2021 年 10 月 のアーカイブ

オンライン親子セミナー(会員対象)を開催します!

2021 年 10 月 27 日 水曜日

 日ごとに秋が深まってまいりました。中学受験生を抱えたご家庭におかれては、朝の肌寒さを覚えるごとに受験シーズンが迫りつつあることを実感しておられるのではないでしょうか。

 コロナ禍に見舞われた不便極まりない状況下の受験生活は、お子さんにとっても、サポートにあたられる保護者にとっても楽なものではなかったことでしょう。広島県内の国・公・私立中学校の入学者選抜は概ね1月に行われます。残るはあと2カ月余り。これまでの受験対策の推移はお子さんによって様々でしょうが、泣いても笑っても否応なく年明けには入試本番がやってきます。

 ここに至って「もっとがんばっておけばよかった」と、悔いているお子さんはおられませんか? 大丈夫。誰だって同じような気持ちを味わうのが今頃です。また、これまでやってきたことは、本人にすればベストではなかったとしても、決して無駄になってはいません。保護者におかれては、「勝負はこれからだよ!」と励ましてあげていただきたいですね。なにしろ、受験に向けてやる気が高まってからの学習成果は、今までよりも何倍も期待できるのですから。気合や真剣さが集中力を生み、学習の効率をこれまでの何倍も高めてくれるのです。まさに、「これからの努力如何で入試の結果が決まるのだ」と言っても過言ではありません。最後まであきらめずに、親子共々これからできる精一杯を尽くしましょう!果報は寝て待つのではなく、自らの努力で手に入れるべきものです。

 さて、今回は初めての試みとなる催しについてご紹介します。オンライン形式で学校のことを掘り下げてご紹介する、「もっと知りたい! 中高一貫校の魅力」という呼称の催しです。長引くコロナ禍において、受験に臨むうえで必須となるモチベーションを得る機会が奪われている受験生が多いことを踏まえ、学校の魅力を直に感じ取れる催しを実施することにいたしました。まだまだ予断を許さないコロナ感染状況ですので、家庭で視聴できる形式をとっています。また、会員家庭のみが参加対象となります。初めての試みにつき、ご了承ください。

 さて、どんな方法で実施するかをいろいろと思案したのですが、対話形式で先生から学校に関する様々な話を聞かせていただくことにしました。初回ですので、まずは男女の私学の最高峰である広島学院さんとノートルダム清心さんにお声がけしたところ、両校から快く承諾のお返事をいただきました。

 実施の要項は次のようになっています。

オンライン親子セミナー「もっと知りたい! 中高一貫校の魅力」【実施要項】

実施日時/広島学院編 11月14日(日)10:30~11:30
     ノートルダム清心編 11月28日(日)10:30~11:30

参加対象/家庭学習研究社会員家庭(1~6年部)

定  員/各回とも200名(200家庭)

話  者/広島学院編・・・倉光望先生(元広報部長)
     ノートルダム清心編・・・神垣しおり先生(校長)

内  容/弊社で用意した話題のほか、ご家庭から寄せられた質問
     も取り上げます。

進行方法/「Zoom」によるライブ配信。
  弊社広報スタッフ(ブログ執筆者)が司会進行を担当。
  学校の特色や教育実践の内容などを先生がたにお話しいただきます。

申込方法/「オンライン申込フォーム」よりお申し込みください。

受付期間/11月1日(月)12時~11月10日(水)12時

 現在、各校舎で案内チラシを配布しています。お子さんの通学日にお渡しする形式です。すでにお受け取りになったご家庭もあろうかと思います。ウェブへの掲載は30日(土)を予定しています。受付の開始は、上記要項でお伝えしているように、11月1日(月)の12時からとなっております。定員は各200名と余裕がありますが、もしもいっぱいとなった場合は締め切らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 上記催しを「セミナー」としたのは、単なる学校を説明する会ではなく、保護者にはお子さんの将来に向けた展望を築くうえで先生がたのお話を参考にしていただきたいという意図があるからです。お子さんがたにも、ただ行きたい学校についての情報を得る場とするのではなく、先生がたのお話に触れることで、自分のこれからの人生の歩みについて、自分がこれから何をすべきかについて考える契機にしてほしいという願いがあったからです(特に5・6年生家庭)。

 当日司会を務めるのは筆者です。「もっと若い人に」という思いがあったのですが、本催しの企画者のひとりであり、広島学院の倉光先生、ノートルダム清心の神垣校長とはこれまでも様々な行事で直接お世話になっていることもあって担当することになりました。

 なお、親子で気軽に視聴できるオンラインの催しであることも考慮し、またお子さんがたが退屈せずに参加できる催しにしたいという意図もあり、正式な学校説明会などとは違ったカジュアルで親しみのもてる催しにしたいと考えています。今回は完全6か年一貫教育の私学ですので、それが教育にどのように反映されるのか、生徒の成長にとってどういうよさがあるのかについて、大上段に構えた話ではなく、実際の学校生活の様子などを通して感じ取っていただけたらと思っています。そのためには、話題の振り向けかたを弊社が心得ていないといけません。うまくいくかどうかはわかりませんが、今からよい切り口を見つけ出せるよう準備してまいります。

 とは言え、話者はお二人とも広報のご経験が豊富で、長年授業で鍛えられたトーク力をおもちの先生がたですから、充実感のある催しになることを確信しています。お二人とも真心のこもったよいお話をされるので、ぜひ期待していただきたいですね。

 なお、このセミナーは「Zoom」を使用して実施します。参加いただくにあたっては、ご家庭にインターネット環境が必要です。「Zoom」に慣れておられないご家庭は、会員ページに簡単なマニュアルを掲載しますので、それを参照ください。

 この催しの参加対象は、弊社の1~6年部会員家庭となっています。少しでも多くのご家庭に参加いただきたいという思いから、日曜日の午前中の実施としました。ご家族一緒にご視聴いただきたいですね。入試の近い6年部生のお子さんがたにとっては、受験に向かう意気込みを高めるよい機会になることを期待しています。奮って参加ください。

追記/少しでも双方向の要素をもったイベントにと考え、先生がたのお話しの後、若干の質問を受け付ける時間を設ける予定です。また、視聴者にYES・NOでご回答いただく場面も設けることも検討中です。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: お知らせ, 中学受験, 学問について, 家庭学習研究社の理念, 私学について, 行事のお知らせ

お子さんの中学受験を視野に入れておられるかたへ その2

2021 年 10 月 22 日 金曜日

 前回は、中学受験の専門塾としての家庭学習研究社の基本スタンスが「子どもの自立支援」にあるということをお伝えしました。「いかに学ぶか」を大人の導きのみに頼るのではなく、自分で段取りをつけて学ぶ姿勢を中学受験のプロセスで身につけておけば、先々の学業面での大成が期待できるのみならず、自らの人生を自ら切り開いて行けることでしょう。

 こうした方針は、50年余り前の創設時から変わりません。家庭学習研究社の推進する受験勉強は、社名のとおり「家庭学習」を重要視しているところに特徴があります。教室での指導は、単に知識や理論を伝授する場ではなく、家庭学習を自分で管理しながら進めていく姿勢を育むための場としても位置づけられています。

 こうした独自の方針に基づく学習指導を推進するため、テキストはすべて自社で作成しています。すなわち、子どもたちが家庭で勉強するにあたり、「いつ、どこを、どれぐらい勉強したらよいか」がわかるよう配慮して編集されたテキストなら、家庭での一人勉強を可能にできるのではないかと考えたわけです。また、学習のレベルもできるだけ子どもの現実に合致したものにする必要があります。無用な難問に取り組むよりも、子どもが自分で考えて自分のものにできる課題に取り組むほうが真の学力になりますし、何よりも自分に自信をもてるようになるでしょう。

 このように申し上げると、「でも、中学受験って難しいことをやらないと受からないんじゃないの?」と疑問をもたれる保護者もおありかも知れませんね。しかし、心配には及びません。広島の中学受験は、基礎内容重視という共通の特徴があります(近年人気の公立一貫校で実施される適性検査も、基礎学力が問われています)。難問が多数出題される大都市圏の入試に対応するテキストは子どもに相当な負担を与えることになりますし、広島の入試の実状に合っているとは言えません。基礎内容中心の無理のない学習による入試合格は十分に可能なことです。実際のところ、弊社の中学入試での合格実績をご覧いただければ納得いただけるのではないかと思います。「子どもたちが無理のない学習で合格するよう導くという意味においても、自社製オリジナルテキストは大いに貢献しているわけです。

 次の図をご覧ください。教室での指導の位置づけと、家庭学習との連動についてご説明するためのご用意したものです(4~6年部)。

 家庭学習研究社の教室指導は週3日を原則としています。それは、教室指導と家庭学習を交互に繰り返すことによって学習の習慣づけや自学自習の姿勢の確立を達成するという目標があるからです。 

 毎回の授業で何を学ぶのかは、テキストのカリキュラムの流れを見ればわかります。そこで、5年部からは、授業前に簡単な予習も課しています。こうして、授業で何を学ぶのかをおおよそ掌握する、単元の最も中心となる理屈や考え・知識をみんなで学ぶ、先生の話を聞きながら板書をノートに写す、上手なノートのまとめかたを学ぶ、といった経験をくり返していきます。

 家庭では、授業のおさらい(復習)が勉強の中心となります。授業で扱った内容を反芻しながら、わかりかけていたことの理解を徹底させたり、テキストの発展的な問題に取り組んだり、2週間に1回の割合で実施される単元テスト(マナビーテスト)に備えたまとめの学習を繰り返します。毎日の家庭学習は、学習の習慣づけや、「どこをどれだけやっておくか」を考えて学ぶ姿勢(段取りをつけて学ぶ姿勢)を身につけていきます。

 家庭学習研究社の教室に通う子どもたちにアンケートを実施すると、大概は「とても楽しい」「まずまず楽しい」という回答がかえってきます。それは、「受験は競争だ」というぎすぎすした雰囲気が微塵もなく、学校とは違った仲間とレベルの高い学習を一緒に取り組み、学ぶことの手応えや面白さを味わえる刺激的な毎日がそこにあるからなのだと自負しています。

 「塾が楽しい!」と言ってくれる子どもたちの家庭学習の実態について調査したことがありますので、ここでちょっとご紹介してみましょう。「週3日コース」4・5年部会員生のうち、各校舎で任意に選んだクラスで実施したアンケートの結果です。

4・5年部会員 アンケート結果(PDF) 
※上記をクリックするとPDFが表示されます

 このアンケート結果をご覧になると、通学生の家庭学習の実態がある程度おわかりいただけるでしょう。計画をちゃんと立てていないお子さんも結構おられます。これは残念ですね。4年生ぐらいまでは、頭のよいお子さんは行き当たりばったりの勉強でも結構通用してしまうからでしょう。しかし、この勉強が楽な段階こそ、学習の習慣づけをしっかりとやってほしいものです。それが受験勉強が本格化する5年生以後の学力向上につながります。

 4年生の家庭勉強は1時間ぐらいが普通のようですが、5年生になると2時間が基本になっているようです。計画の実行力については、もっとやってほしいという思いも湧きますが、「だいたいしている」が大多数ですから、こんなものかもしれませんね。厳しく指導すれば、家庭学習の徹底にはつながるでしょうが、大人の管理の色合いが濃くなりますし、「塾の勉強は楽しくない」につながる恐れもあります。子どもたちの成長の歩調を合わせて、徐々にレベルアップしていくのが望ましいのではないかと思います。

 授業のしくみや内容などをあまり詳しくご説明すると、読みづらくなってしまうし、却ってわかりにくくなるため、大ざっぱな説明に留めました。次回は家庭でお子さんをフォローされる保護者に向けた記事をお届けしようと思います。よろしくお願いします。

 

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 勉強について, 勉強の仕方, 子どもの自立, 家庭学習研究社の歴史, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

お子さんの中学受験を視野に入れておられるかたへ その1

2021 年 10 月 15 日 金曜日

 10月半ばを迎え、秋も次第に深まってまいりました。毎年11月になると、冬休みの講座の会員募集とともに、次年度前期講座(2月開講)の会員募集が始まります。そこで、今回からの2~3回は、これからお子さんの中学受験対策を検討される保護者、弊社の教室への通学を視野に入れておられる保護者のために、弊社の学習指導に関する情報をお届けしようと思います。

 弊社は昭和42年に設立し、以来50年余りにわたって中学受験の専門塾として活動しています。ですから、おとうさんやおかあさんのなかには、かつて弊社の教室に通われたかたも少なくないと思います。そのようなかたは、すでに弊社の受け皿の形態(対象学年、校舎と設置場所、通学日数など)や指導の方針・システム等についてご存知であり、「いつから通うか」についても決定済みかもしれません。

 しかしながら、大半の保護者におかれては、弊社の校舎への通学をご検討いただくにあたっては、「どのような学習塾か」を調べる必要があると思います。そのような方々のために、まずもって弊社からお伝えしたいことは、「合格実績だけで選ぶのではなく、どのような方針のもとで、どのような学習指導を実践している学習塾か」を学習塾選びの基本においてご検討いただきたいということです。

 というのは、受験対策の勉強に取り組む時期はちょうど子どもたちの人としての特徴が定まっていく時期と重なっています。したがって、どんな受験勉強をし、どんな受験生活を送るかが、「人間としての特性」(性格や生活習慣、ものごとに取り組むスタイル、学問への造詣など)を形づくるうえで大きな影響を及ぼすことになります。お子さんが、親の望む方向へと成長することは、受験での合格以上に重要なことではないでしょうか。保護者の方々におかれては、こうした私たちの考えを踏まえたうえで弊社への入会をご検討いただければ幸いです(その結果、他塾を選ばれることもあるでしょう)。

 そこで今回はまず、「家庭学習研究社が基本におく中学受験とはどのようなものか」についてお伝えしようと思います。なお、弊社の受験指導は4年部からの3年間をベースにしています。以下の説明も4年生からの受験生活を前提にお伝えしていますが、5年生や6年生から受験対策を始めるご家庭も考えかたとしては大きく変わることはありません。来年度から受験対策開始をお考えのご家庭の参考にしていただければ幸いです。

私たちがめざす受験指導とはどのようなものか

 みなさんは、わが子のこれからの成長について様々なビジョンを描き、大きな期待を抱いておられると思います。弊社に興味をおもちのかたなら、学力形成や知的能力の開花については特に熱心な保護者がたくさんおられることでしょう。

 弊社は進学塾です。当然お預かりするお子さんの進学目標達成、すなわち中学受験での志望校合格のための指導をしています。しかしながら、人間形成途上に受験があるということは、合格を他の何にも増して最優先する猛勉強や、子どもの自立をないがしろにするような押しつけの勉強のもつ危険性に対して十分な対策や配慮をする必要があることを、私たちは決して忘れないよう肝に銘じています。すでに人間として固まっており、学習成果が全て受験生自身の責任に帰する高校や大学への受験とは、そこが根本的に違うところです。中学受験は、受験生である子ども自身だけでなく、家庭でわが子の養育にあたりながらサポートされる保護者、そして教室で指導に当たる学習塾のチームプレイで挑戦するものではないでしょうか。

 そこでまずは、このことを前提にした受験対策の構図を見ていただこうと思います。※画像をクリックすると拡大表示されます。

 さきほど、「受験は受験生、保護者、学習塾によるチームプレイである」と申しましたが、主役はあくまで受験生の子どもだということを忘れないようにお願いします。大人の言うことを聞いてくれる児童期の子どもに対しては、ともすれば保護者も学習塾も命令してやらせようとしがちです。これが原因で子どもの成長や自立がスポイルされることが少なくありません。勉強に積極的な子どもになるか、勉強嫌いの子どもになるかの分かれ目は、私たち大人の接しかたにあると言っても過言ではありません。

 図を見ていただくと、真ん中にこれから大きく成長していく子どもを置いています。そして、両脇に保護者と学習塾が控えています。保護者(家庭)と学習塾は、それぞれ役割は違っていますが、どちらも受験の主役である子どもが望ましい成長を遂げられるよう、サポートする脇役として位置付けられるでしょう。図にもあるように、家庭と学習塾はそれぞれ役割は異なるものの、互いに連携しながら子どもの学習環境を整え、伸び伸びと勉強に取り組む受験生活の実現に向けて協力します。

 家庭と学習塾が合言葉にすべきは「子どもの自立支援」です。勉強という観点から申し上げるなら、「子どもが自学自習の姿勢を築くよう応援する」ということです。「言うは易く行うは難し」という格言がありますが、小学生の子どもの学習の自立支援は、まさにこの格言を地で行くようなもので、大変な苦労が伴います。特に家庭で生活を共にしながら勉強のフォローをされる保護者の負担は相当なものだと言わざるを得ません。しかし、その苦労こそ大きな果実をもたらすものです。

 自分でやろうとしないから押さえつけてでもやらせる。もしもそれをやったとしたら、子どもの将来はどうなるかを考えてみてください。すでに何度もお伝えしているように、21世紀のグローバル社会を生き抜くたくましさなど、到底身につかないことでしょう。「自分からやろうとしない」理由は何か。そこを大人はまず考え、子ども自らが勉強に取り組もうとする姿勢を育まなければなりません。そのために、学習塾では勉強の奥深さや面白さ、謎を解いたときの感動を味わわせるような指導をめざします。ご家庭の保護者は、成績よりも努力をまずは重視し、自分からやろうとすること、予定をやり遂げることを評価の基準に置き、がんばったときには大いに喜び、子どもをほめ称えてやります。そういうことの積み重ねが、子どもの学びの姿勢に大きな影響を及ぼすのです。

 今回は、中学受験専門塾としての弊社の基本的な考えかた、受験生活の構図をお伝えしました。次回は、もう少し具体的な話をお伝えしてみようと思います。どうぞよろしくお願いします。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: ごあいさつ, アドバイス, 中学受験, 入塾について, 勉強の仕方, 子どもの発達, 子どもの自立, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

子ども時代の習慣が人生を決める!?

2021 年 10 月 5 日 火曜日

 10月1日より緊急事態宣言が解除されました。それを待ちかねたように、弊社本部のすぐ脇にある酒類を提供する飲食店さんも、営業再開を伝える看板を店先に出しておられました。

 ただし、我慢の反動で行動が著しく緩んでしまい、たちまち感染の第6波を招いては今までの苦労が水泡に帰してしまいます。一気に元に戻すのではなく、様子を見ながら緩やかに解除していくのが県の方針のようです。私たち学習塾も、引き続き感染防止への配慮を怠らないよう気をつけてまいりたいと存じます。新型コロナウィルスを根絶させるまで、辛抱強く行動を抑制してまいりましょう。

 前回、学習意欲を高めるための出発点は学習の習慣づけであるということをお伝えしました。何であれ、習慣として定着したら本人の意思よりも先に体が動いてくれるようになります。これは性格や能力で決まるものではなく、長い期間にわたって繰り返すことで獲得される後天的な行動様式のようなものだと言えるでしょう。そして、いったん定まると簡単には失われません。

 そこで筆者がぜひとも会員保護者に強調したいのは、「中学受験生活は、望ましい学習習慣をわが子に浸透させる絶好のチャンスです!」、「確かな学習習慣を身につけることは、受験での合格以上に大切なものです!」ということです。お子さんが低年齢であればあるほど、保護者のフォローしだいでどのお子さんにもよい学習の習慣が必ず身につけられるものです。

 と、ここまでは前回お伝えしたことの繰り返しになります。なかには、「どうしたらよい習慣が身につくのか、もう少し具体的に示してほしい」と思っておられる保護者もおありでしょう。学習の習慣づけができているお子さんは、自分の身の回りのことにまつわる習慣(ルーティン)をもっています。たとえば、「自分のことは自分ですべき」「気持ちのよい生活を送りたい」など、行動面の自立志向が明確であるという特徴があります。これが大人に言われて行動する受け身の生活を送っている子どもとの違いであり、先々自らの進路を自ら切り開いていくための原点になるのだと思います。

 そこで、お子さんの毎日の生活や行動の自立度をここで振り返ってみましょう。以下のチェック項目にYES・NOのいずれかで答えてみてください。※下のチェック表をクリックすると画像が拡大表示されます。

 の項目ですが、自分でどうにもならないことがあったとき、周囲に助けを求めたり相談したりできることも自立の要素として重要と言われています。それで取り上げてみました。上記の10項目のうち、7つ以上YESがあるようだとすばらしいですね。逆に5つ以下、特に3つ以下ですと自立度に問題があります。実行力がない、他人(大人・親)任せ、無責任な行動が多い、などといった行動が多いお子さんは、何をするにつけうまく最後までやり切ることができません。

 生活習慣に関する自立は、行動や学びの主体性や実行力を支える基盤になる大切なものです。まだやれていない項目については親子で話し合い、「家族全員で実行しよう!」など、子どもの気持ちを前向きにするためのサポートをし、徐々に子ども自身のこだわりとして自分でやれるよう応援してあげてください。生活習慣の自立は、意志の強さや実行力に委ねるものではなく、繰り返しやり続ける習慣の賜物です。

 あるとき、かねてから「勉強の取り組みがすばらしいな」と感心していたお子さんのおかあさんにお会いすることがありました。その秘訣を尋ねたのですが、「いえ、何もしていません。本人は『やるのが当たり前だ』と思っているようです」と思いの外あっさりとした返事をいただきました。しかし、これこそが真の秘訣なのかもしれません。繰り返すことでやるのが当たり前になるからこそ、自然体で継続できるのでしょう。「やらなければいけない」「やらないと成績が下がる」、といった心理状態では気持ちのよい勉強はできませんし、長続きしません。「やるのが当たり前」こそ、習慣化によって到達する境地なのかもしれませんね。

 お子さんが、生活習慣の自立や学習習慣の確立に向けて成長したときのことを想像してみてください。親の悩みがどれだけ軽減されることでしょう。なにしろ、中・高一貫校の高レベルな勉強で躓くことはありません。伸び悩んだりドロップアウトしたりする中高生の大部分は、学習の自己管理ができず、好きなことに偏重して現実逃避してしまったり、宿題をため込んでギブアップしたりするお子さんです。その危険性がほぼなくなるのですから、親はどれだけ安心できることか。

 私学に限らず、6か年一貫校の多くで多量の宿題が出されていますが、それは家庭での一人の時間を勉学に向けられる生徒でなければ、高い次元の学力は身につけられないし、また大学や社会人になってからの更なる成長が期待できないからであろうと思います。そのことは勉強に取り組む過程でお子さん自身が気づくはずのものです。近年は、「親の目の届かないところで、わが子は何をしているか心配だ」という保護者が少なくありません。なかには、でたらめでルーズな生活を送っているわが子を見たくないという理由で、「県外の大学へ進学してくれたほうがよい」と考える親御さんが少なくないとか。このような心配と無縁になるかどうかも、子どもの生活習慣の自立と根っこで深くつながっています。自分でやれることは、当然のようにやる。ここから自律の姿勢が育つのですね。

 しかし、それはどの家庭のお子さんにとっても大した難題ではありません。小学生の今のうちに、基本的な生活習慣の自立を果たし、しっかりとした学習習慣を身につければよいのです。大人のアドバイスを素直に聞いてくれる今だからこそ、親もそうした方面に関与することができます。まさに、“今のうち”なんですね。今回チェックした項目や、家庭学習の計画を当たり前のように実行する習慣を、ぜひお子さんがたには身につけてほしいですね。そのことによって、お子さんの未来は大きく変わります。親の出番を云々するとしたら、まさにこういった面に関与できる今ではないでしょうか。

 今する親の苦労は、子どもの将来の礎となって報われる!

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 勉強について, 勉強の仕方, 子どもの自立, 子育てについて, 家庭での教育, 家庭学習研究社の理念, 小学1~3年生向け