2020 年 11 月 6 日 のアーカイブ

中学受験を視野に入れておられる保護者へ その2

2020 年 11 月 6 日 金曜日

 前回(10月27日掲載)は、お子さんの中学受験を視野に入れておられる低~中学年児童の保護者に向け、「今からどんな準備をしておくべきか」「受験勉強で成果をあげられる子になるために必要な要素は何か」などについてお伝えしました。今回は、正式な受験対策の開始を検討しておられる保護者(来春4~6年生になる児童の保護者)に向けた記事を書いてみようと思います。

 受験準備の開始時期として、弊社がお勧めしているのは4年生からです。無理なく学力をつけて志望校への合格を果たすには、3年間という準備期間が最も適切だと考えるからです。実際、弊社でいちばん多いのは4年生春のスタートで、10年以上前からこの傾向は変わっていません。例年、6年部生の6割強は4年部から入会したお子さんです。

 ただし、家庭ごとに、さらにはお子さんごとにそれぞれ考えや事情も違っています。4年生の段階では、まだ受験対策の開始に至らないご家庭もかなりあります。受験が全てではありませんから当然のことです。通学の負担やスポーツや習い事の継続、保護者の方針、お子さんの意向なども考慮し、最終的に「いつから塾に通い、受験勉強をするか」について決定されればよいでしょう(受験以外にも大切にしたいことがあるのは当然です)。弊社では、だいたい3割強のお子さんが5年部から入会されています。

 6年生から受験対策を始めるお子さんもわずかながらおられます。この場合、かなり密なスケジュールによる学習の仕上げが求められますから、お子さんにもそれなりの覚悟や実行力がないと、入試を突破するのは楽ではありません(特に難関校)。しかしながら、そうしたハンディを乗り越え、すばらしい取り組みで高いレベルの目標を突破しているお子さんもおられます。ですから、「3年あったら大丈夫だ」、「1年では無理」などの決めつけは当たりません。要は、やる気と努力次第なのですね(無論、基礎学力も必要)。

 また、準備期間が短い、通塾の負担が大きい、やりたいことをしながら受験勉強をするなど、一般的にはハンディと受け止められがちな条件を乗り越えるプロセスが、実は入試での志望校合格よりもお子さんの将来の歩みに重要な意義をもたらすことも多々あります。受験の成果は結果だけではありません。そういう諸々を勘案して、受験対策の開始時期を決めればよいのではないでしょうか。

 また、受験すること自体をお迷いのご家庭もおありでしょう。お迷いになる理由は、ご家庭それぞれに違うと思います。たとえば、以下のような不安や疑問をおもちのかたはありませんか?

◆保護者がわが子の受験をためらう理由<例>
「うちの子に、受験勉強をやり通せるだけの意欲や力があるだろうか」
「受験はさせたいが、ノンビリ・ボンヤリのわが子がやる気になるだろうか」
「私は受験させたいが、夫があまり乗り気でない」
「小学生が塾通いで夜遅く帰宅するのはよいことだろうか?」
「公立からでもその気になれば一流大学へ行ける。敢えて中学受験する必要があるの?」
「通学や費用の負担を厭わず私学に行かせる価値があるとしたら、それは何?」

「大学で相当な学費が必要だ。中学から学費負担の多い私学に子どもを通わせるのをためらう」
「周囲の大半が地元の公立志向の中、うちだけ受験するのははばかる」
「中1(13歳)から遠方の学校に通学させるのは安全面で不安だ(特に女子)」

「進学の希望が叶っても、うちの子がなじめるかどうか不安がある」

 他にもたくさんあることでしょう。ちなみに、上記の不安や疑問に関するご相談を受けたなら、筆者はそれらを解消したうえで、「受験させてみてください。たくさんのメリットを享受できますよ」とお伝えするでしょう。そのメリットとは、受験のプロセスで得られるものと、6か年一貫校にわが子を進学させたからこそ得られるものがあり、そのどちらもがお子さんの人生の歩みにとって大きな価値を提供してくれるからです。これらについては、一言で説明を終えることは不可能です。今回から次回にかけて、できる限りお伝えできたらと思います。

 まずは、保護者の立場からわが子が受験することの意義や、6か年一貫校に進学することのメリットについて考えてみましょう。挙げるとしたらどんなことがあるでしょうか。一緒に考えてみましょう。

 代表的なものを仮にあげてみました。実際にアンケート調査などで統計を取ったわけではありませんから、あくまで参考にしていただくための例です。おたくではどのように考えておられるのかを、今一度振り返ってみてください。上記の例をご覧いただくと、すぐにおわかりになると思いますが、子どもの受験に対する動機とはだいぶ異なると思います。それを、受験生活の始まりから徐々にすり合わせていくことが必要だと思います。試しに、子どもの側の受験の動機として考えられるものをあげてみましょう。

◇子どもの受験に対する動機<例>
わが子の受験に対する動機も大切に!)
・兄や姉(親戚の子ども)が通っている学校だから
・学校の建物や雰囲気にあこがれるから
・誰でも知っている有名な学校だから
・やりたい部活があるから

・制服が格好いいから
・有名大学に進学する生徒の多い学校
 だから

・賢くてスマートなイメージの学校
 だから

 子どもはまだ受験の意味もよくわかっていない年齢です。ですから、まずは学校に関する情報を得ることが受験に対する関心をもつきっかけになります。わが子を受験させようとお考えの保護者は、まずは身近なところから受験に興味をもたせる情報を探し、親が視野に入れている学校に目を向けさせることから始めたいですね。そういったとっかかりになる情報が見当たらなければ、中学校のHPなどから公開されている年中行事を探し、一緒に見に行ってみることをお勧めします。実際に学校を見て、在校生の様子を見学することで、その学校への興味や憧れの気持ちが一気に芽生えることもあります。学校のパンフレットを取り寄せて一緒に目を通し、お子さんが興味をもちそうな情報に触れさせるのもよいでしょう。

 無論、お子さんがどこからか情報を入手して、受験したいと言い出すケースも少なくないようです。その場合、たとえ親が視野に入れていた学校とは違っていたとしても、一応は受け入れてやりましょう。やがて、塾に通っているプロセスでいろいろな学校の存在を知るようになりますし、何校も受けて構わないこと、そして入試の結果で進学先を決定するのだということも理解することでしょう。

 いずれにせよ、長い期間に渡る受験生活であり、楽ではない受験勉強ですから、子どもの側に理由はどうであれ「行きたい」という気持ちがなければ続きません。お子さんの受験を視野に入れておられる保護者は、受験に興味をもたせることから始めていきましょう。ほとんどのお子さんは、塾に通って勉強する生活が始まると、いつの間にかいろいろな一貫校の存在を知り、進学したい意中の学校への憧れを胸に勉強するようになります。保護者はそういう流れに合わせ、視野に入れている学校の情報を子どもに与えてやればいいのです。

 児童期後半の子どもはすばらしいスピードで心身ともに成長していきます。うまく子どもの気持ちに刺激を与え、勉強を軌道に乗せてやると、半年前とは比較にならないほどの変化が生じるものです。弊社はそのプロセスにこそ、受験をめざすことの意義があると考えています。次回はそのことについて、少し詳しくお伝えしようと思います。よろしければお読みください。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 入塾について, 子どもの発達, 家庭学習研究社の理念