ダメな勉強法をいつまでも続けていませんか?

2020 年 8 月 12 日

 今は夏の盛りで、毎日暑い日が続いています。受験生の子どもたちには、睡眠や食事、水分補給などに気をつけ、熱中症や夏バテに陥らないよう気をつけていただきたいですね。

 特に今年は、コロナウィルスの感染問題で学校や塾での勉強にも支障が生じています。受験準備のための学習にも影響がないわけがありません。その意味において、「暑い夏をどう乗り切るか」は、例年以上に合格を得るうえで大きな課題と言えるでしょう。体調の管理に細心の注意を払いつつ、今できるベストの受験対策を実現していただきたいですね。

 子どもたちに与えられた時間は1日24時間。すべての受験生は平等な時間的条件の下で学んでいます。しかしながら、一人ひとりの勉強のクオリティは様々であり、時間を有効に活かした実のある勉強を実現している受験生もいれば、効率の悪い勉強をしている受験生もいるのではないかと思います。受験生はまだ11~12歳の小学生ですから、やりかたの間違いに自分で気づくことができず、いつまでも空回りの勉強をしているケースもあるかもしれません。本人は一生懸命に取り組んでいるつもりでも、時間や労力をいたずらに費やしてしまう。そんなことにならないよう気をつけていただきたいものです。

 そこで今回は、多くの子どもたちにありがちなダメな勉強法を例示してみようと思います。

1.ただテキストを眺めるが如く読むだけでは、せっかく読んだことも理解できないし、成果につながりません。わかったつもりになってそれでおしまいです。漫然と読むのではなく、重要ポイントを理解するつもりで読み、ひとまとまりの区切り目ごとにポイントを反芻する必要があります。「読む→ポイントをチェック」をくり返しましょう。

2.問題を解こうとするものの、考えが行き詰るとすぐに解きかたの解説に目を通すお子さんがいます。これだと表面的には能率が上がって問題を解くペースもはやくなったかのように見えますが、実際には「わかったつもり」になるだけでまったく力はついていません。「こういう勉強法は最悪のものだ」と専門家は語っておられます。安易に解答や解説に目を通さず、まずは試行錯誤のプロセスを挟みましょう。自分なりの考えかたを明確にした後に目を通してこそ、解答や解説は勉強の手助けになります。

3.いつもマナビーテストの前夜になってからお尻に火がつき、テスト対策の勉強に取り組むお子さんがいます。頭のよいお子さんはそれでもそこそこの成績はとりますが、ほんとうの力はつきません。また、一夜漬けの勉強で受験までを乗り切ることは不可能で、やがて高い壁にぶつかってしまいます。テスト前に慌てて勉強するエネルギーがあるなら、それをコンスタントな計画的勉強へと向けるべきでしょう。実はそのほうが楽であり、なおかつ繰り返しや反復による学習効果も生まれ、ほんとうの学力を養うことになります。

4.同じようなタイプの問題ばかり解いても、柔軟な思考を養うことになりませんし、テストの対応力も身につきません。これは時間ばかりかかる効果のない勉強法です。別の解きかたを必要とする問題にも手をつけ、いろいろな対応の仕方を学んでこそ、応用的な力も養われます。

5.テキストで紹介される例題とその解きかたを学ぶのは、その単元の最も重要な柱となる考えかたをマスターするうえで欠かせないことです。スポーツで基本の型を知らずに取り組んだのでは成果があがらないのと同じです。頭のよいお子さんは、「めんどうくさい」と思いがちですが、基本を押さえたうえで問題に取り組んだほうが、結局ははるかに時間もかからず効率のよい勉強を実現することになります。

6.自分の手に負えないときには人の手を借りる。そういう方法を身につけていることも立派な自立の要素です。先生への質問は、自分の疑問解決のためにのみ先生を活用できる最高の機会です。これを活用しない手はありません。また友達同士で教え合うことも、最も効率のよい勉強法の一つだと言われています。わからないことを、同じ年齢の子どもの言葉で説明してもらえるのですから、わかり易いのは当然でしょう。また、友達に教えてあげると、わかっていることをもう一度頭の中で整理整頓することになり、教えた側にも多大な恩恵がもたらされます。お友達との教え合いも大切に!

7.勉強にやたらと時間がかかるお子さんの多くは、集中力の伴わない非能率的な学習に陥っている可能性大です。テキストを読み始めたばかりなのに、すぐボーっとしたり手悪さをしたり、漫画に手を伸ばしたり…。こういう癖がつくと、いくら勉強に時間を費やしても(実際には勉強時間になっていない)効果はほとんど期待できなくなります。そういう傾向の強いお子さんは、少し細かく時間を刻み、休憩を挟みながら勉強してみてはいかがでしょうか。そうやって集中力を少しずつ強化し、時間枠の中で一気にやり切る力を徐々に養っていきましょう。

8.鉛筆や蛍光ペンで重要語句にアンダーライン引くのはよい勉強法の一つです。しかし、むやみやたらと引いたのでは、何が大切なのか、何を覚えておくべきなのかわからなくなってしまいます。丁寧に読んで考え、「これは重要だ。忘れないようにしよう」と思った事柄にのみアンダーラインを引くようにしましょう。その判断を擦るプロセスも、重要事項を記憶するうえで意味のある時間になります。

9.睡眠は、体や脳に休息を与えるうえで欠かせません。また、睡眠中にその日学んだことが脳内で整理整理整頓され、十分にわかっていることとわかっていないことを振り分ける作業が行われます。十分な睡眠時間はそのためにも必要なものです。睡眠不足で疲労がたまると、脳内に有害な老廃物がたまり、ニューロン間の信号アクセスが悪くなって頭が働かなくなると言われます。夜は早めに就寝し、最も頭がすっきりとしている早朝に、前日まで解けなかった難問に挑戦するほうがはるかに勉強の効果はあがります。

 

 どうでしょう。1~9について当てはまるものはないか、お子さんと一緒に点検してみてください。特に、「勉強しているはずなのに、成績が振るわない。どうしてだろうか」と心配されているご家庭においては、今のうちに勉強法にチェックをしていきたいものです。もしも当てはまるものがあったなら、ここで挙げた対応例を参考に、今から間違った勉強を改善していきましょう。

 中学受験のプロセスは、望ましい学習法やルーティンを築き、将来の飛躍に布石を打つ絶好のチャンスです。合格点を入試で取れる学力を備え角が受験勉強の役割ではありますが、筋のよい学びの方法を体得する場にすれば、中学を受験することはより大きな意義をもたらすことになるでしょう。

中学受験のプロセスを、将来の飛躍に向けた備えの場にしましょう!

 

※今回の記事は、「直観力を高める数学脳のつくりかた 」バーバラ・オークリー/著 河出書房新社 の著述を参考に作成しました。

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