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タイトル | 黒ねこ亭でお茶を | |
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著者 | 長井 理佳 | |
出版社 | 岩崎書店 | |
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小学4年生のマリコは海辺の小さな町に住んでいます。 春休みの終わりに、東京から引っこしてきました。 マリコの家には、ついこの前までマリコのおばあちゃんがひとりで暮らしていました。この家には広い庭があって、そこには花の咲く木や、実のなる木、かくれんぼできそうな茂みや、たくさんの種類の草花がのびのびと生えていました。 マリコは小さいころから、おばあちゃんの家に遊びにいくたびに、いっしょに種をまいたり、水をあげたり、花の名前を教わったりしてすごしていました。マリコはおばあちゃんにくっついて、庭のお世話をするのが楽しみだったのです。 それなのに……。 おばあちゃんは、きゅうに亡くなってしまったのです。 おばあちゃんの家にだれかが住まないと、家が荒れてしまいます。でも、だれかに売ったり、知らない人に貸してしまうには、あまりにももったいないと、おかあさんたちは思いました。 そこで、マリコとおかあさんはおばあちゃんの家に住むことにしたのです。 マリコは、庭の中にマリコだけの「ひみつの場所」を持っていました。ある日、マリコがその「ひみつの場所」に行ってみると、そこには、もうだれかが来ていました。いえ、「来ていた」というよりも、もう十年も前からそこにいますというような顔で、一匹の黒ねこがお店を出していたのです。「黒ねこ亭」と、うまいようなへたなような、なんともふうりゅうな字のかんばんが出ています。 黒ねこは、レモン色のバラの花もようのエプロンに、まるい前足をあてて、ていねいにマリコにおじぎをしました。 【 おしゃべりする上に、お茶を入れてくれる猫……。おばあちゃんのたいせつな庭には、なにかふしぎな生き物たちが暮らしているようです。】 |