先日、ある校舎に行った時のことです。授業開始前に子どもたちと雑談していた際、「先生!学校はあんまり楽しくないのに、何で塾は楽しいん?」と言われました。その時は「何でかな?でも、塾が楽しいと思ってくれるのはうれしいね。」などと答えましたが、後になって、ふと「なぜなんだろう?」と自問自答してみました。
自分自身の幼い頃を振り返ると、毎日暗くなるまで外で遊んで帰ってきても、晩御飯の後に必ず母が熱心に勉強を教えてくれていました。田舎育ちでおおらかな時代だったということもあり、実は小学生時代に塾通いをした経験がありません。母のおかげで勉強の苦労もなく、友達にも恵まれ、その頃辛かったのは、目覚めの悪い体質で毎朝叩き起こされることぐらい(弊社イベント等でお話させていただいている「自立できていない子ども」ということになりますね・・・)で、今振り返ってみても、子どもの頃に「学校がつまらない」と感じたことはほとんどなかったように思います。また、中学生になって初めて某塾に通うようにはなりましたが、そこはかなり厳しいスタイルの指導で、答えを間違えたり予習が足りなければ、容赦なくみんなの前で叱り飛ばされるようなところでした。ですから、「学校より塾がいい」などと思ったことは一度もなく、学年の違いはあっても、先述の「塾が楽しい」という言葉は、私にとって非常に大きなものでした。
その後も自分なりにあれこれ考えてみたところ、きっとその子にとっての家庭学習研究社が、「居心地が良い」場所になっていることが最大の理由なのではないかという結論に至りました(自問自答による勝手な結論ですが)。低学年部門の授業では、子どもたちが主体的に学び、自分なりに考えて発表することを大切にしていますので、「積極的に情報を吸収する→自ら考える→自分の言葉で表現する」という一連の活動の積み重ねが、さらなる学ぶ楽しさにつながっていきます。教室をこうした学びの場とするために、授業の随所に楽しみながら学べる工夫をしていることや、毎回全員が発表の機会をもてるようにすることによって、子どもたちが積極的に授業に参加することができ、それが他では味わえない達成感を得ることのできる貴重な場となっている理由なのかもしれません。
自発的に勉強して学力を向上させることは、自分のため、ひいては自身の将来のためであることはいうまでもありません。しかし、同時にそうした子どもたちの頑張りが、学習の場を新たな発見に満ちた居心地の良いものにしているともいえます。先述の「塾が楽しい」と言ってくれた子は、楽しみながら積極的に授業に参加し、毎回の授業で達成感を得ることによって、居心地の良さを感じてくれているのだと思います。そうした空間であれば、低学年に限らず中高校生であってもきっと「楽しい」と感じられるでしょうし、それが自然と継続的な学習に結び付いていくはずです。単に知識を与えるだけでなく、子どもたちが楽しく学びながら積極的に頑張ることができるような環境を提供することは、私たちにとって大切な役割の一つなのですね。
(butsuen)