2022 年 3 月 6 日 のアーカイブ

中学受験生の保護者に求められる役割って!?

2022 年 3 月 6 日 日曜日

 2022年度の前期講座が開講しました。いまだに新型コロナウィルスの感染問題は沈静化していませんが、広島県では1月より適用されていたまん延防止等重点措置が今月6日をもって解除となる模様で(この記事は4日に書いています)、多少の明かりは見えてきた感があります。気を緩めることなく慎重に行動し、元通りの生活を取り戻すべくがんばってまいりましょう。

 今回は、新年度講座の開講直後でもあり、スタート時において保護者にお伝えしたいことを書いてみようと思います。特に、今春から弊社の教室に通い始めたお子さんの保護者におかれては、「親の役割は何か」について参考にしていただければと思います。

 中学受験と言うと、「親も勉強に関わり、わが子の面倒を見たり教えたりしなくてはいけないの?」と思われるかもしれません。逆に、「受験勉強はすべて塾が面倒を見てくれるもの」と思っておられるかたもおありかもしれません。しかしながら、家庭学習研究社の受験指導はどちらにも当てはまりません。

 保護者にお願いしたいのは、子どもの日々の取り組みに関心を寄せて見守ることです。勉強の内容に直接関わる必要はありません。その日にやるべきことをやり遂げているかどうか。つまり努力を軸にして見守り、頑張りを大いに喜んでやりながら応援し続けるのが保護者にお願いしたい主要な役割です。

 なぜなら、児童期までの子どもの意欲は、親が自分のすることに関心を寄せ、認めてくれるかどうかで大きく変わるからです。そこが、高校や大学の受験と大きく異なる点です。

 また、親の関心が何に向けられているかも大変重要なことです。たとえば、子どもの取り組みよりも成績のほうに親の関心が強い家庭では、地道に努力することよりもテスト結果を得ることのほうに比重が置かれがちです。ですが、こうした関わりは、間違った学習観を植えつけることになり、先々の人生の歩みに影と落としかねません。

 いっぽう、受験勉強をすべて塾で賄うやりかたはどうでしょう。受験での合格のみに目を向けるなら、それも一つの方法かもしれません。しかしながら、自分で勉強を押し進めていく姿勢を培うことなく中学校に入った子どもは、たちまち壁に突き当たってしまいます。さらに将来まで目を向けるなら、とても国際人として活躍できる人間になど到底なれないことでしょう。

 では、別表の①~④について、若干の補足説明をしてみたいと思います。

 

① 親子一緒に毎日の学習計画を立てる。

 受験生とは言ってもまだ小学生です。自分で適切な学習計画を立てるのは無理でしょう。そこで、モデルとなる計画例をお渡しし、親子で相談しながらとりあえず出発点の段階にふさわしい学習計画を立てていただくようお願いしています。しばらくこの計画に基づいて学び、お子さんが実現可能な勉強の取り組みに合わせた計画に修正するとよいでしょう。

 学びの計画性は、長く続く学校生活を充実させるうえで不可欠なものです。また、将来社会人になってからも、行動面仕事面で計画性があるかどうかは人生の歩みを左右する重要なポイントとなるものです。中学受験対策期の子どもは、どういったタイプの人間になるかが定まる時期にあります。したがって、生活や学習の計画性を培うことができたなら、受験での合格のみならず、一生の財産を得たことにもなるでしょう。

 

② 親は子どもの勉強に関心を寄せ、付かず離れずサポートする。

 上述のように、児童期の子どもは自分のすることに親が関心を寄せてくれるかどうかで取り組みの熱量が違ってきます。まだ自己評価よりも親の評価のほうが優先する年齢なのです。そこで必要になってくるのは、子どもの日々の取り組みに親が関心を寄せ、折を見て励ますことです。また、4年生の場合、取り組んだ問題の答えが適切かどうかを客観的に判断することができませんので、家庭でテキストの問題に取り組んだ後、保護者に〇つけをお願いしています。

 実際のところ、4~5年生までは大人が勉強に関わったほうが成果につながりやすいものです。ですが、やがて何事も自分でやれる状態に成長しなければならないのですから、勉強の内容に深入りし過ぎないようにし、少し距離を置いて見守り、計画通りがんばったときに大いにほめるなど、「勉強は自分でやるんだ!」という気概のある取り組みを引き出すようサポートしてあげてください。これもやがて、お子さんの将来に大きな可能性を引き出すことになります。

 

③ 取り組みの成果やテスト結果を一緒に検証する。

 何につけ、自分の取り組みを振り返ることは、自分を向上させるうえで欠かせない絶対条件です。ただし、児童期の子どもはまだそういった姿勢を要求してもうまくいかないことが多いものです。そこで、定期的な振り返りの時間を親子で設け、一緒に成果と反省点を洗い出すことをお勧めします。

 たとえば、毎週末にその週の取り組みを振り返ったり、マナビーテストの後に単元の学習を振り返ったりしたらどうでしょう。その際、親はついマイナス要素に目を向けがちですが、できるならプラス思考で接してあげていただきたいですね。そうすれば、お子さんはおのずと反省点に目を向けるものです。特にテストの振り返りとなると、「できなかったところをやり直しなさい!」と言いたくなるところですが、まずは成果のほうに目を向けてあげてください。それが次のがんばりの原動力になります。

 

④ 努力を評価軸に据え、取り組みの様子をほめる。

 これは上記の②や③とも関わることですが、親が子どもに何を期待し、何を評価の軸に据えるかで、子どもの育ちは大きく変わるものです。極端な話ですが、テスト成績を見てほめるか、日々の取り組みを見てほめるかで、子どもの価値観にも多大な影響を及ぼすことになります。

 「親は結果ばかり気にし、プロセスを見ずに成績がよいときだけほめてくれる」と子どもに思わせると、やがて「どうせほめてもらえっこない」と、努力を放棄する恐れもあるでしょう。というのも、弊社の通学生は全員が一定の学力を有する集団です。そのなかで常に優秀な成績をあげるのはなかなか難しいことです。できるなら、やるべきことにしっかりと取り組んでいるかどうかに目を向け、がんばっていたら何よりもそれを評価し喜んであげていただきたいですね。子どもはそういう親を尊敬しますし、親の期待に応えようと奮起するものです。

 

 今はまだ受験生活の助走段階で、教室においても「家庭勉強の進めかた」「ノートの取りかた」「授業の受けかた」など、基本的なことをじっくりと指導しています。ですから、ご家庭におかれても、「学習の計画性」「決めたことをやる習慣」など、教室指導と連動する要素がしっかりと身につくようご配慮願いたいと存じます。学習生活に欠かせないフレームがしっかりとできあがったお子さんは、勉強の成果があがりますし、先々親の心配や苦労が随分軽減されることになります。何よりも、「自ら学ぶ姿勢」が身につきますから、将来の更なる成長に向けた確かな足がかりを築くことができるでしょう。

 何事も初めが肝心!受験生活のスタート時に必要なサポートをよろしくお願いいたします。

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