わが子に効果的な入試直前の声かけを!
12月 5th, 2024
師走を迎え、あと1カ月余りで中学受験シーズンがやってきます。そこで、12月1日(日)には「中学入試模擬試験」の最終回(第5回)を実施しました。いよいよラストスパートの時期になりますので、会場は男子が修道中学校、女子が広島女学院中学校をお借りして、本番に限りなく近いセッティングでの実施でした。
<疑似体験の効能と模擬試験の役割>
疑似体験の効能については、どなたもある程度ご存じであろうと思います。本番さながらの雰囲気においては否応なく受験生の子どもたちの緊張が高まります。緊張は人間の生存維持機能(ホメオスタシスなどと呼ばれます)が呼び起こされた結果であり、神経が鋭敏になります。すなわち集中力や判断力、記憶力の稼働が促されます。ですが、緊張が過度になるとメンタルがパニック状態になり、思考が正常に働かなくなってしまいます。そこで効力を発揮するのが疑似体験です。同じような体験を既に一度していると、緊張はしても、それがほどほどで収まるのです。模擬試験を受けるのは、仕上がり状態をチェックするためですが、このような効能もあるのですね。お子さんには「模試でそっくり体験をしているから、本番では落ち着いて実力が発揮できるよ!」と励ましてあげてください。
<模試結果の活用と最後の詰め>
模試の結果は直に返却されます。この結果を親子で丹念に点検し、これからの総仕上げを有効で密なものにしていただきたいですね。緊張下で生じがちなのは、時間配分の失敗(難問に関わり過ぎるなど)、情報の取り違え(読み間違いや早合点)、記憶が稼働しない(喉元まで手繰り寄せた記憶が言語としてアウトプットされない)、選択肢に潜む落とし穴に気づかない(正しそうに見えて、一部に誤りが仕掛けられている選択肢に引っかかる)などの問題ですが、答案が返ってきたら、平常時ならできていた問題だったのか(ミスによるものか)、まだ仕上がっていない箇所が出題されたのかなどを点検し、今から1カ月余りの期間を上手に使って最後の詰めをしていただきたいと存じます。何をしたらよいかが明確にならなければ、塾の指導担当者にすぐ相談しましょう。
<規則正しい睡眠の重要性>
なお、追い込みを利かせようと毎日の学習の予定を欲張ると、脳の容量がパンクしてしまい、消化不良や不安の助長を引き起こすおそれがあります。これから受験生も無理をしがちになりますが、保護者におかれては規則正しい睡眠の維持にも心配りをお願いします。睡眠を正常にとることも、緊張に負けない精神状態をつくるうえで非常に大切です(リラックス状態をつくるセロトニンの分泌を促し、過度の緊張を防止します)。
<保護者対象イベント「未来への架け橋」>
さて、これからが今回のテーマに沿った話になります。先日の模試最終回においては、「保護者の待機時間に、何か親向けのサポートができないか」と考え、「中学受験は未来への架け橋」という呼称の催しを実施しました。男子のほうはやむを得ない事情で場所が確保できず、女子の模試会場の広島女学院(ゲーンスホール)のみでの実施となりました。その内容ですが、前半は広島女学院の中学教頭の宇津先生と広報部長の濵岡先生のご協力で、「私立一貫校教育の利点や特色」「女子のみの私学だからできる教育」「女学院生の学校生活」といったテーマでお話しいただきました。後半は筆者が担当し、「女子受験生に求められる保護者のサポート」「緊張緩和に効果的なメンタルのつくりかた」などについてお伝えしました。
<男女のメンタルの違いとサポート方法>
ご承知かと思いますが、男子と女子とではメンタルのありかたや行動様式が全然違います。ですから、効果ある励ましかたも当然違ってきます。そこで、女子受験生の保護者向けに、つぎのような簡単な資料を提示して、女子向けの効果ある仕上げ学習やサポート方法をご紹介しました。
入試が近づいたというのに、なかなか重い腰が上がらない男の子に対して、女の子は一生懸命に取り組むものの、不安を口にしがちです。そこで、男の子の指導担当者は早めに檄を飛ばしたり、士気が高まるような話をしたりしながら、入試が近いことへの自覚と奮起を促していきます。また、女子の指導担当者は不安を解消するためのサポートに注力します。無論、男女を問わず欠かせないのは、仕上げ期の対策のありかたに関する指導です。個別に必要なことに関しても、適宜サポートしていきます。これが、6年生の秋が深まる頃からの通例です。保護者におかれても、上記のような男女の特性に鑑み、わが子に合ったサポートが求められるでしょう。
<愛情深い声かけが子どもの力になる>
12月1日の催しにおいては、親からの声かけの例をいくつか挙げ、各ご家庭のお子さんにふさわしい愛情深い声かけをお願いしました。以下はその例ですが、参考にしていただければ幸いです。
上記は、主として女のお子さん向けに用意したものですが、男女に関わらず有効だと思います。不安を払しょくすること、安心させることが大切だからです。男子のお子さんには、これに加えて意気込みを引き出すような声かけも有効でしょう。「結果を恐れるな。おまえがベストを尽くすことが親の願いなんだよ!」「『精神一到、何事かならざらん』という言葉がある。やるべきことに集中すれば結果はついてくるよ!」「弱気の虫を追い払って、強気で勝負しなさい!」などのような声かけもよいかもしれません。ご家庭で今のうちにとっておきの言葉を用意してあげてください。そして、適切なタイミングを見計らって愛情を込めて伝えてあげましょう。お子さんにとって、まだまだ親の影響力は絶大です。大好きなおとうさんおかあさんからの声かけは、他の何にも増して勇気を奮い立たせることでしょう。