まずは確固たる学習習慣の確立を!(開講にあたって)

2026 年 3 月 5 日

 2026年度の前期講座がスタートしました。そこで、会員のご家庭に向け、開講当初にぜひ心がけていただきたいことがらを話題に取り上げてお伝えしようと思います。

 新4年生のみなさんは、期待と不安が入り混じった思いで受験生活のスタートを迎えられたことでしょう。新5年生のみなさんは、理科と社会の学習が加わり、4教科での本格的な受験学習が始まりました。テキストやノート類が増え、塾通いのカバンの重みも増したことでしょう。また新6年生のみなさんは、「あと1年足らずで入試だ」という引き締まった気持ちを味わっておられるかもしれませんね。いずれにせよ、開講時はすべてが目新しく新鮮で、どのお子さんも「がんばるぞ!」とやる気に満ちておられることでしょう。今のフレッシュな気持ちを失うことなく維持し、この1年間の学習を大いに実りあるものにしていただきたいですね。

 では、新年度の講座の開始時に何はさておいても大切にしたいことは何でしょうか。いうまでもありませんが、「受験生活、受験学習を軌道に乗せる」ことでしょう。その要となるのは「学習習慣の確立」に他なりません。何をするにつけても、習慣づけをするとものごとがはかどりやすくなります。苦労(精神的負担)が軽減されますし、継続性が高まりますから成果も勢い上がろうというものです。

 学習の習慣づけにあたっては、スケジュールの作成が必須です。弊社ではモデルプランを配布し、各家庭に必ず「学習計画表」を作成していただくようお願いしています。すでに計画は立てられたでしょうか。むろん、計画は実行に移さなければ「絵に描いた餅」に過ぎなくなります。以前実施した調査によると、8~9割のお子さんは計画を立てて勉強しておられます。ですが、必ず実行しているお子さんは3~4割で、だいたい実行しているお子さんは半分くらい、そしてなかなか実行できないお子さんが若干おられました。なお、計画を立てずに勉強しているお子さんも少数ながらおられます。

 まずは親子で相談のうえ、実行可能な無理のない学習計画を立てることから(まだ、お子さん自身で妥当な計画を立てるのは困難です)。そして、当面は毎日実行に移せたかどうかを親子で振り返るようにしましょう。親にとっては面倒なフォローですが、この段階が重要です。そして、2~3か月後には「計画通りやるのが当たり前だ」というレベルになるになるのをめざしましょう。それがうまく行けば、おのずと学習習慣はしっかりと根づきます。なお、4年生の時期には「計画を立てていないが成績はよい」というお子さんもおられます。しかしながら、5年生になって4教科の学習が始まると、行き当たりばったりの取り組みは通用しなくなります。また、その日の気分で勉強するくせが染みついてしまうと、いつまでもそのやりかたから抜け出せなくなりがちです。習慣づけを今のうちに!

 では、習慣づけにはどのような効能があるのでしょうか。専門家の著述も参考にして、いくつかのポイントをあげてみましょう。

学習の習慣化による効能とは?

1.勉強の積み重ねによる好循環の連鎖が生まれます。

 塾では学校よりもやや難しい内容を扱います。わかったつもりでも、そのまま放置すると忘れてしまいがちです。授業の後や、テキスト内容を初見で学んだ後、まだ記憶が消えないうちに(その日、もしくは翌日まで)計画に沿って復習をしておきたいものです。復習をすると理解が深まりますし、脳内で記憶を司る海馬という器官が習得した情報を重要であると認識し、長期記憶に加工してくれます。こうして脳内に貯蔵された記憶は、必要に応じて(たとえばテストのとき)取り出すことができます。

 学習を習慣化すれば、「学ぶ→理解する→記憶する」という作業が脳内で絶えず連携して行われるようになります。すると、習得済みの知識が結晶化して脳内に蓄積され、つぎなる学習に活用されるようになります。これこそ、勉強の積み重ねによる好循環の連鎖と言えるでしょう。

2.学習意欲に働きかける前に習慣づけに注力を!

 学習を活性化するうえで何が最も重要かと問われると、多くの人は「学習意欲」と「学習習慣」を思い浮かべるでしょう。いずれも間違いではありません。ただし、どっちを優先すべきかと問われると迷ってしまいます。この問いかけに対して、有名な教育社会学者は「学習習慣が先にあるべきだ」と著書で述べておられます。

 なぜ意欲よりも習慣が先なのでしょう。学習の習慣化による積み重ね効果の連鎖が生じると、「やればやっただけのことはある」という手応えを頻繁に味わえるようになります。勉強の面白みにも気づくようになるのです。そうなると、以前よりもやる気(学習意欲)は自然と高まるのです。つまり、習慣づけが新たな意欲を引き出してくれるのです。この流れに照らすと、「まずは習慣づけから」ということになるのです。

3.やるべき時間に机に向かうようになると勉強が楽になる。

 勉強が軌道に乗っている子どものおかあさんに、「どのように勉強されているのですか?」と尋ねると、「特にコツのようなものはありません。ただ、勉強の時間がきたら、やるのが当たり前になっているみたいです」という返事をされることがよくあります。これこそ習慣化の賜物でしょう。

 ある脳科学の専門家が、「勉強に向かわせる神経回路というものは実際にはないのですが、まるでそれがあるかのように勉強を自動化することはできます。それは、勉強の習慣化によるものです」といったようなことを述べておられました。勉強が習慣として定着すると、決めた時間になると無意識的に体が机に向かうようになります。上記のおかあさんの、「やるのが当たり前になっている」という言葉は、まさにこのことと符合しているのではないでしょうか。受験勉強は子どもにとって苦痛な面もありますが、習慣はそれをずいぶん和らげてくれます。やらなきゃと思うけれど、体が動いてくれない。このような葛藤から解放してくれるのも習慣のもたらす恩恵でしょう。

 最後にもう一つ。学習習慣が根づくと、上記の三つのような効能によって、学習適性の高い人間に成長していく流れができてきます。たとえば、先を見通して学ぶ姿勢が強化されたり、段取りよく学ぶ力が身に着いたりします。こういう姿勢や能力は、高い次元の学びの領域になればなるほど強く求められるようになります。中学受験準備の学習をする小学校の中~高学年のころは、人間としての器の基盤を築いていく成長著しい時期にあたります。学習の習慣化を発端にして、先々高度な学問を収めていくうえで求められる様々な能力が磨かれるとしたら、それこそが中学受験によって得られる最大の収穫と言えるのではないでしょうか。繰り返します。まずは学習の習慣化から!

 

 

 

 

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