受験生活の安定軌道に向けて、親に求められる視点

2019 年 3 月 18 日

 2019年度の前期講座(3~7月)が開講して2週間あまりが経過しました。先週末には第1回のマナビーテストが実施されましたが、お子さんは「がんばった!」という充実感や手応えを得ておられるでしょうか。

 新6年部生はともかく、新4・5年部生はまだ受験生としての自覚などほとんどないのが現実でしょう。それに、まだ開講したばかりですから、自分の勉強がこれでよいのかどうかについて考えるゆとりもなくこの2週間を過ごされたのではないかと思います。ですから、テストの点数や成績に振り回されるのではなく、「わが子はやるべきことをわかっているか」「わが子はやるべきことをやれているか」という観点からお子さんを見守り、サポートしてあげてください。

 このことに関連し、今のうちに保護者の方々にご配慮いただきたいことがあります。開講当初に作成をお願いした「学習計画表」は、まとまりのあるものになったでしょうか。また、授業を終えた後、お子さんは何をしたらよいかを理解し、取り組んでおられるでしょうか。2週間の学習のまとめとして実施されるマナビーテストでは、テキストの当該単元の内容や、副教材の内容から概ね出題されます。そのことをお子さんは理解し、テスト準備に向けてがんばっておられるでしょうか。

 開講後の1カ月余りの期間を、弊社では「受験生活のウォームアップ期」と位置づけ、受験勉強を成り立たせるうえで基本となる事柄を定着させるよう指導しています。この期間を起点として前期(3月~7月)終了までに受験生活や受験勉強を一応の軌道に乗せることが当面の目標だと思ってください。ここをうまく乗り越えれば、毎回のテスト結果を見てはため息をつくような事態には至りません。

 以上のことを踏まえ、今回は「1年間のスタート時だからこそ、親が配慮すべきことは何か」ということをテーマに書いてみようと思います。中学受験の主人公は子ども自身ではありますが、しつけや人間形成の途上にある小学生の受験ですから、保護者の関わりなくして実りある受験生活の実現はあり得ません。このことを是非心に留め、上手にお子さんをサポートしていただくようお願い申し上げます。

 さて、職場などわれわれ大人の世界において、「この人はできるな」「あの人は、能力が高い」と思わせる人にはある種共通の特徴があることに気づかされます。たとえば、「見通しをもって行動している」とか、「判断が正確で速い」「時間管理や行動の切り替えに長けている」「人と上手に協調しながら仕事ができる」「引き受けたことを、最後まで責任をもってやり遂げることができる」などです。こうしたファクターをいくつも備えている人が、“有能”とみなされる人だと言ってよいでしょう。

 こうした“有能”な人の特徴はいつごろどうやって形成されるのでしょうか。少なくとも言えるのは、人間としての主要な枠組みは児童期までに形成されるということであり、そこには親のしつけや家庭環境が少なからず影響を及ぼしているということです。中学受験をめざして勉強する子どもの様子を見ていると、すでに先々の人生の歩みを予感させるような特徴がいくつも見出せます。たとえば、「計画に基づいて勉強している」とか、「今日、何をすべきかがわかっている」「勉強する時間になったら、遊びごとを切り上げてすぐに勉強に移れる」、「分からないところを、先生や友達に相談したり質問したりして、上手に解決している」「今日は、『どうしてもここまではやり切る』という、こだわりや実行力がある」等々……。受験生活で成果をあげるために努力を積み重ねていくプロセスは、やがて大人になってから求められる様々な能力の基盤形成としても、大いに役立つことでしょう。

 中学受験を経験した人の長所の一つは、行動が洗練されているというということです。これは、2年、3年にわたって生活の中にかなりハードな受験勉強を組み入れ、継続的に取り組んできたことの賜物に他なりません。また、そういった受験生活をうまく築けたからこそ志望校への合格が果たせますし、上手に受験生活を乗り切ったことへのご褒美として、行動の洗練性などが身につくのですね。

 一つ、気をつけていただきたいことがあります。受験勉強で不可欠なもののひとつに、「テストを繰り返しながらデータをとり、それを参考にして勉強法を整えていく」ということがあります。テスト成績は、受験生の子どもたち一人ひとりの勉強の様子をデータ化したものであり、そのデータを見てどこに問題があるのかを認識し、修正していくことの繰り返しが受験生活なのです。ですから、テストデータは、自分の学習状態を映し出す鏡のようなものなのです。しかしながら、そのことを忘れてしまい、受験生本人も、その保護者も「能力を突きつけられた」と受け止めてしまうケースも少なくありません。そうなると、成績に振り回されながら点数に悩み、点数に追い回される辛い受検生活に陥りかねません。テストの成績データは、どんな勉強の結果もたらされたものかの振り返りと反省に生かしてこそ意味をもつものなんですね。おとうさんおかあさんにおかれては、お子さんが残念な成績をとって帰ったときには、「どんな勉強の結果か」「問題はどこにあったのか」を冷静に振り返り、お子さんが「次は絶対に取り返すぞ!」という意気込みで勉強に励むよう促してあげてください。

 今の段階で保護者にお願いしたいフォローは、次のようなことがらです。

 無論、上記のことがらは学習塾の指導の一環として私たちにも大きな責任があります。ですが、「自立勉強」をめざす弊社の受験勉強においては、家庭での学習の取り組みが成果に大きな影響を及ぼします。ご家庭でお子さんと共に生活しておられる保護者の協力なしには実現できません。この点をご理解いただき、お子さんの勉強の自立に向けた応援をよろしくお願い申し上げます。

 「どうしてこんな成績になるのか」と、首をかしげるような成績をとるお子さんがいますが、これは能力のせいではありません。何を学ぶべきかを理解し、手際よく実行していく流れを築き損ねたからです。やるべきことをやるのが当たり前になる。ひいては、やるべきことをやらずにはいられない、やるべきことをやらない自分が許せない、といった段階に漕ぎつけたなら、学力は当たり前のように伸びていくものです。そればかりか、この先の人生において求められる「自立した学び」の姿勢が築かれるのですから、お子さんの前途は洋々たるものになることでしょう。

 ほとんどの子どもたちの学びの現状は、まだまだ理想とは程遠い状態にあるのが普通ですが、大人がうまくフォローし導いていけば、1年2年のうちにすばらしい変化が生じるものです。保護者の方々にはご理解とご協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

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2019年度中学入試 弊社会員合格・進学状況

2019 年 3 月 6 日

 中学入試を終えて一息ついたのも束の間、3月2日には早くも2019年度の前期講座がスタートしました。次年度に入試本番を迎えるのは、新6年部生のみなさんです。私たち指導担当者も、受験生のみなさんの夢が叶うよう、この1年学習指導に精一杯当たらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ところで、今年度の中学入試における弊社会員受験生の入試結果と、進路選択の様子がおおよそ掌握できましたので、今回はそれをお伝えしようと思います。

 弊社は、50余年に及ぶ中学受験塾としての歴史がありますが、一貫して広島の主要私立一貫校への進学をターゲットにして活動してまいりました。しかしながら、近年は広島県内に公立一貫校が次々と開校し、しかも着実に実績を積み重ねて受験生の人気を高めています。今年は、これらの公立一貫校に加え、県立叡智学園中学校、県立三次中学校も開校され、公立一貫校の受け皿がさらに充実しています。こうしたなか、弊社会員にも公立一貫校志向をもったご家庭が増えており、公立型の入試選抜(適性検査)に対応する指導にも力を入れています。

 とは言え、新設の叡智学園中学校は前例のない全寮制一貫校であり、まだこの学校に対する会員家庭の関心の度合いがわからず、正直申し上げて会員のうち何名が受検したのかも掌握しておりませんでした。しかしながら、蓋を開けてみると8名の会員が二次選抜を通過し、入学資格を得ておられました。しかも、全員が入学予定であるという報告をいただいています。この叡智学園も含め、今年の中学入試では公立一貫校への受検が以前よりも活発であったことが印象に残ります。

 では、今年の弊社の会員合格実績と、進路選択の様子をご紹介してみましょう。 

 前述したように、弊社会員の進学先は、昔も今も広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院など、歴史と伝統を有する私立一貫校が中心となっています。今年も基本的にそれは変わりません。ですが、国立や公立の学校との重複合格者が、若干そちらのほうに流れる傾向がありました。

 男子私学最難関の広島学院合格者は58名でしたが、そのうちの44名が同校へ進学するもようです。同校合格者のうち、他校への進学を選択したのは14名と、例年より歩留まりが低くなっていますが、これは広島大学附属との重複合格者23名のうち10名が附属に流れた結果であろうと思います。ただし、理由を調べてみるともともと附属第一志望だった受験生が多かったためであり、あくまで今年に限っての傾向だと思われます。附属以外では、2名が修道への進学を選択していました。

 女子私学最難関のノートルダム清心合格者は82名でした。そのうち56名が同校へ進学するもようです。同校合格者で他校への進学者の主なものは、8名が広島大学附属、7名が広島女学院、4名が県立広島、4名が市立広島中等教育でした。女子の場合、広島大学附属が広島最難関校であり(外部からの受検での合格者はわずか65名。今年の弊社の女子合格者は全員が外部受験生でした)、清心と重複合格した場合に附属が選ばれるケースが毎年多いようです。さらに、今年の進路選択の様子をみると、県立広島や市立広島なども選択の比較対象となるライバルになってきているようです。また、今年に関しては広島女学院を選ぶお子さんが例年よりもたくさんおられました。

 公立一貫校で目についたのは、県立広島の合格者が地元の東広島校の受験生よりも、他地区の受検生が多かったことでしょうか。特にJRを利用して通学できる地区に住まいのある受験生が男女とも数多く受けるようになり、合格した場合でも進学先として選ぶ傾向が強くなっています。また、市立広島中等教育ですが、こちらも、安佐北区や安佐南区限定の色彩が強い傾向に変化が見られ、女子の優秀な受験生が相当数受け、合格した場合も進学先として選んでいます。広島市の西部地区からも何名か進学するようです。

 次に、併願数の状況を簡単にご報告します。男女とも、3校受験がいちばん多かったようです。以下は併願数の状況を割合で示したものです。

 男子の3校受験のパターンで一番多かったのは、「附属・学院・修道」で、これに「学院・修道・城北」、「修道・城北・なぎさ」、「学院・修道・なぎさ」と続きます。女子は、「附属・清心・女学院」のパターンが圧倒的に多かったようです。これに続くのが、「清心・女学院・安田」、「女学院・安田・なぎさ」でした。

 また、男女ともに3校受験の次に多かったのは4校受験でした。その代表的パターンは、男子の場合「附属・学院・修道・城北」で、その次が「附属・学院・修道・なぎさ」、「学院・修道・城北・なぎさ」と続きます。女子は「附属・清心・女学院・なぎさ」がいちばん多く、次が「清心・女学院・安田・なぎさ」、さらに「附属・清心・女学院・県立広島」、「附属・清心・女学院・市立広島」と続きます。

 合格状況と進路選択の様子を調べてみると、複数校の合格を得た場合に難易度の高いほうを選ぶケースが多いものの、そうではない選択をしておられるご家庭がかなりありました。中学高校の6年間を過ごす学校を選ぶのですから、お子さんに合った学校選びという観点に立つと、そういう傾向があるのは好ましいことだと思います。

 これから受験をされるご家庭におかれても、まずはしっかりとした学力をつけることが重要なことですが、お子さんに合った学校はどこかという観点からも、受験の方向性を検討されることをお勧めしたいですね。

 2019年度の講座がいよいよ開講しました。来年の受験生のみなさん、そして保護者のみなさま、この1年の受験生活の充実をめざしてがんばってまいりましょう!

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中学入試を終えて、そして次年度に向けて

2019 年 2 月 27 日

●中学入試を終えたご家庭へ(保護者のみなさま)

 中学受験を終えたご家庭におかれては、長い受験準備の日々がとうとう終わり、親子ともども今やっと一息ついておられるのではないでしょうか。本当にお疲れさまでした。ある保護者によると、お子さんは大好きな読書を大いに楽しんでおられるとか。このように、多くのお子さんは塾やテストのない毎日を過ごすことで、やっと受験生活が終わったことを実感されていることでしょう。

 進学塾にとって、毎年の入試合格実績は生命線ともいえるほど大切なものです。塾の合格実績がよければ、それが塾としての評判や信用につながります。しかしながら、受験生のご家庭にとっては、わが子の入試結果こそが最大の関心事です。なかには合格の夢が叶わなかったご家庭もあることと存じます。指導を担当させていただいた私たちは、何よりもそのことに思いを致さないわけにはまいりません。「来年こそは、ご家庭からお預かりしたお子さん全員の笑顔を見られますように!」と念じながら、指導担当者一同、次なる入試に向けた学習指導に精進してまいる所存です。引き続き、弊社に対しご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

 このブログにおいても再三書いてきたことですが、中学受験の主人公はわずか12歳の小学生です。まだ人生経験が12年ほどに過ぎない子どもたちにとって、入学試験という関門は得体のしれない世界から現れた巨大な壁のようなものだったかもしれません。入学試験の制度について一応の知識は得ていたものの、いざ本番が始まると言いようのない不安や興奮に襲われ、何が何だかわからないうちに試験が終わってしまったお子さんもおられることでしょう。

 お預かりしたお子さんの入試結果を一つひとつ点検していくと、考え得る最高の結果を得ているお子さんもおられるいっぽうで、指導担当者が絶句してしまうほど残念な結果に終わっているお子さんもおられます。あれだけたくさんのテスト練習をしてきたというのに、その練習での成績通りの決着に至らないのが12歳の入学試験です。難関とされる中学校ほどそうした傾向が強く、入試本番でもてる力を発揮できなかったために、あこがれの中学校への進学の夢が叶わなかった受験生が毎年おられます。子どもたちの実力やこれまで積み重ねてきた努力を知っている者としては、「もう一度チャンスがあったなら」とただただ残念に思うばかりです。

 しかしながら、入試の結果を覆すことはできなくても、子どもたちの明日からの歩みに支障が生じたわけではありません。入学試験の結果はある意味勝負の綾で決まる面もありますが、受験勉強で培った学力や知識、学びの姿勢は、入試結果がどうであろうと変わりなく子どもたちの明日の歩みを支えてくれるものです。志望校合格の夢が叶ったお子さんも、残念な思いを味わったお子さんも、入試の体験を肥やしにし、これまで通り努力を継続されることを念じてやみません。家庭学習研究社で学ばれたお子さんが、今後一層の成長を遂げられますことを心より念じています。

 

●新6年部生のご家庭へ(保護者のみなさま)

 いよいよ新年度の講座が始まります。新6年部生の中学入試は、あと11カ月足らずでやってきます。保護者のなかには、「入試本番まで、もう1年もないのか」と、身の引き締まる思いをされておられるかたもおありかもしれませんね。

 とは言え、子どもたちには、まだ「受験生なのだ」という自覚はそれほどないのが実状であろうと思います。なにしろ、学校ではまだ5年生です。3月2日の開講式においては、6年部から使用するテキストや副教材、スケジュール表、学習計画表などを配布します。また、これから入試に向けた受験勉強の流れについてお話しいたします。新しいクラスで、新しい仲間と共に学ぶ生活が始まることで、お子さんの意識もだいぶ変わってくるのではないかと期待しています。

 このように、まだまだ受験への意識も定まっていない状態ですから、お子さんに檄を飛ばしたり、見違えるような取り組みを望んだりすることは控えていただくようお願いいたします。まずは、これから入試までの受験生活について、親としての期待を伝えてあげてください。「毎日の計画をしっかりと遂行しよう」とか、「復習を必ずやろう」など、いろいろと伝えるべきことはおありでしょう。また、お子さんには2週間を基本単位とした学習の流れを踏まえ、毎日の家庭学習の計画を立てていただきますが、これに親も参加し、アドバイスをしてあげてください。

 お子さんには、まだ自分で完璧な学習計画を立てるのは難しいものです。親が采配を振るうのは禁物ですが、そうかと言って子ども任せでは、手抜かりが多かったり、無理が多くて実現困難な計画になったりしがちです。時間の割り振りなどが無理なくできる範囲になっているかどうか、親の目からもチェックしておくほうがよいでしょう。

 なお、6年部が開始するとは言え、4月いっぱいまでの学習は5年部からのカリキュラムを引き継いでおり、ゴールデンウィークの直前で6年間の教科書範囲の学習を終える(基礎力養成期の修了)予定になっています。ですから、今からエンジン全開の勉強をすることよりも、自分で勉強をコントロールしていく姿勢を強化していくことのほうに重きを置いていただくようお願いいたします。

 なお、入試を終えたご家庭にお伝えした内容と被りますが、受験は全ての受験生の希望を叶えてはくれません。しかしながら、受験までの過程で学んできたことは必ずお子さんの血となり肉となって先々の更なる成長を支えてくれるものです。合格に振り回されるのではなく、日々自分のすべきことを考えてやり遂げる姿勢を今は尊重し、そういったことに進歩がみられるかどうかを見守り応援してあげてください。

 無論、弊社は中学受験専門塾ですから、お預かりした子どもたち全員の夢が叶うよう、万全の体制で指導してまいります。ですが、合格は受験生自身にしっかりとした学びの態勢や本物の学力が身についてこそ意味をもつものです。この1年間、ご家庭と塾との一致協力体制の下、実りある受験生活を実現すべくがんばってまいりましょう。どうぞよろしくお願いいたします。

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最高峰の大学に進学する子どもって?

2019 年 2 月 20 日

 中学入試が終わってひと段落しましたが、3月早々には2019年度の講座が開講します。「子どもの時間は大人よりもゆっくりと流れる」と言われますが、中学受験生の子どもたちにはその言は当てはまりません。特に新6年生にとって、残された準備期間は1年ありません。これから入試本番までの日々を悔いの残らぬよう大切に過ごしていただきたいですね。

 以前、「東京大学の学生にとって、悩みごとの相談相手はどんな人か」を調査した結果(東京大学による)をご紹介したことがあります。その資料は、東京大学の学生の生活の実態について様々な観点から調査したもので、そのなかに筆者が興味をもった事柄がありましたのでちょっとご紹介してみようと思います。

 まず、日本で最高峰とされる大学に進学している学生は、どのような高校を経て入学しているのかに関する資料をご紹介してみましょう。以下は、東京大学に進学している学生の出身校と現役入学の割合を調査したものです。

 毎年国立大学の入試が終わると、東京大学をはじめとする難関国立大学の高校別合格ランキングが週刊誌などに掲載されているので、どんな高校から進学しているのかについては多くのかたがご存知のことと思います。

 今回ご紹介する資料は高校別のランキングではなく、学校の運営形態ごとに分類したものです。それによると、東京大学に入学している学生の出身校としては、私立の6か年一貫校がいちばん多く、全体の半分強を占めていました。私立の6か年一貫進学校は、東京とその周辺部が圧倒的に多く、後は関西と地方の有力都市に少しあるぐらいです。この資料を拝見すると、いかに優秀な受験生が一極に集中しているか(人口動態から、当然と言えば当然かもしれませんが)を痛感させられました。この結果は、みなさんの予想と違っていたでしょうか。

 ただし、近年は公立の一貫校が併設型・中等教育学校を問わず増えており、人気も高まっています。新設されている公立一貫校も、やはり首都圏に多いものの、公立一貫校は私立一貫校と違って全国に拡散しつつあります。したがって、今後公立学校の比率が高まっていくかもしれません。また、近年は浪人して大学に進学する学生は昔ほどに多くありません。最高峰の大学ですら、現役率はかなり高いですね。近年よく耳にするのは、「無理して浪人してまで難関大学にこだわる受験生は少なくなっている」という指摘ですが、その通りなのかもしれません。

 つぎに、東京大学の学生の出身地方(都道府県)の比率を見てみましょう。

 日本で最高峰の大学ですから、出身者はさすがに全国に及びます。ですが、やはり人口の密集地にある大学ゆえ、圧倒的に東京や首都圏出身者が多いようです。次は「なぜ東京大学を志望したのか」に関する調査結果です。

 志望理由を点検してみると、やはり「日本最高峰の大学である」ということが問答無用の志望動機につながっているように感じられます。要するに、名声を誇り、潤沢な研究予算をもち、教授陣が優秀で、多くの卒業生が社会的に地位の高い職業に就いている大学ですから、優秀なお子さんが集まるのは当然のことと言えるでしょう。やはり東京大学は特別な存在なのですね。

 地方都市である広島の状況はどうでしょうか。以前、広島最難関の私立男子一貫校の先生に、生徒さんに進学先の候補として人気の高い大学の傾向について伺ったことがあります。それによると、その私学の生徒さんが志望する大学の傾向は次のようなものでした。

●最も人気が高い大学(学部)
A.東京大学
B.京都大学
C.広島大学医学部

●その次に人気の高い大学(学部)
D.他の国公立大学医学部
E.旧帝国大学レベルの国立大学

 筆者の印象では、一昔前ならAがBを上回っていたように思いますが、最近は両者がだいたい同じくらいの割合だそうです。理由については、「(関東は)地震などが心配」とか「(進路確保に関する)安全志向」などが少し頭をかすめたものの、具体的で説得力のある理由は特には思い当たりません。また、地元の国立大学医学部への志向は以前から強く、それが学力的に難しい場合はDを選択するケースが多いようです。よって、A~Cがこの私学で最も人気の高い進路であり、その次がDやEだと思われます。

 ただし、前述の傾向は地域最難関私学ならではのものです。多くのご家庭では中学受験の準備段階ではまだ将来についての明確なビジョンを親子で共有したり、具体的な進路(大学や、学部など)の目標を決めていたりするには至っておられないと思います。まして、就きたい(就かせたい)職業が具体的に存在するご家庭はごく少数ではないでしょうか。そう言ったことは、中学、高校、大学へと進んでいく過程で、しだいに候補が決まったり、範囲が絞られたりすればよいのですから。

 というのも、中学校入学時には大学進学についてさしたるビジョンをもっていなかったお子さんでも、学力を順調に伸ばしていく過程でどんどん視野に入れられる目標レベルが高くなり、結果として最高レベルの大学への進学が決まったという例が、筆者が知るだけでも相当数あります。また、ある特定の学問領域に特別興味があり、そこからめざす進路が決まり、それが励みになってすばらしい成長をとげるお子さんも少なくありません。

 こういうお子さんは、目先の中学受験で無理をしておらず、勉強を楽しむ余裕があったお子さんに多いように思います。ですから、中学受験をする前の段階で大切なことは、「“伸びしろ”を担保しながら、いかにして中学入試で求められる学力ラインに到達するか」だと筆者は思っています。たとえ最難関私学への進学が希望であっても、無理に無理を重ねた勉強では肝心の中学高校生活で失速してしまう恐れが多分にあります。

 保護者におかれては、お子さんが自分のやりたいこと、学びたいことに出合い、自分に合った進路を見出し、幸福な人生を歩んでいく流れを築けるよう、上手にバックアアップしてあげていただきたいですね。

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子どもを自立させ、頑張らせるおかあさんって!?

2019 年 2 月 11 日

 中学入試が終わり、弊社の各校舎には受験の結果、および進路の報告書が6年部会員のご家庭から次々に届けられています。最終的な学校別の合格および進路選択の状況が掌握できるまでには、あと1~2週間かかろうかと思います。結果がまとまったら、折を見てご報告いたします。

 今年の中学入試について、現段階でお伝えすべき特筆事項はありません。敢えて申し上げるなら、「国立・公立一貫校の人気がより高まっている(特に女子受験生)」ということでしょうか。

 広島大学附属中学校については、例年と同じように男女とも補欠者が数多く発表されましたが、今年は未だ繰り上がりが一例も報告されていません。弊社の男子受験生は、広島学院と重複合格した場合に広島学院を進路として選ぶケースが多いのですが、今年は附属を進学先に選ぶ割合が例年より高くなっています。女子については附属が圧倒的な人気で、合格者の大半が進学先に選んでいます。これは弊社会員に限らない傾向のようで、合格発表数も例年男子は女子の倍の数(男子130名、女子65名 ※附属小からの合格者は含みません)となっており、さらに補欠の繰上り合格も男子に偏っています。今年男子の補欠の繰り上がりが報告されていないのは、例年よりも入学手続き者の割合が高かったからだと思われます。

 市立広島中等教育学校への受検というと、これまで距離的に近い三篠校の会員が大半でしたが、今年は女子会員の受検がかなり広範囲に及び、しかも学力水準の高い受検生が増えています。同校は公立一貫校特有の適性検査によって生徒を選抜していますが、一般的な学力試験でも優秀な成績をあげているお子さんが相当数受けており、しかも、受かった場合にも進路として選択しているようです。いっぽうの男子の受検の動向は、これまでとさほど変わりがありませんでした。なお、同校への志願者は545名(募集定員120名)で、過去最多となっています。

 新たに開校される県立の併設型中・高一貫校である叡智学園には、どれだけの数の受検生が志願するのか注目されました。6月に国際会議場で実施された同校の学校説明会には、千名以上の保護者がお集まりになりましたが、なにしろ前例のない公立の全寮制一貫校ですから、実際の志願者数は予想できませんでした。最終的には、一次検査に375名(男子175名、女子200名)が志願し、合格者100名が12月25~27日に実施された2次検査に臨み、1月8日に最終合格者40名が発表されました。このように時間や労力を要する選抜制度ですから、合格した場合の入学率は高いものと予想されます(弊社会員合格者7名も、ほとんどが同校に入学する模様です)。

 県立広島中学校も、相変わらず高い人気を維持しています。(志願者数799名、定員160名)近年は地元の東広島市だけでなく、弊社のほとんどの校舎から受検するようになっています。今年の場合、女子は全校舎から合格者が出ています。また、合格した場合も入学手続き率が高く、同校の吸引力の強さを裏付けています。

   このほか、県北部に開校する県立三次中の適性検査には、146名の志願者があった模様です(定員80名)。

 国公立中学校の入試状況を少しご報告しただけで、ずいぶん文字数を費やしてしまいました。この後は、本日予定していた話題について進めてまいりましょう。今回は前々回の続きです。

 前々回、子どもの自立勉強を促す親のありかたについて、いくつかご提案をさせていただきました。しかしながら、こういったことを本ブログで取り上げること自体、ことがそう簡単でないという現実の裏返しでもあります。わが子が親の期待通りの学習生活を送ってくれれば問題ないのですが、遊びたい盛りの小学生が受験生ですし、まだまだ行動規範が確立されているとは言い難い成長途上にある子どもたちですから、本人任せの受験勉強でうまくいくケースは滅多にありません。それどころか、思うに任せぬわが子の様子に苛立ち、助言をするつもりが親子喧嘩に発展してしまうケースも多々あります。こういうことが毎日続くと、親も思い悩んだり疲れ切ったりしてしまいます。

 実は、受験勉強がうまくいっているご家庭のおかあさんには一定の傾向があります。それは、ネガティブ思考でなく、少し楽観的なくらいの明るさをもち、辛抱強いタイプのおかあさんだということです。おかあさんが神経質になればなるほど、子どもは思い通りに頑張ってくれず、おかあさんばかりが疲れる、といった事態になりがちです。

 子育て期の受験で重要なことは、子どもとのパートナーシップを築くことです。押しつけるのではなく、子どもの側から自発的に「親の期待に沿った行動をしよう」と思うような関係を築くことです。このことをこれから心の隅に置いて、お子さんの受験生活を応援してあげてください。

 「そうしたいけれど、自分には難しそう」と思われたかたはありませんか? そう思われても無理はありません。わが子のことになると、感情的に叱ったり、高圧的な態度をとったりしてしまうのが親というものですから。しかし、心配には及びません。おかあさんの気持ちは、間違いなくお子さんの心に伝わっているものです。少々の失敗など何でもありません。

 お子さんの受験を子育ての仕上げにするつもりで、自立に向けた見守りと応援をしてやりましょう。それが、お子さんにとってもいちばんよいことではないでしょうか。きっとお子さんは、学力を身につけるだけでなく、人間力にも秀でた立派な人間に成長されることでしょう。

< 子どもに対する心の向き合いかた >

 

 まだ頼りないところの多い小学生の受験勉強です。まして、勉強を自立させようというのですから、うまくいかないのが普通だと考えましょう。それを前提にすれば短気も収まりますし、「今より状況は悪くならない」と思えるものです。あとは、少しずつ、ゆっくりと進歩して行けばよいのです。焦ることはありません。

 「親がそんなに能天気に構えていて大丈夫なの?」と疑問に思われるかたもおありかもしれません。しかしながら、このほうがよい理由があります。親が神経質にピリピリしていたり、やたらと勉強に口出しをしたり、指示や命令を下したりすると、子どもは勉強を自分のこととして受けとめるよりも親の顔色を見ながら勉強するようになりがちです。こうなると、勉強の自発性や意欲もなかなか向上せず、結果として勉強の成果も頭打ちになりがちです。

  「でも、やっぱり私には無理!」と、思われたでしょうか? しかし、おかあさんがわが子を信じてやれないで、いったい誰が最後まで信じて受験生活を応援してやれるでしょうか。どんなときもおかあさんがあきらめずに、「きっとやれるよ」と温かく励ましてくれる。このこと以上にわが子を奮起させるものはありません。何かと頼りないのが小学生ですから、受験勉強も自立への道のりは決して楽ではありません。そのことは、「受験合格は、自立した勉強で得られるものではなく、自立をめざした勉強で得られるものなのだ」ということを意味するでしょう。だからこそ親はもどかしい思いをするのですが、「受験を成功裏に導くのは、親がわが子を信じて自立へ向かわせる愛情深い応援なのだ」と心得ていただきたいですね。

 さあ、受験を終えるまでわが子にとって最高の応援団であり続けましょう!

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