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タイトル | 子うさぎのチノ | |
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著者 | 今村 葦子 | |
出版社 | ポプラ社 | |
「……ぼ、ぼくが、わるかったんだ」子うさぎのチノは、声をふるわせて泣きました。奥の部屋で、妹のチッチが苦しそうにせきをしています。昨日の午後、チノとチッチは、外に遊びにいったのです。辺りは一面の銀世界。真っ白な世界の中で、二人はヤドリギの小枝を見つけました。緑の葉っぱと真っ赤な実は、白一色の世界の中で、宝石のほうに輝いていました。でも、それは川っぷちにあって、取るのはとても危険です。「チノ、あぶないよ。やめて!」チノがヤドリギに向かって一歩踏み出すと、チッチが引き止めました。でも、チノはチッチが引き止めるのを振り切って近づいていきます。もうすこし。あと、すこしです。そのとき、「チノ、あぶないっ!」いきなり足元の雪にひびわれがはしりました。チノは思いっきり飛びのいたのですが、チノを助けようとしてかけよってきた、チッチが冷たい川の中にまっさかさまに落ちていったのです。どうやって、チッチを助けたのか、チノはほとんど何も覚えていませんでした。 「……ああ、どうしよう!もしチッチが死んでしまったら…。ぼくはどうしたらいいんだろう!……そうだ。チッチのために、何か食べ物を探してくるんだ!チッチが少しでも元気になるように!」チノはそっと家を抜け出して、真っ暗な夜の中に出て行きました。
チノの向かった先は、前におとうさんから聞いていた、食べ物がたくさん入っている農家の納屋でした。しかし、そこは大ふくろうやきつねが見張りをしている、とても恐ろしいところなのです。でも、恐れている場合ではありません。チノの戦いが今始まります。
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