国語は70~80点取れば十分!?

2021 年 4 月 19 日

 みなさんのお子さんは、国語が得意ですか? それとも苦手ですか? 言わずもがなですが、入試対策の勉強で国語を苦手にする受験生は少なくありません。そもそも、初等教育の大目標は母国語の習得にあり、子どもたちはその途上で受験勉強をしているのですから、求められる言語レベルに届かず苦労する可能性は十分にあります。特に語彙獲得や思考の発達が遅れがちな男子の場合、「国語は苦手」と感じるのは無理もありません。

 中学受験において、国語は算数と並ぶ主要科目で、理科や社会よりも配点が高いのが普通です。理由は上述のとおり母国語を学ぶ科目であり、日常で欠かせない生活語に密着する科目であり、知識獲得の手段となる言葉を扱う科目だからです。ですから、国語のない中学入試はほとんど存在しません。

 中学入試における国語の特徴は、「苦手にすると、大きなハンディとなる(他の受験生に差をつけられてしまう)いっぽう、他者に大きな差をつけるのは難しい科目である」ということでしょうか。たとえば、弊社のマナビーテストの成績を調べると、算数や理科、社会と比べると、100点(満点)が滅多に出ない科目です。90点以上の上位者も稀で、60~70点台がボリュームゾーンとなっています。また、50点以下、特に40点以下の受験生は他の科目よりも少ないという特徴があります。

 差がつきにくい理由としては、国語が日常の読み書きに関わる科目であるということがあげられるでしょう。また、日本語環境で育った子どもなら、たいてい日本語の読み書き能力は一定の水準に達しています。ですから差がつきにくいのは当然かもしれません。その代わり苦手にすると厄介です。大多数がクリアしている問題を落としてしまうのですから、入試で大きな不利をかこつのは必定です。

 もう一つ、高得点を得にくい理由は何でしょうか。国語には単元割がなく、文学的文章(物語)、説明文、随筆、詩などの大ざっぱなジャンル分けがあるにすぎません。したがって、何を勉強したらよいのかがわかりにくい科目です。また、物語の設問に対する正解は、絶対的な基準で説明できるものではなく、あくまでも出題者の理解や考えに合致した答えが正解とされます。つまり、感覚的というか、感情が入り込んでおり、なかには「いくら説明されても納得できない」というお子さんもいます。勢い、常識的な判断基準を心得ている回答者が有利になりがちです。「本は好きだけど、テストは苦手」というお子さんがいるのはそのためかもしれません。

 国語の試験について、数学者の藤原正彦氏は次のようなことを述べておられます。

 (前 略)生徒の国語能力をいかにして正確に測るかは、現場の先生方の直面する大問題であろう。言語的側面に関しては、どんな方法でもかなり精確な能力判定が可能であろうが、人間の情操面を、試験でどのように測ったらよいかは難問である。従来の試験問題がそのためのよい物差しであったかどうか、私は大いなる疑問を持っている。

 従来の方法とは主に、文章や詩を読ませてその要旨を何らかの形で述べさせるというタイプのものであるが、これは、敗者の繰り言ではないが、優れた方法ではないと思う。この方法では通常、(中 略)出題者と自分の見解がうまく一致した場合のみ正しく、他の個性的な解答はすべて減点である。これでは生徒のもつ多様な個性を否定し、画一的発想を強要することになりかねない。

 そもそも、出題者が本当に正しい答を持っているかが怪しいうえ、はたして正答なるものがいったい存在するのかどうかさえ確かではない。文章や詩の解釈は、読む者によって異なってもしかたないし、むしろ異なるのが普通である。法律のように、使われる言葉の定義がかなり明確にしてあっても、裁判では文章の解釈に大きな違いが起きてしばしば問題となる。詩や小説においてはなおさらで、鑑賞のしかたが一意的でないところが、文学の深さ、面白さなのだろうとさえ思える。

 藤原正彦氏の両親は作家です(父親は新田次郎、母親は藤原てい)。氏自身は数学者になられましたが、育った家庭環境の影響もあるのでしょうか。優れた著作を多数残されています。上記の文も著作の一部ですが、別の箇所で著作への読者からの反応や感想が実に様々であることを述べておられました。書いた本人も気づかないような受け止めかたや理解があることに気づき、驚かされたそうです。

 そういえば、かつて入試問題の分析をする国語担当者の会議で、正解がどれかについて担当者間で対立が生じたことがありました。そのとき、どうしても考えを譲らない相手に対して、「これはあなたの感性の問題です!」と語気を荒げた人がいました。まさにどう感じ取るかの違いですから結論に至らず、座が重苦しい雰囲気に包まれたことを思い出します。

 以上のような事情に鑑みると、「国語は、70~80点取れればよいとすべき科目だ」と言えるでしょう。その代わり、「国語を苦手なままにすると、入試合格は覚束なくなる」とも言えるでしょう。入試まで時間があまり残されていない6年生のお子さんはともかく、それよりも下の学年のお子さんに関しては、文章を読むこと、本を読むことに慣れ親しむことを励行してほしいですね。苦手になったことを悔やんでも後悔先に立たず。しかし、「国語は嫌いだ」とか「本を読むのはイヤだ」という状況に至ってしまうと、国語の入試対策はお手上げになりかねません。まずは「苦手だけど、嫌いじゃない」というところで食い止め、そこから巻き返してほしいですね。

 さて、次は対策について少し思ったことを書いてみます。いろいろと考察してみると、どうやら文章の解釈が人によって異なるのは当然のことのようです。このことに鑑みるなら、テストで出題された心理解釈の問い(例:選択肢の問題)に誤答したお子さんに、「どうして間違ったの?」という問い詰めは改善につながりません。また、答えをただ教えるだけでは、まったく同じ問題が出ない限り何の手助けにもなりません。

  それよりも、お子さんの国語力(読解力)を高めるうえで効果があるのは、文中の表現をもとに考えるプロセスを経験させ、その面白さに気づかせることではないでしょうか。たとえばア~エの選択肢問題の場合、どのように考えて正解のアではなく、イを選んだのかをお子さんに説明させ、「なるほど、あなたはそういうふうに受け取ったんだね」と返してやりながら、そのやりとりを通して、登場人物の言動やしぐさ、情景の描写などをもとに心情を推察する練習を手伝ってあげるのもよいかもしれません。

 推理小説のみならず、読書の楽しさは次の展開を予測し推理するところにあります。答えはイではなく、アになることの理由を文章中の表現を頼りに推測していく体験を、遊び感覚でも構いませんから、保護者のサポートでやっているうちに、「答えを導く出すためのヒントは、文章中の表現のなかにあるのだ」ということに段々とお子さんは気づくことでしょう。

 それをきっかけにして、「もっと別の文章(物語)を読んでみたい!」と、いろいろな本に手を伸ばすようになるかもしれませんね。こうして、描写と人物の心情の関係をつなぎ合わせながら読む姿勢が生まれれば、男子に多い「人物の気持ちを考えるのは苦手」という意識は随分と薄まるのではないでしょうか。正解と自分の選んだ答えとが違っていても、「そういうこともある。それが国語の面白さだ」と受け入れられるようになることでしょう。

 このような勉強の繰り返しを通じて、しだいに読み取りの能力を高めていき、最終的に6~7割ぐらいの正解を平均して得られるようになれば十分でしょう。80点以上をしばしばとれるようなら素晴らしいです。国語が苦手なお子さんは、とりあえず他の受験生と差をつけられなければよいのだというくらいに考え、まずは読み取りのコツをつかむこと、そしていろいろな文章に接することを好きになることをめざせばよいのです。そうすれば、得意な科目で勝負できる態勢が整っていきます。

※上記引用文は、「数学者の言葉では」藤原正彦/著  新潮文庫 によります。

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受験突破は、テスト上手になることから!

2021 年 4 月 12 日

 2021年度の講座が開講して約1カ月半が経過しました。2週間に1度の割合で実施されるマナビーテストも、先週の土曜日で3回目が終わっています。お子さんは、このテストに対してどんな反応を示しておられるでしょうか。テストの結果を楽しみにし、しっかりと備えをしておられるようならいいですね。

 開講から当分の間は、受験勉強の慣らし運転の時期であり、保護者には「当分は、授業の受けかた、家庭勉強のしかたなど、受験態勢を整えるうえで基本となる事柄の習得を優先してください」とお伝えしています。授業においても、そういった趣旨に基づく内容の指導をしており、比較的ゆったりとした雰囲気のもと、子どもたちが受験生活に少しずつ馴染んでくださることを念じながら見守っています。

 前回のブログ記事においても、テスト成績よりも「努力しているかどうか」を重要視していただくようお願いしています。テスト成績は、勉強の態勢が整ったなら自然と上向きになるものです。今は「いかに取り組むか」を優先し、当面の成績は参考程度にしていただきたいですね。

 とは言え、テストがあれば誰しも結果が気になるものです。どうかすると、成績を見ては親も子どもも一喜一憂しがちです。テストの結果がよくないと「自分は能力がない」とやる気を失うお子さんがおられるかもしれません。そこでまずは、「テストとは何か」ということについてお伝えしておこうと思います。

 まずもって心に留めていただきたいのは、テスト成績は能力を判定するものではないということです。テストは、当該単元の学習事項の理解度や技能の習得状況を判定するものであり、お子さんの学びの現実を振り返ったり、励みを見出したり、今ある問題点を明らかにしたり、当面クリアすべき目標を定めたりするためにあるのです。つまり、テストは学びの現状をつまびらかにし、対策を施して学びのレベルを上げていくためにあるのです。

 また、テストがあると誰だって○(丸)が欲しくなります。いくら落ち着きのない子どもでも、おしゃべりばかりしている子どもでも、真剣な眼差しで集中して取り組みます。テストの最中、子どもは必死に記憶の引き出しから問いに対応する知識を取り出そうとしたり、課題突破の糸口を探り当てようと思考を繰り返したりしています。つまり、普段では期待できないほど集中し、考えることにエネルギーを注いでいるのです。このこと自体がテストの重要な効能なのです。テストを受けることで、学んで得た知識が脳に深く刻み付けられるのですから。これは普段の勉強では得られない成果です。つまり、テストは記憶強化装置の役割を果たしているのですね。

 以上のようなテスト体験を2週間ごとに循環させる。それによって、受験で求められる学力へと少しずつ近づいていくわけです。その前提となるのは、正しい取り組みの方法を身につけることと、やるべきことを計画的にやり抜く姿勢を身につけることです。開講後しばらくは取り組みかたを学び、受験勉強を軌道に乗せることを優先した指導をするのはそのためです。お子さんが自分のやるべきことを精いっぱいやり「次こそは!」という意気込みで毎回のテストに臨む。このような受験生活を、少しずつ実現していただきたいですね。

 今の段階で、保護者から見てお子さんがやるべきことを理解し、積極的に勉強に取り組んでテストを受けておられるようでしたら問題ありません。前回のブログでお伝えしたような事柄を踏まえ、「努力」の度合いをみながらほめたり励ましたりをくり返していただきたいですね。きっとお子さんは、上述のようなテスト制度のもたらす効能を享受し、学力を大いに伸ばしていけることでしょう。

 問題は、やるべきことがわかっていない、やれていないお子さんです。お子さんがそういうケースに当てはまっているように思われたなら、一刻も早く手を打つ必要があります。お子さんは、塾での授業のことを家庭で保護者に笑顔で報告しておられますか。家庭では、やるべきことを理解し、計画に沿って取り組んでおられますか? こうしたことに何も問題がないのに、テストがさっぱりできないということは普通考えられません。勉強のどこかに問題があるはずです。それを今のうちに掌握し、対策を施しておく必要があります。何しろ、新年度の講座はまだ始まったばかりなのですから。

 そこで、テスト成績が親から見て腑に落ちないほど芳しくないと感じておられる保護者のかたには、次のような観点から現状を調べてみることをお勧めします(主に算数を念頭に置いて書いています)。

 ノートに何が書かれているでしょうか。「授業」の板書や、授業で取り組んだことの記録が残されているかどうかを確かめてください。授業においては、指導担当者がその回の授業の大切な考えかたについて板書にしてまとめています。それがノートに残されていなければ、ちゃんと授業を受けておられない、授業を聞いておられない可能性があります。

 テキストの問題が、やりっぱなし、もしくはやっていない状態になっていませんか? 4年部では保護者に〇つけをお願いしています。どの程度取り組み、どれぐらいできているでしょうか。間違った問題の直しはしておられるでしょうか。それをしないと成果は得られません。

 

 お子さんに、折をみて授業でテキストのどこをやり、家庭では何に取り組んでいるのかを尋ねてみてください。上手にすらすら言えるお子さんは僅かです。だいたいのことが言えればまずまずでしょう(叱らないようお願いします)。

 塾でやることと、家庭でやることの連動性がまるでわかっていないようであれば、授業も家庭学習も生きたものになりません。授業で基本となる理屈を学び、いくつか基本問題に取り組みます。家では練習問題の残りをやりながらおさらいをしたり、応用的な問題に取り組んだりします。今の状態に合わせ、無理にテキストの最後の問題までやる必要はありません。

 

 テキストの2週目後半は「がんばりチェック」というまとめの学習になっています。これに丁寧に取り組んだり、副教材を割りあて週に沿ってやったりしていれば、テスト対策はある程度的を射たものになります。

 面倒ですが、開講後に実施されたマナビーテストの答案用紙も併せてチェックし、やるべきことをやってテストに臨めていたかどうかを調べてみてください。空欄がたくさんあったり、副教材からの問いに答えられていなかったりしているようですと、改善の余地があります。答案から、現在の学びの問題点がいっぱい見つかるものです。

 やるべきことをやっていないかったのか、苦手な単元だったのか、つまらないミスを繰り返しているのかなど、返却された答案をみればわかりますし、いろいろと打つべき対策も見えてくるものです。

 

 なお、勉強について親子で話をするとき、親はどうしてもイライラしたり、怒りっぽくなったりしがちです。しかしながら、それでは勉強の改善に向けた建設的な話し合いはできません。また、親が一方的に注意したり指示や命令を出したりすると、お子さんの反省は望めなくなります。お子さんが、一歩ずつ現状を改めて行けばいいのです。好循環の流れが見られるようになるまで、辛抱強く付き合ってあげてください。

 やるべきことがわかり、ある程度テストへの備えができたという実感が得られると、お子さんはテストに対して能動的な気持ちになり、「今度はいい結果が得られるかも」と、意気込みをもって臨むようになっていきます。わが子が塾に楽しく通い、家庭でも計画的に勉強に勤しむ受験生活を、まずは実現していきましょう。問題点は早期発見、早期対処が基本です。

 今やっている勉強は、「授業と家庭学習の反復」を基本としています。このやりかたは、中学高校生になってからも大切にすべきものであり、今しっかりと身につけておけば‟一生もの”として学びの人生を支えてくれるでしょう。だからこそ、今の学びを大切にしていただきたいのです。

 もしも、お子さんの勉強の現状がよくわからず、塾での授業や家庭勉強についてどう判断してよいかわからない保護者がおられましたら、通学校の責任者(校舎長)もしくは教科の指導担当者にご連絡ください。必要な場合は、校舎にて面談をしたり、アドバイスをしたりするなどの対応をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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やるべきことを、やらずにはいられない子どもにするには?

2021 年 4 月 5 日

 前回は、「学びの自立」こそ中学受験を志す子どもたちに求められるいちばんの課題であるということをお伝えしました。今回はその続きを書いてみようと思います。

 受験生とは言ってもまだ小学生ですから、はじめから自分ですべてを賄いながら受験生活を送れる子どもは皆無です。本人任せにすると、たいがいはやるべきことがおざなりになってしまうのが現実です。たとえば、忙しくてしばらく目を離していたら、わが子がいい加減な勉強をくり返していることに気づき、慌てた経験のある保護者はおられませんか? 放っておくと、大概はそうなってしまうのが小学生です。そこで、継続的に子どもの勉強を見守り、声をかけたり、取り組みの手助けをしたりすることも必要になってきます。

 ただし、こうした大人のサポートは、ともすれば過剰な介入になったり、大人に依存する勉強を染みつかせたりする危険性をはらんでいます。しかしながら、子どもの自律的な学びの姿勢をスポイルする受験対策で受かったとしても、子どもは中学時進学後に壁に突き当たってしまうことについては前回お伝えしたとおりです。

 そこで保護者にみなさまにお考えいただきたいのは、「わが子が自ら学ぼうという積極性の伴った受験勉強を実現するにはどうしたらよいか」ということです。もう少し具体的に言えば、「まだ目標の達成を目指して学ぶには幼い段階にある小学生に、いかにして自ら進んで勉強する姿勢を植えつけるか」ということになるでしょう。

 ここでまず心に留めていただきたいのは、児童期の子どもは基本的に親の庇護のもとで生活しており、親の価値観に従って行動しているということです。自分の考えにこだわりをもち、親に反発しているかのように見える子どもでも、心の奥底では親に依存し、親に愛されたい、親にほめられたい、親の言うような人間になりたいという気持ちを強くもっているものです。この現実を踏まえたうえで、子どもの受験勉強に適切な関わりかたをすることが求められるのではないでしょうか。

 たとえば、子どもの自立勉強を実現する原動力は何かを踏まえた親の関わりといった観点から考えられる重要ポイントを三つほどあげてみましょう。では早速一つめから。

 まずはごく基本的なことになりますが、「生活上、自分のことは自分でする」ということができていないと、勉強の自立もあり得ないということがあげられます。

 お子さんの現状を振り返ってみてください。身の回りのことについてどれだけ自立しておられるでしょうか。たとえば、親に起こしてもらわないと起床できないといったようなことはありませんか? これでは自立勉強の姿勢を培うのは難しいのではないでしょうか。

 自立は生活の全ての側面と根底でつながっています。何でも自分でできることを自分でするのは当たり前であるという意識を子どもにもたせ、実行することを奨励してあげてください。中学受験は小学生にとって特別なことではありますが、さりとて特別扱いが必要だということではないはずです。それが甘えを助長することにつながりかねません。

 むしろ、手伝いをするのは家族の一員として当然のことであり、習い事やスポーツとの両立は一人前の人間になるうえで必須のことなのだという意識をもたせ、甘えを許さない姿勢で親は臨むべきではないでしょうか。そして、子どもがそれをちゃんとやり遂げようとする姿勢を喜びほめるのです。そうすることで、子どもは親が何を自分に望んでいるのか、どういう価値観をもっているのかを理解し、親の意向に沿おうとするでしょうし、また自分から率先して物事に取り組むことに対して誇りをもつようになるのだと思います。

 つぎは、自分がすべきことをやり遂げようとする姿勢を育むための働きかけをとりあげてみました。

 おたくでは、学習計画に基づいて勉強に取り組む生活ができあがっていますか? とは言え、多くのご家庭の悩みは「時間になっても勉強を始めない」ということだと思います。なぜなら、勉強は楽ではないし、他の楽しみと比べる魅力的とは言い難いからです。ですから、やらない子どもに「早く勉強しなさい!」という命令は逆効果であり、そこは親もひと工夫が求められるところです。

 まずはお子さんに計画的な取り組みの重要性を丁寧に説明してあげてください。たとえば、計画性が身につくと勉強を始めるときの重たい決意が不要になります。何から手をつけたらよいかで迷うこともなくなります。計画に沿った勉強をある程度続けていると、やがてやるのが当たり前になり、勉強にリズムが生まれてきます。そうなると、勉強の面白味もわかってきます。当然成果や手応えも得られるようになり、ついには「やらずにはいられない」という高いレベルに到達するのです。「誰でもそうなれるんだ」と励ましてやりましょう。

 ポイントは、お子さんに「自ら取り組む」ことの気持ちよさを味わわせることです。いつまでもテレビを観ていたら、「あれ? 勉強の時間が来たみたいだね」と、叱らずにお子さんを促すのです。誰だって、よいことは「自分からしている」と思いたいもの。そういう子どものプライドに配慮する声かけが有効なんですね。そして、やり終えたのをさりげなく見届け、「よくやっているね」「感心だね」などとほめてやるのです。親に言われてするのとは格段に違う心地よさが勉強の実行力を後押ししてくれることでしょう。ここまで配慮するのは大変ですが、うまくいけば子どもの自立に向けて大変な収穫を得ることになります。

 三つめは、学習に取り組む姿勢のみならず、生きるうえでの姿勢を育む意味においても、非常に重要な親の働きかけであろうと思います。

 テストの成績を親からほめられるのは、どの子どもにとってもうれしいものです。ただし、親の評価が「成績が悪いと叱られる」ということとセットになっている場合、子どもの健全な成長を促す方法とは言えないかもしれません。というのは、「親は成績さえよければ嬉しいんだ」などのように、間違った観念を植えつけることにもなりかねません。ズルをしてもよい成績をとろうとするようになるかもしれません。

 いっぽう、成績も気になるところではありますが、子どもへの評価の基準を、「どれだけ努力していたか」に置くことをお勧めしたいと思います。これなら子どもは親にほめられる喜びをはるかに多く味わえるのではないでしょうか。成績はある程度上がると、そうは上がらなくなるものです。するとほめるチャンスはぐっと減ります。しかし、努力を見てほめるのなら、いくらでもほめてやることができるでしょう。成績でほめるよりも、結局はこのほうが子どもを伸ばすことになり、さらには陰ひなたのない健全な人間に成長させることにもなるでしょう。成績を見てほめられるよりも子どもは努力をほめられることを喜びますし、親のそういう姿勢は子どもの信頼や尊敬にもつながるに相違ありません。

 

 以上の三つは、親にとって負担や忍耐を強いるかもしれません。しかしながら、子どもの自立を促すだけでなく、高い次元の学問領域に到達するうえで欠かせない学びの姿勢を育んでくれることにもなります。また、子どもを健全な人間へと成長させることになりますし、親子間の強固な信頼関係を築いてくれることにもなるでしょう。

 中学受験は、当面の志望校合格を視野に入れてするものですが、言うまでもなく根底には子どもの将来の歩みに対する親の夢があります。その夢が実現するかどうかは、実は受験の結果で決まるのではなく、「受験をめざした生活を通して、人間としてどう成長したか」ではないでしょうか(さらに言えば、学びの自立をある程度実現した子どもは、大概行きたい学校の一つには受かるものです)。無論、学力形成面でのお手伝いは学習塾が精一杯応援させていただきます。保護者におかれては、お子さんの自立に向けた支援というスタンスで一貫した見守りとサポートをお願いいたします。

 

 ともに協力して、お子さんが学力面でも人間的な面においても大きく成長する受験生活を実現したいものです。ご理解ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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受験生活で養うべきはテスト学力だけではない

2021 年 3 月 29 日

 今回は、弊社会員の保護者におもちいただきたい視点についてお伝えしたいと思います。前々回、前回に引き続き、講座の開始時期だからこそのご連絡であり、お願いです。最後までお読みいただき、日々の受験生活に生かしていただければ幸いです。

 弊社は中学受験専門の進学塾ですから、お預かりした子どもたちの中学校進学の夢が叶うようお手伝いするのが使命であるのは言うまでもありません。しかしながら、弊社は50年余り前の設立当初から、「子どもの学びの自立」を指導の根本方針として定め、今日までそれを曲げることなく貫いてまいりました。合格力や合格者数が進学塾の生命線であるのは昔も今も変わりませんが、そんななか、弊社はかなりユニークなスタンスの学習塾と言えるかもしれません。

 ただし、この方針の実践にあたっては「言うは易く行うは難し」を地で行くような困難が避けられません。なぜなら、成長途上にある子どもが学びの自立を果たすには、大人の粘り強いサポートが必要であり、学習塾にも相応のノウハウが求められます。だいいち、子育て経験者なら誰でも痛感しておられるでしょうが、小学生の子どもに「一を聞いて十を知る」といったような期待は到底できません。それどころか、「言ったことを少しも実行してくれない、できない」ことのほうがはるかに多いのが現実です。

 また、合格を巡る競争が激しければ激しいほど、受験対策は「いかに試験で高得点を取るか」ということにシフトしがちです。そうなると、子どもの理解の度合いをみながらじっくりと指導する余裕などなくなります。実際のところ、今よりも児童数がはるかに多く、中学受験熱が高かったころには、猛烈な詰め込み・訓練型の受験対策が当たり前のように見られたものでした。

 では、上述のような困難がありながら、弊社はなぜ「子どもの学びの自立」を方針として維持してきたのでしょうか。その理由は、「子どもの中学進学後」にあります。中高一貫の進学校、それも学問レベルの高い学校ほど、自ら学ぶ積極的姿勢が求められます。授業前の下調べや授業後のおさらいをするとしないとでは大きな差がついてしまいます。また、たくさんの宿題を要領よくさばいて提出する段取り力や実行力が必要です(ついて行けなくなるのは宿題を溜める生徒です)。優秀な集団内での自分の位置や状況を客観的に判断し、より望ましい方向へと自己修正していく力も求められるでしょう。これらを一括りにして表現すると、まさに「学びの自立」ということになります。

 中高一貫の進学校で行き詰っている生徒の多くは、テスト対応力に偏る受験対策をして、学びの自立を怠った子どもたちなのです。あるいは努力よりも才能で受かったタイプの子どもたちです。これらの子どもは、自分を律するすべを身につけていないという共通点があります。保護者のなかには、「受かれば後は子どもが何とかするだろう」、「学校がうまく引っ張って行ってくれるだろう」と期待するかたがおられるかもしれませんが、中学校生活は児童期よりもはるかに多様な楽しみが増え、勉強を自立型へと修正する余裕はありません。また、人としての特徴は児童期までにできあがりますから、後で変えるのは至難の業です。

「受かっても、あとで伸び悩んだのでは意味がない」――このように考えた弊社の経営者は、いかに受験競争が激しくても、学びの主体である子どもの自立につながる学習指導を実践しました。つまり、弊社は「受験後」と「将来」を中心に見据えた受験指導こそ、前途ある小学生をお預かりする中学受験塾に求められるものなのだと考えたのです。無論、合格実績が下がるとお子さんを預けてはいただけません。掲げた看板と入試結果とのバランスをいかに整えるか。これは、家庭学習研究社が自らに課した挑戦課題だったと言えるでしょう(今もそれが困難なことは変わりません)。

 近年は少子化が恒常化し、合格を巡る競争も沈静化しています。また、特色のある公立一貫校が次々に開校されています。さらには、既存の私立男子校や女子校の共学化、新規参入の私立一貫校の存在もあり、「中学受験は大変」といった印象もだいぶ薄れています。しかし、それゆえの新たな問題も生じています。ちゃんとした学びの姿勢を築かずとも、ある程度希望する学校に受かる(進学の希望が叶うのは喜ばしいことではありますが)ようになったことです。

 その何が問題かというと、やるべき勉強を自分でやりこなせない生徒が、厳しい勉強を自らに課すべき学習環境に多数存在するようになったということです。これではせっかくのハイレベルな教育環境を生かすことはできませんし、中学高校の6年間で学びを飛躍させることなどできないでしょう。かつての一貫校は、生徒を一人前の人間とみなし、「よい授業をすれば、あとは生徒同士が切磋琢磨して成長していく」ということを前提に自校の教育(いかなる人間を育むか)を実践していましたが、近年は、入学早々からやる気も実行力も足りない生徒のフォローに追われているという話も耳にします。高いレベルの専門教育を受け入れ、自らが望む世界で活躍できる人間へと成長する。それが中高一貫の進学校に通う生徒の望みのはずですが、このようなことでは入学に段階から躓いているようなものです。

 以上から言えるのは、今後ますます「学びの自立」は必要不可欠のものであり、「どの中学校に受かったか」よりも「学びの自立をどれだけ果たして中学へ進学したか」のほうがはるかに将来の歩みを左右する重要要素になってくるということです。グローバル社会という言葉をしばしば耳にしますが、外国の人々との交流において、自己発信力は欠かせないものであり、単に語学力を身につけるだけではグローバルとは言えません。そういった意味においても、中学受験を志す子どもたちには、「学びの自立」につながる受験生活を送り、自分という主体がしっかりと軸にある人間へと成長しながら学力を伸ばしていくよう努めていただきたいですね。

 そこで、子どもの学びの自立に向けたサポートとして、保護者は何をしたらよいかという話になります。実際のところ、ここからが本題なのですが、すでに文字数をかなり使ってしまいました。とりあえず、今回はここでいったん終えようと思います。楽しい話題ではないので、次を読んでいただけるかどうか心配ですが、どうぞよろしくお願いいたします。できましたら、「わが子の学びの自立に向けて、親として何をしてやったらよいか」ということを考えてみていただけたら嬉しいです。

 一つだけ、お考えいただくための糸口をお伝えしておこうと思います。受験勉強は負担の伴うものですから、何の苦痛もなく快適にやれる子どもはいません。ですが、傍から見るとさも楽しそうに取り組んでいるかのように見えるお子さんも結構おられます。どういうことでしょうか。それは、「決めたことをやらずにはいられない」という意識レベルで学んでいるからです。では、どうしたらそんな子どもになれるのでしょう。それを考えてみてはいかがでしょうか。無論、前回、前々回にお伝えしたこととも深く関連しています。よろしければ、もう一度読み直してみてください。

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‟受験生のいる家庭”らしい環境づくりを!

2021 年 3 月 22 日

 今回は、新年度の講座が開始して間もないということで、学びの態勢づくり、家庭の環境づくりを話題に取り上げてみました。みなさんのご家庭では、受験生のお子さんの学習がはかどるよう何らかの配慮や工夫をされているでしょうか。

 受験生はまだ小学生の子どもです。高校生ぐらいになると、生活サイクルや家庭の状況に合わせて自分で成果のあがる勉強のスタイルを築くこともできるでしょう。しかし、小学生は親への依存の度合いが強く、周囲の大人が勉強に専念できるような家庭環境を築くべく積極的に協力することも必要でしょう。

 特に今年は新型コロナウィルスの感染問題がいまだに収束しておらず、家庭でオンライン授業を受けておられるお子さんも少なくありません。つまり、いつもの年よりも家での学習の比重が高くなっており、家庭環境が勉強にふさわしいものになっているかどうかが成果に少なからぬ影響を及ぼします。今の環境が受験生のいる家庭にふさわしいものになっているかどうかを、今回の記事をきっかけに今一度振り返ってみていただければと思います。

 たとえば、弊社では個室でお子さんが一人で勉強するような環境よりも、リビングや食卓など親から見える場所での勉強をお勧めしています。なぜかと言うと、小学生はまだ受験するということの意味を理解しているとは言い難く、目先の遊びや誘惑に負けてしまいがちです。勉強を始めたものの、いつの間にか別のことをしていることも珍しくありません。また、年齢的にも自立へ向かう途中にあり、親が見守ってくれたり、必要に応じた声かけをしてくれたりするほうがやる気も高まります。お子さんが一人部屋にこもっての勉強は集中の維持が難しく、親のサポートがほどほどにある状況のほうが気持ちにハリができて学習の効率も高まるように思います。

 では、受験生のいる家庭としての現状を振り返ってみるためのチェック項目をいくつか挙げてみましょう。いずれについても、保護者のアドバイスやフォローで随分違ってきます。

1.どこで勉強している?
上述のように、できれば親の見える場所での勉強をお勧めしています。個室で一人勉強、もしくはきょうだい一緒の部屋での勉強という家庭もあるでしょう。その場合、集中して勉強できているかどうかを保護者がしっかりと見極める必要があります。ちゃんとやっていると思っていたのにやっていなかった。開講後、何カ月も経ってから保護者がそのことに気づくといったような事態は避けたいものです。

2.いつ勉強している?
塾のない日の家庭勉強の時間は、できるだけ同じ時間帯に揃えることをお勧めします。そのほうが勉強にリズムが生まれるし、計画の実行力も高まり、勉強の成果が高まるからです。ただし、週末などは早朝に勉強するのもよいでしょう。これも能率を高める効果があります。

3.バランスのとれた学習計画になっている?
学習計画は、お子さんの生活スタイルやパターン、学力状況に見合った適切なものにする必要があります。無理をしても成果につながりませんし、実行可能で長続きする計画ができるまで、繰り返し微調整していくとよいでしょう。よい学習計画は、よい学習習慣の構築につながり、一生の宝にもなります。お子さんの現状をチェックしながら、親子で話し合って調整しましょう。

4.家庭での勉強(特に復習)の段取りはわかっている?
授業後の復習は学力を定着させるうえで欠かせないものです。ただし、「復習とは何をどうすることか」がわかっていないと、時間を有効に使った学習になりません。たとえば算数ですと、授業で扱われた課題や先生板書を見直し、再度点検したうえで未解決の問題に取り組み、「解答と解説」を参照しながら当該単元の学習内容を理解していく学習が復習に相当します。4年生の場合、お子さんが問題に取り組んだあと、保護者に〇つけをしていただくようお願いしています(お子さんが理解できていない場合、解説を参考にして助言していただければ幸いです)。復習を「宿題」と受動的に受けとめるご家庭もあるようですが、お子さんの自発的学習として積極的な気持ちで取り組むと、より効果を高めることができるでしょう。

5.勉強に集中できる雰囲気はできている?
勉強の時間には、家庭内が静かで落ち着いた雰囲気になっているとはかどりが違ってきます。リビングや食卓での勉強の場合、家族もお子さんの勉強時間い合わせ、読書などに取り組む時間にしていただくと、「みんなでがんばる時間だ」という気持ちになれますので、より効果の伴った勉強になると思います。

6.親はカリキュラムの流れを把握している?
わが子が今何を勉強しているのかを、保護者が知っておくことも必要です(4年生の場合、保護者に〇つけをお願いしているので掌握されていると思います)。教えるためではありません。学習内容を保護者が知っていれば、家庭での会話の際にも適切な励ましができますし、お子さんの現状や気持ちを汲み取った会話が成立することでしょう。そうしたことも、長い目で見たらお子さんに励みを与え、受験生活の充実につながるのではないでしょうか。

7.テストに備えた勉強はちゃんとできている?
マナビーテストで常によい成績をあげているお子さんは、2週間の学習サイクルを手の内に入れ、うまくテスト対策の勉強ができているものです。副教材からも出題されているのを踏まえ、計画的に勉強しているのは言うまでもありません。2週目の後半は「がんばりチェック」という復習内容の勉強になっており、これで単元の仕上げをし、さらにテストの前日に不安なところをおさらいしていれば、かなり安定した成績をあげることができます。つまり、理に適った勉強を継続しさえすれば、どのお子さんも優秀者になれるのです。そういった観点から、お子さんの家庭勉強の状況や流れをチェックしてみてください。

8.わが子の奮起を促す接しかたを知っている?
小学校4~6年生の子どもの学習意欲増進の要は保護者の存在です。なぜなら、この年齢期の子どもは、「親の期待するような人間になりたい」と強く願っているからです。今の段階で親がわが子に発信すべきは、「努力を怠らない人間であれ」という期待ではないでしょうか。そして、努力する姿勢を育てるべくほめ続けるのです。成績を見てほめるのと違い、努力を見てほめるのなら、ほめるチャンスは格段に増えることでしょう。それが子どもの奮起につながります。それを一貫して続けることで、お子さんは受験を乗り切るためのエネルギーを得られますし、何よりも親を尊敬し健全な学力観を携えた人間に成長していくことができます。

 わが子にやる気が見られなかったり、成績が低迷し続けたりすると、親はイライラしたり叱ったりしたくなるものです。ですが、児童期の子どもの学びは保護者の接しかたや対応次第で随分変わります。お子さんを上手に励まし、前向きな取り組みの姿勢を促す親であってください。子どもは、親の愛情を受け止め、何を期待されているのかについて納得すると、それこそ必死になってがんばるようになります。何事も親しだいの年齢期にあるのですね。

 取り組みの方法や学習課題についての望ましい考えかたを指導するのは学習塾に託されている重要な仕事です。私たち指導担当者も、お子さんがこの1年間の取り組みで学力面においても人間としても大いに成長されるよう精一杯努めさせていただきます。

 中学受験は一生で一回きり。お子さんが充実した受験生活を実現できるよう、ともに連携して応援してまいりましょう!

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