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2年生向け季節の本

りゅうたのきょうりゅうノート タイトル りゅうたのきょうりゅうノート
著者 桜井信夫(作) 多田ヒロシ(絵)
出版社 くもん出版
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 二年三組の教室では、だれもが夢中になって絵をかいています。自由に、すきな絵をかいてもいい時間なのでした。

 いちばん前の席のりゅうたは、なんとなく首すじがかゆくなって、後ろをふりむきました。やっぱりそうでした。後ろのせきのゆうじと目が合いました。ゆうじは、手で合図してきました。『おまえが先生にいえよ!』ことばがなくても、そういっているのが分かりました。

 りゅうたは前をむきました。先生は、本を読んでいます。りゅうたは、かきかけのきょうりゅうを見てから、ちらっと後ろを見かえしました。ゆうじがぎろっと目を大きくして、口をぱくぱくさせています。『はやくしろ。はやくいえ!』めいれいです。

 りゅうたはしかたなく、大きなこえでいいました。
「先生……。」
みんながりゅうたを見ています。
「あの……、おしっこ。」
 りゅうたは、本当はおしっこになんか行きたくないのです……。

体が小さくけんかも弱いりゅうたは、あるできごとの後から、体も大きくすばしっこいゆうじに、からかわれるようになりました。それがいやで、りゅうたは外で遊ばなくなり、学校でも家でも絵をかくようになります。その絵がきっかけで……。「みんなとおなじでなくとも……」という作者からのメッセージがこめられたお話です。
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