学院と清心の先生をお招きしたイベント 実施報告1

2019 年 11 月 25 日

 11月15日(金)には、広島学院とノートルダム清心の先生をお招きしたイベントを実施しました。「学院と清心 素顔の魅力がここに!」という呼称の通り、両校のよさをできるだけ素のままにお伝えしようという趣旨の催しです。会場は東区光町(JR広島駅北口より徒歩6~7分)にある広島ガーデンパレスでした。今回は、そのときの模様を簡単にご報告しようと思います。

 当日の話者としてお招きしたのは、広島学院広報部長の倉光望先生とノートルダム清心校長の神垣しおり先生でした。お二人はそれぞれ学院と清心の卒業生であり、年齢も近いことから高校生時代にはすでに面識があったということを、筆者もかねてより伺っておりました。お二人は広報活動でジョイントされる機会も多く、しかも卓越したプレゼントークのできる方々なので、「まさに、この催しの意図にピッタリの先生がただ」と、確信をもってお声がけした次第です。

 この催しは、中学受験の専門塾である弊社の主催する催しです。そこで開始に先立ち、まずは広島の中学受験の状況をごく簡単にご紹介しました。

 近年は全国的に公立一貫校が数多く設立されています。広島県にも何校かありますが、いずれの学校も注目や期待を集めています。いっぽう、以前から数多く存在する私立一貫校はどうかというと、こちらも女子校や男子校の共学化や既存の私立高校の中高一貫校化などがあり、受験生の受け皿が増えています。今や、広島県の西部地区には国・公・私立の中高一貫校が23校あります。これは西日本では広島以外にあまり見られないことです。このように数多い一貫校のなかでも、広島学院とノートルダム清心は戦後間もなくの設立当初から高い評価を受け、以来今日まで私立の男女一貫校の最難関としての地位を不動のものにしています。したがって、弊社の会員受験生にとってもあこがれの目標校であるのは言うまでもありません。そのことをご紹介したうえで、当日のプログラムを開始しました。

 第1部は、「広島学院と清心の成り立ちと教育理念」というテーマを掲げました。私立学校にとって、建学の精神や理念は存在理由そのものです。これらなくして学校は存在し得ないものであり、何よりも大切なものです。「どうしても保護者に知っていただきたい」という思いでこのテーマを選びました。

 ただし、こうした話題について話すとなると大概は固い雰囲気になってしまいがちです。そこで、学院清心両校の学校設立の経緯や教育理念等について、コンパクトにまとめたお手製の映像(「広島市カトリック学校の歩み」)を制作されているということで、それを利用させていただきました。

 本催しの紹介ブログ記事でお伝えしたように、両校は戦後まもなく設立されたわけですが、その趣旨として共通しているのは、「教育の力で日本に再び光をともしたい」というという願いに基づいていることです。学校設立の場所として広島が選ばれたのは、何と言っても原爆が投下された地だということでしょう。アルペ神父は、原爆で自ら被ばくされたにも関わらず、リアカーを引いて被ばくされた方々を運んでは看病し続けました。そして、広島への支援を世界中に訴えられたそうです。そうした活動に呼応する形で、カトリックの修道会の方々が広島に私立学校を設立されるに至ったのです。

 ノートルダム清心が設立されたのは1950年ですが、これはナミュール・ノートルダム修道女会のシスターたちの働きによるものでした。「広島に原爆を投下したのはアメリカなのだから、被ばく地である広島に学校をつくるのがふさわしい」と考え、己斐の丘に私立の女子学校を設立されました(当時の様子が、ほほえましいエピソードとともに紹介されていました)。広島学院は、それから6年後の1956年に、旧浅野藩の別邸のあった古江の地(当時は雑木林)に、シュワイツェル神父達によって設立されました。費用は主にアメリカからの募金で調達されましたが、地価がアメリカよりもはるかに高いため、用地確保のための資金集めにはずいぶん難渋したそうです。これはほかの何かで知った話ですが、敷地を整えるにあたっては、神父自らブルドーザーを操縦されたとか。

 このように活字にすると、やはり堅い話になってしまいますね。両校に興味をもっていただいた保護者には、ホームページを閲覧したり、学校案内を取り寄せたりするなどして、詳しいことを確認していただければ幸いです。第1部のご報告の締めとしてお伝えしたいのは、「学院も清心も、金持ちが贅を尽くしてつくった学校などではなく、カトリックの信仰に基づき、慎ましい生活をされている信仰厚い方々が、「教育によって日本の復興を」と念じて尽力された結果誕生したのだ」ということです。

 第1部での、先生がたのコメントで筆者の耳に残ったことを簡単にご紹介しておきます。倉光先生は、「学院のパンフレットは毎年刷り直すことをしない」ということをお話しになり(校長が変わられたときだけ刷り直すそうです)、「学校の目標は不変である」「大学への合格実績よりも、学校の特色に関心を寄せてほしい」という熱い思いを語っておられました。また清心の神垣校長は、「心を清くし 愛の人であれ」という校是を踏まえ、「『どんな人が愛の人なのかな』ということを、6年間をかけて学ぶのが、清心での中学・高校生活です」と言ったようなことをお話しになりました。どちらの先生からも、「ただ大学への進学を視野に入れるのではなく、心の豊かな人間となるための学びの場として本校の教育に価値を見出してほしい」という、強い思いが感じられたことをつけ加えておきます。これは、学校設立の経緯を振り返ると大変納得がいくことですね。

 では、第2部の内容の紹介に移ろうと思います。第2部は、「学院・清心のイメージと実像」というテーマでお届けしました。以前のブログ記事にも書いたように、学院と清心は「お堅い」「優秀」「上品」といった固定観念に基づくイメージがつきまといます。おそらく、カトリック系・最難関私学・制服のデザイン・丘の上にある学校などの特徴が結びついてできあがったものでしょう。それはほんとうなのか、実際はどうなのかという視点から、「素のままの学院と清心」に迫ってみようと企画したプログラムです。

 学院→清心の順で、それぞれ「生徒さんのインタビュー映像」と「生徒さんのアンケート結果」をご紹介しました。お子さんや保護者のみなさんのイメージや予想とどれだけ一致しているでしょうか。

 学院の生徒さんへのインタビューの人選は、倉光先生に一任したのですが、中1とは思えないほどしっかりした生徒さんで、インタビューでの質問に対して理路整然と答えてくれました。多数の候補者の中から選んでくださったのだろうと思っていたところ、「廊下を歩いている生徒で、家庭学出身者を適当に見つけて声をかけただけだ」と、人選について意表をつく裏話をされました(「ルックスも考慮した」という冗談も交えて)。確かに、「いかにも学院生」と言わんばかりの清潔で整った顔立ちの生徒さんでした(筆者も先入観に染まっているようです)。

 この生徒さんによると、入学するまでは「真面目で勉強ばかりやっている学校」というイメージがあったが、入ってみると和やかな雰囲気で、休憩などの時間には友達と遊んでいる」そうです。「部活はサッカーをやり、今は文化祭に向けて合唱の練習に励んでいる」と報告してくれました。目下の目標は、「友達に成績で勝つこと」と語ってくれました。それを受け、倉光先生は「まだ自分のことしか視野に入っていないですね。これから6年間かけて成長し、他者に目を向けられる人間に成長してくれるでしょう」というコメントをしてくださいました。
 
 以下は、広島学院の中1と高3の生徒さんへのアンケートの結果を簡単にまとめたものです。

●学院生へのアンケート結果

 続いて清心の生徒さんへのインタビュー映像をご紹介しました。こちらは高校2年生の生徒さんで、きりっとした風貌で理路整然と話をされる生徒さんでした。「こういう頭脳明晰でしっかりとした清心生の先輩を見ると、受験生の子どもたちはさぞあこがれるだろうな」と思わせるものがありました。

 この生徒さんは、高2ながら部活に生徒会活動に積極的な活動をされている様子を報告してくださいました。清心での学校生活については、「ずっと6年間一緒なので、深いつながりができる」という点を長所にあげておられました。また、「みんな高い目標をもって努力をしているので、自分も同じように目標めざしてがんばれる環境です」と言い、「大学受験が近づいているので、部活もこれでおしまいにし、大学受験に向けてがんばります」いうようなことも話してくださいました。

 では、生徒さんへのアンケートの結果をご紹介しましょう。

●清心生へのアンケート結果

 第2部までで、随分長くなってしまいました。ここまで読んで(見て)いただき、どんな感想をおもちになったでしょうか。「だいたい想像通りだった」という人もおられれば、「思っていたのと全然違っていた」という人もおられるかもしれませんね。

 広島学院とノートルダム清心は言わずと知れた県内トップランクの進学校です。しかしながら、広島学院の倉光先生は、「本校を進学校という側面だけで見てほしくない」といったニュアンスのことを常日頃おっしゃっています。その理由は、今回の記事内容からおおよそおわかりいただけたのではないかと思います。私学人は、設立当初からの教育にかける熱い思いを大切にしておられるのでしょう。だからこそ、大学進学のことだけを視野に入れて入学するのではなく、学校の教育に対する考えをきちんと受け入れて成長してほしいのですね。このことに関しては、後半の記事を終えてまた簡単にまとめてみたいですね。どうぞよろしくお願いいたします。

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

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