2016 年 11 月 のアーカイブ

イベント「人生を決める私学の6年間」実施報告

2016 年 11 月 28 日 月曜日

 20161128a今回は、11月18日(金)に広島ガーデンパレスにて実施した「人生を決める私学の6年間」というイベントについてお伝えします。この催しは、私学教育の特性やよさについて、現役の私学校長自らに語っていただこうという趣旨で開催したものです。話者として、修道の田原俊典校長と広島女学院の星野晴夫校長をお招きしました。

 当日は160名あまり収容の会場があらかた埋まり、ちょうどよい雰囲気で催しを行うことができました。せっかくお越しくださった校長先生がたをがっかりさせる心配がなくなり、とりあえずほっとしたしだいです。お忙しいなか参加いただきました保護者のみなさまには、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 催しは3部構成で実施しました。その概要は以下の通りです。

☆第1部 中高6か年一貫教育がもたらすもの
 思春期から青年前期に移行する十代半ばは、人間としての枠組みができあがる重要な時期にあたります。そこに高校受験があるかないかは、いわゆる「青春時代」の過ごしかたを大きく変えることになるでしょう。私立一貫校は、高校受験のない学校環境をどう活かした教育を実践しておられるのでしょうか。

☆第2部 私学教育とは何か
 私学には建学時から掲げられ受け継がれた教育の理想があります。創設者が大切に育んだ教育理念があります。それらが学校の独自性や味を涵養するのです。たとえば、修道にはリーダーを育む土壌があります。広島女学院では、明治の創設時から英語教育が熱心に行われていますが、近年は国からSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)に認定され、多様化する社会に適応できる人間の育成に努めておられます。こうした学校の特色について校長先生に語っていただきます。

☆第3部 私学のココが魅力です!
 学校説明会など、学校主催の催しではなかなか聞けない情報があります。また、そういう情報は保護者からは質問しにくいことが多いものです。たとえば、「入学試験に受かる学力以外に、入学前に培っておきたい要素にどのようなものがあるか」「入学後に学力不振に陥ったとき、フォローはあるのか。あるとしたらどのようなものか」などです。こうした、「聞きたいけれども聞きにくい」質問にお答えいただき、修道と広島女学院の私学としての魅力の一端を感じ取っていただくために設けたコーナーです。

 以上の全部をご説明すると大変長くなってしまいます。そこで、このブログでは第一部の「中高6か年一貫教育がもたらすもの」の内容のみ、かいつまんでお伝えしようと思います。

 では、第1部で先にお話しくださった修道の田原校長のお話からご紹介しましょう。田原校長は、まずは「人生を決める私学の6年間」という催しタイトルについて言及され、「私学の6年間で人生は決まりませんよ」と、おっしゃいました。のっけから企画者である筆者はたしなめられたわけですが、これは校長独特のユーモアと謙遜の表れであると解釈し、ありがたく拝聴しました。修道で学ぶ6年間は、「人生を変える」と言っても大袈裟でない、多くの収穫をもたらしてくれる貴重な時間であると筆者は確信しています。

 さて、第1部は「6か年一貫教育」という環境を私学はどう活かしておられるのかという点にスポットを当てたものです。田原校長は、「最近は、公立学校も6か年一貫教育を導入するようになったが、私学の教育を形だけ真似たに過ぎない」とおっしゃいました。どういうことかというと、たとえば修道ではOB教員が多数いて、学校愛に基づいた教育活動を、6年間を通して行っておられます。異動はありません。公立学校では、たとえ6か年一貫教育を標榜しても教員は数年おきに変わります。私学と公立学校とは、そこが根本的に違うのだと強調されていました。

 20161128a6年間の途中には思春期があります。思春期というのは大変な時期です。それまで親を絶対視していた子どもも、「親も普通の人間だ」と悟ってきます。自分の外見を気にするようになり、毎日鏡を見るようになります。とても微妙な時期なのです。田原校長は、心理学者の河合隼雄先生が思春期の子どもを“さなぎ”にたとえておられることを紹介され、そのたとえは、「さなぎは羽化をじっと待ってやらねばならない。辛抱強く成長を待つことが必要で、徒(いたずら)にいじってはいけないものだ」ということを意味するのだと述べておられました。

 修道で伸び伸びと生活する6年間は、高校受験がないからこそ実現できるものです。この環境をうまく活かすことで、修道生は修道生たる自覚や特徴を身につけることができるのでしょう。そこには、ずっと修道の教師で居続ける、教育に愛情と情熱を注ぐ先生がたがおられます。それが私学だからこその師弟関係を生み出し、今日高い評価を得ている「修道魂」を携えた卒業生が多数育っているのだと拝察いたしました。

 20161128%ef%bd%82さて、次は広島女学院の星野校長にお話しいただきました。星野校長は、まず「教育とは人格の交わりである」ということをお話しになりました。それは、教育というものはじっくりと人間関係を築いていくことで成り立つという考えに基づきます。星野校長は、「中高6か年を通して、教師は生徒の発達段階に応じて生徒と接するなかで、しっかりとした人間関係を築くことが重要だ」ということを述べておられました。

 このような関係があってこそ、生徒は授業を大切にするようになります。そうして、やがて一生続く師弟関係が成り立っていきます。また、卒業生が再び保護者となって学校と新たな関係を築くようになります。星野校長は、明治以来連綿と受け継がれている広島女学院の6か年一貫教育の特色をこのように述べられました。

 6年間あるからこそ、建学の精神や教育理念も生徒に浸透します。「あなたの隣人とどう付き合っていくか」という、キリスト教に基づく創設者の考えも、しだいに生徒自身のものになっていきます。このような星野校長のお話を通して、キリスト教のミッションスクールという教育環境の特色やよさを多くの保護者が感じ取られたのではないかと思います。

 第1部の内容紹介は以上です。なお、私学教育についてお伝えする催しをなぜ弊社が実施するのかについて一言申し上げておきます。先の見えない21世紀という難しい時代をこれから生き抜く世代の教育は、これまでに増して重要性を帯びています。「わが子にはどんな教育環境が望ましいか」という問いに確かな答えを見出せない保護者も多数おられることでしょう。私学6か年一貫校は、その答えを有する数少ない存在の一つだと弊社は考えています。そうした意味で、私学教育のよさを実感していただける催しを実施しているしだいです。

 20161128b最後に、ただ校長先生がたにテーマを提示し、お話しいただくだけでは弊社の催しになりません。第3部の質問コーナーにおいては、弊社から校長先生がたに質問をし、それへの返答をいただくなかで、私学の教育環境で伸び伸びと成長を遂げるために何が必要かを保護者に感じ取っていただきたいと思いました。つまり、質問の内容と校長先生の言葉を通じて、弊社が受験で大切にすべきものが何であると考えているのかを発信したつもりです。

 ちなみに質問は次のようなものでした。

1.入学試験で合格点をとれる学力を養うことのほかに、修道・広島女学院に進学するにあたってどんな準備や備えが必要でしょうか。
2.何事も「はじめが肝心」と言います。修道・広島女学院に入学した当初、生徒がまずもって大切にしておくべきことはどんなことでしょうか。
3.入学した時点では目立たなかった生徒が、あるときからぐんぐん伸びる。そういうことは実際にあるでしょうか。あったらぜひ教えてください。
4.入学当初はどの生徒も希望に燃えていることでしょう。しかし、なかには成績が低迷して苦労を強いられる生徒もいるのではないかと思います。そういう生徒に何らかのバックアップをされているのでしょうか。
5.6か年一貫校の魅力の一つは、部活に代表されるように、大人と子どもほど外見も年齢も異なる中学生と高校生が互いに交流する場があることだと思います。そのことについての意義をお聞かせください。
6.修道や広島女学院を卒業し、社会に出た後すばらしい活躍をされている生徒さんに共通する特徴はありますか? 勉学の状況との関連も含めてお答えください。

 ざっとこのような質問を用意しましたが、時間の関係で1~4までの質問にお答えいただきました。田原校長と星野校長は、掛け合いで互いの考えを交換しながら、ほかでは滅多に聞けない率直かつユーモアと誠意溢れる話をしてくださいました。おかげでとても楽しい時間になりました。この時間こそ、弊社が保護者に提供したかったもので、「もう少し質問時間が欲しかった」と思ったくらいです。終了後は、楽しいお話の余韻をたっぷり味わうことができました。

 校長先生がたの答えがどのようなものだったか、聞きたいと思われたでしょうか。文字数の関係もあり、残念ですが今回は割愛させていただきます(申し訳ありません)。当日お越しになった保護者の方々にとって、お二人の校長先生のお話はすばらしいプレゼントになったものと確信しています。

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カテゴリー: 中学受験, 行事レポート

子どもの「叱り方」について考えてみませんか?

2016 年 11 月 21 日 月曜日

 先日のブログ記事で、ご褒美を与えて子どもを頑張らせることについて書きました。今回は、これと関連して、わが子を「叱る」ことについて少し考えてみたいと思います。

 多くの育児本や雑誌などでは、「ほめる」ことが大きく取り上げられます。「できることなら、ほめて育てたい」というのは多くのお母さん方の望みでしょう。ただし、「ほめるだけでは・・・」というのも、多くのお母さん方が実感されていることではないでしょうか。そこで必要になってくるのが「叱る」ことです。
 「叱る」ことは、大きなエネルギーを必要としますし、場合によっては親子がぶつかり合うことにもなりますから抵抗をもたれる方も少なくありません。それでも、危険な行為をしたり他の子を傷つけたりしたときなど、「わが子を叱らねばならないとき」は、どの家庭にでもあるものです。こうしたとき、「ここで叱っておかないと」と頭ではわかっていても、つい叱らずに済ませてしまうということはないでしょうか。逆に、最初は軽く諭すつもりだったのに、一度叱り始めると興奮を抑えられずについ言い過ぎてしまうようなことはないでしょうか。

 子どもが良くないことをした際、何も注意することなくそのままやり過ごしてしまうのは、決して望ましい対応ではありません。そうした状態が続くと、子どもは「何が正しくて、何が正しくないのか」という判断基準を身につけることができないからです。
 逆に、叱る側が感情を抑えられず怒りをそのままぶつけてしまうのも、子どもの情緒面の発育に重大な影響を与えます。親から激しい怒りの感情をぶつけられることが重なると、子どもの情緒は不安定になりがちで、周囲への配慮や思いやりの心、健全なコミュニケーション能力に問題を抱えるようになるといわれます。
 つまり、わが子を叱るべき場面において、何も言わないことと感情的になってしまうことは、どちらもきちんと「叱った」ことにはならないのです。叱るのは、わが子に対する親としての深い思いがあるからこそ。その思いをしっかり伝える方法のひとつとして、ぜひ「適切な叱り方」を身につけていただきたいと思います。

 では、どんな「叱り方」が望ましいのでしょうか。いくつかのポイントを挙げながら考えてみましょう。

① 子どもの言い分を聞き、頭ごなしに子どもを否定しない
② くどくど叱らずに短時間で叱る
③ 問題の原因となったことだけを叱り、余計なことは叱らない
④ 他者と比較して叱らない
⑤ 感情的にならず、冷静に叱る

 いずれも大切なポイントですから、似た内容を育児書などで目にしたことがあるかもしれません。ただし、知識として知っていることと、実際の場面で実行できるかどうかは別のことです。親も一人の人間ですから、いつも冷静にこれらを頭に置いておけるわけではありません。今一度、普段の叱り方を振り返って点検してみてください。

 特に⑤には注意したいところです。先ほども書いたように、親の怒りの感情を一方的にぶつけるような叱り方は、子どもに良くない影響を与えてしまいます。叱る側にしてみれば、大きな声で怒鳴りつける方が「しっかり叱った」という気分になるもの。ところが、子どもにとっては、感情的な叱り文句はほとんど耳に入らず、「お母さん(お父さん)が何かに怒ってた」という記憶しか残りません。叱るときには、子どもに一つひとつの言葉を理解させるつもりで、冷静かつ毅然とした態度と口調で伝えましょう。
 もし自分がちょっと興奮しているなと感じたら、叱っている途中でも「ちょっと待ってて」と伝えて別の部屋やベランダなどで深呼吸をしてはいかがでしょうか。そして少し気持ちが落ち着いてから、また子どもの前に戻れば大丈夫です。自分の精神状態を自分自身で感じ取れるように、叱っているときこそ冷静さを失くさないことが大切です。

 もしできれば、普段の何気ない団欒の時間にでも、お子さんに「お母さん(お父さん)の叱り方って、どう思う?」などと問い掛けてみてもいいのではないでしょうか。これから本格的な思春期を迎えるとそんな言葉掛けにも素直に答えてくれなくなる時期がやってきますが、今のうちなら「あの時の叱り方は気分が悪かったよ」「叱られたときは悲しかったけど、後から振り返って反省した」などと率直な感想が聞けるかもしれません。そして、その言葉を親の側も素直に受け止めて、次の機会にはそれも活かした叱り方ができるといいですね。

 ほめることと叱ることはどちらも重要であり、それぞれが互いの教育的効果を高めあう関係にあります。普段ほめているからこそ、いざという時の叱る言葉に重みが生まれますし、叱るべき時に毅然と叱れているからこそ、普段のほめ言葉に大きな効果をもたらします。上手にほめることが大切なのはもちろんですが、それと同じく上手に叱ることができるのも、親にとっては非常に重要なスキルなのです。「ほめ上手・叱り上手」なお母さん・お父さんを目指して頑張ってください!

(butsuen)

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴, 小学1~3年生向け

ブログが満8歳を迎えました

2016 年 11 月 14 日 月曜日

 2008年11月14日に始めたこのブログですが、気がつけば丸8年が経過していました。記事数は本日で602回に達し、閲覧数は127万ビューを超えました。開始当初は、「いつまで続けるか」など全く念頭にありませんでした。拙文を読んでくださった方々には感謝の言葉しかありません。

 本ブログの特徴の一つは「文章が長い」ということです。これは、受験生の保護者のみなさまに「ある程度専門的な知見を背景に、学力形成や家庭教育のありかたに関する情報をご提供したい」という意図があるからです。いささか身の丈に合わぬ考えではありますが、「このようなプランを実行できるのは弊社しかない」という自負もありました。ただし、日常の仕事の合間に書くには負担が大きく、「そろそろ閉じようか」と何度も迷いながら今日のこの日に至りました。

 学習塾が、本業の指導をさておいて、子どもの発達や家庭教育に関する情報を発信するのはおこがましいことです。しかし、「子どもの望ましい成長という観点を見失わないこと、しつけの大切な仕上げ期であることを忘れないことが、中学受験の成否を決める、最も大切なことなのだ」と筆者は今でも確信しています。そこから逸脱した受験は、子どものためにも親のためにもなりません。このような考えに基づいてブログの記事を書いてきましたが、「始まりがあれば終わりもある」のが世の常です。数年経った頃から「そろそろ終わりにしようか」という思いが次第に頭をよぎるようになりました。

 そのいっぽう、2~3年前から筆者よりもずっと若いスタッフが執筆に加わってくれています。それなのに、ここでブログを閉じるのは筆者の我儘かもしれません。あれこれ思案した結果、当分は若い力も借りながらこのブログを継続することにいたしました。文章を書くという作業は、頭を鍛えることにもなります。慣れるまでは負担が伴いますが、それで得るものも多々あると思います。若いスタッフの成長にも大いにつながるでしょう。読者のみなさま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 家庭学習研究社は、昭和42年に設立された中学受験専門塾です。ただし、もともと経営者が通信添削の会社を興すつもりだったという経緯があり、学習塾としては風変わりな呼称のまま今日に至っています(もっと時代を遡ると、東広島市で起こした学習塾が出発点となります)。通信添削の実績はほとんどなく、創業まもなくして中学受験生のための模擬試験を主催するようになりました。それが中学受験専門塾になるきっかけでした。

 現在のような学習塾の形態になったのは、模擬試験に参加された保護者から「指導もしてほしい」と要請され、夏休みの講習を実施したのがきっかけだったと経営者から聞いています。創業時のことを筆者は知りませんが、当初は6年生の1年間で受験対策を完成させる形であったのが、受験ブームの高まりや、合格を巡る競争の激化に歩調を合わせ、5年部設立(昭和40年代半ば)、4年部設立(昭和60年)といったステップを踏むことになり、さらには低学年部門を設立(平成11年)して今のような陣容になりました。現会員児童の保護者のなかには、こうした変遷の途中で弊社の教室に通学されたかたもたくさんおられることでしょう。

 20161114筆者が入社した頃、校舎は三篠校のみであり、「週3日コース」だけでも平均30名以上で編成されたクラスが、6年生だけで男女それぞれ9~10クラス、日曜コース(現土曜コース)も男女数クラスずつありました。入れるだけ受験生を詰め込んだ狭い教室は、子どもたちの熱気と相まってアグレッシブな雰囲気が漂っていたことを記憶しています。

 日曜コースには、「家庭学習研究社」の呼称を正統に受け継ぐが如く、「自ら学び、自ら力をつける」という気概に燃えた受験生が多数いました。今と比べると、随分大人っぽい子ども達だったように思います。当時、6年部の日曜コースに所属していた児童が、「週3日コースに通ったらバカになる」と言っていたという話を耳にしたことがありますが、それが生意気や強がりとは思えないほどしっかりとした学びの姿勢をもった子どもたちがたくさんいました。

 近年は、児童数の大幅な減少、中学受験熱の後退、公立一貫校の設立など、広島の中学受験界の様相は随分変わってきています(首都圏など大都市圏では、相変わらず中学受験に活気がありますが)。かつて、修道中学校の受験者は千八百数十名、広島女学院中学校の受験者は千五百に迫る時期がありましたが、現在は修道が九百~千名、広島女学院が七~八百名前後と、随分入学への門は広くなっています。

 中学受験を志向する児童が減ったこと、児童数が全体的に減少したということは、無理をしなくても志望校合格の夢が実現し易くなったということを意味するでしょう。しかしながら、志望校へ入学できたらあとは自動的に望む学力が身につくわけではなく、人間としての器が大きくなるわけでもありません。

 むしろ、学習の習慣づけや、自分で段取りをつけて学ぶ姿勢、自分に合った学習法などがしっかりと定まらないまま中学に入学すると、飛躍を遂げるはずの中学高校の6年間が苦しみの連続となるおそれも生じてきます。中高一貫校での6年間を生かすも殺すも、自ら学ぶ姿勢を大切にする学習生活を送るかどうかにかかっています。そのことを保護者のみなさまにご理解いただき、「合格のための受験」だけでなく、「将来の飛躍に向けた礎を築く受験」となるようお子さんを見守りバックアップしていただきたいと切に念じる次第です。

 ご存知のように少子化は大学受験にも多大な影響を及ぼしています。私立大学の半数近くは常に定員割れの危機にあり、「優秀な学生を採る」ことよりも「いかにして定数を確保するか」に汲々としています。難関とされていた大学も、一部の特別なステイタスを築いている大学以外はレベルダウンを余儀なくされています。したがって、本来築いておくべき学びの姿勢や到達しておきたい学力に至らなくても受かるようになりつつあります。

 以上のように、学歴を得るための困難さは軽減されつつありますが、問題は社会に出てからです。今日のグローバル社会は、一国の経済が国内で完結することを不可能にし、大企業のほとんどは世界中の国々の経済動向をにらみながら、生き残りをかけて鎬を削るぬ難しい時代が到来しています。大企業といえども、5年10年先が見通せない厳しい状況にあり、そうした社会に参入する若者にとって学歴はさほど頼りになるものではなくなっています。それよりも、本物の学力や創造性、判断力、行動力、決断力、協調性、リーダーシップなど、高いレベルの総合的な知性が求められています。

 これらの能力を育むうえで貴重な自己習練の場を与えてくれるのが、中学受験のプロセスにおける学習生活だと筆者は思います。大人の指導やアドバイスを受けながらも、自分で学ぶ姿勢を少しずつ培い、段々と自分の現状を振り返りながらより望ましい取り組みのできる人間へと成長していく。そういう流れで受験を迎えれば、どのお子さんも中学、高校、大学でより一層学びの姿勢を磨き、高いレベルの知性を身につけた人間へと成長していくことができるでしょう。

 私たち家庭学習研究社は、微力ながら中学受験を志す子どもたちの将来の大成を願って指導に当たらせていただきます。子どもの将来に確かな布石を打つ中学受験の実現に向けて、保護者のみなさまと共に子どもたちを応援してまいります。今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

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カテゴリー: ごあいさつ, 家庭学習研究社の歴史

「入会ガイダンス」にぜひお越しください

2016 年 11 月 7 日 月曜日

 本日(11月7日)より、2017年度「前期講座」および、2016年度の「冬期講座」の会員募集を開始いたします。2017年度の前期講座は、5・6年部は2月下旬に、4年部は3月上旬に開講予定です。

 例年この時期に合わせ、弊社の各校で「入会ガイダンス」という呼称の催しを開催しています(呉校と東広島校では、個別対応型の「中学受験ガイダンス」という呼称の催しを実施しています)。これからお子さんが受験勉強を始めるご家庭、そのための塾選びを検討しておられるご家庭におかれては、ぜひこの催しに参加くださいますようご案内申し上げます。

  この催しは、受験に対する弊社の考えや学習指導の方針などについてお伝えすることを目的とします。したがって、入会を直接勧誘するようなことは一切ありません。情報収集の場としてご利用いただいて結構です。どうぞお気軽に参加ください(各校舎のガイダンスの日程は、この後お伝えします)。なかには、まだお子さんの受験について迷っておられる保護者もおありでしょう。 当日は、各校舎長が中学受験の意義についてもお話しいたします。そうした情報も踏まえて受験を検討されてはいかがでしょうか。
 

 家庭学習研究社は、昭和42年に設立以来一貫した方針で中学受験生の学習指導にあたってきました。その方針の核にあるのは、「子どもの望ましい成長に資する学習指導を実践する」という考えです。

 合格のことのみを念頭に置くと、ともすれば暗記や演習に偏った知識注入型の指導や勉強になりがちです。このような受験対策は、「受からなかったら何も残らない」という結果になるだけでなく、「間違った勉強法が染み付く」「先々の“伸びしろ”が奪われる」「勉強嫌いになる」などの弊害をもたらす危険性が多々あります。

 一方、勉強の取り組みかたさえ間違えなければ、将来の飛躍に向けた足がかりを築く貴重な自己習練の場にすることもできるのです。弊社は、中学受験をめざして学ぶプロセスの価値と重要性に鑑み、「どういう勉強で合格をめざせば、子どもたちの将来に布石を打てるか」ということを軸に据え、独自の考えや方法論に立って子どもたちの受験合格の夢が達成できるよう応援しています。

 ここで、私たちが見出した中学受験の価値についてお伝えしましょう。以下は、「入会ガイダンス」で配布する資料にも掲載している文章です。

  <中学受験の価値について、私たち家庭学習研究社はこのように考えます>

1.学問に向いた頭脳の持ち主になれる
 頭の柔らかい小学生の受験勉強は、「頭脳開発」という観点からも大きな意義が見出せます。小学生にとってはやや高度な内容の学習に長期間取り組むことで、学問に適した頭脳が形成されるのです。たとえば算数。機械的暗記や、公式の適用で答えを引き出すのではなく、子ども自らが課題の意味を理解し、解決に向けた突破口を検証し、簡単な計算式で答えを導き出すことを繰り返します。これが子どもの頭脳を鍛え、高い次元の学問を修める際に求められる論理的思考力の土台を築いてくれます。

2.自己管理に基づく学習姿勢が身につく
 同じ入試の関門を突破した子どもなのに、中学進学後の成績は様々。何が明暗を分けるのでしょうか。たとえば、授業前の予習や授業後の復習、宿題の取り組みなど、やるべきことに優先順位をつけ、てきぱきとやりこなせるかどうか。これらは、「自己管理能力」「段取り力」などと言われますが、中学受験のプロセスを上手に活かせば、どの子どもも身につけることが可能です。大人の指示や命令によるやらされ勉強で受かった子どもとの違いは、"中学進学後“の学習で明らかになるのです。

3.確かな学習の習慣が身につく。
 勉強すべき時間になったのに体が一向に動いてくれない。そんな子どもが増えています。問題の核心はやる気や実行力でしょうか。いいえ、実は「習慣」の問題なのです。時間が来たら体が自然と机に向かう。習慣化がこのレベルに達すれば、誰でも勉強が苦にならなくなるのです。中学受験は長期間に渡る取り組みですから、学習の習慣づけを図る格好の場になります。学習が習慣になった子どもは、自ずと勉強の面白味にも気づき、やがて高いレベルの学習意欲をもった人間に成長していきます。20161107

 私立や国立の一貫校で学力を大きく伸ばしている子どもの共通点は、「自分で自分を伸ばしていく姿勢を築いている」というところにあります。このような姿勢は、中学校に入ってから築けるのではなく、その前の受験生活でこそ備えておくべきものです。そこをきちんと押さえた受験生活を送れば、どの中学校に進学することになっても大丈夫です。進度が速く、勉強のレベルも高い私学などにおいては、「学ぶすべ」や「自己管理の姿勢」の足りない生徒は苦労を強いられます。「私立一貫校の学習環境とはどういうものか」をよく理解したうえで、受験勉強のありかたを考えるのが私たち大人の役割だと弊社は考えています。

 合格実績については、当ホームページでお確かめください。毎年安定した入試結果を得ています。

 よく、「どの校舎で学校別に何人受かっているのですか」という質問を受けますが、男女ともほぼ毎年お預かりしたお子さんの数に比例した合格実績をあげていますのでご安心ください。

20161107

 呉校と東広島校では、「中学受験ガイダンス」という呼称で、個別対応型の催しを実施します。校舎にお電話いただいたら、ご都合を確認のうえ、ご来校いただく日時を決定します。お一人につき、約30分の時間枠の中で、ご相談やお知りになりたいことにお答えします。

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カテゴリー: 行事のお知らせ