‟中学受験後”の飛躍が見込める受験生活を!

2022 年 9 月 5 日

 後期講座が始まりました。今はまだ夏の名残が強く、蒸し暑い毎日が続いていますが、もうじき凌ぎやすい日々がやってきます。秋は勉強だけでなく、あらゆる活動に適した季節です。この秋にうまくギアチェンジするには、受験生活の現状を掌握していることが必要です。お子さんの状態をチェックしてみてください。生活サイクルの基本的ルーティンが乱れていませんか? 夏に生じた気の緩みが尾を引いていませんか? 勉強に向かう姿勢が後退していませんか? これらについて大きな問題がなければ、秋からの学習の進展は大いに期待できるでしょう。

 さて、今回はどういう受験勉強や受験生活が子どもたちにとって望ましいかということを、今一度保護者の方々と一緒に考えてみようと思います。現4年生や5年生をおもちのご家庭、それもお子さんがマナビーテストで平均点をなかなか取れないで苦労しておられるご家庭を念頭に置いてお伝えします。以下は中学受験の結果と、中学進学後の歩みをいささか乱暴に4つのパターンで示したものです。どれを希望されますか?

1.志望校に受かり、中学進学後も順調に学力を伸ばしていった。
2.志望校に受かったが、中学進学後は学力が伸び悩み精彩を
  欠いた。
3.志望校には受からなかったが、中学進学後に学力を伸ばして
  いった。
4.志望校に受からず、中学進学後も学習に精彩を欠いて伸び
  悩んだ。

 「何これ?」と思われたことでしょう。変な質問をしてすみませんでした。みなさんの頭にあるのは、1のパターンしかありません。それ以外を希望されることなどあり得ません。しかしながら、現実には1以外のパターンに当てはまる子さんも一定数おられます。

 学習塾としての弊社は、2や4のパターンに陥るお子さんを極力少なくすることに注力しています。もしも受験の結果が思うようにならなかったとしたら、3の道を歩むお子さんになってほしいと願っています。というのも、受験に失敗した直後は親子共々がっかりされたとしても、結果としては受験時に思い描いていた道へと修正をはかれるわけですから。

 受験の結果が思うようにならなかったお子さんが、中学進学後に巻き返している例を筆者はたくさん見聞きしてきました。そしてそういうお子さんにはある種の共通点が見出せることに気づきました。たとえば、

① 結果が出て初めて自分の見通しや考えが甘かったことに気づ
 いた
② 精神的に幼さが抜けきらず、勉強の取り組みが雑だった
③ テストに備えた勉強の方法がわかっていなかった
④ 受験勉強以外にもやりたいことがあり、中途半端な受験生活を
 送ってしまった

 などのような例があります。中学進学後に伸びたのは、テストで結果を残せる勉強ができておらず、取り組みに不十分な点があったとは言え、基礎はある程度身についていたからでしょう。反省点をはっきりと胸に刻み込んで中学校生活を送ったり、メンタル面の成長や意欲が伴ってきて、やることがきちんとしてくると、中学受験時に身につけていた基礎が生かされて勉強の歯車がかみ合うようになります。そういう話をよく耳にします。

 2のパターンに陥る子どもには相応の原因があります。「努力が足りなかったのに合格を得て、勉強をなめてしまった」こと、「あるいは大人に無理矢理勉強させられ、学びの推進力を養えていなかった」ことなどが考えられます。いずれにしても、自らを律して学ぶ姿勢を育むことなく中学校に進学しても、よいことにはなりません。また、受験生活が全般的に機能しないまままともな学力を養うことなく入試を迎えてしまうと、結果が得られないのは無論のこと、中学生になってからの飛躍も期待できません。結果的に4のような道をたどるケースもあるでしょう。

 さて、ここからが本題です。受験する以上は結果を得たいのは当たり前です。そして、中学進学後はますます立派に成長してほしいに決まっています。そうなるには現状をどう変えればよいでしょうか。そのヒントは、上記の①~④から得られるのではないでしょうか。

 ①から得られる教訓。それは勉強をなめていけないということです。いい加減な勉強で中途半端な成績に甘んじているのに、いまだに現状を顧みて反省することもなく、同じことを繰り返してはいないでしょうか。やるべきことをやらずにおいしい結果は得られないし、たとえ得られてもあとで不十分な勉強のつけを払わされ、苦労するのは必定です。そういった半端な勉強をお子さんが繰り返しておられるようなら、後期の始まりにあたって、夏休みまでの勉強の総括を親子でしてみるとよいでしょう。

 ②から得られる教訓。それは考えの幼さをどう克服するかということでしょう。具体的には、勉強の取り組み具合を定期的にチェックすることでしょう。テストの結果を一つひとつ丁寧に検証し、できなかったところはほったらかしにせず、なぜそうなったのかを振り返り、埋め合わせをすることを必ず実行してほしいですね。そうすることで、地に足の着いた勉強が徐々にできるようになるでしょう。その時間は保護者が立ち会い、なぜできなかったのかについてお子さんに説明させてもよいでしょう(でたらめな勉強ぶりに癇癪を起すのではなく、現状を少しずつ改めるよう粘り強く子どもを励ましてやりましょう。)

 ③から得られる教訓。それは、テスト対策をしていなければ、結果は得られないということです。弊社の指導システムの特徴は、2週目の後半は「がんばりチェック」といって当該単元の復習をするようになっています。そこでしっかりと重要事項の確認とおさらいをします。これをおざなりにしていなければ、20点、30点という結果にはなりません。さらにテストの直前に不確かなところ、やっていなかったところを埋め合わせる勉強をしたうえでテストに臨みましょう。もう一つ。副教材の取り組みを家庭勉強の予定に組み込んでおられると思います。それを必ずやっておられるでしょうか。副教材からテストに出題されているのにできていないのは、やるべきことをしていないからです。

 ④から得られる教訓。受験勉強以外にもやりたいことがある場合、それをあきらめる必要はありません。いけないのは全部が中途半端になることです。楽しみも含め、やりたいことに時間を割いたら、勉強の時間との割り振りをよく考え、勉強が疎かにならないように工夫することも必要でしょう。サッカーなどの激しいスポーツをされる場合、疲労が勉強に大きく影響することもあるでしょう。その場合、疲労の残った時間帯は勉強がはかどりませんから、早寝をして翌朝早くの時間を勉強に当てるような工夫もしてみるとよいでしょう。スポーツをする子どもは集中力がありますから、短い時間で成果をあげる勉強を心がけましょう。

 受験する以上は結果を得たいもの。今抱えている問題点を放置せず、手を打っていきましょう。そうした努力をしたうえで入試を迎えたなら、問題点を抱えたまま入試を迎えるよりもはるかによい結果が得られるでしょう。仮に満足のいく結果が得られなくても、学びの態勢はある程度整っていますし、基礎も身についていますから、お子さんはどの中学校に進学してもやっていけるだけの人間に成長しています。

 親は勉強の内容を教える必要はありません。しかし、常に子どもを見守り、子どもの状態を掌握し、必要に応じてタイミングよく励ます必要があります。小学生の子どもは、自分のすることに親が関心をもってくれているかどうかで、取り組みの姿勢が随分違ってくるものです。今こそ、親の出番かもしれませんよ。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 家庭での教育

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