2021 年 11 月 5 日 のアーカイブ

お子さんの中学受験を視野に入れておられるかたへ その3

2021 年 11 月 5 日 金曜日

 前回は、広島の中高一貫校の教育内容をご紹介する、「オンライン親子セミナー」という催しの開催についてご案内しました。11月1日(月)より受付を開始しましたが、たちまち多くのお申し込みをいただきました。すでに広島学院編(14日実施)も、ノートルダム清心編(28日実施)も当初の定員(各200家庭)に達しており、急遽定員枠を拡大することにいたしました。

 もうしばらくは申し込みを受け付けますが、お申し込みの締め切りは11月10日(水)の正午となっております。この時点でお受けできなくなりますので、参加をご検討いただいているご家庭におかれては、お早めに申し込みいただきますようお願いいたします。

 さて、今回はすでに上記タイトルでお伝えしている記事の続編(その3)を書いてみようと思います。初回は、中学受験専門塾としての弊社が、どのような受験をめざしているかをお伝えしました。成長途上にある小学生の受験勉強は、表面的なテスト学力の獲得のみに走るべきでなく、将来の大成を視野に入れたものであるべきだということ(詰め込みやスキル獲得に偏った学習は望ましくない)、人間としての枠組み形成が健全なものとなるよう配慮すべきであることをお伝えしました。2回目は、塾としての基本方針に基づき、弊社はどのような学習指導を実践しているのかについて簡単にお伝えしました。

 もう一つ絶対に外せない大事な要素があります。それは「家庭教育」との連携です。受験勉強をすべて学習塾で賄うという方法もあるようですが、中学進学後の長い学びの人生を視野に入れるなら、家庭での一人勉強の姿勢確立は欠かせないものです。いわゆる自己教育力を育てておくという意味においても、家庭でいる時間をどう過ごすか、勉強の算段を自分でできるかどうか、やると決めたことを実行に移せるかどうかなどは、将来の学びの発展を踏まえると絶対に欠かせない条件と言えるでしょう。ただし、受験の主人公たる子どもはまだしつけ途上にある小学生。子どもに任せてうまくいくのは難しいと言わざるを得ません。家庭生活を一緒に営み、なにくれとなくお子さんの世話をしておられる保護者のサポートの如何が、今申し上げた学びの自立を果たせるかどうかを決定づけることになります。

 ところで、親がわが子の志望校合格を願う、その根底にある思いとは何でしょうか。「わが子の可能性を広げてやりたい」「自分で夢を見つけ、叶えられる人間になってほしい」「自分の力で生きていける力を備えてほしい」「社会に貢献できる人になってほしい」「充実した、幸福な人生を送ってほしい」……そんな親心ではないでしょうか。このことが意味するもの。それは、子育ての最終目標は子どもを「前向きで自立した人間」に成長させる、ということであろうと思います。子どもの学習を見守るうえで、この本質を見失ってはなりません。

 そこで、子どもがそのような成長をとげるために必要な学習姿勢を5つ挙げてみます。

 これらを見ていただくと、学習塾の指導もさることながら、家庭教育の範疇で捉えるべき要素が多分にあることにお気づきでしょう。こういった姿勢を身につけるには、ご家庭と塾とが子どもの将来を見すえて同じ見解に基づき、ねばり強く子どもをサポートする必要があるのではないでしょうか。

 突然筆者の昔話をして恐縮ですが、筆者は上記のような観点に基づく家庭教育を経験しませんでした。大学に進学し、首都圏の中高一貫校出身者を知って驚きました。彼らはあくせく勉強している様子がなく、結構遊んでいるように見えるのに試験でよい成績をとります。理由は、常に先を見通しながら、段取りよく物事の準備をする習慣が身についていたからでした。地方の公立高校出身の筆者は、行き当たりばったりの勉強で「自分はできる」とうぬぼれていたのでした。とても恥ずかしく思うとともに、「彼らのような自律的な行動様式、自己管理の方法を自分も身につけていたら」と悔やみました。というのも、いったん染みついた悪い習慣はなかなか改善できないということも身に沁みて思い知ったからです。

 もしも弊社にご縁をいただいたなら、ぜひお子さんの家庭勉強の自立に向けたサポートをお願いしたいですね。2回目(前々回の記事)でお伝えした、「週3日通学制」の意味をご理解いただき、家庭にいる時間を有効に過ごしながら、「自ら学ぶ」姿勢を築けるようお子さんをサポート願えたらうれしいですね。もしもうまく行ったなら、しつけの仕上げ期の親の役割を見事に果たされたことにもなるでしょう。

 そこで筆者からの提案です。入会前の今の段階から、お子さんの自立に向けた接しかたを試みてみませんか?無論、すでに上手にお子さんを自立させておられる保護者もおられるでしょう。「いや、あまりわが子は自立できていないぞ」と思われたなら、次のような接しかたを基本に置いてみてはいかがでしょうか。以下を、「宿題をうまくやれる子どもになろう!」を親子のテーマに掲げたと仮定して考えてみてください。手伝いなど、他の様々なことがらにも適用できると思います。

<子どもの自立促進に向けた親の働きかけ>

 の、「子どもに相談する」は、日本家庭にはなじみが薄いかもしれません。これは、親から相談をもちかける形式にすると、子どもに「自分で決めたことだ」という意識をもたせる効果があるからです。目標を「宿題をうまくやれる子どもになろう!」としたら、その具体化にあたっての決め事をお子さんが考えるよう仕向けるわけです。「今、自分でやろうとは思っていても、できないのはなぜかな?」などともちかけ、やりとりしながら具体案を考えさせるとよいでしょう。

 の、「信頼して見守る」は難しいことです。いつまでもテレビを観たり、ゲームにかまけていたりすると、親はついイライラして怒鳴ってしまいがちですね。それでは反発を招くだけ。こういうときは、「あれっ? 勉強の時間になっているね」など、子どもを我に返らせるような切り口で声をかけるとよいでしょう。子どものプライドを守り、自分から行動を修正させたことになります。このような親の辛抱が、自発性を涵養するステップとして、やがては大いに効果をもたらすものです。

 は、フィードバック効果を引き出す作戦です。ちょっとの進歩、努力の様子が見られたら、すかさずほめてやるのです。親がほめることは、「自己肯定感」を育てる意味においても、計り知れない効果をもたらします。親にほめられて育った子どもは幸せです。親子間の、過去の忌まわしい思い出と無縁な人生を送れるからです。ときどき、「おとうさんがほめてたよ」などと間接的な情報を伝えると、これもまた大いに子どもの実行力を高めることになります。

 子どもに相談して、子ども自身に考えさせる、決めさせるという親の働きかけを、日本の親は得意にしていないようです。おたくではどうでしょうか。下の資料を見ると、他国と比べて日本の親、特におとうさんは子どもへの働きかけが著しく少ないようです。試してみる価値があるのではないでしょうか。

 受験生活を通じて子どもを自立した人間にする。簡潔に申し上げると、それは小学生を預かる弊社の最も重要とする方針です。受験での合格については、全社一丸となって研究し、実現に向けて努力しています。「合格したその先」を見て、保護者と一緒に子どもたちを応援する。それが弊社のコンセプトです。ご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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