普段、子どもが何かしらの本を読んだ後、その内容に関して親子で話をすることはおありでしょうか。
 読んだ本の内容や自分なりに感じたことを誰かに聞いてもらうことは、相手に説明するために考えを整理する過程で、自分の気持ちや話のあらすじをまとめる力もつけることができますし、うまく伝えることができれば子どもにとって大きな自信になります。

 しかし、本を読んだ後すぐに「この本はこんなお話で…」とすすんで語ってくれる子であればいいのですが、なかなか自分から内容を整理して話すような子はいませんし、成長するにつれて親に一つ一つ報告することも少なくなっていきます。

 そこで、親の側から働き掛けて、本の感想を子どもに語ってもらうように導くことをおすすめします。毎回ただ本を読んでおしまいというのではなく、自分なりにまとめた感想を聞いてもらうことで、子どもが本を読むことをより「楽しい」と感じられるような状況を整えるようにしましょう。

 ただし、「この子は読んだ内容をきちんと覚えているかしら?」などと考えて、「○○はどう書いてあった?」とか「どの部分が面白かったのか、具体的に説明して」などと、本の内容を問いただすような質問をするのは望ましくありません。このように質問されると、子どもにとってはテストの設問や授業で指名されたような気分になりますから、読書を「楽しい」と感じるどころか、本人なりに読書を楽しんでいた気持ちもどこかに吹き飛んでしまいます。
 また、物わかりのいい子であればあるほど、このような形で質問されれば、まず「正しい答えは何だろう?」と考えますから、自分なりの考えで楽しみながら読んでいくというより、大人が喜ぶ答え方を探しながら読み進めるようになりかねません。

 子どもに本の感想を聞くときは、「お母さん(お父さん)に教えてほしい」という調子で、優しく言葉を掛けてあげてください。「この本ってどんな話だった?お母さんも気になるから教えて」とか、「この本、表紙の絵は何だか怖そうだけど、やっぱり怖いお話だった?」などと声を掛ければ、子どもは答えやすいですし、自分自身の感想を口にしやすくなります。親が上手に導けば、子どもは自分の知っていることや思いをお母さんやお父さんに「教えてあげる」わけですから、張り切って語り始めるはずです。

 もし、途中で言葉に詰まったり、話の内容が「よくわからなかった」という箇所があったら、その都度「さっき話してた○○は、その後どうなったのかわかる?」「お母さんはこんな意味じゃないかなと思うんだけど、どう思う?」などと、優しく言葉を引き出したり、教えてあげたりしてください。それをきっかけに子どもはまた話し始めることでしょう。

 このような親子の円滑なコミュニケーションを活かした働き掛けは、親子関係が密接な低学年の時期だからこそできることでもあります。子どもが読んだ本の内容を語ってくれるようになったら、今度はぜひその本をお母さん・お父さんも読んでみてください。親の感想も交えながら、親子でその本について語り合えるようになれれば、子どもにとっての読書は、今よりもっと楽しく価値のあるものになるに違いありません。

(butsuen)

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