中学校生活の始まりに向けて

2019 年 3 月 25 日

 今回は弊社の校舎・教室で学び、受験を経て今春中学校へ進学されるお子さんの保護者に、筆者からのメッセージをお伝えしようと思います。これから受験を迎えるご家庭の方々にとっても、受験生活をより望ましいものにしていくうえでお役に立つ事柄もあろうかと思います。よろしければぜひお読みください。

 まずは、お子さんの中学校進学おめでとうございます。中学校への進学は、全てのお子さんにとって希望に満ちた新たな門出です。受験の結果に対する満足度はそれぞれに違うかもしれません。しかしながら、受験までのプロセスで身につけたことを、これから迎える中学校生活で活用していけば、どのお子さんもこれからの6年間でこれまで以上の飛躍を遂げることができるでしょう。中学受験への挑戦は、子どもたち一人ひとりの学びに向き合う姿勢や、これからも続いていく長い学びの人生を有意義なものにしていく上での土台作りの意味も大いにあったのだということを、忘れないでいただきたいですね。

 というのも、家庭学習研究社の学習指導は、「中学受験で合格するための学力形成」だけでなく、中学進学後の長い人生を乗り越えていくための「学びの基盤形成のための習練」に大きな比重を置いているからです。志望校に受かったから将来が安泰になるのではなく、どのような学びの姿勢や取り組みを築いたかが子どもたちの将来を決めるのだと思っています。受験で受かるだけをめざすなら、テスト対策のみに的を絞った受験勉強もあるでしょうが、大切なのは社会への参入後までを見据えた備えです。人間形成期の受験ですから、そのことを無視した学習は意味をなしません。

 では、中学進学後を見通した「学びの基盤形成」としての受験勉強とはどのようなものでしょうか。そのことをここで再確認していただき、お子さんの中学進学に向けた花向けと激励の言葉かけをしてあげていただきたいと存じます。

 中学校に進学すると、もはや子どもたちは大人の手を借りることはできません。自分の勉強は自分で進めていくことが求められます。子どもたちが進学する中学校は、国立、公立、私立と学校環境の形態はさまざまでしょうが、中学や高校課程で定められた学習内容は基本的に同じです。そこでの勉強を充実したものにし、さらなる成長を遂げるには、何が必要でしょうか。弊社がそのために必要なものとして再三保護者や子どもたちにお伝えしてきたのは、「自学自習の姿勢」を培うことでした。

 このようにお伝えすると、「うちの子は、自分から勉強に取り組む姿勢が足りなかった」「やるべきことが、なかなかできなくてイライラした」と、わが子の受験生活での不満を思い出し、「うちの子は自学自習なんてできていませんでした」とおっしゃる保護者もおありかもしれません。しかしながら、自学自習は人生永遠のテーマです。12歳の段階で完成度の高い自学自習を達成する子どもなどほとんどいないことでしょう。その代わり、達成度はともかくも自学自習の姿勢は子どもたちそれぞれにある程度身についています。今後それをいかに継続し発展させるかが大切なのだと心得ていただきたいですね。

 では、お子さんが中学校へ進学してから親子共々心がけていただきたいことについて、これからいくつかお伝えしようと思います。

1.生活習慣の自立性を高め、不規則で自堕落な生活に陥らないようにする。
 中学生になると行動範囲が広がり、もはや子どもについて親の知らないことが増えるいっぽうです。そういうわが子を信頼してやれるかどうかの尺度の一つが、毎日の生活習慣です。朝の起床から夜の就寝までの行動のルーティンが規則正しく繰り返されている子どもは、やるべきことも習慣づけられており、自堕落に陥ることはありません。親の心配は格段に軽減されることでしょう。

 部活や交友、趣味や娯楽など、小学校時代とは比較にならないほど子どもの世界は広がっていきますが、家庭が生活の基地として軸になって機能しているお子さんは、困った状態に陥ることはありません。

2.“メタ認知”と“自己管理”を合言葉にした家庭学習を!
 自分の状態を客観的に見ることを“メタ認知”(自分の認知状態を認知すること)と言いますが、進学校での学習においては、自己の状況を掌握し修正する姿勢が欠かせません。中学受験において、自分の成績状態や単元や領域ごとの自分の実力を振り返り、「何をいつまでにやっておくべきか」を考えながら受験対策の勉強に工夫を加えてきた経験があれば、それが大いに活かされるでしょう。

 また、学校生活においては“予習”や“復習”を怠らない、“授業”を大切にする、“宿題”を計画的にやりこなす、などのことが必須となります。これらが円滑に営まれていれば、中学校での学習で困ることはありません。進度の速い私学で学習が行き詰るお子さんの様子を聞くと、たいがいはこれらの基本的事項の連携が崩れています。中学受験での経験を生かし、自己管理に基づく学習生活をぜひとも継続発展させていただきたいですね。

3.「これだけは譲れない」というこだわりをもつ。
 なにをするにつけ、高い次元に漕ぎつけている人は、自分で自分を許せる最低限の行動の目標水準を設定し、「これだけは譲れない」という意地をもって実行しているものです。

 中学校に進学すると、勉強だけでなくいろいろな行動において、このようなこだわりがあるかないかで進捗状況が大きく変わるものです。中学校進学にあたっては、「最低限、これだけは絶対にやり遂げるぞ!」というゆずれない一線を設け、それを実行に移すことにこだわりをもってほしいですね。文武両道を果たすうえでの心得の一つとして、親からぜひアドバイスしてあげていただきたいことです。

4.中学生以後は、おとうさんが話し相手、相談相手に!
 子どもの中学受験に関わったのは、主としておかあさんであろうと思います。生活面への配慮も欠かせない年齢期の受験ですから、当然そうなるでしょう。いっぽう、子どもが中学生になってからは、話し相手、相談相手としておとうさんがクローズアップされるかもしれません。

 思春期以後の子どもは半分大人です。抱える問題や悩みも、将来の進路、込み入った友人関係、クラブなどの組織面でのトラブルや不満など、複雑化します。そんなとき、おとうさんが頼れる話し相手、相談相手となってくれたなら、どんなにか心強いでしょう。思春期前後の子どもは、敏感で反発し易いものですが、社会で生じる様々な問題について(相対的に)経験豊富なおとうさんは、子どもにさりげなく適切なアドバイスができる貴重な存在です。おとうさんは、子どもと冗談を言い合いながら、気持ちの整理や切り替えを促す役割にうってつけの存在です。思春期におとうさんとのコミュニケーションが豊富にあれば、先々の進路を考えるうえでも随分と視野を広げることができるでしょう。悩み多き時期に精神的支柱となる存在があることは、子どもにとって救われることなんですね。

 

 保護者におかれては、上述のことがらも参考にしていただき、お子さんが中学校に進学されるにあたり、お子さんに提案や激励の言葉を投げかけてあげていただきたいと思います。和やかな雰囲気のもとでお子さんにはなむけの言葉をかけてあげることで、お子さんが新たに始まる中学校生活に期待や意気込みをもって臨まれれば、幸先の良いスタートが切れることでしょう。いよいよお子さんは、親の手から徐々に離れていきます。この春からの親子関係はまた一歩前進し、大人同士のそれへと近づいていくのが自然な流れでしょう。

 とは言え、子どもにとって親は永遠に乗り越えることのできない存在です。親はいつまでも親であることには変わりありません。愛情深く、粘り強く、わが子が立派な大人になっていく過程を見守り応援してあげてください。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 家庭学習研究社の特徴

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