テスト成績をどう判断し利用するか

2017 年 8 月 17 日

 早いもので、夏休みの前半に予定されていた講座がすべて終了しました。お子さんは、最後まで元気いっぱいに受講されたでしょうか。

 6年部をのぞくと、夏の講座の最終日には1年生から5年生までのすべての学年でまとめのテストを実施しています。参加された子どもたち全員が成果のある学習を実践し、テストでも手ごたえを感じておられればうれしいですね。

 そこで今回は、「テストの結果をどう受け止め、学力向上に向けて利用するか」について考えてみようと思います。日本で指折りの難関中・高一貫校の校長をしておられた先生の著作に、テストの成績のもつ意味を取り違えないこと、そしてどう利用すべきかについて書かれた箇所がありました。まずはその部分の内容をご紹介してみましょう。

 あなたのお子さんがテストで平均点以下をとってきたとき、その成績のもつ意味をどう受け止められますか? この先生は次のように述べておられます(若干文を調整しています)。

 ある人は、その点数を子どものランクづけだと受け止めるでしょう。またある人は、子どもの能力の一部分の評価にすぎないと受け止めるかもしれません。しかし、ここで注意してほしいのは、形に表われた成績を「結果」として受けとめてはならないということです。つまり、最終的判断ではありません。あくまで成長段階における、子どもの位置を示しているにすぎないということです。

 子どもが悪い成績をとってきた時、ガミガミと叱りつける親がいます。しかし、子どもはすでに自分の悪い成績を知っています。それに追い打ちをかけるように叱りつけては、叱咤激励のつもりでも、かえって子どもが反抗する原因にもなりかねないのです。そんなふうに叱る親に限って、成績を「結果」としか受け止めていません。

 「成績」はあくまでもその時の子どもの位置を示すもの、と考えを改めてみれば、子どもの学力の足りない部分、資質が見えてきます。力を入れるべき点も整理がつきます。つまり成績とは、親と子に与えられた反省材料であり、これからどうすればいいかを考えるための資料でしかないということです。

 逆説的な言い方をすれば、満足ないい成績をとる子どもよりも、科目によって凹凸のある子のほうが、その子の姿はよく見えるのです。いい成績の陰に、子どもの真の姿が隠れてしまっている例も、私は数多く見てきました。親が結果だけを重視するために、子どもの人間としての能力を、成績だけで判断しようとしてしまっているからです。

 親は、わが子は他人と比較して優れている、劣っている、と嘆いたり喜んだりするよりも、成績に込められた内面を読み取ることが大切なのです。

 子どもの成績が期待とは裏腹に悪かったときこそ、親は心して子どもに接してやりたいものですね。ここで感情的になって叱ったのでは子どもを伸ばすことはできません。叱りたいのを我慢して、「できている点」と「できていない点」をしっかりと見届けてあげてください。

 前出の元校長は、「答案用紙を点検すると、子どもの内面やほんとうの力が見えてくる」といったようなことも述べておられます。点数や順位は子どもの「位置」を示すだけではないのですね。

 たとえば、返却された答案用紙をよく点検してみましょう。そこから子どもの思考の過程が残されているものです。算数の答えを導き出すまでの式の立てかたや計算のプロセス、国語の記述問題に対する答えなどをよくふり返ると、消した内容のほうがよかったということが少なからずあります。また、語句や記号問題で迷いに迷った挙句に、消した答えのほうが正解だったりすることもあります。おとうさんやおかあさんも、同じような経験をして歯ぎしりのする思いをされたことがおありでしょう。それと同じことを、お子さんも随分しているはずです。また、誰でも特有の思考パターンがあり、間違える時にはいつも同じような傾向の間違いをすることがあります。

 こういった修正を要する部分については、親子で一緒に返却された答案用紙を点検することで、お子さん自身が自分の間違えるパターンを自覚すれば、次からはそれを活かすことができるでしょう。いったん書いて消した答えが実は正解で、後で書き直した答えのほうが間違いだったような場合、お子さんにそのときどんな考えに基づいて書き直したのかを説明させてみると、お子さんの思考パターンや考え方の特徴がわかることもあるでしょう。

 なお、テスト返却後のやり直しは必須です。少なくとも、間違えたところは絶対にやり直しをしましょう。弊社のマナビーテストでは、答案返却時にいずれの教科も設問ごとの正答率表を添付しています。この正答率表を大いに活かしていただきたいですね。テストの得点が平均未満だったお子さんは、★印3つまでの問題(全体の半数以上のお子さんが正解を得ていた問題)は、必ずできるようになっておきたいですね。平均点よりも高い得点をあげていたお子さんについては、★印4つまでの問題ができるようになっておけば心強いです。

 こうして、「今度同じような問題が出てきたら、必ず解ける!」と言える状態にしておけば、気持ちの上でも意気込みが生まれてきますし、自信もついてきます。それが勉強の取り組みに活気を与えてくれることにもなります。

 つまり、テストは成績が返ってきてからの対処が重要なんですね。とかく悪い成績をとったときにはやり直しをするのが億劫になるものですが、たくさん間違えたテストにこそ学ぶべきことがたくさん潜んでいるのだということを肝に銘じていただきたいと思います。


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家族関係・親子関係の3国比較調査 その2

2017 年 8 月 7 日

 少子化がすっかり定着した今日、大学も生き残りに向けて様々な対策を講じているようです。もはや日本人学生だけでは経営を維持するのが難しく、外国人留学生を積極的に受け入れている大学も多数あると聞いています。

 そんななか、先月は青山学院女子短期大学が、2019年以降の学生募集を行わない見通しであるということが新聞誌面で明らかにされていました。同大学は、日本の私立女子短期大学で屈指の難関校であり、かつては6つの学科を擁し、志願者は9千名近くに及びました。しかしながら、少子化の影響、女子学生の4年制大学志向の高まりなどで短期大学の多くは縮小、閉鎖、4年制への移行などを余儀なくされ、同大学も今春の志願者は2千名を割れていた模様です。

 このように、女子の短期大学にとって存続の危ぶまれる状況が訪れていますが、これは4年制の私立大学にも言えることで、もはや全体の半数近くが定員割れの状況に至っていると言われています。そのいっぽうでは、特定の有名大学に受験生が集中する傾向があり、両極化の現象が見られます。少子化は教育界の問題にとどまらず、日本の産業や社会全体に大きな影響を及ぼしつつあります。もはや国をあげての対策が急務であると言えるでしょう。

 さて、今回は前回に引き続き、日本とアメリカ、韓国の0~15歳児の親を対象とした国際比較調査の結果をご紹介しようと思います。調査の実施者、実施年度、標本数などについては前回と同じです。

 最初にご紹介するのは、「現在の教育の問題点」がどのようなものかについての意識に関する調査結果です。

資料1 現在の教育の問題点

 日本や韓国は同じ東アジア文化圏に属し、民族性にも似たところがあります。高学歴を得るための受験競争が激しいということも共通しています。したがって、教育の問題点に対する意識も似ているようです。韓国は、トップランクの大学への受験合格を巡る競争が激しい点では日本以上だとも言われており、そのような状況を問題視する人の割合も日本よりも15.1ポイント高くなっています。

 受験をめぐる競争が激しいのは、努力して勉強に打ち込めば豊かな暮らしが手に入る社会であるということの裏返しでしょう。こうした社会の仕組みに沿った形で教育は行われますから、2番目にランクされている「教育が画一的である」ということや、3番目にランクされている「学歴によって収入や仕事に格差がある」などの問題も生じているのだと思われます。このように、国民をあげて学力獲得に熱心である両国では、「基礎学力が不十分である」という認識はあまりないようで、日本では7番目、韓国では6番目のランクになっています。

 それにしても、日本と韓国では保護者の教育に対する問題認識が大変似通っているようです。問題点としてとりあげられた項目のランクアップの順位がほとんど変わりません。わずかに、6番目と7番目が入れ替わっているだけです。

 いっぽう、アメリカは大きく様相を異にしています。資料をご覧いただくと一目瞭然ですが、「無気力や不登校のまん延」という項目をのぞくと、日本・韓国の上位にランクされている項目と、アメリカの上位ランクの項目とはまるで逆になっています。

 アメリカの親が教育上の問題として第一にあげているのは、「盗み、暴力、薬物乱用などの非行」です。これは移民国家で、生活水準の格差が非常に激しいアメリカの抱える大きな問題のひとつです。特に黒人やヒスパニック系アメリカ人の家庭の多くは貧困にあえいでおり、子どものころから犯罪を犯したり、薬物に手を染めてしまったりするケースが少なくありません。当然、初等教育の段階から勉強面での脱落が生じやすく、「基礎学力が不十分である」という問題も生じてきます。

 ただし、アメリカであれ、日本であれ、韓国であれ、家庭のライフスタイルやものの考えかたは、かつてないほど多様化しています。それがいずれの国においても学校での一斉指導を難しいものにしているのではないでしょうか。「画一的である」「教師と生徒との接触が乏しい」などの問題がいずれの国においても同じように指摘されているのはそのためではないかと思われます。

 では、次の調査項目に移りましょう。教育に関する問題は、主として学校教育の現状に対するものでした。そこで、今度は家庭教育に関わる内容のものを取りあげてみました。

資料2 子供の勉強をみる  (画像をクリックすると拡大表示されます。)

 この資料は、家庭で子どもの勉強の面倒をみるのは誰か、ということに対する意識を調べたものです。どうでしょう。今度は日本とアメリカが比較的似た傾向を示しているのに対し、韓国は少し違っているようです。

 子どもの勉強をみるのは夫婦共通の仕事であるという認識をもつ家庭の割合は、3国ともほぼ同じくらいでした。しかし、韓国では「主として母親の役割である」という認識をもつ家庭が45.1%に及び、他の国よりも断然多いという結果が示されています。

 なお、「その他+わからない」に分類されているのは、祖父母、年上のきょうだい、家庭教師などではないかと思われます。アメリカの富裕層は、家庭教師に勉強を見させているケースが多いのかも知れません。

 最後に、家庭で子どもの遊び相手になっているのは父親か、それとも母親か、に関する調査の結果をご紹介しましょう。

資料3 子供と一緒に遊ぶ  (画像をクリックすると拡大表示されます。)
※資料1~3 内閣府「子供と家族に関する国際比較調査」より

 この資料においても真っ先に目につくのは、「子供と一緒に遊ぶ」役割が、韓国では主として母親の役割であるという認識がかなり強いということでしょう。3国とも、「夫婦同程度の役割」であるという認識に立った考えがいちばん多いのですが、この部分だけ大きく違っています。

 これは、「家庭で子どもの面倒をみるのは母親の義務である」という男尊女卑の考えかたが韓国に根づいているからだというよりも、勉強にしろ遊びにしろ、子どものことに関しては母親の権限が非常に強いということではないかと思われます。

 なお、「子どもの勉強をみる」との比較でわかったことですが、勉強のほうは「父親母親同程度の役割」という認識がいちばん多いものの、「主として父親」や「主として母親」としている家庭が日本やアメリカにおいてもかなり見られました。いっぽう、「子供と一緒に遊ぶ」のほうでは、日本もアメリカも圧倒的に「父親母親同程度の役割」とする家庭が多いようです。理由はよくわかりませんが、「遊ぶときには家族全員が揃って楽しい時間にすべきである」という考えによるものかもしれませんね。

 以上、学校教育や家庭教育という側面から、日本、アメリカ、韓国の親の考えの共通点や違いを見てきました。あなたの考え、あなたの家庭の現実を比較対照し、参考にしていただける点があったなら幸いです。


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家族関係・親子関係の3国比較調査

2017 年 7 月 31 日

 毎日暑い日が続いています。親子共々、体調管理にはくれぐれも気をつけてください。

 先日、静岡県のある町で、来年度から小・中学校の夏休みを16日間に短縮することになったということを報じる記事が新聞誌面に掲載されていました。2020年に実施される指導要領から英語の学習時間が大幅に増えるため(年35時間増加)、このままではカリキュラムの消化が困難になるからというのが主な理由のようです。町の教育長は、「親や教員の負担減少、子どもの学力増強にも寄与する」と、メリットを説明しておられるとか。とは言え、夏休みが2週間ちょっととなると、長い夏休みだからこそ可能だったことがだいぶ制限されそうですね。もしもみなさんの学校に適用されたとしたら、どのように思われますか?

 夏真っ盛りのこの時期、このブログもしばらくお休みしようかと思ったのですが、先週月曜の更新日には千件近い閲覧がありました。ありがたいことなので、「今週も何か情報を」と思い直しました。今回は、家族関係・親子関係に関する保護者の意識を、日本とアメリカ、韓国との比較でまとめた資料をご紹介してみようと思います。

 この調査は総務庁青少年対策本部が平成6~7年に実施したもので、日本、アメリカ、韓国の0~15歳児をもつ父親と母親(各国とも約千名)を対象に、委託された調査員による個別面談形式で行われたものです。資料としてはやや古くなっていますが、短期間で大きく変化する質問項目ではありませんのでご紹介することにしました。

 では、最初の調査資料をご紹介しましょう。調査テーマは、子どもにどんな性格の持ち主になってほしいかを尋ねたものです。みなさんは、わが子にどんな性格を備えた人間に成長してもらいたいと願っておられますか。簡単なグラフ化が困難な質問のため、まず日本の調査結果を紹介してみましょう。

資料1 子供に望む性格特性

 日本の親の特徴として感じるのは、「他者への思いやり」や「人に迷惑をかけない」など、他者や公共の場への配力のできる人間になってほしいという願いが強いということではないでしょうか。外国人のかたが、ラッシュアワーのときでも乗車の順序を重んじ、理路整然と整列して電車を待つ多くの日本人の様子に驚いたり、街にゴミが少なく清潔であることに感心したり、道路が込んでいてもクラクションを鳴らしたりしないマナーのよさをほめ称えたりしているという話をしばしば耳にしますが、それは日本の親の重んじる美徳と無関係ではないでしょう。

 全体的に、日本と韓国は子どもに備わることを期待する性格がかなり似ていると言えるかもしれません。しかし、日本では第1位になっている「他人のことを思いやる心」は、韓国では11位になっている点が目立つ違いでしょうか。

 いっぽう、アメリカの親がわが子に備わってほしいと願う性格はかなり違っているようです。やはり、文化や価値観がかなり違っていることの反映でしょうか。日本では順位の低い「公正さや正義感」「落ち着きや情緒の安定」が、それぞれ2位と3位になっています。

 次の調査資料に移りましょう。テーマは、子育てをどんなものと感じているかを尋ねたものです。

資料2 子育てに伴う肯定的感情  (画像をクリックすると拡大表示されます。)
 子育ては、楽しみや生きがいである

資料3 子育てに伴う否定的感情  (画像をクリックして拡大表示)
 子育ては、つらく、苦労が多い

 アメリカや韓国の親は、子育てを「有意義で生きがいを与えてくれるもの」と、肯定的に受け止め楽しむ傾向が強いのに対し、日本の親はあまりそういった肯定的な受け止めかたをしていないようです。

 しかしながら、「子育ては、つらく、苦労の多いものだ」とはっきりと否定的な考えをしているかと言えば、そうでもないようです。むしろ韓国の親のほうにそういった感情が強いようです。日本の親は、「子育ては楽しいもの、生きがいとなるものとまでは思わない。しかしながら、ひたすらつらく苦労ばかりするものでもない」といった受け止めかたをする親が多いのかもしれません。これは親の考えかたが淡白というよりも、「子育ては好きか嫌いか、楽しいかつらいかといった二元論でとらえるべきものではなく、もっと奥の深いものだ」と理解している親が多いからかもしれませんね。

 三つめの調査結果をご紹介しましょう。テーマは、子どものことについて夫婦でどのぐらい話しあうことがあるかについてです。

資料4 配偶者と子供のことで話し合う頻度  (画像をクリックして拡大表示)

※資料1~4 内閣府「子供と家族に関する国際比較調査」より

 3カ国とも、そんなに大きな違いはみられません。しかしながら、「よく話し合う」という家庭の割合は日本が最も少なく、5割前後です。韓国の7割と比べると2割ほど少ないですね。日本では、子どもの教育に関することは母親任せになる傾向が強いと言われています。できるならおとうさんにもう少し頑張っていただき、子どもに関する様々な事柄について今以上に積極的に夫婦で話し合いの機会を設けていただきたいですね。

 今回は以上で終わります。みなさんのご家庭の現状と比べて見られたでしょうか。「もっとこうしよう」と気づかれることは一つでもあったなら幸いです。また、「今の状態でいいんだ」という元気につながったなら、これもありがたいですね。

 わが子の子育ては、「今」を大切にすることの繰り返しです。わが子の成長を願う子育ての営みは、「苦しくも、楽しいもの」に間違いありません。後悔の残らぬよう、がんばっていただきたいですね。


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勉強がはかどるシチュエーションって!?

2017 年 7 月 24 日

 子どもたちが待ちに待った夏休みの到来です。子どもが1日家にいる生活は親にとっては負担になりますが、普段と違う生活スタイルを経験することは、子どもにとっては成長に向けたよいアクセントになるでしょう。夏の長期休暇を上手に活かし、いろいろな経験をさせてあげてください。

 学校への通学がなければ、当然家にいる時間はその分だけ長くなります。この時間をどう使うかをしっかりと考えなければなりません。子どもが小学生の場合、時間管理や行動計画を本人任せにできません。夏休みの学習や行動の計画がバランスよく立てられているかどうか、今一度チェックし、必要に応じてサポートしてあげてください。

 さて、今回は「勉強のはかどるシチュエーションとはどういうものか」について考えてみました。ちょうど夏休みが始まったところでもあり、そのことも加味していくつか提案させていただこうと思います。6年生の子どもたちは半年後受験が控えていますから、毎日の学習スケジュールもかなり密になっており、日中も大概毎日のように塾通いの予定が組まれていると思います(但し、受験生といえども小学生ですから、長時間集中は続きませんし、体力もまだありません。無理のない勉強で成果をあげる方法を考えることが肝要です)。今からお伝えするのは、それ以前の段階の児童のご家庭を念頭に置いています。参考にしていただける点があれば幸いです。

 勉強が好きで仕方がないという子どもはいません。それは大人も同じです。では、やるべき勉強をやり遂げる人間とそうでない人間との差はどこにあるのでしょうか。ホンダの創設者である本田宗一郎氏は「私は会社のために働くのではない。自分が楽しく遊びたいために会社で働くのだ」とおっしゃったとか。だから、どんなに仕事時間が長くなっても平気だったそうです。そう、やりたいことがあると、目標にしていることがあると、人間は少々苦痛なことでもがんばれるのですね。

 おたくのお子さんが楽しみにしていること、当面がんばりたいと目標に掲げておられることは何でしょうか。それはサッカーや野球などのスポーツでも、音楽などの趣味でも、さらには大好きなテレビ番組・アニメの視聴でも構いません。それらのスケジュールの前に勉強の時間を設定すると、「これが終われば、楽しいことが待っている!」という励みを得ることができます。このようなシチュエーションは、子どものがんばりを引き出してくれるものです。勉強の時間を工夫してみましょう。

 小学生の子どもにとって、毎日生活を共にする親ほどやる気を左右する存在はありません。いつも親に小言を言われているか、いつも親の愛情や期待が注がれているかは、子どもの学習意欲に大きな違いをもたらします。しかしながら、親の愛情や期待を直接伝えるのは難しいものです。また、「勉強をがんばりなさい」といった剥き出しの表現は、直に効果がなくなってしまいます。

 では、どうしたらよいのでしょう。一つの方法は、子どもと楽しい話に興じる時間を設けることです。話題は何でも構いません。勉強の話題はむしろ外したほうがよいでしょう。遊びのこと、友だちのこと、面白い本のこと、今興味をもっていることなど、何でも構いません。勉強の予定されている時間の前に、10分、15分でよいので、毎日楽しい語らいの時間を設けてみてください。親が自分の話に耳を傾けてくれる、親が優しい笑顔で話してくれる、そういう状況で子どもが必ず頭に思い浮かべることがあります。それは、「自分が親に期待されていることは何か」「何をすれば親が喜んでくれるか」ということです。よって、団らんのあとは勉強への切り替えがスムーズにできるうえ、意欲の伴ったしっかりとした学習が実現すること請け合いです。

 心身とも未成熟な子どもは、何につけ集中できる時間が短いものです。ですから、「大人とは違うのだ」という認識をもつことが必要です。集中力の継続が難しい子どもに長時間の勉強を要求しても、成果はあがらないし勉強をますます嫌うようになるなど、よいことは一つもありません。

 特に集中できる時間が短いお子さんの場合、「決めた時間より早く終わったって構わない」と伝えてあげるのもよいかもしれません。また、15~20分刻みで休憩をするという手もあるでしょう。大切なのは、心を集中させて物事をやる姿勢を築くことです。それがうまくいけば、時間を頼みに勉強する子どもよりも遥かに将来に期待がもてるようになります(集中できる時間も徐々に長くなります)。早く終わらせるために、雑に済ませるようになってはいけませんが、多少のことは目をつぶっても、「集中してやる姿勢」がつくことを優先して見守るほうが収穫はより多いのではないかと思います。お子さんの現状を踏まえ、必要ならそうした観点からアドバイスをしてあげてください。

 今日では、大概のお宅にエアコンがありますから、室内の温度調節は思いのままかもしれません。しかしながら、夏の朝早く窓を開けたときに漂うひんやりとした冷気は、エアコンで管理された部屋よりははるかに勉強に能率よく取り組めるコンディションを提供してくれます。一度試してみませんか?

 朝早く起きるのが苦手な子どもの多くは宵っ張りの生活が染みついています。そうしたよくない生活習慣を断ち切り、早寝早起きをこの夏休みから実行してみてはいかがでしょうか。スッキリとした頭と涼しい部屋でお子さんの勉強は格段にはかどるようになることでしょう。なお、早朝に勉強に取り組むことの利点については、今年の6月19日に掲載したブログでご紹介している通りです。人間の体験したこと、学んだことは、夜寝ているあいだに整理整頓され、長期記憶として残る情報と忘却される情報とが選別されます。寝る前には混とんとしていた知識が、朝一番のときにはすっきりとまとめられています。この時間帯こそ、勉強がはかどる格好のタイミングに他なりません。

 前夜までの学習では頭に残らなかった知識も、頭も環境もすっきりとした早朝に再度入力されれば、「記憶に残すべき重要な情報」として脳に認識されることでしょう。はじめは嫌々でも、いったん定着すればこれ以上のものはない最強の味方なる。それが早朝の学習です。

 

 だいぶ長くなってしまいました。このほか、このブログで何度かお伝えしましたが、「リビングや食卓での学習」も、小学生にはとても有効です。自分だけの個室では、子どもは却って落ち着かず、漫画を読んだりボンヤリしたりするなど、生産性のない時間を過ごすことになりがちです。まだ親がかりの年齢においては、親が見守ってくれている場所でのほうが、気持ちが落ち着くのですね。そうして、ときどき親が声をかけ、激励してくれるのも励みになります。きょうだいも一緒に同じテーブルで勉強したり、親も読書の時間にして近くのソファで本を読んだりするなど、「みんなで充実した時間を過ごしている」という雰囲気ができあがれば、お子さんの勉強は一層活気を帯びることでしょう。

 長い夏休みですが、せっかく計画したことも実行に移せないまま、なんとなく過ごしているとあっという間に終わってしまいます。いっぽう、やるべき勉強をしっかりとやり遂げることができたなら、ただ学力が身に着くだけにとどまらず、子どもは自分に対する大いなる自信を得ることができます。また、生活習慣が改善されたり、計画に基づく行動姿勢が備わったなら、それらもこれからの人生の歩みに多大な貢献をしてくれることになります。

 この夏、お子さんが勉強のはかどる自分なりの方法を見つけられるとよいですね。


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ポジティブな自己暗示で“やれる自分”を取り戻す!

2017 年 7 月 17 日

 試験やスポーツなど、順位や勝敗を競うような場面において、あなたは「きっとやれるさ!」とポジティブに考えて臨むほうですか? それとも、「今回はダメかもしれない」と、ネガティブな心境に追いやられるほうでしょうか。

 どちらがよい結果につながるかは言うまでもありません。悪い結果を予測すると、頭も体も機能が低下し、得られるはずの結果を取り逃がしてしまいがちです。まして入学試験など、結果次第でその後の人生の歩みが変わる可能性のある重要な場面では、誰だってドキドキ緊張しますし、ネガティブな心理と闘うことを強いられます。こういう場面に強いタイプの人間でありたいものですね。

 しかしながら、おそらくこのブログを読んでくださっているかたのほとんどは、「私は本番に弱い」「勝負ごとでつい緊張し、失敗をしてしまう」と、自分のことを嘆いておられるのではないでしょうか。筆者自身、「私は本番で緊張しない。勝負事に強い」と胸を張っている人をついぞ見たことがありません。「よい結果を得たい」という願望が強ければ強いほど、よくない結果に対する不安が頭をもたげてくるのが人間というものなのでしょう。

 これは日本人に限ったことではありません。結果を得たい重要な場面を前にすると、国や人種を問わず人間はプレッシャーや不安などのネガティブな心理との闘いを余儀なくされます。それをどう押しのけるか、心の強さや心理コントロールの力が問われるわけですが、その微妙な個人差が成否を分けることになります。

 また、人間は自分の所属する集団の特性や、一般通念から見て不利なデータを示されると、実際の能力よりもパフォーマンスが低くなると言われます。この現象は「ステレオタイプの脅威」と言われるもので、ちょっと例を挙げてご説明してみましょう。

 アメリカで、次のような実験が行われました。60代、70代、80代の人たちを集め、年齢構成や能力が均等になるよう配慮した二つのグループに分けました。片方のグループには、「人間の記憶力は年齢とともに低下する」という内容の記事を読むように指示し、そのあとで単語の記憶力を試すテストをしました。同じテストを、テストの前にその記事を読まなかったグループにも実施しました。すると、前者は単語を44%しか記憶していなかったのに対し、後者は58%を覚えていたそうです。また、女子の大学生を対象とした数学の難問を解くテストでは、女子学生たちに「自分は女性である」ということを意識させる働きかけをしただけで、なんのほのめかしも受けなかった女子学生グループよりも成績が悪くなったと言います。

 「自分(たち)は、それが得意でない」という情報を前もって与えられると、パフォーマンスが落ちるのなら、その逆はどうなのでしょう。「自分(たち)はそれが得意である」と思うことでパフォーマンスを上げることはできないのでしょうか。

 これに関して、ヘルスコミュニケーションの専門家である蝦名玲子(りょうこ)先生の著作のコラムに、次のような興味深い記事が掲載されていました。

 自信があるとき、人は身体を開き、自分のパワーを見せつけるように大きく見せる「力強いポーズ」をとるものです。陸上で1位になった選手、サッカーでゴールを決めた選手、部下を叱る上司、子どもを叱る親や教員などはみんな、胸を張り、手を広げたり、腰のところに両手を置くスーパーマンのポーズをしたりして、大きく見せています。

 逆に、自信がないとき、人は身体を閉じ、「弱いポーズ」をとります。猫背になり、手や足を組んだり、うなだれたりして、まるで他人にぶつからないようにするように、小さくなるものです。

 社会心理学者のエイミー・カディ博士の研究では、2分間、「力強いポーズ」をとると、それだけで「テストステロン」という支配性ホルモンが増え、「コルチゾール」というストレスホルモンが減ることを確認しています。そして自信をもって、アサ―ティブに自分の気持ちを表現するようになり、ストレスを感じにくくなったのです。

 一方、2分間「弱いポーズ」をとると、テストステロンが減り、コルチゾールが増えたという結果が得られました。そして、内気になり、ストレスを感じやすくなったのです。

 さらに興味深いのは、これが研究室の中だけではなく、人生を左右する大事な局面でも使えることが確認された点です。カディ博士は、2分間、一方のグループには「力強いポーズ」を、もう一方のグループには「弱いポーズ」をとってもらい、その後、何を言っても無表情な面接官による就職面接を受けてもらうという研究もしました。その結果、事前に「力強いポーズ」をとっていた人たちのほうが全体的に高く評価され、「採用したい」と言われたといいます。

 身体と心はつながっています。身体は心を変化させ、心は行動を変えさせ、行動は結果を変えます。このことを忘れずに、テストや受験、体育祭や文化祭など、何か大切なイベントのまえに子供が自信を失くしているようであれば、2分間、「力強いポーズ」をとるように伝えましょう。すると、その2分間で、体内物質が変化し、心もついてきてくれるはず!

 「力強いポーズ」――これは試してみる価値がありそうですね。人間のパフォーマンスと体内で分泌されるホルモンとには強い相関関係があると言われます。「力強いポーズ」が自分を肯定的に表現する姿勢を促し、パフォーマンスを高めます。それが自信につながり、やる気や実行力のもととなる体内物質を分泌させる。こういったプラスの循環を生み出すのです。

 小学生の子どもは、親の働きかけ次第でどんなふうにも変わっていきます。この「力強いポーズ」を2分間試みること、それを促してみてください。そして、子どもの変化に応じてタイミングよくほめ、子どもの自信が高まるようサポートしてみてはいかがでしょうか。また、親が率先して「力強いポーズ」を実践し、自然とお子さんがそういったしぐさを実行するよう促してみるのもよいでしょう。親なら誰だって、わが子が何事も自信をもって積極的に取り組んでくれることを願っているものです。今回の情報は、こうした成長への流れを築くきっかけにできるかもしれませんね。

 子どもが期待通りに行動していないと、まして、注意の声に反発したりすると、親はつい懲らしめの言葉を浴びせがちです。しかし、これは逆効果にしかなりません。この夏休みから、前述の蝦名先生が「2分間で自信を高める魔法のような方法」と述べておられる、このポーズをお子さんに試してみませんか? それは、わが子への関わりをプラスの方向へと転換するよい契機になるでしょう。


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