スタート直後の今を起点に、上をめざそう!

2017 年 3 月 20 日

 桜満開の春がまもなく訪れます。もうしばらくすると学校でも新学期が始まりますね。弊社では2月下旬~3月上旬に新年度の講座が開講し、子どもたちは一足先に一つ上の学年に進級しています。5・6年部においては、すでに第1回「マナビーテスト」が実施され、テスト結果の返却も終えています。

 このブログは、5・6年部生の保護者も多数ご覧になっておられると思います。そこで、敢えてこのタイミングで保護者の方々にお願いしておきたいことがあります。それは、わが子の日々の勉強の取り組みや、テスト結果への対応です。

 筆者もかつて息子を通わせて散々経験したことですが、わが子のテスト結果を見て何も思わない親なんていません。結果がよければ自分のことのようにうれしく、「この調子よ!」「さすが、うちの子!」と、わが子をほめ称え激励します。しかし、それよりもはるかに多いのは、わが子の成績に落胆する親ではないでしょうか。

 親はわが子に大変な期待を抱いて塾に送り出しています。それなのに、のっけから期待に反する成績を突きつけられたとき、親のショックは並大抵のものではありません。成績によっては、不満や怒りを抑えきれなくなり、それがもとで早々と親子喧嘩に至ったご家庭もあるもしれません。

 しかし、こんな状況が今後も続いたならどうなるかを想像してみてください。やがて親は、「塾なんてやめてしまいなさい!」などと子どもを揺さぶるようになり、果ては本当にやめる事態になることもあり得ます。叱咤激励で何とか受験まで漕ぎつけても、まずよい結果は得られません。また、仮に受かったとしても、中学・高校での前向きな努力は期待できないのではないでしょうか。なぜなら、勉強に向かう姿勢が崩れてしまっているうえ、もっと大切な親子の信頼関係まで揺らいでいるからです。

 保護者の方々には、当面のテスト結果は参考までに留め、まずは今の勉強の取り組み状況をしっかりと把握していただくようお願いいたします。テスト結果が得られるはずのない勉強をしているかもしれません。仮によい成績を得ていたとしても、勉強自体は望ましくない場合もあるかもしれません。お子さんの毎日の取り組みを注意して見守ってみましょう。また、お子さんのノートに目を通してみましょう。そのうえで、今の取り組みかたについて親子で話し合ってみましょう。

 大切なことは、今を起点にしてゆっくりでもよいから勉強の質を上げていくことです。今の成績に振り回されないようお願いします。学力は入試の段階で仕上がればよいのです。むしろ、今問題点が明らかになったとしたら、そのほうがよいのではないでしょうか。今からコツコツ勉強を改善すれば、6年生であっても入試までには大変な進歩が見込めるでしょう。中途半端な状態で無駄に時間を費やすより、対処の方法を考えざるを得ない今の状況のほうが子どもの反省、努力、進歩の流れを築きやすいと考えるべきです。

 親の不満を小言や叱責という形でぶつけていると、直に親の働きかけは効き目を失います。児童期後半の子どもは、自分の問題なのに「親がうるさいから勉強する気になれない」などと言い訳をし、真面目に取り組まなくなりがちです。口は達者になっても、まだ自分を客観視できない年齢なのです。問題を放置したつけは、やがて自分の人生で払わされるというのに。しかし、これが子どもの現実です。ですから、「いかにして子どもをやる気にするか」「いかにして子どもの取り組みをよい方向に向かわせるか」は、現段階では親(大人)の関わりかた如何にかかっていると言えるでしょう。

 6年生の秋になると、受験勉強は佳境に入っていきます。このとき、自己を燃焼させるが如く熱心に勉強に取り組むわが子をイメージしてみましょう。筆者はこれまでたくさんの中学受験生を見てきましたが、6年生の秋に目の色を変えて勉強しているお子さんは、入試の結果が第一志望通りにならなかったとしても、その後で必ず巻き返せるエネルギーをもっています。そういう流れが今のわが子から見通せるでしょうか。4・5年生のお子さんの状態は、それよりもはるか前にありますから、「とても想像できない」と思われるかもしれません。ポイントは、「今のわが子なりに勉強を受け入れ、自分から取り組もうとする様子が見られるかどうか」にあります。パーフェクトには程遠い勉強でもよいのです。

 小学生の勉強が不完全であるのは当たり前のことです。まだまだ世間知らずの小学生なのですから。いけないのは、親がすぐに痺れを切らせて手も口も出し、子どもを叱りつけて無理やり勉強を強いることです。また、子どもの気持ちを傷つけたり、揺さぶったりする言葉を浴びせて奮起を要求することです。この方法は、受験の結果も、人間としての成長も得られない、最も避けるべき親の選択肢です。第一、親子関係に修復困難なヒビが生じてしまいかねません。

 受験勉強のプロセスは、子どもの人格形成と軌を一にしています。それだけに、親の見守りやサポートはわが子を期待通りの立派な人間へと成長させる絶好の機会なのです。わが子には、どういう人間に成長してほしいのか。ここで改めて考えてみてください。

 弊社は、「子どもの望ましい成長に資する学習指導の実践」を指導の基本方針に掲げています。その「望ましい成長」とは、学習指導を通じて子どもたちを自立勉強のできる人間へと導くことです。このような学習指導を通して、子どもたちの学力形成を支援し、子ども自身の努力で縁を引き寄せた中学校に進学することが、その子どもにとって最もよいことだと考えています。いちばん難しい中学校に入りさえすれば、よい人生が待っているわけではありません。子どもが無理を強いられず、伸び伸びと学べる学校環境を得ることこそ、その子どもにとって一番幸せなことではないでしょうか。

 このような受験を実現したなら、子どもたちは中学進学後も自ら学ぶ姿勢を一層強固にし、自分で人生の目標を達成していくことができるでしょう。おとうさんおかあさんのお考えはどうでしょうか。受験はわが子の未来に向けた期待やビジョンによるものだと思います。それを実現してくれるのは受験の結果などではありません。どういう学びかた、生きかたをする人間になるかが、お子さんの将来を決定するいちばんのファクターだと弊社は確信しています(数多くの卒業生が、そのことを教えてくれています)。

 今から、焦らず少しずつわが子の勉強の自立を応援していきましょう。繰り返しますが、焦ることはありません。今の時期の勉強を、お仕着せでなく、子ども自身のものにしていく。そういう視点からわが子の勉強を見守り、相談相手になったり、努力の承認を行ったりすればよいのです。今よりちょっとでも進歩すれば、お子さんには次の段階が見えてきます。それを繰り返す毎日は辛抱の連続ですが、この方法なら絶対にお子さんは今よりも希望のもてる状態へと成長していくことができます。

 

 さあ、今を起点に亀の歩みで上を目指していきましょう!

 

 なお、親の(特におかあさんの)接しかたについて迷いや不安のあるかたのために、もう少し具体的なアドバイスを考えてみようと思います。もし考えがまとまれば、次回はそれをお伝えしたいと思います。


カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 勉強の仕方, 子どもの自立, 家庭での教育

おすすめの記事

2017「前期講座」4年部も開講しました!

2017 年 3 月 13 日

  2017年度の「4年部前期講座」が、3月4日(土)に開講しました。また、低学年部門のジュニアスクール3年部玉井式国語的算数教室1~3年部も3月6日(月)~11日(土)に開講しました。これで、弊社の講座の全てが新年度の活動態勢に入りました。

 今回は、4年部の開講にあたってお伝えしたいことを書いてみようと思います。お子さんが対象でないかたも多数おられると思いますが、中学受験に向けた学習生活を送るにあたっての心構えや注意事項には共通する面も多々あります。お子さんがまだ低学年のかたも、すでに5、6年生になられたかたにも参考にしていただける面はあろうかと思います。よろしければ目を通してみてください。 

 お子さんは、4年部の学習を元気いっぱいに開始されたでしょうか。塾のテキストが目新しく、早速熱心に取り組みを始めたお子さんもおられることでしょう。ただし、お子さんはまだ学校では4年生に進級していません。なかには、まだまだ幼さを感じさせるお子さんもおられることでしょう。でも、ご安心ください。子どもというものは、環境の変化に短期間で順応しなじんでいくものです。4年部での学習生活のスタートが新たな刺激となり、勉強や生活の様子に変化が生じるかもしれません。弊社の指導担当者は、お子さんがたが塾での学習を受け入れ、少しでも早く学習の態勢を整えるようがんばってまいります。保護者の皆様のご理解ご協力をよろしくお願いいたします。

 さて、4年部は3年間に及ぶ受験対策の最初の1年にあたります。つまり、4年部から入会されたお子さんがたには、弊社の掲げる「ムリ・ムダ・ムラのない受験対策」の本道を歩んでいただくことが可能です。今回は、そのための第一歩をどのように踏み出すべきかについてお話しさせていただきます。

① 子どもの“がんばり”を引き出す重要なファクターとは!?

 まずは弊社の中学受験指導とお子さんに期待する学力形成について考えてみましょう。4年生の段階では、ほとんどのお子さんは、「中学を受験するのだ」という意識はないと思います。まだ目標意識をもって学ぶことのできないお子さんを、勉強に向かわせる力となるもの。それは、勉強を通じて得られる楽しさや達成感、親の熱心な見守りと応援です。

 私たちは、このような段階の学習こそ最も大切なのだと考えています。というのも、何かのために学ぶのではなく、「やったらわかるようになった」、「できたとき、とてもうれしかった」などのような、学習の原点にふれる体験こそ子どもの学習意欲の基となるものであり、こうした体験を数多くすることで子どもの学習に向かう志向性が高まるからです。また、親はこの年齢期の子どもにとって絶対的な存在です。親が自分に何を期待しており、どうすれば認めてくれるかは、子ども自身の有りようを決定する重要なファクターです。おとうさんおかあさんにおかれては、毎日のわが子の取り組みをしっかりと見守り、がんばったら大いに誉めてあげてください。

 4年部では特別難しい課題は扱いません。子どもたちが一生懸命に考え、取り組んだら解決できる課題、頭をひねってある考えに到達したとき、大いなる満足感が得られるような課題を数多く提供するよう努めています。こうした課題に取り組みながら、子どもたちには学ぶということの価値を感じ取り、しっかりとした取り組みの姿勢を築いて欲しいと願っています。

②まずは学習の方法を体得し、自分なりの勉強方法を確立することから。

 学習成果をあげるには、まずお子さん自身が「どう学んだらよいか」を理解する必要があります。開講日のオリエンテーションでは、学習の進めかたについて簡単に手ほどきしました。ただし、お子さん一人ひとりが自分に合った学習法を身につけ、受験勉強を安定軌道に乗せるには相当な時間や経験が必要です。ご家庭においても取り組みの様子を見守り、必要に応じてアドバイスをしてあげてください。

 「通学コース」では、学習の内容面だけでなく、家庭学習(復習や副教材の学習)、授業の受けかた、ノートの取りかたなど、勉強を円滑に進めるための前提がしっかり整うよう指導します。4年部の学習は2教科(算・国)で、まだ負担は大きくありません。したがって、当面はこうした点に目配りをしながら、じっくりと基礎を固めていきます。保護者には、このような方針をご理解いただき、テスト成績のみに目を奪われるのではなく、学びの態勢づくりの面からのフォローをお願いいたします。

 また、「土曜コース」に入会されたご家庭については、お子さんが家庭学習を進めていくにあたり、保護者の手ほどきやフォローが継続的に必要になってきます。特に、答え合わせ(○つけ)は大人がしないと、お子さんだけでは正誤の判断はできません。まずは家庭学習の方法をお子さんが身につけ、計画的に勉強を進めていけるよう応援をお願いいたします。

 4年生は、まだ何かと頼りない年齢ですが、そのいっぽう僅か1~2年でめざましい変貌を遂げます。成長を引き出すまたとないチャンスなのです。それなのに、何もかも親が手を出すと自立のタイミングを逃してしまいます。必要なことは手伝いつつも、子どもが自分でやれそうなことは手を貸さずに見守ることも必要でしょう。この間合いを大切にすることが、すばらしい成長を引き出します。

③「学習計画」に基づき、着実に学んでいく姿勢を4年生のうちに。

 開講時に配布した、「学習のすすめ方」という冊子をご覧になったでしょうか。この中に、1週間の「学習計画」の見本があります。また、そのまま書き込んで利用できる「学習計画表」があります。すでに学習計画表に基づいて家庭勉強を進めておられるご家庭も多かろうとは思いますが、まだの場合、必ずお子さんと話し合いのうえ、学習計画を立ててください。

 計画的に勉強を進める努力していると、勉強が習慣化しリズムが生まれてきます。そうなると、決めた時間に取り組むのが日課となり、「やらずにいられない」状態になっていきます。このレベルに達すると、本格的な受験勉強になってからの心配が無用になります。そして、中学入試まで理想のステップを歩めるようになります。さらには中学進学後も勉強で困ることがなくなります。その点においても、計画的な学びの姿勢がもたらす恩恵は、計り知れないものがあると言えるでしょう。

 ただし、今は学習習慣の重要性を言われても、お子さんにはピンとこないものです。そこで、親にはつかず離れずのサポートが求められることになります。

 なかには、家庭勉強をろくにしなくても高成績を得るお子さんもいます。しかし、5年生になると理科・社会が加わります。学習のレベルも次第に上がり、苦手教科の補強や復習が必須となってきます。ここに至ると、要領のよさや頭のよさだけでは通用しなくなります。つまり、受験対策が本格化すると学習の計画性や習慣が身についているかどうかがものを言うようになるのです。それまで行き当たりばったりの勉強をしていたお子さんが、急に計画性を身につけることは不可能です。

 とは言え、現段階ではお子さんが一人で妥当な学習計画を立てることは難しいと思います。おとうさんかおかあさんのいずれかが相談相手になり、習い事やスポーツ、楽しみなどとの兼ね合いも考慮しながら、無理のない実行できる計画になるようご配慮をお願いいたします。

 以上からお気づきかと思いますが、弊社では4年生から受験レベルの勉強に早く手をつけるのではなく、4年生から始まる「基礎力養成期(4年部~6年部4月)」の学習において、一人ひとりの子どもたちが確固たる学びの姿勢を築くことを最も大切なことだと考えています。

 「受かること」が受験の目標ではありますが、「受かった後」「受験後」を見通した勉強をしておくことの必要性は、中学進学後にどのお子さんも身にしみて感じることです。3年間の受験生活を楽しさや充実感を享受できる有意義なものにするためにも、中学進学後の人生の歩みを前向きで充実したものにするためにも、4年部から始まる「基礎力養成期」の学習を大切にしていただきたいと存じます。

  どんな受験生活を送るべきか、その判断を見誤らなければ、子どもたちの将来にはすばらしい可能性が開けていきます。家庭と塾とが見解を同じくし、子どもたちの望ましい成長につながる受験生活を実現させてまいりましょう。これから3年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。


カテゴリー: 勉強について, 家庭学習研究社の特徴

おすすめの記事

2017年度の中学入試結果と進路選択状況

2017 年 3 月 6 日

  中学入試が終了して約1ヶ月が経過しました。受験生のみなさんは、それぞれに進学先も決まり、新たに始まる中学校生活に向けて心を切り替えておられることでしょう。受験生のみなさん、ほんとうにお疲れさまでした。

 さて、弊社会員の受験生のみなさんから、受験の結果と進学先についての報告書をあらかたご提出いただきましたので、今回は中学校ごとの進学状況をお伝えしてみようと思います。来年度以降に受験を控えたご家庭の参考にしていただければ幸いです。

 以下は、広島県西部の主要な中学校の入試合格実績と、進路選択の状況をまとめたものです。

 弊社は、広島を代表する伝統的な私立6か年一貫校(広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院)への進学を軸にした受験指導をしています。無論、伝統と言えば師範学校以来の長い歴史を有する国立の広島大学附属中学校も人気・実績共に高いレベルの学校であり、この学校を含めた5つの学校をメインターゲットに据えています。

 では、学校ごとに入試結果と進学の状況を簡単に概観してみましょう。まず広島学院ですが、合格者数こそ昨年(68名)よりも減らしたものの、今年は合格者の入学率が大変高く、55名の合格者のうち48名が同校に進学します。よって、入学者は昨年比3名の減少に留まりました。入学辞退者7名のうち、広大附属と修道に各3名、県立広島に1名が進学する模様です。広島の私学界きっての進学校の吸引力は、「さすが」と思わせるものがあります。

 修道には121名が合格し、そのうちの66名が同校へ進学します。修道の入学辞退者の大半は広島学院への進学を選んだ受験生です。そのほか、広大附属、県立広島への進学を選んだ受験生もいます。ただし、修道の明るく自由な校風は広く行き渡っています。修道は、昔も今も広島の私学受験生の憧れであり、最もポピュラーな受験対象校であるのは間違いありません。以前このブログでもご紹介したように、弊社の会員男子の9割前後が同校を受験しています。

 広島城北には、今年48名の会員受験生が進学します。募集定員200名の、約4分の1が弊社会員ということになります(広島学院、修道についても占有率はほぼ同じです)。同校は、今年若干志願者数が減りましたが、これは受験者の全体的な減少傾向のなか、人気校の修道がかなり入りやすくなっていること、一人当たりの受験校数が減少傾向にあること、などのあおりを受けたものと思われます。ただし、文武両道で男っぽい雰囲気の校風に惹かれる受験生が毎年一定数います。同校のOBで学校愛に燃えた先生が多数おられるのも魅力です。

 女子の私学に移りましょう。まずはノートルダム清心から。今年は弊社から75名の合格者を輩出しました。そのうち、54名が同校に進学します。この数は、ちょうど募集定員の3割にあたります。合格者で他校に進学した受験生のほとんどは、広大附属もしくは県立広島に進学しています。女子私学最難関で、男子の広島学院と同じような立ち位置にある同校ですが、入学辞退者が20名あまりいます。それは、女子のほうが共学志向が強く、そちらを選択する受験生が相当数いるためです。また広島女学院のファンもおられ、そちらを選ばれるケースもありました。なお、昨年は広大附属との重複合格者14名が全員附属に進学しましたが、今年は19名の重複合格者のうち6名は清心への進学を選んでいます。私立女子一貫校のトップである同校のステイタスはしっかりと維持されているように思います。

 広島女学院は広島の女子私学でいちばんの歴史と伝統を誇る6か年一貫校です。毎年女子の受験生がいちばん多いことで知られます。ただし、近年は、県立広島、市立広島中等教育、広島なぎさなどの共学校がライバルとして浮上しています。そのため、以前より入学し易くなっていますが、女学院にあこがれる受験生は今なお多く、彼女らにとっては喜ばしいことかもしれません。自立した女性を育む同校のスピリットは伝統として受け継がれており、何よりも明るい校風が魅力です。今年は、同校に132名が合格し、61名が進学する模様です。この数は、清心同様募集定員の3割にあたります。同校合格者で他校を選んだ受験生の大半は、清心に進学しています。そのほか、広大附属、県立広島、市立広島中等教育、広島なぎさなどを選択した受験生もいました。

 安田女子中は、JRとアストラムの新駅が完成したことも影響してか、受験生の減少に若干ながら歯止めをかけることに成功しています。しかしながら、広島市の中央部、東区、安佐南区、安佐北区にかけては、市立広島中等教育学校が強力なライバルとなりつつあり、重複合格者がそちらに流れる傾向が見られます。また、広島市の西側は広島なぎさの吸引力が強く、そのためか弊社からの同校への入学者は17名と近年になく少ない数になりました。同校は、大学までの受け皿が整った教育環境が大きな魅力の一つであり、もっと選択されてよい学校だと思います。

 広島大学附属中は国立の伝統校であり、広島で知らない人はいないほどの有名校です。募集は120名と少ないうえ(男女各60名ずつ)、附属小からの内部受検による合格者が十数名~20名程度募集定員の120名に含まれます。よって、広島で最も入学困難な中学校です。ただし国立学校のため、大学受験までの面倒見などの比較で、例年男子は広島学院や修道のほうを選択する受験生が多い傾向にあります(男子には、女子のような共学志向はあまりありません)。今年は、男子合格者34名のうち、同校へは9名が進学する予定です。入学辞退者25名のほとんどは広島学院に進学する模様です。いっぽう、女子受験生には附属は圧倒的な人気です。入学者の大半は附属を選びますが、数百名受検してわずか60名(今年度の外部受験者の合格発表数)しか合格できない難関です。合格者の過去の成績を見ると、4教科とも穴がないすばらしい学力の持ち主ばかりです。附属中への女子進学者は、理系にも強い将来の楽しみなお子さんの集団と言えるでしょう。

 私立の共学校を採りあげてみましょう。広島なぎさ中は、ひところ注目を集めていましたが近年は志願者数が減少気味です。まだまだ広島県内に広く認知が行き渡っているとは言い難く、広島市の中心部~西部、廿日市市あたりからの受験生が多い傾向にあります。スマートで明るい校風は、一度同校を訪れてみたならすぐに感じ取れると思います。今年、同校へは男子24名、女子13名、合計37名の会員が進学します。同校の女子受験者が少ないのは、広島女学院や安田女子、市立広島教育学校など、男子以上にライバルが多数あることも影響していると思われます。

 近畿大学附属広島中東広島校は、東広島市域の受験生の受け皿として毎年一定数の入学者があります。同校は大学受験で立派な実績をあげており、もっと注目されてよい私学だと思います。今年は、同校へ男子が7名、女子が12名、併せて19名が弊社から進学する予定です。広島市内の校舎からも何名かが進学します。

 公立一貫校については先週のブログでかなり詳しく書きました。公立一貫校は、首都圏には21校あります。志願者が千名を超える人気校も相当数あるようです。公立一貫校の受検生が多い原因の一つとして、「受検準備が短期間で経費の負担も少ない」ということが指摘されています。言葉は悪いですが、「ダメ元」という発想の受験生も一定数いるようです。しかしながら、志願者数を確かめればわかるように、高い競争倍率の学校が多く、広島県内の2校も例外ではありません。基礎学力を整えたうえで、分析的思考、論述能力を高めるなど、系統立てた対策が求められます。特に県立広島の合格を巡る倍率は非常に高く、合格者の入学手続き率も高くなっています。今年は弊社から39名が合格し、そのうち30名が同校に進学します。昨年あたりから男子にも人気が高まっており、今年は男女15名ずつが弊社から入学します。県立広島を受験する児童の特徴は、「県立広島絶対」もしくは「国公立一貫校へ」という考えが強いということでしょうか。同校に合格したものの、他校を選んだケースを調べてみると、男子の場合は広大附属2名、広島学院が2名でした。女子では、広大附属が2名、広島女学院が2名、市立広島中等教育が1名でした。

 その他、弊社からの合格校は、崇徳中、比治山女子中、山陽女子中、広島新庄中、武田中、AICJ中、広島大学附属東雲中、広島大学附属福山中、ラ・サール中、愛光中でした(3月4日現在の資料に基づきます)。

 最後に。お子さんに一番ふさわしい学校は、必ずしも入学難易度の高い学校とは限りません。今回調査してみて、それぞれの家庭やお子さんの好みや学校との相性で進路を決定された家庭も相当数あると感じました。難関の学校に受かると、「行かないともったいない」という気持ちになるものですが、入った後の6年間を見通し、わが子にふさわしい教育環境であるかどうかも考える必要があると思います。

 いずれにせよ、保護者の方々にお願いしたいのは、「この学校がいちばんふさわしい学校なのだ」という信念をもち、気持ちよくわが子を送り出してやることです。受験生全員が第一志望の学校に進学するわけではありません。だからこそ、親にはそうした配慮が求められるのではないでしょうか。親にとってはわが子がいちばん。わが子に縁のできた学校がいちばんなのです。 


カテゴリー: お知らせ, 中学受験

おすすめの記事

広島県の公立6か年一貫校 受検と進学の状況

2017 年 2 月 27 日

 公立一貫校への受検者が、弊社でも少しずつ増えています。それに応じて合格者、進学者も増加傾向にあります。そこで、今回は広島の公立6か年一貫校である、広島県立広島中学校、広島市立広島中等教育学校の特色や受検者数推移、今年の合格者、進学者などの話題を取り上げてみようと思います。

 公立の一貫校について興味はおありでも、どういう学校なのかをよくご存じないかたもおられるかも知れません。そこで、ごく初歩的なことも含めてお伝えしてみようと思います。

 公立の6か年一貫校は、大きく二つのタイプに分かれます。中学校だけでなく、高校からも入学者を募集する「併設型」と、高校からは募集せず中学校からの入学者を6年間通して教育する「中等教育学校」とに大別されます。広島県では、前者が「広島県立広島中学校・広島高等学校(東広島市高屋町)」、後者が「広島市立広島中等教育学校(広島市安佐北区三入東)」に該当します。

 それぞれの開校年度ですが、「県立広島」は平成16年4月、「市立広島中等教育」は平成26年4月に開校されました。後者は、もともとは併設型の公立一貫校として設立されていた、広島市立安佐北中学校・高等学校が衣替えし、中等教育学校として再出発したものです。

 県立広島は開校当初から多くの注目と期待を集めました。また、最初の卒業生(高校からの入学者)の大学への進学状況もよく、たちまち人気校としてのポジションを不動のものにしたことを筆者も記憶しています。現在、全国には多くの公立一貫校がありますが、同校はその嚆矢の一つと言える存在であり、また指折りの成功例として注目されました。

 同校は、広島県内の公立学校で唯一SGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)に国から指定を受けているように、グローバルリーダーの育成を掲げた教育に特色があります。そのための教育実践として、日本の伝統文化の理解・継承(世界に目を向けるうえでの重要な前提として)、ことばの教育(論理的な思考・表現力を磨き、確かなコミュニケーション力を携えた人間を育成する。中学で「ことば科」を設置)、グローバル社会で生きていくための英語力育成(英語によるディベートの実施、中学で全員英検3級以上をめざす、海外への修学旅行、海外の姉妹校への留学、海外研修など)が掲げられていますが、その成果も各方面から高く評価されています。大学への進学実績も優秀で、昨年度は、東大に3名、京大に5名の合格者が出ています。国立大学の推薦入学枠が拡大された今年度は、早速同校から東大・京大に推薦枠からの合格者があったようです。

 市立広島中等教育学校は今年で開校4年目ですが、中等教育学校への衣替えが決まった段階から、熱心な広報活動を展開されていました。こちらも「将来のグローバルリーダーの育成」を旗印に掲げておられます。同校の教育の特色としてアピールされているのは、「6か年完全一貫教育プログラム」、「立志(LISI)プロジェクト」、「徹底した少人数指導」などです。同校の前身である安佐北中学・高校時代から、すでに大学への合格実績は上昇基調にありましたが、今後のさらなる躍進が期待されています。

 両校への受検志願者(応募者)の推移を簡単な資料で見てみましょう。なお、公立の一貫校の入学者選抜は、「適性検査」と名づけられています。したがって、この検査を受けることを「受検」と呼んでいます。

 

 両校とも、ここ4年間志願者が増え続けています。いち早く開校した県立広島は、JR沿線にあり、寮を備えて県全域から生徒を募集していることから、修道や広島女学院などの私学人気校と並んで県内で最も多くの受検生を集めています。いっぽうの市立広島中等教育は、広島市安佐北区の国道から分かれた団地の中にあり、交通の便が決してよいとは言えません。それでも120名の定員に対して、一昨年、昨年、今年と3年続けて500名オーバーの志願者を集めています。

 次に、弊社会員の県立広島と広島中等教育への受検状況、合格状況、進学状況を過去4年間について振り返ってみようと思います(市立広島中等教育は、4年前が初年度募集)。

 ご覧のように、両校とも弊社からの合格者数が年々増加する傾向を示しています。女子のほうに偏りがちであった受験者数、合格者数、進学者数も、男子の増加でバランスが整いつつあります。

 難易度について言うと、県立広島のほうが設立年度も古く、人気も定着していることもあり、合格を得るのは難しい状況にあります。単純に160名の募集定員に900名余りが受験するわけですから、倍率の高さは驚くべきものがあります。公立一貫校は、合格発表時には定数通りに合格者を出されますから、単純計算では私立の難関校以上の倍率ということになります。無論、合格者全員が入学手続きをするわけではありませんので、一定数の補欠繰上り合格者が出ます。しかし、それでも相当な倍率であり、この学校への入学は相当に困難だと言えるでしょう(弊社からの合格者で、入学を辞退した受検生のほとんどは、広島大学附属、広島学院、修道、ノートルダム清心に進学しています)。

 なお、両校とも義務教育期間内での生徒募集となるため、教科の学力試験による選抜を行っていません。資料の分析や論述などで受検生をふるいにかけています(詳細は、両校のHPにてお確かめください)。したがって、塾での学力テストの成績と入試結果との関連性は、国立・私立中学校の入試ほど高くありません。とは言え、学力試験で成績のよいお子さんの合格率が高いのは間違いありません。特に県立広島については、学力試験でもかなり成績のよいお子さんでないと、合格を得るのは難しい状態です。

 受検者の居住地域は、以前このブログで簡単にお伝えしたとおりです。県立広島は、地元の東広島市域の受検生が全体の半数前後を占めていますが、広島市の安芸区や東区など、JRの電車で通学できる地域からもかなりの数のお子さんが受検しています。そして、合格した場合にも進学校として実際に選んでいます。今年については、男子合格者19名のうち、10名が東広島校の受検生で、9名が他地区からの受検生でした。女子は、合格者20名のうち10名が東広島校の受検生で、10名が他地区からの受検生でした。なお、弊社からの志願状況ですが、県立広島が男女合わせて約100名、広島中等教育が50名余りでした。

 以上のように、公立の一貫校はもはや中学受験の対象校として確固たるポジションを得ています。弊社は基本的に広島の伝統的な私立一貫校への進学を基軸に置いた指導を行っていますが、公立一貫校への進学を希望されるお子さんの増加に伴い、予め公立一貫校への受検希望者を確かめたうえで、基礎学力の育成指導を終えた段階(6年生の8月末~9月頃)から公立一貫校への進学対策指導を行っています。「対策期間が短いのではないか」と思われたでしょうか。心配無用です。弊社では、社をあげて適性検査の内容を十分に研究しています。適性検査の過去問をもとに対策指導をしただけでは、確実な解答を引き出す力は養えません。適性検査への対応力のベースになるのは、何と言っても「確かな教科の基礎学力」と「思考力」です。これらを養うほうが遥かに多くの時間が必要ですし、また重要なことだと弊社は認識しています。

 今のところ、公立一貫校のみの指導コースは設けておりません。これは、需要の数の問題もありますが、それ以上に言えるのは、弊社が「入るための指導」のみを目的とするのではなく、「将来を見据えた指導」を眼目においているからです。中学校進学後に学ぶ内容は、進度の差こそあれ、どの学校においても同じです。そこでの学習を快適に進めて成果をあげるには、確かな基礎学力、揺るぎない学習習慣、自ら学ぶ自律的姿勢、計画的・戦略的に学ぶ姿勢、様々な観点から解決の突破口を引き出す思考力が求められます。それらの育成指導こそ、進学塾に課せられた使命なのだと弊社は考えています。

 また、公立一貫校合格のみに的を絞った指導では、大切な学力基盤を築くための指導が疎かになってしまいます。「短期間に軽い対策のみで受検したほうが、無駄なお金がかからなくて済む」と考えるかたもおありかも知れません。しかし、そういう考えに基づく受検では、そもそも合格自体が難しくなってしまうのは前述した内容でお分かりいただけることでしょう。検査の課題に答えるためには、一定水準以上の教科基礎学力が必要であり、それを養うことは中学進学後の学力伸長にも欠かせないことではないでしょうか。

 「わが子によりよい教育環境を」とお考えになる保護者の方々にとって、今や公立一貫校も立派な選択肢の一つになっています。国立、公立、私立を問わず、それぞれの学校の教育内容についてよく研究し、お子さんにふさわしい進路選択が実現するようサポートしてあげてください。

 なお、今回は広島の公立一貫校入試の様子や、弊社からの受検や進学状況についてお伝えしました。機会があれば、全国的な公立一貫校の動きや受検状況などについてもお伝えしてみようと思います。


カテゴリー: アドバイス, 中学受験

おすすめの記事

実りある受験生活の実現に向けて ~2017 5・6年部開講!~

2017 年 2 月 20 日

 中学入試の余韻が残るなか、2月18日(土)には2017年度の5・6年部講座の開講式を行いました。この日、多くの校舎では入試を終えた卒業生を送り出すための「卒業会」も実施されており、6年部の指導担当者にとっては慌ただしい1日でした。

 卒業生の子どもたちにとって、これまで塾と言えば勉強をするための場所でしたが、この日に限っては子ども同士で歓談したり、先生と思い出話をしたり、一緒にゲームをしたりする楽しい時間が用意されています。受験生のみなさんには、この日をよい節目にして、もうすぐ始まる中学校生活へと気持ちを切り替えていただきたいと願っています。

 入試というものは、すべての受験生の望みを叶えてはくれません。6年部の指導担当者は、新たな受験生を迎え入れるたびに、「全員の望みが叶うよう、全力で指導しよう!」と決意をするのですが、毎年必ずと言ってよいほど思わぬ失敗に涙する受験生がいます。そんな受験生の心の内を斟酌することを忘れるわけにはいきません。「今度こそ、受験生の子どもたち全員が笑顔で卒業会を迎えられますように!」という思いを胸に、新年度の講座のスタートに臨んでまいります。

 さて、今回は5年部と6年部の新年度講座の開講にあたり、保護者の方々に多少なりとも指針やアドバイスになる情報をお届けしたいと思います。ただし、十分に話題を練ったわけではありません。思いついたことを簡単にまとめたに過ぎません。ご了承のほどお願いいたします

 

① 当分は、“成績”よりも“取り組み”の状態に気配りを。

 4年部までと異なり、5年部に進級すると勉強も本格的なものになります。学習教科も算数と国語に理科や社会も加わり、否が応でも受験を意識させられてきます。6年部に進級すると、受験勉強の本格化は一層進みます。4月末には6年生いっぱいまでの教科書範囲の学習を終え(基礎力養成期を終了)し、5月のGW明けからいよいよ応用力の養成期に突入します。

 4年部ではテストも算数と国語の2教科でしたが、5年部以降は4教科の400点満点で表示されます。これは親にとっても刺激的であり、お子さん以上に一喜一憂されるケースも少なくありません。しかしながら、成績を見ては親が過剰に反応すると、お子さんは勉強以前に親の反応のほうに気を取られ、肝心の日々の取り組みに集中できなくなるケースがあります。まして、成績を落とすたびに叱られると、やる気も自信も失いかねません。

 これは、5年部生のご家庭だけでなく、6年部生のご家庭にも言えることです。「入試まであと1年を切った」とお子さんにハッパをかけても、まだ意識も取り組みも追いついておらず、成績に追い立てられた勉強に陥ってしまう恐れが多分にあるでしょう。

 よい取り組みをすれば、必ず成績はついて回るものです。まずは、成果のあがる取り組みのできる状態にもって行くことが先決です。そこで弊社では、5年部も6年部も開講から当分の間は、「授業を受けるうえで大切にすべきこと」「家庭での計画的学習を確立すること」「テストに備えたまとめ学習のコツを身につけること」など、受験生活を安定軌道に乗せることを主眼にした指導を行っていきます。保護者には、当分のあいだ成績は参考程度に留めていただき、「やるべきことはわかっているか」「やるべきことがどれだけできたか」に関心を寄せながら見守り、お子さんにアドバイスや激励をしてあげていただきたいと存じます。

 開講式においては、カリキュラム表、学習のしかたを説明した冊子、家庭の学習計画表のモデルプランなどをお配りしています。勉強の内容にまで関わる必要はありませんが、どういう勉強をするのかについては知っていたほうが、適切なアドバイスや激励ができるでしょう。特に、学習の計画を立てるときには親も相談相手になり、無理なくやりこなせるプランになっているかどうかを確かめておくことも必要です。

 

② 少しずつ、中学校に関する情報に目を向けさせる。

 受験をめざす以上、親は「受験生としての自覚を!」と期待し、受験での合格をめざした熱心な取り組みを望むものです。

 しかしながら、まだ人生を10年前後しか経験していない小学生の場合、受験の何たるかを十分にわかっているとは言えません。また、国立や私立、公立の一貫校に進学することの意味を理解するのも困難です。無論、将来の人生設計に基づく進路として学校選択を位置づける知識ももち合わせていません。

 それでいて、「○○中学校はどんな学校か」「○○中学校へ行きたい!」という願いや目標意識があるかどうかは、受験勉強に向かう姿勢や取り組みに大きな影響を与えるものです。

 そこで、お子さんが5年生・6年生になるごろから、そろそろわが子の進学先として候補に入れている中学校に関する情報に少しずつ触れさせることもあってよいのではないかと思います。各中学校には充実したホームページがあります。それを定期的に閲覧しながら、学校のトピックや催しなどをピックアップし、ときどき家庭での話題にしたり、公開されている催しに親子一緒に見学に行ったりするのもよいでしょう。

 実際、候補にしている私学の文化祭や体育祭などを親子で見に行き、校風や学校の雰囲気などについてお子さん自身の好みや相性を確かめておられるご家庭も結構あるようです。入試が終わってから行先を決めようとすると、どうしてもじっくり検討する時間が足りなくなりますし、行きたい中学校が少しでも早くから絞られたほうがお子さんのがんばりにも好影響を与えるでしょう。

 

③ 勉強のよさを享受しながらの受験生活の実現を!

 とかく受験勉強というと、親も子も合格のためにやるものと思い込みがちです。しかしながら、前述のようにまだお子さんは受験することの目的についてそんなにわかっているわけではありません。ともすれば、目先の楽しい遊びに心を奪われたり、勉強をさぼりたくなったりするものです。そこで、「早く勉強を始めなさい!」「まだテレビを見ているの!」などと、毎日叱ってばかりになる家庭も出てきます。これが毎日のように続くと、お子さんは「なんで勉強しなきゃいけないの!?」と親に抵抗したり不平を言ったりするようになります。

 いっぽう、勉強の進めかたを手の内に入れ、勉強の習慣がしっかり根づいたお子さんは、「ためにする勉強」という意識よりも、「当然のことをしている」「決めたことをやらないと気が済まない」といった意識で勉強をしています。そればかりか、「わからないことを自分で解決したときの喜びが味わえるから」と言います。

 学習心理学者の文献を拝読すると、「『勉強は何のためにするのか』に対するほんとうの答えは、進学のため、将来のためなどではなく、今学んでいる学習対象の中にあるのだ」と書いてありました。すなわち、ほんとうに勉強に没頭した状態においては、人間は何かのためにそれをしているのではなく、疑問の解決に心が集中し、「知りたいから学んでいる」のだということなのでしょう。

 脳科学者の書かれた書物に、人間が今のように進化したのは、「森の中に暮らしていたサルのなかに、まだ見ぬ世界への好奇心が押さえきれなくなった一群がいて、サバンナに降りて行ったのが始まりだ」というような著述がありました。ここにも、「なぜ学ぶのか」の答えが見出されます。子どもたちが勉強に熱中し、頭脳を鍛えていく原動力は、「知りたい!」という好奇心や探求心なのですね。

 筆者は思います。おそらく、受験勉強ですばらしい飛躍を遂げている子どもは、上述のようなほんとうの勉強を体験しつつ、徐々に受験というものの意味や目的を理解し始め、最終的に勉強の醍醐味の追及を原動力にしながら、受験突破をめざした勉強に没頭するようになるのだと。保護者におかれては、このようなお子さんの成長の流れを視野に入れ、これから1年間、2年間の受験生活を見守っていただきたいと存じます。

 子どもたちにとって、小学校5年生、6年生の1年間は、私たち大人のそれよりもはるかに濃密で進歩の急激な1年間です。この1年間の勉強の充実こそが最も大切なことであり、それが現実のものになったなら、必然的に受験での目標も達成できるのではないでしょうか(無論、入試突破に向けた学習上の作戦については徹底的に研究し、サポートしてまいりますのでご安心ください)。


カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 勉強の仕方, 子どもの発達, 子育てについて, 家庭での教育

おすすめの記事