同じ文章を読んでも理解に個人差があるのはなぜ?
2026 年 5 月 1 日
読んでも著述内容がわからない子ども、まじめに勉強しているのに学力が身につかない子どもが増えていると言います。これはどういうことなのでしょう。授業をまじめに聞いている子ども、ノートを見ても一生懸命取り組んでいる跡が見える子どもにも、テスト成績がさっぱり振るわない子どもがいます。勉強が空回りしているとしか思えません。
勉強は読むことを基本としています。小学校入学以来、子どもは読み書きを正式に習い始めますが、教科書を全く読めない子どもがいるなどと言うことは聞いたことがありません。まして弊社の教室に通う児童のように、中学受験をめざして学んでいる子どもがテキストの文章を読めないはずがありません。しかしながら、まじめにテキストを読んで勉強しているのに、成果があがらない子どもが一定数いるのも事実であり、とても残念なことです。
そこで筆者は、読んでも理解できない子どもがいるのはなぜかということに着目し、その原因を調べてみました。そして、上述のように極端なケースではなくても、読んでいるのに、読めているはずなのに今ひとつ理解につながらない子どもをどうテコ入れすべきかを検討し、前回のこのブログでご案内したような保護者向けのセミナーを実施することにしたしだいです(家庭で保護者がサポートすればかなり改善できます)。
前回のブログでお伝えしたように、読んで著述内容を理解するために必須となるのは、「音韻の符号化」と「イメージング」です。文章を成り立たせている文字の一つひとつと、それに対応する読みの音を照合するのが「音韻の符号化」ですが、文章理解とどういう関連があるのか、今一つわからない保護者もおられるのではないでしょうか。親の関わりで子どもの読みの能力改善を図るためには、そこのところを掌握していただく必要があるでしょう。
そこで今回は、「なぜ音韻の符号化が文章の意味理解に欠かせないのか、音韻の符号化とはどういうことなのか」をもう少し掘り下げてお伝えしようと思います。そのうえで、別途にご案内している「学力UP 保護者セミナー」に参加くだされば、お子さんの読みの改善に向けたバックアップをより効果的に行えることでしょう。
文章を読むという行為は、文字とそれに対応する読みの音とを一つひとつ照合しながら、言葉のまとまりや接続の関係を仕分けし、著述内容を順次理解していくということです。それは、言い換えると文字による言葉を音声の言葉に変換するということに他なりません。なぜその必要があるのかというと、人間の脳に宿っているのは、音声言語の理解中枢(ウェルニッケ野)だからです。音声の言葉には数万年以上に及ぶ長い歴史があります。したがって、人間には生まれながらに音声の言葉を理解する中枢が脳に宿っています。いっぽうの書き言葉は、わずか2000~3000年ほどの歴史しかありません。このことを踏まえると、音韻の符号化が果たす役割がどういうものかがおわかりいただけるでしょう。

ところで、文章を理解する力に個人差があるのはなぜでしょう。それは、文字と音を照合していくスピードや精度、一度に掌握できる文字の量に違いがあるからです。その違いは、文字学習の初期(2~3歳ごろ)から現在に至るまでのプロセスの個人差によって生じたものです。順調に読みの習熟が進むと、一度に目でとらえられる文字の量が増え、著述内容のアウトラインをより速く正確につかめるようになっていきます。その作業はワーキングメモリと呼ばれる脳の短期記憶の機能が担っています。視覚でとらえた文字列のなかから言葉を取り出し、伝える意味の流れを読み取りながら必要な情報を記憶に残し、不要な情報を記憶から消し去ります。文字列から取り出せる情報を全部記憶に残すのはとうてい不可能です。子どもは幼い段階から文字にふれる経験のなかで、そのスキルを磨いていますが、その経験値の差が読みの能力にてきめんに反映されます。
5月27日に実施予定のセミナーでは、以上のようなことを含め、読みの能力差が生じる原因をともに確認したうえで、今から巻き返す方法についてともに考えてまいります。読みの習熟は何歳になっても可能です。今からお子さんにどう関わり、どんな方法で改善を図るべきかを考えてまいりたいと存じます。同じ問題点を意識している保護者が参加されますので、保護者同士で考えを交換できる時間も設ける予定です。興味をおもちになったかたはぜひ参加してみてください。
なお、5月1日現在で定員の半数余りの予約をいただいています。まだ予約可能ですので、お子さんの現状に照らしつつ、もしも必要とお考えになったら予約の手続きをお願いいたします。

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