2023 年 2 月 のアーカイブ

2023 国・私立一貫校 弊社会員の合格と進学の状況

2023 年 2 月 28 日 火曜日

 前回は、今年の弊社会員の公立一貫校への合格と進学の状況をご報告しました。そこで今回は、国・私立中学校への合格と進学の状況をご報告しようと思います。国立と私立を一括りにしたのは、公立一貫校の適性検査と異なり、どちらも学力試験による受験生の選別を基本にしているところによります。ご了承ください。なお、まだ進路については未確認の会員家庭が一定数あります。数字はあくまで参考程度に留めていただくようお願いいたします。

 主要中学校の応募者数を見ると、男子の広島学院や修道が昨年比で若干持ち直し、女子のノートルダム清心や広島女学院は若干減少気味で、おおむね横ばい状態となっています。ともあれ、さっそく弊社会員の合格状況、進路選択状況をご紹介してみましょう。

2023 主な国・私立中学校の弊社会員合格者数・進学者数 (3/2現在)

 中学校名

募集人数

弊社会員合格者

弊社会員進学者

 広島学院中学校

私・男

184

57

45

修道中学校

私・男

276

147

83

広島城北中学校

私・男

200

139

36

崇徳中学校

私・男

100

ノートルダム清心中学校

私・女

約180

85

63

広島女学院中学校

私・女

約200

145

52

安田女子中学校

私・女

200

117

27

比治山女子中学校

私・女

90

21

AICJ中学校

私・共

140

男12・女13

男2・女2

広島なぎさ中学校

私・共

約200

男68・女38

男13・女7

近畿大学附属中学校
東広島校    

私・共

140

男19・女19

男5・女3

広島大学附属中学校

国・共

120

男16・女11

男4・女9

広島大学附属東雲中学校

国・共

80

男8・女8

男5・女3

※2月24日現在、まだ進路選択が確認されていない会員が若干名います。

 弊社の主要ターゲット校は広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院の私学4校と、国立の広島大学附属中学校です。合格状況ですが、ノートルダム清心中の合格者が昨年比13名増加したことと、広島大学附属中の合格者数が昨年比で9名減った(男子が8名減)こと以外では、ほぼ例年と同じような結果となっています。

 上表でご紹介していない中学校の合格・進学状況を簡単にご紹介しておきましょう。広島国際学院中の合格者は男子14名、女子3名で、進学者は男子3名、女子1名です。広島協創中の合格者は男子1名、女子7名で、進学者は男子1名、女子2名です。山陽女学園中等部の合格者は5名で、進学者は2名です。受験者の少ない中学校については割愛させていただきます。また、県外の中学校については、まだ確認を終えていませんので掲載できません。

 

主要私立男子校の合格状況と進路の選択状況

 広島学院の合格者数は昨年とほぼ同じでしたが、進路として選択した受験生は昨年よりも多く、45名でした。これは、広島大学附属との重複合格者の多くが広島学院を進路として選択していることによるものと思われます。修道の合格者数は147名でした。これは昨年並みで、進路として選んだ受験生の数も昨年とほぼ同じで、3月2日現在の進学予定者数は83名です。広島城北への進学者は、昨年の20数名から36名に回復しています。

 なお、広島の男子私学最高峰の広島学院に合格したものの、他校を進路として選択した受験生ですが、その内訳は修道2名、広島城北1名、広島なぎさ1名、広島国際学院1名、広島大学附属1名、県立広島1名、市立広島中等教育3名、進路未確認2名でした。広島学院に合格して他校に進学する場合、例年なら大概は附属か修道なのですが、今年はいろいろですね。特に市立広島中等教育への3名には驚かされました。

 

主要私立女子校の合格状況と進路の選択状況

 前述のように、ノートルダム清心の合格者が85名と大幅に増加し、進路として選択した受験生の数も、昨年の52名に対して63名と増加しています。広島女学院の合格者は145名で、昨年の147名とほぼ同じ数の合格者を輩出しました。ただし、進路として選んだ受験生の数は、3月2日現在で52名と、昨年の67名よりもかなり少なくなっています。ただし、同校の合格者で進路が未確認になっている受験生が若干名いますので、もう少し増えるかもしれません。安田女子の合格者も昨年とほぼ同じでしたが、進路として選択した受験生は昨年比で若干減少しています。これも進路が未確認の受験生がいますので、昨年とあまり変わらない数に落ち着くかもしれません。

 広島の女子私学最高峰のノートルダム清心に合格したものの、他校を進路として選択した受験生の内訳ですが、広島女学院1名、広島大学附属8名、広島大学附属東雲1名、県立広島5名、市立広島中等教育3名、進路未確認4名でした。やはり、女子の場合は共学志向が男子よりも強く、国公立の共学一貫校を選択する比率が随分高いようです。

 

 以上、今年の弊社会員受験生の合格状況と進路選択状況を簡単にご紹介してみました。広島の中学受験対象校のスタンダードと言えば、男子私学の修道、女子私学の広島女学院です。これらの私学への弊社会員の合格状況を見ると、かつてよりも大幅に合格を巡る競争は緩和され、「弊社の教室に通い、普通に受験勉強に取り組んでいれば合格できる」という状況が訪れているように思います。

 しかしながら、このような入試の実態に鑑みるなら、中学進学後の学業面の見通しをしっかりと立てながら受験準備をすることの重要性に気付かされるでしょう。中途半端な受験勉強でも受かる可能性がありますが、そんな勉強で進学すると後で苦労するのは必定です。児童期は、ものごとに取り組む姿勢を築くうえでも大切な時期です。生活面も勉強面もどれだけ自立できているかが後々まで影響します。人間としての特性が定まった中学生になってからでは変わろうにも変わることができません。また、「勉強はもうこりごりだ」といったような猛勉強も、「労多くしてなんとやら…」で、子どもの将来に暗い影を落としがちです。勉強に向かう志向性がなし崩し的に失われてしまうと、中高一貫校でのがんばりや飛躍が期待できなくなってしまいます。子どもたちにはこれから長い人生が待ち受けています。そのことをよく踏まえた受験生活を送っていただきたいですね。

 昨秋、修道の校長先生にオンラインの催しで弊社会員に向けたお話しをしていただいた際、「ハビトゥス」の重要性について言及しておられました。ハビトゥスとは、ラテン語に由来する言葉で、「長い期間にわたって繰り返された行動によって、無意識のレベルにまで浸透した習慣や行動の構え」といったような意味をもちます。勉強を例にたとえると、「決めた勉強を決めた時間にやるのが当たり前になり、やらないままにしてしまうことが許せない、やらずにはいられない」といった具合に、ごく当たり前のこととして習慣化しておくことが大切だという意味でおっしゃったのだと思います。

 志望校に進学する夢が叶えば、あとが保障されるということは決してありません。受かったあとも変わりなく精力的に学び続けることが将来につながるのは疑いようがありません。「何が何でも合格」という猛勉強をしなくても受かるのですから、「合格後」を見据えた受験生活を送る余裕があります。その余裕を生かす意味においても、受験生活を通してハビトゥスを形成していくような受験生活をこれからの中学受験生には送っていただきたいですね。

 先週の土曜日、弊社の新年度講座が開講しました。今から受験に備えた勉強をするにあたっても、上記のようなことを踏まえ、収穫の多い受験生活を送っていただきたいと切に願っています。また、弊社にご縁をいただいていないご家庭におきましても、今回の記事が多少なりとも参考になれば幸いです。

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2023 公立一貫校の受検結果と進学状況

2023 年 2 月 18 日 土曜日

 中学入試が終わり、弊社会員の合格者や進路選択の状況がほぼ判明しつつあります。そこで今回は、弊社会員の公立一貫校受検状況と、合格者数、進路としての選択状況をお伝えしようと思います。なお、資料はあくまで参考としてお知らせするものです。会員家庭から提出していただいた報告書をもとに作成していますので、絶対的なものではありません(まだ未提出の家庭が若干あります)。

 とりあえず、弊社会員の主要な受検対象である広島県立広島中学校と広島市立広島中等教育学校の受検状況と合格・進学の様子はあらかた掌握できていますので、この2校についてご紹介してみましょう。

主要公立一貫校の受検状況と弊社会員の合格・進学状況 (2/24 現在)

学校名 定員 志願者 弊社受検者 弊社合格者 弊社進学者
県立広島中学校 160 638 男子27 57 男子11 34 男子8 24
女子30 女子23 女子16
市立広島中等教育学校 120 354 男子19 38 男子11 27 男子7 17
女子19 女子16 女子10

※県立叡智学園中学校の合格者は3名、進学者は2名です。

 公立一貫校は、基本的に合格発表時は定員数通りに合格者を公表します。したがって上記2校共にかなりの倍率であり、一定期間のきちんとした受検対策なしには受かりません。これまで県立広島中学校も市立広島中等教育学校も、弊社会員の受検状況を見るかぎり男子よりも女子の進学対象校として人気が高く、女子の受検者が男子よりもかなり多い現象が続いていました。これは複数の子どものいる家庭の経済的な負担や、女子の共学志向が高いことなどが主な原因と考えられます。

 ただし、県立広島は平成16年の開校当初から「ことば科(中学課程)」などの教育実践が評価されるとともに、大学への進学実績も良好なことから、最近では弊社においても男子の受検者・合格者の比率が高くなり、実際に受かった場合にも進路として選択するケースが増えています。

 市立広島中等教育のほうは、弊社会員においては女子のほうに人気が偏り、弊社の男子は受かっても進路として選択されるケースが少なかったのですが、今年に関してはかなりの数の合格者が進路として選択しています。その理由はまだ掌握していませんが、同校は熱心な教育実践で入学者の満足度も高く、男子受験生の人気が高まったとしても不思議ではありません。

 

① 県立広島中学校

 弊社からの受検者の校舎別の内訳を見ると、地元の東広島校からの受検者が最も多く、僅差で広島校から多く受検しています。最近は呉校からの受検者も増えており、合格者も5名出ています。その他の校舎からの受検者は男女とも少数でした。なお、弊社の場合は基本的に広島の有力私学への進学指導が中心となっていますが、県立広島は上述のように東広島市および周辺地域以外のJR沿線に住まいのある家庭のお子さんの受検が徐々に増えています。私学受験に対応する十分な基礎学力をつけたうえで公立一貫校対策の指導を受けた子どもたちの学力は総じて高く、ノートルダム清心や広島女学院との重複合格者が多数います。県立広島に進学したら、大学受験までの6年間でやることは基本的に同じですから、これまで培ってきた確かな基礎学力が大いに威力を発揮することでしょう。

 なお、県立広島に合格したものの、他校を進路に選んだ受験生の進路はつぎのとおりです。男子は、修道1名、国際学院1名(このお子さんは広島学院・修道にも合格)、広島中等教育1名でした。女子は、ノートルダム清心4名、広島女学院1名、広島大学附属1名でした。合格者のうち1名は、まだ進路が判明していません。

 

②広島中等教育学校

 広島中等教育学校は、安佐北区の山間の団地に位置するため、交通手段がバスに限られます。しかも市の中心部から遠いため、弊社会員の場合、三篠校と広島校会員の受検がほとんどです。男子の場合、これらの学区の受験生の最もポピュラーな進学対象校は修道であり、多くの受験生が修道との併願でした。したがって、修道に受かったら大半が修道を選択するのが一般的でした。しかし、今年は男子合格者の歩留まりがかつてないほどほどよく、合格者11名中7名が同校に進学する模様です。

 広島中等教育学校は、立地条件ゆえ県立広島ほど多くの受験生を集めていませんが、それでも実質倍率はかなり高く、簡単には受からない学校となっています。弊社の合格者を見ても、かなり高い学力を有している子どもたちでした。今年は特にその傾向が強く、たとえば男子の場合、広島学院や修道との併願ですべて合格した受験生もおり、そのなかには進路としても同校を選択している例もあります。

 ついでながら、広島中等教育学校は「山間の奥まった場所にある」というイメージが強く、そのため受験生の居住地が安佐北区や安佐南区などに偏っています。ですが、バスの便は結構多く、多少は遠くても進学する価値のあるよい学校だと思います。筆者は同校の近隣に居住していますが、見かける生徒さんの立ち居振る舞いは好ましく、勉学にしっかりと向き合っているという印象があります。通学にかかる時間を調べ、この学校を受験候補の一つにあげてみてはいかがでしょうか。

 なお、広島中等教育学校に合格したものの、重複合格した他校を進路に選んだ受験生はつぎの通りです。男子は、広島学院2名、修道1名でした。女子は、ノートルダム清心3名、広島大学附属2名でした。女子合格者のうち2名は、まだ進路が確認されていません。

 

 上述のように、弊社は広島の伝統的私学4校(学院・修道・清心・女学院)への進学指導を軸に置いた指導をしていますが、近年は公立一貫校への進学希望者が相当数あり、公立一貫校対策の指導にも力を入れています。6年生の4月末までの「基礎力養成期」の指導は悉皆で行っており、「応用力養成期」に入ってから希望者を対象に公立一貫校対策の指導をしています。私立の有力校に行く受験生と遜色ない基礎学力をつけておけば、公立一貫校に入ってからも学力面で大いに飛躍が期待できるでしょう。また、大学受験で求められる学力はどんな形態の中学高校を経由しても一緒ですから、なおさら基礎を固めておくことが有効に作用すると確信しています。

 この記事が来年以後の受験生家庭の参考になれば幸いです。

 

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家庭学の受験環境で得ていただきたいもの その2

2023 年 2 月 10 日 金曜日

 今回は、前回お伝えしたことの続きを書いてみようと思います。これから学習塾選びをされるご家庭の保護者だけでなく、新年度の会員として通学を予定されているお子さんの保護者にもぜひ読んでいただきたいなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 前回、受験のプロセスで身につけはるべきは入試を突破できるテスト学力だけでは不十分で、志望校進学後の教育環境の下で有意義な学校生活を送り、学業面で飛躍を遂げるうえで欠かせない資質を身につけることが重要だといったような趣旨のことをお伝えしました。それが何かについては、前回のブログで「お子さんは、こんな問題を抱えていませんか?」という問いかけで例示した、10項目の表現を裏返しにしてみるとおわかりいただけることでしょう。

児童期までに身につけておきたい習慣や姿勢

.学校の宿題は、早めに(帰宅後夕食ま
  でに)済ませる(※塾のない日)。

.計画的な学習の習慣を身につける。
.遊びと勉強の切り替えができる。
 
(勉強の時間になったら机に着く)
.何事も、決めたことは最後までやり
  遂げようと努力をする。
.やるべきことの優先順位をつけ、重要事項を後回しにしない。
.朝の起床をはじめ、自分のことは自分でやれる。
.失敗をしたら理由を振り返り、同じ失敗をしないようにする。
.自分のしたことを客観的に評価できる(ある程度自分に厳しい)。
.何事につけ、先を見通して行動する姿勢を身につける。
10.仲間と励まし合ったり競い合ったりすることに熱心である。

 上記の10項目は、受験学力を身につけるうえで必須ではないかもしれません。テスト学力は大人の指示やサポートで補えるからです。しかしながら、中学や高校に進学したらもはや大人の力を借りることはできません。何につけても自分で判断して行動する自律性が問われるようになります。この行動の自律性は、一朝一夕には備わりません。また、自我が確立する児童期までに身につけておくべきものです。それをおざなりにすると、何をするにつけても自律的行動の欠落が足を引っ張り、一生自らの抱える問題として尾を引くことになりがちです。当面危ぶまれるのは学業面での飛躍ですが、学業で後れを取った後の挽回がいかに難しいかは、前回お伝えしたとおりです。

 ですから、中学受験をめざすなら、「学力+行動の自律性」の獲得を目標に掲げた受験生活を送るべきではないでしょうか。言わずもがなですが、児童期は子育ての重要な時期にあたります。子どもの自律性を育むことは親としての重要な仕事の一つです。勉強の見守りと同じぐらい、あるいはそれ以上に子どもの内面の成熟・成長を大切にしていただきたいものですね。ただし子どもの内面の成長曲線は一人ひとりみな違います。なかには親の期待通りに成長しないお子さんもいることでしょう。ですが、そこで業を煮やして無理矢理勉強させても子どもの自律は遅くなるばかりです。そしてそのつけは子ども自身が先々の苦労という形で払わされることになってしまいます。

 残念ながら、自律と学力形成の両方を大切にした受験生活は、親子が望む最高の受験結果をもたらしてくれるとは限りません。それでも、自律に向けた成長の流れはたとえゆっくりでも決して無駄になりません。どの中学校に進学したとしても、内面の成長が追い付き始めたなら、徐々に好循環の連鎖が子どもの背中を押してくれるようになります。やるべきことを自分で判断し、それが少しずつできるようになってくるのです。人生の見通しは、概ね社会への参入後に定まっていきますが、自律に向けて努力を怠らなかった人は、この段階で確かな手応えをもてるようになっていくことでしょう。これこそががはるかに重要だと思います。

 ここで、新年度の講座の開始段階から当分の間保護者にお願いしたい見守りと応援のスタンスをお伝えしてみようと思います。

・会員家庭には、必ず学習の計画表を作成していただきます。親が決
 めるのではなく、一緒に考えながら子どもが実行可能な計画になる
 よううまくサポートすると実行が伴います。

・当面は、行動の自己管理と自発性を評価軸に応援してあげてくださ
 い。計画通りやれたら、すかさずほめてあげてください(親の評価
 がまだ一番意欲に影響する年齢です)。努力を評価軸に!

・生活上、自分のことは自分でやる習慣が、行動の自律のベースにな
 ります。行動の主体性も、生活習慣の自立から生まれます。

・4・5年生は、子どもの学習状況を保護者が掌握することが必要で
 す。「難しいことをやっているんだね。がんばって!」と、応援し
 てやりましょう(4年は、取り組んだ問題の〇つけもお願いしてい
 ます)。

 ・2週間に1度のテスト(マナビーテスト)が終わったら、ベストを
  尽くせたかどうかを親
子で振り返りましょう。

・成績が悪かったときこそ、親の関わりが問われます。
 叱るのではなく、「どこがいけなかったのかな?」と反省点を考え
 させたり、一緒に悔しがったりすれば子どもは素直に反省します。

 開講後の学習(授業や家庭学習)について、詳しくは配布資料等でお伝えします。どんな指導を受けているのか、親はどう関わるべきかについて、保護者がしっかりと把握されていれば、自然とお子さんの勉強への関わりも妥当なものになります。

 未完成な小学生の受験ですから、親は心配や骨折りの毎日になりがちです。しかし、親の関わりが子どもを自律へと向かわせるものであれば、段々と親の負担は少なくなっていきます。逆に、あれもこれもと親が手を貸せば、受験が近づくほどに親の苦労は増え続けていきます。子どもの内面の成長を期待しつつ、適切な間合い、すなわち「つかず離れず」の見守りと応援をお願いしたいと存じます。そうすれば、やがてお子さんは受験での合格に求められる学力を自らの力で養うとともに、自分を適切に律する姿勢も身につけられることでしょう。

 以上のような考えに基づく受験生活で、志望校合格の夢が叶えられるよう応援してあげてください。このような受験なら、その結果がいちばん希望したものにならなかったとしても、お子さんの将来は前途洋洋です。自律こそ、人間として成功するための一大条件なのですから。

弊社の教室で学び、受験をめざしてみませんか? 入会をお待ちしています!

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家庭学の受験環境で得ていただきたいもの その1

2023 年 2 月 3 日 金曜日

 中学入試が終わり、弊社会員の合格状況も概ね判明しています。ほぼ例年と変わりません。近日中に公表する予定です。まだ若干残っている補欠の繰り上がり合格者を確認するとともに、進路選択の報告書があらかた届い段階で、「弊社会員の入試結果と進路選択状況」という資料としてまとめ、本ブログにてお伝えするつもりです。よろしくお願いいたします。

 中学入試シーズンが終わったところで、まもなく新年度の講座が弊社でも始まります。前年度からの継続会員家庭、新規に入会手続きをされたご家庭が多数ありますが、2月の初旬ですので、まだ学習塾選びを終えておられないご家庭も少なくないと思います。

 そこで今回は、「家庭学習研究社で送る受験生活で得ていただきたいものは何か」についてお伝えしようと思います。もし興味をおもちになったら、ぜひご入会ください。なお、受験勉強は一定の基礎学力を有していないと空回りする恐れがあります。また、辛いばかりの受験生活を送ることにもなりかねません。そこで、入会をご希望のお子さんには算数と国語の学力状態を判定するテストを実施し、一定の基準に達していたらご入会いただくことになっています。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

 多くの中学入試では、算数、国語、理科、社会の学力試験が行われます。学力試験ではないものの、公立一貫校の入学者選抜(適性検査)においても、これらの教科の基礎学力が要求されます。したがって、国立・私立・公立を問わず、6か年一貫教育の中学・高等学校に進学するにあたっては、テスト対策としての教科学習が学校の勉強とは別に必要となります。大概の入試では、優秀な受験生を選別するために小学校課程の学習で養える学力よりも高いレベルの学力が要求されますが、特に算数においてはその傾向が強く、教科書内容と入試問題との難易度のギャップが大きいことで知られます。

 伝統と実績のある国・私立中学校の入試ともなると、受験生の学力の平均値も高く、ちょっとした失敗をするだけで高い学力を有しているはずの受験生でも不合格の憂き目を見ることが少なくありません。そこで、どの学習塾においてもかなりの量や質の学習課題を受験生に与え、スキルアップを重ねながら受験に通用する学力に仕上げていく指導をしています。ですが、入試で合格点を取ることだけに時間や労力を投入した受験生活を送るのは、子どもたちの将来にとって決して望ましいことではありません。それは、肉体的精神的な負担が大きいという理由だけで申しあげているのではありません。中学進学後の学校生活でさらなる成長を遂げるうえでも、さらにはやがて社会に参入した後の人生を有意義なものにするうえでも必須となる重要な資質を養う機会を失ってしまう恐れがあるのです。

 たとえば、学力レベルの高い私立の中高一貫校に進学したとします。そこへ入ると、再び高いレベルの学習を毎日こなしていく生活が始まります。宿題も小学校時代よりもはるかに多く出されます。数学や英語などの主要教科のカリキュラムは前倒しされ、中2終了時にはあらかた中学校課程の学習を終えることになります。生徒間の競争という側面も、一般の公立中学校よりもはるかに強いでしょう。

 このような学習環境のもとでわが子が有意義に学ぶ生活をし、成果をあげるためにはどんな資質や能力、姿勢が求められるでしょうか。そこに目を遣ることなく施した受験対策は砂上の楼閣に過ぎません。たとえば、今おたくのお子さんはつぎのような問題を抱えていませんか?

 

1.学校の宿題をちゃんとやらないことがある。

2,遊びと勉強の切り替えがうまくできず、遊びに引きずられることが多い。

3.勉強の計画を立てず、行き当たりばったりの取り組みを続けている。

4.いったん始めたことを最後までやり通す意志や根気が足りない。

5.重要なことを後回しにしがちで、やるべきことの優先順位がつけられない。

6.朝自分で起きられず、親に起こしてもらいがちである。

7.失敗の振り返りや反省をせず、同じ過ちを繰り返しがちである。

8.何をするにつけても自己評価が甘い。

9.先を見通す目がなく、何事につけても考えが甘い。

10.人との競争を嫌がり、避けて通りがちである。

 

 こういった要素を多くもつ人間は、今日の社会で自分を通用させることができませんし、何をするにつけても、どんな環境に身を置いてもうまくやっていくのに苦労をすることになります。優秀な生徒の通う学校に進学すると、行動の自律性や判断力、実行力、自己修正力、環境適応力などがかなりの水準で求められます。先生がよい授業をしてくれても、それを吸収するための構えが足りなかったり、家で見直しや補強を自分でできなかったりすれば、まして宿題をやることすらできないようでは、1年も経たないうちに流れについて行けなくなってしまいます。そういう生徒をフォローすることを求める保護者がおられますが、そもそも私学は自分のことを自分でできないような生徒が行くところではありません。先生に頼るのはお門違いです。また、再び塾通いをしても、社会に通用する自律性を育てることがますますままならない人間になってしまいます。

 行動の自律性は、児童期までに身につけるべきものです。中学校に進学すると、部活や交友などが加わり、学ぶ教科も多様になり、毎日の生活はますます多岐にわたるようになります。一旦後手に回った勉強を巻き返すには、積み残した勉強をやり直しながら、新規に学習する事柄にも取り組まねばなりません。それは大変なことです。中学生や高校生は忙しい毎日を送っています。一旦後手に回った学習を立て直すのがいかに大変かは、保護者にはよくおわかりいただけると思います。

 もしも、上記にあげた10個の問題を中学受験のプロセスで解消できたならどうでしょう。親の心配は格段に減りますし、何よりもお子さんの中学高校生活が快適なものになるでしょう。児童期は、個々の性格や物事に対する取り組みの姿勢が定まる時期にあたります。中学受験準備の生活を通して、自律型の人間に成長できるよう指導する。それが家庭学習研究社の掲げる学習指導の基本方針です。指導のシステム、授業、教材、テストの制度、保護者への情報サービス等は、全てこの方針に基づいています。志望校に受かったことの真の価値を決定づけるのは、「進学後の教育環境で更なる成長のために求められる準備をしていたかどうか」にあります。言いかたを変えるなら、この準備をしっかりとしていたお子さんは、どの中学校に進学しても学校環境に適応し、自己の成長を自ら引き出せる自律の人になっている」ということです。これをめざしたいのです。

 無論、この目標を達成するプロセスは平坦ではありません。小学生にとって上記に挙げた10個の問題は誰にも生じがちなものであり、適切な行動へ導くには周囲の大人、とりわけ保護者のサポートが欠かせません。ですが、完璧にならずともこういった要素の重要性を子どもに教え、子どもに働きかけることが大切だと思います。高度な内容の課題に早くから手をつけるよりも、自分でものごとを考え自分で見通しをもってやり遂げる姿勢を養ったり、失敗を薬にして自分を修正する力を養ったりするほうが、将来の大成につながるのではないでしょうか。そのほうが地に足の着いた勉強ができますから、本物の学力が身につくのは間違いありません。

 以上のような考えに基づく弊社の学習指導について、また、弊社の学習指導全般について、各校舎の責任者が保護者にご説明する「入会ガイダンス」という催しも開催しています。各校舎で、開講までにあと1~2回実施する予定です。よろしければ、弊社のHPの催し案内をご覧いただき、ご都合が合えばぜひ参加ください。資料のお取り寄せも可能です。本部事務局または最寄りの校舎にお申し付けください。折り返しご家庭に送付いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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