12月 25th, 2024
2024年も、余すところあと僅かになりました。新しい年が明けると、すぐさま中学入試シーズンに突入します。いよいよ待ったなしの状況が近づいています。受験を控えた6年生の子どもたちは、冬休みの講座で最後の仕上げに余念がないことでしょう。やるべきことを絞り込み、悔いの残らぬラストスパートを実現しましょう。
弊社では、年が明けて入試がもうすぐやってくる段階になると、新年度の会員募集の案内チラシに「受験生への励ましのメッセージ」を掲載するのが恒例となっています。2025年度は、初めての試みで元旦(1月1日)の折り込みを予定しています。弊社のチラシは各種量販店などのそれと比べてちっぽけであり、元日のおびただしい量のチラシの中に埋もれてしまうおそれも感じますが、これまで縁のなかったかたの目に留まるかもしれないという広報スタッフの考えもあり、試してみることにしたしだいです。
今回のメッセージは筆者が数年ぶりに担当しました。ただ、会員家庭の全ての居住地域をとてもカバーできませんし、近年は新聞を購読しておられない家庭がずいぶん増えているようです。そこで今回のブログで、そのメッセージをご紹介することにいたしました。6年生家庭の保護者で、このブログをお読みくださったかたは、ぜひこの言葉の意味を受験するお子さんにお伝えいただき、受験に向かう心構えの一つとして役立てていただければ幸いです。
入試本番の合言葉は、
「大胆かつ細心に!」
もうすぐ受験シーズンがやってくる。入試が迫ると誰だって緊張する。全ての受験生にとっての課題は、それをどう乗り越えるかだ。でも、心配することはないさ。そもそも、きみたちが緊張するのは真剣になっていることの証(あかし)だ。一発勝負のときに欠かせない集中力とパフォーマンスは、緊張状態にあるからこそ発揮されるんだよ。まずはそのことを知り、「緊張は自分の味方なんだ」ということを忘れないで。
もう一つ。きみたちに伝えたいことがある。「大胆かつ細心に」という心のもちようだ。これは、一橋大学の創設者である渋沢(しぶさわ)栄一(えいいち)という人が座右(ざゆう)の銘(めい)にした言葉で、「何ものも恐れぬ度胸と、細かい点への心配りを兼ね備えること」を意味する。まさに、入試に臨むきみたちにぴったりの言葉じゃないかな?
「やってやるぞ!」という心意気と、「落ち着いて、ミスをしないように…」という二つの気持ちを胸に、入試本番に立ち向かおう!自分の ベストを発揮し、悔いの残らぬ入試にきっとなるだろう。
きみたちの健闘を祈る!
筆者が「大胆かつ細心に!」という言葉を知ったのは、大学入試に備えた勉強をしているときでした。進路を決定する重要な試験に臨むにあたり、この言葉がなんだか自分にフィットしているような気がして、勇気づけられる思いをしたことを記憶しています。やり直しが利かない一発勝負に勝ち残るには、自分のもてる力をきちんと発揮する必要があります。それを可能にするには、自らの士気を鼓舞するとともに、ミスをしないよう細かな心配りをすることも必要です。そのことを簡潔に言い表したのが、渋沢栄一(新1万円札の肖像で、お子さんがたにも知られるようになりました)が座右の銘にしたと言われるこの言葉です。
「この学校にどうしても入りたい」という気持ちが強ければ強いほど、入試に臨む子どもはうまくいかなかったときのことを恐れて緊張します。しかし、緊張を経験しないで大人になる人などいません。一回勝負の場に立たされると誰だって緊張するのは当然です。しかし、緊張するのは悪いことなのでしょうか。よく「テンションが上がらない」などと嘆く人がいますが、このテンションは日本語に訳すと緊張であり、集中力や気合が高まっていることの証拠です。つまり、テンションは物事を成功させるうえで欠かせないものなんですね。ただ、緊張を誰もが恐れるのは、緊張過多になると逆にパフォーマンスを発揮できなくなるからです。
そこで、おとうさんおかあさんからお子さんに伝えていただきたいことがあります。それは、「緊張はやる気になっている証拠だよ。緊張は実力発揮に必要なんだ。いいことなんだよ」ということです。「緊張は、あなたの味方なんだよ。勝負事で成功するために欠かせないものなんだからね」と励ましてあげてください。そうすれば緊張が適度なものになり、ベストパフォーマンスの発揮にきっと役立つことでしょう。
もう一つ、「細心に」という言葉を、お子さんが入試でのミス防止に役立てるために伝えていただきたいことがあります。それは、過去のテストでのおびただしいほどのミスを話題にして、「今までにテストで散々ミスをしたのは、入試本番でミスをしないための練習だったんだよ」と注意を促すことです。「ミスの経験を、入試では生かすんだよ。答案を書いたら『おっと、ミスしていないかな』と、チェックしようね。そうしたら、これまでにたくさんテストを受けた経験が生かされるからね」――そう励ましてあげてください。きっと、残念なミスはたいがい防げることでしょう。
「大胆かつ細心に!」の合言葉を胸に刻み、お子さんが見事実力を発揮して入試の関門を突破されますように!
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12月 5th, 2024
師走を迎え、あと1カ月余りで中学受験シーズンがやってきます。そこで、12月1日(日)には「中学入試模擬試験」の最終回(第5回)を実施しました。いよいよラストスパートの時期になりますので、会場は男子が修道中学校、女子が広島女学院中学校をお借りして、本番に限りなく近いセッティングでの実施でした。
<疑似体験の効能と模擬試験の役割>
疑似体験の効能については、どなたもある程度ご存じであろうと思います。本番さながらの雰囲気においては否応なく受験生の子どもたちの緊張が高まります。緊張は人間の生存維持機能(ホメオスタシスなどと呼ばれます)が呼び起こされた結果であり、神経が鋭敏になります。すなわち集中力や判断力、記憶力の稼働が促されます。ですが、緊張が過度になるとメンタルがパニック状態になり、思考が正常に働かなくなってしまいます。そこで効力を発揮するのが疑似体験です。同じような体験を既に一度していると、緊張はしても、それがほどほどで収まるのです。模擬試験を受けるのは、仕上がり状態をチェックするためですが、このような効能もあるのですね。お子さんには「模試でそっくり体験をしているから、本番では落ち着いて実力が発揮できるよ!」と励ましてあげてください。
<模試結果の活用と最後の詰め>
模試の結果は直に返却されます。この結果を親子で丹念に点検し、これからの総仕上げを有効で密なものにしていただきたいですね。緊張下で生じがちなのは、時間配分の失敗(難問に関わり過ぎるなど)、情報の取り違え(読み間違いや早合点)、記憶が稼働しない(喉元まで手繰り寄せた記憶が言語としてアウトプットされない)、選択肢に潜む落とし穴に気づかない(正しそうに見えて、一部に誤りが仕掛けられている選択肢に引っかかる)などの問題ですが、答案が返ってきたら、平常時ならできていた問題だったのか(ミスによるものか)、まだ仕上がっていない箇所が出題されたのかなどを点検し、今から1カ月余りの期間を上手に使って最後の詰めをしていただきたいと存じます。何をしたらよいかが明確にならなければ、塾の指導担当者にすぐ相談しましょう。
<規則正しい睡眠の重要性>
なお、追い込みを利かせようと毎日の学習の予定を欲張ると、脳の容量がパンクしてしまい、消化不良や不安の助長を引き起こすおそれがあります。これから受験生も無理をしがちになりますが、保護者におかれては規則正しい睡眠の維持にも心配りをお願いします。睡眠を正常にとることも、緊張に負けない精神状態をつくるうえで非常に大切です(リラックス状態をつくるセロトニンの分泌を促し、過度の緊張を防止します)。
<保護者対象イベント「未来への架け橋」>
さて、これからが今回のテーマに沿った話になります。先日の模試最終回においては、「保護者の待機時間に、何か親向けのサポートができないか」と考え、「中学受験は未来への架け橋」という呼称の催しを実施しました。男子のほうはやむを得ない事情で場所が確保できず、女子の模試会場の広島女学院(ゲーンスホール)のみでの実施となりました。その内容ですが、前半は広島女学院の中学教頭の宇津先生と広報部長の濵岡先生のご協力で、「私立一貫校教育の利点や特色」「女子のみの私学だからできる教育」「女学院生の学校生活」といったテーマでお話しいただきました。後半は筆者が担当し、「女子受験生に求められる保護者のサポート」「緊張緩和に効果的なメンタルのつくりかた」などについてお伝えしました。
<男女のメンタルの違いとサポート方法>
ご承知かと思いますが、男子と女子とではメンタルのありかたや行動様式が全然違います。ですから、効果ある励ましかたも当然違ってきます。そこで、女子受験生の保護者向けに、つぎのような簡単な資料を提示して、女子向けの効果ある仕上げ学習やサポート方法をご紹介しました。
入試が近づいたというのに、なかなか重い腰が上がらない男の子に対して、女の子は一生懸命に取り組むものの、不安を口にしがちです。そこで、男の子の指導担当者は早めに檄を飛ばしたり、士気が高まるような話をしたりしながら、入試が近いことへの自覚と奮起を促していきます。また、女子の指導担当者は不安を解消するためのサポートに注力します。無論、男女を問わず欠かせないのは、仕上げ期の対策のありかたに関する指導です。個別に必要なことに関しても、適宜サポートしていきます。これが、6年生の秋が深まる頃からの通例です。保護者におかれても、上記のような男女の特性に鑑み、わが子に合ったサポートが求められるでしょう。
<愛情深い声かけが子どもの力になる>
12月1日の催しにおいては、親からの声かけの例をいくつか挙げ、各ご家庭のお子さんにふさわしい愛情深い声かけをお願いしました。以下はその例ですが、参考にしていただければ幸いです。
上記は、主として女のお子さん向けに用意したものですが、男女に関わらず有効だと思います。不安を払しょくすること、安心させることが大切だからです。男子のお子さんには、これに加えて意気込みを引き出すような声かけも有効でしょう。「結果を恐れるな。おまえがベストを尽くすことが親の願いなんだよ!」「『精神一到、何事かならざらん』という言葉がある。やるべきことに集中すれば結果はついてくるよ!」「弱気の虫を追い払って、強気で勝負しなさい!」などのような声かけもよいかもしれません。ご家庭で今のうちにとっておきの言葉を用意してあげてください。そして、適切なタイミングを見計らって愛情を込めて伝えてあげましょう。お子さんにとって、まだまだ親の影響力は絶大です。大好きなおとうさんおかあさんからの声かけは、他の何にも増して勇気を奮い立たせることでしょう。
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11月 19th, 2024
勉強から得られものの価値を知っている人間は、たとえ辛くてもても学ぶことを厭いません。それは小学生ですら言えることです。中学受験対策の勉強は決して楽ではありませんが、「勉強は楽しさや喜びを与えてくれる」ということを実感する経験をしたなら状況は変わってきます。子どもに教えるべきは勉強の厳しさではなく、楽しさなのです。3年生「冬期集中講座」は、このような考えに基づいて実施する特別な4日間のイベントです。
ただし、3年生と言えばまだ8歳前後の子どもです。たとえ数日でも、「中学受験のための塾に通う」となると、「難しい問題がいっぱいでチンプンカンプンではないか」とか、「怖い先生がいるのではないか」と、心配するお子さんもおられるかもしれませんね。特に、学習塾、それも進学塾と呼ばれる受験準備のための学習塾に通うとなると、尻込みをするお子さんもおられるかもしれません。だいじょうぶです。心配要りません。「難しい問題」「怖い先生」とは無縁の、楽しく心の弾む学習体験を、親切で愛情深い先生が授業を通じて提供します。
この冬休み講座は、これから受験生活を始めるお子さんに、「自分で解決の道筋を発見したときの喜び」や「やり遂げたときの征服感」など、勉強の価値の本質に触れる体験を提供することを目的として実施するものです。たとえば算数。まずは、学習課題について子どもたちが興味をもつよう配慮した導入から始め、学習活動に対して前向きな姿勢を築くうえで必須の、「どういうことか知りたい!」「自分で考えて解決したい!」という欲求を引き出します。そこから疑問を解決するための突破口を見つけ出すべく、考えを巡らしていくプロセスを全員に体験させ、授業を流れに載せていきます。
まずは、この講座に参加してみてください。通学初日の帰宅後、お子さんはどんな反応を示すでしょうか? 「楽しかったよ!」という声が聞こえるでしょうか? 無論、勉強は楽しいばかりではありません。むしろ取り組みのプロセスでは苦労を伴うものです。しかし、「自分で解決したい!」という内発的な動機に支えられた思考活動なら辛くもなんともありません。そういう思いを子どもたちが実感する体験を提供するのが、この4日間の集中講座の大きな目的です。これが勉強の“よさ”であり、それを継続的に体感した子どもは、やがて知りたいがために、納得したいがために、敢えて自分に高度な勉強を課そうとするようになります。こういう流れをつくってやるのが、われわれ大人の役割ではないでしょうか?
この冬の学習体験を起点に、高い目標をもって学ぶ人間になるための、意義ある第一歩を踏み出しませんか? 子どもの長い学びの人生に、大人が関われるのはそう長い期間ではありません。素直で頭の柔らかい小学生までがチャンスです! 最終日にはテストを実施しますが、一定の学力基準を満たしたお子さんには、当社の「4年部」への入会資格を進呈します。この講座を、実りある受験生活の始まりの、よききっかけにしていただければ幸いです。
最後にこの記事をお読みくださっている3年生の保護者のみなさまに、中学受験に対する私たち家庭学習研究社の考えをお伝えしておこうと思います。
私たちは、お預かりするお子さんが、合格しさえすればいいのだとは思いません。指導にあたったお子さんが、中学進学後、学力不振で苦しんでいるなどという話を耳にしたら、心底落胆することでしょう。合格が、子どもたちにとって、さらなる成長に向けた足がかりにならなければ、私たちのしたことも何ら意味をもたないからです。おとうさんおかあさんにとっては、なおさらしょう。わが子の受験は、進学後の充実した学校生活、さらにはもっと先の飛躍を思い描いてのことだったはずです。それなのに、親の思いとは裏腹にわが子が苦しむことになる。そんなことを、いったい誰が想像するでしょうか。仮にそういう事態が幾ばくかでも学習塾の指導に起因するものであったとしたら、その学習塾は、社会的使命を果たしていないだけでなく、存在意義すら疑われても仕方ありません。それは、私たち自身、自らの学習指導にも問いかけていることです。
子どもたちが、見事志望校に合格するだけでなく、中学進学後もおとうさんおかあさんの期待に応えてますます熱心に学び、立派に成長していく。それをたくさんの子どもたちに保証できる学習指導とはどのようなものか――。それに対する回答として、一つ言えるのは「子どもの自律的な学びの姿勢を築くこと」だと私たちは考えています。
この講座への参加で、お子さんが知ること、発見することの楽しさを味わい、自ら勉強に取り組もうとする自律性が芽生えることを願っています。より多くのご家庭に参加していただくため、授業にかかる経費は極力抑えています。ぜひ、お気軽に参加ください。
詳しくはこちらをご覧ください
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10月 22nd, 2024
来る11月15日(金)、広島のトップ私学である広島学院とノートルダム清心の先生がた(各校2~3名)をお招きして、「中学受験フォーラム」と名づけた催しを開催します。副題を「中高一貫校での学びをどう生かすか」としているように、中高一貫校、なかんずく優秀な生徒の集団で成り立つ私学での6年間を生かすために、今親として知っておくべきこと、家庭教育で実践しておくべきことは何かを共に考えてみようという趣旨で開催する催しです。
広島の男女私立一貫校のなかで、広島学院とノートルダム清心は最難関の位置づけにあります。これらの私学で実践されている教育について、学校の先生がたからじかにお話を聞けば、実際の様子もよくわかることでしょう。学校と受験生家庭の保護者との接触の場は「学校説明会」などに限られます。こういう場で学校から提供される情報は公式のものとなりますから、踏み込んだ話はなかなか聞けません。いっぽう、保護者が「知りたい」と思っておられる情報は、公式の場では聞けないことが多いものです。しかも、知りたくても大勢の前で質問しにくいのが現実でしょう。
たとえば、建学の理念がどんなに親として共鳴するものであっても、いっぽうでは「大学受験のための対応教育はどうなっているのか」「理念と実践のバランスはどうなっているのか」などについて学校の先生から話を聞きたいと思っておられるのではないでしょうか。また、「入学時の生徒の成績順位は6年後もあまり変わらないのか」、「成績的に目立つところのなかった生徒でも頭角を現すことが結構あるのか」、などについては知りたいと思っても、これまたなかなか公の場では質問しにくいことでしょう。
今あげた例のように、「親として知りたいが、なかなか耳にすることができない情報」という視点に立ち、しかも「私学教育ならではのよさとして知っておくだけの価値がある情報」というものがあると思います。本催しは、このような切り口で設定した話題を掲げ、広島学院とノートルダム清心の先生がたにお話しいただこうと思っています。当日お越しくださる先生は以下の予定となっています。
広島学院の下前先生は、何度か弊社の催しでお話しくださっていますが、いつも心に響くよい話をしてくださいます。またノートルダム清心からは校長と教頭という要職についておられる先生がお越しくださいます。いまのところ、以上の5名の先生が来られる予定ですが、これだけの先生がたが揃って同じ話題についてお話しくださる機会はめったにありません。ぜひ来てみていただきたいですね。
当日予定している話題は以下の通りです。
中学受験フォーラム 主内容
1.義務教育・公立学校があるのになぜ私学?
無償の義務教育があるのになぜ私学進学を考える人が多いのでしょう。特にトップランクの私学に入学するのは極めて困難です。今回は、「卒業後の強み」と「トップ私学だからこそ追求できる教育」の視点から掘り下げていきます。
2.学院生・清心生の生き生きよもやま話
難関私学には、どんな生徒が集まっているのでしょう。その特徴を楽しく考察してみようと思います。今までに在籍したおもしろい生徒さんの例も紹介いただけるかもしれません。また、生徒さんたちの日常生活の様子についても先生がたの目を通して語っていただきます。
3.中高一貫の利点を生かす教育実践
中高一貫ということは、中学と高校が連結していることを意味します。そのことのメリットは、学校運営にも、生徒さんの学校生活にも、指導に当たる先生がたの教育実践にもあります。そのことを具体的に掘り下げてお伝えしていきます。
4.中高一貫校で望ましい成長を遂げるために
合格したとたんに「うちの子は勉強についていけるでしょうか?」と心配するおかあさんがおられます。そこで、入学後に頭角を現した生徒さん、うまく学校に適応できない生徒さんにどんな違いがあるのかを考えてみようというコーナーです。先生がたには聞きにくい質問ですが、あえてぶつけてみます。
5.伝統を支える私学と保護者のつながり
私学で6年間をどう過ごすかは、子どもの成長に大きな影響を及ぼします。もしも保護者が学校の教育実践に関心を寄せ、学校の活動に積極的に関われば、お子さんがより充実した6年間を過ごせるでしょうし、保護者自身も貴重な体験を積み重ねることができるでしょう。本催しの最後に、そんな保護者の方々に向けて、私学の先生がたから熱い応援のメッセージをいただこうと思います。
本番では若干変わる可能性もありますが、おおよそ上記のような情報を盛り込もうと思っています。興味をおもちくださったでしょうか。参加対象者は、1~5年生の小学生のお子さんをおもちの保護者となっています。まだ中学受験を検討中の保護者も歓迎します。本催しは、弊社の宣伝のために企画したものではありません。まずは、私立一貫校の教育について学校関係者から話を聞いてみたいという保護者への情報提供の場にと考えています。そして、私立一貫校の魅力を知っていただくのが目的です。無料の催しですのでお気軽にお越しください。
参加にあたっては予約が必要です。本ホームページの申込フォームから入力をお願いします。
※対象学年以外のお子さんをおもちでご興味がおありの方は、本部事務局(082-248-2081)までお電話ください。
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9月 20th, 2024
今回は効果あるほめかた、逆効果を招く恐れのあるほめかたについて考えてみましょう。「ほめてマイナス効果を招くことがあるの?」と驚かれたでしょうか。小学校の中学年以上になると、親から自分に向けられた言葉の真意を探るようになります。したがって、不用意なほめかたをすると子どもから不快感を示されたり文句を言われたりする事態も生じます。
アメリカの心理学者アンジェラ・ダックワースは、「大人になって成功や失敗をしたとき、その原因を自分の才能に結びつけるか、それとも努力に結びつけるかは、子どものころの‟ほめられかた”で決まる率が高い」ということを述べています(どちらが望ましいでしょうか)。このことは、子ども時代にわが子をどうほめるかが、子どもの人生に少なからぬ影響を及ぼすことを教えてくれるでしょう。なお、ほめることに関する記事は過去何回も書いていますので、若干内容的に重複してしまいます。ご了承ください。
ところで、みなさんはどのくらいの頻度でお子さんをほめていますか? この質問を保護者の集まりでしたところ、「かなりほめています」とおっしゃるかたが大勢いて安心しました。ほめることの重要性についてはどなたもよくご存じなのですね。このとき、「1日あたり、何回ほめていますか?」と聞くべきだったことが後で判明しました。後日お子さんにアンケートをとってみると、「ときどきほめてくれるけど、もっとほめてほしい!」という言葉が多く返ってきたからです。おかあさんがわが子をほめる回数は、平均して週2~3回のようでした。しかし、子どもは毎日何回もほめてもらいたいのです。
おかあさんがたは、「週2~3回もほめれば十分じゃないの」と思われるかもしれません。しかし、児童期の子どもにとっては、親にほめられることがなによりも励みになります。やる気の源は‟親にほめられること“なのです。このことからもわかるように、親が子どもをほめるということは、しつけの一環としてもっと自覚的に実行すべき行動の一つなのですね。外国のある知識人は、「子どもが本来もっている価値に気づかせ、その資質を最大限に発揮させるのがほめ言葉だ」と語っています。子どもはほめられると心が落ち着き、自分に対して自信をもつことができます。児童期は人間としての特性が定まっていく時期です。このような時期に、親から適切にほめられる経験をしたなら、人間として健全な成長を遂げることができるのではないでしょうか。自他肯定型の健全な精神を養えるでしょう。
以下は、だいぶ前に実施した会員児童対象のアンケートの結果です。「どういうほめかたをされるとやる気が高まるか」と、「やる気がしぼむほめられかたはどんなのか」という質問に対する回答をまとめたものです。対象は4年生と5年生の児童です。この資料は、以前もご紹介したことがあると思います(多少まとめ直しています)。
お気づきになったかもしれませんが、左側の子どもが歓迎するほめかたの5~9は、ほめ言葉をかけられたわけではありません。しかし、そこに親に求められる対応の本質が垣間見えるように思います。「ほめるという行為は、子どもをがんばらせるためにあるのだ」と語った文化人がいましたが、その意味において5~9の対応はほめ言葉こそ発していなくても、ほめるのと同じ効果を引き出していることがわかりますね。だいいち、子どもがうれしいほめられかたをされたと感じる例としてあげているわけですから、ほめたのと同じことでしょう。
上記の回答例に、少し補足説明をしておきましょう。子どもが歓迎しやる気を高めるほめかたには、ある種の共通点が見出せます。それは、子どもが何かをしてよい結果を得たかどうかよりも、一生懸命にやったこと、努力したことを取り上げ、そこを親として喜んでくれることを子どもは歓迎しています。やるべきことを自分から率先してやったことを、親が見ていてほめてくれると喜びます。また、自分への愛情が素直に感じられるような対応をされたときにやる気が高まることがわかります。9などはその最たるものでしょう。テストで好結果を得たいのはどの子も同じです。残念な結果に終わったときには気分がしぼんでいるに違いありません。そんなとき、叱られるどころか、明るく励ましてもらったなら、子どもはどんなに勇気づけられるでしょう。テスト結果が悪いとき、つい親としては苦言を呈したくなるものですが、こういうときこそ子どもを奮い立たせるサポートをお願いしたいですね。
逆効果を招くほめられかたをリストアップしてみると、「小学校の4~5年生ともなると安易なほめかたはできない」ということがわかります。形だけのほめ言葉、裏の意図が感じられるようなほめかた、皮肉が感じられるようなほめ言葉は、親の心の内を見透かされてしまいます。5の「やればできるじゃない!」というほめかたは、なぜ歓迎されないのでしょうか。このほめ言葉は、頻繁に保護者が使っておられます。しかし、子どもによっては嫌がるケースがあります。これは、子どもが「親は、自分に能力がないと思っているんだ」ということを察してしまうからです。精神的に成長を遂げているからこその受け止めかたです。この言葉自体は問題ありませんが、「がんばったことが報われたね」という言葉を添えてあげてほしいですね。
いかがでしょう。親が子どもに寄せる愛情に変わりはありません。ただし、児童期の後半ぐらいになると、その伝えかたにも注意が必要です。また、何を取り上げてほめるかで、子どもの心に響くものが違ってきます。「もはや一人前の人間になりつつあるのだ」という前提に立ち、言葉や対応に工夫をして受験勉強に励むお子さんの背中を押してあげてください。
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