2018 年 5 月 のアーカイブ

夏休み講座・6月の催しのご案内

2018 年 5 月 28 日 月曜日

 もうすぐ6月ですね。例年、弊社では6月上旬に夏休みの講座(小1~小6対象)の募集活動を開始します。今年も、6月2日(予定)にHPで募集の告知をするほか、6月3日(日)には広島市のほぼ全域と安芸郡、廿日市市、呉市、東広島市などで夏の講座の案内チラシを折り込む予定です。

 そして、その直後である4日(月)から講座の参加申込受付を開始します。夏の講座は申込順に受け付けますが、6年生の新規通学希望者のみ、「会員選抜試験」を受けていただく必要があります。

 また、6月には6年部会員の親子を対象とした私学紹介イベント「私学がきみを呼んでいる!」を開催します。さらに、4・5年部会員のおかあさんを対象とした「おかあさんの勉強会」という催しも予定されています。

 今回は、これらについて駆け足ではありますが、ご紹介、ご案内させていただきます。現在会員として通学いただいているご家庭、これから入会(夏の講座への参加)を検討しておられるご家庭の保護者におかれては、ぜひ以下の記事をご一読くださいますようお願い申し上げます。

①夏休み講座 小1~小6対象

 
 「玉井式国語的算数教室」は、年長児、小学校低~中学年の子どもたちの才能開発で注目を集める講座です。この講座は、アニメーションを活用した学習である点が大きな特徴ですが、具体的状況をもとに考えることができるため、「よくわかる」と評判です。また、児童期前半までの子どもは、文字言語よりも音声言語のほうが理解しやすいため、この年齢期ならではの学習効果を引き出しています。図形や速さなどの単元で求められるセンスは、児童期中盤までの学習や体験で決まると言われていますが、玉井式の出身者はこうした単元に強いことも実証されています。なお、「国語的算数」という造語の意味ですが、「長文を読み通す力を養える算数教室」という意味です。年間を通して通学されるとおわかりいただけますが、学習の内容に、読む力を養うための工夫が凝らされており、それが講座の呼称に反映されています。弊社では、小学1・2年生を対象とした玉井式の夏休み講座(全5日間)をすべての校舎で実施する予定です。現会員かどうかを問わず、お申込いただいたならどなたにも参加いただけます(校舎・クラスの定員まで)。

 弊社の通常講座の3年部には、オリジナル講座「ジュニアスクール」と、玉井式国語的算数教室とがありますが、夏休みにはオリジナル講座をもとに夏休み専用カリキュラムを組んだ「夏期特別講座」(全8日間)を実施する予定です。この講座は、中学受験対策の前提となる算数・国語の基礎学力の確認と定着を意図するものです。この講座でお子さんが楽しく最後まで学べたなら、中学受験に向けた勉強へと発展していくことが十分にできることでしょう。講座での学習内容については、長年培ったノウハウがありますからご安心ください。一方的な説明に終始したり、ただ問題を解くだけの授業ではこの年齢期の子どもの目は輝きません。「ジュニアスクール」の授業は、作業を多く採り入れた楽しい内容が評判です。ぜひ一度体験してみてください。こちらも、現会員以外のかたも含め、お申込いただいたかた全員に参加いただけます(校舎・クラスの定員まで)。

 2月~7月までに実施した「前期講座」のカリキュラムを引き継ぎ、入試に備えた基礎学力育成のための指導をさらに先へと進めていきます。新規通学のかたは「ついていけるか」と心配されるかもしれませんが、その心配は無用です。まずは授業をしっかりと聴き、家庭で手順に従って復習する流れを繰り返しますので、すぐになじむことができるでしょう。受験の基礎内容には、わかること、知ることの楽しさを味わえる内容がたっぷりとに詰まっています。夏の講座を通じて、お子さんの新たな可能性を感じとっていただけることでしょう。講座の日程ですが、4・5年部とも7月26日(木)に開講し、お盆前の8月10日(金)に閉講します(全14日間)。新規に通学を希望されるかたは、夏休みの講座に限り、「会員選抜試験」を受けなくても講座に参加いただけます。講座の期間中に実施するテストの成績が一定の水準に達していたら、9月に開講する「後期講座」への入会資格を得ることができます。

 夏休み前までの「前期講座」と、「後期講座」(9月~入試直前)の間に位置する独立した講座です。夏休み期間内に入試全範囲の学習を完結することから、4・5年部のような「夏期講座」という呼称を用いず、「中学受験夏期講習」という講座名を掲げています。来年1月に中学入試を控えた6年生児童が、入試に向けた基礎力を完成させることを目的とします。夏休み開始直後の7月21日(土)に開講し、お盆前の8月10日(金)に終了します(全18日間)。大変内容の濃い学習をしていくため、これまでの学習が不十分なお子さんには負担の大きい講座です。したがって、この夏休みから入会を希望されるかたには「会員選抜試験」を受けていただきます。まだ入試問題を扱うには早い時期ですが、半年後の中学入試本番を視野に入れ、入試問題に挑戦できる学力への橋渡しをする大変重要な講座です。

※このほか、4・5・6年部ともに、お盆明けから「夏期集中特訓」という短期講座が予定されています。短期間で広い範囲の学習を、演習形式の取り組みでレベルアップさせる高密度な講座ですので、かなりの負担が伴います。したがって、いずれの学年も単独で受講されるのではなく、夏休み前半の講座と抱き合わせで受講されることをお勧めしています。新規通学のかたには、「夏期講座」「中学受験夏期講習」のみの受講もお勧めです。

 

②「私学がきみを呼んでいる!」 6年部会員児童・保護者対象

 毎年6月に実施している恒例の私学紹介イベントです。中学入試に備えて勉強をしている6年生児童にとって、6月と言えば蒸し暑くなる時期であることと相まって、中だるみが懸念される時期です。そんな折、広島の代表的な私学(男女各4校)をご紹介する大がかりなイベントを実施すれば、受験対策の中だるみを防ぐだけでなく、受験勉強のギアがもう一段階上がるのではないでしょうか。親子で感想を述べ合い、志望校の絞り込みや受験生としての意識向上へとつなげていくため、保護者同伴での参加をお願いしています。

 実施日は6月17日(日)で、午前が男子の部、午後が女子の部となっています。男子の部の参加校は、広島学院、修道、広島城北、広島なぎさの4校です。女子の部の参加校は、ノートルダム清心、広島女学院、安田女子、広島なぎさの4校です。

 プログラムはここ数年固定され、各私学の先生がたも自校の生徒(中3生各2名)さんとの打ち合わせによる準備がし易くなったせいか、気の利いたコメントや受験生への励まし、受験勉強のコツなどの説明が増え、よりクオリティの高いイベントになっているように思います。弊社は、広島の主要私学に最も多くの生徒さんを送り出している進学塾です。このアドバンテージを活かし、お招きする私学生はほぼ全員が弊社の卒業生です。そのため、自分がしてきた勉強に基づくアドバイスや、受験までの体験談が受験生にとっても一層役立ちますから、そういった意味においても万障繰り合わせて家族そろっての参加をお勧めしたい催しです。

 実施の案内状および要項はすでに会員家庭にお配りしています。今一度手に取ってお確かめのうえ、ぜひこの催しへの参加をご検討いただくようお願い申し上げます。

 

③「おかあさんの勉強会」 4・5年部会員のおかあさん対象

 4・5年生と言えば、まだしつけの終わっていない段階の子どもです。受験生とは名ばかりで、受験に対する意識も低く、親の期待に沿った勉強とは程遠い状態のお子さんが少なくありません。

 弊社ではこのような状況を踏まえ、4・5年部においては、できるだけ勉強の楽しさを味わう体験を魅力ある授業によって提供するとともに、毎日の家庭学習の習慣づけに向けて指導し、勉強に対して能動的な姿勢をもった子どもの育成をめざしています。この目標を実現するには、塾での指導だけでなく、ご家庭でお子さんを見守っておられるご保護者のサポートが不可欠です。こうした点を踏まえ、「保護者説明会」や「個別面談」を実施するほか、近年は「おかあさんの勉強会」という呼称の催しも開催しています。

 「保護者説明会」は、塾の方針や指導内容・指導スケジュールなどを、塾の担当者が多人数の保護者に説明する形式の催しです。「個別面談」は、文字通り保護者の相談事項を塾の担当者が個別にお聞きし、お返事したりアドバイスしたりする催しです。いっぽう、「おかあさんの勉強会」は、保護者の多くが家庭で直面しがちな問題をテーマに掲げ、おかあさん同士で現状の問題点や対策について話し合う形式の催しです。言わば「双方向性」のある催しという点が、他の催しとの違いと言えるでしょう。

 今回のテーマは、「子どもをどう叱るか」に焦点を合わせています。人間として未完成な子どもの勉強をサポートする際に、叱ることが避けられない場面は多々あることでしょう。そこで今回は、「子どもの素直な反省と奮起を引き出す叱りかたとはどのようなものか」、を共に考えていきます。無論、ただおかあさん同士で話し合うだけでなく、塾の側からもご提案させていただきます。この催しへの参加によって、同じような苦労をしておられるおかあさんがたの気持ちが楽になり、さらには子どものしつけや学習のサポートに対してより前向きな気持ちになられればと期待しています。

 実施の案内・要項はすでにお配りしていますので、もう一度ご確認のうえ、ぜひ参加をご検討いただきますようご案内申し上げます。

 

 以上、夏の講座、6月の催しについて駆け足でご案内しました。弊社は小学生をお預かりする中学受験専門の学習塾です。50年余りの活動を通して実感してきたことは、受験をめざした学びのプロセスを通して、子どもたちが人間として成長していけるよう配慮することの重要性です。それが単に志望校への進学の夢を実現させるにとどまらず、より善い人生の歩みを実現するうえで不可欠のことだと考えるからです。保護者の方々には、このような弊社の考えや方針をご理解いただき、一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、新規に弊社の教室への通学を検討いただいている保護者には、説明会形式の催しも実施する予定です。詳しくは、弊社HPやチラシなどを通じて適宜ご案内いたします。興味をもたれたかたは、ぜひお気軽にお越しください。

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カテゴリー: お知らせ, ジュニアスクール, 中学受験, 行事のお知らせ

失敗は誰にもある。大切なのは後の対応!

2018 年 5 月 21 日 月曜日

 ご存知のように、弊社では2週間を一括りとした単元に基づいてテスト(マナビーテスト)を実施しています。子どもたちはこのテストでの結果を学習成果の指標とし、少しでも得点や順位を上げようとがんばっています。

 保護者の方々は、わが子の学習成果をこのテストの結果である程度判断しておられると思います。以前もお伝えしましたが、テストの結果が順位で知らされるのはいささか刺激的で、成績がよければ大きな励みと自信を得ることができますが、成績が芳しくないときには気分が沈み、自信が揺らいでしまうお子さんもいます。特に、「がんばった!」という実感を胸にテストに臨んだのに生憎な成績に終わったときは、本当にがっかりしてしまいます。今回はテストをよい意味での刺激とし、学力向上のために積極的に活かす方法について、共に考えていただきたいと思います。

 わが子の学力向上を願わない親なんていません。おそらく大概のかたは、開講後しばらくはわが子の成績に関心を寄せ、「どんな結果を得ているのか」と、テストの成績がわかる日を心待ちにしておられたと思います。今はどうでしょうか。前述のように、テストの成績が芳しくないと気分を落ち込ませたり自信を失ったりするお子さんが出てくるのと同様に、保護者も残念な成績が続くことに落胆し、わが子の勉強に対する関心やサポートの熱意を失ってしまう傾向があるようです。

 すでにそうなりつつある保護者はおられませんか? もしもあてはまるかたがおられたなら、気持ちを立て直し、わが子が前向きに取り組む姿勢を取り戻すためにどうしたらよいかを、今こそ真剣に考えていただきたいと存じます。子どもがやる気を失ううえで最も残念なのは、親の情熱あふれる後押しが得られなくなったときです。成績だけで子どもは勉強の意欲を失うわけではありません。今、わが子の勉強ぶりや成績に不満のあるかたは、「どうしたらわが子は意欲を失わずに受験生活を全うできるか」という視点に立ち、巻き直し策を考えていただきたいですね。

 上記のことは、筆者自身の過去の後悔と重ね合わせて保護者にお伝えしていることです。ずいぶん昔の話で恐縮ですが、筆者もわが子を家庭学習研究社の教室に通わせて受験させました。当時、いつまで経ってもわが子の勉強ぶりや成績に進展が見られず、業を煮やした筆者はいろいろと反省や注意を促すための働きかけをしたのですが、わが子はそのたびに興奮して言い返してくるばかりでした。「もはや受験の結果は期待できないな」という親の内心を察したのか、入試が近づいてもわが子の取り組みが熱を帯びる様子はなく、ほぼ予想した通りの入試結果に至りました。

 入試を終えた直後は、わが子に対して「ふがいないやつ」とは思ったものの、「親としてもっとやりようがあったのではないか」と振り返っているうちに、はっと気づいたことがあります。筆者はわが子にがんばりを要求するばかりで、どう巻き返すかについての冷静な話し合いをせず、また、わが子の気持ちに即して考え、奮起を引き出すような働きかけもしていませんでした。入試結果は、ある意味において親である筆者に対する採点に他ならなかったのです。

 ただし、今や社会人となった息子の様子を見ていると、受験までの不完全な勉強のなかにも、貴重な収穫を得ていたことに改めて気づかされます。自分なりに準備と心づもりをしてテストに臨む。そのテスト結果について、不完全でも点検や反省をし、次に臨む。こうしたことの繰り返しを通じて、誰に言われなくても自分の行動を顧みて修正していく姿勢がそこそこ身についています。このような姿勢は、社会に出てからますます求められるものですが、中学受験をめざして学んだ経験があってこそ培われたものに他なりません。このことに鑑みるなら、「成績が思い通りにならなければ、受験しても意味がない」「受験をめざしても無駄」などということはありません。わが子が中学受験生だったころ、もしも筆者がもっと親として適切なフォローやサポートをしていたなら、息子はもっと望ましい成長を遂げていたのではないかと、今更ながら後悔しきりです。

 そうした筆者自身の反省も含め、これからお子さんが中学受験をされるご家庭の保護者にお伝えしたいことがあります。まず、「わが子はやる気がない、能力が足りない、こんなことではどうせろくな結果は…」と、ネガティブな発想でわが子を絶対見ないでいただきたいということです。今より、わずかずつでもやる気を出し、努力する姿勢を築いていけば、1年間で大変な進歩や違いが生じます。それなのに、まだ入試が来てもいないのに、わが子への期待や関心をトーンダウンさせたのでは、せっかくの、成長のチャンスをみすみす取り逃がしてしまいます。

 この点に絡めて胸に留めていただきたいのは、「勉強しても成績をあげられないのは、ある意味あたりまえのことだ」ということです。理由は簡単。みんな同じように勉強しているのですから。そんな集団のなかでは、現状の成績を維持することさえ容易ではありません。見かたを変えれば、どの子どももやった分だけの成果は得ているのです。そのことを認識したうえで、子どもに無用なハッパをかけるのではなく、「どうすれば、より上の状態に漕ぎつけられるか」を親子で一緒に考えるべきではないでしょうか。子どもの勉強の活性度が落ちるのは、子ども自身のせいばかりではありません。親の適切なサポートがあれば、一時的に子どもがやる気を失ったとしても、必ず挽回できるのです。

 そこで保護者にお願いしたいのは、成績を軸にしてほめたり叱ったりを繰り返すのをやめることです。無論、成績が上がったときにほめることまで反対しているのではありません。親は成績で一喜一憂するのではなく、テストの点や成績にかかわらず、子どもが「失敗した」「やってしまった」という残念な問題がいくつあったかを一緒に点検し、「こんな問題、もう一回出たら絶対に征服してやる!」という意気込みをもち、次の勉強に臨んでいくようなサポートに徹することをお勧めします。

 私の過去の指導経験を思い出すと、入試が近づくほどに学力を上げていくお子さんの多くは、成績が悪かったときには、なぜ失敗したのかを逃げずに正面から振り返り、必ずやり直しをしていたということです。「次は絶対に取り返すぞ!」という意気込みは、失敗を点検してしっかりやり直しをしてこそ生まれるものです。

 これはアメリカの心理学者の著作にあったのですが、アメリカの子どもたちは成績がよかったらやる気を高める傾向が強いのに対し、日本や東アジアの子どもは成績が悪かったら取り返そうと奮起しやる気を高める傾向が強いと指摘していました。こうした気質の違いは親のものの考えかたや子育ての違いによるもので、「学力は生まれつきの能力で決まる」と考えがちな西欧社会に対し、「学力は努力次第で高められる」と考える日本人をはじめとする東アジア圏の社会との考えかたの違いが、子どもの勉強に対する関わりかたにも影響を与えているようです。日本の子どもの学力が相対的に高いのは、そうした民族的な気質の違いも一要因であるといったようなことがその本に書かれていました。

 この考えにもとづくなら、成績がよくなかったことの原因は、努力不足によるものだという考えを軸に置き、失敗の原因を確かめて次に生かそうという姿勢をわが子にもたせるような働きかけをすることが親に求められるのではないでしょうか(無論、努力する姿勢は親の強要で育つものではありません。子どもが自分の能力に対する信頼の気持ちを失わないよう、上手に励ますことが求められます)。

 テストで思わぬ大失敗をしてしまう。それは誰にでもあることです。問題はそのあとなんですね。イヤな記憶はただ消してしまうのか、臥薪嘗胆よろしく、失敗を忘れずに次に備えるか。その繰り返しが先々の歩みに大きな違いをもたらすのです。

 失敗を恐れず、失敗を糧にして次に備える。そうした姿勢を尊重し、お子さんを励ましてあげてください。その働きかけを一貫して行けば、必ずお子さんは自分で這い上がるすべを身につけていきます。

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カテゴリー: アドバイス, 勉強の仕方, 家庭での教育

おかあさんは、がんばり過ぎないで!

2018 年 5 月 14 日 月曜日

 毎年のことですが、弊社はゴールデンウィーク(GW)と重なる1週間は、全校舎・全学年とも休講としております。

 GWの期間は家族での長距離移動やイベントなどもあり、勉強も不規則になりがちです。まして受験生といえども小学生ですから、気持ちの切り替えが難しく、勉強に身が入らないものです。10数年前から「いっそのこと、1週間丸ごと休講にしよう」ということになり、以来ずっと継続しています。学習塾の指導担当者は、1年を通じてまとまった休みが取れない環境で働いています。ですので、この休講期間をよきリフレッシュの機会にさせていただいています。ご了承をお願いいたします。

 さて、2018年度の講座が始まってから2~3か月が経過し、一定のカリキュラムを消化してきましたが、お子さんはある程度勉強のコツや要領を身につけつつあるでしょうか。授業での指導は全員に同じように行いますが、日々繰り返される家庭での取り組みは、お子さんそれぞれに異なるものです。自分に合った勉強の方法やスタイルを確立することが学力伸長の度合いを左右しますので、こうした視点からも現状のチェックを今のうちにしておきたいものですね。。

 お子さんが自分の性格やライフサイクル、家庭環境にうまく合致した、最も成果の上がる勉強スタイルに行きつくまでにはある程度の試行錯誤が伴います。しかも、まだ頼りない面が多い年齢ですから、勉強を本人任せにするにはいささか心もとないのは否めません。現に多くのご家庭におかれてはそのことを実感され、様々な助言やサポートを試みておられると思います。

 たまたま、最近何人かの会員家庭のおかあさんと親のサポートに関してやりとりをする機会がありました。どのおかあさんも大変熱心にわが子の学習状況を見守りながらサポートをされているご様子で、「がんばっておられるな」と、頭の下がる思いをしました。そのなかで、「こういうのが理想だな」と思ったケースがありますので、今回はその話をご紹介してみようと思います。

 そのおかあさんは、お子さんが算数の復習に取り組む際、「ちゃんと正しい考えかたが身につくように」と、ご自身もお子さんに配布された解答と解説を熱心に読んでおられました。しかしながら、どなたも感じておられると思いますが、受験対策の算数は結構難しく、勉学から遠ざかって久しい親にとっては手強い課題がたくさん存在します。それに逐一取り組んで解を得るには、ましてわが子にわかるまでアドバイスするには、大変な努力と時間を要します。

 昔の話ですが、同じようなことをされていたおかあさんが、やがて算数という教科の魅力に引き込まれ、「あ~、もしも私が小学生のときにこんな考えかたや解きかたに出合っていたら、私は理系人間になり、全く違った人生を歩んでいたでしょうに…」と、冗談とも本気ともつかぬ思いを吐露されていたことを思い出します。で、果たしてこのようなサポートはアリでしょうか。

 少なくとも弊社はお勧めしていません。まず前述のように親に大変な負担がかかりますし、ましておかあさんが理解されたことをわが子に伝授するには、「もう一苦労」では済まないほどの苦労を余儀なくされることになりがちです。ついでに申しあげると、6年生秋頃になると、どんな優秀な親でも音を上げる難問が次々に登場してきます。親に頼らせるような流れをつくった挙句、一番肝心な追い込みの段階で親がギブアップするような事態に至ると大変です。第一、このような方法で合格に漕ぎつけても、中学生になってからの勉強で子どもが難渋するのは目に見えています。自らに課すべき家庭学習を選別して実行に移すことができず、未提出の宿題を溜めて四苦八苦するのがおちです。学びの自律性や自発性は、受験生の段階である程度築いておいてこそ、高度で進度のはやい中学校の学習についていけるものです。中学生になってから、急に学習の自立を果たすのは無理というものでしょう。何事もそうですが、種なくして花は咲きません。

 先ほどのおかあさんの話に戻ります。あるとき、おかあさんが着眼や解法について説明しようすると、「えっ、おかあさんでもこの問題ちゃんとわかるの?」とお子さんに言われたそうです。その言葉から、「勉強は自分でやるもの」という観念がしっかりとわが子に根付いているのを感じとられたようで、「もはや親が教えようとする必要はないのだ」と悟られたとか。わが子の成長の様子を見ながら、徐々に親が手を引く。これは弊社が保護者にお願いしたい肝心要のサポート法に他なりません。お子さんにとってもおかあさんにとっても、この流れは大変賢明で望ましいものだと思います。わが子を親以上の能力の持ち主にしたいなら、子どもの自立に向けたプロセスを見守り、どこかで親が手を差し伸べるのをやめる必要があるのではないでしょうか。

 受験は子ども自身のものです。汗を流して試行錯誤するのは子どものほうでなければなりません。親のほうが必死に問題の解きかたを勉強しても、それが必要なのは子どものほうであり、それでこそ汗を流した分の成長が見込めるのです。「かわいい子には旅をさせよ」という諺がありますが、かわいいわが子だからこそ勉強の自立に向けたもどかしい体験をさせてやらねばなりません。

 同じようなことは学習塾の指導担当者にも言えるでしょう。子どもたちのためにありとあらゆることを思い描いてはサポートする先生は、保護者から見ると「よい先生」かもしれません。しかし、それが子どもの学力増進につながるかというと、必ずしもそうではありません。先生の側があくせく手を尽くしていると、意外と子どものほうはその先生の指示を待つだけで汗をかいた勉強(頭を働かせた勉強)をしていないものです。

 筆者が指導現場にいた頃、目立った指導成果をあげていたのは、「授業で勝負をし、その授業を通して子どもの勉強を活性化させるタイプの先生」、「子どもが必死で家庭勉強に取り組むよう導くタイプの先生」でした。筆者などは、授業日は大概居残りをしたがる子どもたちに補習を行っていましたが、子どもの書いたものを点検してアドバイスをしていると、みるみる長蛇の列ができ、待っている子どもが騒ぎ出す始末で、極めて効率の悪いフォローをしていたことを後悔とともに思い出します。

 子どもが我を忘れて没頭するような勉強を実現するには、まずもって「いかに学んだらよいか」を習得させなければなりません。家庭での勉強がなかなか活性化していないと感じておられるなら、「今、わが子は授業をどのように受けているか」、「家庭勉強の要領がわかっているか」、などについてまずは確かめてみてはいかがでしょうか。

 授業は何のためにあるのか。家で何をどうしたらよいのか。これらを理解し、塾と家庭の勉強の連動性が生まれれば、子どもは間違いなく自分から机に向かい始めます。この流れを築くための指導は授業担当者の仕事です(もっとがんばらないといけませんね)。保護者におかれては、同じ視点に立ち、わが子が自分で勉強をやり遂げる姿勢を培えるようフォローをお願いいたします。受験の主役である子どもが必死で汗を流して勉強に取り組む受験生活を実現すべく、ともに応援してまいりましょう。

 最後に一言。受験は親が子どもの将来の大成をを願ってさせるものです。受験生である子どもが汗を流すプロセスこそ、先々の飛躍を実現するための経験的財産となるものです。親が子どものためにため汗を流すのは愛情ゆえのことですが、その割に子どもの成長に寄与してくれないものです。子どもの試行錯誤を見守り、子どもの一生懸命を応援するのが親の仕事なのだとご理解ください。

おかあさんは、がんばり過ぎないで!お子さん自身の苦労こそが、やがて血となり肉となるですから。

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