夏休みには、小さくて大きな成長作戦を!!

2019 年 6 月 17 日

 まだ夏休み到来までに1カ月余りあり、少し早いかもしれませんが、夏休みを活かしてお子さんの成長を引き出すためのちょっとした提案をしてみようと思います。現在今回の記事が何らかのヒントになり、夏休みをお子さんの成長に向けたアイデアがまとまったなら、ぜひ実行に移してみてください。

 とは言え、ご提案するのは特別なことではありませんし、わざわざ筆者がお伝えするまでもなく、すでにお子さんに十分備わっていることかもしれません。それは何かというと、「計画性」「粘り強さ」「実行力」など、受験勉強を円滑に進めるために欠かせない諸要素を強化しようという提案です。

 受験勉強は志望校合格をめざしてするものですが、「どういう取り組みで受かるか」という視点に基づいて勉強すれば、子どもの生きる力を育むといった意味においても、少なからぬ収穫が得られるものです。その意味において、上記の三つを養いながらの受験生活を実現すれば、今後の人生の歩みに計り知れない可能性が広がっていくのではないでしょうか。そこでこの夏休みの到来にあたり、次のような目標を親子で話し合ったうえで掲げてみてはいかがでしょうか(一つだけでも構いません)。

 子ども、特に男の子を意識して意気込みや気概を刺激する言い回しにしてみました。いかがでしょうか。ほんとうに当たり前のことですが、実はこれがなかなかできないことだということも、保護者の方々はよくご存じだと思います。また、計画性や試行錯誤する力、実行力を携えていることは、今日の社会を生き抜くうえで必須のことですから、受験生活を通じて養えれば今後の学習に威力を発揮するのみならず、社会に出てから自分を通用させるうえで大きな強みになることでしょう。お子さんが喜ぶような言い回しを工夫し、標語のように掲げてみてはいかがでしょうか。

 勉強はできるのに、自分で状況を判断し自ら対処することができない。苦難を自らの努力で乗り越えるバイタリティが不足している。……これは、難関大学に在籍する学生に多く見られる近年の特徴だそうです。特に、大都市圏の高偏差値で知られる中高一貫校の出身者に多いと言われます。これでは何をすべきかをあらかじめ明確になっていることならできても、予期せぬ事象に遭遇したり複雑な難題にぶつかったりしたとき、周囲から頼りにされる人間には到底なれないことでしょう。

 夏の講座が始まる前に、ぜひ親子で話し合いの場を設け、親が何を期待しているのかを伝えてあげていただきたいですね。夏休みの講座への参加にあたっては、どのご家庭にも「学習計画表」を作成していただくことになっています。それにからめて、「勉強は、自分のためにするものだ。じゃ、どういうふうに取り組んだらいいと思う?」と問いかけ、お子さんの反応を引き出しながら、今のお子さんが克服すべきテーマは何かを絞り込んでいくよう導いてあげてください。

 そのプロセスにおいては、おとうさんやおかあさんの職場の人間模様などを織り交ぜ、できる人はどういう姿勢をもった人か、他者から信頼されて頼られる人はどんな人物かを言って聞かせ、夏休みの学習にどう取り組むかで、そういう人間に近づけるかどうかが決まるのだということを伝えれば、お子さんは親の期待をしっかり理解されると思います。無論、夏休みになってからのわが子の取り組みの様子を見守ったり、定期的に報告させたりしながら、承認や励ましの言葉をかけることも忘れないでいただきたいですね。

 

 ずいぶん前のことですが、6年生になるときに受験を思い立ち、親に頼んで塾通いを始めた男の子がいました。たまたま筆者の担当クラスにいたのですが、子どもながらあっぱれというべき素晴らしい取り組みをしていました。

 初めての塾通いですから慣れるまでが大変だったろうと思います。しかし、筆者のアドバイスや声かけを真正面から受け止め、必死でくらいつくかのように勉強をやり抜き、とうとう最難関私学に合格しました。初めは「受験をしてみたい」という程度の気持ちだったのでしょうが、塾に通って勉強するにつれて「みんなに追いつきたい」に変わり、次には「自分の納得の行く勉強をしたい。もっとできるようになりたい」になり、ついには「やるべきことをやらないと自分が許せない」といったように、どんどん意識が向上していきました。成績面の不安をおかあさんが口にされたとき、「僕は、そんなことのために勉強してるんじゃない!」と一喝したほどの気概溢れる少年でした(このエピソードは本人から聞いて知ったのですが、驚きました)。ここまでくれば、彼はどこに行っても通用する人間に相違なく、もはや志望校合格のほうはおまけに過ぎないとすら感じたほどです。

 「なかなかわが子の取り組みに進展が見られない」「いったい、やる気があるんだか…」などと気を揉んでおられる保護者はありませんか? 上記エピソードの少年も、6年生の夏休みの段階ではまだテストで全体平均点すらとれない状態でした。「計画性」と「試行錯誤を厭わない粘り強い取り組み」、そしてやり切る「実行力」、この三つを磨いていけば、子どもは見違えるように変われますし、そのレベルをあげて行けば将来は前途洋洋です。

 子どもの成長は環境次第の面が多々あります。親がどのような期待を差し出してわが子の成長を応援するか。学習塾がどのような学習指導によって合格へと導くか。そうした諸々のことが学力のみならず子どもの取り組みや人間形成に大きな影響を及ぼします。一緒に子どもの成長を応援しましょう。

 今回掲げた夏休みの目標例は、ごく当たり前のことばかりです。しかし、この当たり前のことがしっかりできることこそ、よい人生を歩める人間になるための必須事項だと思います。三つのうちの一つだけでも結構ですから、この夏休みの達成目標にしてみませんか? うまくできなくても叱るのを我慢し、親の願いを愛情深く伝えてやりましょう。目の前の小さな目標を達成することから、子どもたちの大いなる成長は可能になっていきます。


 この夏休みを、わが子の特別な成長の舞台にしましょう!

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 子育てについて, 家庭での教育

おすすめの記事