2020 年 6 月 1 日 のアーカイブ

“授業”再開を機に、理想の受験生活を築こう!

2020 年 6 月 1 日 月曜日

 新型コロナウィルスの新規感染者が全国的に減少傾向にあり、収束の方向に進んでいるように見えます。こうした状況にあわせ、学校や企業の活動も徐々に元に戻りつつあります。弊社でも先週から授業を再開しました。

 ただし、第2波の訪れる危険性も多方面から指摘されているように、まだまだ油断は禁物です。また、再び感染者が増加傾向にある地域も見られます。教室での授業も“3密”を避け、安全を期して行ってまいります。ご家庭におかれても、引き続き感染の予防に向けて十分な配慮をお願いいたします。

 さて、久しぶりに授業を受けたお子さんは、どんな感想をおとうさんやおかあさんに語っておられるでしょうか? 無論、4年部生を始め、今春から会員になられたお子さんにとっては、“家庭学の授業”は初めての体験です。「授業が楽しい!」という感想を語っておられるようなら安心なのですが。というのも、それが起点になり、弊社の教室に通っての受験生活が軌道に乗っていくからです。

 今回は、このことについて少し詳しくお伝えし、弊社の考える「小学生にとっての理想の受験生活」の実現に向けて、ご家庭と学習塾との連携や協力の体制を築いてまいりたいと存じます。

 弊社の学習指導は、「受験で合格できる学力の育成」をめざしているのは言うまでもありませんが、もう一つ重要な柱と位置づけている目標があります。それは、中学進学後に控える長い学びの人生を上手に渡っていくための基盤を築くということです。そのための核となるのは、「自学自習の姿勢」を養うことです。というのも、「自分で学習を算段し、段取りをつけて学べるかどうか」で、大学卒業までの長い学校生活における成果が随分違ってくるからです。

 「小学生に自学自習なんて…」と思われるでしょうか。しかしながら、中学校、高校、大学と学問の水準が上がるにつれ、個々の学びの自立度や自己教育力が学力形成に多大な影響を及ぼすようになります。児童期までの子どもは、大人の庇護のもとにありましたが、同時並行して求められるのは自立に向けた準備をしていくことです。というもの、中学校課程に足を踏み入れると「半分大人」とみなされるようになります。当然、学びにおいても生活においても、自分のことを自分で律していく姿勢が不可欠になるのです。

 しかしながら、中学生になって急に「自分でやりなさい」と言われても、簡単にできるものではありません。自立の姿勢は中学進学以前に築いておく必要があるのです。無論、真の自立は人生を通しての一大目標であり、小学生の段階においては、完全とは言い難いレベルに留まるでしょう。しかし、自立に向けたステップを踏んでいることが重要な意味をもつのです。

 児童期は人間としての枠組みや基盤が形成される時期ですから、周囲の大人が自立を促していくのは至極当然のことであり、理に適っていることです。中学生になると、子どもたちを取り巻く環境はより複雑になっていきます。多くの刺激にさらされ、忙しい毎日を送る中学高校生時代に至ってからでは、自分を変えるのはきわめて困難なのではないでしょうか。おまけに、すでに親の影響力は児童期とは比較にならないほど小さなものになっていますから、全ては本人の意思や努力にかかっています。親としては、今のうちに「うちの子ならやれるだろう」という状態にしておきたいものです。

 本題に入ります。では、弊社の授業を楽しく受けることが、子どもの自立にとってどうしてプラスの影響を及ぼすことになるのでしょうか。実は、集団で学ぶ授業は、うまく機能させれば子どもの成長にとって様々な恩恵がもたらされるのです。自立への意欲についても然りです。弊社が意図する授業の役割は、大まかに言うと次のようなものです。

 1について。毎回テキストの仕組みに沿って、同じ手順や段取りに基づいた授業を実施します。それにより、「授業は、こう受けるもの」という構えを子どもたちに浸透させます。また、後で見直せるよう、上手なノートの取りかたなどもくり返し指導します。2について。授業を通して、「家庭でどのような手順で勉強したらよいか」を少しずつ指導していきます。3について。単元の最も大切な考えかた(理屈)は、全員に徹底させる必要があります。それを理解したうえで、類似問題などに発展していくと、しっかりとしたベースの上に肉付けすることができます。このように、弊社の授業は知識の注入や解法スキルの訓練の場ではなく、新規の知識や考えかたを学ぶ場であり、家庭での一人勉強(学びの自立)を可能にするための指導の場と位置づけています。

 受験での合格のみを視野に入れたなら問題演習を基調とする訓練型の指導も選択肢の一つになります。しかしながら、弊社は子どもたちの中学進学後の学びを視野に入れた結果、このような授業手法が最も望ましいと考えたしだいです。4は、受験生活が軌道に乗るまでは、保護者の方々にもご協力いただきたいことです。小学生までの子どもは、まだまだ自分でやっていることの良し悪しを客観的に判断できません。どうかすると、いい加減なやりかたでも「これでいいや」と考えがちです。うまくできるようになるまでは、大人のサポートも欠かせません。1~4が全てではありませんが、自立勉強に向けた備えを強く意識した授業だということが、ある程度おわかりいただけたのではないかと思います。

 ただし、子どもたちが「授業が楽しい!」という感想を述べるのは、上記のような授業の実践によるものではありません。むしろ、授業が楽しいのは、次のような要素があるからであろうと思います。

 5について。子どもたちに「ここをよく理解してほしい」と願い、理屈を一生懸命に説明しただけでは期待するほどの成果は引き出せません。というのも、詰め込んだ知識はどんなに頑張ったところで忘れ去られるものだからです。弊社に限らず、効果的な指導をする先生は、たとえ話や面白いエピソードに絡めて学習対象が理解できるよう導きます。これによって、子どもたちは「あのときに、こんな話があった」と具体的なエピソードとともに理屈とセットで記憶に残すことができます。これが、「よくわかり、よく記憶できる」につながります。また、授業が「楽しい学びの場」にもなります。好奇心旺盛な時期の子どもには、ことさら効果があるのです。

 6も5と関連しますが、一方的に先生から説明を受けるのではなく、同じクラスの仲間の考えを聞くほうが、子どもにとって参考になったり、新たな気づきにつながったりすることが多いものです。同世代の子どもの考えを知り、「あんなことを思いつくのか。凄いな!」と感心することが、「自分もやってみよう!」になるのです。そして、そのときのやりとりもまた、学んだことを記憶に残すうえで大いに貢献してくれます。

 6もそうですが、7は私たち指導する者が引き出す成果ではありません。塾の提供する環境自体が、子どもにとって刺激的であり、やる気を喚起する効果を引き出すのです。小学生時代の子どもは、みんなの尊敬を集める同級生のところに群がって勉強法を聞きたがります。また、ちょっとした会話をすることで励みを得たりやる気を高めたりするものです。また、成績面でちょうどよいライバルが現れれば、俄然目の色が変わってきます。これらが塾に通う最大の楽しみになる子どもも少なくありません。

 ここまでお伝えしたことで、弊社の学習指導の意図をご理解いただけたでしょうか。子どもは、学ぶ環境を受け入れると伸び伸びとがんばるようになります。ただ勉強を強要されるばかりの環境では、子ども自身に自立に向けた意欲は生まれてこないものです。「自分でやるんだ」という意志のもと、自ら工夫してやるのが当たり前のような状態に少しずつ近づいていけばよいのです。こうした流れに歩調を合わせ、ご家庭においてもお子さんが生活全般において自立していけるようサポートしていただいたなら、より効果があがることでしょう。

 受験での志望校合格に届く学力への到達については、50年以上に及ぶ蓄積ノウハウがあります。「この環境で、このように学んだら、必ず合格できる」という裏付けのもとに指導しています。まずは授業を楽しみにし、励みをもって学ぶ態勢を築きましょう。そこから、大いなる成長に向けた見通しは必ず立ってきます。ときどき、「うちの子は塾に通っているのに全然力がつかない」という話を聞きます。それは塾に通って学ぶことと家庭学習との連動性、それぞれの役割についてご理解いただいていないことも原因の一つではないかと思います。

 保護者におかれては、お子さんがどんな気持ちで塾に通い、どんな勉強をしているのかについて関心を寄せ、必要に応じてほめたり励ましたりしてあげていただきたいですね。また、家庭でわが子がやるべきことを心得て取り組んでいるかどうか、ある程度手応えのある勉強ができているかどうかについても、当分の間チェックしていただけるとありがたいです。弊社においても、前述のような授業および学習指導がきちんとできるよう、指導担当者全員がより一層努力していけなければならないと考えています。ご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 勉強の仕方, 子どもの自立, 家庭学習研究社の理念