今回ご紹介するのは、先日のパズル道場での出来事です。
パズル道場は、「プリントなどのペーパーパズルや各種教具に楽しく取り組みながら、論理的に考える力や図形のイメージ力など、『算数のセンス』をトレーニングする」ことを目標に、オプション講座として設定している講座です。
パズル道場は楽しく参加しながら能力を高められる優れた講座なのですが、反面、各自が現在の自分の級に合わせて、それぞれの課題に取り組む授業形態であるため、疲れなどから集中力が低下してくると、中にはついつい「隣のあの子は今どの級かなあ」などと周囲の動きが気になり始める子もいます。今回のこのクラスにも、周りの動きを必要以上に気にしたり、他の子の活動に横から口を挟んだりして、これまでは先生から注意されていた元気な男の子たちがいたのですが、今回は先生方が今まで以上に細やかに気を配りながら指導されていたこともあって、みんな集中して各課題に取り組んでいました。一人が落ち着けば当然その周囲には集中できる空気が生まれ、それを見て他の子も静かになり、さらにまた集中した雰囲気に・・・といった感じで良い循環が生まれ、全員がずっと集中力を保った状態で前向きに課題に向き合うことができていました。
学習環境というのは非常に重要で、特にまだしっかりと自我の確立していない低学年のお子さんにとっては、それが学習に対するモチベーションを高める大きな要因の一つにもなっています。「自分のために勉強する」(将来的にはこれが理想ですが)というよりも、現段階では「他の子がやっているのを見ていると何か楽しそうだから」とか「頑張って褒められたいから(頑張らないと叱られるから?)」とか、そうした外的な要因が多くを占めているといえます。だから、周りの友達や同じクラスのお子さんたちが楽しそうに勉強に取り組んでいれば、「よし、自分も頑張ろう!」という気持ちが高まっていくのです。そういう時、目には見えなくても、クラスの中には良好な雰囲気というのは確かに存在していて、それが全体的なモチベーションを上げ、個々の集中力も高めていきます。これは、皆さんもご自身の経験にもとづいてご理解いただけるのではないでしょうか。
ちなみに、この日の授業終了後、これまで何度かぶつかることもあった前述の男の子たちは、肩を組んでニコニコと帰っていきました。「今日の夜、家族で他の人の家に泊まりにいくんよ。」「えーっ!おれも親戚の家に泊まるし。同じ日にどこかに泊まるって、おれら、なんかつながっとるよね!」などと話しながら、急に大の仲良しになった二人は、抱き合うようにして教室を後にしていったのでした。
(butsuen)