1ヶ月後の本番に向けた親の心構えとサポート

2015 年 12 月 17 日

 12月6日(日)には、中学入試本番に向けた最後の模擬試験(第5回)を実施しました。最終回は男子が修道中学校、女子が広島女学院中学校を会場に実施したこともあり、受験者もこれまでよりも多く(当日の受験者は、男子683名、女子562名でした)、本番さながらの雰囲気のなかで行われました。

 参加されたご家庭には、すでに結果をお届けしています。保護者のみなさまは目を通されたでしょうか。無論、受験生の子どもたちは、それぞれに努力を積み重ねたうえで試験を受けています。そういう集団のなかでもたらされたデータですから、厳しい判定を受け取ったお子さんもおられることでしょう。

 ただし、模試のデータとして提示されている「合格可能性の予測」は、合格を確約するものでも、否定するものでもありません。あくまで、その回の試験が本番であった場合の、合格に向けた可能性を%で示したものに過ぎません。

 本番では出題される問題は当然違います。同じ教科のテストであっても、得意な範囲が出題されることもあれば、出題されないこともあります。問題の難易度によって、お子さんの出来栄えは大きく変わる可能性もあります。難しい問題が出たほうが有利に働くお子さんもいれば、それが裏目に出るタイプのお子さんもいるのです。また、その日のコンディションも得点に関わってくるでしょう。

 ですから、模試の判定結果に振り回されるのではなく、模試の判定結果がそのようになった理由を考えるほうが、はるかに得るものが多いのです。

 重要なのは、どこを間違えているか、間違った原因はミスなのか、仕上げ不足なのか、捨てるべき問題(難しすぎる問題)だったのかなど、問題と解答結果を照らしながら、対応できるものを見出していくことが重要です。もうすぐ「冬期実戦講習」が始まります(12月23日開講)が、それまでに模試の結果を親子でよく点検することをお勧めします。

 さて、入試本番まであと1ヶ月ほどになった今、私たちがお子さんの受験にあたって保護者のみなさまにお伝えしたいことがあります。それは、「“子どもが主役”の受験を実現させて、フィナーレを迎えましょう」ということです。これまで、思うに任せぬ受験生活で、ヤキモキされた面も多々あることでしょう。しかし、最終的にお子さんが入試本番に向けて心を集中させ、全力で挑戦した受験にすれば、この受験の体験は結果を超える価値をもたらします。

 「今の学力で受かるだろうか」「まだやっていないことがたくさんあるのではないか」――こういう心配が親にはつきものですが、くれぐれもお子さんを追い立てたり、いろいろな心配ごとを一度にたくさんお子さんにぶつけたりしないようお願いします。今何をやっているかを確かめながら、各教科の仕上げについて保護者会の資料などを参考に、落ち着いて話し合ってください。そうして、あとは優しく激励してあげれば十分です。前述の模試結果の点検と対策についても、親主導でするのではなく、お子さんと相談しながら決めるというスタンスを忘れないようにお願いいたします。

  無論、指導担当者は今取り組むべきことについてお子さんにお伝えしています。しかしながら、お子さんが問題や悩みを抱えておられるようなら、該当教科の指導担当者や校舎責任者に相談するようアドバイスしてあげてください。冬期実戦講習が始まれば、4教科の担当者と毎日話をする機会があります。入試まで残された日数は多くはありませんが、まだまだ対処できることは少なくありません。

 さて、仕上げ学習の時期に至ると、どの受験生も相応に緊張を高めますし、受験への自覚も生まれてきます。しかしながら、表面に出てくる態度や行動は男女で違っています。たとえば、 

20151217b能天気で、まるで緊張感が足りないかのように見えます(実は緊張しているのですが)。やるべきことがわかっているのか、また、ちゃんと計画的に学力の仕上げ活動をしているのか、それすら心配になるような子どもも見られます(これもある程度わかっているし、しているのですが)。ただし、気持ちが乗ってくると、親も驚くほどの集中力で勉強をはかどらせている子どももいます。

20151217c不安をこらえきれず、表情に出したり口にしたりする子どもが出てきます。「先生、私なんかダメよね。どうせ受からないわよね」などと言ってくる子もいます。無論、「うーん、きみの場合、確かに危ないよね」などとは、口が裂けても言えません。「何言ってるの。大丈夫だよ」「きみが受からなくて誰が受かるの」などと勇気づけてほしいのです。笑顔で力づけ、安心させてやりましょう。

 このように見ると、男女の表面に見える様子は違っていても、入試に向けて不安と闘い、それなりに自覚してがんばっている点では同じです。大人の役割は、子どもが無用の不安に揺れたり、集中力を失ったりしないよう、側面から上手にサポートすることではないでしょうか。筆者は、「子どものラストスパートを支える、“最高の裏方”をめざしましょう」ということを、保護者の方々にお伝えしておきたいと思います。

 なかには、「これじゃ、入試に間に合わないのでは」と、焦りを覚えている保護者もおありかもしれません。しかし、それでも親はその気持ちを子どもにそのままぶつけるべきではありません。お子さんと冷静に話し合い、今から残された期間を上手に活かした対策を一緒に考えてあげてください。

 小学生の受験は、親から見て万全というわけにはいきません。それが年齢ゆえの現実です。しかし、受験への自覚すらままならない状態から、ようやく行きたい学校が見えてきて、やがて「合格したい!」という強い願望を胸に勉強に打ち込むようになる。この流れは、程度の差こそあれほとんどのご家庭で実現されたのではないでしょうか。そのことは、今後のお子さんにとって貴重な体験となることでしょう。間違いなくお子さんは大きく成長しておられます。

20151217a いよいよやってくる入試本番で悔いを残さぬためにも、保護者のみなさまには最後まで揺るぎのない態度でわが子を見守っていただくようお願いいたします。残された1ヶ月は、お子さんにとってこれまでとは数段濃密で重要な意味をもっています。お子さんが自己を燃焼させて学ぶ1ヶ月なのです。お子さんがラストスパートの勉強に専念できるよう、一緒に応援してまいりましょう。

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カテゴリー: がんばる子どもたち, ごあいさつ, 中学受験, 家庭での教育

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