2016 年 3 月 のアーカイブ

4・5年部の学習が将来の礎を築く

2016 年 3 月 28 日 月曜日

 2016年度の5・6年部講座が開講して、1ヶ月あまりが経過しました。少し遅れて開講した4年部は、3週間が経過したところです。どうでしょう。これまでのお子さんの取り組みは、親の目にはどう映っているでしょうか?

 小学生の場合、受験勉強をまったくの子ども任せにするのは望ましくありません。特に、5年生、4年生と年齢が下がるほど、親は子どもの取り組み状況を掌握しておく必要があります。なぜなら、子どもの年齢が低いほど自分のやっている勉強について、客観的な判断をする能力が未発達だからです。いい加減な勉強をしていても、「このやりかたではいけない」と気づく子どもは意外と少ないもので、まして自分で修正を図れるような子どもはわずかしかいません。

20160328b たとえば、4年生の男の子などは漢字の問題の○つけすらちゃんとできないものです。「この漢字、間違っているのにきみは丸をつけているよ」と指摘すると、「いいじゃん、だいたい合っているんだから」と切り返され、愕然としたことがあります。無邪気でかわいらしいとも言えますが、実際にわが子がこのような調子だったとしたら、どう思われるでしょうか。もしもそうだったとして、この現実を親が掌握していないまま6年生になったとしたら、あとで後悔することになってしまうのではないでしょうか。

 これはあくまで傾向として感じることですが、子どもの受験勉強に関心を寄せ、助言やアドバイスをすべきときに、親は「まだ受験は先だから、ボチボチやっていればよい」と、のんびり構える傾向があります。また、勉強について声をかける場合でも、成績として表れている数値だけに反応していることが多いものです。しかしながら、親が目をやるべきはテスト結果よりも、むしろ毎日の取り組みの内実だと筆者は思います。どういうことかを、以下に書いてみましょう。

 4年生から5年生の前半あたりまでは、テストの直前に少し対策をするだけでそこそこの成績を維持するお子さんがいます。能力が高いから、そうした小手先の勉強で通用させることができてしまうのです。しかしながら、いつまでもそんなやりかたが通用するほど受験勉強は甘くありません。このようなお子さんは、5年生の後半から6年生にかけて、次第にテストの点数も順位も低迷するようになってしまいます。理由は当たり前ですが、勉強の高度化に伴い、ちょっとテキストをなぞった程度ではテスト問題に対応できなくなるからです。

 今年も、もうすぐ受験を終えた6年生の受験体験記を発行します。印刷入れする前に、たくさんの応募作品に目を通したのですが、「4年生、5年生までは、ついついやるべきことを疎かにしてしまった。6年生の後半、模擬試験が始まってからようやくおしりに火がついて、一生懸命勉強した。おとうさん、おかあさんが、いろいろアドバイスをしてくれた。これから受験する後輩のみなさんは、そういうことがないようがんばってください」といったような内容の文章が多数ありました。

 これから受験する子どもたちが読むと、「そういう受験生だってちゃんと受かったのだから、早くから無理してがんばらなくてもいいんじゃない?」と思うかもしれません。しかしながら、基礎を学んでいる段階でしっかりした勉強の態勢を築いているかどうかは、受験の結果だけでなく、後々の人生に多大な影響を及ぼすのです。4・5年生はそのことに自分で気づく段階に達していないからこそ、大人が学びの姿勢づくりに関わるべきだと思うのです。

 たとえば中学、高校、大学と学ぶことのレベルが上がれば上がるほど、勉強は人の力を借りるのが難しくなります。めざす中高一貫校に進学できたとしても、そこでの6年間が自発的で自己管理に基づく学習生活の場になれば、恵まれた教育環境を最大限に活かし、すばらしい成果を得ることができるでしょう。ところが、小手先の暗記による勉強や、大人頼みの勉強で受験を通過した生徒は、授業を活かす姿勢を欠き、家庭学習を疎かにして宿題を溜め、その結果たちまち成績不振に陥ることになりがちです。そうなってから状況を巻き直すのがいかに困難かは、大人ならおおよそ察しがつくのではないでしょうか。

 このところ、児童数の減少が進行し、中学受験においてもほとんどの学校の入試での難易度が下がってきています。中学受験の最盛期と比較すると、各中学校の受験生は何割も減っており(半数近くに減っている学校がほとんどです)、かつてのような「中学受験は大変」といったムードはありません。合格をめぐる熾烈な競争が緩和されたことは大変喜ばしいことです。しかしながら、だからこそ大切にしたいのは、勉強の計画性・実行力・自己管理能力など、学びの姿勢を決定する要素をしっかりと育てることではないでしょうか。

 さて、「4・5年部生の親の受験学習への関わりかた」を書こうとしていたのですが、前置きばかり長くなってしまいました。次回は、親はどうわが子の学習に関わるべきかについて、少し具体的に話を進めていこうと思います。

 親がわが子の受験に関心を寄せ、アドバイスを送るべきは4・5年生の今です。6年生になってからそれをしようとすると、数倍以上の時間やエネルギーを必要とするでしょう。親はだんだん手を放していく流れをうまく築けば、子どもの成長を引き出せるうえ、親の負担も格段に軽減されることになります。

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カテゴリー: アドバイス, 勉強の仕方, 子どもの発達

日常の言葉遣いと学力

2016 年 3 月 21 日 月曜日

 今回は、以前低学年向けのブログで書いたことをもう一度お伝えする内容となっています。今、受験生活を送っておられる高学年のご家庭にも参考にしていただけるのではないかと思います。

 よくできる子の話しぶりで、筆者の記憶に残っているものをご紹介してみましょう。6年生の男子クラスで、「おかあさんに叱られることがあるかどうか」について話題になったときのことです。ある男の子がこう言いました。

 「ぼくは、母に叱られたことは一度もありません。いえ、正確に言えば勉強のことで母がぼくを叱ることは一度もありません。でも、約束を守らなかったり、責任感の足りない行動をとったりしたときは厳しく叱られます。普段は優しい母ですが、そういうときには少しこわいです」

 同じ話題について、別の男の子はこんなことを言いました。

 「かあさんたら、ひどいんだ。ぼくが勉強をしようと思っているときに限って『勉強しなさい!』ってぼくを叱るんだ。もう、やる気なくなっちゃうよ」

 どうでしょう。前者のような話しかたをする子は希です。整然とした落ち着きのある話しぶりで、感心させられます。しかし、愛嬌があって親しみを感じるのは後者の男の子の話しぶりかもしれませんね。

20160321a 小学生の場合、後者の男の子のような話しかたをするのが普通です。気持ちがよく表れており、思わずほほえんでしまいます。子どもがついついテレビを見過ぎてしまい、「そろそろ勉強しないと叱られるかな」と、重い腰を上げようとしたそのとき、とうとうおかあさんの堪忍袋の緒が切れる。家のなかの光景がまるで見えてくるかのようです。これは、多くの家庭で現実に見られるシーンではないでしょうか。

 勉強のほうはと言うと、前にご紹介した男の子のほうが、圧倒的によくできました。先生やクラスのみんなの前で話すことを念頭におき、母親のことを「母」と自然に言える子は、そうそういるものではありません。また、よどみがなく、その場にいない者でもよくわかるような話しかたができている点にも驚かされます。

 このように、よくできる子の話しかたは、センテンスが長く、敬語をわきまえ、接続詞を上手に使え、感情を交えず、順序よく話せるという特徴があります。こういう話しかたは、普段からしていないとできるものではありません。学校のような教育の場で用いられる言葉は、こういう改まった言葉です。また、教科書に出てくる言葉も、テストで用いられる言葉も同じです。目の前に相手がいて、状況を共有しているならもっと簡単で砕けた言い回しでも通じるでしょうが、言葉だけでコミュニケーションをはかれることを可能にするためには、正式な改まった言いかたが求められます。ですから、こういう言葉に習熟していることが、勉強の成果をあげるうえで大いに威力を発揮するのですね。

 さて、前述のような言葉遣いを家庭で身につけさせることが、子どもの知的能力を育むうえで必要だということはわかりました。でも、親子の会話なのに、いちいち文法に照らし合わせ、長いセンテンスで話すなんて窮屈じゃありませんか?」とおっしゃるかたもおありでしょう。

 その通りです。親子の会話で、「です」「ます」などという丁寧語を使うのは変ですし、目の前に相手がいるのに、無理に丁寧な話しかたをする必要もありません。しかし、子どもの成長という観点に立つなら、何かの話題について詳しく話し合ったり、親の考えかたを子どもに徹底させたりするような会話も、ときにはあって然るべきだと思います。

 また、会話のなかで、自然と子どもに新しい語彙を吹き込むような、面白い表現や目新しい言葉を用いる。そういう配慮をすることも必要だと思います。そうして、全体として家庭が子どもの言葉を学ぶ場、話しかたを学ぶ場として機能すればよいのではないでしょうか。

 くつろいだ、楽しい会話こそ家庭で必要なものです。しかし、同時に状況に応じて面白い表現を教えたり、親に自分の気持ちを詳しく説明するような場面をつくったりすることも配慮できるはずです。そうすれば、そのつど子どもは新しい語彙や話しかたのバリエーションを、おかあさんから仕入れることができるでしょう。

 いつも親は堅苦しい言葉遣いの手本を子どもに示す必要は更々ありません。何かについて話しているとき、話が発展して互いの考えを詳しく語り合うような流れができることもあるでしょう。

20160321 子どもを叱るときも、子どもの話しかたを鍛えるチャンスだと言われます。子どもの側にも言い分があるでしょう。それをきちんと親に伝えるべくがんばらせればよいのです。子どもの言うことにしっかりと耳を傾けてやれば、子どもは感情に走らず、言葉を尽くして親を説得する努力をするでしょう。そういう体験を通じて、子どもの話す力は大いに鍛えられるのではないでしょうか。

 結局、学力のおおもとは言葉であり、言葉を介したコミュニケーション能力が学力を伸ばすうえで決め手になります。思考も、言葉を心のなかで組み立てる作業に他なりません。子どもにとって、言葉の豊かな生活の場を用意してやる。それが、親の重要な役割であろうと思います。

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カテゴリー: アドバイス, 子育てについて

「習い事」と受験対策

2016 年 3 月 14 日 月曜日

 春になり、また新しい学年へと進級する季節がやってきました。
 新年度を迎えるということで、わが子に新たな習い事を始めさせよう、またはもう始められたというご家庭も多いのではないでしょうか。これからどんどん成長していく子ども達ですから、新たな習い事をするうちに、わが子の意外な能力に気がついたり、隠れた才能を発見するきっかけになったりすることも大いにあるでしょうね。

 特に低学年の時期には、「わが子がどの分野で才能を発揮できるかわからないから、まずはいろんなことをやらせてみよう」とお考えになるご家庭が多いと思います。小学校に入学する時点で、既に1週間全ての曜日が何かしらの習い事で埋まっているという子も少なからずいます。
 ただ、子どもの体力・気力には限りがありますから、いくら可能性を広げるためとはいえ、あまり大きな負担を掛けることは子どもの成長にとってプラスにならないこともあります。親御さんにとっては悩ましいところですね。

 こうして多くの習い事に通う低学年の子ども達も、いずれはその数を絞ったり、習い事に通うのをやめて学業に集中したりすることを考える時期がやってきます。当社に通っている子ども達は、ほとんどがこの先の中学受験を見据えて勉強していますから、習い事をいつまで続けるかという点に関しては、学年が上がるにつれて多くの家庭で大きな問題になるようです。家族会議が平行線に終わり、親子ゲンカに発展してしまったり、親が強引に習い事をやめさせたりするケースを耳にすることも少なくありません。
 親としては受験に集中させたいという気持ちになるものですが、子どもの意志を強引に曲げさせてまで受験一色にしてしまうと、親子間に大きなしこりを残すことになりかねません。親子関係が気まずいものになれば、肝心の受験に対する意欲まで削いでしまうことになります。親の意向で無理に習い事をやめさせたとしても、その分のエネルギーを受験勉強に向かわせるようになるかといえば、なかなかそううまくはいかないものです。

 もし、経済的な面や時間的な問題をクリアできて、本人に「どちらもやり遂げる」という強い意志があるならという前提での話ですが、子どもが好きな習い事はできるところまで続けてみるというのも一つの方法かもしれません。
 もちろん、複数のものを同時に追い求めるとなると、様々な工夫と根気強さが要求されますから、万が一それが不十分な場合は、どれも手に入れることができないという事態になってしまう可能性もあります。しかし、確たる主体性をもって、計画立てて自分でしっかり考えられるならば、同時にいくつもの目標を達成することもできるはずです。

 160314参考までに、資料を一つご覧ください。このデータは某大手教育出版社が実施したアンケート結果をまとめたものです。中学受験を予定している家庭の学校外教育活動(①スポーツ活動 ②芸術活動 ③塾などの教室活動 ④家庭学習)に関しての回答を集計し、それぞれ活動別に児童数の割合を示しています。
 これを見ると、学年が上がり入試が近づくにつれて、①②の割合は減少し、逆に③④の割合が上昇しています(当然といえば当然ですが)。勉強とは直接関係のない習い事を減らし、塾通いや家庭学習の時間を増やすなど、学業成績に直結する活動を優先させているということなのでしょうね。
 ただ、6年生になっても半数以上がスポーツ活動を、3割強の子ども達が芸術活動の習い事を継続しているという数字についてはどのようにお感じでしょうか?個人的には「意外と6年生になっても習い事を頑張って続けている子が多いんだなあ」という印象をもちましたが・・・いかがでしょうか?

 これから先、中学入試の時期が近づくにつれて、受験勉強と習い事の両立に親子で頭を悩ませる日がやってくるかもしれません。その際、最初から「習い事は全てやめさせる」と決めつけるのではなくて、まずは両立を目指してみるという選択肢もあるのではないかと思います。そして、その方法を子ども自身に考えて工夫させ、親がそれを後方から支えてあげることで、子どもを大きく成長させるための一つのプロセスとすることもできます。
 もちろん、最終的には各家庭での判断ということになると思いますが、子どもが続けたいという強い希望をもっているのなら、親子で話し合った上で「可能な限り続けてみる」という選択肢があってもよいのでは・・・と思っています。

(butsuen)

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カテゴリー: 中学受験, 子どもの自立, 家庭学習研究社の特徴, 小学1~3年生向け

受験生活における家庭教育の役割

2016 年 3 月 7 日 月曜日

 2月20日(土)に開講した5・6年部に続き、3月5日(土)には4年部の新年度講座がスタートしました。

 そこで、今回は受験生活を円滑に進めていくためのごく基本的なことを話題にとりあげ、この1年間の受験生活を実りある充実したものにするうえで参考にしていただければと思います。

 わが子が受験をするとなると、親はどうしても「1日何時間勉強したらよいか」、「何をどれだけやったらよいか」「親は勉強の面倒を見るべきか」など、勉強の成果をどうやってあげるかに気持ちが奪われがちです。それはそれで当然ですし、学習塾も家庭での勉強に目配りをしながら子どもたちの指導をしていきます。しかしながら、親も学習塾も家庭生活を受験勉強という側面のみに偏ってとらえていると、子どもの健全な成長にとって大切なものを見失ってしまうおそれがあります。

 とくに気をつけていただきたいのは、受験準備の学習に取り組んでいる小学校の中~高学年という時期は、親にとっては毎日の生活を通してしつけ・教育の仕上げをすべき大切な段階にあるということです。つまり、「家庭教育という柱をしっかりさせたうえでの受験勉強なのだ」ということを忘れないでいただきたいのです。この柱がしっかりしていれば、結果としてお子さんの受験勉強の成果もあがりますし、何よりもお子さんが学問を身につけた成果を将来に活かしていける人間に成長することができます。

 このように申しあげると、「では、結局何をすればいいのか」という疑問をもたれるかたもおありでしょう。学校の教育現場で長年活躍され、家庭教育にも造詣の深い先生の著作に、次のようなくだりがあります。参考までにちょっとご紹介してみましょう。

 家庭教育とは、端的にいうと、子どもの健全なからだとこころを育てる教育です。からだを育てる土台は食事です。また、心を育てる土台は、家庭生活の会話です。すなわち、ことばです。ところが、いまの家庭生活では、この二つの基本条件とも乱れているのです。しかも、親も教師も国民も、このことにほとんど無関心に放任しているのです。ここに、こんにちの家庭教育の致命的な欠陥があるのです。

 フランスの科学者、アンリ・ポアンカレは、「ものごとの原理や原則というのは、もっとも単純でくり返しの多いことがらにある」といっていますが、家庭教育の原則も、家庭生活で最もくり返しの多い食事と会話にあるのです。わたしたちは、まず、このことをはっきり認識して、自信をもって正しく実践することが急務なのです。

 以上から気づかされるのは、「食事」と「会話」に目配りをすることの重要性です。家庭生活を営むうえで、この二つは数限りなく繰り返されることです。また、食事と会話は同時に行われることも多く、その内実がどのようであるかで、子どもの成長に及ぼす影響は少なくないことでしょう。

 まず食事について考えてみましょう。食事は一日に三度採るのがふつうです。すると1年間に千回以上繰り返していることになります。その食事が、毎日同じくらいの時間に、ゆとりをもってリズムよく採られているかどうかで、子どもに与える影響は随分違ってくることでしょう。食事抜きで学校に出かけたり、不規則な時間になりがちだったり(塾のある日とない日とで時間が変わるのはやむを得ません。塾のある日の夕食は通塾前と帰宅後に軽く採るなどの工夫も必要です)、慌ただしく口の中に押し込むだけの食事になったりすることはないでしょうか。また、食事の内容にも気を配っておられるでしょうか。糖分や塩分の多い食事は避けたいものです。また、やたらと間食に甘いものを採り過ぎたりしていないでしょうか。

 食事は体づくりの基盤です。また、行動のエネルギー源です。しっかりとした栄養バランスのよい食事は、何をするにつけても意欲と活気を与えてくれます。ぜひ一度食生活の現状を振り返り返ってみてください。

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 次は会話です。小学生の子どもにとっての会話は、大人のそれよりもはるかに大きな意味をもっていると言われます。日々の親子間、家族間の会話を通して子どもは様々な知識を得たり、新しい語彙を獲得したりしています。また、まだまだ十分に考えていることを理路整然と言葉にして表現できない小学生の子どもにとって、家族同士で気兼ねなく話せる会話の時間は、コミュニケーション技術を学び取る絶好の時間となります。

 いろいろな仕事で忙しくしているとき、子どもがとりとめもないことを話しかけてくるとうっとうしいこともあるでしょう。また、相手をしている時間自体がないこともあるでしょう。そういうときは「後で」で構いませんが、必ずほんとうに時間を取ってあげてください。会話の時間は子どもに必要なものです。毎日10分、15分程度で構いません。その積み重ねが、1年も経つとお子さんの内面の成長にとって莫大な違いを生み出すのです。

 無論、自分のことに親が興味をもってくれ、話を聞いてくれること自体、親の愛情を感じ取り、ものごとに取り組む意欲を高めるうえで欠かせないことです。その意味においては、受験生活に入ってからこそ、親子の会話の時間はますます重要になってくるのだとお考えください。また、親はもどかしくてもできるだけよい聞き役になってあげてください。毎日楽しい会話の時間があるとないとでは、子どもの内面に大きな違いが生じるものです。

 以上からおわかりいただけると思いますが、親との会話は子どもの知的成長を支え、勉強に向かう意欲を育てる大切な役割を果たします。ぜひ、毎日の家庭生活に親子の楽しい会話の時間を設けましょう。その場合、できるなら勉強の話は少なめにし、楽しい話題をできるだけ提供してあげてください。そのほうが子どもは親を信頼し、尊敬します。また、親の愛情を感じた子どもは、必ず「自分はどうすることを望まれているのか」を考えると言われます。ですから、会話の時間が終わると、自然と子どもは机に向かい始めるのです。

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 当たり前のことを長々書いてしまったかもしれません。ですが、どんなに賢明な親も、わが子が受験生活を始めると、ともすれば学習成果としての成績に目を奪われがちになるものです。学びの基盤を築くための家庭教育こそ親の役割なのだということを思い出し、しっかりとお子さんの成長をサポートしてあげてください。

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カテゴリー: アドバイス, 子育てについて, 家庭での教育