先日、あるクラスの授業を何度か続けて担当する機会があったのですが、そこで雰囲気作りの重要性を改めて感じるような出来事がありました。その内容はまた後日ご紹介させていただくとして、今回は「クラスの雰囲気」に関して思うところを少し書かせていただこうと思います。
仕事柄、自分が授業を担当する場合も含め、色々な校舎で様々なタイプのクラスを見させてもらっていますが、どのクラスもそれぞれかなり特徴的です。校舎、学年、子ども達の性格など多くの要因で異なってきますから、クラス一つ一つの特徴はまさに千差万別。こうした違いがある中で、子どもの発言が多くて活気のある授業を作りあげていこうとすると、指導者側がこの「雰囲気」をある程度コントロールしていく必要があります。
しかし、もしも授業中に子ども達が頻繁によそ見をしていたり、先生よりも他の友達ばかり気にしている姿が見られるような場合は、どれだけ活気があっても子ども達の意識は授業に向いていませんから、出てくる発言はいわゆる「無駄口」や悪ふざけなどが多くを占めています。結果、先生からの注意場面が多くなり、授業の進行は滞りがちで、思いとは逆に子どもの発言を制限せざるを得ない・・・という悪循環に陥ってしまいます。これでは、いくら先生が頑張って授業を進めても、そこから軌道修正して良い雰囲気を作り出すことはかなり困難です。
反対に、同じように子どもの発言が多く賑やかな授業であっても、子ども達の意識が先生の方向にしっかり向いているクラスでは、子ども達も授業から大きく脱線することはありません。当然、先生は毎時間「ねらい」をもって授業を進めている訳ですから、子ども達が先生の言葉や動きをしっかり追えているのであれば、例え子ども達の口数が多くても、その内容は授業の内容に関係していることがほとんどなのです。
また、このようなクラスの多くは、普段の先生の細やかな指導によって、友達の発表もきちんと聴くことができますし、発表態度や座る姿勢などの授業に参加する基本的な部分もしっかりできています。こうした環境であれば、自然と授業に集中できる空気や集団の一体感も芽生えていきますから、これまで見てきた塾や学校の明るい良好な雰囲気の授業は、楽しい仕掛けがあるだけではなく、こうした基本がきちんと押さえられていました。
つまり、普段から継続的な先生の働きかけがあり、授業にきちんと参加するための基礎基本ができている下地があるからこそ、授業展開上の楽しく学ぶための工夫がより一層活かされ、授業に明るく良好な雰囲気を生み出す、ということになるのでしょう。
・・・と、色々と思うところを書かせていただきましたが、なかなか理想通りにいかないのも現実で、授業を担当した経験のある方なら大なり小なり苦労した経験をお持ちなのではないでしょうか?特に低学年の場合は、授業そのものを楽しくする工夫も当然求められますが、それ以外の要素によってその日のクラスの雰囲気が左右されるケースも少なくありません(「明日運動会がある!」「今度の連休は旅行に行く!」などでウキウキソワソワ・・・)。また、塾の場合は学校とは違い、どうしても授業時間以外の子ども達との触れ合いが限定されてしまいますから、雰囲気作りにも限られた時間での多くの努力と工夫が必要になります。
もし今後授業を参観される機会がありましたら、こうした面にも目を向けていただければ、一つの授業にちりばめられた先生達の多くの工夫(もしくは苦労?)を垣間見ることができるかもしれませんね。
(butsuen)