2015 年 6 月 のアーカイブ

学びの飛躍をこの夏に! その2

2015 年 6 月 29 日 月曜日

 前回は、6月19日に西区民文化センターで実施したイベント(学びの飛躍をこの夏に!)の前半の報告をしたところで終わりました。今回は、後半の内容をご報告しようと思います。

 前回の最後に、「この夏休みに達成したい小さな目標を掲げてはどうでしょうか」とご提案したことをお伝えしました。そして、目標達成に向けた努力を後押しする作戦として「3行日記」というものをつけることをご提案したことをご紹介しました。3行の日記は、自分の努力のプロセスを振り返り、より高みに向けて自己修正を図るうえで大いに役立つと思います。

 小学生の子どもに不足しているのは、自分の現状を俯瞰する「メタ認知(自分の認知の状態を認知する)」的な視点です。自分を常に振り返り、反省すべき点を修正していく姿勢をもつと、子どもはすばらしい進歩を遂げるものです。「小さな目標をもつ」ことと「3行日記をつける」こと。この二つをぜひ実行に移していただきたいと思います。

 それでは催しの後半の様子をご報告しましょう。

 再び話者が三篠校校舎長の杉原に戻り、今度は夏休み中の家庭学習についてご提案しました。この杉原担当分は、「家庭学習は、“生活習慣”と“学習習慣”の連携で実践を!」というテーマでお届けしました。以下は、杉原のお話しした内容をかいつまんでまとめたものです。

 決めた勉強をやりこなすには、前提として毎日の生活習慣がしっかりしていることが必要です。生活の習慣がリズムよく循環するなかに学習が組み込まれ、習慣として根づけば、家庭学習も規則正しく継続されるようになります。

 こうした流れからもわかるように、家庭勉強の計画も日によって変動しないよう、時間を固定させたほうがよい結果を生みます。まして暑い時期ですから、短い時間にテンポよく行うほうが能率も上がります。よくできる子どもほど、そういう勉強をしています。

 20150619tuika夏期講座期間中の家庭学習は、「授業の予習・復習」が中心となります。また、「がんばりチェック」と呼ばれるテスト前のまとめの復習があります。それらに加え、先ほどご提案した「夏休みの目標」に関わる取り組みもあるかもしれません。

 夏期講習の進行に合わせ、親はわが子が毎日の家庭学習で何を取り組むべきかわかっているかどうか、時々チェックしてあげてください。それが大丈夫なら、テストでもがっかりする結果にはなりません。全然わからない問題はそのままにしても結構です。今は、学習の態勢づくりに目を向けてください。それが整ってきたら、徐々にこだわりが生まれ、少々大変でも取り組むようになっていきます。

 なお、家庭内は、テレビやゲーム、漫画など、勉強の妨げになるものが多くあります。室内を落ち着いた雰囲気にし、よけいなものを置かないよう留意してあげてください。

 以上のような話をお伝えした後、杉原からの話の最後は、「日本人は、習慣化で物事をやり遂げる民族です」というテーマで少しお話ししました。

 20150629a朝のラジオ体操、朝礼、授業時の一斉挨拶、朝の清掃など、日本人は同じことを儀式的に習慣として繰り返すことを好みます。それは、物事をリズムよくやり遂げ、コンスタントに結果を得るうえで随分役立っています。子どもの学習についても、同じ時間帯に学習時間を定め、同じような手順で勉強を繰り返すことで習慣として根づき、勉強にリズムが生まれてきます。そうなると、やるのが当たり前になり、やらないと気が済まないまでになっていきます。そこまでになると、勉強をすることはもはや苦痛でもなんでもなくなっていきます。

 杉原は、習慣化(ルーチン化)が日本人の特性に合った物事の達成法であるということを、メジャーリーグで長く活躍するイチロー選手の例をあげながら強調しました。勉強も上手に習慣化していけば、誰でも相当な学力のもち主になることは可能です。先ほどの天才の話ではありませんが、もともと頭がよいから天才レベルになれるのではなく、努力を繰り返す力、つまり“習慣”の為せる業なのです。

 そのことを踏まえ、「この夏休みには、シンプルな計画に基づき、リズムよく勉強をやりこなしていく習慣を身につけましょう」とお伝えして話を終えました。

 三篠校の杉原が、家庭学習についてお話しした後、最後に広島校校舎長の三里が、「“授業”を大切にすると、家庭学習も楽になる!」というテーマでお話ししました。以下は、そのときの三里の話のおおよそをまとめたものです。

 では、授業についてご説明します。学校でも塾でも、学習指導の軸は「授業」にあります。授業をどう受け、家庭学習につなげるか、つまり、授業と家庭学習の連動性が成果の分かれ目です。そこで、今から夏期講座期間中の授業をどう活かすかについて簡単に説明します。

 5年生・6年生には予習が必要です。家庭での勉強で当該授業単元のわかるところ、わからないところをはっきりさせ、疑問点を明確にしたうえで授業に臨むのが、授業成果をあげるための基本です。

 4年生には「予習」はありません。授業では、指導担当者が上手に導入を図り、始めて出合う単元の柱となる原理を学んでいきます。そのうえで、テキストに載っている他の問題に取り組み、理解を深めていきます。20150629b

 こうした授業で成果をあげるには、先生の話を傾聴するということに尽きるでしょう。当社の授業は、問題を一斉に解かせて、あとで先生が解説するという形式ではなく、単元の中心となる理屈を先生の進行に合わせて一緒に考えるというスタイルを採ります。子どもに、大切な考えを自分で気づかせることを意図するからです。

 ですから、成果をあげるには、先生の話を集中して聴き、自分で解決法を考える姿勢をもつことです。これを繰り返すことで、子どもは勉強の進めかたをマスターし、家庭でテキストの学習を一人でできるようになっていきます。そのためにあるのが授業なのです。つまり、私たちの授業は自学自習の姿勢を身につけるためにあるんですね。

 家に帰ったら、授業で学んだことを定着させるべく、「復習」に取り組みます。授業で扱われた問題をやり直したり、他の類題を自分で解いたりする取り組みを通して、学力を磨いていきます。こうして、「授業」→「家庭学習」の反復を繰り返しながら、学びの態勢を整えていくわけです。いたってシンプルな仕組みですが、この学びかたこそ、中学から大学まで続く長い学校生活で成果をあげていくための基本的な学びとなります。

以上で、授業についての説明を終わります。

 CIMG0517mini今回も、Part.2までの紹介で終わってしまいました。今回ご紹介したのは、夏期講座期間中の「家庭学習」と「授業」についてですが、これらは受験勉強における車の両輪と言えるほど大切なものです。いつも会員家庭にお伝えしているおなじみのことがらではありますが、夏の講座の始まりにあたり、改めてご確認いただけたら幸いです。

 筆者が最後に担当したPart.3のご報告は、またいずれさせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。

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学びの飛躍をこの夏に! その1

2015 年 6 月 25 日 木曜日

 6月19日(金)には、西区民文化センターで二つの催しを行いました。午前は低学年部門の主催による「夏のおかあさんセミナー」、午後は高学年部門の主催による「学びの飛躍をこの夏に!」と題する催しです。

 「夏のおかあさんセミナー」については、6月22日(月)に他の者が本ブログでご報告しました。そこで、筆者のほうは高学年(4~6年生)の保護者対象行事として開催した、「学びの飛躍をこの夏に!」という催しのおおよその内容をご報告しようと思います。

 20150619_snap「学びの飛躍をこの夏に!」という催しの呼称は、入塾の説明会(入会ガイダンス)、会員保護者への情報提供(保護者説明会)などとは異なる提案型のイベントです。夏休みという時期を、子どもの成長のよき節目として活かすことをご提案しようという趣旨に基づいて考えました。

 ただし、このような趣旨で内外部対象の催しをするのは初めてであり、終了した今も「果たしてお役に立てたのだろうか」と半信半疑の面持ちでいます。ご来場いただいた保護者の方々に、少しでも夏休みに向けての指針と意気込みをお届けできたなら幸いです。

 この催しは、三つのパートで構成しました。それぞれのパートのテーマは以下の通りです。

Part.1 人生の歩みの基盤は小学生時代に築かれる
Part.2 夏休みを起点に、子どもの学びを軌道に乗せよう!
Part.3 子どもの学習は親しだい!

 パート1と3を筆者が担当し、2は三篠校と広島校の校舎長に担当してもらいました。以下、各パートのおおよその内容をこれからご紹介します。

 まず、パート1の「人生の歩みは小学生時代に築かれる」から。小学生時代は、子どもの人間性や生きかたの特性が明確になる時期です。小学生の頃に繰り返し体験したことは、その人間の人生の歩みの基盤になり、後々までも多大な影響を及ぼします。中学受験準備の学習は、そういう重要な時期に行われるのだということを大人は忘れてはいけませんし、受験生である子どもの学習も、そのことを大前提にして行われるべきだと私たちは考えています。そこで、次のような事柄をお伝えしました。

大人の視点
 「どんな勉強と生活で受験を乗り越えるか」

 「将来の大成につながる受験勉強、受験生活とはどういうものか」を考え、子どもの人間としての器を育てることを忘れないよう配慮しましょう。受かることだけに偏重すると、先々伸びるものも伸びなくなってしまいます。その判断をするのが大人の役割です。

子どもの視点
 「受験生活で培った、“自ら学ぶ姿勢”が将来の生きかたを決める」

 自立した学びを実践すれば、先々も勉強で困ることはありません。子ども自身が「自分のための勉強だ」という意識で積極的に取り組む受験勉強を実現させましょう。

夏休みという時期
 「受験生活の開始にも、態勢の立て直しにも最適の時期」

 ①と②を踏まえ、夏休みという時期が受験勉強をスタートさせるにも、受験勉強の巻き返しを図るにもよい時期だということをお伝えしました。40日という長い休暇は他にありません。この期間を上手に活かせば、しっかりとした受験態勢を築くことができます。

 パート1の話を枕にして、パート2では、現場を預かる校舎長から夏休みの学習で成果をあげるためのお話をさせていただきました。

 まず、三篠校の校舎長の杉原から、「夏休みの講座の位置づけや特徴」と、「夏休みにめざすべき学習成果とはどのようなものか」についてお伝えしました。

 夏休みの講座は、各学年とも2種類あります。前半が「夏期講座」(6年生は「中学受験夏期講習」)、後半が「夏期集中特訓」です。このうち、初めて受験勉強をするお子さんは「夏期講座」のみ受講するのが望ましいということをお伝えしました。なぜなら、これまで学習した広い範囲の総復習と学力の底上げを図る「夏期集中特訓」は、初めてのお子さんには一度に学ぶ量が多く範囲も多岐にわたるため、負担が大きすぎます。その点、夏までの学習範囲を引き継ぎ、単元ごとに丁寧に学習を進めていく「夏期講座」のほうが、受験態勢を一から築こうとするお子さんには適しています。

 それから、夏休みは年間を通じて最も暑い時期ですから、勉強時間や勉強量を増やすと逆効果を招く恐れがあります。したがって、「夏休みの受験対策は、学習の態勢づくりに重点を置き、学習時間は短くてもよいから集中してやるほうがよい」ということを保護者にお伝えしました。

 「まずは学習の態勢づくりから」と申し上げると、「そんな悠長なことで志望校へ受かるのか」と心配される向きもあるかもしれません。そこで杉原から、「努力の積み重ねこそ、天才への道である」ということをお伝えし、まずは努力を惜しまぬ姿勢を築くことの重要性を強調しました。「天才と呼ばれるほどできるお子さんを見た経験がありますが、資質面で圧倒的に優れていたわけではなく、また特別難しいことをひたすらやっていたわけではありません。やるべきことをちゃんと努力してやり遂げる子どもでした」という事例をご紹介しました。

 「天才」とは、誰にもできることを、誰にもできないほど継続して取り組んだ人のことです。つまり、「努力者に与えられる称号」なのです。「天才は努力する人」という視点のもと、保護者にはこれからお子さんをサポートするにあたり、努力する姿勢を応援していただくようお願いしました。

 三篠校の杉原の話に続き、次は広島校の校舎長である三里から、この夏休みの学習に向けて提案を二つさせていただきました。

 一つ目の提案は、「夏休み前に、“小さな目標”を掲げましょう」というものです。目標は、「全教科平均点突破」など、努力の継続を通して達成できるようなことでもよいし、「夏期講座の授業の復習を必ずやる」など、日々努力すべき事柄を掲げても構いません。夏休みの学習を実りあるものにするためには、子どもに具体的な目標をもたせることです。人間は目標をもつと変わります。そのことの根拠として、次のような話をしました。

 目標をもつことに関して、40年余りにわたる大掛かりな調査でわかったことがあります。「人生の成功者になれなかった人」が87%、「人生は成功だった人」が10%、「人生は大成功だった人」が3%でした。

 そのうち、人生が成功ではなかった87%の人たちは目標をもっていませんでした。「人生が成功だった」10%の人は目標をもっていました。「人生は大成功だった」3%の人は、目標を紙に書いていました。

 「作戦会議」という言葉は、小学生ぐらいの子どもに刺激を与えるらしく、よい反応を引き出します。「夏休みの勉強で成果をあげるための作戦会議をしよう!」と親から話を持ち掛けていただくようお願いしました。

 ただし、子どもが目標達成に向けた努力を継続するのはなかなか困難が伴います。そこで、目標達成の推進力となるものを考える必要があります。この推進力となるものとして、「3行日記」をつけることをご提案しました。日々の取り組みの様子を、3行の日記で綴るのです。3行日記には、以下のことがらを書き入れます。

・1行目…その日の取り組みの結果(何をどれだけやったかという事実)
・2行目…成果と反省点(その日の振り返り)
・3行目…明日に向けた決意(より高みをめざして意気込む)

 たくさん書くのではなく、1項目1行である点がミソです。これなら小学生でも続けられるでしょう。1行目には、その日の勉強の結果を書きます。よいこと悪いことに関わらず結果を書くのです。2行目には、成果を感じたこと、反省したことを簡単に書き入れます。そして3行目には、明日に向かっての決意表明を綴るのです。

 作戦会議において、親は「自分の可能性へのチャレンジだ。がんばってみよう!」と励まし、「夏休みの目標」を掲げること、「3行日記」をつけることを提案します。親は目標を達成するための努力を見守り、定期的に3行日記を見てアドバイスすることを約束します。

 こういう話を子どもにもちかけるとき、「どうせ親は、何かあると叱ったり命令してきたりする」と警戒されてしまうと、最初から躓いてしまいます。結果(成績アップ)だけ期待しているのではなく、「決めたことをやり切ろうとする姿勢」「前より進歩することをめざして努力すること」を親は心から願っているということを子どもに伝えてやることが必要です。夏休みの勉強が始まってからも、注意や叱責の繰り返しではなく、建設的な言葉かけや励ましを心がけるようお願いしました。

 さて、この夏休みの目標達成に向けた取り組みは、「ひと夏の冒険」に見立てることもできるでしょう。以下の絵をご覧ください。
 20150619

 冒険には困難がつきものです。三行日記の1行目にも、「がんばれなかったこと」が書き入れられることもあるでしょう。そうした困難を子どもが乗り越えるプロセスが、3行日記の2行目と3行目です。親は、子どものこの小さな冒険を温かく見守り、必要なときには力強く励まします。もしかしたら、くじけそうになること(大きな試練)もあるかもしれません。しかし、この冒険には親という心強い味方がいます。わが子が冒険の主役として輝くよう、名脇役として抜かりないサポートをし、この小さな冒険は見事大団円を迎えるにいたります。

 そうして、夏休みの終わりには見事がんばり通した自分を振り返る。そこまで行けば、間違いなくお子さんは以前のお子さんではありません。一段と成長した姿がそこにあることでしょう。目標を見事達成した暁には、家族全員でご褒美のイベント(家族全員でおいしいものを食べに行くなど)を催してはどうでしょうか。

 当日は、広島校校舎長の三里から、以上のような提案をいたしました。

 今回は、とりあえずこのあたりで終わり、続きは次回ご紹介しようと思いまます。よろしければ次回もお読みください。

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2015「夏のおかあさんセミナー」のご報告

2015 年 6 月 22 日 月曜日

 去る6月19日(金)午前、1~3年生の保護者の方を対象とした行事「2015夏のおかあさんセミナー」を開催いたしました。また、同日午後からは4~6年生の保護者の方を対象とした行事「学びの飛躍をこの夏に!」を開催いたしました。
 「夏のおかあさんセミナー」は、低学年部門の恒例行事として、毎年夏休み前の時期に実施している催しです。梅雨時期のぐずついた天候のなかで、どれだけの方々にお集まりいただけるだろうかという心配をよそに、今年も多くのお母さん・お父さん方にご参加いただきました。おかげさまで活気のある催しとなり、スタッフ一同、ご来場いただいた皆様に感謝するとともに会の盛況を喜んでおります。お越しいただきました皆様、誠にありがとうございました。

 さて、当日の内容ですが、当社の低学年部門の責任者および担当者から、「① 夏休みを“自立”に向けた契機にしよう」「② 夏休みの課題に積極的に取り組もう!」「③ 夏休みには戸外に足を運んで実物体験を!」という夏休みにまつわる3つのテーマでお話しさせていただきました。
 内容の一部を簡単にお伝えすると、①では、夏休み期間を活用して、子どもの基本的な生活習慣の自立や、子どもが主体的な姿勢を築くための親からの働きかけなどについて、各種データを交えながらお伝えいたしました。
 学校が長い休みに入る夏休みは、それまで通学を核として保たれていた規則正しい生活リズムが崩れてしまうことの多い期間でもあります。反対に、この長い休み期間をうまく活用すれば、基本的な生活習慣を身につけ、これまでより規則正しい生活リズムを獲得することも可能です。また、一緒に過ごす時間の長い夏休みに、親子の関わりの中で子どもの意志や決定を尊重する姿勢を親が示すことによって、子どもの自立を促すこともできるのです。こうした働きかけにより、自らの考えで責任を持って行動できる人間に成長できるよう、この夏休みを上手に活用していただきたいというお話をさせていただきました。
 ②では、夏休みの課題(宿題)を子どもの成長にいかに活用するか、親としてどのように働きかけるべきかといった点などに関して、いくつかのご提案をいたしました。
 夏休みの宿題は、取り組む子どもだけでなく、それを見守る親にとっても、大きな負担に感じられることが多いものです。しかし、お母さんお父さんがうまく働きかけて、宿題への取り組みを上手に活用することで、子どもが大きく成長するきっかけにすることも可能です。当日は、こうした点を踏まえ、夏休みの宿題への取り組みを経て子どもが大きく成長した例や、そこに親がどのように関わるべきなのか、家族の話し合いの場など宿題に取り組む環境をどのように整えていけばよいのかといった点についてお話しし、あわせて、夏休みの宿題のハイライトとなるべき「自由研究」の取り組み方などをお伝えいたしました。
 ③では、夏休みだからこそできる、自然体験や芸術作品に触れる体験などの「実物体験」をおすすめさせていただきました。この夏に体験させたいこととしては、「上質で文化的なものに触れる体験」「自然の中にあるものを実際に見たり触ったりする体験」「詳しく知りたい課題を一つ決め、夏休み中に調べる経験」などがあります。
 様々なものを素直に吸収することのできる今の時期だからこそ、子どもには本物に触れる経験を数多くさせたいものです。きっとその中で何かを感じ取って吸収することができますから、それが子どもの成長に大きな影響を与えることになります。こうした数多くの体験の中の要素がいくらか作用して、子どもの将来を方向づけてくれることになるのです。おかあさんセミナー

 子どもが家庭で過ごす時間が増える夏休みにおいては、「昼食の準備が大変になる」「叱る場面が増える」など、負担に感じられるお母さん方もいらっしゃるかもしれません。しかし、だからこそ、家庭での時間の使い方やお母さん・お父さんからの働きかけが、普段にも増して重要になります。
 今回の催しでは、この夏休みを子どもが成長するきっかけにしていただけるよう、家庭学習研究社なりのご提案をする機会にさせていただきました。ご参加いただいた保護者の皆様に満足していただけるような内容をご提供できたどうかはわかりませんが、夏休みを迎えるにあたって少しでもご参考にしていただけたなら幸いです。

(butsuen)

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子どもの社会性を育む父親のタイプって?

2015 年 6 月 15 日 月曜日

 6月中旬は、内外部向けの行事が目白押しです。夏の講座の申し込みの受付が始まったことと相まって、慌ただしい毎日が続いています。

 今週の金曜日(6月19日)には、西区民文化センターで保護者向けイベントを二つ予定しています。午前は低学年児童の保護者を対象とし、午後は高学年児童の保護者を対象としています。どちらも弊社の通学生家庭かどうかを問いませんので、興味をもたれたかたは、ご都合がつけばぜひお越しください。いずれも予約や申し込みは不要で、無料となっています。

 以下に簡単な要項を記しておきます。なお、当HPに詳しい案内がありますので、よろしければそちらをご覧ください。

1.「夏のおかあさんセミナー」
 実施日時/6月19日(金)10:30~11:50
 対  象/小学1~3年生児童の保護者
 会  場/西区民文化センター3F会議室A
      (広島市西区横川新町6-1)
 主な内容/夏休みの有効な過ごしかたについて(提案をします)

2.「学びの飛躍をこの夏に!」
 実施日時/6月19日(金)13:30~15:00
 対  象/小学4~6年生児童の保護者
 会  場/西区民文化センター3F会議室AB
     (広島市西区横川新町6-1)
 主な内容/夏休み活かして受験態勢を整える方法について(提案をします)

 さて、今回の記事ですが、久々におとうさんにスポットを当ててみました。先日、教育学者の著作に目を通していたら、おとうさんの生活スタイルや人物的な特徴が、子どもの社会性の育ちに影響を及ぼすという調査結果が紹介されていました。小学生ぐらいのお子さんをおもちのご家庭に参考になるかもしれないと思い、今回はそれを話題にとりあげた次第です。

 父親と子どものコミュニケーションについて、ある大手の教育関連団体がアンケート調査を行ったことがあります。アンケートの対象は子どもで、父親との関係をいくつかの質問によって調査し、その結果を分析したところ、「父親のタイプと、子どもの社会性の育ち」に一定の関連性が見出されたそうです(質問の内容は割愛させていただきます)。

 おとうさんの人物的な特徴は、次の4つにカテゴライズされています。

1.優しいパートナータイプ
2.はつらつエンジョイタイプ
3.堅実で仕事重視タイプ
4.厳しいリーダータイプ

 さて、この4つのうち、子どもとのコミュニケーションが良好で、社会性の育ちにプラスの結果をもたらすのはどのタイプのおとうさんだったでしょうか。まずは、みなさんで最も良好と思うものから順番をつけてみてください。4つのタイプのおとうさんの子どもとのコミュニケーションの取りかたを想像してみると、よりわかり易くなると思います。ちょっと、それを書いてみましょう。

1のタイプ…親から一方的に命令するのではなく、何でも話し合ったり相談しあったりして、家庭におけるよいパートナー関係を子どもと築くおとうさん
2のタイプ…仕事一辺倒ではなく、自分の娯楽や趣味、スポーツなどの楽しみをもち、いつも溌剌と人生を謳歌しているおとうさん
3のタイプ…何につけ仕事を第一に考え、子育てはどちらかというとおかあさん任せ。家庭を顧みるよりは、仕事優先的な生きかたをしているおとうさん。
4のタイプ…かつての家父長制に基づいた日本社会で多く見られたおとうさんのタイプ。何事も父親が決め、子どもには服従を強要する。

 このように考えてみると、子どもの社会性を育てそうなおとうさんのタイプは、はっきりとしてきませんか?3のタイプは、子どもとの接触時間が限定されがちですし、4のような専制君主型のおとうさんでは、子どもとのコミュニケーションがそもそも成り立ちません。

 残りの1と2は、子どもと関わる時間が十分にありそうに思えます。ではよりコミュニケーションが取りやすいのはどちらでしょうか。1は何かにつけ、おとうさんが子どもを一人前の人間として扱い、子どもに関することは何でも話し合います。おそらく、毎日コミュニケーションが頻繁に行われるでしょう。いっぽうの2のタイプのおとうさんは、子どもを連れてレジャーやスポーツを楽しむこともあるでしょうが、自分だけの楽しみを優先することも結構ありそうですね。

 さて、アンケートに基づく結論はどうだったのでしょうか。子どもの社会性を育てるおとうさん像は、1→2→3→4という順になったそうです。

 前述のように、この記事はある教育学者の著書で紹介されていたアンケートの結果をもとに書いています。その教育学者は、家父長的な4のタイプのおとうさんが順でいちばん下になった結果を受け、次のようなことを書いておられました。

 かつて、そうした恐怖主義的な父親でも、子どもがそれなりに健全に育っていったことはあったとは思う。それは、ひとつには、法的にも父に権力が与えられていたという法的バックアップがあったからであり、もうひとつは、父親以外に多様な大人・子ども関係、あるいは子ども・子ども関係を築き得たからであった。社会性が育つきっかけがもっとたくさんあったのである。

 しかし、現代社会では、育児は地域の営みというよりは各家庭の個別的な営みと化しているし、実際には父親があまりに育児に参加せず、女性が専一的に担っていて、育児は明確に女性化している。また、父親の権力に法的なバックアップがあるわけでもない。社会の変化が速くて先が見えにくく、子どもには父親がモデルにならない。そうした社会的・文化的な文脈の変化があるため、恐怖主義的な対応を父親がとっても、子どもは父親を尊敬しないし、本当の権威も育たない。このことがデータではっきり出てきたのである。

 絶対的な権威に支えられた父親像が崩壊した今日、1のような子どもと積極的にコンタクトをとるようなおとうさんのほうが、親子関係が良好で、子どもの社会性も育ちやすいということのようです。

 かつての社会においては、絶対君主的にふるまうおとうさんのもとでも子どもの社会性は育ったと言われます。それは、子どもが地域社会のなかで育てられるという一面があったからだと指摘されています。筆者の幼いころは、近所にどのようなおじさんおばさん、おじいさんおばあさんがいるかをよく掌握していましたし、またそのような人との交流が頻繁にありました、近所の幼なじみ集団での遊びも毎日のようにありました。そういった生活のなかで親子関係とは別の形で子どもの社会性は育っていたのでしょう。

 そう言えば、弊社の低学年部門の「親子授業体験会」や「説明会」「イベント」などでは、かつてよりもおとうさんの参加、夫婦での参加が目立つようになりました。子どもの教育をおかあさん一人に委ねるのではなく、おとうさんも積極的に加わる、あるいは夫婦共同でという時代になっていることを裏付けているように思います。

 無論、シングルマザー(シングルファーザー)の多い今日ですから、子どもの社会性を育てるためのアプローチはより多岐にわたっていることでしょう。弊社の催しに、おじいさんやおばあさんの参加が結構ありますが、おとうさんやおかあさんだけではフォローできない場合は、そういう方法もあってよいのだと思います。

 先ほどの教育学者の著述にあったように、「育児が地域の営みというよりは個別的な営みと化している」時代にあっては、父親は絶対的な権威者として君臨するよりも、よい生活パートナーとして子どもに寄り添い、子どもとのコミュニケーションを大切にすることが求められているのは間違いありません。おたくではどういう状態になっているでしょうか。

 今回の記事がみなさんのご家庭の現状を振り返るきっかけになれば幸いです。

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“音読”が子どもの学びを変える!  その2

2015 年 6 月 11 日 木曜日

 今回は、6月8日に引き続き、前期第1回「おかあさんの勉強会」の様子や内容についてご報告します。前回は、音読に関するアンケート(4・5年部会員生対象)の調査結果をご紹介し始めたところで終わりました。

 このアンケートは、音読の好き嫌い、本を読むことの好き嫌いを調査したうえで、両者にどんな相関関係があるか調べたものです。前回ご紹介したことを再度ご報告すると、「音読が好きな子どもほど、本をよく読む」ということがわかりました。当然といえば当然ですが、音読が好きであるということは、かなりの確率で「上手に読める」「表現描写が好き」ということと一致するとみてよさそうです。それが読書への積極的姿勢につながるのでしょう。

 そして、アンケートからさらに興味深いことがわかりました。次の資料をご覧ください。これは、「国語のテストの問題処理時間と音読が好きかどうかの関係」を調べたものです。

20150611

 「マナビーテスト」とは、弊社の会員ならよくご存じですが、2週間に1回実施している定例の単元テストです(全会員が受験)。このテストの国語素材文を読んで解答を終えるまでの時間と、音読が好きかどうかに、かなり明確な関連性があることがわかりました。

 テスト時間内に問題を解き終わっている子どもの多くは、「音読が好き」もしくは「どちらかと言えば好き」と答えていたのです。音読が好きであることは、必ずしも「読むのが速い」「読むのが正確」とは限りませんが、大概は一致しているものです。ですから、音読を好み励行することが、文章の読解と問題解答にかなりよい影響を与えることは間違いないと言えるでしょう。アンケート標本は350近くありますから、データの信憑性についても間違いないと思われます。

 なお、たくさんの本に手をつけるものの、挿絵を見ながら飛ばし読みをするタイプの子どもがいます。そういう子どもは、文章をよく読んでいないので読解力は身につきません。その点、音読は活字の言葉の全てを音声に変換しますから、文章から得られる情報を漏らさず処理する姿勢を養ってくれます。その意味でも、音読は小学生、特に中学受験生にはとても役立つ勉強法の一つなのです。

 アンケートの説明後は、つぎの「いつどのように音読練習をするか」というテーマに移りました。ここでは、音読のもつ役割や重要性をご理解いただき、そのうえで「家庭でどのように音読をサポートしたらよいか」についてみなさんで考え、話し合っていただくという流れを設定しました。

 まずは、ある学者の著作にあった「大きな声での音読の奨励」の部分をご紹介し、家庭の音読作戦の参考にしていただきました。大きな声による音読の効能を、その学者は次のように述べておられました。

①親が子どもに取り組ませやすい ②子は自己表現できるから気分がよい ③進歩がはっきりわかり、励みになる ④繰り返しやれば学力がつく
⑤家族みんなが明るくなれる

 この5つの説明の後、おかあさんがたに積極的な音読サポートを促すべく「私たちは、受験勉強の内容に関わることは、できるだけ避けてくださいと申し上げています。しかし、音読のサポートは別です。むしろおかあさんがたに積極的に関わっていただきたいのです」とお伝えしました。子どもの学習状況についてイライラし、叱るばかりでは、やがて子どもは親を敬遠するようになってしまいます。それよりも、音読を一緒に楽しみながら、子どもの読みの熟達をサポートするほうがはるかに得るものが多いのではないでしょうか。よい親子関係を築くことにもなります。

 また、音読の効能を知っただけでは、「どう音読を親が手伝うか」についてのアイデアが浮かばないかたもおられるでしょう。そこで、「音読の材料は、塾のテキストでも学校の教科書でもいいですよ」ということを伝えしました。また、読みが上手になるということは、脳のなかで読みの作業に必要な神経ネットワークが強化されるということです。したがって、音読の効果を得るには、毎日少しずつの時間でよいから、「毎日続けられる時間設定を」というようなこともお伝えしました。毎日のように継続してこそ、脳内で読みの態勢が整えられ、読む力が増強されるのです。

 さらに、声に出して読めば、いいかげんな読みかたや、間違った読みかたをした場合に、親にも子ども自身にもはっきりとそれがわかります。そこが音読のよいところですから、「速く読もうと焦らさないよう配慮し、ゆっくり正確に読むことから着実にやりましょう」といった趣旨のこともお話ししました。「読みの力を急いで挽回しなくては」と焦っても効果は得られません。今を出発点にして、「いかに継続的に音読に取り組むか」を考えるべきです。続ければ必ず成果が得られるのですから。そこで、「音読練習に、『今さら遅い』ということはない」ということを強調させていただきました。実際、入試前半年から始めて、奇跡の逆転勝利を得た受験生もいるのです。

 以上を受け、ワーク2を始めました。テーマは、「音読練習を継続させていくための我が家の実践方法」というものです。まずは記入用紙を配布し、次の点についておかあさんがたの考えを書いていただきました。

①音読をやるうえで、我が家の理想的な時間帯は? ②何分ぐらいなら無理なく続けられる? ③毎日続けることで障壁となる問題は何? ④前述の障壁を乗り越えるための手段は? 

 そして次に、グループごとに分かれ、順番に書いた内容をご報告いただきました。聞いているかたには、質問やコメントをお願いしました。そして、全員の報告が終了したあと、他の人の発言で参考になった点、修正したい点を確認し、各自メモを取っていただきました。ワーク終了後のおかあさんがたの様子を拝見すると、かなりのかたが「家庭でのわが子の音読励行」について何らかの作戦を思い描いておられるように感じました。

 「わが子に音読をするようどう働きかけるか」について、ここで筆者からまとめをさせていただこうと思います。お子さんが4年生、5年生ぐらいであれば、以下のような働きかけも効果があるかもしれません。まず、「音読を励行すれば、黙読力が向上するので、読むという作業が快適になる」ということをお子さんに伝え、それが自然と「読書活動の活発化」を促し、「語彙の増加」、「読解力の進歩」を引き出すし、「国語のテストで時間が足りなくなることもなくなる」など、プラスの連鎖が引き起こされるのだということを、子どもにもわかるよう伝えてやりましょう。

 それから、国語のテキストや学校の教科書の音読を、1日10分程度でもよいから続けることを提案します。時間は少しでよいから、毎日続けるのです。前述したように、音読は視覚と聴覚の二つのルートで著述内容の情報を受け止めますから、とてもよく記憶されるということも付け加えます。そうして、まずは「1日10分」の音読の継続を約束するのです。とりあえず練習が始まったら、お子さん自身が今までちゃんと読めていなかったことに気づくかもしれません。親は音読練習を聞くだけでもよいのですが、ちょっとでも進歩しているようならほめて励ますことを忘れないでください。

 読みの状態が改善の傾向を示し始めるまで、若干難渋するかもしれません。しかし、いったん効果が表れ始めるとお子さんは積極的に音読に励むようになるものです。声に出して読むことは、気持ちのうえで積極性が求められます。それをあえてやるところまで行くと、その積極性がいろいろな面に波及してきます。そうなると、もはや親は促してやらせる必要はなくなります。どうでしょう。親のしてやれることとして、音読の働きかけをがんばってみませんか?

 つぎはいよいよ最後のテーマです。「音読をより効果的なものにするために」というテーマで、弊社から若干の提案をさせていただきました。といっても、提案の内容は、「腹式呼吸の要領で下腹(へそ下5、6センチのところ)に力を入れ、大きな元気のよい音読を心がけよう」といった簡単なものです。

 かつて音読は学習に必須の方法でした。江戸時代の寺子屋では、学問と言えば漢籍の素読が基本であり、徹底的な音読の反復が行われていました。下腹にぐいっと力を入れ、背筋を伸ばし、のどからではなく腹から声を出しながら、耳で自分の読みを確かめるような読みかたを奨励されたようです。これなら、読んだ内容が脳に刻み付けられたことでしょう。

 余談ながら、わが国の同時通訳の第一人者が、新聞の音読を日課としておられることをご紹介しておきます。音読をされている理由は、「仕事で話題になる時局のネタを記憶するうえで、音読が非常に効果的だからです」とご本人は述べておられました。先ほども書きましたが、音読は読みの熟達に効果があるだけでなく、よく記憶に残る学習法なのですね。その意味でも、音読をぜひ中学受験生の子どもたちに励行していただきたいものです。

 2015年前期の第1回「おかあさんの勉強会」は、だいたい以上のような内容・流れだったかと思います。最後に、校舎責任者のまとめの言葉で終了としました。

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カテゴリー: 勉強について, 家庭での教育, 行事レポート