2021 年 11 月 26 日 のアーカイブ

12/5 第5回中学入試模擬試験を開催します!

2021 年 11 月 26 日 金曜日

 師走が目前に迫り、受験シーズンが近づきつつあるのを実感するこの頃です。入試を控えた6年生児童の模擬試験も、現段階で全5回のうち4回が終了しています。残るは12月5日(日)に予定している最終回のみとなりました。受験生のご家庭では、受験対策の追い込みに向けた取り組みが熱を帯びつつあるのではないかと拝察いたします。

 仕上げ期に突入した段階での模擬試験ですから、この回は広島を代表する男女の私学(修道と広島女学院)を会場にお借りして実施します。毎年弊社の模擬試験は第5回の参加者が最も多く、ただ試験を模した問題に取り組む体験ができるだけでなく、本番に似た雰囲気を味わうよい機会ともなっています。本番と同じ場所、似た雰囲気のもとで試験を受ける体験は、人生経験の少ない小学生の子どもたちにとって心理的な圧迫を軽減するうえで大きな働きをすることでしょう。実際に受験する場所でテストに挑戦するわけですから、お子さんにとっては大人の想像以上にこの疑似体験が助けになるのは間違いありません。

 なお、今の段階からの受験対策においてご家庭で大切にしていただきたいことについては、過去にこのブログで何度か書いておりますので、ぜひそれに目を通していただきたいですね。たとえば、2019年11月18日に掲載している記事などは参考にしていただけるのではないかと思います。すでにかなり多くのご家庭がその記事を見つけ出し、読んでくださっています。よろしければお読みいただき、役立てていただければ幸いです。

 入試に限らず、芸事の発表会やスポーツの試合など、勝負事や優劣・順位がつくもの、多くの人に見られるものの本番が近づくと、誰でも緊張を強いられます。おとうさんおかあさんも、こうした機会と無縁ではなかったと思います。社内の重要な会議でプレゼン役を引き受けたなら、前の晩は眠れないほど緊張に襲われるかたもおありでしょう。だいぶ昔ですが、取引先と新商品の販売契約を成立させるためのプレゼンを担当するかたが、いよいよ開始の瞬間に意識を失い、気がついたら病院のベッドの上にいたという体験がテレビ番組で紹介されていました。

 大人ですらこんな状況ですから、お子さんなら緊張するのは当たり前のことです。保護者の方々もまた、前述のように試験本番前の緊張をよくご存じです。11月14日に開催した「オンライン親子セミナー 広島学院編」においても、「どうしたら緊張を回避できますか?」「緊張に負けないで済む方法はありませんか?」といった内容の質問がいくつもありました。

 そのとき、回答くださった広島学院の倉光先生は、「私だって、今緊張していますよ」とおっしゃっていました。つまり、緊張は避けられないもので、そこから逃げようという気持ちではなく、緊張している自分を認め、緊張と向き合えば、自ずともてる力は発揮できるものだということなのでしょう。そもそも「緊張している」という自覚があるのは、意識が正常に働いていることの証です。実力が全く発揮できなくなるのは、緊張していることすらわからないくらいのパニックに陥ったときです。

 かつては筆者も受験指導の現場に立っていました。ある年の広島学院の入試の日、担当クラスの男の子が、「先生、どうしよう。緊張してきた」と言ってきました。もうすぐ教室に入る時間になろうかというときです。彼の顔を見ると、いつに増して真っ白です。いつもの柔和な笑顔が消え、こわばっているように見えました。「だいじょうぶだよ。今までさんざんテスト練習をしてきたじゃないか。それと同じだと思えばいいんだよ」そう言って入試会場へと送り出しました。

 「はたして彼は緊張に飲まれることなく試験を受けられただろうか」 そんな心配をよそに、彼は見事合格を手にしたのでした。当時の広島学院は千名を超える受験生がおり、彼がベストを尽くせても必ずしも合格できる保証はないと思っていました。それだけに入試合格を巡る厳しい競争、そして行きたい学校の入試本番ゆえの緊張を乗り越えた彼のがんばりに、心から祝福の言葉を送りたい気持ちに駆られたものでした。こういった体験を、毎年数えきれないほど多くの受験生が繰り返しているのが入学試験というものなのですね。

 ある年の修道中学校入試で、受験会場に向かう男の子に声をかけたときのことです。「落ち着いて。落ち着いて。普段通りにやればいいんだから」 それに対して、男の子は「先生、ここは普段通りの力じゃ受からないよ」と切り返してきました。不意を突かれて息を飲みました。つぎに言ってやれる言葉が見つかりませんでした。しばらくして、「そうか。彼なりに合格できるかどうかの不安と闘い、入試に立ち向かう決心をしているんだな。すまん。何もしてやれないで」と無力な自分を情けなく思ったものでした。そんな彼の入試結果は見事合格! 当時の修道受験生は、千数百名ぐらいいましたから相当な難関です。いったい彼はどのような心境で入学試験の重圧や緊張を乗り越えたのでしょうか。それを今更ながら知りたいと思わずにはいられません。

 ここまでお伝えしたことが、多少なりとも緊張をほぐす、緊張を乗り越えるうえでのヒントになれば幸いです。ここで、心理学者の著作にあった緊張への対処法をちょっとご紹介してみたいと思います。なお、下記の調査結果を紹介した著者はバイロック氏ではなく別の人物です。

心理学者 シアン・バイロック

 私の研究チームの調査では、試験の直前に今の気持ちや考えを紙に書き出すと、失敗は許されないという精神的重圧の悪影響を小さくすることができます。書くことで、否定的考えを頭から解き放すことができるため、本番の肝心なときに後ろ向きの考えが頭にふとよぎって気が散ることも少なくなるのです。

 どうでしょうか。今の自分の気持ちを紙に書き出す。それによって自分を精神的な重圧から解放できるのだそうです。試してみる価値があると感じたら、ぜひ実行に移してみてください。

 最後に。小学生の子どもの心のよりどころは親、特におかあさんの存在です。若い頃に見た映画で思い出すのですが、屈強の大男が窮地に立ち、獅子奮迅のアクションを展開する直前に、泣きそうな顔を堪えて、「おかあさ~~ん!」と絶叫するシーンがありました。あれは世の東西を問わず母親のもつ絶大な影響力を物語るものだと思います。

 緊張から来る不安に押しつぶされそうになったとき、目の前におかあさんの優しいまなざしがあればこれほど心強いことはありません。何も語る必要はないのではないでしょうか。黙ってうなずくだけでよいのです。入試を目前にした段階での親の役割は、それだと心得てください。まさに最後の手段にして最強の手段です。それだけで十分であり、それこそが子どもにとって最大の援護射撃なんですね。

 入試の日には、弊社の指導担当者も極力お子さんがたを一人残さず見つけ出し、いつも通りの心理状態を取り戻せるようサポートします。また、そうしていると、自然と一緒に学んできた仲間も集まってくるものです。おかあさんがたは、その様子を傍で見守りながら、気持ちが落ち着いたタイミングを見計らって入試会場へと送り出してあげてください。入試本番までにはまだたっぷりと時間がありますが、今のうちに不安な要素を解消しておきたいご家庭のために、早目に入試当日のことについて書いてみました。

本番まで時間はまだまだあります。焦らず、今できることをやっていきましょう!
お子さんにとっていちばんの心強い味方はおかあさんです!

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