中学受験 男子と女子に立ちはだかりがちな壁って!?

2022 年 2 月 17 日

 新型コロナ感染拡大が収まらぬなか、迷った末に実施した低学年部門の「体験授業会」ですが、昨日の((2月16日)「己斐校 玉井式体験授業」をもってすべての日程を終了しました。

 いまだコロナ禍のさなかにあり、感染の危険性が高い状況にあります。そんななかでの「体験授業」であり、しかも低学年児童が対象ですので、参加いただいたご家庭はそんなに多くはありません。それでも校舎によっては、各学年とも受け入れ限度として設定した枠いっぱい近くのご家庭に参加いただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 低学年児童の保護者は、何よりもわが子の授業参加の様子や、指導の現場である教室の雰囲気を見て確かめたくなるものです。わが子の健全な成長を願い、現状を見極めようという思いが強くあるからでしょう。したがって、通年はお子さんがたが初めて足を踏み入れる学習塾の雰囲気に慣れた頃を見計らい、保護者には教室に移動していただき、授業を参観していただいています。しかしながら、オミクロン株による感染がまだ収まっていないこともあり、参観はご遠慮いただかざるを得ませんでした。誠に申し訳なく思っています。

 そこで、全部の会場ではありませんが、低学年部門の設立者である筆者が可能な範囲で会場に出向き、授業時間と併行して「低学年児童期の学力形成の重要ポイント」「ジュニアスクール・玉井式国語的算数教室の特徴と指導のしくみ」「低学年児童期の家庭教育」などをテーマに掲げ、保護者に約70分かけてご説明しました。70分と言えば、大人にとってもいささか長時間であり、最後までお聞きいただくのは申し訳ないと思っていましたが、熱心にお聞きくださるのみならず、ノートにメモを取ってくださるかたが多数おられ、感謝の気持ちと同時に、頭の下がる思いをいたしました。参加くださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。

 終了後、会場で保護者の方々にもっと時間を割いて強調すべきことがあったのを思い出しました。今回はそのことについてお伝えしようと思います。それは、筆者自身が長年中学受験指導を行い、子どもたちをつぶさに見てきて痛感していることです。それは、男女が突き当たる壁の存在です。子どもたちすべてに当てはまるものではありませんが、ちょっとご紹介しておきましょう。
 

① 男子 ~読み書き能力の発達の遅れがブレーキになる~

 男子の多くは、読む力や書く力の発達の遅れが、学習成果をあげるうえでブレーキになりがちです。特に顕著なのは国語、とりわけ物語の長文読解です。登場人物の行為と心情の関係がきちんと理解できず、的外れな解釈をしがちです。相手の行動を促すため、敢えて厳しいことを言ったり、嘘を言ったりしている場面がよくありますが、その言葉の裏にある気持ちや意図を読み取れません。また、記述式の問題に対する回答を見ると、主述の関係が整っておらず、ちゃんとした文になっていないことが多々あります。

 説明会では、子どもの語彙発達の様子を、資料を使ってご説明しました。4~6年生の児童期は、人生でいちばん語彙を多く獲得する時期にあたります。発達心理学者が「語彙の爆発」と呼ぶこの急激な語彙の増加は、低学年期の読みの態勢づくり、読書の励行、家庭内の会話などがベースにあってこそ可能になります。男の子の多くは、音読を経て黙読へ移行する流れが荒く、本の著述内容の把握がおろそかになりがちです。また、筋の展開を追いかける表面的な読みに終始する子どもが多いものです。それが人物の心情把握や抽象的な表現の理解力を欠く原因になりがちです。

 また、家庭内の会話も自分の考えを丁寧に伝えたり、相手の伝えようとしていることを正確に受け止めたりするための練習の場になっておらず、思考を言語化したり、相手の思いを踏み込んで理解したりする力を欠きがちです。また、自分の思いを綴る経験を豊富に積んだ子どもは、たとえ進歩が遅くても、やがては上手に書けるようになるのですが、このステップを欠いたまま高学年になると、書くことを極端に苦手がる子どもになりがちです。

 お子さんが低~中学年のうちなら、こういった読解力不足、記述能力不足の問題をうまく回避できるでしょう。この問題については、過去の記事に何度も対策をお伝えしていますので、心配なご家庭はぜひそれを参考にしていただきたいと思います。

 

② 女子 ~算数の図形・速さなどの単元を苦手にしがち~

 いっぽうの女子は、そもそも言語能力において男子より優位にあると言われます。さらに、丁寧に読む姿勢もあり、高学年時の読み取り能力は男子よりもずっと高いのが普通です。このことにも関連しますが、精神年齢も男子より1歳半~2歳ぐらい高く、人物の心情把握などの問題には、男子よりも圧倒的に強いという違いがあります。

 その女子が、こと算数の、それも図形や速さなどの単元となると、男子よりも苦手とする子どもが圧倒的に多いという問題が存在します。「そもそも女子は算数・数学に弱い」と、これまで言われてきましたが、これは能力の性差と言うよりも、幼児~児童期前半までの遊びや学習の違いがもたらす面が強いということが、最近の脳科学の進歩によって知られつつあります。男の子は、動くもの、形あるものに強く反応し、いじったり、組み立てたり、分解したりする遊びを飽くことなくやり続けます。たとえば、レゴを好むのは女子よりも男子ですね。いっぽうの女子は、静かで色彩豊かなものに反応し、強い興味を示します。塗り絵や着せ替え人形などがそれにあたるでしょう。

 女子のなかにも、男子と同じようなものに興味を抱き、手にしたがる子どももいます。そうすると、そういった経験が、形あるものや速さなどに対する感覚的素養を磨いてくれるわけです。そのことに鑑みると、今のうちにそういった方面の才能を磨くような経験を女の子がすれば、状況は変わってくるのではないでしょうか。以前このブログで書いたことがありますが、弊社の5年部のテスト結果を分析してみたことがあります。図形単元のテストの平均点を、玉井式の出身者とそうでない子どもとの平均点を比べてみたのです。すると平均7~8点ほど玉井式出身者のほうがよいという結果が確認されました(年によって違いもあり、あまり強調し過ぎないよう配慮しています)。

 

 さて、ご存知のようにIT社会の訪れで、もはや男性か女性かを問わず、理系タイプの人間が強く求められているのが今日の日本です。いっぽう、グローバル社会の到来に伴って「語学、語学」と叫ばれるようになり、おびただしい数の若者が海外留学をしていますが、外国語を武器に就職で引手あまたかというと、それほどでもありません。「語学力」だけでなく、「専門性」や「発信力」「コミュニケーション能力」を携えていないと、語学だけでは食べていけません。つまり、外国語を話すとき、日本語を話すときに関わらず、自分の思考を言語化する能力や、他者とうまく意思を通じ合える力がなければ社会で自分を通用させることはできません。ですから、理系の感覚的素養を生かせるかどうかも、語学に堪能であることを生かせるかどうかも、人間としてバランスのとれた成長が伴ってこそのことだと言えるでしょう。

 もう一つ。児童期までの学習においては、文系か理系かに偏るべきではありません。将来の進路の選択肢をしっかりと担保できる人間にわが子が育つよう、バックアップしてあげたいものですね。その意味において、今回お伝えしたことが、お子さんの教育のありかたについて考えるうえで多少なりとも役立ったならうれしいです。

 低~中学年児童期のお子さんには、自らの能力開発に欠かせない、今こそ経験しておきたい学習事項が厳然とあります。お子さんの現状を振り返り、今手を打つべきことは何かをチェックしてみてください。

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“オノマトペ”を親子で楽しもう!

2022 年 2 月 11 日

 新年度の講座の開講日が少しずつ近づいてまいりました。とは言え、学校が新学期を迎えるまでにはだいぶ時間があります。まだ学習塾選びが終わっていないご家庭も多数おありでしょう。弊社への通学を検討いただいているご家庭におかれては、まずは「会員選抜試験」を受けてみてください(無料です)。お子さんの算数と国語の基礎学力の状況もおわかりになるでしょう。首尾よく合格されたら、ぜひ入会に向けて親子で話し合っていただければと思います。

 6年部の会員家庭におかれては、長かった受験生活が終わり、親子共々一息ついておられることでしょう。弊社の合格実績については、ホームページでご報告している通りです。男女の私立難関校の合格者数は、もう少しよい結果を予想していましたが、毎年同じわけにはいきません。広島大学附属の合格者数は、調査書が関与するせいか合否の予測がやや難しく、弊社内での学力判定通りにならないこともあります。昨年は、予想外に合格者が多く、今年はその逆の結果になったというところでしょうか。受験生の進路選択の状況は、詳細を把握するまでに至っていません。また、機会を見てご報告する予定です。

 さて、今回のブログの話題に移りましょう。ご存知のように、日本は年間を通して雨が多く、豊かな水資源に恵まれた国です。無論、人間にとって水は生命にかかわる重要なものですが、日本ではその水に事欠かない代わりに梅雨時には大雨や洪水にも悩まされます。またそのいっぽう、水(雨や雪)は季節の移り変わりに彩りを添える大切な役割も果たしています。必然、日本には水に関する言葉がたくさん存在します。今回は、このことに関わる話題を取り上げ、お子さんとの言葉遊びにつなげていただくことをご提案してみようと思います。

 なお、今回の話題を思いついたのは、文明に関する評論で有名な森本哲郎氏(1925-2014)の有名な著作(「日本語 表と裏」新潮文庫)が自宅の本棚で目に留まり、久しぶりに読んでみたことがきっかけでした。そこに関わる著述をちょっとご紹介してみましょう。

 (前 略)日本人は水の音に限りない親しみを抱き、安らぎを覚え、懐かしさを感じるのだ。芭蕉が「古池や」の一句をもって俳聖のように仰がれ、蕪村が春の海を「のたり/\」と表現したことで人口に膾炙(かいしゃ)されるようになったのも、けっしてゆえないことではない。

 では、日本人の胸の奥で、水はどのような音を響かせているのだろうか。水音を表現した擬態語、擬声語がその微妙な音をさまざまにつたえている。擬態語というのは、ものごとの状態を象徴的に音であらわした語であり、擬声語というのは物音や動物の鳴き声などを、写実的にとらえた語である。言語学では、それをオノマトペ onomatopéeというが、日本語には、こうした擬声語、擬態語がきわめて多い。オノマトペが日本語の特質だといってもよいほどである。このことは、おそらく日本人が音に対してきわめて敏感であることを語っているのであろう。そして、それも水と深い関係があるように思われる。というのは、数多くの擬声語、擬態語のなかでも、ことに水に縁のある語が目立つからである。

 上記引用部分の後、著者の森本氏は水に関わる擬声語の実例をたくさんあげておられました。今からそれらをご紹介してみますが、そのまま言葉を取り上げるのではなく、穴埋め式にしてみました。○の部分に当てはまる文字をお子さんと一緒に考え、クイズのように楽しんでみたらいかがでしょうか。

1.水で布などを洗う音     ○ぶ○ぶ    
2.涙が流れる様ようす     ○め○め
3.水気を含んでいるようす   ○っ○り
4.湿気が過度なようす        ○め○め
5.水がたえず流れ出る状態   ○ゃー○ゃー
6.水が揺れ動くようす     ○ゃぶ○ゃぶ
7.水滴が垂れる音       ○た○た
8.水が跳ねるようす         ○ちゃ○ちゃ
9.水にひどく濡れるようす   ○ちゃ○ちゃ  
10. 水にひどく濡れるようす    ○しょ○しょ
11. 水に軽そうに浮かぶようす    ○か○か
11. 水に沈むようす         ○く○く
13. 雨が降り出すようす      ○つ○つ
14. 水から泡が浮かぶようす    ○か○か
15. 水を一気に飲み干すようす   ○ぶ○ぶ
16. 水が吸い込まれるようす       ○ぼ○ぼ
17. 大波が打ち寄せるようす        ○○ろ
18. 滝が落ちるようす          ○う○う
19. 石が水中に落ちるようす       ○ぶん
20. 水が跳ね返るようす        ○ちゃっ
21.
夕立が降るようす          ○ーっ
22. 梅雨の雨が降るようす          ○と○と

 こうしてみると、オノマトペには同じ音の繰り返しが多いですね。上記のクイズは低学年児童には無理でしょうが、4年生ぐらいだとそこそこ答えられるかもしれません。試してみてください。また、なかには保護者の方々にも難しく感じられた設問もあったかもしれません。それは、質問者である私の不適切な設定のためです。お許しください。

 ほかにも、日本には水に関する言葉が実に数多くありますね。それらを一緒に調べてみるといいですね。そうすると、生活に密着したものほど、細かくいろいろなことばの振り分けがあるということにお子さんも気づかれるでしょう。

 雨にしても、外国ではただ雨に該当する言葉ぐらいしかない国もあるのに対し、日本には五月雨、時雨、にわか雨、春雨、夏雨、驟雨(しゅうう)、涙雨、暴雨、天気雨、狐の嫁入り、お湿り、慈雨、霧雨、小ぬか雨、村雨、通り雨・・・なんと多彩な雨の呼称があることでしょう。おもしろいですね。いっぽう、日本で牛や豚などを食するようになったのは欧米諸国よりもずいぶん遅いからでしょうか。これらの動物の肉の部位を細かく分けて言い表す習慣はありませんでした。そのせいか、ロースとかカルビ、リブ、サーロインなど、多くは外来語をそのまま使っています。

 ところで、森本氏の「日本語 表と裏」には、上記のようなオノマトペの語源について触れている箇所があります。

 (前 略)「雨がしとしと降る」の「しとしと」という擬態語であるが、おそらくこの語は、「湿」という漢字から生まれたのであろう。その「湿」から、「しっとり」も、「じゃぶじゃぶ」も、「じめじめ」、も、「しゃーしゃー」も派生したと思われる。が、ひとたびそのような音声がオノマトペとして使われるようになると、それは本来の語義から独立し、微妙な情感を育て上げることになる。たとえば、清音と濁音の使い分けがそうである。水には澄んだ清い水と、濁った水とがある。そうした水の様相は、そのまま音声にはねかえって、「しとしと」と「じとじと」とが区別され、「しっとり」と「じっとり」、「しゃーしゃー」と「じゃーじゃー」さらには「きらきら」と「ぎらぎら」「はらはら」と「ばらばら」、「さーっ」と「ざーっ」という使い分けが成立した。そして清音は快く、濁音は不快感を伴う感覚語になったのである。

 この記述は、おとうさんやおかあさんにとっても参考になると思います。こうしたことを話題にしながら、お子さんが言葉というものに興味をもち、豊かな感性を育むよう導いてあげてください。きっと日本語に対する興味が随分と違ってくると思います。そのような時間をもつこと自体も、各家庭にとって大いに意味があるでしょう。

 

※正解 1.ざぶざぶ 2.さめざめ 3.しっとり 4.じめじめ 5.じゃーじゃー 6.じゃぶじゃぶ 7.ぽたぽた 8.ぴちゃぴちゃ 9.びちゃびちゃ 10.びしょびしょ 11.ぷかぷか 12.ぶくぶく 13.ぽつぽつ 14.ぼこぼこ 15.がぶがぶ 16.ごぼごぼ 17.とどろ 18.ごうごう 19.どぶん 20.ばちゃっ 21.ざーっ 22.しとしと

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低学年部門の講座ってどんなの? 「体験授業」実施中!

2022 年 2 月 4 日

 広島県内の中学入試があらかた終わりました。現在、弊社会員受験生の入試結果の確認作業をしています。今年の合格実績は、もうすぐホームページにて公表する予定です。

 さて、家庭学習研究社には、小学校1~3年生を指導の対象とする低学年部門があります。現在、「体験授業会」を各校舎で実施していますが、新型コロナウィルスの感染問題が収まっておらず、保護者の参観はご遠慮いただいています(誠に残念です)。そのため、保護者には授業と併行して低学年期に大切にすべき学習は何か、弊社低学年部門の講座はどのような内容になっているのか、などについて通年よりも詳しくご説明しています。まだ実施していない校舎・講座もあります。興味をもたれたなら、ぜひ参加いただければと思います(定員に達しているところもあります。ご了承ください)。

 実は、この「体験授業会」での保護者への説明は筆者が担当しています。今のところ、どの会場においても保護者の方々は熱心に耳を傾けてくださり、とても感謝しています。これからお伝えする内容は、保護者にご説明している内容とリンクしており、弊社の学習指導をはじめ、低学年児童の学習や家庭教育などについて参考にしていただけるのではないかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

①ジュニアスクール (広島市内4校に設置 3年生対象)

 50年余り前の設立以来、弊社は「受験での合格」のみに注力するのではなく、「将来の大成」を眼目に置いた指導の実践を心がけています。その中心には、「子どもの自立勉強の達成」という方針があります。これがレベルの高い中高一貫の教育環境で大いに効力を発揮するからです。そのため、基礎・基本を徹底しながら、子どもが自分で考え、自分で算段しながら勉強を進めていく姿勢を涵養すべく、システムや教材などの全てをオリジナルで展開しています(一般の教材に適するものがありません)。

 ジュニアスクールは、このような受験部門の流れをくむ講座ですので、すべてオリジナル(手づくり)で展開しています。低学年期は、母国語をマスターするための最重要期です。読み書きの基礎が盤石であれば、全ての教科の学習が快適に進められます。そこで、何はともあれ「確かな読み書きの基礎」の構築をめざしています。具体的には、言葉のもつ利便性に気づき、言葉に対する興味が深まるような授業を実践しています。家庭学習教材(B4のプリント)には選りすぐりの長文を載せ、楽しく集中して読み通す経験を通して、確かな読み取りの力を養います。書く力は、お仕着せの勉強では養われません。子どもの「書きたい」という気持ちを刺激し、思いを綴る練習をしていきます。

 もう一つ、将来の歩みを左右するのが算数力です。低学年期の算数学習は難度を追うよりも、「九九」や「筆算」など、将来まで活用する基本中の基本を固めておくべきです。それともう一つ、計算に強いだけでは十分ではなく、自分で計算式を立てる力が必要です。そこで、数の意味を理解することが必須となります。具体的な場面を把握し、数のもつ意味を把握していれば、式は自分で立てられるものです。このような力を養うための指導をしています。また、算数には図形単元に代表されるような、感覚的素養(図形の瞬間的な識別、空間把握など)を必要とする分野があります。この分野の才能は、脳の柔らかい年齢期(9歳前後まで)の遊びや学習の体験で決まります。ジュニアスクールでは、このことを踏まえた学習を多く採り入れ、子どもたちが楽しく学びながら算数のセンスを磨いていくよう指導しています。

【ジュニアトピック】ジュニアスクールのよさの一つは、授業後の子どもたちの笑顔です。「ああ楽しかった!」と口々に言ってくれます。それは、強制された訓練的学習でなく、自分で発見したときの喜びや、作業を多く採り入れた学習の楽しさをたっぷりと味わえるからだと思います。「勉強って、よいものだ」という観念を浸透させた子どもは、先々も自ら学ぶ姿勢を維持し、自立した学習者に成長できるでしょう。

 

①玉井式国語的算数教室 (全6校舎に設置 1~3年生対象)

 弊社はオリジナル講座のほか、玉井満代先生の創設された「玉井式国語的算数教室」も低学年児童向けの講座として設置しています。「どちらがよいの?」という質問をよく受けますが、異なる趣旨の講座であり、目的に応じて選んでいただいています。ただし、玉井式を全校舎に配置しているのは、こちらのほうを選択する家庭が多いからです。実際、体験授業では両方を受けられる家庭が多いのですが、保護者は「玉井式のほうがキャッチ―ですね」と反応され、子どもたちも玉井式のアニメーションに惹かれる傾向があります(手作業の多いジュニアのほうを好むご家庭も結構あります)。

 ジュニアスクールは、「算数・国語の基礎学力形成」や「前向きな学びの姿勢の確立」「確かな学習習慣の育成」を目的とするのに対し、玉井式のほうは「才能開発教室」の色彩が強い点に大きな違いがあります。子どもたちには、それぞれ生まれもった才能があります。しかしながら、その才能が芽吹くためには、一定年齢までにその才能発揮に関わる脳領域に刺激を当てる必要があります。その多くは9歳前後であり、低~中学年児童期は才能を顕在化するうえで最後のチャンスと言える時期です。特に算数のセンスと呼ばれる領域の才能の開発に玉井式は大変有効であり、これに特化した講座として玉井式には大きな魅力があります(早期教育とは異なります)。

 「玉井式国語的算数教室」という講座の呼称は、「国語の要素(文章読解力の育成)を含んだ算数の教室」という意味だとご理解ください。つまり、基本的には算数講座です。なぜ読解力の要素を併せもつのかというと、算数の文章題で躓く子どもは、算数以前の領域、すなわち文章を読む力が足りないことが主要な原因となっています。それに着目された玉井先生は、授業で扱う算数のアニメーションの物語の続きを長文にし、それを読み進めることによって読解力を育成するというユニークな提案をされています。アニメーションの続きを知りたいという子どもの欲求が、長文に対する食いつきや理解をサポートしてくれるのです。

 アニメーションは、算数の才能開発に大きな役割を果たします。物語がおもしろくて惹きつけるだけでなく、具体的状況下で数を登場させるので、子どもたちは自分で数の動きに着目して課題を解くための式を立てられるようになります。プリントの計算練習よりもはるかに実戦的な計算力を身につけることができます。また、アニメーションは図形や速さなど、算数で差がつきやすい感覚的な素養を問われる分野の才能開発に貢献します。形あるものを様々な角度から検証したり、展開図を自在に開いたり閉じたり動かしたりする様子を集中して視覚でとらえる経験が、この方面の才能の開花に有効なのです。物語のアニメーションを介した学習と、図形のアニメーション学習とは子どもたちの人気を二分しています。

【玉井式トピック】 授業の様子を見ていただくとすぐおわかりいただけるのですが、子どもたちがアニメーションを食い入るように集中して見ています。ボンヤリしたり、手悪さをしたりしている子どもは一人もいません。これもアニメーションのなせる業でしょう。とは言え、アニメーションが授業をしてくれるわけではありません。授業の進行はジュニアスクールと同じく、担当の先生が行います。一人ひとりをしっかりと見守りながら、適切に導いていきます。

 

 低学年児童の保護者のなかには、「勉強はもう少し上の年齢になってからがんばればよい」という考えのかたもおありでしょう。ですが、読み書きの基礎も、算数の計算力の習熟度も、算数の感覚的素養も、正式な学習が始まってからおよそ3年程で個々の能力として定まります。この年齢期までの取り組みや経験が、高学年になった段階での学力を規定すると言っても過言ではありません。つまり、今やるべきことは厳然と存在します。もしもお子さんに、将来学問的に高い水準への到達を期待しておられるなら、今やっておくべきことを決して疎かにしないことです。くり返しになりますが、難しい勉強に早期から手をつけろということではありません。今やるべきことは何かを知り、それにしっかりと取り組む必要があるのだとご理解ください。

 低学年児童は一人で塾に通うのは困難ですし、近くに適当な塾がないご家庭もおありでしょう。そこで弊社では、「ホームワークコース」という家庭学習で基礎学力を養う部門を設けています。こちらは受験部門の下部組織であるジュニアスクールの家庭学習用教材で学んでいただくコースです。毎月算数と国語の教材一式をお送りし、取り組んだものを弊社にお送りいただきます。それを担当者が点検し、励ましのコメントをつけて返送するシステムとなっています。興味をもたれたなら、資料をご請求ください。折り返しご家庭に送付いたします。

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2022中学入試が間もなく終わります

2022 年 1 月 28 日

 今年の広島県内の中学入試は、新型コロナウィルス感染拡大の第6波のさなかで行われています。幸いなことに、明日予定されている県立広島中の適性検査、明後日の附属東雲中の入学試験、およびまだ残っている一部の私学の入学試験が無事に実施されると、ほぼすべての中学校の入学者選抜が終了します。いっときは、「入試はどうなるのか」と心配しましたが、とにもかくにも無事に各中学校の入試が行われています。

 どの中学校の入試関係者の方々も、「何とか入試を無事に終わらせなければ」と苦慮し、様々な対策を講じられたことでしょう。それぞれの中学校で小さなアクシデントはあったかもしれませんが、いずれの中学校におかれても、これまで予定どおり入試を終えておられます。学校の先生がた、関係者のみなさまのご苦労は想像に難くありません。心より「お疲れさまでした」と申し上げたいと存じます。

 振り返るまでもなく、今年の受験生は前代未聞の状況下で入試を経験することになりました。新型コロナウィルスの感染問題が解消されないなかでの入試は覚悟していたものの、新種のオミクロン株による感染者がものすごい勢いで増加し、「このままだと、入試ができなくなる中学校も出てくるのではないか」という危惧の念をいだきました。「わが子がこの大事なときに感染などしませんように」と願いつつ、どのご家庭の保護者も無事に入試を終えるまで気遣いや対策に追われながらの毎日を過ごされたことでしょう。インフルエンザが流行したり、強い寒波のために雪に見舞われたりして、入試に影響が出たことは過去幾度となくありましたが、今年ほど過酷な条件下で行われた入試はなかったと思います。どのご家庭におかれても、今やっと張り詰めた緊張から解放されたことであろうと拝察いたします。無論、感染の危険性は少しも緩和されていません。一息つく余裕もなく、お子さんやご自身の感染回避に向けて気を引き締めておられることでしょう。

 ともあれ、すでにほとんどの中学校で合格者の発表も終了しています。弊社会員の合格状況ですが、今のところ例年と大きくは変わりません。ただし、多くの中学校で補欠者が発表されており、その中学校を本命にしているご家庭におかれては、繰り上がりを心待ちにしておられると思います。弊社では、これらの受験生の合否をおおよそ確認したうえで今年度入試の合格状況を公表する予定です(HPにて)。今しばらくお待ちいただきますようお願いいたします。

 長かった受験までの道のりでしたが、とうとう終点にたどり着きました。少しでも多くの受験生がよい結果を得ておられることをお祈りするばかりです。ですが、周知のとおり入学試験は入学希望者のなかから入学者を選別するために行われるもので、夢がかなわなかった受験生家庭も少なくないことでしょう。指導にあたった者は、担当クラスの受験生の入試結果が発表されるたびに合否を確認していますが、首尾よく実力を発揮して志望校への合格を得た受験生もいるいっぽう、「このお子さんは大丈夫」と思っていた受験生が思いもしない結果を突きつけられるケースも目の当たりにします。そのたびに落胆の気持ちや合格に導けなかった無念の思いに駆られます。

 ですから、毎年の学習塾としての合格実績がよくても悪くても、一喜一憂することはありません。つぎにお預かりする受験生がもっとよい結果を得られるよう、より効果ある学習指導の実践に向けて気を引き締め、新年度の受験生の学習指導に臨んでまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

 さて、この後は筆者から受験生のご家庭に向けた提案をさせていただこうと思います。

 中学受験は、各ご家庭のお子さんがよりよい教育環境を得るためにするもので、相当な期間の準備が求められます。受験生のお子さんは、決して楽ではない勉強を相当な期間継続する必要がありますし、友達と遊ぶことや好きなスポーツに熱中することを断念されたケースも少なくないでしょう。また、保護者におかれても、お子さんの学習の状態を見てサポートをしたり、機を見ては声をかけたりされたるなど、いろいろとご苦労があっただろうと思います。なかには、見たいテレビ番組を控え、静かな環境でわが子が勉強できるよう配慮されたおとうさんもおありでしょう。

 つまり、受験生のお子さんも、見守り応援されるご家族も、お互いに多くの我慢をして親子共通の夢の実現のためにがんばって来られました。筆者は、中学受験はその意味において家族全体の大きなイベントなのだと思っています。このイベントの大きな意義は入試結果ではありません。お子さんは親の愛情と期待を背に奮闘する体験を通して、自分という存在に対する手応えとともに、親のありがたさを身に沁みて感じておられるでしょう。親はわが子が本気になって受験勉強の取り組む日々を見守ることで、わが子の成長ぶりを目の当たりにすることができたと思います。そこに最大の意義があり、各ご家庭の記念すべきイベントとしての価値があるのだと思っています。

 もうじき、お子さんは思春期を迎えます。このとき、大概の家庭は揺らぎます。お子さんはことあるごとに親に反発し、親はわが子の豹変ぶりにたじろぎ、どうしてよいか途方に暮れることになります。ですが、中学受験を無事に乗り越えたご家庭は心配要りません。受験までの助走を通して、親子の強い信頼関係を築いてこられたのですから。このあと、親がわが子に助言する機会はぐっと減ると思います。というよりも、親の声にわが子は耳を傾けてくれなくなるのが普通です。ですが、根底に強い信頼の気持ちがあれば、難しい思春期の危機を無事に乗り越えることができます。

 そうしたことも含め、入試が終了した今、互いの気持ちを確かめ合ってはいかがでしょうか。おとうさんやおかあさんにおかれては、お子さんにつぎのような言葉かけをしてみたらどうかと思います。

★ 受験生活で、成長できたと思うことは何かな?
★ もっとこうすればよかったと思うことはあるかな?
★ おとうさんやおかあさんに、今言いたいことはないかな?

 そして、お子さんの今の気持ちを聞いたら、つぎはおとうさんおかあさんから今お子さんにかけてあげたい言葉を伝えてあげていただきたいですね。何でも構いません。何か成長したなと感心しておられることはありませんか? 目先の楽しさを追いかけたい年齢期に、自分の行動をコントロールする経験をしたことも意味のあることです。実際のところ、もっとがんばってほしかったと思っておられる保護者もおられるかもしれませんが、勉強を投げ出すことなく入試を迎えたことだって大きな成長です。また、自分に足りなかったのは何かを考え、今後に生かそうという気持ちを感じたなら、それも大いなる成長です。そうしたことを含め、今親としてわが子に伝えてやりたい気持ちを言葉にしてみてはいかがでしょうか。 

 少し照れ臭い保護者もおられるかもしれませんが、中学入試という大きなイベントの締めくくりをし、親子共々次のステップへと進んでいただきたいですね。ともあれ、受験までの長い日々、様々なプロセスを経て、とうとう入試への挑戦が終了しました。ほんとうにお疲れさまでした。

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悔いなき受験に向けて、ベストを尽くしましょう!

2022 年 1 月 19 日

 早いもので、広島の中学受験シーズンも後半に突入しています。1月22日(土)には修道中と広島女学院中、23日(日)には広島学院中とノートルダム清心中の入試が行われます。これら4校は広島の私学を象徴する中心的な存在ですから、第一志望校にしておられる受験生も多いことでしょう。また、翌24日(日)には伝統校として人気の高い広島大学附属中の入試が控えています。さらに、29日(土)にはすっかり公立一貫校の難関として定着した県立広島中の入学者選抜も実施されます。

 すでに予定していた入試を終え、進路を早々と決めた受験生もおられることでしょう。ですが、まだ大半の受験生にとってはこれからが山場です。ベストコンディションで入試を迎え、もてる力をすべて発揮できるよう、受験生のお子さん自身は無論のこと、保護者の方々におかれても体調やメンタル面のフォローをしっかりとしてあげてください。親子共々、悔いなき受験の達成に向け、万全を期して入試に臨みましょう!

 入試直前にやるべきことや、必要な心構え等については、指導担当者からお伝えしていると思います。そこで、筆者からはその種のことについて混乱が生じないよう、あまりでしゃばったことは書かないでおこうと思います。それでも敢えてお伝えしておこうと思うこと、入試当日のメンタルコントロールなどに的を絞り、ここでお伝えすることにしました。参考になる点がいくらかでもあれば幸いです。

 

①これから入試終了までは「睡眠第一」を心がけましょう!

 受験の直前になると、まるで待っていたかのように「あれをやっていなかった」「これも不十分だ」「あっ、大事なことを忘れている!」などと、自分の足りない部分がやたらと思い浮かぶものです。それはおたくのお子さんが本気になっている証拠で、大概の受験生は同じような心理状況にあるものです。

 こうした不安にかき回され、あれやこれやと手をつけていると不安や焦りが助長され、やっていることの半分も頭に残らなくなりがちです。また、その挙句夜中まで勉強に明け暮れることで睡眠不足になると、もてる実力を発揮するのが難しくなってしまいます。

 睡眠は疲れを取ったり、心の安定に寄与したりするうえで欠かせないものです。また、記憶を整理整頓するという重要な働きも担っています。これらはすべて入試でのパフォーマンス発揮に欠かせないものですから、睡眠確保は志望校合格に向けて必須の条件だと言っても過言ではありません。お子さんにそのことを伝え、入試直前に無理な勉強を控え、しっかりと眠るようアドバイスしてあげてください。

 

②入試当日の服装は二段構えで!

 入試会場への移動で体を冷やすと、体調に異変が生じてテストでのパフォーマンス発揮に影響が出てしまいます。温かい服装を心がけましょう。そのいっぽう、いざ試験が始まると厚着をしていたお子さんは眠くなったり頭がボーっとしたりして、頭の冴えを失ってしまいます。先日のブログにも書きましたが、試験中は多少寒気を覚えるくらいの状態のほうがよいと言われています。ですから、室内で上着を脱いだ状態になったとき、「わずかに寒い」と感じるぐらいのコンディションに持ち込めるよう、服装については二段構えで臨むようご配慮ください。

 念のために理由を申し上げると、脳は寒く感じることで体に警戒が発せられ、神経が研ぎ澄まされた状態になるからです。そんなときこそ、最も頭が冴えて思考が活発になってくれるのです。額に汗をかいた状態と比較してみてください。脳のテンションと働きが大きく違ってくるのは想像に難くありません。

 

③入試会場には早めに到着する。時間ギリギリはもってのほか!

 入試当日は交通の事情しだいで到着時間が大幅に変わることもあります。ギリギリに到着したときのことを想像してみてください。不安と焦りで頭はパニック状態。さらに到着しても試験会場への入室までの手続きや経路を確かめねばなりません。入試会場へは早めに到着するに限ります。それなのに、毎年「ハァ,ハァ」と息せき切って入試会場に駆け込む親子を見かけます。それを見るたびに、「どうして肝心の本番でこんな失敗をされるのだろうか」と、残念な思いに駆られます。

 早め(30分余り前が目安)に着いたお子さんの心理状態を想像してみましょう。入試会場に到着すると、誰でもいったん鼓動が速くなり、緊張状態に陥ります。しかし、時間がこれを解決してくれます。連れ添ってくれているおかあさんやおとうさん、入試会場で見つけた友達などと少し会話をしたらいつの間にか落ち着きを取り戻せるものです。この余裕があるとないのとでは、パフォーマンス発揮に雲泥の差が生じるのではないでしょうか。保護者には、前日までに交通手段と経路を確認し、早めに到着するための算段をお願いいたします。

 

④開始直前のメンタルコントロール

 これもすでにお伝えしたことですが、いよいよ試験開始の時間が迫ってきたら、深い深呼吸をすると過度の緊張状態になるのを回避することができます。

 まずは目を瞑り、鼻で大きく息を5秒吸います、それから約十秒かけてゆっくりと口から息を吐きます。多くの人は、深呼吸と言われると、一気に息を吸って一気に吐くため、呼吸が浅くなってしまい、深呼吸の効果が得られないそうです。これを三度くらいしたうえでテストに臨みましょう。おそらく、何もしない状態よりも心拍が落ち着き、緊張でパニック状態になることはありません。

 もうひとつ、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と心の中で自分に言い聞かせると、心の落ち着きを維持することができます。深呼吸をした後、いよいよ試験の開始が迫ってきたときにこれをおまじないのようにするとよいかもしれません。

 いずれにせよ、緊張は悪ではなく、能力発揮にとって必要なことであり、むしろ受験生にとって味方なのです。そのことは、最近のブログ記事に学者の実験結果とともにお伝えしました。ほどほどの緊張状態こそ、いちばんパフォーマンスの発揮できる条件なのです。

全ての受験生が最高のパフォーマンスを発揮されますように!
受験生のみなさんのご健闘をお祈りいたします。

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