2026 年 1 月 15 日
広島県内では、2026年の中学入試シーズンが年明け早々に始まっていますが、1月21日(水)から26日(月)には、広島を代表する男女私学の各2校と、県立広島中、広大附属中の入試が立て続けに実施されます。いよいよ「待ったなし!」の本番がやってきます。
たとえば男子受験生の場合、23日(金)に修道中、24日(土)に県立広島中、25日(日)に広島学院中、26日(月)に広大附属中と4日間連続して行われます。また女子も21日(水)に広島女学院中、23日(金)にノートルダム清心中、24日(土)に県立広島中、26日(月)に広大附属中と、これまた過密日程で受験に臨む受験生も多数おられることでしょう。
過酷とも言える日程を余儀なくされる今年の受験生ですが、ものは考えようです。1校受験し、しばらく経ってまた受験、さらに少しの間をおいて次の受験といったような日程は心身のコンディション維持が大変です。また、入試結果の成り行きによっては親子共々ナーバスになるような事態もあり得ます。かえって辛い日々が続く事態になりかねません。むしろ、覚悟を決めて一気に突っ走ったほうが集中力を発揮できるのではないでしょうか。誰もが初めての経験ですから、条件はイーブン。注力すべきは、この入試が連続する期間に体調とメンタルを最高潮へともっていくことでしょう。
そこで、これから入試が続くピーク期を乗り越えるためのアドバイスをお伝えしようと思いますので、よろしければ参考にしてください。
1.家庭内の雰囲気がいつも通りになるよう配慮を。親はゆったりと構えましょう。
子どもは親の態度や様子に敏感です。不安を口にしたり、表情に出したりすると子どもにそれが伝染してしまいます。親は常にゆったりと構え、笑顔で泰然自若とした態度を崩さないよう気をつけてあげてください。平常心こそ、パフォーマンス発揮にとって一番大切なものであると肝に命じましょう。
2.緊張はやる気のシグナル。緊張は必要なことだとわが子に伝えましょう。
メジャーリーグ野球で活躍した日本の有名な選手は、「緊張しない人はダメだ」と言っています。緊張は、心拍、血圧、体温の上昇によって生じる心的変化で、その気になったことの裏返しです。緊張は、集中力、注意力、判断力を引き出す大切なものなんですね。お子さんが「ドキドキしてきた」と言ってきたら、「それはやる気になった証拠だよ。緊張はあなたの友達なんだよ」と、優しく励ましてやりましょう。
3.生活のリズムを維持し、しっかりと睡眠をとりましょう。
気持ちが混乱して平常心を失うと、パフォーマンス発揮は難しくなります。生活のリズムを一定に保つこと、日常のルーティンを崩さないことが大切です。特に睡眠は平常心や集中力を維持するために必須のホルモン(セロトニン)の分泌を促します。無理な勉強を遅くまでするよりも、しっかりと睡眠をとることを優先しましょう。
4.入試直前には、ポジティブな声かけでわが子を励ましてやりましょう。
子どもにとって、親ほど心の支えになる存在はありません。親の愛情深い励ましは、入試に臨むお子さんにとってこれ以上ない援軍です。今から入試直前の励ましとしての、とっておきの言葉を用意しておきましょう。つぎは卒業生家庭の言葉(弊社会員から寄せられた受験体験記より)を参考にした例です。フィットする言葉があれば活用してください。
・あなたなら乗り越えられるよ!
・だいじょうぶ。今までの努力を信じよう!
・ミスしないことが合格の秘訣だよ!
・難問はみんな解けない。落ち着いて、やれる問題を解こう!
・入試が終わったら、好きな〇〇ができるね!
・「私はやれる!」って念じれば、願いはかなうよ!
5.入試当日は、時間に余裕をもって会場に到着しましょう。
パフォーマンス発揮には、適度な緊張や平常心が必須。入試に遅刻したり時間ギリギリに会場に到着するとお子さんはパニック状態に陥り、これまでの苦労が台無しになりかねません。入試当日は早め(30分以上余裕をもたせる)に会場に到着しておきたいものです。いったん緊張に見舞われますが、時間とともに平常心を取り戻せます。上記のような励ましの言葉をかけ、緊張を解きほぐしてやりましょう。早めに入試会場に行くと、友達や先生にも会えるチャンスが多くなります。それも程よいリラックス効果を引き出します。
泣いても笑っても、もうしばらくしたらすべてが終わります。後悔が少しでも残らぬようしっかりとお子さんをサポートしてあげてください。特に大切にしていただきたいのは、おかあさんとおとうさんの愛情深い笑顔です。その笑顔を見て、お子さんはやる気を奮い立たせるとともに、後ろ盾があることへの安心の気持ちを得ることができます。
また、入試会場に到着後も、「笑顔よ、笑顔!」と声をかけてやりましょう。それがお子さんの気持ちを和らげ、落ち着いて入試に臨むための助走の役割を果たしてくれます。そして、いよいよ入室のときには「さあ、行っておいで。応援しているよ!」と優しく力強く送り出してやりましょう。
全ての受験生が、最高のパフォーマンスを発揮されますように!

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2026 年 1 月 8 日
2026年の年明けとともに、中学受験シーズンが到来しました。今、受験生の子どもたちは目の前に迫った志望校の入試に向けて仕上げ学習に余念がないことでしょう。
受験は実力半分、メンタル半分(それと少々の運)です。焦りは禁物。「あれをやっておかなければ。これもやっておかないと」と、落ち着かない上滑りの勉強では成果があがらないし、余計な緊張を招いてしまいます。決めたことをやり遂げることに集中し、気持ちを散らさないようにしましょう。受験対策の大詰めになってからやり残しに気づく。それは誰にもあることです。完璧な受験対策などありません。腹を据えてかかることが何より重要です。仕上げの学習メニューをやり遂げることに集中しましょう。そして、そのうえで時間があれば埋め合わせの学習をすればよいのです。保護者におかれては、お子さんの心身のコンディション管理を第一に、しっかりとフォローしてあげてください。
さて、受験生活の最終段階を迎えた6年生もさることながら、4年生や5年生の子どもたちも今や1年間の講座の締めくくりを迎えつつあります。保護者におかれては、これまでを一緒に振り返ってみてください。やるべきことをどれだけやれたでしょうか。力がついたという手応えはあるでしょうか。おそらく、一握りの成績上位者はともかく、大半のお子さんはそこまでの感触はないことでしょう。何しろ誰もががんばっている集団内の成績です。上がったり下がったりは当たり前なのです。ただし、見失ってはならないことがあります。成績は上がったり下がったりでも、学力はやった分だけついています。努力はうそをつきません。目先の成績に振り回され、「自分はダメ」と思い込まないことです。
もうひとつ。勉強したことがすぐ成績に反映される子どももいれば、なかなか成績につながらない子どももいます。しかし、後者のようなタイプの子どものなかに注目すべき現象が見られます。自分は物覚えが悪いと思っていても、実はゆっくりと理解は確実に進んでいて、ある段階から歯車がかみ合い始めたごとく力を発揮するようになることがあるのです。そして一気に成績が伸びていった例は少なくありません。すぐに成績に反映されるタイプが“早期完成型”なら、あとから進境を見せるタイプは“後発急伸型”と言えるでしょう。
ただし、後発急伸型の子どもが頭角を現す時期は様々であり、それがもどかしくてつらいところです。中学受験の直前に伸びる子どももいれば、中学生以降を待たねばならない子どももいます。しかし、時期の違いはあっても、学んだことが開花していることに希望がもてるのではないでしょうか。焦ってコロコロやりかたを変えたり、あきらめたりしなかったからこそもたらされる現象なのです。実際、家庭学習研究社で学んだ人たちのなかには、中学受験の段階では成績的に苦しんでいたものの、中学高校ですばらしい進境を遂げ、トップランクの大学へ進学した事例が多数あります。
こうした後発急伸型の子どもたちが、もう少し早めに能力を発揮できるような流れはつくれないものでしょうか。実は、停滞しているかに見えた学力向上の流れが、急伸へと転じた例を調べてみると、ちょっとしたきっかけが発端であることが多いということがわかりました。二つほど例をあげてみましょう。こうしたことは、どのお子さんにも起こり得ることではないでしょうか。
以下のイラストをクリックして拡大のうえ、見てください。

1は、読書好きで音読が得意だった男の子が、学校の音読大会でスポットライトを浴び、みんなの注目を集めたことで自信が湧いてきて、それを契機に勉強に向き合うときの気構えが変わったことから躍進が始まったという事例です。これは偶然に生まれたきっかけですが、何か好きで得意な領域をもっていたことと、勉強面で一応の努力をしていて基礎がある程度身についていたこととの合わせ技であることに着目すべきでしょう。おたくのお子さんにも、好きなことや得意なことがあると思います。それを大事にしてあげてください。また、勉強面でも努力したことはいずれ報われるものだということを伝えてあげてください。お子さんの躍進が始まるときがいずれ必ずやってきます。
2は、「たまたま運よくよい点が取れただけ」と思ってしまうか、「テストで偶然の好成績なんてあり得ない」と思うかで後の状況が変わります。進学塾ではテストが繰り返されますが、結果が思わしくないことが続くと、子どもは「自分には能力がない」と自分を見限ってしまいがちです。そうなると、せっかくの好成績なのに、「まぐれだ」と冷めた反応を示す子どもも少なからずいます。しかし、多くの工夫を凝らしたテストで好成績を取るのは簡単ではなく、まぐれはあり得ません。親はこのチャンスを見逃すべきではありません。なぜよい成績をとれたのかをしっかりと親子で振り返れば、ちゃんと理由が見い出せるはずです。そこを起点にして自信ややる気を取り戻させてやりたいですね。2の事例は、親のフォローしだいでどの家庭でも生じる可能性がありますから、チャンスを逃さないでいただきたいですね。
2つの事例から、保護者の方々にぜひ胸に止めていただきたいことがあります。一つは、子どもに自信をもたせるための目配りを常に継続し、子どもの目が輝く瞬間を見逃さないこと。もう一つは、すぐ結果が得られなくても腐らず、努力を継続するよう子どもに対し熱心に働きかけ励ますこと。親の愛情や熱意は子どもの人間形成に大きな作用をもたらします。そして、子どもの能力開花にきっとよい影響をもたらします。子どもの望ましい成長は親の心持ちと働きかけしだいなのだと肝に銘じましょう!
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2025 年 12 月 26 日
今年も余すところあと数日になりました。入試を間近に控えた受験生のみなさんは、正月返上も辞さぬ構えでラストスパートに向けた仕上げ学習に励んでおられることでしょう。保護者におかれても、お子さんの健康管理、メンタル面のサポートなどで通年とは違った緊迫感のある年末を迎えておられるのではないでしょうか。後悔の残らぬよう、やれることをしっかりとやっていただきたいですね。心より応援申し上げます。
ところで、今回は特別な講演会についてご案内します。講演のタイトルは「驚きと感謝を生み出す魔法」(話者は広島学院元教諭の倉光望先生)となっています。倉光先生は、長年広島学院の生物教師として活躍されるとともに、広報部長を務めてこられました。現在は、同校や広島女学院の生物講師を務めておられるほか、多方面で精力的に活躍されています。参加対象は、幼稚園年長児・現小学1~4年生のお子さんと保護者です(親子参加)。弊社の会員家庭のみならず、一般家庭の親子の参加も歓迎します。お子さんの健全な成長に向けた貴重な示唆を得られる機会になるでしょう。興味をおもちになったらぜひ参加してみてください。普段は体験することのできない、よい刺激を得られる機会になると思います。
「この講演会ではどういった話が聞けるのか?」と思われるかたもおられることでしょう。そこで、ごく簡単にその内容をご紹介しておきましょう。倉光先生が生物教師として、教育者として貫いてこられたのは、「子どもたちの心に湧きあがる“不思議”を大切にすること」です。子どもというものは、「なぜだろう」「どうしてだろう」という不思議の謎解きを通して驚きや感謝の気持ちを体感し、人間としての成長を遂げていくのです。大人はそうした子どもの成長過程をもっと生かし、適切な環境づくりに配慮すべきではないでしょうか。子ども時代はあっという間に終わります。中学受験をめざした勉強が本格化する前の今だからこそ、親としてわが子にしてあげられることを共に考えてみませんか?
倉光先生のご家庭は、広島学院の歴史とともにあると言っても過言ではありません。昭和31年の創設時から、お祖父さま、お父さま、お兄さま、ご本人と、三代、四人にわたって広島学院の教育に携わってこられました。このようなご家庭ですから、倉光先生が広島学院で教鞭をとられるようになったのは傍目には得心のいく成り行きです。ただし、初めから自分のルートを決めておられたわけではないそうです。教育一家で育ったことから、学問への志向性が育まれたのは自然な流れですが、誰かに勧められたり促されたりしたのではなく、様々な人との出会いや体験を通して進路を模索し、最も興味を惹かれて選んだのが母校の教員になる道だったそうです。講演会では、倉光先生ご自身の子ども時代のエピソードも聞いてみたいですね。
なお前述していますが、この講演会は原則として親子での参加となっています。対象者は、年長児と保護者、そして現小学1年生~4年生のお子さんと保護者です。ご両親とお子さんの3人で参加されても構いません。また、対象学年以外のお子さんのご家庭で、この講演会に参加を希望されるかたは、弊社事務局(℡082-248-2081)にご相談ください。お電話は、弊社の営業時間にお願いします。
倉光先生講演会「驚きと感謝を生み出す魔法」 実施要項
実施日時/1月25日(日)13:00~14:30
会 場/広島市まちづくり市民交流プラザ5F研修室(広島市中区袋町6-36)
対 象/年長児・現小学1~4年生のお子さんと保護者※弊社の会員か未会員かは問いません。
定 員/会場の収容人員まで受け付けます。
参加方法/予約制となっています。
弊社のホームページの予約フォームに所定の事項を入力してください。
児童期までの体験や教育環境は、人生の歩みの原点となるものです。中学受験を経て、中高一貫校に進学してからの成長の様子も、児童期までにどんな生活や体験をしたか、どんな親子関係のもとにあったかが少なからぬ影響を及ぼします。大人になって、自分のたどった軌跡を振り返ったとき、「おおもとは小学生時代にあった」と語る人は少なくありません。この講演会が児童期のありかたをとらえなおすきっかけになれば幸いです。

カテゴリー: お知らせ, ジュニアスクール, 中学受験, 子育てについて, 行事のお知らせ
2025 年 12 月 21 日
みなさんは、「三上(さんじょう)」という言葉を耳にされたことがありますか? 文案を練ったり、よいアイデアを浮かべたりするのに最もよい三つの場所のことを意味します。具体的には、「馬上」と「枕上」と「厠(そ)上」のことです。
考えをめぐらすうえで望ましい場所がどこかという話題は、中学受験をめざして学んでいる子どもをもつ保護者にとっても興味があることでしょう。そこで今回のブログで取り上げてみようと思ったしだいです。この三上という言葉を残したのは、11世紀に活躍した北宋の欧陽脩(おうよう しゅう)という人物で、政治家であり、詩人であり、学者でもあったという秀でた能力の持ち主でした。
「馬上」はもちろん馬の上のことです。適度なリズムで歩を刻む馬の背にまたがる人の姿がイメージされてきます。馬の背に揺られていると、よい考えが頭に浮かびそうです。「枕上」は、枕の上のことですから、寝ているときによい考えが浮かぶということでしょう。ただし、眠りに入るころに考え事をすると寝付かれなくなってしまいますから、明け方に目を覚ます時間帯のことを言っているのだと思われます。「厠上」は便所の中を意味します。トイレにいる時間は、一人で瞑想にふけるにふさわしいということなのでしょうか。
まずは「馬上」ですが、今日では一般の人が馬にまたがることはほとんどありません。そこで、今の世の中で「馬上」に通じる意味合いでとらえられる場所を思い浮かべてみましょう。おそらく大概の人は電車やバスに乗っているときを連想されると思います。電車もバスも程よい振動が体に伝わってきます。朝の食事で摂取した物もすんなり消化され、胃に集まっていた血液も一段落して頭に血が巡ってきます。一定のリズムで体が揺れ動いている心地よさと相まって、人間の頭脳の働きは大いに活性化することでしょう。私は少し前までロードバイクでのツーリングを趣味にしていました。心地よい風に吹かれてバイクにまたがっているとき、不思議と行事の企画案や文章のアイデアが浮かんできました。そこで、ツーリングの際にはメモ帳とペンを背のポケットに入れ、よい考えが浮かんだらバイクからから降りて書き留めるようになりました。
また、筆者はバスで片道1時間余りかけて通勤していますが、この時間が企画を立案したり読書をしたりするうえでずいぶん役立っています。ケータイ(携帯電話)が普及する前は、バスや電車内で本や新聞を読んでいる社会人や、教科書や参考書を手に暗記に励む高校生の姿をよく見かけたものです。小学生の子どもたちは、考えに耽ると降りるべきバス停や駅を通り過ぎてしまいがちです。したがって、バスや電車内での勉強はお勧めしかねます。そこで、似たようなシチュエーションを考えてみました。すでにお気づきかと思いますが、それは散歩やジョギングをしているときでしょう。ノーベル物理学賞を受賞された湯川秀樹博士は、思考を巡らせたいときには散歩をされたことで知られますが、小学生ならときどき公園や川土手などを歩いたり走ったりすると、気分転換を含めて脳の働きによい影響が得られるでしょう。脳科学者の著作にも、散歩やジョギングが頭の働きによい(血流を促進するなどが理由のようです)という指摘があります。
さて、つぎは「枕上」について考えてみましょう。上述のように、枕の上(床についているとき)と言っても、就寝時ではないだろうという指摘を多くの人がしています。おそらく、まだ目覚めたばかりで寝床から這い出ていない時間のことだろうと思われます。まどろみから抜け出したばかりのとき、人間の脳は前日までの記憶が整理整頓されてすっきりとした状態にあります。「枕上」は、このようなときが最もよい考えの浮かびやすいことを指摘した言葉ではないでしょうか。
これも筆者自身のことで恐縮ですが、筆者は枕元にも筆記用具とノートを備えています。上で述べたことは特に意識していませんでしたが、早朝に目覚めてから起床するまでのしばらくの時間、自然とそのときに自分が抱えていた案件について考えてしまいます。そして、そんなときに前夜までに解決できなかったこと、前夜までには気づかなかったアイデアが浮かんでくることがしばしばありました。おそらく、このブログをお読みになっている方々にもそういう人は少なくないことでしょう。せっかく覚えたことを眠っている間に忘れる。それは残念なことですが、簡単に忘れてしまうのはほんとうの知識になっていないからです。また、なかには「睡眠は、私にとって人生の無駄な時間でしかない」と断言する人もいます。しかし、その人は睡眠の果たす重要な役割や機能を知らないのでしょう。記憶に残っている知識を稼働させ、考えを巡らせていると、忘れていた知識がよみがえってきて、さらにはその知識のもつ意味を深く理解できることもあります。
以上のことを踏まえると、中学受験をめざして学んでいる子どもたちも、脳がすっきりとした状態にある、目覚めた直後、早朝の時間帯をもっと考えることや勉強に活用すべきだと思います。夜遅くまで疲れて混乱した状態にある脳に鞭を打ったところで満足に働いてくれません。10~11時頃には就寝し、翌朝早めに脳を活動させるほうがはるかによいと思いませんか?
最後は「厠上」について考えてみましょう。余談ですが、「厠」は「川屋」からきた言葉だという説があるように、排泄物を川に流すために屋外に設けられた便所を意味するようです。便所が屋内に設けられるようになるうちに消失した言葉なのでしょう。トイレの上というか、トイレの中がなぜ考えることに適しているのでしょうか。こちらは、ものを考えるにはいささか短い時間です。それでも、自分ひとりの時間思いにふけられるという条件が考え事によい場所と思わせたのでしょう。弊社の中学受験体験記には、ずいぶん前から「暗記事項は紙に書き、トイレの壁に貼って覚えた」という受験生の記述が数多く見受けられたものです。おそらく、今の受験生のなかにも同じことをしているお子さんが結構おられるのではないでしょうか。
なお、近年はウォシュレットがトイレのスタンダードになりました。においのしない清潔な個室、しかも足に負担なく腰を下ろせる場となった現代のトイレは、まさに考え事をする場所、記憶に集中するための場所としてうってつけだと言えそうですね。もちろん、トイレは「一人に一つ」というわけにはいきませんから、長居は無用ですが、ものを考える場所、覚える場所として、今も活かされているわけですから、「三上」の一つに数えられているのも頷けますね。受験生の皆さんは、家族の理解と協力を得て、トイレを大いに活用するとよいでしょう。
「机に着いた状態だと逆に集中できなくなる」というあまのじゃくな受験生もいるようです。そんな受験生は、この「三上」を組み合わせ、勉強の効率を高めるための工夫をしてみてはいかがでしょうか。
カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴
2025 年 12 月 12 日
このところ、「学力形成の要は言葉の力」というタイトルに基づき、子どもの言葉の発達が学力形成に大きな影響を及ぼすことについてお伝えしています。今回は、家庭での会話が子どもの言葉の発達に及ぼす影響についてお伝えしようと思います。
「書き言葉」の学習が始まると、「話し言葉」の役割は、しだいに小さくなっていくのかというと、決してそうではありません。むしろ、「話し言葉」をより充実させるための努力は、ますます必要になってきます。学校という新しい環境に慣れ、生活の範囲が広がってきた子どもたちは、言葉のやりとりの場を一層増やし、言葉を活発に使用するようになります。このような会話の場で突き当たるのが、いかに相手にわかるように話すかという問題です。相手にわかるように話すためには、伝えたい内容を、流れをもって組み立て、理路整然と言葉としてまとめる必要があります。また、状況に応じた適切な言葉遣いをしなければなりません。このような会話が少しずつできるようになることと、子どもの思考能力と思慮深さの発達は、極めて強い相関関係があると専門家は指摘しています。
みなさんは、相手に何か話しかけたとき、途中でどんな修飾語を用いるか、述語をどういう言葉で収めるかを意識するでしょうか? そんなことはありえないですよね。たちまち会話は行き詰まり、中断してしまうに決まっています。いったん会話の口火を切ったなら、無意識のうちに自分の伝えたいことが言葉として口をついて出てきて、いつのまにか言い終わります。それでいて、文としてもまとまりのあるものになっています。これは長い年月をかけた鍛錬の賜物です。しかし、子どもはそうはいきません。特に男の子は言語の発達が女の子よりも遅れがちで、「えーと」とか「それでね」とか、つぎの言葉を探り出すための意味のない言葉をもちいながら、もたもたとやっとの思いで言い終わることが多いものです。
子ども同士の会話を聞いていると、ぶつ切りの言葉でやり取りしたり、気持ちを互いに受け止めあっているとは思えないような会話(自分の言いたいことだけ言い合う)を交わしていたりします。しかし、この段階を経てこそ子どもは会話の技術を磨き、相手の言いたいことを受け止めたり自分の思いを相手に伝えたりできるようになるのです。そこで親が留意すべきは、会話の相手になり、手本を示してやるべきは親なのだという事実です。なぜなら、子どものまどろっこしい未熟な表現に付き合い、最後まで耳を傾けてやれるのは年上の家族(特におかあさん)しかいないからです。たどたどしい子どもの言葉に耳を傾け、辛抱強よく相手をしてあげてください。やがて必ず子どもは上手に話せるようになります。(以下のイラスト部分は拡大できます)

上のイラストで示したように、まずは親がわが子の会話の相手、先生として粘り強く相手をするということを意識してください。この意識があるかどうかで、わが子との会話の際の対応も理想に近づけることができます。それがなければ、下のイラストのAのように、子どものまどろっこしい喋りに我慢できなくなってしまいます。しかし、子どものへたくそなしゃべりに癇癪を起さず相手をしていると、やがてBのような会話へと進歩していくことができるでしょう。

どうでしょう。Bのように、子どもが自分の思いをきちんと伝えられるようになるといいですね。子どもが自分の伝えたいことを順序だててよどみなく言葉で発信できるようになると、書き言葉で自分の思いを綴るときにも素晴らしい波及効果が生まれます。理路整然とした達者な文が書けるようになるのです。話し言葉での表現力と、書き言葉による表現力は密接にリンクしているから当然のことです。保護者、特におかあさんがたにはぜひわが子の話し相手、言葉の先生としての役割をしっかりと務めていただきたいですね。素晴らしい成果が得られますよ。
ここで、家庭内の親子で交わされる会話の重要性について確認しておきましょう。すでに何度も本ブログでお伝えしているので簡単に済ませますが、子どもの知的能力の発達と家庭内会話には強い相関関係があるという研究報告が何十年も前に発表され(ロンドン大学の教育社会学者バーンステイン氏による)、今では世界中の定説となっています。たとえば、論理的で、なおかつ一定の長さをもった構造的な言葉のやりとりをしている家庭と、非論理的で短い言葉のやりとりをしている家庭とでは、子どもの言葉の発達、思考能力、ひいては学力に違いが生じがちです。
身近な例で考えてみましょう。親子のように気心が知れている人間同士、しかも常に相手が目の前にいる環境だと、「あれが」「これを」「そっち」など物や場所の名を省略して代名詞で済ませがちです。また、言葉を交わさずとも身振りや手振り、表情などで意思疎通を図れます。しかし、こういう生活に偏ると、言葉を尽くして他者に自分の思いを伝えようとする経験が不足します。結果として複雑な思考を言語化し、相手や不特定多数の人たちにわかりやすく伝える力が養われません。それが知的能力の発達にも悪影響を及ぼすのです。
互いに親密な関係、特に親子関係であれば、つい言葉の省略をしがちです。ですが、子どもとの会話の際は、お互いに丁寧に順序だてて自分の思いを伝えあうことも大切にしたいものです。おかあさんが日ごろからそのことを意識し、子どもにとって少し難しい言葉、たとえば「おごそかな」「つじつまが合わない」「状況を判断する」など、大人が頻繁に使っているような言葉を聞かせるのも効果があります。なお、言葉の使用については子どもの現状に照らし、おおざっぱな判断で結構です。毎日の会話生活で、そういったことを親が配慮しているかどうかで、子どもの表現力や思考力の発達状況はずいぶんと変わります。そのことを、これまでよりちょっとだけ強めに意識してみてください。
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