受験校選び、学校選びをどうする?

2018 年 12 月 10 日

 今年も段々と残り少なくなってきましたね。12月2日には、第5回目の「中学入試模擬試験(最終回)」を開催しました(受験者数:男子644名、女子580名)。例年と同じく、この回は修道と広島女学院を会場にお借りして、まさに「本番の疑似体験」となる形式での試験練習を受験生のみなさんには体験していただきました。

 今回の模擬試験は入試が近づいていることもあり、広島県西部地区の受験者の半数以上が参加されたと思いますので、なかには大勢の受験生に気後れしたり、普段と違う緊張に襲われたりして、実力を発揮できなかったかたもおありかもしれません。しかし、これも貴重な体験です。今回のことを大いに活かし、本番で100パーセントの力を出せばよいのです。テストデータや採点済みの答案を手にしたら、成績はどうあれ細部をよく点検して、必要な手当てをしておきましょう。模試はそのためにあるようなものなのですから。

 よく聞く話ですが、入試終了後、「年の瀬が近づいて、やっとわが子(大概は男の子)の目の色が変わり、必死にがんばり始めました。もうあきらめかけていたのに、志望校の一つに受かり、びっくりするやらうれしいやら…」といったような報告をいただくことがあります。保護者のかたはさぞかしやきもきする毎日が続き、ストレスを溜められたことでしょう。ただ、このケースは結果が伴ったから救われますが、本気になるのが遅くに失すると不完全燃焼のまま終わってしまいかねません。

 今現在、まだエンジンのかかっていないお子さんもおられませんか? もしもおられたなら、一刻も早く入試に向けて気持ちの定まった勉強を実行していただきたいですね。いよいよ入試まで1カ月余りとなりました。お子さんの状況が思わしくない場合、叱るのではなく、中学校に入ってからのことや、将来のことなどを落ち着いて話し合いながら、入試に臨む気持ちをバックアップしてあげてください。残された日々を全力で駆け抜けるべく、指導担当者一同子どもたちの奮起を鼓舞し、入試に向けた仕上げ学習を応援してまいる所存です。保護者の方々におかれても、最後まであきらめずにお子さんを温かく励ましてあげてください。

 さて、このところ公立の6か年一貫校が次々に設立され、中学受験の選択肢に変化が生じつつあります。弊社は50年余り前の設立以来、どちらかというと私学への進学をお勧めしてきました。それは、当時経営者が「今日の社会でより善く生きていける人間を育てる環境として、6か年一貫教育の私立進学校が最も望ましい」と考えていたからですが、それだけでなく、広島の中高一貫校の大半が私学だったからであるとも言えます。20年、30年以上前までさかのぼると、今のような公立一貫校は1校もありませんでしたし、国立の学校も、広島大学附属と広島大学附属東雲(こちらは中学校のみ)ぐらいでしたから、今のように「国立か、公立か、私立か」といった選択上の悩みはあまりなかったと思います。

 しかしながら、現在は県内だけでも公立一貫校が4校あります。それも、完全6か年一貫の教育体制をとる中等教育学校あり、中学からも高校からも生徒を募る併設型の一貫校あり、さらには全寮制の一貫校も新たに開校し、公立一貫校だけでも特色の異なる教育の場が用意されています。また、新たに設立された公立一貫校は、進学校としてもステイタスを築きつつあり、地域からの評価も高まっています。10年ほど前までは、まさかこのような状況に至るとは思ってもみませんでした。しかし、今や「どの公立中学校を受けようか」と悩ましい思いをされているご家庭は少なくないのではないかと思います。

 実際のところ、弊社は「進学先をどこにするかは、ご家庭それぞれの問題である」と昔も今も思っています。ですから、特定の中学校への受験に肩入れすることはありません。私学への受験についても、特定の私学への受験をお勧めしているわけではありません。どういった学校がいちばん向いているかは、お子さんのタイプや学校との関わりかた次第の面もあります。どの学校を受験するかは全くの自由ですから、国立、公立、私立にこだわらずに、いろいろと学校のことを知るための情報収集をされればよいのではないかと思います。

 ただ、保護者にお願いしたいのは、親の学校に対する好みや学校評価をあまり強くお子さんに押し付けないことです。絶対受かると思っていた、「わが子を行かせたい」学校に運悪く受からず、別の学校への進学を余儀なくされることもあります。「こんな学校、絶対に行くもんか!」と入試会場で言っていたある男の子が、なんとその学校に進学することになったというケースもあります。その男の子の発言内容を今も覚えていますが、親の誤った価値観が刷り込まれているように思いました。その男の子がその後どうなったかは知りませんが、不憫で心を痛めたものです。

 また、学校への評価を入学偏差値のみで決めるのも妥当ではありません。偏差値でトップの学校で成績的に平均ぐらいのお子さんと、偏差値的に下の学校のトップにいるお子さんの学力が、高校生の段階では逆転しているかもしれません。さらに偏差値が下の学校に入っても、すばらしい成績をあげて全国トップランクの大学に進学するお子さんもいます。このことは、学校が自然と学力を向上させてくれるのではなく、学力が伸びるかどうかは本人の努力次第なのだということを示唆しているように思います。また、入学した学校を好きになるかどうかも、学力の伸び具合に少なからぬ影響を及ぼしていることも見逃せません。

 以上のように、「この学校ならいいが、この学校はダメ」ということはありません。問題は、進学先が決まったら、その学校を親子共々受け入れ、喜んで入学する(させる)かどうか。前向きな気持ちで入学し、その学校で伸び伸びと過ごしたほうが、6年間で得るものが間違いなく多いし、大学への進学に向けて勉学面でもレベルアップできるのは言うまでもありません。

 お子さんが6年生のご家庭におかれては、すでに受験校が決まっていると思います。無論、第一志望に合格できるに越したことはありません。最後の最後までお子さんが全力を尽くせるようサポートしてあげてください。今回お伝えしたことは、入試が終わって結果が判明した際に思い出していただければ幸いです。

 まだ入試までにやれることはいろいろあります。気持ちを揺らがすことなく、今やれることをしっかりやっていきましょう!

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験

おすすめの記事