男の子と女の子はこんなにも違う!?
2025 年 9 月 18 日
今年の夏は例年にまして蒸し暑い日が続きましたが、ようやく少しばかりしのぎやすくなってきたように思います。みなさんのお子さんは体調を崩すことなく夏を乗り切ってこられたでしょうか。まだ当分暑い日は続きます。日々の体調管理には十分ご配慮ください。
さて、弊社の後期講座が始まって3週間近くが経過しました。先日は後期第1回目のマナビーテスト(2週間に1度の単元テスト)が実施されましたが、お子さんは手ごたえを感じておられましたか?夏休みの頑張りの成果が実を結ぶといいですね。これからしだいに秋は深まり、勉強にもスポーツにも絶好の季節がやってきます。この時期に受験勉強のギアを一段と上げていきたいものです。
受験勉強は毎日の積み重ねです。やったりやらなかったりでは成果は得られません。ご存じのように、弊社のカリキュラムは2週間をひとくくりにした単元構成となっています。そして、2週目の週末には全員で学習成果を競い合うテスト(上述のマナビーテスト)が行われます。このサイクルを体に染み込ませ、やるべきことに無意識のレベルで取り組んでいく状態をまずはめざしましょう。勉強の自立は、習慣づけと深く連動しています。時間が来たら当然のごとく体が机に向かい、その日のメニューに沿って勉強に取り組む毎日を確立することが何より大切です。安定して平均点以上をとれるレベルにこぎつけるには、まずもって学びの習慣を浸透させることが大前提となります。
この学びの習慣を浸透させるまでが第一関門です。今現在、お子さんの取り組みが不規則だったり、甘かったりで、フォローに追われているご家庭はありませんか? 勉強を軌道に乗せるためのサポートで配慮すべきことは、男の子と女の子とではだいぶ違います。今回は、勉強の取り組みに見られる男女の違いにスポットを当ててみようと思います。特に、男の子の扱いで苦労しておられる保護者(主としておかあさん)が悩みがちな点と、対処法について参考にしていただければ幸いです。
おかあさんがたから、しばしば「男の子は理解しがたい」という声が寄せられます。やや大げさに言えば、「同じ人間とは思えない」ということのようです。たとえば、「勉強に計画性がないんです。やるべきことはわかっているはずなのに」「何をするにもいい加減で、細かい注意力がたりません」「まともに勉強をしていないのに、叱ると、『ちゃんとやっているよ!』と、言い訳をします」「テストで最悪の成績を取ったというのに、反省は一瞬ですぐ元通りなんです」などのように、フォローしようにも取り付く島がなく、途方に暮れているおかあさんが結構おられます。
小学校高学年の男の子は、口こそ達者になりますが、考えが安易でやることが雑です。そして、叱られると言い訳や口答えをします。業を煮やしたおかあさんが声を荒げると、興奮してわけのわからないことをわめきます。実のところ、男の子は少しでも興奮すると、ただでさえ理路整然とした話ができないのに、自分がなぜ親に叱られるような振る舞いをしたのかを言葉で説明できなくなるのです。児童期までの子どもは自己中心性が強いのが特徴ですが、男の子は特に精神面の発達が女の子よりも遅く、「ちゃんと説明していなくても、親にわかってほしい」という理解に苦しむ幼児的側面があるのです。
男の子の感情の昂ぶりは、扁桃体という古い脳部位の働きによるものです。これを抑制し、自分の思いをきちんと説明するには、知性の座である大脳新皮質との連携がが必要です。しかし、男の子には扁桃体と大脳新皮質との連絡網がありません。そこで、親に叱られて腹を立てると、扁桃体から発した興奮が制御不能になってしまい、落ち着いた会話ができない状態になってしまうのです。以上は、アメリカの研究者の書物にあった説明を手短にご紹介したものです。その書物に男の子の特徴が記されていたので、かいつまんでご紹介してみましょう。下図をごらんください。

これを見ると、ある程度男の子というものがおわかりいただけるでしょう。男の子の特性を知ると、頭ごなしに叱っても効果は期待できないことがわかりますね。
つぎに女の子の特徴を見てみましょう。だいぶ男子とは異なります。リスクを取りたがる男子と比べ、むしろリスクを回避したがります。男子よりまじめで、コツコツ取り組むことができます。しかし、やや自己評価が低く、何事も楽天的にとらえることができず、不安に陥りやすいのが特徴です。

もっと頑張らせたいとき、男子にはガツンと叱り、さっと切り上げる方法が効果的ですが、女子には必ずしも適切ではありません。むしろ能力を肯定的に指摘し、あきらめないよう精神的に支えて励ますのが有効です。
おかあさんにとって、男の子は別種の生き物のようにわからない面が多いのに対し、女の子は同性であるために心を通じ合わせやすいものです。ただし、互いの気持ちがわかるがゆえの問題もあります。成績不振が長引いたり、自信喪失に陥ったりしたとき、親と子が同じようにネガティブ思考に陥り、「このままだと志望校への合格は難しいかもしれないね」などと一緒に落ち込んでしまうこともあります。お子さんが不安と葛藤しているように見えるときには、「あなたなら絶対大丈夫よ。今までの努力は絶対に無駄になんかならないよ!」と勇気づける役割を担うべきでしょう。
さて、何をするにつけ楽天的で、自分の成績の実態に目を背けるかのように能天気な状態を続ける男の子に対し、おかあさんはどう対処したらよいでしょうか。まずは、男の子特有の欠点を受け入れることが重要でしょう。そして、感情的になって叱らないことです。できるだけ冷静さを保ち、「今のままでよいと思う? このままだとどうなるかな? 受験はあなたのことだから、誰もあなたを助けてくれないよ」と、少し突き放して考えさせるのも効果があるかもしれません。そして、「いろいろ言い訳をしたり逆らったりしていても、親の気持ちは伝わっているはず」と気長に構えることです。そういうゆとりをもったら、感情的に叱ることはなくなるでしょう。
ただし、叱るときには親が本気でいることを悟らせることが必要です。何かをしながら叱るのではなく、子どもの横に座り、しっかりと子どもの目を見据えて親の気持ちを伝えるべきでしょう。そうすれば、感情に任せた反発はしなくなります。子どもの気持ちを落ち着かせ、聞く耳をもたせたうえで叱ると、同じことを言ってもより効果が高まります。具体的には叱りの言葉を伝える前に、日ごろ親が子どもに感謝していることや、子どもの評価できる点を伝え、そのうえで親として気になることを伝えたり、改善すべき点を伝えたりすれば、子どもは親の言葉をきちんと受け止めることでしょう。
もう一つ、男の子に対してはよい行為を見逃さず、おだてに近いくらいほめることです。根拠のあることならほめられて悪い気がするはずがありません。気分が乗ったら男の子の行動は変わります。とにかく何であれ「自発性的行動」が見られたらほめたたえてやりたいですね。この繰り返しが、「おかあさんは、やるべきことを自分からやろうとしたらすごく喜んでくれる」という意識を浸透させます。学習の習慣づけが当面の課題なら、この自発性を評価する親の姿勢は必ず習慣づけを後押しする効果があると思います。さらには、子どものやったことに対して結果よりも、自発性や努力のほうに親が着目していることを子どもが理解すれば、叱ったときの効果も高まります。
今回は、男の子と女の子の違いについて着目してみましたが、おかあさんがたの悩みの種になりがちなのは圧倒的に男の子のほうです。それには近年の家族構成の傾向にも原因があります。少子化が長く続き、おかあさんがた自身が男のきょうだいのいない家庭で育っているケースが多く、それが少年期の男の子というものを知らない、理解できない原因となっているようです。お子さんの気になる状況が目についたなら、男の子に有効なアプローチ、女の子に有効なアプローチを念頭に置き、効果的な対処法を見つけていただきたいですね。
なお、今回お伝えしたことはおおよその傾向ですから、なかには当てはまらないお子さんもおられると思います。慎重で何事も早めに計画を立てて取り組むタイプの男の子もいますし、男の子顔負けの特徴をもった女の子もいます。お子さんの現状を振り返り、今回の記事で参考になりそうな点を役立てていただければ幸いです。
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