子どもは何になりたい?親は何になってほしい?

7月 20th, 2020

 子どもには「大人になったら、〇〇になりたい」というあこがれの職業があります。また、その子の親にも、「わが子が将来〇〇のような職業に就いてくれたら」といった期待があるものです。無論、現実の社会を知っている親と、まだ世の中の何たるかを知らない無邪気な子どもとでは、思い描く職業にずれがあるのは当たり前のことでしょう。

 しかしながら、途方もない夢であれ、ささやかな夢であれ、将来の夢をもてるのは子どもの特権です。親にしても、わが子がいるからこそ「やがてはこんな職業に」「こういう人になってくれれば」という夢がもてるのですね。子どものいる家庭には夢があっていいですね。

 (株)クラレは、ランドセルなどの材料となる人工皮革の製造で知られるメーカーですが、同社が毎年実施している興味深いアンケートがあります。小学生とその保護者を対象にして、「将来何の職業に就きたいですか?」「お子さんに、将来どんな職業に就いてほしいですか?」という質問をし、その結果をウェブ等で公表しておられるのですが、その時代の世相が反映されており、とても参考になります。

 早速ですが、今年(2020年)の1~3月にかけて実施されたアンケートの結果をご紹介してみましょう。調査対象は、2020年3月に小学校卒業予定の児童とその保護者です。

 トップ10から漏れた職業にはどんなのがあったのでしょうか。ついでにご紹介しておきましょう。まずは男子から。12位が公務員で、以下は料理人、薬剤師、運転士・運転手、スポーツ関係、動物園・遊園地、芸能人・歌手・モデル、ユーチューバー、消防・レスキューの順でした。女子は11位が医療関係で、以下はデザイナー、ペットショップ・トリマー、スポーツ選手、芸能人・歌手・モデル、キャビンアテンダント、会社員、マスコミ関係、警察官、介護福祉関係の順でした。

 男子と女子では、あこがれる職業に違いがあるようですね。やはり志向性や適性などの性差が、就きたい職業にも影響を及ぼしているのでしょう。たとえば、男子にはスポーツ選手が圧倒的人気なのに対し、女子はそれほどでもありません。保育士、看護師、パティシエ、美容師、獣医師、ペットトリマー、キャビンアテンダントなどに人気があるのは、女子特有の傾向でしょう。7位の漫画家については、女性漫画家の活躍が目覚ましく、ヒット作品を知る女の子に人気なのも頷けますね。

 男子の場合、昔も今も変わらないのはスポーツ選手への憧れでしょうか。アンケート結果でもわかるように、圧倒的な人気を集めています。医師や研究者、エンジニアなども、男子に昔から人気の職業です。それに混じって3位には大工・職人が入っています。これは今年になって上位にランクインしたようですが、その理由はテレビ番組などで手仕事に関する番組が人気になっていることと関係があるようです。ゲームクリエイター、ユーチューバーなどは、最近になって登場した職種で、男子にとって魅力のある職業として認識されつつあるようですね。

 なお、男子に圧倒的人気のスポーツ選手ですが、どのようなスポーツが視野に入っているのでしょうか。上記調査によると、2020年度については1位が野球で35.0%、2位がサッカーで33.8%、3位はバスケットボールで7.5%、以下、eスポーツ5.0%、公営競技2.5%、陸上・マラソン1.3%でした。野球とサッカーは毎年人気を二分するメジャースポーツになっています。eスポーツは、近年急速に普及していますが、早速スポーツ好きの子どもの心をとらえているようですね。

 次に、保護者がわが子に就いてほしいと思う職業のトップ5をご紹介してみましょう。これも、2020年に小学校を卒業する児童の保護者に対するアンケートの結果です。

 一瞥してお気づきかと思いますが、保護者には安定した職業、ステイタス性のある職業、専門性の高い職業に人気があることがわかります。この結果は、親としての思いがなんであるかを象徴していると言えるでしょう。

 ためしに、お子さんに「大人になったらどんな仕事をしたい?」と尋ねてみてはいかがですか? すでに予想がついている保護者も多かろうとは思いますが、思いもしなかった返事に驚かされるかもしれません。有名な学者や研究者、さらにはプロスポーツで活躍した人物に関わる書物を読んで驚くのですが、子ども時代に夢中になったことや好きだったことと、大人になって就いた職業とには、かなり高い関連性があるように思います。

 というのも、児童期までに何かに打ち込む経験をすると、子どもに宿る可能性を引き出したり、今まで気づかなかった適性を目覚めさせたりすると言われます。そうして、何かのはずみで出合ったものがズバリと嵌って職業になる。そういうこともあるのではないでしょうか。大好きで取り組んでいたスポーツをなぜかやめ、別のスポーツを始めた結果、そのスポーツのプロ選手になったという人もいます。今、熱中しているスポーツがそのまま将来の職業になるとは限りませんが、一生懸命に何かに打ち込む経験は、自ずと自分に合った職業との運命的な出会いを引き寄せてくれるのだとも言えるでしょう。

 なかには、「うちの子には、将来に向けた夢がないようだ」と心配されているかたもおありかもしれません。そういうかたは、親子団らんのときなどに、「今、興味をもっているのは何?」、「最近がんばっていることってある?」などの話題を提供し、楽しい会話の時間を過ごしてみるのもよいかもしれませんね。親の考えを伝えるのではなく、お子さんが今の段階で将来に向けてどのような抱負をもっているのかを知るだけでもよいと思います。そういう話題をきっかけに、「大人になったら、何を職業にしようか」ということにお子さんの意識が向かうこともあるでしょう。小学生の頃には、様々な有名人の伝記を読む機会をもたせるのも、「自分のあこがれ」「自分のなりたいもの」を意識するきっかけになるかもしれませんね。

 みなさんのお子さんは中学受験をめざして勉強しておられると思います。この勉強も将来就く職業と無関係ではありません。わが子がどの教科にいちばん惹かれているのか、どういう分野が好きで得意なのかをご存知ですか? 親というものは、ともすればわが子が苦手なこと、嫌がる勉強のほうに目を向けて助言しがちですが、好きなこと、得意なことにも大いに目を向けて褒め称えることも必要でしょう。それによって、子どもの伸びる芽が大きく育つとしたら、それも中学受験がもたらせてくれた大きな成果の一つと言えるでしょう。

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