親の声かけ・励まし原則 ~あいうえお~

2019 年 8 月 5 日

 早いもので、夏休みも中盤に入ろうとしています。お子さんは早寝早起きを励行し、毎日規則正しい生活を送っておられるでしょうか。今回は、小学校の低学年~中学年児童をおもちの保護者に向け、夏休み期間の留意事項を主にお伝えしようと思います。

 はじめは生活のスケジュールに沿って行動していたのが、段々とやるべきことがルーズになったり、勉強も目先の遊びにかまけておざなりになったりしているお子さんはありませんか? だらけた夏休みの生活態度が、これまで培ってきた行動や学びの姿勢を台無しにしてしまわないよう、保護者、とりわけおかあさんがたには、お子さんの様子を見守り、タイミングのよい声かけと励ましを忘れないでいただきたいですね。

 こうした配慮がとりわけ求められるのが、低学年~中学年児童をおもちのおかあさんでしょう。というのも、児童期中盤までの子どもには、まだしっかりした規範意識が根づいていません。その場その場の雰囲気や気持ちに流されがちな年齢にあります。いっぽう、ほぼ生活の全てを親に委ねている年齢期ですから、親がどう出るかということは、子どもに対して圧倒的な影響力をもちます。そこをどう生かすかが親に求められる重要なポイントでしょう。

 たとえば、低学年児童の勉強ぶりは、おかあさんがどれだけわが子の勉強に期待を寄せ、熱心に関わっておられるかで決まります。弊社の低学年部門の教室に通っているお子さんで、授業担当者が感心するほどよい学びかたをしているお子さんの特徴は、学びに元気があること、そして、提出プリントにおかあさんの愛情深く熱心な励ましがたくさん書かれていることです。以下は、低学年部門(ジュニアスクール・玉井式国語的算数教室)の授業担当者を通じて確認した、「できる子」の家庭学習と提出プリントの特徴です。

★家庭勉強の時間が決まっていて、やるのが当たり前のようになって
 いる。

★保護者が、子どもの勉強に常に関心をもち、熱心にサポートをされ
 ている。

★保護者が、プリントの
つけをするだけでなく、賞賛と励ましの
 コメントを書いておられる。

★保護者が、一緒に考え、必要に応じてアドバイスをするような
 関わりをされている

 これを見ていただくと、子どもの学びの状態がよいのは、ほとんどおかあさんの努力の賜物であるということがわかりますね。年間を通じて最も暑さの厳しいこの時期、仕事に家事に追われて疲労がたまり、わが子のことまで手が回らなかったり、余裕をもってわが子と接することができなくなったりしているおかあさんもおられるかもしれません。しかしながら、お子さんは今一番おかあさんの目配りや気配りが必要な段階にあります。ぜひがんばっていただきたいですね。

 今回掲げたタイトルは「いったい何のこと?」と思われたかもしれません。これは、夏休みにおかあさんがたに意識していただきたいことを「あいうえお」で箇条書きにしてみたものです。お子さんの様子に、「イラっ」としたときなど、この「あいうえお」を思い出し、心に余裕を取り戻していただきたく思います。

 筆者が中学受験指導の現場にいたとき、勉強の取り組みがよいだけでなく、立ち居振る舞いのすばらしいお子さんに共通していたことの一つに、「保護者(おかあさん)が、いつも優しく見守りながら、お子さんを応援しておられる」ということがあります。

 疲れていたり、心に余裕がなかったりすると、叱って無理に勉強させるしか方法がないかのような心境に陥りがちです。しかし、それをやってもその場限りの効果しかないことは先刻承知のことでしょう。親の望むような子どもにするには、子どもの心に「おかあさんは、自分を心から応援してくれている」という思いを植えつけることが一番大きな作用を果たします。このことを肝に銘じていただきたいですね。

 もう一つ、子どもの学びに・計画性と自主性を育てるための親の関わり、子育てスタンスについても、一貫した考えに基づく働きかけが肝要だと思います。以下は、日本有数の中高一貫進学校の校長をされていた先生の出された書物にあった、おかあさん向けのアドバイスです。よろしければ参考にしてください。

 毎日一定の時間に机に向かわせる――低学年の場合であればそれが学校から帰ってすぐか、食事のあとか、と考えるのが勉強計画です。高学年になれば、さらに計画の内容は細かくなり、達成目標なども書き加えられるでしょう。
 こうした勉強計画は、まず、子どもに考えさせることです。低学年ならば、親が子どもにヒントを与えて考える手助けをしてやらねばなりません。「御飯がすんだあとでやる」と子どもが答えたら、「でも、その後はいつも見るテレビの漫画もあるし、お風呂にも入らなければならないわよ。じかんがあるかしら」と母親はアドバイスします。こうして、何とか母親の考えている計画に近づけていけばいいのです。
 避けたいのは、一方的に〇時から〇時までは勉強、次はピアノ……と親が計画を押しつけることです。子どもの心にも自尊心はありますし、自分の意見を取り入れてほしいと望んでいます。それを全く無視して、母親の都合のいいスケジュールを押しつけては、子どもは張り合いを失います。
 子どもが考える計画は、突飛であったり、不可能であったりするかもしれませんが、そこには必ず本人の意欲が反映されています。その勉強意欲を失わせることがないように、親は意見や希望を述べて、双方が納得する計画を作ることです。あくまで子ども自身が作った計画です。押しつけられた計画は破ることに積極的になれても、自分で定めた誓いを破るのには、消極的になるものなのです。

 結局、わが子の自主性を育て、ものごとを適正に処理できる人間にするいちばんの方法は、わが子を信じてやらせてみることでしょう。それが功を奏するには、親子の信頼関係をしっかりと築いていることが前提となります。その信頼関係の礎となるのは、低~中学年児童期までの熱心な関わりと応援でしょう。

 親の目を盗んで遊んでしまう子どもになるか、親が目を光らせなくてもやるべきことをちゃんとやれる子どもになるか。それはわが子が小学生時代まで親の関わりかたで決まるのだと言えるでしょう。親が絶大な影響力をもつ今のうちにこそ、このことを胸に留めてがんばっていただきたいと存じます。

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