2019 年 2 月 のアーカイブ

中学入試を終えて、そして次年度に向けて

2019 年 2 月 27 日 水曜日

●中学入試を終えたご家庭へ(保護者のみなさま)

 中学受験を終えたご家庭におかれては、長い受験準備の日々がとうとう終わり、親子ともども今やっと一息ついておられるのではないでしょうか。本当にお疲れさまでした。ある保護者によると、お子さんは大好きな読書を大いに楽しんでおられるとか。このように、多くのお子さんは塾やテストのない毎日を過ごすことで、やっと受験生活が終わったことを実感されていることでしょう。

 進学塾にとって、毎年の入試合格実績は生命線ともいえるほど大切なものです。塾の合格実績がよければ、それが塾としての評判や信用につながります。しかしながら、受験生のご家庭にとっては、わが子の入試結果こそが最大の関心事です。なかには合格の夢が叶わなかったご家庭もあることと存じます。指導を担当させていただいた私たちは、何よりもそのことに思いを致さないわけにはまいりません。「来年こそは、ご家庭からお預かりしたお子さん全員の笑顔を見られますように!」と念じながら、指導担当者一同、次なる入試に向けた学習指導に精進してまいる所存です。引き続き、弊社に対しご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

 このブログにおいても再三書いてきたことですが、中学受験の主人公はわずか12歳の小学生です。まだ人生経験が12年ほどに過ぎない子どもたちにとって、入学試験という関門は得体のしれない世界から現れた巨大な壁のようなものだったかもしれません。入学試験の制度について一応の知識は得ていたものの、いざ本番が始まると言いようのない不安や興奮に襲われ、何が何だかわからないうちに試験が終わってしまったお子さんもおられることでしょう。

 お預かりしたお子さんの入試結果を一つひとつ点検していくと、考え得る最高の結果を得ているお子さんもおられるいっぽうで、指導担当者が絶句してしまうほど残念な結果に終わっているお子さんもおられます。あれだけたくさんのテスト練習をしてきたというのに、その練習での成績通りの決着に至らないのが12歳の入学試験です。難関とされる中学校ほどそうした傾向が強く、入試本番でもてる力を発揮できなかったために、あこがれの中学校への進学の夢が叶わなかった受験生が毎年おられます。子どもたちの実力やこれまで積み重ねてきた努力を知っている者としては、「もう一度チャンスがあったなら」とただただ残念に思うばかりです。

 しかしながら、入試の結果を覆すことはできなくても、子どもたちの明日からの歩みに支障が生じたわけではありません。入学試験の結果はある意味勝負の綾で決まる面もありますが、受験勉強で培った学力や知識、学びの姿勢は、入試結果がどうであろうと変わりなく子どもたちの明日の歩みを支えてくれるものです。志望校合格の夢が叶ったお子さんも、残念な思いを味わったお子さんも、入試の体験を肥やしにし、これまで通り努力を継続されることを念じてやみません。家庭学習研究社で学ばれたお子さんが、今後一層の成長を遂げられますことを心より念じています。

 

●新6年部生のご家庭へ(保護者のみなさま)

 いよいよ新年度の講座が始まります。新6年部生の中学入試は、あと11カ月足らずでやってきます。保護者のなかには、「入試本番まで、もう1年もないのか」と、身の引き締まる思いをされておられるかたもおありかもしれませんね。

 とは言え、子どもたちには、まだ「受験生なのだ」という自覚はそれほどないのが実状であろうと思います。なにしろ、学校ではまだ5年生です。3月2日の開講式においては、6年部から使用するテキストや副教材、スケジュール表、学習計画表などを配布します。また、これから入試に向けた受験勉強の流れについてお話しいたします。新しいクラスで、新しい仲間と共に学ぶ生活が始まることで、お子さんの意識もだいぶ変わってくるのではないかと期待しています。

 このように、まだまだ受験への意識も定まっていない状態ですから、お子さんに檄を飛ばしたり、見違えるような取り組みを望んだりすることは控えていただくようお願いいたします。まずは、これから入試までの受験生活について、親としての期待を伝えてあげてください。「毎日の計画をしっかりと遂行しよう」とか、「復習を必ずやろう」など、いろいろと伝えるべきことはおありでしょう。また、お子さんには2週間を基本単位とした学習の流れを踏まえ、毎日の家庭学習の計画を立てていただきますが、これに親も参加し、アドバイスをしてあげてください。

 お子さんには、まだ自分で完璧な学習計画を立てるのは難しいものです。親が采配を振るうのは禁物ですが、そうかと言って子ども任せでは、手抜かりが多かったり、無理が多くて実現困難な計画になったりしがちです。時間の割り振りなどが無理なくできる範囲になっているかどうか、親の目からもチェックしておくほうがよいでしょう。

 なお、6年部が開始するとは言え、4月いっぱいまでの学習は5年部からのカリキュラムを引き継いでおり、ゴールデンウィークの直前で6年間の教科書範囲の学習を終える(基礎力養成期の修了)予定になっています。ですから、今からエンジン全開の勉強をすることよりも、自分で勉強をコントロールしていく姿勢を強化していくことのほうに重きを置いていただくようお願いいたします。

 なお、入試を終えたご家庭にお伝えした内容と被りますが、受験は全ての受験生の希望を叶えてはくれません。しかしながら、受験までの過程で学んできたことは必ずお子さんの血となり肉となって先々の更なる成長を支えてくれるものです。合格に振り回されるのではなく、日々自分のすべきことを考えてやり遂げる姿勢を今は尊重し、そういったことに進歩がみられるかどうかを見守り応援してあげてください。

 無論、弊社は中学受験専門塾ですから、お預かりした子どもたち全員の夢が叶うよう、万全の体制で指導してまいります。ですが、合格は受験生自身にしっかりとした学びの態勢や本物の学力が身についてこそ意味をもつものです。この1年間、ご家庭と塾との一致協力体制の下、実りある受験生活を実現すべくがんばってまいりましょう。どうぞよろしくお願いいたします。

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カテゴリー: がんばる子どもたち, ごあいさつ, アドバイス, 中学受験

最高峰の大学に進学する子どもって?

2019 年 2 月 20 日 水曜日

 中学入試が終わってひと段落しましたが、3月早々には2019年度の講座が開講します。「子どもの時間は大人よりもゆっくりと流れる」と言われますが、中学受験生の子どもたちにはその言は当てはまりません。特に新6年生にとって、残された準備期間は1年ありません。これから入試本番までの日々を悔いの残らぬよう大切に過ごしていただきたいですね。

 以前、「東京大学の学生にとって、悩みごとの相談相手はどんな人か」を調査した結果(東京大学による)をご紹介したことがあります。その資料は、東京大学の学生の生活の実態について様々な観点から調査したもので、そのなかに筆者が興味をもった事柄がありましたのでちょっとご紹介してみようと思います。

 まず、日本で最高峰とされる大学に進学している学生は、どのような高校を経て入学しているのかに関する資料をご紹介してみましょう。以下は、東京大学に進学している学生の出身校と現役入学の割合を調査したものです。

 毎年国立大学の入試が終わると、東京大学をはじめとする難関国立大学の高校別合格ランキングが週刊誌などに掲載されているので、どんな高校から進学しているのかについては多くのかたがご存知のことと思います。

 今回ご紹介する資料は高校別のランキングではなく、学校の運営形態ごとに分類したものです。それによると、東京大学に入学している学生の出身校としては、私立の6か年一貫校がいちばん多く、全体の半分強を占めていました。私立の6か年一貫進学校は、東京とその周辺部が圧倒的に多く、後は関西と地方の有力都市に少しあるぐらいです。この資料を拝見すると、いかに優秀な受験生が一極に集中しているか(人口動態から、当然と言えば当然かもしれませんが)を痛感させられました。この結果は、みなさんの予想と違っていたでしょうか。

 ただし、近年は公立の一貫校が併設型・中等教育学校を問わず増えており、人気も高まっています。新設されている公立一貫校も、やはり首都圏に多いものの、公立一貫校は私立一貫校と違って全国に拡散しつつあります。したがって、今後公立学校の比率が高まっていくかもしれません。また、近年は浪人して大学に進学する学生は昔ほどに多くありません。最高峰の大学ですら、現役率はかなり高いですね。近年よく耳にするのは、「無理して浪人してまで難関大学にこだわる受験生は少なくなっている」という指摘ですが、その通りなのかもしれません。

 つぎに、東京大学の学生の出身地方(都道府県)の比率を見てみましょう。

 日本で最高峰の大学ですから、出身者はさすがに全国に及びます。ですが、やはり人口の密集地にある大学ゆえ、圧倒的に東京や首都圏出身者が多いようです。次は「なぜ東京大学を志望したのか」に関する調査結果です。

 志望理由を点検してみると、やはり「日本最高峰の大学である」ということが問答無用の志望動機につながっているように感じられます。要するに、名声を誇り、潤沢な研究予算をもち、教授陣が優秀で、多くの卒業生が社会的に地位の高い職業に就いている大学ですから、優秀なお子さんが集まるのは当然のことと言えるでしょう。やはり東京大学は特別な存在なのですね。

 地方都市である広島の状況はどうでしょうか。以前、広島最難関の私立男子一貫校の先生に、生徒さんに進学先の候補として人気の高い大学の傾向について伺ったことがあります。それによると、その私学の生徒さんが志望する大学の傾向は次のようなものでした。

●最も人気が高い大学(学部)
A.東京大学
B.京都大学
C.広島大学医学部

●その次に人気の高い大学(学部)
D.他の国公立大学医学部
E.旧帝国大学レベルの国立大学

 筆者の印象では、一昔前ならAがBを上回っていたように思いますが、最近は両者がだいたい同じくらいの割合だそうです。理由については、「(関東は)地震などが心配」とか「(進路確保に関する)安全志向」などが少し頭をかすめたものの、具体的で説得力のある理由は特には思い当たりません。また、地元の国立大学医学部への志向は以前から強く、それが学力的に難しい場合はDを選択するケースが多いようです。よって、A~Cがこの私学で最も人気の高い進路であり、その次がDやEだと思われます。

 ただし、前述の傾向は地域最難関私学ならではのものです。多くのご家庭では中学受験の準備段階ではまだ将来についての明確なビジョンを親子で共有したり、具体的な進路(大学や、学部など)の目標を決めていたりするには至っておられないと思います。まして、就きたい(就かせたい)職業が具体的に存在するご家庭はごく少数ではないでしょうか。そう言ったことは、中学、高校、大学へと進んでいく過程で、しだいに候補が決まったり、範囲が絞られたりすればよいのですから。

 というのも、中学校入学時には大学進学についてさしたるビジョンをもっていなかったお子さんでも、学力を順調に伸ばしていく過程でどんどん視野に入れられる目標レベルが高くなり、結果として最高レベルの大学への進学が決まったという例が、筆者が知るだけでも相当数あります。また、ある特定の学問領域に特別興味があり、そこからめざす進路が決まり、それが励みになってすばらしい成長をとげるお子さんも少なくありません。

 こういうお子さんは、目先の中学受験で無理をしておらず、勉強を楽しむ余裕があったお子さんに多いように思います。ですから、中学受験をする前の段階で大切なことは、「“伸びしろ”を担保しながら、いかにして中学入試で求められる学力ラインに到達するか」だと筆者は思っています。たとえ最難関私学への進学が希望であっても、無理に無理を重ねた勉強では肝心の中学高校生活で失速してしまう恐れが多分にあります。

 保護者におかれては、お子さんが自分のやりたいこと、学びたいことに出合い、自分に合った進路を見出し、幸福な人生を歩んでいく流れを築けるよう、上手にバックアアップしてあげていただきたいですね。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験

子どもを自立させ、頑張らせるおかあさんって!?

2019 年 2 月 11 日 月曜日

 中学入試が終わり、弊社の各校舎には受験の結果、および進路の報告書が6年部会員のご家庭から次々に届けられています。最終的な学校別の合格および進路選択の状況が掌握できるまでには、あと1~2週間かかろうかと思います。結果がまとまったら、折を見てご報告いたします。

 今年の中学入試について、現段階でお伝えすべき特筆事項はありません。敢えて申し上げるなら、「国立・公立一貫校の人気がより高まっている(特に女子受験生)」ということでしょうか。

 広島大学附属中学校については、例年と同じように男女とも補欠者が数多く発表されましたが、今年は未だ繰り上がりが一例も報告されていません。弊社の男子受験生は、広島学院と重複合格した場合に広島学院を進路として選ぶケースが多いのですが、今年は附属を進学先に選ぶ割合が例年より高くなっています。女子については附属が圧倒的な人気で、合格者の大半が進学先に選んでいます。これは弊社会員に限らない傾向のようで、合格発表数も例年男子は女子の倍の数(男子130名、女子65名 ※附属小からの合格者は含みません)となっており、さらに補欠の繰上り合格も男子に偏っています。今年男子の補欠の繰り上がりが報告されていないのは、例年よりも入学手続き者の割合が高かったからだと思われます。

 市立広島中等教育学校への受検というと、これまで距離的に近い三篠校の会員が大半でしたが、今年は女子会員の受検がかなり広範囲に及び、しかも学力水準の高い受検生が増えています。同校は公立一貫校特有の適性検査によって生徒を選抜していますが、一般的な学力試験でも優秀な成績をあげているお子さんが相当数受けており、しかも、受かった場合にも進路として選択しているようです。いっぽうの男子の受検の動向は、これまでとさほど変わりがありませんでした。なお、同校への志願者は545名(募集定員120名)で、過去最多となっています。

 新たに開校される県立の併設型中・高一貫校である叡智学園には、どれだけの数の受検生が志願するのか注目されました。6月に国際会議場で実施された同校の学校説明会には、千名以上の保護者がお集まりになりましたが、なにしろ前例のない公立の全寮制一貫校ですから、実際の志願者数は予想できませんでした。最終的には、一次検査に375名(男子175名、女子200名)が志願し、合格者100名が12月25~27日に実施された2次検査に臨み、1月8日に最終合格者40名が発表されました。このように時間や労力を要する選抜制度ですから、合格した場合の入学率は高いものと予想されます(弊社会員合格者7名も、ほとんどが同校に入学する模様です)。

 県立広島中学校も、相変わらず高い人気を維持しています。(志願者数799名、定員160名)近年は地元の東広島市だけでなく、弊社のほとんどの校舎から受検するようになっています。今年の場合、女子は全校舎から合格者が出ています。また、合格した場合も入学手続き率が高く、同校の吸引力の強さを裏付けています。

   このほか、県北部に開校する県立三次中の適性検査には、146名の志願者があった模様です(定員80名)。

 国公立中学校の入試状況を少しご報告しただけで、ずいぶん文字数を費やしてしまいました。この後は、本日予定していた話題について進めてまいりましょう。今回は前々回の続きです。

 前々回、子どもの自立勉強を促す親のありかたについて、いくつかご提案をさせていただきました。しかしながら、こういったことを本ブログで取り上げること自体、ことがそう簡単でないという現実の裏返しでもあります。わが子が親の期待通りの学習生活を送ってくれれば問題ないのですが、遊びたい盛りの小学生が受験生ですし、まだまだ行動規範が確立されているとは言い難い成長途上にある子どもたちですから、本人任せの受験勉強でうまくいくケースは滅多にありません。それどころか、思うに任せぬわが子の様子に苛立ち、助言をするつもりが親子喧嘩に発展してしまうケースも多々あります。こういうことが毎日続くと、親も思い悩んだり疲れ切ったりしてしまいます。

 実は、受験勉強がうまくいっているご家庭のおかあさんには一定の傾向があります。それは、ネガティブ思考でなく、少し楽観的なくらいの明るさをもち、辛抱強いタイプのおかあさんだということです。おかあさんが神経質になればなるほど、子どもは思い通りに頑張ってくれず、おかあさんばかりが疲れる、といった事態になりがちです。

 子育て期の受験で重要なことは、子どもとのパートナーシップを築くことです。押しつけるのではなく、子どもの側から自発的に「親の期待に沿った行動をしよう」と思うような関係を築くことです。このことをこれから心の隅に置いて、お子さんの受験生活を応援してあげてください。

 「そうしたいけれど、自分には難しそう」と思われたかたはありませんか? そう思われても無理はありません。わが子のことになると、感情的に叱ったり、高圧的な態度をとったりしてしまうのが親というものですから。しかし、心配には及びません。おかあさんの気持ちは、間違いなくお子さんの心に伝わっているものです。少々の失敗など何でもありません。

 お子さんの受験を子育ての仕上げにするつもりで、自立に向けた見守りと応援をしてやりましょう。それが、お子さんにとってもいちばんよいことではないでしょうか。きっとお子さんは、学力を身につけるだけでなく、人間力にも秀でた立派な人間に成長されることでしょう。

< 子どもに対する心の向き合いかた >

 

 まだ頼りないところの多い小学生の受験勉強です。まして、勉強を自立させようというのですから、うまくいかないのが普通だと考えましょう。それを前提にすれば短気も収まりますし、「今より状況は悪くならない」と思えるものです。あとは、少しずつ、ゆっくりと進歩して行けばよいのです。焦ることはありません。

 「親がそんなに能天気に構えていて大丈夫なの?」と疑問に思われるかたもおありかもしれません。しかしながら、このほうがよい理由があります。親が神経質にピリピリしていたり、やたらと勉強に口出しをしたり、指示や命令を下したりすると、子どもは勉強を自分のこととして受けとめるよりも親の顔色を見ながら勉強するようになりがちです。こうなると、勉強の自発性や意欲もなかなか向上せず、結果として勉強の成果も頭打ちになりがちです。

  「でも、やっぱり私には無理!」と、思われたでしょうか? しかし、おかあさんがわが子を信じてやれないで、いったい誰が最後まで信じて受験生活を応援してやれるでしょうか。どんなときもおかあさんがあきらめずに、「きっとやれるよ」と温かく励ましてくれる。このこと以上にわが子を奮起させるものはありません。何かと頼りないのが小学生ですから、受験勉強も自立への道のりは決して楽ではありません。そのことは、「受験合格は、自立した勉強で得られるものではなく、自立をめざした勉強で得られるものなのだ」ということを意味するでしょう。だからこそ親はもどかしい思いをするのですが、「受験を成功裏に導くのは、親がわが子を信じて自立へ向かわせる愛情深い応援なのだ」と心得ていただきたいですね。

 さあ、受験を終えるまでわが子にとって最高の応援団であり続けましょう!

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 子育てについて

2019中学入試が終わりました ~保護者のみなさまへ~

2019 年 2 月 4 日 月曜日

 広島県西部地区の中学入試が終わりました。また、ほとんどの中学校の合格発表も終了しています(弊社の会員受験生の合格状況は、当HPに本日午後掲示する予定です)。受験生の子どもたちにとっても、受験生を見守り応援して来られた保護者にとっても、受験生活は長く苦しい道のりだったのではないかと思います。ほんとうにお疲れさまでした。

 言うまでもありませんが、入学試験は入学者を選別するために行われます。つまり、受験生を“ふるい”にかけるための試験です。しかしながら、当の受験生は世間を知らない小学生の子どもたちです。受験生活が始まったばかりの頃は、受験の意味もろくにわからず、ただのんびりと塾通いをしていたり、塾での勉強を楽しんでいたりしたお子さんが大半だったことでしょう。

 そんな子どもたちも、いよいよ入試が近づいてくるとさすがに受験がどういうものかを自覚し、「この中学校に受かりたい!」という願望を募らせるようになります。それは、生まれて初めて味わう緊張や重圧との闘いの始まりに他なりません。「もしもダメだったらどうしよう」―――このような気持ちを味わわせるのは、12歳の子どもたちにはいささか酷なことです。

 しかしながら、子どもたちはこの試練に臆することなく立ち向かいました。前述のように、入学者を選別するのが入学試験ですから、なかには夢の叶わなかったお子さんもおられることでしょう。しかし、結果はどうあれ未だ幼さの残る子どもたちが受験生活を最後まで乗り切ったこと自体が賞賛に値することです。保護者のみなさまにおかれては、12歳の大きな挑戦を終えたお子さんをどうぞ褒め称えてあげてください。

 すでに何度も書いてきたことですが、中学受験の厳しさ辛さを肌で感じてきたのは、受験生本人よりもご家庭で寝食を共にしながら見守って来られた保護者の方々であろうと思います。わが子の取り組みの様子を見ていると、「黙っていられない!」とばかりに手を差し伸べたくなるものです。しかしながら、いざ具体的に行動に移すとなるとそのことの難しさに直面されたことでしょう。まだ12歳、でももう12歳ですから、わが子が親の言うことを受け入れてくれるとは限りません。「親の思いをどう伝えてやったらよいか」「どうすればもっと頑張れるようになるか」と様々に悩まれたと思います。自分のことではない。しかし、誰よりも大切なわが子のこと。これほどの悩ましい思いはほかにないほどだったのではないでしょうか。しかし、今や中学受験における親としての務めも終わりました。

 そんな保護者の方々にお願いしたいのは、「どんなことがあろうと、これからも変わることなくわが子にとっていちばんの味方、応援者であり続けよう!」という決意をしていただくことです。入試の結果はよくても悪くても、長い人生のスパンで捉えたならさほど重大なことではありません。重要なのは、中学受験の体験を通して何が培われたかではないでしょうか。もしも結果が希望に叶うものでなかったとしても、受験までのプロセスで身につけたことの価値は何ら損なわれるものではありません。受験生活でわが子がいかに成長したかをもう一度振り返り、まずはわが子の成長した点をしっかりと受け止め認めてあげてください。そして、親としての反省点もあれば、ぜひこれからの親子関係に生かしていただきたいと存じます。

 そして、折を見て親子でこの度の中学受験を振り返ってみましょう。そのうえで、わが子が希望と夢を抱いて新たな中学校生活に踏み出せるよう、大いに励ましてやりましょう。12歳の子どもにとって、親がどれだけ自分を愛し、期待の気持ちをもってくれているかを感じ取れることは、何よりも幸せなことであり、やる気を奮い立たせるためのエネルギーになるものです。お子さんの行く手には多くの困難が待っていると思います。それを乗り越えるためには、まだまだ愛情深い親の存在が不可欠です。

 私たち家庭学習研究社の学習指導は、ただ受験突破をめざすだけでなく、中学・高校・大学へと発展しレベルアップする学習において、自らの能力を一層高めていくための基盤を築くことを念頭に置いています。お子さんは、毎日やると決めた勉強にしっかりと取り組めるようになったでしょうか。塾の授業を終えたら、家で復習をすることが当たり前のようになっているでしょうか。宿題ややるべき課題をいつまでに終わらせるかを算段し、見通しを立てながらやり遂げる力がある程度身についているでしょうか。そして、何よりも受験生活を通じて真摯に学ぶ姿勢が身についてきたでしょうか。

 計画的に学ぶ姿勢、家庭学習の習慣、自己管理に基づく学び、積極的に学ぶ姿勢…。これらは、中学進学後の学習生活で成果をあげるための切り札となるものです。前述のようにまだ12歳にすぎない年齢ですから、高いレベルで身につけてはおられないと思いますが、もしも受験生活の過程である程度進歩が感じられたなら、今の流れを中学進学後も大切にしていただきたいと存じます。そうすれば、必ずお子さんは何事があってもうまくやっていけるでしょう。受験の結果に対する満足度はどうであれ、「さあ、大切なのはこれからだね!」と親子で共通の認識を携え、この春から始まる中学校生活に臨んでいただきたいですね。

 ともあれ、長い受験生活はとりあえず終わりました。保護者のみなさま、本当にお疲れさまでした。お子さんと、貴家のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。

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カテゴリー: がんばる子どもたち, ごあいさつ, 中学受験