学習環境のもたらす影響

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2011年 11月 5日 土曜日

 今回ご紹介するのは、先日のパズル道場での出来事です。

 パズル道場は、「プリントなどのペーパーパズルや各種教具に楽しく取り組みながら、論理的に考える力や図形のイメージ力など、『算数のセンス』をトレーニングする」ことを目標に、オプション講座として設定している講座です。

 パズル道場は楽しく参加しながら能力を高められる優れた講座なのですが、反面、各自が現在の自分の級に合わせて、それぞれの課題に取り組む授業形態であるため、疲れなどから集中力が低下してくると、中にはついつい「隣のあの子は今どの級かなあ」などと周囲の動きが気になり始める子もいます。今回のこのクラスにも、周りの動きを必要以上に気にしたり、他の子の活動に横から口を挟んだりして、これまでは先生から注意されていた元気な男の子たちがいたのですが、今回は先生方が今まで以上に細やかに気を配りながら指導されていたこともあって、みんな集中して各課題に取り組んでいました。一人が落ち着けば当然その周囲には集中できる空気が生まれ、それを見て他の子も静かになり、さらにまた集中した雰囲気に・・・といった感じで良い循環が生まれ、全員がずっと集中力を保った状態で前向きに課題に向き合うことができていました。

 学習環境というのは非常に重要で、特にまだしっかりと自我の確立していない低学年のお子さんにとっては、それが学習に対するモチベーションを高める大きな要因の一つにもなっています。「自分のために勉強する」(将来的にはこれが理想ですが)というよりも、現段階では「他の子がやっているのを見ていると何か楽しそうだから」とか「頑張って褒められたいから(頑張らないと叱られるから?)」とか、そうした外的な要因が多くを占めているといえます。だから、周りの友達や同じクラスのお子さんたちが楽しそうに勉強に取り組んでいれば、「よし、自分も頑張ろう!」という気持ちが高まっていくのです。そういう時、目には見えなくても、クラスの中には良好な雰囲気というのは確かに存在していて、それが全体的なモチベーションを上げ、個々の集中力も高めていきます。これは、皆さんもご自身の経験にもとづいてご理解いただけるのではないでしょうか。パズル道場

 ちなみに、この日の授業終了後、これまで何度かぶつかることもあった前述の男の子たちは、肩を組んでニコニコと帰っていきました。「今日の夜、家族で他の人の家に泊まりにいくんよ。」「えーっ!おれも親戚の家に泊まるし。同じ日にどこかに泊まるって、おれら、なんかつながっとるよね!」などと話しながら、急に大の仲良しになった二人は、抱き合うようにして教室を後にしていったのでした。

(butsuen)

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1年部授業参観・パズル道場参観

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2011年 10月 21日 金曜日

 先日、1年部授業参観とパズル道場参観(1年生のみ)が実施されました。当日は多くの保護者の方々にお越しいただき、中にはお父さんお母さんやご兄弟、ご家族皆さんでお越しくださった方もおられて、とても賑わった行事となりました。お忙しい中ご参加いただいたご家族の皆様、ありがとうございました。

 その中で、今回はパズル道場での様子をご紹介させていただきます。
 通常パズル道場は、1~3年生までが同じ教室で課題に取り組んでいるのですが、今回は参観ということで1年生のみ別教室での実施となりました。1年生だけなのでお子さんの数はやや少なかったのですが、お父さんお母さんご兄弟にご出席いただき、普段とはまた違う活気のある授業となりました。お子さん達も、家族が参観に来ていて、しかもパズルの課題や対戦ゲームなどに一緒に取り組むということになると、やはり普段とは様子も異なり、いつも以上に楽しくかつ真剣な表情で集中して課題に取り組みます。
 パズル道場参観普段の授業ではもの静かで黙々と机に向かっている女の子も、この日は非常に積極的で、これまでとは違う顔を見せてくれました。課題について説明してくれるお父さんを、目を輝かせて満面の笑みを浮かべながら見つめる表情や、お父さんお母さんとの元気なやりとり、幼い弟へのしっかり者のお姉ちゃんとしての言葉かけなど、家庭においては塾で見せることのない別の姿があるのだなと感じました。

 私たちは、基本的には塾での授業やその前後の時間位しか、お子さんたちと接する機会がありません。お父さんお母さんが「塾でのわが子はどんな様子なのか」と気にされて、お子さんの姿を見たいと思われるのと同様に、私たちにとっても、普段の授業中での姿だけではなく、家庭での様子を垣間見ることで、少しでもお子さんのことを知る手がかりにしたいと思っています。今回の参観におけるお子さんの姿を見て、普段限られた時間や環境の中で見ているのは、その子のある一面でしかないということを実感する貴重な機会でした。お子さんの成長を確認していただく機会として、また、その成長に微力ながらお力添えするためにも、今後も授業参観や保護者面談などの行事にはふるってご参加いただければ幸いです。

(butsuen)

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「先生」について

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2011年 9月 20日 火曜日

 先日、通りを歩いていると、昔の「教え子」にバッタリ出会うということがありました。その時、私は用事があったので早足に歩いていたこともあり、すれ違った際には気が付かなかったのですが、相手が先に気付いてくれ、後ろから追いかけて、「先生!」と声を掛けてきてくれました。正直なところ、最初は目の前に現れた成長した男性が誰なのか、すぐにはわかりませんでしたが、記憶の糸をたどって「○○(名前)?」と聞くと、「覚えてもらっててよかったです。」とニコニコと答えてくれました。外見的には大きくなっていても、口調や眼差しは昔と変わっておらず、しばらく近況報告や思い出話などをして別れた後も、様々な昔の記憶がよみがえってくる程に懐かしい出会いでした。

 また、通勤途中のバスでの出来事なのですが、小学1年生位と思われる女の子がお母さんと一緒に、私の座席のすぐそばに座りました。そして、その後、一人の女性がそのバスに乗り込んできた姿を見て、女の子が「先生!」と大きな声をあげたのです。その声に気付いた女性は、親子のそばにきて色々な話をし始めたのですが、女の子はその「先生」のことが大好きな様子で、「先生、このあいだね・・・」とか「先生、○○ちゃんはね・・・」とか「先生のおうちどこ?」とか、何度も何度も話しかけていました。途中で、親子はバスを降りていきましたが、「先生、一緒に降りて、私の家に来て!」と言う位、別れを惜しんでいて、何とも微笑ましい気持ちになりました。

 同窓会などで恩師と顔をあわせたり、街で昔の生徒に偶然出会うようなことがあると、一気に全てが昔に戻ったような気分になり、懐かしさや感謝、反省などの気持ちが複雑に入り混じって、うまく表現できない不思議な感情がわいてきます(単に、私が「良い先生」「良い生徒」ではなかったからなのかもしれませんが・・・)。人ごみの中で「先生」という言葉が耳に入ると、思わず注意を向けてしまうことがあるのも、この言葉にこめられた特別な思いによるものなのかもしれません。では、「先生」と呼ばれる立場で「生徒」としての子どもたちに出会った場合、将来子どもたちにこのような思いをもってもらえる先生はどれ位いるのだろうかと、ふと考えることがあります。習いごとの多い今の子どもたちにとっては、「先生」はたくさんいるでしょうから、関わりが途切れればすぐに忘れられていくケースも多いのではないでしょうか。

 一概に「先生」といっても、塾の先生と学校の先生では、その役割や立ち位置は異なったものになるでしょうし、他にも「先生」と呼ばれる立場の人はたくさんいます。バスの中で偶然出会った「先生」も、結局何の「先生」なのかはわからずじまいでしたが、あの女の子にとってはとても大きく特別な存在なのでしょう。明確な答えを出せるものではありませんが、先日の出会いから、「先生」と呼ばれる人の持つ責任の大きさや子どもとの関わり方の重要性について、あらためて考えるきっかけをもらったような気がしています。

(butsuen)

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3年生「夏休み講座」より

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2011年 8月 20日 土曜日

 今回は、3年生の「夏休み講座」の様子をご紹介しようと思います。

 今回の国語は、『声に出して読んでみよう』という、お話をスラスラと音読することや、音読したお話の内容を理解できるようになることをねらいとする単元です。最初にまず、「口の体操」として、みんなで詩の朗読を行いました。まずは先生から、①姿勢良く、背筋を伸ばす ②大きな声を出す ③口を大きく開ける という3点を意識するように説明があり、その後みんなで声を合わせて『おがわのはる』と言う詩を読みました。先ほどの3つの約束を意識しながら、ほとんどつまることなく上手に音読することができました。

 次に、『ひとつがふたつ』というお話の前半部分の音読に取り組みました。今度は先ほどよりも長いお話なので、ひとりずつ順番にリレー読みをしていきます。そして、全文を2回音読した後、内容をきちんと読み取れたかを確認するため、先生からお話の内容についての問題がクイズ形式で出されました。その質問内容は細かいもので、子ども達がちゃんと答えられるのだろうかと思いましたが、全ての質問に全員のお子さんが「はい!」と元気よく挙手し、お話プリントを見ることなく、正確に答えていく姿には驚かされました。

 この『ひとつがふたつ』というお話は、「何でも一つのものを二つに増やしてしまう」という不思議な機械をめぐるものです。お話に登場する動物達はそれぞれ自分の好きな食べ物などを増やしてもらいますが、主人公はなんと自分を二人に増やしてもらおうとします。さて一体どうなるのでしょう・・・、というのが今回扱った前半部分の流れなのですが、この物語を読んで、「もしこの機械があったら、自分なら何を増やしてほしいですか」という課題が子どもたちに与えられました。すると、「ゲーム!一つ壊れてもすぐ使えるから」「お金がいい!何でも買えるように」など、様々なアイデアが発表されました。

 ちなみに、「お母さんを二人に」という意見に対しては、お子さん達から一斉に、「お母さんが二人もおったら大変なことになる」「勉強ばっかりせんといけん」「二倍怒られる」など、非常に活発な意見発表がありました。もしかすると、今回の授業で最も必死で熱い討論がなされたのはここだった(?)かもしれませんね:D

(butsuen)
 

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’11楽しい夏休み講座

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2011年 8月 6日 土曜日

 今日は、1年生の「楽しい夏休み講座」の様子をお伝えします。

 今回の国語は、「さかさのさかさ」という単元です。これは、「さかさことば」を考えることで、言葉を構成する音に注目し、一音ずつ分解できるようになることをねらいとしています。

 まずは、さかさまに書かれた先生の名前を読み、正しい名前を考えます。ホワイトボードにさかさまに書かれた私の名前を読むとすぐに、「わかった!」と手があがり、「えーっ、先生の下の名前ってそんな名前なん?」「女みたい」(ちなみに私は男です)などと声があがりました。今日の授業の内容を理解したお子さんからは、「わたし知っとるよ!『とまと』!『しんぶんし』!」と元気の良い声も聞こえます:Dつづけて、お子さんたち自身の名前をさかさことばにして考えました。プリントに自分の名前をさかさまにして書き、それを順番に発表していきました。自分の名前をさかさまにするのが初めてのお子さんたちにとっては、それがとても面白いようで、みんな大喜びでした。

 次に、リズムに乗って手を叩きながら、先生が言った言葉をさかさにしていくゲームを行いました。例えば、“パンパン”→「まう」→“パンパン”→「うま」→“パンパン”→「かし」→“パンパン”→「しか」・・・といった感じで進めていきます。2文字の言葉はミスもなく、子どもたちは余裕でクリア!3、4文字になると、若干の言い間違いもありましたが、ほとんどの問題はすぐに頭の中で言葉をさかさまにしていました。お子さん達があまりにも間違いなくテンポよく答えていくため、出題するこちら側がネタ切れになってしまうような場面もあり、ここで再び、「『とまと』!『しんぶんし』!」というリクエスト(?)もでました(笑)

 お家でも、このようなゲームを家族みんなでやってみてはいかがでしょう。きっと、お子さんの飲み込みの早さと頭の回転の速さに驚かれると思いますよ。
(写真は、同じく「楽しい夏休み講座」1年生算数の「パターンブロックで動物作り!」における一場面です)

楽しい夏休み講座

(butsuen)
 

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