子ども時代の習慣が人生を決める!?

2021 年 10 月 5 日

 10月1日より緊急事態宣言が解除されました。それを待ちかねたように、弊社本部のすぐ脇にある酒類を提供する飲食店さんも、営業再開を伝える看板を店先に出しておられました。

 ただし、我慢の反動で行動が著しく緩んでしまい、たちまち感染の第6波を招いては今までの苦労が水泡に帰してしまいます。一気に元に戻すのではなく、様子を見ながら緩やかに解除していくのが県の方針のようです。私たち学習塾も、引き続き感染防止への配慮を怠らないよう気をつけてまいりたいと存じます。新型コロナウィルスを根絶させるまで、辛抱強く行動を抑制してまいりましょう。

 前回、学習意欲を高めるための出発点は学習の習慣づけであるということをお伝えしました。何であれ、習慣として定着したら本人の意思よりも先に体が動いてくれるようになります。これは性格や能力で決まるものではなく、長い期間にわたって繰り返すことで獲得される後天的な行動様式のようなものだと言えるでしょう。そして、いったん定まると簡単には失われません。

 そこで筆者がぜひとも会員保護者に強調したいのは、「中学受験生活は、望ましい学習習慣をわが子に浸透させる絶好のチャンスです!」、「確かな学習習慣を身につけることは、受験での合格以上に大切なものです!」ということです。お子さんが低年齢であればあるほど、保護者のフォローしだいでどのお子さんにもよい学習の習慣が必ず身につけられるものです。

 と、ここまでは前回お伝えしたことの繰り返しになります。なかには、「どうしたらよい習慣が身につくのか、もう少し具体的に示してほしい」と思っておられる保護者もおありでしょう。学習の習慣づけができているお子さんは、自分の身の回りのことにまつわる習慣(ルーティン)をもっています。たとえば、「自分のことは自分ですべき」「気持ちのよい生活を送りたい」など、行動面の自立志向が明確であるという特徴があります。これが大人に言われて行動する受け身の生活を送っている子どもとの違いであり、先々自らの進路を自ら切り開いていくための原点になるのだと思います。

 そこで、お子さんの毎日の生活や行動の自立度をここで振り返ってみましょう。以下のチェック項目にYES・NOのいずれかで答えてみてください。※下のチェック表をクリックすると画像が拡大表示されます。

 の項目ですが、自分でどうにもならないことがあったとき、周囲に助けを求めたり相談したりできることも自立の要素として重要と言われています。それで取り上げてみました。上記の10項目のうち、7つ以上YESがあるようだとすばらしいですね。逆に5つ以下、特に3つ以下ですと自立度に問題があります。実行力がない、他人(大人・親)任せ、無責任な行動が多い、などといった行動が多いお子さんは、何をするにつけうまく最後までやり切ることができません。

 生活習慣に関する自立は、行動や学びの主体性や実行力を支える基盤になる大切なものです。まだやれていない項目については親子で話し合い、「家族全員で実行しよう!」など、子どもの気持ちを前向きにするためのサポートをし、徐々に子ども自身のこだわりとして自分でやれるよう応援してあげてください。生活習慣の自立は、意志の強さや実行力に委ねるものではなく、繰り返しやり続ける習慣の賜物です。

 あるとき、かねてから「勉強の取り組みがすばらしいな」と感心していたお子さんのおかあさんにお会いすることがありました。その秘訣を尋ねたのですが、「いえ、何もしていません。本人は『やるのが当たり前だ』と思っているようです」と思いの外あっさりとした返事をいただきました。しかし、これこそが真の秘訣なのかもしれません。繰り返すことでやるのが当たり前になるからこそ、自然体で継続できるのでしょう。「やらなければいけない」「やらないと成績が下がる」、といった心理状態では気持ちのよい勉強はできませんし、長続きしません。「やるのが当たり前」こそ、習慣化によって到達する境地なのかもしれませんね。

 お子さんが、生活習慣の自立や学習習慣の確立に向けて成長したときのことを想像してみてください。親の悩みがどれだけ軽減されることでしょう。なにしろ、中・高一貫校の高レベルな勉強で躓くことはありません。伸び悩んだりドロップアウトしたりする中高生の大部分は、学習の自己管理ができず、好きなことに偏重して現実逃避してしまったり、宿題をため込んでギブアップしたりするお子さんです。その危険性がほぼなくなるのですから、親はどれだけ安心できることか。

 私学に限らず、6か年一貫校の多くで多量の宿題が出されていますが、それは家庭での一人の時間を勉学に向けられる生徒でなければ、高い次元の学力は身につけられないし、また大学や社会人になってからの更なる成長が期待できないからであろうと思います。そのことは勉強に取り組む過程でお子さん自身が気づくはずのものです。近年は、「親の目の届かないところで、わが子は何をしているか心配だ」という保護者が少なくありません。なかには、でたらめでルーズな生活を送っているわが子を見たくないという理由で、「県外の大学へ進学してくれたほうがよい」と考える親御さんが少なくないとか。このような心配と無縁になるかどうかも、子どもの生活習慣の自立と根っこで深くつながっています。自分でやれることは、当然のようにやる。ここから自律の姿勢が育つのですね。

 しかし、それはどの家庭のお子さんにとっても大した難題ではありません。小学生の今のうちに、基本的な生活習慣の自立を果たし、しっかりとした学習習慣を身につければよいのです。大人のアドバイスを素直に聞いてくれる今だからこそ、親もそうした方面に関与することができます。まさに、“今のうち”なんですね。今回チェックした項目や、家庭学習の計画を当たり前のように実行する習慣を、ぜひお子さんがたには身につけてほしいですね。そのことによって、お子さんの未来は大きく変わります。親の出番を云々するとしたら、まさにこういった面に関与できる今ではないでしょうか。

 今する親の苦労は、子どもの将来の礎となって報われる!

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