2021 年 3 月 のアーカイブ

受験生活で養うべきはテスト学力だけではない

2021 年 3 月 29 日 月曜日

 今回は、弊社会員の保護者におもちいただきたい視点についてお伝えしたいと思います。前々回、前回に引き続き、講座の開始時期だからこそのご連絡であり、お願いです。最後までお読みいただき、日々の受験生活に生かしていただければ幸いです。

 弊社は中学受験専門の進学塾ですから、お預かりした子どもたちの中学校進学の夢が叶うようお手伝いするのが使命であるのは言うまでもありません。しかしながら、弊社は50年余り前の設立当初から、「子どもの学びの自立」を指導の根本方針として定め、今日までそれを曲げることなく貫いてまいりました。合格力や合格者数が進学塾の生命線であるのは昔も今も変わりませんが、そんななか、弊社はかなりユニークなスタンスの学習塾と言えるかもしれません。

 ただし、この方針の実践にあたっては「言うは易く行うは難し」を地で行くような困難が避けられません。なぜなら、成長途上にある子どもが学びの自立を果たすには、大人の粘り強いサポートが必要であり、学習塾にも相応のノウハウが求められます。だいいち、子育て経験者なら誰でも痛感しておられるでしょうが、小学生の子どもに「一を聞いて十を知る」といったような期待は到底できません。それどころか、「言ったことを少しも実行してくれない、できない」ことのほうがはるかに多いのが現実です。

 また、合格を巡る競争が激しければ激しいほど、受験対策は「いかに試験で高得点を取るか」ということにシフトしがちです。そうなると、子どもの理解の度合いをみながらじっくりと指導する余裕などなくなります。実際のところ、今よりも児童数がはるかに多く、中学受験熱が高かったころには、猛烈な詰め込み・訓練型の受験対策が当たり前のように見られたものでした。

 では、上述のような困難がありながら、弊社はなぜ「子どもの学びの自立」を方針として維持してきたのでしょうか。その理由は、「子どもの中学進学後」にあります。中高一貫の進学校、それも学問レベルの高い学校ほど、自ら学ぶ積極的姿勢が求められます。授業前の下調べや授業後のおさらいをするとしないとでは大きな差がついてしまいます。また、たくさんの宿題を要領よくさばいて提出する段取り力や実行力が必要です(ついて行けなくなるのは宿題を溜める生徒です)。優秀な集団内での自分の位置や状況を客観的に判断し、より望ましい方向へと自己修正していく力も求められるでしょう。これらを一括りにして表現すると、まさに「学びの自立」ということになります。

 中高一貫の進学校で行き詰っている生徒の多くは、テスト対応力に偏る受験対策をして、学びの自立を怠った子どもたちなのです。あるいは努力よりも才能で受かったタイプの子どもたちです。これらの子どもは、自分を律するすべを身につけていないという共通点があります。保護者のなかには、「受かれば後は子どもが何とかするだろう」、「学校がうまく引っ張って行ってくれるだろう」と期待するかたがおられるかもしれませんが、中学校生活は児童期よりもはるかに多様な楽しみが増え、勉強を自立型へと修正する余裕はありません。また、人としての特徴は児童期までにできあがりますから、後で変えるのは至難の業です。

「受かっても、あとで伸び悩んだのでは意味がない」――このように考えた弊社の経営者は、いかに受験競争が激しくても、学びの主体である子どもの自立につながる学習指導を実践しました。つまり、弊社は「受験後」と「将来」を中心に見据えた受験指導こそ、前途ある小学生をお預かりする中学受験塾に求められるものなのだと考えたのです。無論、合格実績が下がるとお子さんを預けてはいただけません。掲げた看板と入試結果とのバランスをいかに整えるか。これは、家庭学習研究社が自らに課した挑戦課題だったと言えるでしょう(今もそれが困難なことは変わりません)。

 近年は少子化が恒常化し、合格を巡る競争も沈静化しています。また、特色のある公立一貫校が次々に開校されています。さらには、既存の私立男子校や女子校の共学化、新規参入の私立一貫校の存在もあり、「中学受験は大変」といった印象もだいぶ薄れています。しかし、それゆえの新たな問題も生じています。ちゃんとした学びの姿勢を築かずとも、ある程度希望する学校に受かる(進学の希望が叶うのは喜ばしいことではありますが)ようになったことです。

 その何が問題かというと、やるべき勉強を自分でやりこなせない生徒が、厳しい勉強を自らに課すべき学習環境に多数存在するようになったということです。これではせっかくのハイレベルな教育環境を生かすことはできませんし、中学高校の6年間で学びを飛躍させることなどできないでしょう。かつての一貫校は、生徒を一人前の人間とみなし、「よい授業をすれば、あとは生徒同士が切磋琢磨して成長していく」ということを前提に自校の教育(いかなる人間を育むか)を実践していましたが、近年は、入学早々からやる気も実行力も足りない生徒のフォローに追われているという話も耳にします。高いレベルの専門教育を受け入れ、自らが望む世界で活躍できる人間へと成長する。それが中高一貫の進学校に通う生徒の望みのはずですが、このようなことでは入学に段階から躓いているようなものです。

 以上から言えるのは、今後ますます「学びの自立」は必要不可欠のものであり、「どの中学校に受かったか」よりも「学びの自立をどれだけ果たして中学へ進学したか」のほうがはるかに将来の歩みを左右する重要要素になってくるということです。グローバル社会という言葉をしばしば耳にしますが、外国の人々との交流において、自己発信力は欠かせないものであり、単に語学力を身につけるだけではグローバルとは言えません。そういった意味においても、中学受験を志す子どもたちには、「学びの自立」につながる受験生活を送り、自分という主体がしっかりと軸にある人間へと成長しながら学力を伸ばしていくよう努めていただきたいですね。

 そこで、子どもの学びの自立に向けたサポートとして、保護者は何をしたらよいかという話になります。実際のところ、ここからが本題なのですが、すでに文字数をかなり使ってしまいました。とりあえず、今回はここでいったん終えようと思います。楽しい話題ではないので、次を読んでいただけるかどうか心配ですが、どうぞよろしくお願いいたします。できましたら、「わが子の学びの自立に向けて、親として何をしてやったらよいか」ということを考えてみていただけたら嬉しいです。

 一つだけ、お考えいただくための糸口をお伝えしておこうと思います。受験勉強は負担の伴うものですから、何の苦痛もなく快適にやれる子どもはいません。ですが、傍から見るとさも楽しそうに取り組んでいるかのように見えるお子さんも結構おられます。どういうことでしょうか。それは、「決めたことをやらずにはいられない」という意識レベルで学んでいるからです。では、どうしたらそんな子どもになれるのでしょう。それを考えてみてはいかがでしょうか。無論、前回、前々回にお伝えしたこととも深く関連しています。よろしければ、もう一度読み直してみてください。

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‟受験生のいる家庭”らしい環境づくりを!

2021 年 3 月 22 日 月曜日

 今回は、新年度の講座が開始して間もないということで、学びの態勢づくり、家庭の環境づくりを話題に取り上げてみました。みなさんのご家庭では、受験生のお子さんの学習がはかどるよう何らかの配慮や工夫をされているでしょうか。

 受験生はまだ小学生の子どもです。高校生ぐらいになると、生活サイクルや家庭の状況に合わせて自分で成果のあがる勉強のスタイルを築くこともできるでしょう。しかし、小学生は親への依存の度合いが強く、周囲の大人が勉強に専念できるような家庭環境を築くべく積極的に協力することも必要でしょう。

 特に今年は新型コロナウィルスの感染問題がいまだに収束しておらず、家庭でオンライン授業を受けておられるお子さんも少なくありません。つまり、いつもの年よりも家での学習の比重が高くなっており、家庭環境が勉強にふさわしいものになっているかどうかが成果に少なからぬ影響を及ぼします。今の環境が受験生のいる家庭にふさわしいものになっているかどうかを、今回の記事をきっかけに今一度振り返ってみていただければと思います。

 たとえば、弊社では個室でお子さんが一人で勉強するような環境よりも、リビングや食卓など親から見える場所での勉強をお勧めしています。なぜかと言うと、小学生はまだ受験するということの意味を理解しているとは言い難く、目先の遊びや誘惑に負けてしまいがちです。勉強を始めたものの、いつの間にか別のことをしていることも珍しくありません。また、年齢的にも自立へ向かう途中にあり、親が見守ってくれたり、必要に応じた声かけをしてくれたりするほうがやる気も高まります。お子さんが一人部屋にこもっての勉強は集中の維持が難しく、親のサポートがほどほどにある状況のほうが気持ちにハリができて学習の効率も高まるように思います。

 では、受験生のいる家庭としての現状を振り返ってみるためのチェック項目をいくつか挙げてみましょう。いずれについても、保護者のアドバイスやフォローで随分違ってきます。

1.どこで勉強している?
上述のように、できれば親の見える場所での勉強をお勧めしています。個室で一人勉強、もしくはきょうだい一緒の部屋での勉強という家庭もあるでしょう。その場合、集中して勉強できているかどうかを保護者がしっかりと見極める必要があります。ちゃんとやっていると思っていたのにやっていなかった。開講後、何カ月も経ってから保護者がそのことに気づくといったような事態は避けたいものです。

2.いつ勉強している?
塾のない日の家庭勉強の時間は、できるだけ同じ時間帯に揃えることをお勧めします。そのほうが勉強にリズムが生まれるし、計画の実行力も高まり、勉強の成果が高まるからです。ただし、週末などは早朝に勉強するのもよいでしょう。これも能率を高める効果があります。

3.バランスのとれた学習計画になっている?
学習計画は、お子さんの生活スタイルやパターン、学力状況に見合った適切なものにする必要があります。無理をしても成果につながりませんし、実行可能で長続きする計画ができるまで、繰り返し微調整していくとよいでしょう。よい学習計画は、よい学習習慣の構築につながり、一生の宝にもなります。お子さんの現状をチェックしながら、親子で話し合って調整しましょう。

4.家庭での勉強(特に復習)の段取りはわかっている?
授業後の復習は学力を定着させるうえで欠かせないものです。ただし、「復習とは何をどうすることか」がわかっていないと、時間を有効に使った学習になりません。たとえば算数ですと、授業で扱われた課題や先生板書を見直し、再度点検したうえで未解決の問題に取り組み、「解答と解説」を参照しながら当該単元の学習内容を理解していく学習が復習に相当します。4年生の場合、お子さんが問題に取り組んだあと、保護者に〇つけをしていただくようお願いしています(お子さんが理解できていない場合、解説を参考にして助言していただければ幸いです)。復習を「宿題」と受動的に受けとめるご家庭もあるようですが、お子さんの自発的学習として積極的な気持ちで取り組むと、より効果を高めることができるでしょう。

5.勉強に集中できる雰囲気はできている?
勉強の時間には、家庭内が静かで落ち着いた雰囲気になっているとはかどりが違ってきます。リビングや食卓での勉強の場合、家族もお子さんの勉強時間い合わせ、読書などに取り組む時間にしていただくと、「みんなでがんばる時間だ」という気持ちになれますので、より効果の伴った勉強になると思います。

6.親はカリキュラムの流れを把握している?
わが子が今何を勉強しているのかを、保護者が知っておくことも必要です(4年生の場合、保護者に〇つけをお願いしているので掌握されていると思います)。教えるためではありません。学習内容を保護者が知っていれば、家庭での会話の際にも適切な励ましができますし、お子さんの現状や気持ちを汲み取った会話が成立することでしょう。そうしたことも、長い目で見たらお子さんに励みを与え、受験生活の充実につながるのではないでしょうか。

7.テストに備えた勉強はちゃんとできている?
マナビーテストで常によい成績をあげているお子さんは、2週間の学習サイクルを手の内に入れ、うまくテスト対策の勉強ができているものです。副教材からも出題されているのを踏まえ、計画的に勉強しているのは言うまでもありません。2週目の後半は「がんばりチェック」という復習内容の勉強になっており、これで単元の仕上げをし、さらにテストの前日に不安なところをおさらいしていれば、かなり安定した成績をあげることができます。つまり、理に適った勉強を継続しさえすれば、どのお子さんも優秀者になれるのです。そういった観点から、お子さんの家庭勉強の状況や流れをチェックしてみてください。

8.わが子の奮起を促す接しかたを知っている?
小学校4~6年生の子どもの学習意欲増進の要は保護者の存在です。なぜなら、この年齢期の子どもは、「親の期待するような人間になりたい」と強く願っているからです。今の段階で親がわが子に発信すべきは、「努力を怠らない人間であれ」という期待ではないでしょうか。そして、努力する姿勢を育てるべくほめ続けるのです。成績を見てほめるのと違い、努力を見てほめるのなら、ほめるチャンスは格段に増えることでしょう。それが子どもの奮起につながります。それを一貫して続けることで、お子さんは受験を乗り切るためのエネルギーを得られますし、何よりも親を尊敬し健全な学力観を携えた人間に成長していくことができます。

 わが子にやる気が見られなかったり、成績が低迷し続けたりすると、親はイライラしたり叱ったりしたくなるものです。ですが、児童期の子どもの学びは保護者の接しかたや対応次第で随分変わります。お子さんを上手に励まし、前向きな取り組みの姿勢を促す親であってください。子どもは、親の愛情を受け止め、何を期待されているのかについて納得すると、それこそ必死になってがんばるようになります。何事も親しだいの年齢期にあるのですね。

 取り組みの方法や学習課題についての望ましい考えかたを指導するのは学習塾に託されている重要な仕事です。私たち指導担当者も、お子さんがこの1年間の取り組みで学力面においても人間としても大いに成長されるよう精一杯努めさせていただきます。

 中学受験は一生で一回きり。お子さんが充実した受験生活を実現できるよう、ともに連携して応援してまいりましょう!

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当面は「いかに取り組むか」を大切に!

2021 年 3 月 15 日 月曜日

 早いもので、2021年度の前期講座が開講して2週間が経過し、13日(土)には最初のマナビーテストが実施されました。お子さんから手応えを得た様子が感じられたでしょうか。

 マナビーテストは、2週間を一括りに設定された学習範囲について、取り組みの成果を各学年の会員児童が全員で競い合うイベントです。単なるまとめのテストや確認テストといった意味合いで捉えるのではなく、「たくさんの塾生のなかで、自分がどれだけの力を発揮できるかを試すのだ!」という意気込みをもって挑戦することが重要です。それが高い次元の学力へと到達するために欠かせないポイントです。テスト結果をお知らせする資料に優秀者の氏名を掲載しているのはそのためです。つまり、子どもたちはこのテストを励みにしながら互いに切磋琢磨して学力を伸ばしていくわけです。これが家庭学習研究社の提供する‟子どもを伸ばす”学習環境です。

 ただぼんやりと授業を受け、家庭で勉強し、何となく2週目の終わりにテストを受けるのではなく、上述のように積極的な気持ちでテストに挑んでいけば、1年もすれば大変な変化が約束されます。「次はもっと!」という張り詰めた思いが、子どもを短期間のうちに驚くほど成長させるのです。新4年生や5年生にとって、受験はまだまだ自分のこととして受けとめるには無理があります。「中高一貫校とは、受験とはどういうものか」についてよくわかっていない段階においては、「合格をめざしてがんばれ!」と激励してもさほど効果はありません。ですから、もっと身近なわかり易い発奮材料や目標を子どもに与えてやる必要があります。それがマナビーテストという制度なんですね。

  このように、基礎力養成期(4年部前期~6年部前期4月末)に実施するマナビーテストは、まだ受験への目的意識が定まらない子どもたちに、明確で具体的な目標を提供するためにあるのだといってもよいでしょう。無論、個々が設定すべき目標はそれぞれに違っていてよいのです。どのお子さんも「テストを受けるからには1番を取りたい!」という気持ちがもっているでしょうが、この目標を達成して満足を得られるのはたった一人に過ぎません。まずは前期開始後の1~2回のマナビーテストの結果をもとに、当面の目標、たとえば「平均点以上をめざす」「〇番以内に入るのをめざす」「ミスをとにかく減らす」など、現在の状態や課題に沿った実現可能な目標を設定し、その達成に向けてがんばっていただきたいですね。

 さて、ここからが今回筆者が会員保護者の方々にお伝えしたい事柄です。塾で授業を受け、家庭学習に取り組んだ成果を競い合うのがマナビーテストですが、「どのように授業を受けているか」「どのように家庭学習を行っているか」によって、結果は随分違ってきます。望ましい学習の態勢を築かずに十分な成果を得ることはできません。そこで弊社は、開講後しばらくの間は「授業の受けかた」や「家庭学習の進めかた」など、家庭学習研究社での受験学習の基本となる要素を子どもたちが理解し、日々の学習にとり入れていくことに指導の焦点を当ててまいります。そうして、学びの態勢が整ったなら、冒頭でお伝えしたような、高い意気込みを背景にマナビーテストに挑戦する受験生活へと自然と移行していけるのだとお考えください。

 ときどきみられるケースですが、開講後1~2回のお子さんのテスト成績にショックを受けられる保護者がおられます。これは親子共々「授業」と「家庭学習」の役割や連動性を理解しておられず、実のある勉強ができていなかったり、空回りの勉強になっていたりした結果です。そのことに気づかず、「うちの子はできないんだ」と思い込まれる保護者もおられます。

 弊社の授業は、それぞれの学習単元で最も基本となる大切な理屈をみんなで一緒に考えながら理解へと漕ぎつけることを念頭において実施しています。ですから、授業ではたくさんの問題に取り組むわけではありません。授業で大切な基本を丁寧に学んだあと、家庭ではテキストの基本問題をおさらい(復習)し、練習問題や発展問題に取り組んで質と量のバランスをとる必要があります。このような連動性のある勉強をすることで学力をつけていく仕組みになっています。

 また、計算技能の習熟や漢字のマスターなどは、授業で扱わなくても家庭でやれることですから、家庭学習用の副教材に組み入れています。ご存知かと思いますが、この副教材の学習に励みを与えるため、一定数をマナビーテストに出題しています。家庭学習の計画に副教材の学習を入れ、しっかり取り組んでおられるでしょうか。これをやっていればテストの成績に加算されるよう配慮しています。やればやっただけ成績に反映されますから、「やらねば損」ですよね。また、やるのを当たり前にすることで、自然と基礎となる必須事項が備わっていきます。

 以上お伝えしたことを大ざっぱではありますがまとめておきます。開講後しばらくの間は、次の点をしっかりと押さえた学習をしていただくようお願いいたします。

 妥当な学習計画がどのようなものか、4~5年生のお子さんが判断するのは難しいと思います。そこで、親子で一緒に考え、無理のない計画を立てていただくようお願いしています。開講して2週間余りが経ちましたが、すでに計画に問題が生じているかもしれません。その場合、これから少しずつ微調整しながら実行できる無理のない学習計画にしていただければと思います。

 4年部生の場合、お子さんがテキストの問題に取り組んだあと、保護者に〇つけをお願いしています。「○つけぐらい自分でできるだろう」と思われるかもしれませんが、子どもは漢字に一本線が足りなくても、「似ているから〇だ」などと判断しがちです。できるだけ保護者がチェックし、不十分な点をやり直すよう促していただければありがたいです。

 なかには、熱心に算数の問題の解きかたを研究される保護者もおられます。ですが、保護者には全部を教えてしまうのではなく、考えかたの切り口に気づかせるヒントを与える程度に留めていただくようお願いします。また、その場合にも授業日ごとに配布する「解答と解説」をよくお読みいただき、小学生の段階の望ましい考えかたで解決する力を身につけるようご配慮ください。方程式や公式ではなく、理詰めで解き明かしていく醍醐味を味わえるのが算数の魅力であり、それを繰り返し体験することで将来学力の花を咲かせていくうえで欠かせない頭脳が育成されていきます。ご理解ご協力のほど、よろしくお願いします。

 決めたことを実行に移すのは大人でも難しいものです。ですが、日課として定めた学習に取り組む習慣が定着すると、やがて「やらずにはいられない」という状態になっていきます。そこまでいけば、受験での成功は間違いありません。逆に言えば、そうなるまでが大変であり、保護者にとっても苦労が多いわけです。大変ですが、保護者にいちばんがんばっていただきたいフォローはこれに尽きるといってよいでしょう。子どもは、遊びが尾を引いて時間になっても机に向かわないことがよくあります。そんなときは軽く声をかけて促すなど、さりげなくお子さんを見守りながら粘り強くフォローをしていただけるとありがたいです。

 無論、受験勉強に関わる重要なことは授業日に少しずつお子さんにお伝えしています。しかしながら、お子さんが家庭で実行されなければ成果につながりません。「わが子はやるべきことがわかっているか、やるべきことをしているか」という視点に立った、保護者の見守りやフォローもお子さんの受験生活を軌道に乗せるうえで非常に大切なものだとご理解いただき、お子さんの受験生活が少しずつ軌道に乗るよう応援してあげてください。

 まずは、お子さんが自発的に机に向かって勉強に取り組む、生き生きとした受験生活を実現しましょう!

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2021年度 弊社会員の中学入試合格実績と進路選択状況

2021 年 3 月 5 日 金曜日

 今回は、2021年度中学入試における弊社会員受験生の合格状況と、進路選択の様子をご報告しようと思います(わずかですが、進路の確定が済んでいない受験生もいます)。

 今年の受験生は、コロナパンデミックのさなかで受験生活を送るという不運に見舞われました。塾での授業が休止状態になったり、慣れないオンライン授業を活用したりするなど、予想もしない事態に至ったわけですが、受験生のみなさんは予期せぬ困難を乗り越えて、最後までほんとうによくがんばり抜きました。何はさておいても、そのことを褒め称えたいと思います。コロナウィルスの恐怖にさらされながら受験を体験したことは、一生忘れられない体験になったことでしょう。

 広島の中学入試を概観すると、志願者数は今年も例年に引き続き横ばいもしくは若干減少気味でした。そんななか、減少が目についた学校もありました。県立広島中学校や広島中等教育学校などは、開校以来安定した人気を維持していますが、今年は交通手段や通学距離などの問題等から受験を控えた受験生もあったのではないかと思います。前者は広島市域からの受験生がかなり減っていました。また後者は、通学の手段がバスに限られるなどの点が影響したのではないかと考えられます。いっぽう、なかには大幅に志願者を増やした学校もありました。崇徳中学校は共学化が功を奏したのか、志願者が大幅に増加し、合格を得られなかった受験生も相当数あったようです。

 弊社は、50年余り前の創設以来、広島の最高峰の私学進学をめざす受験生の夢を実現することを主目的に活動してきました。それは現在も変わっていません。別表の実績を見ていただいてもおわかりいただけると思いますが、広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院の合格者、進学者が多いのはそのためです。今年は弊社から、この4校に232名が進学します。弊社は、実際の進学者数を塾評価の重要な指標の一つと認識しており、そこにこだわりをもっています。そういう理由もあり、合格者数とともに進学者数も公表しています。また、受験校の選択に関して塾の側から家庭に介入することは一切せず、「行きたい中学校への受験と進学を支援する」というスタンスを基本としています。

 それゆえ、入学者選抜の形態の異なる公立一貫校への進学をめざす受験生には、その希望がかなえられるよう可能な範囲でサポートを行っています。また、歴史と伝統のある広島大学附属中学校は、弊社会員にも高い人気があります。以下でご紹介する合格実績、進学実績は、こうした弊社の活動の現状を示す参考資料としてご確認いただければ幸いです。

 上記の中学校以外では、AICJ中学校(私・共)に25名が合格し3名が進学、広島国際学院中学校(私・共)に14名が合格し4名が進学、修道大学ひろしま協創中学校(私・共)に12名が合格し4名が進学、崇徳中学校(私・共)に4名が合格し1名が進学、武田中学校(私・共)に3名が合格し2名が進学、比治山女子中学校(私・女)に21名が合格し5名が進学、山陽女学園中学校(私・女)に2名が合格し1名が進学します(ここではご紹介しませんが、県外の私立中学校受験者も若干名おられます)。

 さて、つぎは国・公立の中高一貫校の入試結果と進路選択状況をご報告しましょう。

 上記以外では、広島大学附属福山中学校に1名が合格し進学します。また、中高一貫ではありませんが、広島大学附属東雲中学校に7名(男4・女3)が合格し6名(男3・女3)が進学します。

 広島大学附属中学校の入試結果ですが、通年は女子よりも男子のほうがだいぶ合格者が多いのですが、今年は女子のほうが多かったことが注目されます。女子のほうが少なくなる理由は、合格者の入学手続き率が高い(男子は共学志向があまりなく、女子は共学志向が強い)女子の場合、合格発表数が絞り込まれているからでしょう。そんななか、今年女子のほうがたくさん合格しているのは、今年の弊社の女子受験生の学力上位層のレベルが高かったからかもしれません。ちなみに、今年の附属の合格発表数は、男子外部生90名、女子外部生50名でした。附属内部受験生の合格者数は、男子14名、女子15名でした。弊社の外部合格者は、男子19名、女子23名で、内部合格者は、男子3名、女子2名でした。

 県立広島中学校の入試結果で注目したのは、男子の合格者の入学手続き率が上昇し、14名の合格者のうち11名が進学先として選んでいることでしょうか。以前は見られなかった傾向です。女子には開学当初から人気が高く、第一志望にする受験生の比率が高いため、今年も24名の合格者のうち19名が同校に進学する模様です。男女合わせると合格者の8割近くが入学する予定で、今やすっかり最人気校の一つとなったといっても過言ではありません。なお、同校合格者で他校にを進路として選択した受験生は、男子が広島大学附属1名、広島学院が2名でした。女子は広島大学附属が1名、ノートルダム清心が2名、広島中等教育学校が2名でした。

 市立広島中等教育学校は、徐々に受験生家庭の認知度を上げつつありますが、以前もお伝えしたように安佐北区の山間部の団地脇にあり、受検者が通学可能な地区に限定される点で、県立広島のようなポピュラリティを獲得するまでに至っていません。弊社でも、受検するのは三篠校と広島校、己斐校の受験生にほぼ限定されています。また、男子の場合、修道との重複合格者が多く、そこでも交通の便が選択上のハンディとなっているように思います。ですが、学校として魅力を感じる家庭が多く、今後もっと人気が高まる可能性も感じます。

 全体的にみると、今年の弊社会員受験生の入試結果は例年の傾向に沿ったもので、堅調に収まったと思います。合格者の進路選択についてときどき受ける質問についてここで触れておきましょう。広島学院中学校と広島大学附属中学校は、男子受験生にとって難関として双璧の存在です。ですが、弊社会員は伝統的に広島学院と附属の両方に受かったとき、広島学院を進路に選択するケースが多い傾向があります。昨年はその割合に変化があり、附属を選ぶ受験生の比率が高くなりました。しかし、今年は例年に近い状態に戻ったようです。今年の附属と学院の重複合格者は19名で、そのうち6名が附属に、11名が学院に進学する模様です。あとの2名ですが、県立広島と広島なぎさに各1名が進学するという報告を受けています。

 コロナウィルスの感染拡大はまだまだ収まったとは言えません。弊社も対策としてオンライン講座の受講生を募ったりしていますが、小学生がオンラインを活用して受験勉強をするのは簡単ではなく、しっかりとしたフォローの態勢も整える必要があります。通学者に関しては、これまで通り感染のリスクを避けるべく十分に配慮して授業および指導を行ってまいります。受験生の子どもたちにとっては不便かつ不自由な形態での受験対策を余儀なくされるわけですが、目標をしっかりと見定め、強い気持ちで勉強に取り組んでいただきたいと思います。

 今年も広島の受験生のために精一杯指導に取り組んでまいる所存です。保護者の方々におかれましては、変わらぬご理解とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

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