2016 年 5 月 のアーカイブ

夏の講座の会員募集を開始します

2016 年 5 月 30 日 月曜日

 早いもので、夏の講座の会員募集活動を始める時期が近づいてまいりました。夏休みの講座から弊社の教室に通学を検討されているご家庭もおありでしょう。そこで今回は、夏休みの会員募集活動の予定をお伝えしようと思います。

 まずは、中学受験部門(4~6年生)の予定から。現在会員として通学されている児童には、6月上旬に通学校で「夏期講座案内」「申込書」等を配布いたします。授業日に、お子さんにお渡ししますので、よろしくお願いいたします(土曜コース会員の児童には、6月4日の通学日にお渡しします)。内容をよくご確認のうえ、期限までに申し込み手続きをしてください。

 新規に通学を希望されるかたのうち、4・5年生の児童は夏休みの講座に限り、申し込み手続きをされればどなたも受講が可能です。ただし、校舎の収容人員に達した時点で受け付けを締め切らせていただきますのでご注意ください。6年生児童には、「会員選抜試験」(算数と国語)を実施します。この試験に合格され、期限内に所定の手続きをされれば、夏休みの講座に通学していただくことができます。6年生は応用力養成期に入っておりますので、学習の負担が少なくありません。そこで、一定基準の学力を満たしておられるお子さんを預からせていただきます。ご了承をお願いいたします。

 なお、弊社の中学受験部門の夏の講座は、いずれの学年も2種類ご用意しています。4・5年生は夏休み前半に「夏期講座」(14日間)、後半に「夏期集中特訓」(8日間)を実施します。前者は授業形式で単元ごとに受験基礎内容の理解をめざします。後者は、かなり広範囲の内容を演習形式で学びます。新規通学生には、基礎内容をしっかり学べる「夏期講座」のみの参加をお勧めしています。詳しい内容は、資料をお取り寄せのうえご確認ください(本部事務局、通学希望校に電話でご請求ください)。

 6年生は、「中学受験夏期講習」(19日間)と「夏期集中特訓」(8日間)の2講座を実施します。入試まであと半年余りですから、講習の日数も長く、内容的にも高度になっています。夏休み前半に実施する「中学受験夏期講習」では、いずれの教科も入試の全範囲のなかから特に重要な事項をとりあげて学んでいきます。ここでの学習は、入試レベルの学習を始めるうえで欠かせないもので、受験生のみなさんにはぜひ頑張っていただきたいと思います。こちらも詳しくは、資料をお取り寄せのうえご確認ください。

 低学年部門(1~3年生)の夏の講座は、1・2年生は「玉井式国語的算数教室」(5日間)、3年生は弊社のオリジナルカリキュラムに基づく「夏期特別講座」(8日間)を実施する予定です(夏休み中は玉井式の講座をお休みします)。3年生については、来春から受験対策が始まることを考慮し、算数と国語の基礎力育成を意図した講座内容となっています。こちらも、詳しい内容は資料をお取り寄せのうえご確認ください。

 夏の講座の申し込みの受け付けは、6月6日(月)に開始します。直前の6月4日(土)、ホームページに夏の講座の日程や概要、参加方法などについて案内を掲載します。また、6月5日(日)には、広島市、呉市、東広島市のほぼ全域に夏の講座の案内チラシを折り込みます。資料を請求されたかたには、受付開始日の6月6日(月)になったら送付いたします。

 弊社の夏の講座にお子さんを通わせるかどうか、現在検討くださっているご家庭もおありでしょう。中学受験のための学習塾は弊社だけではありません。学習塾それぞれに特徴があり、それぞれのよさがあると思います。ですから、保護者のかたは、「親の教育観・学力観との相性」や「わが子に合う学習塾かどうか」なども考え併せてどの学習塾にするかを判断されることと思います。

 弊社は「子どもの望ましい成長に資する学習指導の実践」という理念を掲げ、昭和42年に創設以来、今日まで一貫した活動を続けてまいりました。「前途ある小学生をお預かりするのだから、合格が得られなければすべてが無になってしまうような指導をすべきではない」と考え、受験での合格をめざすプロセスを活かし、将来の大成に向けた礎を築く指導を心がけています。従って、このような学習塾のカラーをご理解いただくため、どのような媒体を使った広告においても、メッセージ性をもたせるようにしています。

 たとえば、6月5日(日)に折り込み予定のチラシには、次のような文章を掲載することになっています。よろしければ目を通してみてください(チラシが折り込まれない地域のかたは、弊社のHPでも閲覧いただけます)。

20160530

 進学塾であるからには、一人でも多く志望校へ合格できるよう指導に全力を尽くすのは当然です。しかし、それだけではいけないとも思います。合格をめざすのも、結局はよりよい人生を実現するためのものだからです。中学進学後のさらなる成長が期待できるかどうかは、「合格したかどうか」で決まるわけではありません。むしろ、「どのような勉強で受験を迎えたか」がより重要な要素だと思います。

 このように考える私たちは、合格することだけに偏重せず、しっかりとした学びの姿勢や方法を体得するための指導にも心を砕いています。

 このチラシのメッセージによって、そうした私たちの方針を少しでも感じ取っていただけたなら幸いです。よろしければ、ぜひお子さんを預からせてください。

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カテゴリー: お知らせ, 入塾について, 家庭学習研究社の特徴

2016「夏のおかあさんセミナー」を開催します

2016 年 5 月 23 日 月曜日

 「夏のおかあさんセミナー」は、毎年6月に実施している弊社の恒例行事です。昨年までは低学年児童の保護者を対象にしていましたが、今年は1年生から6年生まで、すなわち小学生の保護者全てを対象とする催しに衣替えしました。

 では、当日の話のテーマ・内容についてこれから簡単にご説明しましょう。この催しのテーマは、「子どもを変える夏の成長作戦」となっています。つまり、夏休みを上手に活かし、子どもの成長の場にしようというわけです。夏休み前に開催する催しゆえ、この趣旨は毎年ほぼ変わりません。

 子どもの学力形成のみならず、毎日の行動に活力や集中力をもたせるには何が必要でしょうか。そのおおもととして考えられるのは生活習慣です。毎日のルーチンをてきぱきと自発的にやりこなし、ハツラツとした毎日を過ごしている子どもは、何をするにつけても効率性や実質が伴っています。

 子どもの場合、まだ自分でやるべきことができていないケースもあるでしょう。その典型的なものが、朝の起床ではないでしょうか。毎日のようにおかあさんに起こされ、それも何度も促されてやっと布団から這い出るお子さんはおられませんか?

 一事が万事で、こういうお子さんは何につけ行動面で自立しておらず、親の助けを借りて事なきを得ている可能性が高いものです。学校への通学のない長い夏休みは、朝の起床から夜の就寝まで、1日の様々な活動が計画性や自発性を伴ったものになるよう仕切り直す格好の機会です。

 本催しは、このような節度ある生活習慣を根づかせ、勉強を含めて何事もダラダラやるのではなく、てきぱきと集中してやり遂げることのできる人間に成長させていくための方法をご提案していきます。このような催しの趣旨から、「低学年児童の保護者」や「これから中学受験準備の生活を始める4・5年生児童の保護者」に参考にしていただける内容となっています。

 ただし、高学年部門(4~6年生)の現会員のご家庭で、お子さんの生活や勉強面に「まだ課題が多い」と感じておられるかたにとっても、本催しは夏休みを転換点にしていくための方法を見出すうえで役立つのではないかと思います。興味をおもちになったかたは、ぜひ参加してみてください。

 当日の骨子とおおよその内容をお伝えしましょう。

「子どもを変える夏の成長作戦」 概要

① がんばれる子どもにするための条件

 親は子どもに「勉強をがんばってほしい」と願います。その願いが実現するかどうかのカギを握るのが「生活習慣の自立度」です。なぜなら、身の回りのことを自分でやれるかどうかが、勉強の自発性や実行力を決定する最も大きなファクターだからです。

 このことから、がんばれる子どもにするための第一の条件は「生活習慣を改善することだ」と言ってよいでしょう。そこで、この項ではまず夏休みを契機に子どもの生活を見直すプランをご提案していきます。20160523a

 ①は、低学年部門の企画・運営をしているスタッフが担当しています。弊社の低学年向けイベントや広報誌などを通じて、低学年児童の成長につながる生活や学習について造詣の深い担当者の話は、きっと夏休みの充実や今後の望ましい成長に向けて参考にしていただけるのではないかと思います。

② 中学受験のプロセスが子どもの人生を決める!?

 中学受験は成長途上の小学生の受験です。それは、「どんな受験勉強をするか」が、受かるかどうかのみならず、後々の人生にも多大な影響を及ぼすことを意味するでしょう。

 20160523b大人は受験での合格を子どもに得させたいことから、テストの得点力に気持ちが傾き過ぎる傾向があります。その結果、問題解法スキルを磨いたり知識を記憶したりすることに関心が傾き、子どもの大成という観点に立った勉強がおろそかになっているケースがあります。

 夏休みは、どんな勉強が望ましいかをもう一度振り返り、入試での合格だけでなく、先々の更なる飛躍を視野に入れた勉強法へとシフトしていくチャンスです。この項では、弊社でテキストや問題制作を担当し、さらには指導現場でも活躍するスタッフが、夏休みを起点にして勉強法を改善するための方法をお伝えしてまいります。

③夏の講座を軸にした夏休みプラン

 ①②の話を受け、「この夏休みをどう過ごすか」「この夏休みからの勉強をどのようにすべきか」という観点から、低学年児童向け、高学年児童向けに、それぞれ夏休みの講座を軸にした夏休みのプランをご提案します。

④ 親が変われば子どもの勉強も変わる!

 学習成果を決定する重要なファクターとして、誰もがあげるものの一つが「学習意欲」です。ですから、大概の親は、「もっと意欲を」と願います。しかしながら、「何が子どもの意欲を高めるのか」については、意外と知らないかたが多いようです。これでは親の願いは成就できません。20160523c

 実は、小学生の学習意欲は親次第なのです。では、親の何が子どもに影響するのでしょう。それをわかり易く説明し、子どものやる気を高める親の関わりかたをお伝えしていきます。この夏休みから、子どもの学習意欲を引き出す親になりませんか?

 催しの最後に。親はいつまでもわが子が手元にいるものと思い込みがちです。しかし、わが子が思春期になるともはや親の思い通りにはならなくなるし、大学入学時には親元を離れてしまいます。こうした観点に立ち、親が今わが子にしてやるべきことは何かを共に考えていただきます。

 催しの大まかな構成や内容についてお伝えしました。小学生の保護者ならどなたに参加いただいても構いません。興味をおもちになったら、気軽にお越しください。

★2016「夏のおかあさんセミナー」実施要項

対  象/小1~小6児童の保護者(夏の講座への通学を視野に入れておられるかた)
日  時/6月17日(金)10:30~12:00
会  場/西区民文化センター3F会議室A
   (広島市西区横川新町6-1)※JR横川駅南口すぐ前
参加方法/予約・申し込みは不要。お気軽に。会場の収容人員まで受け付けます。

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2016前期「おかあさんの勉強会」のご案内

2016 年 5 月 16 日 月曜日

 勉強は楽なものではありません。まして受験のための勉強は年齢相応よりも難しい内容を扱っていますし、量的にも結構な負担になるものです。このことは、子どもに受験勉強をさせるうえでの前提として大人がよく理解しておきたいことです。

 おたくではどうでしょう。お子さんは、親の目から見てもやる気に満ち、充実した受験生活を送っておられるでしょうか。そうお伝えすると、「とんでもない。やるべきことが全然できなくて、注意しても逆らってくるし、毎日イライラさせられっぱなしです。もう受験なんてやめさせようかと考えているほどです」とおっしゃるかたがおられるかもしれませんね。実際、受験勉強が佳境に入る6年生の秋に至る前の段階では、多数のご家庭からこうした類の悩みについて相談があります。

 冒頭でお伝えしたように、勉強は楽なものではありません。だから、段々勉強の内容が高度になっていくにつれ、ガンバリが利かなくなっていく子どもが出てきます。

 しかしながら、高学年になると子どももある程度勉強の必要性を理解していますし、親が望んでいるのは何かもわかっています。そこで葛藤が起こるわけです。こうした子どもの気持ちを受け止めてやりながら、いかにして勉強に向き合う気持ちを引き出すか。それが高校や大学への受験と異なる、中学受験生の親だからこそ要請される役割だと言えるでしょう。

 20160516b小学生の子どもは、まだ「何が適切で、何がいけないのか」についての判断が十分にできません。また、今の状態が続くとどういう事態に至るのか、いついつまでにどこまでやっておくべきなのかなど、先を読んで状況を修正していく姿勢も育っていません。ですから、やるべきことが長続きしなかったり、いいかげんなやりかたをしているのに平気でいたり(平気でいるように見えたり)、突然勉強を嫌がり出したりすることもあります。

 しかしながら、生まれながらに勉強に向かない子どもはいません。また、もともとやる気のない子どもだっていません。子どもだって、やる気満々で勉強する自分でありたいし、勉強のできる人間になりたいのです。ただ、小学生までの子どもは自分で問題の在り処を突き止め、解決するすべを知らないのです。

 そこで必要となるのが親のサポートです。ところが、親は親で難しい問題を抱えています。どんなに聡明で賢明な選択をする親でも、わが子の勉強の問題となると冷静な関わりができないのです。ちょっと注意を促すだけのつもりが、気がつくと大喧嘩になったご経験はありませんか? 筆者には意外だったのですが、ある書物によると、「おかあさんと娘さんの喧嘩が一番激しくなりやすく、おかあさんが感情を露わにして激しく叱りつけるケースが少なくない」とか。同性だからでしょうか。

 前置きが長くなりました。今春の「おかあさんの勉強会」は、予定している2回分を「実のある受験生活を実現するために」という一貫したテーマで実施いたします。子どもがやるべきことにきちんと向き合い、しっかりとした学びの生活を送れるよう応援するにあたり、「親は何をどうすればよいか」を共に考えてみようと思います。これから、おおよその意図や内容をかいつまんでお伝えしましょう。

●第1回 ~うまくいかない原因はやる気?能力?それとも…~

 子どもの勉強に不満を抱く親は、「やる気」や「能力」に原因を求めがちです。しかし、「子どもがうまくできないのは、やりかたのスキルが身についていないからだ」と指摘する専門家がいます。そこで第1回は、この考えかたに立ち、問題解決の手がかり足がかりを築く試みをしていきます。

 まずは、「わが子の勉強の問題点」をそれぞれ振り返っていただきます。もしも問題の核心を掌握できたなら、自ずと子どもに足りないスキルが何かもわかってくるでしょう。やりかたさえわかれば、どの子どもも成果を得られるのです。

 わが子に足りないスキルに気づくには、勉強に求められるスキルにはどういうものがあるかも知らねばなりません。そこで、そうしたスキルのリストを提示し、わが子の現状と対照していただきます。

 次の課題は、「わが子にどう働きかけるか」です。子どもの反発や拒否を招く親は、こういう場合に求められるアプローチを間違っているのです。多くの親が犯しがちな間違いとはどういうものでしょうか。ともに振り返りながら、「子どもが言うことを聞かないのはなぜか?」をそれぞれに考えていただきます。

●第2回 ~親の関わり次第で子どもは大きく変わる!~

 子どもの勉強の問題点がどこにあるかを知らなければ、注意したり叱ったりしても子どもはよい方向へ向かいません。また、これまでの親のアプローチの方法のどこがいけなかったのかも押さえておかないと、同じ轍を踏むことになります。前回は、そういうところまで話を進めていきましたが、今回はこうした点を踏まえ、親に求められる効果的なアプローチの方法を考えていきます。

 子どもが親の期待に沿った勉強をしていないとき、多くの親が間違った方法を選択しがちです。それは、大人の力で無理やり言うことを聞かせようとする(プランA)ことです。残念ながらこれでは根本的な解決は得られません。一時的に効果はあっても、すぐに失われます。また、子どもの反発を受けることも多々あるでしょう。そこで、いったん親の要望を取り下げる(プランC)ことを余儀なくされる場合もあるでしょう。

 もちろん、このままでは事態はよい方向へ向かいません。そこで必要になってくるのは、子どもの問題点を指摘して反省を求めるのではなく、子どもとの有機的な関係を築きながら子ども自身に「どんなスキルが不足しているのか」を考えさせる(プランB)アプローチです。

 参加されたおかあさんに、プランBがなぜ効果的かをご理解いただき、このプランでわが子にアプローチする方法を、例をもとに考えていただきます。プランBの実行にあたっては、いくつかのステップが必要です。それをご紹介しながら、子ども自身に「どんなスキルが不足していたのか」に気づかせ、自分から改善していこうとする流れを築くための作戦へと話を進めていきます。

 今春の実施分の企画内容は、ハーバード大学准教授として、心理療法やカウンセリングなどで活躍しておられる心理学者の著作を参考にして練りしました。学校で生じた数々の問題を解決されたノウハウをベースにしています。

 勉強会に興味をおもちになったかた、お子さんの勉強ぶりに少しでも不満や不安を抱いておられるかたは、ぜひ参加ください。なお、本催しの対象者は、4・5年部「週3日コース」会員のおかあさんです。会場は、お子さんの通学校です。実施予定は以下のようになっておりますので、よろしくお願いいたします。

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 小学生までの子どもは、親に反発しているようでも、その一方で「自分をわかってほしい」という願いを強くもっています。うまく勉強をやれない自分も受け入れてほしいのです。子どもとの気持ちを通じさせる会話を心がけたなら、子どもは必ず親の期待に沿おうと行動し始めます。

 本催しが、親子関係の改善と、望ましい学習生活の実現に向けて少しでも役立つことを願っています。おかあさん同士で話のできる催しは他にありません。気持ちを共有することで、きっと元気が出ると思います。

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カテゴリー: 勉強について, 家庭での教育, 行事のお知らせ

わが子に中学受験をさせるのはなぜ?

2016 年 5 月 2 日 月曜日

 今週はGWにつき、弊社の講座は全て休講となっています。そこで、保護者の方々にちょっと考えていただきたいことを話題にとりあげてみようと思います(以下の文章は、以前書いたイベントの資料の一部分に加筆したものです。ご了承ください)。

 このブログをお読みいただいている保護者のほとんどは、お子さんの中学受験を視野に入れておられると思います。そこで、お子さんの中学受験を思い立った理由を振り返ってみていただけないでしょうか。代表的なものを二つあげてみました。どちらかに当てはまりますか?

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 どうでしょう。Aにしろ、Bにしろ、「子どもによりよい人生を」いう親心からくる考えで、どちらも納得できるものだと思います。親としては、こうした構想があって中学受験をさせるのですから、わが子には大いに頑張って結果を残してほしいと期待するのは当然でしょう。

 しかしながら、今日の日本は子どもの教育において難しい局面に突き当たっています。いわゆるキャッチアップの時代(「欧米に追いつき追い越せ」という旗印の下でがんばっていた時代)をとうに終え、国自体が進むべき目標を見失ったまま混とんとしています。

 今の子どもにとっては、AもBもさして勉強のモチベーションになりません。これからお子さんの中学受験を応援される保護者の方々も、ただ漠然と受験させようとしたのでは、「期待したほどがんばってくれない」と言って嘆くような事態に至る可能性は多分にあるでしょう。近年の学力低下の問題も、こうした状況と無関係ではありません。

 そこで今回は、前述のような状況に至った原因を踏まえながら、どうしたら子どもの学びを活性化できるかを考えてみたいと思います。

 ご承知のように、長い間わが国ではAのような考えが受験熱を支えていました。よい学校に入り、高い学歴を手に入れれば、人生の成功者になれる。そういう世の中だったからです。しかし、今やこの考えかたは現実とそぐわなくなっています。いい大学に行っても、よい職が得られるとは限らなくなり、学歴が人生の成功を保障する切り札にはならなくなったのです。そのことを、子ども自身もわかっています。だから、「勉強なんて、やりたくない」のです。

 一方、Bのような考えかたはどうでしょう。今これをお読みの保護者のなかにも、Bのような考えに立っておられるかたは少なくないことでしょう。こういった親の期待はよく理解できます。ですが、この親心をお子さんは理解し、勉強に勤しんでおられるでしょうか。今日の社会では、こういう親の期待に沿った学びもなかなかうまくいきません。どうしてでしょうか。

哲学者の西 (けん)氏は、日本の子どもが学ばなくなった理由を次のように述べておられます。

 第一に、子どもたちはすでに豊かなのだから、勉学によって貧困から脱出するという動機を失った。さらに、高学歴が普通になったことは、受験の努力に対する「見返り」が減少したことを意味する。こうして「受験のための勉学」という目的が解体し、子どもは「なんのため」かがわからないまま、学校に行かなくてはならなくなった。

  さらに、日本社会が「消費社会」化したことも大きく影響している。かつての世界像は「家や社会に貢献する何らかの役割を果たして初めてまともな人間である」という生き方の枠を含んでいた。しかし消費社会の到来はそうした枠を取り払い、「一人ひとりが自分なりの“歓び”を汲み取るために生きる」ことを当然のものとした。

 実際今の子どもたちは、幼いころから自分なりの消費生活を楽しんでいる。快を得ることが当たり前だと思って育つ彼らからすれば、「集団のなかに入ること」および「勉学」は基本的には労苦・ストレスなのであって、それに耐える理由がハッキリしないならば、逃げ出したくなるのは当然だと思う。しかし肝心のその理由(勉学の意味)が、与えられないままなのだ。

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 どうでしょう。Aのような考えかたも、Bのような考えかたも、子どもを勉強させる力になり得ないようです。

 子どもが学びのモチベーションをもちにくい今日ですが、そのいっぽうで高度な学問の必要性はますます高まっています。優れた頭脳の持ち主は、産業社会では強く求められています。勉学の必要性を強く感じておられるおとうさんおかあさんとしては、何としてもわが子にはしっかりと勉強し、高いレベルの学力、知性の持ち主になってほしいと願っておられることでしょう。

 中・高一貫校、ことに私立の中・高一貫校は、そうした意味においてとても魅力のある教育環境を調えています。しかしながら先ほどから申し上げているように、ただがんばれ、がんばれと言うのでは、子どものモチベーションは上がりません。そこで、気がつけば受験する本人の気持ちをさしおいて、無理やり勉強させることになりがちです。

 これでは本末転倒です。受かるか受からないかに関わらず、大人主導の“やらされ勉強”では子どもは将来大成することなど不可能です。なぜなら、ただ知識を頭に押し込んだり、技能を身につけたりしただけの人間は、自分で自分を伸ばすためのすべをもてませんし、新たな局面を自ら打開していく力がありません。こうした勉強で得た学歴が世の中に出てみると通用せず、行き詰まっている人間が今やいっぱいいるのです。同じ轍を踏むべきではありません。

 中・高一貫校で学力不振にあえいでいる生徒さんがいますが、学びの目的も学びの推進力ももちあわせていないことが原因であることが多いのです。それは、とりあえずの合格のために大人主導の勉強をやらされたからかもしれません。あるいは、少子化のあおりで入試合格が得られやすくなり、中途半端な勉強で受かってしまう子どもが増えているからかもしれません。

 では、どうすれば子どもの自律的な学びは実現できるでしょうか。世の中の大きなうねりに抗するのは難しいことなのでしょうか。

 時代は変わっても、子どもの本質は変わりません。知りたいこと、疑問に思ったことがわかったとき、子どもの目が輝くのは今も昔も同じです。そこに活路が見出せるのではないでしょうか。毎日の生活において、親子共々疑問を解決することの楽しさを実感する体験をすることから始めてみませんか?そうしたことの延長に勉強もあるのですから。

 そもそも、勉強の目的は進学のためでもなんでもありません。将来のためという意識も後付けのものであり、知りたいから、疑問を解決したいから勉強するのです。ある学者が書いていましたが、「勉強の真の目的は、今学んでいることのなかにある」のです。知るということの楽しさや醍醐味を味わった子どもは、必ず中学受験の課題にも興味をもちます。算数には、簡単な計算式を考えることで疑問を氷解させる喜びが数多く味わえます。理科や社会の勉強には、世の中の現在や過去、自然界の不思議に触れる楽しい内容がふんだんにあります。

 そして、これはこのブログで何度もお伝えしましたが、中学受験準備期の小学生のものごとに取り組む意欲は、「親の期待に沿った人間になりたい」という願望を背景にしています。まだ人生経験の浅い小学生の子どもは、将来の構想や目標と結びつけて中学受験をとらえるには幼過ぎるのです。それよりも、親が自分に何を期待しているのかを知り、それに応えたいという気持ちをもつことが重要なのです。無論、その期待が子どもにとって納得のいく筋の通ったものであることが重要なのは言うまでもありません。

 このような段階にある子どもに対して、親は何でも知ろうとする姿勢を尊重し、一緒に調べたり考えたりすることが求められるでしょう。また、自分から率先して取り組むことを奨励し、実行したときには大いに喜びほめる。テストでも、それに備えた努力こそ大切なのだということを伝え、頑張りをいちばんの評価軸に据える姿勢を一貫させる。おとうさんやおかあさんがこういうことを実践されれば、おそらくお子さんは目先の楽しさにかまけるような人間にはならないのではないでしょうか。

 中学受験の準備期間は、子どもの人間的な特性が定まっていく時期にあたります。だからこそ、受験の結果にこだわるのではなく、子どもが学びに真摯に向かう姿勢を培うことができるよう働きかけるべきだと思います。今は中学受験から大学受験まで、かつてのような厳しい競争はありません。そのいっぽう、学歴や学校歴がいくら立派でも、真の実力がなければ自分を通用させることができない社会がやってきています。「問題は人間の中身なのだ」ということを、忘れないようにしたいものです。親がそういう価値観に基づいて接すれば、そのほうが追い立てられて受験勉強をするよりもよい結果が得られるものです。そして、何よりも人間としてまっとうな中身を携えることができるのです。

 今から入試まで、親として心の揺れる様々な状況が訪れると思いますが、根本のところがきちんと定まっていれば、必ず子どもは親の期待通りに成長していくものです。ぜひ、親として軸のぶれない見守りと応援をお願いしたいと思います。

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