2016 年 2 月 のアーカイブ

2016年度の入試結果と進路選択の状況

2016 年 2 月 29 日 月曜日

 6年生のみなさんは受験が全て終わり、進学先も決定したことで、一息ついておられることでしょう。受験を終えてふと気づくと、もうすぐ小学校生活も終わろうとしています。残り少ない貴重な小学校生活を、1日1日大切に過ごしていただきたいと存じます。

 今回は、今年の弊社会員受験生の中学入試結果とともに、合格後の進路選択の様子をかいつまんでご報告してみようと思います。なお、今回お伝えする情報は最終的なものではないことをあらかじめお断りしておきます。

 まず今年の入試を概観すると、私学はこのところの傾向が依然と続き、受験者数が微減しています。広島城北が若干昨年比で持ち直している以外は、いずれも僅かながら数を減らしています。一方の国立・公立の一貫校ですが、こちらはこのところの人気を維持し、ほぼ例年並みの受験者数を集めています。

 今年の会員受験生は男子が例年よりやや多く、いっぽうの女子会員は近年ではもっとも少ない人数でした。入試の合格状況ですが、男子受験生のみなさんも女子受験生のみなさんもまずまずの結果を収めていると言えるでしょう。特に女子の場合、会員数が例年よりも随分少なかったにもかかわらず、これまでとそん色のない結果をあげています。

 以下は、広島県西部の主要な中学校の入試合格実績と、進路選択の状況をまとめたものです。

20160229

 表の上から順に見てください。広島学院には68名合格しました(補欠繰り上がり合格者を含みます。以下同様です)。何と言っても男子の私立最難関校ですから、例年合格者の大半が入学するのですが、今年に限っては例年より歩留まり率が低かったようです。とは言え、人気の高い難関校であるのは変わりありません。弊社からは、募集定員に対して27~28%にあたる受験生が広島学院に進学しますので、まずまずの結果だと受け止めています。なお、広島学院に合格したものの、他校に進学する受験生は17名いました。そのうち、11名が修道に、3名が県立広島(3名とも、東広島校の会員です)に、2名が広島大学附属に進学する模様です(弊社は完全6か年一貫教育の私学への進学指導を軸に据えています。そそこで、敢えて最難関私学である広島学院の合格者の進路選択状況を具体的に詳しくお伝えしました。以下、清心についても同様の趣旨で詳しくご報告しています)。

 修道の合格者132名は例年とほぼ変わりません。しかし、合格者の歩留まり率が多少上がり、86名の受験生が同校に進学する予定です。募集定員276名に対する割合は30%を越えています。他の難関校に受かっても修道を選択する受験生の多くは、「明るい校風に惹かれた」「サッカーなどの部活が楽しみだ」など、学校生活に対する期待を理由にあげているのが印象的でした。「学校が楽しそう!」とは、男子の受験生がよく口にする言葉です。

 広島城北への進学者は、このところ減少気味でしたが、今年はかなり数が回復しています。久々に50名を超える受験生が弊社から同校に進学する模様です。弊社の校舎の中では、広島校からたくさん進学するのが今年の特徴でしょうか。男子の場合、広島学院・修道以外の私学となると、広島市の西側の受験生はなぎさを、中央部、北部、東部の受験生は城北を選択する割合が高いという傾向があります。

 今度は女子の私学について見てみましょう。ノートルダム清心の合格者は72名でした。そのうち同校に進学するのは48名で、例年よりは少し歩留まり率が低いようです。これは、広島大学附属との重複合格者が例年なら分散するのに、今年に限っては重複合格者11名全員が附属を選んだことが、かなり影響しているように思われます。それでも弊社からの進学者48名は、募集定員180名の26~27%に相当しますから、今年の女子会員数が少なかったことと合わせると、まずまずの結果だったと受けとめています。なお、同校に合格したものの他校への進学を選択したケースですが、広島大学附属が12名、県立広島が6名、広島女学院が5名、なぎさが1名でした。

 広島女学院には、昨年は弊社から180名を超える合格者があり、そのうち91名の子どもたちが進学しました。今年は弊社の女子受験生が昨年よりもずっと少なかったため、それには遠く及びませんが、それでも128名の合格者を輩出することができました。同校への進学者数は54名で、募集定員の27%にあたります。

 安田女子については、昨年、今年と弊社からの受験生が減少傾向にあります。受験生全体が減少傾向にあり、たくさんの学校を受けなくなっていること、公立一貫校の台頭など、様々な原因が少しずつ作用しての結果であろうと思います。ただし、独自の理念に基づく女子教育には定評があり、ファンの多い女子私学です。同校の入試は専願受験者が多いのが特色で、それも女子教育の場としての評価と人気を裏づけていると言えるでしょう。今年は弊社から22名の子どもたちが進学します。

 近畿大学附属中学校に進学するのは、大半が地元東広島校の受験生です。ただし、何名か、JR沿線近くに住まいのある受験生が他地区から進学する予定です。

 広島なぎさ中学校の募集定員は、約200名となっていますが、この数は系列のなぎさ公園小学校からの内部進学者を含んでいます。今年の内部進学者は69名で、残りが外部からの進学者です。弊社から同校へ進学するのは46名ですから、内部からの進学者数を差し引いた募集人数に対する占有率は35%とかなり高くなっています(弊社からの内部進学者はいませんでした)。同校への進学者は、例年地元の五日市校からが割合としては多いのですが、今年は特に五日市校出身者の比重が高かったようです。わずかながら、呉校や東広島校からも進学者がいます。

 広島大学附属中学校は、昨年に続き合格者の歩留まり率が高く、男女とも補欠繰り上がり合格者はゼロだった模様です。特に女子の歩留まり率が高いのが同校の特色で、予めそのことを想定して男子の半分しか合格者がいません。そのせいか、合格したら「行かないともったいない」という気持ちに左右される面もあるのかもしれません。また、女子に見られる共学志向が作用している面もあるでしょう。弊社の女子合格者14名全員が同校に入学手続きをしたようです。いっぽうの男子の場合、広島学院や修道などの私学に流れる傾向が強く、その結果男子は弊社からの入学予定者はわずか3名という結果になっています。

 県立広島中学校の人気はすっかり定着した感がありますが、弊社会員の受検者も地元の東広島校だけでなく、広島市内の校舎からも少しずつ増えています。共学校であることも反映してか、特に女子の人気が高まり、遠距離もものかは東広島市以外からの女子合格者の大半が入学を決心したようです。今年は男女合計32名が同校に合格し、そのうち27名が入学する予定です。これは相当な歩留まり率であり、同校の吸引力が確実に増している様子が伺えます。

 最後は、広島市立広島中等教育学校の状況をご報告します。安佐北高校改め、公立の完全6か年一貫校への衣替えが発表されて以来、同校の受検者は確実に増えつつあります。昨年、今年と500名を超え、県立広島に続いて私学を脅かす存在になりつつあります。弊社からは29名の合格者を輩出しましたが、まだ実績面などでの歴史が浅いせいでしょうか。今年の進学者は6名に留まったようです。ただし、受検者数を見ても大変注目を集めているのは間違いありません。同校は、安佐北区の山の中にあり、バス以外に交通手段がありません。それを考えると、このところの受検者数の増加には驚かされます。

 以上が、今年の弊社会員受験生の合格実績と、進路選択の状況です。ここ何年か書き続けているので、紙面は割きませんが、受験者数の減少傾向は入試での競争の緩和をもたらしており、それと連動してたくさんの中学校を受験するケースは減りつつあります。ある程度の学力を備えていれば、「そこまでしなくても受かる」という見通しが立つからでしょう。

20160229b 来年の状況はまだわかりませんが、弊社の新6年部生は男子が昨年並み、女子が若干増加といったところで、今年の卒業生とあまり変わりません。来年の受験生家庭におかれては、今の状態がそう変わらないと判断されて構わないでしょう。

 これから1年間着実な勉強を心がけ、夢の実現に向かってしっかりと努力を積み重ねていきましょう。

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カテゴリー: お知らせ, 中学受験

受験の準備学習をいつから始めるか その2

2016 年 2 月 23 日 火曜日

 前回に引き続き、「いつから中学受験のための塾通いを始めるか」をテーマに書いてみます。前回は、「6年生からの塾通い」を検討されている保護者に、筆者の考えをお伝えしてみました。今回は、主として5年生から、4年生からの場合についてお伝えします。

 ただし、「何年生からがいちばんよいか」といった視点ではなく、受験対策を始める学年それぞれに留意したいポイントが違いますので、そのあたりに視点を合わせた事柄を書いていくつもりです。多少なりとも参考にしていただければ幸いです。
 

② 5年生から受験対策(塾通い)を始める場合

 5年生から学習塾に通い、受験生活をスタートさせるお子さんはかなりの数に上ります。弊社では、4年部からの入会に次いで5年部からの入会が多く、メジャーな選択の一つとなっています。何年か前の調査によると、会員受験生のうち全体の3割強が5年部からの入会組でした(低学年部門は受験指導をしないので、低学年からの通学者は「4年部からの入会者」に組み入れています)。

 4年部からの入会と、5年部からの入会の違いの一つは、算数の学習にあります。弊社の4年部では算数と国語の学習指導を行っていますが、算数は少しずつ教科書範囲の先取りをし、4年生の秋ごろには5年生の範囲の学習を始めています。なぜ先取りかというと、算数は入試問題と教科書との学力上のギャップがいちばん大きな教科であり、6年部でできるだけ基礎から応用への橋渡しをしっかりやっていく必要があるからです。

 したがって、5年部から初めて弊社の教室に通われる場合、5年生の教科書範囲の途中から学んでいただくことになります。このようにお伝えすると心配されるかもしれませんが、心配無用です。4年部での学習内容は受験レベルから見ると“基礎の基礎”ですから、教科書内容をしっかり自分のものにしていれば、5年部での算数学習で「ついて行けない」ということはありません。

 ただし、4年部で算数と国語の指導をきちんと受けているお子さんには、「授業の受けかた」や「家庭学習の定着度」などにおいて相応のアドバンテージがあります。また、理科や社会の受験学習は5年部からスタートします。4教科の受験勉強をいきなり始めるわけですから、負担に感じるお子さんが多少はおられるかもしれません。

 無論、こういうことは十分に想定していることです。弊社では、5年部の開始当初からしばらくは、「塾の学習への適応」といった視点から“慣らし運転”的な助走期間を設け、少しずつ4教科の受験対策に慣れていただくよう配慮しています。

 また、前期講座のスタート時には、「学習計画」の見本を参考に、親子で毎日の家庭学習の計画表を作成していただきます。予習(5年生では、負担の少ないものにしています)、復習のスケジュールを立て、それに沿った学習を少しずつ軌道に乗せていくよう指導していきます。

 結論を言いますと、5年生になるまでに教科書の基礎内容をしっかり身につけ、さらに生活習慣が自立しているお子さんであれば、何の不安もありません。初めて塾に通われることで、「塾の勉強は楽しい、面白い」と受け止め、塾という新しい世界に新鮮な気持ちで参入されれば、大いに力を伸ばしていけるでしょう。実際、5年部のスタート後、みるみる頭角を現し、ずっと入試までトップランクの成績を維持しているお子さんは結構おられます。

20160224a なお、5年生では習い事やスポーツと並行して受験勉強をするお子さんが相当数おられます。それは決して無謀なことではありません。肉体的な負担を考慮しつつ、上手に家庭勉強の時間を確保することでハンディは解消できるからです。また、好きなことをするわけですから、「受験勉強と両立させるんだ!」という強い意志でがんばれば、却って学習効率を高めることもできるでしょう。6年生からの塾通いでも書いたように、制約というものはうまく活かせば、子どもの成長を促すことにもなります。
 

③ 4年生から受験対策(塾通い)を始める場合

 前述のように、4年生から入会して受験勉強を始めるケースが弊社では一番多く、全体の5割強~6割弱を占めています(年によって若干の変動があります)。

 4年生からの塾通いのメリットは、無理なく受験環境を整えることができるという点でしょう。まだお子さんに“受験生”という自覚は期待できませんが、その分楽しみながら塾に通い、少しずつ勉強に向き合う姿勢を育てたり、受験生として求められる学習方法を身につけたりすることができます。

 算数は易しい基本的な内容を、比較的じっくり学んでいきますから、基礎的な考えかたや学びの手順を習得することができます。先ほど、4年生から教科書範囲の先取りをしていくということをお伝えしているので、「えっ?」と、驚かれたでしょうか。実は、4年部で学ぶ算数の程度や内容は、教科書内容とのギャップをできるだけもたせないようにしているのでさほど難しくありません。いきなりハードルを上げると、勉強に対する親近感を育てたり、やり遂げる喜びを多数のお子さんに提供したりすることができなくなってしまいます。大多数のお子さんが無理なく学べるよう配慮していますのでご安心ください。

 だからこそ、4年部の算数指導では、丁寧に図を描いたり表をつくったりして、筋道立てて考えを進めていくような姿勢を築くことを重要視しています。それが、入試レベルの学習を上手に乗り切るために大変役立つからです。

 国語については、文章読解や文法、漢字などを基礎レベルで繰り返し身につけるよう指導していきます。読みの能力の熟達をはかるには、何と言っても読書を定着させるに限ります。そこで、読書指導を採り入れている点も4年部の特色の一つです。

 読書は受験勉強の邪魔だと思われがちですが、むしろ逆で、大変必要なものです。読書量の豊富なお子さんは、速く正確に黙読できる態勢を整えることができます。黙読の達者なお子さんは、文章を読み取る際に、時間当たりの情報処理量が多く、迅速に内容を把握することができます。そのことがテストなどの時間的な制約がある条件において、大いに威力を発揮することは間違いありません。

 上述のような脳の働きをワーキングメモリと言いますが、読書量が豊かであれば、それだけワーキングメモリを鍛えることになりますから、迅速に確実に活字の内容を理解する能力が磨かれます。つまり、本格的な受験対策を始める前に読みの力を鍛えておけば、理科や社会の学習にも大いに役立つことになります。

 なお、4年部では算数も国語も授業前に予習は必要ありません。その代わり、家庭でしっかりと復習をするようお子さんがたを指導しています。何をどう復習するかについては、開講後に繰り返し案内しますから心配無用です。

20160224b こうしてみると、4年部の1年間は受験勉強そのものをするというよりも、本格的な受験勉強を始める前の助走として必要な事柄を準備したり整えたりする、といった側面が強いということがおわかりいただけるでしょう。

 したがって、4年部に通われた場合、保護者にはあまりテスト成績に過敏にならないようにお願いいたします。親が焦ると、お子さんは学ぶことを楽しむどころかプレッシャーを感じてしまい、伸びるものも伸びなくなりかねません。何よりも、意欲や自信という学びの推進力を失ってしまう恐れがあります。成績よりも、積極的に学ぼうとする姿勢や家庭学習の習慣づけという視点を大切にし、辛抱強くお子さんを見守っていただくようお願いいたします。

 弊社の4年部に通っているお子さんは、習い事やスポーツを並行して行っている割合がかなり高いようです。勉強の負担がまださほどでありませんから、大いに結構なことだと思います。ただし、本人が「やりたい」「続けたい」という明確な意思をもっていない場合、どっちつかずになって学習成果が上がらないこともあるでしょう。そういった点にはお気をつけください。

 4年部からの入会が割合として多いこともありますが、4年生から順調に勉強を積み重ねてこられた結果、すばらしい学習姿勢や学力を身につけておられるお子さんが多数おられます。長く通っていただくわけですから、そこで得られるゆとりの部分を活かし、一人でも多くのお子さんが理想的な受験生活を送れるよう応援させていただく所存です。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 家庭学習研究社の特徴

受験の準備学習をいつから始めるか その1

2016 年 2 月 22 日 月曜日

 中学入試シーズンを終えて一息ついたところで、2月20日(土)には2016年度の5・6年部講座がスタートしました。弊社の各校舎にはまだ受験の余韻が多少残っていますが、一から気を引き締めて新たな5年部生、6年部生の指導を開始します。

 残る4年部ですが、こちらは3月5日(土)に開講する予定です。というわけで、今回は、新年度の講座の開始に絡めて、「いつから受験勉強を始めたらよいのか」「今の学年からの受験対策の開始にあたり、親はどういう応援や見守りをしたらよいのか」などを話題にとりあげてみようと思います。

 なかには、まだ踏ん切りがつかないまま、受験生活のスタートに至っていないご家庭もおありでしょう。どの塾に通うかも、なかなか決定的な根拠が見出せず(塾にはそれぞれ固有のよさと弱点があります)、迷っておられるケースもおありかもしれませんね。そういうご家庭にとっても、いくらか参考になる情報をお届けできたらと考えて今回の記事を書いてみます。

 ただし、「いつから受験対策を始めるべきか」というと、様々な意味に受け止めることができるので、ポイントが絞りにくくなってしまいます。広い意味での受験準備は幼いころから始まっていると見ることもできるからです。たとえば、毎日の過ごしかた、生活習慣ひとつとっても、能力の伸長に深く関わってきます。そこまで範囲を広げると、話はとめどなく広がってしまいかねませんね。

 そこで、ここでの意味は「いつから受験対策のための塾通いを始めるか」「受験に直接関わる内容の勉強は、いつから始めたらよいか」に絞らせていただこうと思います。

irasuto1 実際、「何年生から塾に通えばいいんですか?」と、保護者のかたから相談を受けることがかなりあります。この質問も、なかなか答えに窮します。というのは、お子さんの基礎学力の状態次第では6年生から始めても間に合いますし、基礎が十分でないお子さんの場合、6年生からでは間に合わない可能性が高くなってきます。なかには、「今すぐ入塾すれば間に合わせます」とおっしゃる塾があると聞いたことがありますが、そうことは簡単でないことは大概のかたはおわかりだろうと思います。

 また、「どうしても○○中学に受かりたい(受からせたい)」というこだわりが強い場合、受験対策を始める時期は早いほうがよいという考えもあながち間違いではありません。ただし、こういう考えかたに染まり過ぎた受験対策は、お子さんにとって望ましくないと私たちは考えています。受験に合格できなかったときのダメージが大きく、以後の人生にその失敗が影を落とす恐れが多分にあるからです(大切なのは、先々の人生ではないですか?)。したがって、弊社は「何が何でも合格」という指導はしません。この時点で、すでに弊社を選択肢から外される保護者もおられるかもしれません。しかし、それはしかたないことだと私たちは考えています。この見解が一致しないで、お子さんの受験生活がうまくいくはずがないからです。

 私たちは、何年生からの受験対策開始であれ、受験までのプロセスがお子さんにとっての成長につながるような配慮を大人がすべきだと考えています。それであれば、たとえ4年生から始めても、6年生から始めても、受験の結果だけでなく、様々な収穫を得ることができるるのだと確信しています。

 今、おたくのお子さんは何年生でしょうか? きっと、この記事を読んでおられるかたはいろいろであり、お子さんの年齢や学年の幅はかなり広いのではないでしょうか。そこで、学年、年齢ごとのスタートにあたり、どういうことがポイントになるかを今から簡単にお伝えしてみましょう。

 

①6年生から受験対策(塾通い)を始める場合

 もしもお子さんが、これまで塾に通ったことがない場合、一般的にはかなりハードなスケジュールでの受験生活になるでしょう。基礎の見直しや定着など、遅れている分を取り戻さねばならないからです。しかし、不利だと思われがちな条件を逆手にとって、すばらしい入試結果、学習成果をあげているご家庭やお子さんの事例も結構たくさんあります。

 以前書いたことがありますが、5年生の頃「受験のために塾に通わせてください」と親に何度懇願してもはねつけられ、やっと6年生の1年間塾通いを許可された男の子がいました。その男の子は、「自分はみんなより遅れている」ということを常に意識し、自分を励ましながら厳しい勉強を自らに課しました。そして、やがて秋になる頃には頭角を現し、最終的に受験校の全てに合格しました。他のお子さんの2年分、3年分を1年間でやり遂げたと言ってよいでしょう。その凝縮された1年間は、ただ受験に間に合わせたというだけでなく、もっと大きな心の財産をそのお子さんは得たのではないでしょうか。

 極端な例をあげると、6年生の夏休みから初めて塾に通い始め、男子の最難関私学に合格したお子さんもいます。しかし、多くの場合はそううまくはいきません。「うちの子はそんなに意志が強くないし、能力もあるとは思えない」とおっしゃるご家庭もあるでしょう。ですが、親子で話し合いの場を設け、「1年間を上手に活かし、ベストを尽くしてやってみよう」と励ましてやらせてみることも、意味があると思います。限られた時間内で自分なりに工夫して勉強に取り組む体験をするとしないとでは、お子さんの内面に大変な違いが生じるのではないでしょうか。

irasuto2 入試でどうしても得たい結果(進学先)がある場合でも、親が先回りして叱咤激励をするのではなく、残された期間をにらみながら粘り強く本人のがんばりを引き出すような関わりかたが親には求められます。そうすれば、受験の重圧に負けることなく最後までお子さんはがんばり通せるでしょう。

 このような受験なら、たとえ結果が伴わなくても、お子さん自身に悔しさや反省点が残り、それが中学以後の自発的努力につながっていきます。結果として、順調に志望校合格を得た場合よりも、お子さんにとってよい人生の歩みにつながることだって大いにあり得ることです。

 6年生では遅すぎる。この考えの是非は、受験に何を求めるかによって変わってくるのだということが、おわかりいただけたでしょうか。今現在迷っておられるご家庭は、そういった視点から受験生活を始めるかどうか考えてみてはいかがでしょうか。

 長くなってしまいました。5年生から、4年生から、さらにはそれ以前からの受験生活開始については、次回お伝えしようと思います。

 

 

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“中学進学後”を親子で話し合おう!

2016 年 2 月 15 日 月曜日

 早いもので2月も中旬を迎え、中学入試を終えた子どもたちの進路もおおむね決定しているのではないかと思います。今年の弊社の合格状況は、HP上で公開している通りです。男女ともバランスのよい結果を得ることができました。女子については、例年よりも会員数がかなり少なかったのですが、みなさんよくがんばられたと思います。

 入試は「入学者選抜」のために行われるものです。したがって、すべての受験生の希望が叶えられるわけではありません。また、受験生はまだ小学生ですから、経験したことのない緊張が入試の結果に微妙に作用したケースもあるでしょう。

 ただし、どのような入試結果を得ようとも変わりのない事実があります。それは、「肝心なのはこれからだ」ということです。今後のがんばり次第で人生の歩みはどのようにも変わっていくのだということを、忘れないようにしていただきたいものです。

 そこで本日は、すべての受験生家庭にちょっとしたご提案をさせていただこうと思います。ただし、特別なことではありません。その提案とは、受験生活の総決算として親子で「これまでの振り返り」をするということです。

 保護者のかたは、「わが子が受験を通して成長したと思う点」「受験生活で親として気になっていた点」を箇条書きにします(それぞれ3つぐらいまで)。お子さんは、「受験までのプロセスで、自分が成長できた、進歩したと思う点」「もっとこうすればよかったと反省の残る点」を箇条書きにします(これも、それぞれ3つぐらいまで)。

 親子共々受験までのプロセスの振り返りを書き記したところで、それをもとに時間をつくって話し合います。成長したと思う点が親子で一致していれば、それが受験生活で得たすばらしい成果であると気づかれるでしょう。まさに努力の結晶です。この成果を親は大いにほめ、認めてやりましょう。親は入試の結果だけを見て自分を判断しているのではなく、自分の取り組みや内面の成長を見届け喜んでくれているのだということをお子さんが感じたなら、「中学校への進学に向け、また気持ちを入れ替えてがんばろう!」と意欲を高めるのではないでしょうか。

 もし、親も子どもも問題点として同じような事柄をあげたとしたら、それが中学校進学後に克服すべき最大の課題だと考えて間違いないでしょう。また、親と子どものあげた問題点が異なっていたとしたら、その点について話し合うと、修正すべき新たな視点も生まれてくるでしょう。

 20160215a成果と反省点。それを明らかにしたうえで中学校に進学する。それは、志望校合格の夢が叶ったかどうかに関わらず、今後の歩みを望ましいものにするうえでとても重要なことです。特に「学習の計画性はどうだったか」「計画を実行すべく努力を怠らなかったか」「自分の現状を振り返りながら修正していく姿勢はどうだったか」など、自己管理能力に関わる点は、今後の学力形成や人生の歩みに多大な影響を及ぼします。入試の結果だけでなく、入試に至るプロセスのなかに今後の成長や進歩を約束する重要なポイントが見つかるはずです。ぜひ、親子での振り返りを実行してみてはいかがでしょうか。

 もう一つ、お伝えしたいことがあります。これは弊社から保護者のみなさまへのお願いと言ってよいかもしれません。

 受験の結果に対する満足度はご家庭によって様々であろうと思います。しかし、前述のように大切なのは“これから”です。たとえ進学先が希望通りの学校でなかったとしても、まずは親が気持ちを切り替え、喜んでその学校へ送り出してあげるようお願いいたします。それがお子さんの未来を明るく希望に満ちたものにするための最大のポイントになるからです。

 20160215b進学する中学校のパンフレットをもう一度点検し、その学校の特色や優れている点をぜひお子さんに伝えてあげてください。そうすれば、お子さんは今から始まる中学校生活に見通しをもち、張り切って入学式を迎えられるのではないでしょうか。

 また、なかには望んでいた入試結果が得られず、公立の中学校への進学を選択されたお子さんもおられると思います。このようなお子さんにも、受験のプロセスで培った「学びの方法」や「学びの習慣」は今後の飛躍を大いに支えてくれるでしょう。希望と自信を胸に新たな中学校生活に臨んでいただきたいと思います。

 弊社の教室で学んだ子どもたちは、きっと2年、3年後には気づかれると思います。自学自習の姿勢を身につける。――それが中学受験に挑戦したことの最大の成果であるということに。受験生のみなさんのますますの飛躍をお祈りいたします。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 子育てについて, 家庭での教育

上手な準備と環境づくりで主体的な学習を!

2016 年 2 月 8 日 月曜日

 今年度の広島県西部地区の中学入試が終了しました。めでたく合格された子どもさんもいる一方、残念ながら希望通りにはいかなかった場合もあると思います。ただ、どのような進路を選択することになっても、4月からは中学校での新たな生活がスタートします。受験生として精一杯努力した経験を活かして、新たなステージで活躍することを願っています。

 さて、つい先日新年を迎えたかと思ったらもう2月に入っているように、1~3月はあっという間に過ぎていきます。6年生はもちろん春以降の生活を思い描いていると思いますが、その他の学年の子ども達にとっても、そろそろまた新たな学年を意識する時期がやってきました。
 新年度を迎えるにあたって、「◯年生になったら、わが子には自分で勉強する姿勢をもってほしい」「そろそろ言われなくても進んで机についてくれればいいのに」という願いを抱かれるお母さん・お父さんも多いのではないでしょうか。

 わが子が「勉強に対して前向きになる」ための働きかけとして、特に低学年期など年齢が低い時期に効果的なのが、子どもに「自分は勉強が得意なんだ」という意識をもたせて、勉強することそのものを好きにすることでしょう。
 「そんなの当たり前じゃないか」と思われたかもしれません。ですが、本来はどの子も、新しい知識を吸収することやより高度な学びに触れることが好きだったはず。元々「学ぶの大好き」だった子ども達も、その後置かれた環境や働きかけの仕方によって、少しずつ「勉強好き」と「勉強嫌い」に分かれていくことになるのは言うまでもありません。

 ここでポイントとなるのが「ちょっとだけ先取り」です。
 「先取り」という言葉のイメージから、「とにかく早く難しい内容を学んでおく」というハードな内容を思い浮かべられるかもしれませんね。しかし、ここでいう「ちょっとだけ先取り」とは、学校や塾で学ぶ内容を、授業で学ぶちょっと前に、家庭における日常生活の中で自然な形でちょっとだけ触れておくことをいいます。イメージとしては、「先取り」というより「準備」に近いでしょうか。要するに、親が、学校や塾で学ぶカリキュラムの流れや学習内容をつかんでおいて、さりげない形で、わが子にぴったりのタイミングであらかじめ「学びの種」をまいておくというものです。
 もちろん、そのためにはお母さんにも準備(?)をしておいていただかないといけません。わが子が教科書やテキストを学校・塾からもらってきたら、親もざっと内容を確認しておきましょう。これによって、この先わが子がどの時期にどのような学習をするのかを大まかに把握しておくことができます(ただし、親が教科書やテキストの内容を知っていることは子どもには知られない方がいいですから、わが子がいない時間帯にこっそり目を通してください。目の前で教科書やテキストを読む親の姿は、子どもにとってプレッシャー以外の何物でもありませんし、その後でどんな働きかけをしたとしても、子どもは素直に聞くことができませんからね)。160208

 例えば、1年生で時計の学習をする前には、お母さんが時計を見ながら「あと10分で5時になるね」「6時半になったら晩ご飯にしようか」などと口にすれば、子どもも自然と時刻や時間に意識を向けることになります。3年生の理科で太陽と地面の様子を学ぶ少し前には、散歩しながら「最近は日が長くなってきたから地面もあたたかいね」などと言えば、子どもも「日が長い?地面ってあたたかい?」と興味関心をもつことでしょう。
 1年生のころには、「うちの子は時計をなかなか読めるようにならなくて」などとお悩みを口にされるお母さんが少なくありませんが、こうしたご家庭では、普段の生活の中で時刻を意識させて見通しをもたせることが少ない、子どもがアナログ式の時計に触れる機会がない・・・というケースが多くあります。もしわが子がこのような状況であったら、一度家庭での子どもとのやり取りや普段の生活を振り返ってみてはいかがでしょうか。

 ただし、念のためにお伝えしておきますが、教科書やテキスト内容の予習をすすめているわけではありません(当社の指導でも4年部までは予習ではなく復習をしっかりするよう伝えています)。もし、お母さんが言葉をかけても子どもの反応が乏しかったり、親の思うようにいかなかったりしても、「それなら・・・」と親がべったりくっついてスパルタ指導をするのは逆効果です。「今度のテストで良い点を取らせよう」とか「次の授業の内容を他の子より早く理解させよう」などと考えて、教科書やテキストを持ちだしてつきっきりで問題を解かせたりすることも必要ありません。
 あくまでも「ちょっとだけ」ですから、「次のテストですぐに点数アップ」とか「授業でどんどん発表できるようになる」など、わかりやすい効果がすぐに出るわけではありません。むしろ、親の思い通りにいかないことの方が多いでしょうが、例え即効性がなかったとしても、後々大きく伸びるために、今は芽が出るのを気長に待つ覚悟を親の側がもつ必要があります。

 もしかしたら、この内容では「先取り」と言うことすらできないのかもしれませんね。しかし、「これってこの間聞いたような気がする」「前にお母さんが言ってたな」というちょっとしたきっかけが、勉強に対するハードルを取り除くという意味で大きな意味をもっているのです。長い目で子どもの主体的な学習姿勢を築くことを考えれば、目先のテストの点数のために厳しく叱りながら勉強させるよりもはるかに大きな効果をもたらします。
 ぜひ、お母さんオリジナルの「ちょっとだけ先取り」の種をまいて、わが子の気持ちが自然に勉強に向かうよう工夫してみてくださいね。

(butsuen)

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カテゴリー: 勉強の仕方, 家庭での教育, 小学1~3年生向け