しぼんだ子どものやる気を盛り返すには?

2020 年 1 月 17 日

 正月明けからすぐさま始まった広島県内の中学入試ですが、今も連日のように各中学校の入試が行われています。来週には修道と広島女学院(20日)、広島学院と清心(21日)、広島大学附属(22日)、県立広島(25日)と、受験生の多くが進学目標校にしている中学校の入試が控えています。

 入試ではコンディションの調整具合がが明暗をわけがちです。受験生のみなさんにおかれては、もはや勉強そのものよりも心と体の調整を最優先させ、これまでとあまり変わった生活をせず、普段通りの生活を心がけていただきたいですね。それが本番で全力を出し切るうえで、最も有効な対策になるからです。

 保護者の方々におかれても、お子さんが普段と変わりない状態で元気よく入試会場に向かえるよう、最後まで手抜かりのないサポートをお願いいたします。特に夜更かしをしての追い込み勉強は百害あって一利なしです。寝不足では頭脳の働きもよくなりませんし、詰込みで頭が混乱した状態になるとなおさらです。これではできる問題もできなくなってしまいます。お子さんにはこれまで通りの生活を維持させるとともに、「今ある力を精いっぱい出し切ればいいんだよ」と、励ましてあげてください。

 さて、今回は次年度以後に入試を控えておられるお子さんのご家庭に向けた話題を取り上げてみました。「どうしたら、わが子のやる気を活性化できるか」ということに、悩んでおられる保護者はありませんか? 受験生活は山あり谷ありです。かつて指導の現場にいたころには、「うちの子は、全然やる気がないんです。どうしたらがんばってくれるでしょうか?」という保護者からの相談が絶えることなくあったものです。おそらく、それは今も変わらないことでしょう。

 というのも、中学受験は高校や大学への受験と異なり、子どもに本当の意味での目的意識が育っておらず、勉強にムラがあったり、他のことに気持ちが逸れてしまったりしがちです。したがって、受験勉強が軌道に乗るまでの過程において親の苦労が避けられないからです。

 残念なことに、受験生本人は「受験するからには、何とか志望校の一つにわが子を合格させてやりたい」という親の気持ちを慮ることはありません。むしろやる気のなさに苛立ち、「もっとがんばれ!」「どうしてそんなにやる気がないの?」という親の叱咤激励を疎ましく思いがちです。その結果、心配だからこその声かけなのに、「うるさいな。耳にタコができたよ!」とばかりに言い返され、途方に暮れたことはありませんか? なかには子どもの反抗に親が興奮して逆切れし、親子喧嘩に至ったご家庭もおありではないかと思います。 実際、かつて筆者自身もわが子の受験生活で同じような経験を幾度となくしたものです。

 では、この問題の対策に妙案はあるのでしょうか? 先に申しあげると、「これだ!」というものはありません。あれば、とうの昔にどのご家庭も問題を解消されていることでしょう。ただし、対策を講じないわけにはいきません。そのための前提となることは承知しておきたいものです。それはどういったことでしょうか。少なくとも言えるのは、親心に基づくアドバイスとは言え、同じことを繰り返し言うのは逆効果を招くだけだということです。「そんな都合のよいことってあるの?」と思われるでしょうか。しかしながら、親がそういう姿勢でいる限り問題は解決しません。「うちの親はくどい」と、子どもに思わせないようにすることが、子どもをよい方向に変えるうえで重要なのだと心得てください。とくに、一方的に「こうしなさい」という命令型の関わりをくり返すことは厳に戒めるべきでしょう。まさに逆効果にしかなりません。

 ある本を読んでいたら、脳科学者が「やる気」の活性化について次のようなことを述べておられました(だいたいのことをかいつまんで要約しています)。

 やる気を生みだす脳の場所は、側坐核という部位で、脳のほぼ真ん中に左右一対あります。ここの神経細胞が活動すればやる気が出ます。ただし、側坐核の神経細胞はなかなか活動してくれません。活動するのは、ある程度の刺激が来たときだけです。つまり、「刺激が与えられたらさらに活動してくれる」ということでして……やる気がない場合でも、やりはじめるしかない、ということなんですね。そのかわり、一度やりはじめるとやっているうちに側坐核が自己興奮してきて、集中力が高まって気分が乗ってくる。だから、「やる気がないなぁ」と思っても、実際にやりはじめてみるしかないのです。

 掃除をやりはじめるまでは面倒くさいのに、一度掃除にとりかかればハマってしまって、気づいたら部屋がすっかりきれいになっていた。などという経験は誰にでもあると思います。行動を開始してしまえば、側坐核がそれなりの行動をとってくれるのですから。

 人間の取り組みの様子は、好循環と悪循環に大別されるとよく言われます。勉強のやる気も、なかなか高まらない代わりに、いったん好循環の流れを引き出したなら、すばらしい取り組みが継続されるのですね。

 ただし、受験勉強は掃除のようにはいかないかもしれません。子どもの「がんばってみよう」という気持ちを引き出し、気を入れて勉強に取り組み始めるような流れを、どうやったら築けるのでしょうか。少なくとも、机に向かって一応のことをやろうという姿勢は引き出さねばなりません。難しいことですが、それが問題です。このことを考えていると、ふと頭に浮かんだことがありました。

 私は普段あまりテレビを見ないのですが、最近たまたまテレビを見ていて感動した話がありました。それは、ブータンに招かれて農業の技術指導をしていた日本の男性が、若い国王から「農業もままならないへき地の人たちに、収穫のあがる農業のやりかたを教えてほしい」と依頼され、大変な苦労を経てこの難業に成功した経緯を取材した番組でした。

 なぜ難業かというと、村は奥深い山岳地にあり、農業には向かない立地条件にありました。そこで暮らす人たちは焼き畑農業で食物を得ていたのですが、ごくわずかな耕作地しかありませんでした。しかも大半が急斜面にありました。そんな場所で焼き畑農業をすると、次の年には燃やした木々の灰が肥料になりますが、効果は1年限り。土地はすぐにやせ、ろくに作物が実らなくなります。この悪循環がひたすら続いていたのです。「まず、焼き畑をやめなければ」と考えた日本人は、焼き畑農業の欠点を指摘し、水を引いて米作りをするよう提案しました。しかし、やり慣れた方法しか知らない村の人たちはまったく応じてくれませんでした。

 肝心の村人が受け入れてくれなければ何もできません。困った挙句思いついた方法は、解決策を押しつけるのではなく、村人たちに「どういうことに困っているのですか?」「何を改善したいですか?」という問題提起をし、彼らに生活の貧しさの根源がどこにあるのかを考えさせることでした。村人の意識改革から着手したのですね。それによって、「自分たちの問題だから、自分たちで何とかしなければ」という主体的な姿勢が生まれ、少しずつ村人の理解や協力が得られるようになりました。やがて岩がごつごつした斜面に人の手が加えられていき、何年もかけて竹をつないで川から水を引き、やがて棚田が稲の緑で潤う場所へと変わっていきました(工事を始めてからが、また大変な苦労でした)。

 この話は、受験生のお子さんへの対応においても参考になると思います。親の考えや方針をただ押しつけるのでは、子どもの奮起は引き出せません。「今の勉強に問題があるとすればどんなこと?」「決めた時間に机に向かえないのはなぜなのかな?」「復習がいやだというけど、塾がなぜ復習しなさいと言っていんだと思う?」……など、子どもの状況に応じて働きかけかたを工夫し、やる気が出ない理由を、がんばれない理由を、子ども自身に考えさせてみてはどうでしょうか。。

 そうして、親の命令でしぶしぶやる勉強から、自分自身でその必要性を自覚しての受験勉強に変えていくのです。今まで何がいけなかったのかについて、実はほとんどの子どもに相応の自覚はあるものです。親がうるさいからということを口実に、勉強から逃げるという悪循環に陥ってはいませんか? この状態から抜け出し、まずは自分からする勉強へと足を踏み出す。それに成功すれば取り組みに「積極性」が生まれていきます。好循環への流れが少しずつ形成されていくのではないでしょうか。

 話が長くなってしまいました。ここまでの話を簡単に要約してみます。また、ここまでで書ききれなかったことも若干付加しておきます。

☆子どもがやる気を取り戻し、積極的に学ぶ受験生へと導く流れ
1.「ちゃんと勉強しなさい」という押しつけをやめる。
2.やる気を出すには、とにかくやり始めることが大前提である。
3.「なぜやる気になれないのか、がんばれないのか」について、 子ども自身に考えさせる。
4.一緒に、「どういう勉強をすべきか」を親子で話し合う。
5.子どもの取り組みに自発性が芽生えたら、それを何よりも喜んでやる。
6.決めたことをやらないと気が済まない状態に漕ぎつける。この域に達したらもう大丈夫。

 中学受験において、親の苦労はつきものです。まだしつけの途中にある、完成の域には程遠い小学生の受験なのですから。同じ苦労をするなら、子どもの将来に向けた下地づくりになる苦労にしませんか? それなら苦労のし甲斐があるし、親も報われようというものです。今回の記事が、そのことについて考えていただくきっかけになったとしたら、それだけでもうれしいです。

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カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 家庭での教育

2020「新年度説明会」「入会ガイダンス」にぜひ!

2020 年 1 月 7 日

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 年々少しずつ実施時期が早まっている広島の中学入試ですが、本日(1月7日)の時点で私学の入試は始まっています。昨日はAICJ中学校(入試Ⅰ)、本日は広島城北中学校、広島国際学院中学校(入試①)などの入試が行われています。このあと、五月雨式に各中学校の入試が続きますが、特に20日(月)~25日(土)のおよそ1週間は、広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院などの主要私学、広島大学附属や県立広島などの国・公立の主要校の入試がたてつづけに行われる予定となっています。

 受験生のみなさんにとっては、今からのおよそ3週間が正念場です。塾の先生からのアドバイスを踏まえ、学力の最終チェックは無論のこと、コンディションの管理も怠りないようにしてください。入試の合間を縫っての塾通いも、平常心を失わずに受験に臨むうえで重要な役割を果たします。家にこもって、やり残したことを詰め込もうとすると、却って不安に揺さぶられたり、頭が疲れて窒息状態に陥ったりしかねません。自分に備わっていない力を発揮するのは難しいですが、体調や精神面をうまくコントロールすれば、誰でももてる力をすべて発揮することは可能です。そう、「実力を100%発揮する!」ということをめざしましょう。その意味において一番大切なのは、“普段通り”を維持することです。

 かつてこのブログでご紹介したことがありますが、本命校の入試に臨もうとしているお子さんに、「大丈夫。普段通りの力を出せばいいんだよ!」と声をかけたら、「先生、普段通りの力じゃここは受からないよ!」と返されて絶句したことがありました。思えば、彼はそう返答できるだけの落ち着きを保っていたのですね。見事その中学校に合格しました。

 以上のことを踏まえ、保護者におかれては、お子さんの心身のコンディションの安定に配慮していただき、ベストの状態で入試会場に足を運べるようサポートをお願いいたします。泣いても笑ってもあともうしばらくで受験生活は終わります。悔いの残らぬ受験になるよう、精いっぱいお子さんを応援してあげてください。

 さて、正月が明けるとすぐさまやってくるのが次年度に向けた募集活動です。弊社は小学生のお子さんをお預かりする「中学受験の専門塾」です。受験対策のための学習指導は4~6年生を対象に行っていますが、1~3年生には受験を前提とした学力の土台形成のための指導も行っています。前者を「中学受験部門」、後者を「低学年部門」と呼んでいます。1月には、それぞれの部門について保護者のみなさまにご説明する機会を設けています。興味をおもちになったかたは、ぜひご参加ください。

 

①低学年部門 「新年度説明会」のご案内

 弊社の低学年部門講座は、オリジナル講座の「ジュニアスクール」と、外部より導入している「玉井式国語的算数教室」の2種類があります。

 いずれも家庭学習研究社が運営しているので、共通の学力観に基づいて指導にあたっています。ただし、低学年児童期に身につけておきたい学力や学びの態勢を、どのような着眼に基づき、どのような手法で育成するかという点において、明確な違いがあります。また、ジュニアスクールは3年生のみが対象で、広島市内の4校舎で指導にあたっているのに対し、玉井式のほうは1~3年生対象で弊社の全校舎に設置しているという違いがあります。

 本催しにおいては、2つの講座のそれぞれについて、指導の仕組みや学習の内容、教材等をわかり易くご説明いたします。両方に通学可能なご家庭におかれては、それぞれの講座の特色をお確かめいただき、保護者のお考えやお子さんのタイプにあった講座をお選びいただけたなら幸いです。

 ところで、テストで常に高得点・高順位を得ているお子さんを見ると、子どもに限らず親さえも「うらやましい」と思ってしまうものです。しかしながら、成績がよい理由を、「あの子は才能があるからだ。頭がいいからだ」で片づけてしまうと、何の参考にもなりません。「なぜ、あんなによい成績がとれるのだろう」という視点から、わが子に反映できる適切な方法を見出すのが親の役割ではないでしょうか。

 弊社は、このことについて塾という立場から研究を続けています。結論を申し上げると、通常の学問レベルでの「優秀」と言われる成績は、誰でも努力しだいであげることは可能です。では、何をしたらよいのでしょうか。ズバリ申し上げると、「学習活動に適した子どもに育てる」ということです。表面的には天賦の才に見えることも、実は生活や勉強を通して得られたものが殆どなのです。ですから、「どんな生活をし、どんな勉強をしたらよいのか」をしっかりと押さえさえすれば、たいていのお子さんは学力の高い人間になれるのです。

 弊社の低学年部門は、この学習適応性を築くということをめざしています。それは、リテラシーの世界に参入して間もない、また、感覚的素養がまだ固まっていない低学年児童期にこそ可能だからです。もう一つ、低学年期の学力形成の大きな影響を及ぼすのが、「親の関わり」です。何事も親に頼っている年齢の子どもだからこそ、親の出方や対応が重要なんですね。下記にご案内している「新年度説明会」にぜひお越しください。講座の説明だけでなく、今述べたことについてもなるべく詳しくご説明いたします。お気軽にお越しください。

②中学受験部門 「入会ガイダンス」のご案内

 弊社の中学受験指導カリキュラムは、小学4年生を出発点として編まれています。ただし、それは「4年生から始めないと不利だから」「5年生以降から準備をしたのでは間に合わない」というわけではありません。平均的受験生が、基礎基本を身につけたうえで、無理なく受験対策を完成させるには、4年生から出発する(算数・国語の2教科)のが妥当だと考えるからです。

 入試で最も得点差が生じやすいのは算数ですが、それは学校の教科書の内容と入試問題のそれとに、かなり大きな難易度ギャップがあり、それを埋め合わせるための期間が必要となります。そこで弊社では、4年部のスタートから少しずつ算数の進度をあげていき、6年生の春の時点で教科書の範囲をひととおり終了することにしています。そして、そこから教科書レベルと入試レベルとのギャップの穴埋めを計画的に進めていきます。

 他教科も、基本的には同様の考えに基づきますが、理科・社会は算数ほど長い期間を必要としないため、5年部から受験対策の指導を始めています。また国語は、読解力や思考力、記述力などは単元でくくれないので短期間で集中的に対策を講じることができず、長期にわたって継続的な鍛錬や指導をすることが求められます。そこで、算数と国語の2教科の指導を4年部から開始し、5年部から理科と社会を加えていくという流れにしています。

 本ガイダンスでは、こうした弊社の受験対策における基本的な考えをお伝えするとともに、「中学受験対策の学習と生活で大切にすべきは何か」ということを保護者にお伝えしてまいります。というのも、中学受験はしつけの終わっていない年齢の子どもの受験であり、子どもに無配慮で過重な勉強を強いると、この時期に育てるべきものが疎かになったり、勉強に対する誤った観念が染みついたりする恐れが多分にあるからです。そのことに鑑みるなら、受験生は子ども自身であるけれども、半分は親の受験でもあるということが言えるでしょう。親は毎日の子育てという観点を忘れず、子どもが日々の勉強を通して望ましい成長を遂げるよう見守り応援する必要があるのです。

 子どもには将来に大きな可能性が残されています。中学受験は、その可能性をさらに広げるための挑戦なのです。このような考えや視点を保護者と共有し、受験を通じて子どもたちの望ましい成長を支援していくことが中学受験専門塾である弊社の基本的な方針です。

 本催しは校舎ごとに実施し、その校舎の責任者が保護者に直接上述のような内容も含めて詳しくご説明する予定です。お子さんが通学する、その校舎の責任者の話を直接お聞きになれば、受験勉強が始まってからの生活の状況もより具体的にイメージできるのではないでしょうか。ぜひお気軽にお越しください。

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カテゴリー: お知らせ, 行事のお知らせ

何事も“親しだい”なのは児童期まで

2019 年 12 月 27 日

 今回の記事は、2019年の最終回です。このブログは2009年の秋ごろ始めましたので、およそ12年継続してきたことになりますが、累計のビュー数は190万件を超えました。

 ブログを始めた当初は、10年以上も続けるとは思ってもいませんでした。続けられたのは、多くのかたがお読みくださり、それを励みにできたからに他なりません(ビュー数にこだわらないようにしましたが、気にはなりますね)。ほんとうにありがとうございました。

 振り返ってみると、広報担当者として昭和の時代に入社して以来、長く鉛筆で原稿を書く仕事環境が続いた後、パソコンの進化や普及が急速に進み、いつの間にかデジタル原稿が当たり前のようになっていきました。アナログ人間の筆者もやむなくパソコン操作を覚え、フロッピーで原稿を出稿する段階を経て、インターネットを介した出稿や連絡、情報のやりとりへと変わっていきました。20~30年前には想像もしていなかった大きな変化でした。その間、様々な業種の企業がHPをもつようになり、情報発信の場として活用する時代がやってきました。

 そんななか、10数年前ごろからでしょうか。ブログが情報発信ツールとして注目を集めるようになり、「対面式の催しでは保護者との接点が限られる。また、冊子も読んでくださるかたの数はそう多くない。じゃ、今はやりのブログとやらを始めてみようか」と思い立って気楽に始めたのが本ブログです(ブログというより、コラムのような性格を強く帯びていますが)。まさかこんなに長く続き、7百数十編に及ぶ記事を書く(そのうち、20~30編は若手社員に勉強を兼ねて寄稿してもらいましたが…)なんて、そして何よりもこのように多くの方々にお読みいただくとは夢にも思いませんでした。

 令和元年が間もなく終わろうとしていますが、来年もより多くの保護者のみなさまに参考にしていただける記事を書くようがんばる所存ですので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 先日、現中1生の生徒さんの保護者(おかあさん)とお話しする機会がありました。「入試直前の正月には、近所に住んでいる家庭学の友達と一緒に『正月特訓をするんだ』と言って、一生懸命勉強したんですよ。あのときは親も必死で応援しました。月日が経つのはほんとうに早いですね」と、入試直前の様子を感慨深そうに語ってくださいました。

 お子さんは二人とも見事第一志望校に合格されたそうですが、今受験を目の前にしておられるご家庭においても、同じようにお子さんは希望と不安とがないまぜになった状態で勉強に精を出しておられることでしょう。保護者におかれてはわが子の努力が実ることを信じ、最後までしっかりとサポートをしてあげてください。特に今からは、勉強面では「何を最優先するか」を絞り込み、勉強が空回りしないようにすることが大切です。また、それ以上に大切なのは、メンタル面のサポートや体調の維持管理です。中学受験においては、こうした親のバックアップが欠かせません。何しろ受験生はまだ小学生の子どもなのですから。もうしばらくは気の抜けない日々か続きますが、お子さんの、そしてご家庭の願いが叶うよう、悔いの残らぬ応援をよろしくお願い申し上げます。

 毎年入試シーズンを迎え、受験生家庭の悲喜こもごもの入試結果を目の当たりにするにつけ、筆者が思いを致すのは「親というもののありがたさ」です。どんなときにも無条件に愛情を注いでくれ、うまくやれたときもやれなかったときもすべてを受け入れてくれる存在。それは親以外にありません。受験生活には紆余曲折がつきものですが、見守り応援する親の厳しい言葉も優しい言葉も、すべてわが子を思うが故のこと。子どもたちが困難に負けず受験生活を乗り切れるのは、おとうさんおかあさんの無償の愛に基づく見守りと応援あればこそなんですね。

 中学入試を終えると、間もなく子どもたちは思春期を迎えます。この成長の大きな節目は親子関係に劇的な変化をもたらします。そう、親の言うことをことごとく否定するかのような態度を取り始めるのです(ご存知のように、このことは子どもの自立にとって欠かせないもので、親離れは正常な成長の証しでもあります。もちろん、親にとっては子離れのタイミングです)。これから受験生活を始めるご家庭、再来年以降に受験を控えておられるご家庭におかれては、「中学受験は、そうしたわが子の大きな変化の直前にあるものなのだ」ということを念頭に置き、親として何をしてやるべきかを間違えないようサポートしてあげていただきたいですね。

 どういうことかというと、思春期が訪れると親の影響力は一気に後退してしまいます。ですから、中学受験の助走期は親がわが子に絶大な影響力を発揮できる最後のチャンスなのだといっても過言ではありません。受験生活を乗り切るプロセスで、親は何を期待し、どうフォローするか。このことは子どもの人間形成に多大な影響をもたらします。

 そこで筆者から保護者の方々にご提案したいのは、「受験までのプロセスで、わが子のどんな成長を引き出すか」という視点から、親としての見守りや応援のスタンスを定め直してみるということです。親が一定の方針の下でわが子の見守りや応援をし、常に揺るがぬ態度で接すれば、それは間違いなくお子さんに一定の価値観を授けることになるでしょう。勉強や生活において、わが子にどんな成長を望みますか? そのことに基づいて、ご家庭ごとに親の方針を絞り込んでみてはいかがでしょうか。

 ある年、こんなおとうさんがおられました。第一志望校の入試での付き添いを終えたその足で、筆者を訪ねて来られました。そして、こんなことをおっしゃいました。「先生にいろいろアドバイスをいただき、親として考えたことを息子に伝え励ましてきましたが、もう今の時点で十分満足のいく成長をしてくれたと思います。だから、入試の結果を見るまでもなく、受験をさせたことの成果は得ています。それで、受験を終えた今日のうちに一言お礼を申し上げようと思いまして」――このおとうさんの立派な挨拶に、筆者はただただ恐縮したことを思い出します。

 ちなみに、息子さんは第一志望校に合格されました。この第一志望校よりも難関の中学校に受かっておられましたが、意思は変わらず第一志望だった私学に入学されました。なんでも、その私学だからこそ経験できることがあるからだそうです。おとうさんも凄いけれども、息子さんのしっかりした考えにも感心しました。「こういうお子さんなら、おとうさんおかあさんの期待する(いや、期待以上の?)立派な人生を歩めることだろう」と、つくづく思ったしだいです。

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カテゴリー: ごあいさつ, アドバイス, 中学受験

これからの時代の中学受験のありかた その2

2019 年 12 月 20 日

 前回は、「子どもの望ましい成長に資する学習指導を実践する」という、弊社の指導の根本理念をお伝えしたところで終わりました。

 「子どもの望ましい成長」というと、漠としたイメージしか湧かず、いささか具体性を欠いているかもしれません。健全な知的発達を促しながら受験対策が実現できるようサポートすることを意味しますが、弊社の内部では、「新たな知識を得ることに喜びを感じ、自ら学ぼうとする姿勢を携えた子どもたちを育成する」という表現をよく用いています。それが将来自分のなりたい職業に就き、有意義な人生を歩むうえでとても大きな作用を果たすと考えるからです。

 上記の方針は、「自学自習」という言葉で括ってもよいでしょう。自学自習をなぜ重んじるかというと、「中学高校での6年間の学習生活を充実させるためには何が必要か」を思い浮かべていただくとわかり易いと思います。中学生になると、一人前の人間として扱われますから、何事も自分で考え、自分で判断し、自分で行動することが求められます。大人に依存した勉強で受かってもあとで苦労することになりがちです。中学校入学後に、突然自立した勉強ができるようになるということは期待できません。

 また、中学高校課程を終えた後には大学受験があります。大学への受験にあたっては学部や学科(専攻)を絞り込まねばなりませんが、その際には単なるあこがれや思いつきではなく、ある程度自分の適性や希望する方向を検討し、その可能性を見通したうえで目標を設定する必要があります。そのためには、中学高校の6年間をただ漫然と過ごすのではなく、「自分はどういう人間か」「自分は何をしたいのか、どんな仕事に向いているのか」などについて考えたり、そのために必要な情報を自分で収集したりすることが求められます。これは当たり前のことです。それなのに、この当たり前のことができていないために、社会への参入にあたって躓く若者が後を絶ちません。それどころか、大学へ入学して初めて学問選択の誤りに気づき、後悔する(退学する)学生も少なくないと言います。

 少し話が飛躍したかもしれません。そこで、「中学高校の6年間」に話題を戻そうと思います。中学高校時代の学びを充実させ、将来の進路選択に向けて選択肢を広げるには、どんな姿勢や能力が必要でしょうか。

 細かい点をあげるときりがありませんが、ざっとあげると上記のようになります。なお、7について若干補足説明をしておきます。何事もすべてを自分でやり遂げることは難しいものです。自分でどうしてもうまくやれないことは、他者の力を借りて解決する。これも自立した人間の一要素だと言われています。

 中学校では小学校とは比べ物にならないほど多くの刺激があり、新入生には一種のカルチャーショックが生じるものです。たとえば部活が始まり、友人関係も格段に広がっていきます。ふと気づくと、勉強がおざなりになっていることもあるでしょう。だからこそ、学びの土台がしっかりしているかどうか問われることになります。

 というのも、私立の中高一貫校の多くは、主要教科の中学課程のカリキュラムを圧縮し、2年間で終了します。3年生になると高校課程へと進みますから、ぼんやりしていると学習の高度化について行けなくなってしまいます。当たり前のことですが、中学校課程の学習内容は、小学校課程の学習内容が発展したものであり、高校課程の学習内容は中学校課程の学習内容を発展させたものです。中学校課程の学習が疎かになると、基礎ができていないために高校課程の学習に支障を来してしまいます。

 こうした状況を踏まえると、中学校進学にあたって欠かせない前提は何かということが見えてくると思います。それが「自学自習の姿勢」ではないでしょうか。ただし、難しいのはまだ心も体も成長途上の小学生の受験勉強ですから、中学生や高校生ほどの見識も自覚も期待できません。そこで弊社では、「小学生の自学自習を可能にするための学習システムと指導」を研究し、弊社の教室に通って受験勉強をする子どもたちの最大多数が一定の水準の成果をあげられるような学習指導の実践に努めています。

 弊社の学習システムを簡単に図式で示すと次のようになります。

 
 わかり易い図がつくれずもどかしいのですが、上図のように、弊社での受験対策は授業と家庭学習を交互に組み合わせた形式となっています。

 小学生の家庭学習が成立するには、「テキストのどこをどうやればよいのか」がわかり易く工夫されている必要があります。そのためにテキストを自社制作しています。あまり難度の高い課題を詰め込むと、子どもの意欲や自信を奪いかねないので、難易度配列には細心の注意を払っています。

 また、予習とは言っても、小学生にできるレベルにするため、テキストの導入部分を読んでくることを予習の原則としています。授業が終わったら、家庭でおさらいと発展的な問題への取り組みをします。

 2週目の後半の授業(授業5)では、授業4までの学習のおさらいをします。そして、その後の家庭学習でさらに2週間学んできたことのおさらいをして週末のテストに臨みます。

 授業と家庭学習、さらにはテストの繰り返しを通じて、子どもたちは少しずつ勉強の要領を身につけるとともに、毎日の学習を定着させていきます。そうして、最終的には決めた勉強をやらずにはいられないほどの、強固な学びの態勢を築いていくことをめざします。

 講座の進行とともに、個々の得意不得意がわかってきます。また、子ども自身が「勉強に足りないものは何か」を理解するようになります。それにしたがって、苦手対策の勉強を家庭で自主的にやるようになったり、先生に質問してわからないところの埋め合わせをしたり、友達に教えてもらって疑問を解決したりするなど、勉強の推進にあたって効果のある方法を段々と幅広く身につけるようになっていきます。

 どうでしょう。詳しく書けばきりがなくなるのですが、ここまでの説明と、先ほどお伝えした1~8の重要ポイントを照合してみてください。概ね意図をご理解いただけるのではないかと思います。

 以上からもおわかりいただけるかと思いますが、中学受験をめざすことの価値は「志望校への合格」だけでなく、「将来に向けた“伸びしろ”を築ける」ということにあるのではないでしょうか。そこが高校受験や大学受験との大きな違いであろうと思います。成長途上の子どもが受験するのですから、将来の大成に向けた備えを兼ね合わせることもできるのです。そのことに着目した受験指導なら害はありません。

 近年、「非認知能力」「GRIT(グリット)」などの言葉が教育・心理学系の書物にしばしば登場します。非認知能力とは、その言葉の通り認知できる能力(テスト学力やIQなど)に対して認知できない能力を指します。たとえば、忍耐力、継続力、実行力、リーダーシップ、他者を思いやる能力、などです。「グリット」は日本語で「やり抜く力」などと言われます。これも非認知能力の一要素でしょう。どんな困難な状況にもへこたれることなくものごとをやり抜いて行ける力を言います。これらの能力は、実社会でレベルの高い仕事をやり遂げるための推進力になるものです。学力を身につけることは当然必要なことですが、それだけに終わってしまった人間は、今日の社会では通用しません。

 子どもたちがこうした能力を携えた人間に成長するためにも、受験合格だけに偏重した勉強を小学生にやらせる(・・・・)のではなく、自ら(・・)学ぶ(・・)姿勢を身につけられる受験勉強を経験することが求められるのではないでしょうか。弊社はまだまだ力不足ですが、少なくともめざしている方向は間違っていないと確信しています。自学自習の姿勢を備えての入試突破は、21世紀を生き抜いて行ける人間になるための、古くて新しい最善の方法なのです。

 随分長い文章になってしまい申し訳ありません。以上のような弊社の中学受験指導にご賛同いただけたでしょうか。これからお子さんの受験が始まるご家庭におかれては、ぜひ弊社に貴家のお子さんを預からせていただきたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 家庭での教育

これからの時代の中学受験のありかた その1

2019 年 12 月 11 日

 今回は、お子さんの中学受験を視野に入れておられるご家庭に向けた情報をお届けします。主として「中学受験の役割や意義」、「これからの時代の受験勉強はどのようなものであるべきか」について、弊社の考えをお伝えしたいと思っています。もしも保護者の方々の方針やお考えと、弊社のそれとが一致するなら、ぜひ次年度講座への入会をご検討いただきたいと存じます。

 早速ですが、「中学受験を思い立たれたきっかけは?」とお尋ねすると、みなさんはどうお答えになりますか? おそらく様々な答えが返ってくることでしょう。一般的に言って、最も多いのは「周囲に中学受験の経験者がいたから」というものです。きょうだいが経験されたことや、親戚やお知り合いに中高一貫校に通うお子さんがおられたこと、近隣に私学通学生が多いなどですが、環境のもつ影響力には大きなものがありますね。

 次は塾選びについての話題です。近年は親自身が経験者であるケースも少なくありません。そのかたが家庭学出身であれば、迷うことなく「わが子も家庭学へ」になるのかと思いきや、なかなかシビアな目で塾選びをされているかたもおありです。わが子の将来に関わることですからしかたありません。

 驚いたのは、「うちの子が生まれて以来、家庭学のチラシは全てファイルしています」というおかあさんがおられたことです。「指導方針がブレないか、一貫性が継続されているかどうかを確かめようとした」のだそうです。これには「ありがたい」と思うと同時に、冷や汗が出るような思いを禁じ得ませんでした。幸い、3年生の終了時点で「ブレなかった」と判断いただき、お子さんは晴れて家庭学に入会され、入試でも第一志望に合格されました。やれやれ。

 極端な例をご紹介しましたが、弊社にお子さんを預けてくださる理由でいちばん多いのは、前述のように「指導の方針が、親の考えと一致しているから」というものです。弊社が50年余りも世知辛い塾業界で生き残って来られたのは、「学習指導の方針が保護者に受け入れられたからだ」と、筆者は思っています。

 ご存じかも知れませんが、弊社のチラシは「メッセージ性」を重視しており、合格実績の表示は控えめにしています。それは、経営者の次のような指示によるものです。「私の考えるチラシの役割は、どのような方針で学習指導に当たる塾かを、わかり易く保護者にお伝えすることだ。合格実績に目を通さない保護者はいないのだから、大きなスペースを割く必要はない」――この考えは的を射たものだと、今でも筆者は思います(塾のイメージは地味になりますが)。また経営者は次のようにも言っています。「合格は子ども自身の努力によって得たものだ。学習塾は、その手伝いをしたに過ぎないのだから、自分の手柄のようにアピールすべきではない」と。これも確かにその通りだと思います(これまた、塾のイメージを地味にしてしまうんですね)。

 保護者は、それぞれ塾選びの目安にする“ふるい”をおもちだと思います。何を重要視されるか、何をふるいにかけるかはみなさん違います。ここまで筆者がお伝えしたことに、あまり価値を見出されないかたがおありでも、決して不思議ではありません。

 さて、次は中学受験の特殊性に話題を移します。中学受験の最大の特徴は、受験勉強のイニシアチブが大人にあるということです。受験生が大人のような知識や判断力をもち合わせていない小学生だからです。難関校への受験となると、求められる勉強は質量ともに半端なものではなくなります。そこで問題となるのは、勉強にかかる負荷の匙加減です。それを大人が適切に判断してやらないと、負担が過度になるだけでなく、子どもの健全な成長にも影を落とす危険性があります。

 どういうことかというと、受験準備にあたる時期の子どもは、ちょうど人間としての個性が形成される段階と重なります。この成長の節目において、子ども不在の過重な勉強を強いると、勉強への歪んだ考えを染みつかせてしまいかねないし、やらされ勉強を続けることで自律性を欠いた人間に育ってしまいかねません。弊社は、その危険を冒すほどの度を越した勉強で受験をすべきではないと考えています。「どんな受験勉強、どんな受験生活を経験したか」が、「どんな考えや行動様式をもった人間になるか」と、密接につながっているということを忘れないでいただきたいですね。

 無論、特別能力の高い子どもや、早熟タイプの子どもは、そういう過酷と言えるほどの勉強を難なくやりこなしてしまうケースもあります。しかし、皆が皆そういうわけにはいかないのも事実です(大切なわが子です。「うちの子は大丈夫」と決めつけないで、慎重に判断を)。

 次は、中学受験の真の目的について考えてみようと思います。「受験の目的とは何か」と問われたなら、みなさんはどうお答えになりますか? おそらく、「○〇中学にわが子を行かせるため」といった返事よりも、「よりよい学校環境を求めて」のことであり、「高いレベルの教育を受け、将来の人生設計における選択肢を幅広いものにするため」、あるいは「将来の夢を実現させるため」といったような将来的な視点に基づく返事をされるかたが多いのではないかと思います。少なくとも言えるのは、めざす中学に受かりさえすれば、後はどうでもよいと考える人など一人もいないということです。

 弊社の中学受験指導における基本理念は、「子どもの望ましい成長に資する学習指導を実践する」というものですが、これは前述のような大多数の保護者の願いを汲み取って生まれたものです。中学受験対策の勉強は、目先の合格だけにこだわってはいけない。子どもの将来の大成を視野に入れたものであるべきで、日々の勉強の積み重ねが子どもの血となり肉となって人間の器を大きくしていくものであるべきだ、という考えに基づきます。具体的にはどういった指導をするのかについては、本HPにある程度詳しくご説明しています。また、案内書をご請求いただいたなら、より詳しい情報を確認いただけますので、よろしくお願いいたします。

 さて、まだお伝えすべきことがたくさんあるのですが、だいぶ文字数が多くなってしまいましたので、今回はここで終わられていただきます。続きは次回お伝えしようと思いますので、よろしくお願いいたします。

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カテゴリー: 中学受験, 入塾について