学力形成には『読み』の力が欠かせません

2015 年 4 月 16 日

 学校でも新学期が始まりましたが、新生活は順調にスタートできているでしょうか。

 新しいクラスのメンバーのこと、新しい担任の先生のこと・・・、色々心配事はあるかと思いますが、やはり新しい学年の学習内容に問題なくついていけているかという点は、最も気になる点の一つだと思います。

 どの教科においても、教科書やテストの問題などは当然活字で書かれていますから、その文章が何について説明されたものなのか、そこで何を問われているのかといった点を正確に読み取ることは必要不可欠な能力です。ですから、タイトル通り、「読み」の力の向上なくして学力形成や向上を図ることはできません。

 では、この「読み」の力は、どのようにして伸ばしていけばよいのでしょうか。

 「読む」ということを考える際、多くの方の頭にまず浮かぶのは「読書」ではないかと思います。さまざまな本を数多く読むことは、そこに書かれた文章の内容だけでなく、単語や熟語、言い回しなど様々な要素を吸収することができますから、結局のところ、読みの力を伸ばすためには多くの本を読むのが一番の近道だということになります。ただし、いくら読書が良いものだといっても、自分から本に手を伸ばそうとしない「活字嫌い」「本嫌い」といわれる子どもは数多くいます。実際「うちの子は、なかなか本に興味を示さなくて・・・」とお嘆きの方も少なくないのではないでしょうか。

 しかし、本来であれば、こうした自分から本を手に取ろうとしない子も含め、本が嫌いな子どもなどいないはずです。その証拠に、幼い頃にはお母さんが読んでくれる絵本に目を輝かせて見入っていたと思いますし、今でも教室で先生が読み聞かせを始めると、みんな別人のように集中して楽しそうに耳を傾けている姿を見ることができます。こうした点からもわかるように、子どもにとっての読書とは、色々な想像の世界に連れていってくれるとても楽しいものなのです。

 こんなに魅力的なものであるにもかかわらず、自分で本を読もうとしない子がいるという理由を考えると、やはりその多くは「文字は読めても、文章の意味がうまく理解できない→読書が楽しくない」ことが原因になっているものと考えられます。

 入学後間もない1年生はまだまだこれからだとしても、3年生になっても自分から本を手に取ろうとしないようであれば、読みの態勢そのものを一度確認してみる必要があるかもしれません。もし、読みの態勢がきちんと築けていないとしたら、たとえ「今のところ学業成績的には問題ない」「もう一人で本を読める」という子であっても、近い将来、より難度の高い学習に取り組むようになった際、頭打ちになってしまう可能性があります。 

 「読み」の態勢が築かれる流れを考えると、若干の個人差はあるにしろ、誰しもほぼ小学2~3年生頃に安定して黙読することができるようになるといわれています。もちろん小学校入学以前から文字を読み書きできる子どもはたくさんいますし、文字が読めれば自然と一人で絵本などを読み始めることとは思いますが、その段階では、意味のわかる部分だけをとばし読みしていたり文意や描かれた状況をうまく理解できていなかったりすることも多く、実際には「読めているようで読めていない」ものと考えた方がよいかもしれません。

 ですから、低学年の間は、いかにスムーズな読みの態勢を築いていくかという点に重きを置く必要があるわけですが、ここでクローズアップされるのが「音読」です。

 黙読が安定するまでの子どもにとっての「言葉」とは、「話し言葉(音声言語)」を意味します。誰でも最初に話し言葉を身につけ、その後の成長にともなって、頭の中で話し言葉と「書き言葉(文字言語)」との変換が可能になっていきます。自分の中にある言葉のほとんどが話し言葉だった段階から、活字を目にしてスムーズに意味を理解することができる段階へと成長するためには、目にした文字を脳内で一度音声に変換し、話し言葉と書き言葉とを結びつける作業をどれだけ多く経験しているかという点が、非常に大きな意味をもっているのです。

 低学年の時期は、こうした脳内処理を身につけていく過渡期にあたり、この作業の代表的なものが「音読」であるというわけです。

 以上のような点から、新学期を迎えたこのタイミングで新たに家庭学習を見直す際には、読みの力の向上を目指して、ぜひ毎日の音読を加えられることをおすすめします。

 子どもが読む声を隣で聞いていると、言い間違えたりつまったりすることも多く、ついつい途中で口を出したり叱ってしまいそうになりますが、毎日の音読練習の効果が表れるまでには数か月ほどの期間を要するのが普通です。親の側にも子どもの側にも根気強さが必要になりますから、励ましながら親子で一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。

(butsuen)

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カテゴリー: アドバイス, 子育てについて, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴

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