたりすると、親は黙っていられなくなります(4、5年生男子の集中力の持続時間はせいぜい20~30分程度です)。そして、「まだその問題やっているの?」「もっとてきぱきやらないと!」と、子どもをせきたてます。優しい口調ならまだしも、「いったい、どれだけ時間をかけたら気が済むの!」「もっと早くしなさい!!」と怒気を含んだ言いかたをしてしまう保護者もおられるようです。

 言われた子どもは冷静さを欠いてしまいます。場合によってはパニックに陥り、勉強どころではなくなります。まして「なんてのろまな子なの!?」などと言われたら、その子は自分への自信を木端微塵にされ、さらには親への悪感情を脳の奥深くに刻みつけてしまうのではないでしょうか。「時間のなかで精一杯やればいいんだよ。残った問題は、あとで時間を設けてやりなさい」――こんなふうに言葉をかけてやれば、お子さんは焦ることなく取り組めます。やがて要領を得て、時間内にできるようになっていくものです。経験の積み重ねが生きるようなアドバイスをしてやりましょう。

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 「こんな易しい問題もできないの?」といったような、子どもの有能感をくじく言葉も慎みたいものです。また、「お姉ちゃんはできたのに」など、きょうだいと比較する言葉も子どもから自信や自己肯定感をなし崩し的に奪ってしまいます。子どもたちに実施したアンケートで、「親に言われると嫌な言葉」で必ず相当数目にするのが「きょうだいと比較される言葉」です。

 以前このブログに書いたことがありますが、同じ学年のいとこが弊社のテストでたびたび1番をとるため、辛い思いをしている女の子がいました。おかあさんは決してそのいとこと比較して叱ったりはしておられませんでした。ただ、「いとこの○○君、また1番だったね」と言ってため息をつかれたのだそうです(本人から聞きました)。それでもその子には随分堪えたようで、そういうことが続いたあげく、やがて塾をやめてしまいました。平均よりは上の成績で、やる気があり頭も決して悪くないお子さんだっただけに驚き残念に思ったことを記憶しています。女の子には、親の溜息すらも刃になるケースがあるのですね。いとこと比較されることの影響ですらこうですから、まして家族であるきょうだいと比較されることがいかに辛いかを、親は理解してやりたいものです。

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 親の気質にもいろいろあり、なかには何事も命令口調になるかたもおられるようです。命令や指示の効き目がないと、「全部やらないと絶対に許しません!」「どうせサボっていたんでしょ。晩御飯抜きよ!」と命令とおどしをセットにして子どもを奮起させようとするタイプもおられるようです。
 親ですから、ときには命令口調も必要なときがあります。しかし、いつも命令では子どもの自己コントロール力は育ちませんし、自信もつきません。そればかりか、「無理に決まっている」と思うような命令をされると、親への反感や不信感をもつようになっていきます。親としては愛情から発する命令であったとしても、合格を得ること以外に何ら肯定的な成果を子どもにもたらすことはできません。親から自立できず、自分への自信ももてないまま中学生になったのでは、受験に受かっても意味はありません。やがて思春期が来て精神的に親離れすると、そういう子どもは親とろくに口を利かなくなる恐れが多分にあるでしょう。

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 「あなたの言い訳は聞きあきたわ!」「うそばっかり。うんざり!」など、感情任せの言いかたをしがちなおかあさんはおられませんか。子どもがそれを聞いて、「そんなに感情的に叱らないでよ」と思って冷静に聞けばよいのですが、それだけでは済みません。成長の途上に繰り返し親から感情任せの言葉を浴びせられていると、子どもも同じやりかたをする人間になりがちです(親に反発しているというのに)。冷静に話し合う方法を教えられないのですから当然です。

 今のわが子に改めさせなければならないことがあったなら、まずは一呼吸置き、「どう伝えたら、わが子は自分から改めようという気持ちになるだろうか」ということを考えることが必要です。前回お伝えしましたが、怒りや嘆きといった感情は、扁桃体という脳の古い部分から湧きあがってきます。それをコントロールし、適切な行動へと結びつけていくのは知性の座と呼ばれる前頭前野です。前頭前野は脳部位のなかで最後に完成の域に達するのが特徴で、小学生の段階ではまだ発達途上にあります。そんな時期だからこそ、落ち着いて冷静に考える姿勢が身につくような対応をすべきでしょう。

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 「あーあ、こんなんじゃ受験はムリかもね」「もう、塾なんてやめたら」――これも子どもが大変嫌がる言いかたです。すべての実権を握った親から揺さぶりをかけられると、子どもには対抗する手段をもちようがないからです。なかには、「お願いです。受験させてください」「これからがんばるから、塾をやめさせないで」などと反省の言葉を述べたり、懇願したりする子どももいるかもしれません。しかし、自分の弱みを握った揺さぶりの言葉は、子どもの本心からの反省を引き出しませんし、他者を思いやる心を喪失させる恐れもあるでしょう。こうした言葉を親がたびたび発すると、子どももそうした手法を採る人間になりかねません。勉強以前の問題が生じる恐れがありますから、できるだけこういう方法で態度や取り組みを改めさせないほうが賢明ではないでしょうか。

 

 受験をするというのに、その自覚がなかなか芽生えない。それは、実は大半の家庭のお子さんの現実です。そこで、注意を促したり、言い聞かせたり、叱ったりすることになるわけですが、それは必要なことです。叱ることだって大いに必要です。

 ただし、子どもに言ってはならない言葉もあります。その一線を越えないで、いかにしてわが子の反省とがんばりを引き出すか。それが中学受験をわが子にさせる親に突きつけられている課題です。中学受験は2度ありません。「今こそ親のがんばりどころ」なんですね。

 次回は、親がわが子を叱るということに関して、心理学者の調査結果と見解を絡めた話題をご紹介しようと思います。

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男の子の受験勉強を軌道に乗せる その2

2015 年 3 月 16 日 月曜日

 前回は、男の子の受験勉強を軌道に乗せるための親のサポートとして、「音読練習」を取り上げ、その効能と親の関わりについて一通りご説明したところで終わりました。今回は、2つ目~4つ目のサポートについて書いてみようと思います。

② 思考力・表現力は毎日の会話で育つ → 親が子どもの話し相手になる!

 男の子は、女の子と比較すると総じて「幼稚」です。女の子にとって、男の子は会話の相手としてはいささか物足りない存在でしかありません。中学受験にあたっては、小学生としては高いレベルの思考力や表現力を要求されますので、こうした方面の成長をある程度意図的に促すような働きかけをすることも必要ではないかと思います。

 男の子にとって、今日のできごとを理路整然と話すことは簡単ではありません。まして、自分の思いや意見を相手にわかりやすく話すとなると、はじめから尻込みをしてやろうとさえしない傾向があります。特にネガティブな感情をいだいた理由を相手に話すのは、女子よりも圧倒的に苦手だと言われます。

 200150316aそれは、腹立ちや悲しみ、不満などの感情が扁桃体と呼ばれる脳の古い部分で発生するのに対し、自分の気持ちを相手にわかるように話すために働く脳部位は前頭前野であり、男の子は両者を直接結びつける連絡網の発達が女の子より遅いということが理由かもしれません。そういったことがアメリカの学者の書物に書かれていました。

 ともあれ、自分の思いや考えを話すことの経験は、できるだけ経験させたほうが子どもによいのは間違いありません。「それについてどう思うか、自分の考えを言いなさい」などと説教がましく言うのではなく、前述のような「今日あったこと」などについて聞いてやり、それをもとに子どもと楽しい会話の時間を過ごすといった程度のことを、毎日継続するだけでもよい影響をもたらすのではないでしょうか。

 何しろ、男の子は自分のやったことを時系列に順を追って説明することすらままなりません。楽しい会話のなかにそうした要素が組み入れられているだけでも違ってきます。

 今日の男の子に必要な存在。それは、「~でね、それからね……、あ、そうじゃなく、えーとね、……」といったまどろっこしい話しぶりに癇癪をおこさず、熱心に耳を傾けてくれる人ではないでしょうか。それができるのは、もちろんおかあさんしかいないことでしょう。こうした話しかたの練習に恵まれた男の子は、だんだんと確実に表現力を身につけていきます。おかあさんには、ぜひこの役割を引き受けていただきたいと存じます。

 また、親子の楽しい会話は、親の愛情や期待を肌で感じ取る絶好の機会となります。上手にしゃべらせようとするのではなく、子どもの報告に耳を傾け、感想を笑顔で語ってやるだけでいいのです。そういう時間を親子で共有しているとき、たいていの子どもは「親の望むような人間になろう」という意識をもつと言われます。勉強の前に楽しい会話の時間を設ければ、「さあ、勉強だ」と切り替えもスムーズに行えるのではないでしょうか。

③ ノートを見れば勉強の様子がわかる → ノート点検でアドバイス!

 前述のように、男の子は自分の体験したことを順序立ててわかりやすく話すことが苦手です。そのため、塾に通って学んだことを親にきちんと報告できません。その結果、「子どもは喜んで塾に通っているものの、何を勉強してきたのか、何がどう楽しいのかわからない」ということになりがちです。

 親への報告や伝達が不足していても、勉強自体がうまくはかどっていれば「それはそれで仕方ない」ですまされるでしょう。しかし、勉強が空回りしているのに、ずるずると時間が経過しているとしたら問題です。そうしたリスクを避けるため、4、5年生までは「親が子どものノートを見る」ということをお勧めします。そういう約束をお子さんとし、継続的にノートを見てほめたり励ましたり、注意を促したりするのです(ただし、勉強の内容に親が関わり過ぎないことが重要です)。

 親がわが子のノートを見るうえで心がけたいのは、「取り組んだ問題の誤答のみに着目して叱らない」ということです。子どもは、間違いを指摘されて怒られるとやる気を失ってしまうからです。まずは取り組んでいること自体をほめ、喜んでやることが先決です。

 ただし、男の子は正誤について厳密な判断ができないことが多く、似たような答えだったらOKと勝手に都合よく解釈しがちです。そういう場合、頭ごなしに「これは×だろ!」といったような叱りかたをせず、間違っている部分を上手に気づかせる必要があります。やり直しの際は、誤答した部分を絶対に消しゴムで消さないことが重要です。直し用のスペースをあらかじめノートに決めておき、その場所でやり直しをするのです。以前どう間違えたのかを残しておくと、あとの復習で随分役立つからです。

 子どもが取り組んだ問題の正誤をチェックし、間違えたところのやり直しをノートに必ず書くようにしていけば、それだけで相当な学習成果が現れるでしょう。また、授業の板書がノートに書き入れられているかどうかも見る必要があるでしょう。子どものノートを通じて、何をどう学んでいるのかが伝わってくるようなら、勉強は少しずつでも身になっていくのは間違いありません。

④ 男の子は学習の習慣づけを大切に → 短時間でも毎日続けたらOK!

 男の子は、時間刻みに計画を細かく定めて行動するのが苦手です。それどころか、行き当たりばったりの行動が多く、立てた計画も長続きしません。そのいっぽう、気が乗ったときにはすばらしい集中力を発揮することがあります。

 ただし、子どもがその気になるのを待っているだけではよい変化は生じません。いきなり長時間の勉強を期待するのではなく、毎日短時間でいいから決まった時間に机に向かう習慣をつけることをまずは最優先したいものです。

200150316 前述のような男の子の特性を踏まえ、細かな学習計画を立てるのではなく、できるだけシンプルな計画に基づく学習にすることが肝要でしょう。おかあさんから見たらでたらめで、到底許容できないような勉強でも平気なのが男の子です。性差というものがどうしても存在しますから、「私がかつて苦もなくやれたことが、どうしてできないの!」といった理由で腹を立てても仕方のないことです。

 また、決めた時間内にやりきることができなくても、無理にやらせるべきではありません。勉強嫌いにしてしまうなど逆効果にしかなりません。繰り返しになりますが、まずは「習慣づけ」を優先してください。塾の授業で、他のお子さんがどの程度やってきているのか、どれぐらいやっていけばよいのかが分かってきたら、子どもは変わっていきます。

 それに、以前も書きましたが、習慣づけが軌道に乗ってくると、勉強の面白さに気づくようになります。そうなると、勉強へのこだわりも出てきて、「もう少しやっておこう!」という気持ちも湧いてくるでしょう。そうやって、やがてはちゃんとした受験生としての勉強がやれるようになっていくのです。それまでの道のりにおいて、親はかなりストレスと闘いながらサポートを続けることになりますが、得た収穫は入試での合格よりもはるかに大きなものになります。自ら学ぶ強固な姿勢は、一朝一夕には身につかないものです。また、勉強の方法を間違えると、目先の中学入試には受かっても先の伸びしろの乏しい人間になってしまいかねません。

 “大器晩成”という言葉がありますが、男の子の場合は特にこの言葉を信じたサポートが必要です。親が焦って伸びる芽を摘み取ってしまわないようにしたいものです。中学受験を終えたら、もうこんな関わりはできませんし、子どもも受け入れてはくれません。「今こそ親の出番!」と心得、わが子が伸びしろの豊かな人間に育つよう、辛抱強いバックアップをお願いいたします。

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男の子の受験勉強を軌道に乗せる その1

2015 年 3 月 9 日 月曜日

 先日、校舎の指導担当者から、このブログを読んで活用してくださっているご家庭の話を聞き、ありがたい思いをしました。

 「継続は力なり」と、自らを励ましながら書いていますが、こういうフィードバックは書く者にとってとてもうれしく励みになるものです。そのご家庭に「ありがとうございます」と心のなかでつぶやきつつ、「これからもがんばろう!」と自分に言い聞かせているしだいです。

 そして、「もっとよい話、情報を発信できたらいいな」と思うのですが、現実は力が伴わず情けない思いをしています。「お役に立ちたい!」という気持ちだけはもっていますので、それが少しでもお読みくださる方々に届いたならうれしく思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 2015年度の5・6年部講座が2月17日(土)に開講したのに続き、3月7日には4年部の講座も開講しました。今回は、4年部の開講にあたって何か書こうかなと思いつつ、結局上記のようなテーマにしました。

 男の子は、女の子と比較して精神面の発達が遅れがちであり、小学生の段階では自分のすべきことを適切にコントロールできないことが多いものです。親はそうした点を踏まえ、冷静に対応したいところですが、とかく「自分の息子だけがこんな状態なのではないか」と思い込んだり、「男の子の一般的な発達状況はどういうものか」という視点を失ったりしがちで、イライラしたり癇癪を起したりしがちです。

 思い当たる節がおありのかたは、「男の子はこんなもの。わが子にふさわしい成長の流れをじっくり築けばよいのだ」いった気持ちで、辛抱強くサポートと応援をしていただくようお願いいたします。そうすれば、入試までハラハラすることはあったとしても、お子さんは親の期待に沿ってゆっくり確実に成長していきます。

 もちろん、親の適切なサポートがあれば、それだけ入試での見通しも明るくなっていきます。そこで今回は、男の子の受験生をおもちの家庭にいくつかアドバイスをさせていただこうと思います。

男の子の受験学習をどうバックアップするか20150309b

① 教科の学習を推進するための土台は読む力 →音読練習をサポートする!

 まずは、次のいくつかの項目にYESかNOでチェックを入れてみてください。

1.うちの子は本を読みたがらない。(YES  NO )
2.うちの子は本を読むが、読了までにとても時間がかかる 。
 ( YES  NO )
3.うちの子は本を読むが、あっという間に読了してしまう。
  ( YES  NO )

 1~3のうち、どれか一つでもYESがあったなら状況を改善する必要があります。まず1について。小学校中~高学年のお子さんは、本を読みたくて仕方ないのが普通です。本を読みたがらない理由は、本が嫌いなのではなく、活字の黙読力が育っていないため、読む作業がままならず苦痛なのだと思います。

 2が当てはまるお子さんも、おそらく黙読への移行がうまく言っておらず、そのために読む作業に難渋しておられるのだと思います。時間がかかるということは、うまく読めないということであり、理解もできていないことを意味します。このようなお子さんにまずもって必要なのは、快適に黙読できるようになることです。

 3が当てはまる男の子はかなりいると思います。こういう読みかたをする子どもは、本の筋立てに注意が傾いており、結末を早く知りたいために、途中の様々な仕掛けや面白い場面に気づかないまま読み終えてしまいがちです。飛ばし読みをしているようなものですから、早く読み終えるのも頷けますね。

 これらのいずれかが当てはまる男の子は、多くの場合国語の読解力で苦戦しがちです。3のような傾向のあるお子さんは、読みの速さゆえ表面的には読む力がありそうに見えますが、文章の細部の掌握ができないため、読解問題で難渋しがちです。また、雑な読み方が染み付いているため、どの教科の学習も「ざるで水をすくう」ような空回りの学習に陥る危険性が高いと言えるでしょう。

 20150309aそこで親は何をサポートすればよいかになりますが、筆者は1~3いずれの場合でも「音読練習」のサポートをお勧めします。確かで滑らかな黙読は、しっかりとした音読の繰り返しが土台となります。文字とそれに対応する音とを照合する作業が音読ですが、自分の出した声(文字の発音)を自分で耳で確かめることで、自分が滑らかで正確な音読をしているかどうかがわかります。

 「それなら親は必要ないじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、男の子が自覚的に音読に取り組んで成果をあげられればよいのですが、それが難しいのです。親が声をかけ、「ちゃんと読めるようになるかどうかは、音読を続けるかどうかで決まるんだって」などと説明し、当面聞き役を引き受けるのがよいでしょう。できれば毎日やってください。その代わり、時間は長くなくて構いません。15分程度で結構です。

 また、親の協力があったほうがよい理由として、「子どもが正しく正確に読むことだけに気を取られるあまり、著述内容にほとんど注意が向けられなくなるおそれがある」ため、読了後に親が内容について軽く質問をしてやる必要があります。内容を把握しながら正しく音読する習慣をつけるのです。

 もちろん、親子交代で読むのも楽しい時間になるでしょう。5年生ぐらいになると嫌がるお子さんもいますから無理強いする必要はありません。

 音読の効果は、平均して3か月ぐらいで表れ始めます。以前より読みが滑らかで正確になっているのが、親にも本人にもわかるようになります。それは黙読力が向上したことも意味します。黙読は、活字の連なりを目でとらえると同時に、文字に対応した声を脳内でイメージすることを言います。実際には声に出さない分、速く快適に読めるようになるわけです。

 黙読が快適に速くできれば、自然と子どもは読書へと目を向けるようになります。何しろ新たな知識に出合うのが楽しくて仕方ない年齢期にあるのですから。本を快適に読めればそれだけ読書は活性化しますし、本を通じた語彙獲得が進むといったように好循環が生じてきます。子どもの成長力はたいしたものですから、「音読なんて今さら」と思うべきではありません。4年生どころか、5、6年生だって黙読が上手でないお子さんは音読から巻き直すべきです。

 あまりにも当たり前のことですが、黙読が達者であることは、すべての教科の学習を快適にしてくれます。子どもが新たな語彙を獲得するにも、教科学習で新たな知識を獲得するのも「読む」という行為によりますから、学力をつけるにあたって最も基本となるのは「読む力」を強化することです。

 音読について書いただけで、大変な文字数になってしまいました。続きは次回書こうと思います。よろしくお願いします。

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2015年度 弊社卒業生の進路選択状況

2015 年 3 月 2 日 月曜日

 先々週末には、三篠校と広島校の卒業会(中学受験を終えた6年部生のお別れ会)が行われ、これで弊社の全ての校舎で6年部生の通学が完了しました。

 卒業会は、6年部の1年間で唯一勉強のない通学日です。この日だけは勉強のことを忘れ、ともに励まし合い、競い合ってきたクラスメートと様々な話題に興じたり、ビンゴゲームなどを楽しんだりします。小学生にとって、相当に負担となる受験生活だからこそ、一緒に学んだ仲間同士の絆は強いものです。それぞれ別の中学校に進学しても、ずっと友人関係が続くことも珍しくありません。

 卒業生のみなさんには中学校という次の人生のステージで、新たな目標めざして努力を継続していただきたいと切に願う次第です。

 さて、卒業生から提出いただいた進路報告書がほぼそろいましたので、弊社の6年部会員の進路選択状況をご報告いたします。今年は女子が例年よりもかなり多く、逆に男子が例年よりもやや少なめでした。主要中学校への進学者の数は、会員の数にどうしてもある程度比例しますので、その点をお含みおきください。

 2015年度の弊社会員受験者の主要中学校への進学状況は次の通りです。(※人数は3月9日現在当社が確認できた当社会員生によるものです。)

20150302

 まずは私立男子校から状況を見てみましょう。広島学院への 弊社会員受験生の合格者は62名でした。そのうち、56名が同校へ進学するもようです。私学最難関校ですから、合格者の歩留まりが非常に高いことがわかります。募集定員の30%あまりの進学者を輩出したことになり、まずまずの結果であったと受け止めています。ちなみに、広島学院合格者で他校への進学を選んだ受験生は広大附属が4名で修道が2名でした。

 修道への合格者は120名でした。そのうち、68名が同校に進学するもようです。修道に合格したものの他校に進学するケースですが、その大半は広島学院です。その他では、広大附属を選んだケースが5~6件、なぎさへの進学が1件ありました。

 女子私学最難関のノートルダム清心には、弊社の会員受験生88名が合格しています。そのうち、69名が同校へ進学するもようです。定員に対する占有率は約38%で、弊社に要請される役割をまずまず果たした結果となりました。同校に合格し、別の中学校を進学先に選んだケースは、広島女学院と広大附属が大半で、それぞれ7~8件ありました。それ以外では、県立広島を選んだ事例が3件ほどありました。

 広島女学院については、今年の合格者の入学率が学校サイドの予想をはるかに超える事態が生じ、定員を大幅に超える入学者があったもようです。弊社から180名が合格し、そのうち94名が同校へ進学するもようです。定員200名で計算すると大変な占有率ということになりますが、前述のように実際には入学者が定員をはるかに超えていることが予想されるため、正式な発表をみて結果を見極めたいと思います。

 つぎに、国立・公立の学校の進学状況を見てみましょう。広大附属への弊社合格者は男女合わせて41名(男子28名・女子13名)でした。男女の数がかなり異なっている理由は、男子の合格発表数が135名で、女子の合格発表数が65名であることで納得いただけるでしょう。例年、女子の歩留まりのほうが高く、そのため男子合格者が多めに発表されています。

 なお、広大附属の場合、上記とは別に附属小からの内部受験による合格者がいます。今年は男子17名、女子が20名の内部合格者がいたようです。広大附属の定員は120名(男女比は原則半々)です。このことから、外部からの入学者は83名前後になることが予想されます(今年は補欠繰り上がりがほとんどなかったので、入学者数は定員を超えている可能性があります)。

 仮に今年の広大附属入学者が定員と同じであった場合、120名の入学者中、外部受験による入学者が83名として、弊社からの入学者男女合計20名(1名は内部受験の合格者なので、この数に入れていません)で計算すると、占有率はおよそ24%となります。他の主要校の弊社占有率に照らすと、期待値より多少少ないものの、ほぼ妥当な結果であろうと思います。

 なお、広大附属への男子合格者28名のうち、11名が同校に進学するもようです。残りの17名の進路ですが、ほとんどが広島学院です。女子の広大附属合格者は13名でしたが、そのうちの10名が同校へ進学するもようです。残る3名の進路は全員ノートルダム清心です。

 広島県立広島中の志願者は、昨年の682名に対して723名と、私学の大半が昨年比で数を落としているなかで、40名あまり増えており、同校の人気をうかがわせる結果となっています。弊社からの合格者は33名で、そのうち20名が同校へ進学(東広島校から男子5名、女子9名が進学。残り6名が弊社の他校から進学)するもようです。前述のように、弊社の東広島校以外からも進学する受験生がおり、今後そうした傾向が強まるかもしれません。

 昨年、466名の志願者を集めて注目された市立広島中等教育学校には、今年さらに増えて509名の志願者がありました。同校は交通アクセスの点で広域からの通学は困難ですが、この志願者数は同校への期待の表れでしょう。弊社の会員受検者はまだ多くはありません(男子9名、女子16名)が、今年は17名が合格し、そのうち8名が同校に進学するもようです。

 前述の県立広島と広島中等教育は公立一貫校の強み(学費負担、施設等)もあり、合格発表は定員きっかりで、以後入学手続き状況を見て順次補欠者を繰り上げておられるようです。今年は両校ともそこそこ補欠繰り上がりがあったようです。両校の入学者選抜で行われる適性検査に対応するには、ある程度以上の基礎学力が必要ですが、資料の分析や論述といった形式の課題であることから、合否結果は教科学力を問われる入学試験での力関係とは必ずしも一致しない面があります。また実質倍率が高いこともあり、来年以降に受験を視野に入れておられるご家庭は、そうした側面も考慮に入れておく必要があるでしょう。

 「この学校以外は考えていない」といったご家庭はともかく、そうでない場合、上記の公立一貫校だけの受検は避けたほうが賢明でしょう。一般の学力試験の対応力もしっかりと身につけたうえで試験に臨まれることをお勧めします。また、中学進学後はどの学校にせよ学力をつけるための勉強は同じですから、確かな基礎学力をつけておくことの必要性は何ら変わりません。

 広島城北と安田女子は、昨年比で受験生の数を減らしています。また、広島なぎさも一時と比べると志願者はやや少なめです。ただし、どの中学校もしっかりとした体制のもとで熱心な教育を実践しておられます。それぞれの学校の校風や教育内容をよくお調べになり、「わが子を行かせてみたい」と思われたなら、進学して決して後悔はされないでしょう。むしろ、無理のない範囲で基礎をしっかりと固めたうえでこれらの中学校に進学されることが、お子さんの将来にとってよい結果をもたらすことにもなります。弊社からは、これらの3校にも上表のように多数のお子さんが進学される予定です。

 上記以外の進学先は、崇徳、山陽女子、AICJ、広大附属東雲、広大附属三原、県外の中学校です。弊社は広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院など、私立完全6か年一貫校への進学を基本において指導にあたっています。試し受験や遠征受験を推奨していませんので、前述の中学校以外の受験は少数です。ただし、国立の伝統校広大附属、近年人気となっている県立広島などへの進学を検討される家庭もたくさんありますので、こうした学校への進学指導もしっかりと行っていきます。そうした結果が、今年の入試合格者数、進路選択であるとご理解ください。

 なお、重複合格を得た場合の学校選択ですが、おおむね難易度の高いほうの学校を選ばれるのは昔も今も変わりません。ただし、多少意外に思える選択をされるご家庭もあります。こうした家庭には独自の教育観があったり、親の出身校であるなどの理由があったりします。近年は、お子さんの強い希望が反映されてそうなるケースも多いようです。そして、そういった理由で選択されている家庭のお子さんは入学後も順調に学校生活を送っておられます。「喜んで入学する(させる)」、「希望をもって入学する(させる)」ということが、いかに大切なことかを教えられるような気がします。

20150302 以上が、今年の弊社の6年部会員受験者の進路選択の概況です。全般的に言えるのは、以前のような過度と言えるほどの中学受験熱は沈静化し、どの中学校もかつてよりは入りやすくなっています。また、公立一貫校の台頭もあり、様々な受け皿が存在しつつ、入試合格を巡る競争も全体としてはさほど厳しくありません。これは決して悪いことではありません。一般の公立学校も含め、県の教育水準が全体として向上していくことが望ましいのではないでしょうか。

 お子さんが無理のない受験生活のもと、しっかりとした学力を築いたうえで受験を乗り越え、適切な学校選択をされれば、中学・高校生活でさらなる成長を果たせることでしょう。とは言え、行きたい学校に全員が行けるわけではありません。なかには、望んでいた進路を得られなかったお子さんもたくさんおられることでしょう。しかしながら、前述のようにどの学校も教育に情熱をもってあたっておられます。中学校へ入ってからの望ましい成長が果たせるかどうかは、進学先がどこかで決まるのではありません。お子さんが希望に満ち、喜んで新しい世界へ足を踏み出せるよう、親が愛情深く中学校へ送り出してやることに尽きるでしょう。

 受験生のみなさんの、そして保護者の方々のこれからの一層のご活躍を心から念じております。

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カテゴリー: お知らせ, 中学受験, 私学について