2022 年 9 月 のアーカイブ

「中学受験なんでも相談室」から 追記

2022 年 9 月 27 日 火曜日

 前回は、「中学受験なんでも相談室」の実施状況を簡単にご報告しました。そのときにお伝えすべきことを失念していました。それは、すべての保護者がわが子に惜しみなく深い愛情を注いでおられるということです。見るからに優しそうなおかあさんも、少し厳しそうに見えるおかあさんも、わが子の健全な成長を強く願っておられる点についてはまったく変わりません。そのことにしみじみと感じ入ったしだいです。

 どなたも、「わが子に親の思いがどれだけ通じているか」「いつになったら安心して何事も任せられる状況が訪れるのか」という不安やもどかしい思いと葛藤しながらお子さんを見守っておられます。そのことに感銘すら受けました。親という存在はほんとうにありがたいものだと感じずにはいられないほどです。残念なのは、肝心のお子さんがそのことに気づき、行動を改める段階に至っていないことです。

 しかしながら、このような働きかけをしておられる家庭に子育ての失敗はありません。おかあさんの思いは間違いなくお子さんに届いています。お子さんへの関わりかたに多少の差こそあれ、「自分のやるべきことをしっかりと受けとめ、親に言われなくても自分からやれる人間に成長してほしい」という願いをもっておられることが筆者には十分伝わってきました。親の望んだ方向へと変わっていく時期は、お子さんそれぞれに少しずつ異なるのは仕方ありません。お子さんの自覚が行動へと転化するにあたっては、内面の成長が追い付く必要があります。いわゆる成長曲線のことですが、それは子ども個々でみな違っています。また、何らかのきっかけが必要かもしれません。重要なのは、親がいつ来るかわからない自立に向けた成長の時期がやってくるまで、辛抱強く働きかけや声かけを継続することです。

 以前もお伝えしたかと思いますが、思うに任せないわが子を見て、癇癪を起したり怒鳴ったりしても効果はありませんし、親自体も気がめいってしまいます。相談室をご利用になったおかあさんがたは、どなたもそういった感情に溺れてしまうことなくがんばっておられることに共感を覚えました。さらにひとことお伝えするとしたら、「できない」状態は永遠ではなく、もうすぐ終わるということです。わが子を信じましょう。6年生のお子さんなら、ちょうど今頃が変わってくる時期です。親に求められる心のありようは、「きっと思いは通じる」「何とかなるさ」という、希望や楽観性です。それを失わずに根気良くわが子に接することがいちばんです。

 きっとわが子は変わる! そのときがもうすぐ来るのは間違いありません。それを信じて、辛抱強く、粘り強く、多少の楽観性をもって日々お子さんに接してください。

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「中学受験なんでも相談室」からのご報告

2022 年 9 月 25 日 日曜日

 台風14号が日本を通り過ぎた後、めっきり凌ぎやすくなりましたね。朝夕はむしろ寒さを覚えるくらいです。「蒸し暑い夏がいつまで居座り続けるのだろう?」と、夏バテ気味のわが身を慮り困惑していましたが、これで一安心です。やっとお子さんがたにとっても、勉強にスポーツに読書にと、何をするにも好適な季節の恩恵が受けられるでしょう。おおいにがんばってほしいですね。

 さて、このところブログの原稿を書く時間がなかなか確保できません。お読みくださっている方々はおおよそご承知でしょうが、本ブログは見たこと、聞いたこと、やったことなどを備忘録や日記のように綴るのではなく、受験と子育てに関わる情報を提供したり、学習塾としての受験観や教育観を発信したりする場としているため、ブログというよりもコラムに近いのが特徴です。したがって、テーマ設定、資料集め、記述、仕上げの段取りがかなり面倒であり、時間がかかることも少なくありません。無論、1~2時間で割と簡単にできあがることもありますが、他業務が忙しいとき、メンタルのコンディションが不調のときなどはいささか捗りが悪く、1日かけてやっと仕上がるということもあります。

 言い訳がましいことばかりお伝えしましたが、今回は書く時間があまりありません。そこですぐ書けそうなテーマにさせていただくことにしました。ご存じかも知れませんが、この9月に会員家庭へのフォローを充実させようという趣旨で、「中学受験なんでも相談室」を開設いたしました。お子さんの中学受験に関して、どのような相談にも応じるということで、指導経験や対人対応の経験、年齢等などを勘案した結果、筆者がその業務を兼任することになりました。開室を告知したところ、すぐに相当数のお申し込みがあり、対面での対応、ズームを使っての対応を通して、広島市内4校すべての保護者とやりとりする(交流する)機会を得ました。今回のブログは、現在までの相談室の活動を通して筆者が感じていることをお伝えしてみようと思います。おそらく、多くの保護者の方々が同じような問題を抱え、苦労して(やきもきして)おられるのではないかと思います。

 相談される保護者の多くは、わが子の成績に関わらず、学習意欲が今一つ足りない、家庭勉強の段取りを自分でつけられない、学習の自律性が育っていない、計画通りに勉強をやりこなせていない、などの点について心配しておられるようです。原因はいろいろです。ただし、よく話を伺っていると、お子さんがそうなるべくしてなっているのではないかと思うこともたびたびありました。たとえば、つぎのような状況から親の対応としてどんな問題点が見出せるでしょうか。

 場面1は、程度の違いはあれ、多くの家庭の現状としてありがちなことです。子どものすることは、大ざっぱで見当違いな点も多く、親としてじれったいことが多いものです。また、放っておくとやるべきことをなかなかやろうとしないケースもあるでしょう。その結果、親がいろいろと勉強に関わり、やるべきことを具体的に指示してやらせる場合もあるでしょう。子どもは子どもでそのほうが楽であったり、成績が維持できているのは親のおかげであることも自覚していたりで、親の介入を消極的ながらも受け入れざるを得ない状況が続きがちです。しかし、子どもの自立に向けた試行錯誤のプロセスを省略してしまうと、いつまで経っても勉強を自分で管理したり、実行に移したりする姿勢は育ちません。受け身の学習姿勢が染みつくと、中学校に入ってから途方に暮れることになりかねません。親が関わるのが小学生の受験勉強の特徴ですが、関わりつつも、「いつ手を放すか」を常に意識し、徐々に子ども自身でやらせる領域を増やしていくことが肝要です。一時的に成績は下がるかもしれませんが、子ども自身が得た成績をもとに、現実に存在する問題点を親子で検証や点検をしながら、修正をはかっていくような接しかたをお願いしたいですね。

 場面2はどういう状況かというと、イラストの例のように、「勉強しているふり」をして、実はサボっているケースがあります。特に男の子です。他にありがちなのは、勉強をほとんど子ども任せにし、「塾で指導を受けているのだから、やりかたもわかっているのだろう」と親が勉強の内容をほとんど掌握しないまま放置しているケースもあります。この場合、子どもは「やったつもり」の勉強に終始したり、やりかたが要領を得ないままいたずらに時間を費やしてしまったり、といったことが起こりがちです。親は「つかず離れず」のスタンスが基本です。もう少し具体的に言うと、親は子どもの勉強の取り組みの様子や勉強内容に目をやり、まっとうな取り組みができているかどうかを判断する必要があるのです。ノートの取りかたもきちんとわかっているかどうかも見定める必要があります。問題点を感じたら、指導担当者に問い合わせたり、相談したりしてください。勉強の内容に立ち入って教える必要はありません。それをすると目先のテスト成績は上がりますが、子どもの学びの自立がいつまで経っても進みません。子どもの自立に向けた意欲を後押しするのは親の大事な役目です。自分で考え、自ら学ぼうとする姿勢が見られたなら、それを成績が上がったときよりも褒め称えてください。親が何を自分に求めているのかを知り、しかもその求め(親の期待)が納得のいくものだったなら、子どもは親の承認を得ようと一生懸命になるものです。

 中学受験で親に必要なのは、「わが子が今できないことはフォローするが、そのフォローはいずれ自分でやれるようにするためにあるのだ」という意識です。ちょっとずつ手を放す、そのタイミングを常に見計らうことが大切です。そして、子どもが今まで自分ではやれていなかったことができたときには、「凄いよ、進歩したね!」と、心から称賛の言葉を投げかけてあげてください。そういう親の対応こそが、自分でやることへのプライドをもった子どもを育てるのではないでしょうか。親はもどかしい思いを余儀なくされますが、「これは子育ての仕上げの意味もあるのだ」と認識し、辛抱強く子どもの生活や勉強の自立を促していきたいものです。紆余曲折はあっても、お子さんが勉強の要領を手の内に入れ、自分で勉強を取り仕切れるようになったなら、前途洋々たる未来が待っています。自立した人間こそ、社会で自分をまっとうに通用させることができるのですから。

 保護者におかれては、「付かず離れず」を合言葉に、わが子の成長を引き出すべく辛抱強くフォローと見守りを継続してください。過保護と過干渉、子ども任せ(子どもの実態を知らずに信用する)は、わが子の真の成長にとってマイナスにしかなりません。

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興味・関心をもって取り組む学習の効能

2022 年 9 月 18 日 日曜日

 このところ蒸し暑い毎日が続いています。さすがに9月も半ばを過ぎつつありますので、朝夕は若干涼しさを感じるようになりましたが、日中は夏がまだまだ居座っているかのようです。保護者におかれては体調など崩されませんように。お子さんの健康管理にも十分ご配慮願います。

 さて、今回お伝えする話題は、小学校の3~4年生前後のお子さんをおもちの保護者を想定したものです。ただし、基本的にはどの年齢のお子さんにも当てはまることですので、お子さんの年齢を問わず読んでいただけたならうれしいです。

 みなさんはお子さんの家庭での勉強ぶりを見て、どんな感想をおもちでしょうか。「できるなら、仕方なく義務的に取り組むのではなく、興味をもって積極的にやってほしい」と願っておられるのではないでしょうか。リビングなどでお子さんが勉強している姿に活気が伴っていれば、それだけで親としてわが子が頼もしく見えるし嬉しいものですよね。しかしながら、実際はそれだけではなく、興味・関心をもって学ぶほうが学力形成によい影響をもたらすことが科学的にも裏づけられています。今回は、そのことを話題に取り上げてみました。クオリティの高い勉強の実現に向けて生かしていただければ幸いです。

 まず言えるのは、嫌々やったのでは、頭脳は活性化しません。算数の解きかたを何回頭に詰め込んでもわからない、すぐ忘れてしまうといった状況になりがちです。いっぽう、「この問題はおもしろいな」「何とかして解きかたを知りたい」と思って取り組むと、少ない時間で解決できるし、記憶にもよく残ります。脳科学者によると、人間が何かに興味を抱き、知的欲求に突き動かされた状態になったとき、記憶を司る海馬という脳部位でシータ波(θ波)という脳波が発生します。シータ波は1秒間に5回規則正しく刻まれますが、これをθリズムと言います。同じ学習時間で比べると、シータ波が発生しているときはそうでないときと比べて5~10倍の速さで学習が進むそうです。圧倒的な効率のよさですね。ダラダラ勉強している様子は、見た目にもよくないですが、真剣な眼差しで一生懸命考えているときの子どもは、極めて効率のよい学習をしているわけですね。

 シータ波を伴った学習のよい点は、学習効率を高めるだけではありません。海馬は学んだ事柄のうち、重要と認識したものを長期記憶に加工して脳内(側頭葉)に留めてくれます。子どもが興味をもって学んだことは長期記憶に残される確率が高いため、復習をする回数が少なくて済むというメリットもあります。嫌々学んだ事柄は、テストが終わると直に忘れ去られてしまいがちですが、子どもの知的欲求に基づく学習は、忘却のリスクを随分と軽減してくれます。男の子は復習を嫌がりますが、記憶によく残っていたなら何度も復習をする必要もなくなります。まさに「学習は興味をもってすべし」ですね。

 ここで現在のお子さんの学習に向き合う姿勢を振り返ってみてください。どの教科でもよいのですが、好きで一生懸命取り組んでいる分野はありますか? 親はわが子に「勉強の楽しさや喜びを味わってほしい」と願いつつも、現実の学習生活はうまくいっていないご家庭もあるでしょう。自分から取り組もうとしない様子にイライラを募らせ、いつの間にか叱って無理やらせる状態に陥っているご家庭はありませんか? この状態が続くと、子どもは勉強嫌いになってしまい、知的好奇心に支えられた本来の勉強と縁遠くなってしまいかねません。子どもの勉強嫌いは、周囲の大人の接しかたが原因になっているケースが多いと言われます。もしもその傾向を感じておられるなら、今のうちに状況の転換を図る必要があるでしょう。

 小学校課程の学習は、将来大人になるための基盤づくりのためにあります。算数には数にまつわる様々な事象を、シンプルな計算式で解き明かす楽しさがたっぷりと詰まっています。言わば、公式そのものを編み出す魅力にあふれています。国語の学習は、母国語の習得に欠かせない教科であるのみならず、文章を通じて様々な世界や人間に触れる楽しさを満喫させてくれます。理科は、自然界の現象についての謎を解き明かすワクワク感をたっぷりと味わわせてくれます。社会は、人間の辿ってきた歴史を振り返ったり、現在の日本や世界の様子を学んだりできますから、いったん興味をもったなら、知りたいことが尽きることなく湧き出てくる教科です。それぞれの教科には独特のおもしろさがあり、学ぶ楽しさや喜びを与えてくれるのは間違いありません。お子さんがそれに触れることなく大人になるのは、あまりにも残念でもったいないことではないでしょうか。

 勉強は小学校で終わることはありません。中学、高校、大学は無論のこと、社会人になってからも必要なものです。小学生のうちに、勉強に前向きな姿勢を築いておきたいものです。そこで筆者からの提案です。ご家庭で、つぎのようなことを試みてみてはいかがでしょうか。

 児童期までの子どもが、知的好奇心をすっかり失ってしまうなどということはありません。「勉強を強要されている」など、勉強へのネガティブな受け止めかたをするなんらかの要因が好奇心の発動を妨げているだけです。

 そこでご家庭の試していただきたいのは、子どもの知識欲求を継続的に刺激するような働きかけをすることです。先ほど、今回の記事を3~4年生をおもちのかたに向けたものだと書いたのは、上記のような働きかけが最も功を奏する年齢期だからです。①にせよ②にせよ、どのご家庭でもある程度されてきたと思いますが、それを徹底してやれば必ずお子さんに変化が訪れます。

 ①についてですが、お子さんの興味の対象となるものを基本に置きつつ、できるだけ幅広い興味に応えられるような図鑑を何冊かおたくのリビングに常備することをお勧めします。そして、ことあるごとに「それ、図鑑に載っているかもしれないよ。調べてみよう!」などと調べること、知ることの楽しさを味わわせてやりましょう。本は、買うときりがないですから、図書館でいろいろなジャンルの本を借り、お子さんの目に触れるところに置いてやりましょう。おかあさんも目を通し(とても全部は読めないでしょう)、タイミングを見て、「この本、おもしろかったよ」などと水を向けてみましょう。物語だけでなく、伝記や写真集などのようなものも借りてみて、お子さんがどんな本に興味をもつか、いろいろと試みてください。

 ②についてですが、4年部や5年部の算数のテキストの課題の解法に目を通してみると、解きかたの面白さに惹かれる思いをすることがよくあります。その話題をお子さんにもち掛け、「この解きかた,おもしろいね」などとやりとりをしてみてください。単元にもよりますが、お子さん食いついてくる課題がきっとあると思います。また、3年生ぐらいだと、ジュニアや玉井式の算数の解きかたの解説などを見て、おもしろそうだと思ったものを取り上げ、お子さんと一緒に考えるなどの働きかけをしてみてください。考えることは基本的に楽しいものです。そういうことがきっかけで、勉強に対する能動性が徐々に高まってくることもあるでしょう。

 小学生時代に、勉強のもつ楽しさやおもしろさに触れ、考えて解き明かすことに熱心な姿勢を築いておけば、先々の人生の歩みに大きなプラスの作用を果たします。前述のように、興味をもって学ぶことは学習の効率性を高めますし、優れた頭脳形成にもつながります。親の働きかけでわが子よい方向に導ける今の時期を大いに生かしていただきたいですね。

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カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 家庭での教育

オンライン親子セミナーを開催します!(会員限定)

2022 年 9 月 9 日 金曜日

 少しずつ秋らしい涼しさを感じるようになってきました。なかなか受験というものをイメージできず、自分のこととして感じられなかった6年生のお子さんも、さすがに秋を迎えると今までとは違った心もちになってきているのではないでしょうか。

 6年部後期になると、授業で扱う教材やその取り組みかたも入試を意識した実戦的なものになっていきます。授業で先生が話す事柄も入試に関する伝達事項や励ましの言葉が増えますし、クラスの仲間の表情も明らかに引き締まってきます。そうなると、否が応でも教室の雰囲気が変わっていきます。さあ、いよいよ本格的な受験対策の学習が始まります! 受験生の子どもたち全員が、悔いの残らぬ仕上げ学習をやり遂げられるよう、指導に当たる先生たちも全力を尽くして受験生を応援してまいります。保護者の方々におかれても、お子さんの体調管理やメンタル面のフォローなど、いろいろと気遣い気苦労も増えると思います。子どもたちが、今から精一杯の受験対策を実現できるよう、ともに精一杯応援してまいりましょう。

 さて、今回の記事は9月23日(祝・金)と10月2日(日)に実施を予定しているオンライン親子セミナー(9月23日が女学院編、10月2日が修道編)のご案内です。昨年11月以来、オンラインによる学校紹介の行事を何度か実施してまいりました。これまで、広島学院、ノートルダム清心、広島中等教育学校、広島県立広島中学校・高等学校の4校をご取り上げてきましたが、今回ご紹介する広島女学院と修道は、広島の私学で最も歴史が古く、全国的に名前の通った私学らしい私学です。その成り立ちやこれまでの歩みを考えると、この2校は‟ザ・私学”といっても差し支えないほどの存在です。広島の中学受験生の大半が受験する広島女学院と修道の特徴や魅力を、ぜひこのオンライン親子セミナーで感じ取っていただきたいですね。

 ちなみに、修道は江戸時代に設立された広島藩の藩校の流れを汲む、わが国有数の長い歴史をもつ私立男子校です。また、広島女学院は明治19年に設立された、プロテスタント系の女子ミッションスクールです。両校の出自を少し調べるとわかりますが、私学にわが子を通わせるうえで明確なメリットを有する魅力的な6か年一貫校です。そもそも、私学とは共通の利害関係や信仰などで形成された団体や集団が、自分たちの考えに沿った教育を子弟に施すために設立したものです。そこには、どんな人間を育成するかについての明確な目的があります。このような私学の教育の根底には、「いついかなる時代においても生き抜いて行ける、確かなスピリットや知性、行動力を携えた人間を育成する」という、共通のバックボーンが存在します。このような人間の育成に向けたアプローチの違いが、校風や教育内容の個性となっているのだと言えるでしょう。

 現在の私学は、特定集団内の子弟教育の場ではなく、入学を希望される家庭のお子さんのなかから学力などを判定基準にして広く生徒を受け入れています。わが子を私学に通わせる場合、今日まで受け継がれてきたそれぞれの私立学校の伝統や校風を家庭の教育観や家庭文化に照らし、最も魅力的な教育を実践しているのはどこか、最も相性のよさを感じる教育の場はどれかという視点から学校選びをするのが今日では一般的です。オンラインによる駆け足の催しではありますが、改めて「広島女学院と修道の私学らしさはどこにあるか」という視点に立って視聴してみてはいかがでしょうか。

 なお、本催しの申込受付はすでに始まっています。いずれの催しも9月12日(月)まで受け付け可能です。オンラインによる学校紹介は、直接先生の話を聞く形式と比較するとライブ感は少ないものの、学校まで出向く必要がなく、家庭で親子一緒に視聴できます。受験をすぐ先に控えているご家庭でなくても、「学校に興味をもつ機会を子どもに与えたい」と思っておられる5年生以下のお子さんのご家庭も気軽にご利用いただけるでしょう。「まだ時期が熟していないから」とためらっておられたご家庭も、ぜひお申し込みいただきたいですね。

 本セミナーの話者ですが、広島女学院は渡辺信一校長、修道は田原俊典校長にお願いしています。修道の田原校長はダイナミックでユーモアに富んだお話をされることでつとに有名ですが、広島女学院の渡辺校長も情熱のこもったよいお話をされるすばらしい先生です。お会いするたびに、お二人の学校愛、生徒愛の深さとスケールの大きさに圧倒される思いをしています。ぜひ、本セミナーで校長先生の話をお聞きになり、教育者としての人柄に触れていただきたいですね。

 なお、本セミナーが学校説明会と違うのは、主催者が学習塾であり、催しで校長先生がお話しくださるテーマや内容は主催者である弊社が設定している点にあります。学習塾からの問いかけに応じて話すのと、学校が自ら設定した話題に基づいて話すのとでは、自ずと違いが生じるものです。本セミナーを、そういった視点から視聴していただくと、両校の魅力の感じかたも微妙に違ってくるかもしれません。

 話題の多くは家庭学習研究社の広報スタッフが相談して決めました。昨年の学院編、清心編もそうでしたが、小学生も視聴者ですので、子どもたちが興味をもつようなアンケートの結果なども校長先生の話と組み合わせてご紹介します。修道は自由な校風で自主自立の精神を育む教育の場として知られます。広島女学院は、明るい自立した行動派の女性を育む教育の場として知られます。両校の教育についてご紹介するたびに感じるのは、堅苦しさが全くない、誰にも居場所のある、開かれた学校であるということです。子どもたちに言わせると「楽しそう!」という学校イメージのようです。多くの子どもたちがあこがれるのは、そういった学校イメージが地域に定着しているからでしょう。

 本セミナーは、「女学院らしさ、修道らしさをどんな切り口でお伝えするか」ということに焦点を当てています。校長先生への問いかけを筆者が行い、校長先生にお答えいただく形式にしています。たとえば、「男を磨く」という言葉があります。先日も、広島の高校野球の頂点に立つ某私立高校の選手が、「〇〇高校の〇〇監督の下で男を磨こうと思って入部しました」と語っていました。修道も「男を磨く場」という言いかたが最もよく似合う私学ですね。知力や立ち居振る舞い、生きかたの習得において、修道に行けばどんな成長が期待できるでしょうか。そんな問いかけもしてみようと思っています。

 オンライン親子セミナーで、修道と広島女学院の魅力にたっぷりふれてください!

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‟中学受験後”の飛躍が見込める受験生活を!

2022 年 9 月 5 日 月曜日

 後期講座が始まりました。今はまだ夏の名残が強く、蒸し暑い毎日が続いていますが、もうじき凌ぎやすい日々がやってきます。秋は勉強だけでなく、あらゆる活動に適した季節です。この秋にうまくギアチェンジするには、受験生活の現状を掌握していることが必要です。お子さんの状態をチェックしてみてください。生活サイクルの基本的ルーティンが乱れていませんか? 夏に生じた気の緩みが尾を引いていませんか? 勉強に向かう姿勢が後退していませんか? これらについて大きな問題がなければ、秋からの学習の進展は大いに期待できるでしょう。

 さて、今回はどういう受験勉強や受験生活が子どもたちにとって望ましいかということを、今一度保護者の方々と一緒に考えてみようと思います。現4年生や5年生をおもちのご家庭、それもお子さんがマナビーテストで平均点をなかなか取れないで苦労しておられるご家庭を念頭に置いてお伝えします。以下は中学受験の結果と、中学進学後の歩みをいささか乱暴に4つのパターンで示したものです。どれを希望されますか?

1.志望校に受かり、中学進学後も順調に学力を伸ばしていった。
2.志望校に受かったが、中学進学後は学力が伸び悩み精彩を
  欠いた。
3.志望校には受からなかったが、中学進学後に学力を伸ばして
  いった。
4.志望校に受からず、中学進学後も学習に精彩を欠いて伸び
  悩んだ。

 「何これ?」と思われたことでしょう。変な質問をしてすみませんでした。みなさんの頭にあるのは、1のパターンしかありません。それ以外を希望されることなどあり得ません。しかしながら、現実には1以外のパターンに当てはまる子さんも一定数おられます。

 学習塾としての弊社は、2や4のパターンに陥るお子さんを極力少なくすることに注力しています。もしも受験の結果が思うようにならなかったとしたら、3の道を歩むお子さんになってほしいと願っています。というのも、受験に失敗した直後は親子共々がっかりされたとしても、結果としては受験時に思い描いていた道へと修正をはかれるわけですから。

 受験の結果が思うようにならなかったお子さんが、中学進学後に巻き返している例を筆者はたくさん見聞きしてきました。そしてそういうお子さんにはある種の共通点が見出せることに気づきました。たとえば、

① 結果が出て初めて自分の見通しや考えが甘かったことに気づ
 いた
② 精神的に幼さが抜けきらず、勉強の取り組みが雑だった
③ テストに備えた勉強の方法がわかっていなかった
④ 受験勉強以外にもやりたいことがあり、中途半端な受験生活を
 送ってしまった

 などのような例があります。中学進学後に伸びたのは、テストで結果を残せる勉強ができておらず、取り組みに不十分な点があったとは言え、基礎はある程度身についていたからでしょう。反省点をはっきりと胸に刻み込んで中学校生活を送ったり、メンタル面の成長や意欲が伴ってきて、やることがきちんとしてくると、中学受験時に身につけていた基礎が生かされて勉強の歯車がかみ合うようになります。そういう話をよく耳にします。

 2のパターンに陥る子どもには相応の原因があります。「努力が足りなかったのに合格を得て、勉強をなめてしまった」こと、「あるいは大人に無理矢理勉強させられ、学びの推進力を養えていなかった」ことなどが考えられます。いずれにしても、自らを律して学ぶ姿勢を育むことなく中学校に進学しても、よいことにはなりません。また、受験生活が全般的に機能しないまままともな学力を養うことなく入試を迎えてしまうと、結果が得られないのは無論のこと、中学生になってからの飛躍も期待できません。結果的に4のような道をたどるケースもあるでしょう。

 さて、ここからが本題です。受験する以上は結果を得たいのは当たり前です。そして、中学進学後はますます立派に成長してほしいに決まっています。そうなるには現状をどう変えればよいでしょうか。そのヒントは、上記の①~④から得られるのではないでしょうか。

 ①から得られる教訓。それは勉強をなめていけないということです。いい加減な勉強で中途半端な成績に甘んじているのに、いまだに現状を顧みて反省することもなく、同じことを繰り返してはいないでしょうか。やるべきことをやらずにおいしい結果は得られないし、たとえ得られてもあとで不十分な勉強のつけを払わされ、苦労するのは必定です。そういった半端な勉強をお子さんが繰り返しておられるようなら、後期の始まりにあたって、夏休みまでの勉強の総括を親子でしてみるとよいでしょう。

 ②から得られる教訓。それは考えの幼さをどう克服するかということでしょう。具体的には、勉強の取り組み具合を定期的にチェックすることでしょう。テストの結果を一つひとつ丁寧に検証し、できなかったところはほったらかしにせず、なぜそうなったのかを振り返り、埋め合わせをすることを必ず実行してほしいですね。そうすることで、地に足の着いた勉強が徐々にできるようになるでしょう。その時間は保護者が立ち会い、なぜできなかったのかについてお子さんに説明させてもよいでしょう(でたらめな勉強ぶりに癇癪を起すのではなく、現状を少しずつ改めるよう粘り強く子どもを励ましてやりましょう。)

 ③から得られる教訓。それは、テスト対策をしていなければ、結果は得られないということです。弊社の指導システムの特徴は、2週目の後半は「がんばりチェック」といって当該単元の復習をするようになっています。そこでしっかりと重要事項の確認とおさらいをします。これをおざなりにしていなければ、20点、30点という結果にはなりません。さらにテストの直前に不確かなところ、やっていなかったところを埋め合わせる勉強をしたうえでテストに臨みましょう。もう一つ。副教材の取り組みを家庭勉強の予定に組み込んでおられると思います。それを必ずやっておられるでしょうか。副教材からテストに出題されているのにできていないのは、やるべきことをしていないからです。

 ④から得られる教訓。受験勉強以外にもやりたいことがある場合、それをあきらめる必要はありません。いけないのは全部が中途半端になることです。楽しみも含め、やりたいことに時間を割いたら、勉強の時間との割り振りをよく考え、勉強が疎かにならないように工夫することも必要でしょう。サッカーなどの激しいスポーツをされる場合、疲労が勉強に大きく影響することもあるでしょう。その場合、疲労の残った時間帯は勉強がはかどりませんから、早寝をして翌朝早くの時間を勉強に当てるような工夫もしてみるとよいでしょう。スポーツをする子どもは集中力がありますから、短い時間で成果をあげる勉強を心がけましょう。

 受験する以上は結果を得たいもの。今抱えている問題点を放置せず、手を打っていきましょう。そうした努力をしたうえで入試を迎えたなら、問題点を抱えたまま入試を迎えるよりもはるかによい結果が得られるでしょう。仮に満足のいく結果が得られなくても、学びの態勢はある程度整っていますし、基礎も身についていますから、お子さんはどの中学校に進学してもやっていけるだけの人間に成長しています。

 親は勉強の内容を教える必要はありません。しかし、常に子どもを見守り、子どもの状態を掌握し、必要に応じてタイミングよく励ます必要があります。小学生の子どもは、自分のすることに親が関心をもってくれているかどうかで、取り組みの姿勢が随分違ってくるものです。今こそ、親の出番かもしれませんよ。

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