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2年生向け季節の本

のろのろひつじとせかせかひつじ タイトル のろのろひつじとせかせかひつじ
著者 蜂飼 耳(作)
ミヤハラ ヨウコ(絵)
出版社 理論社
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 みはらしのよい丘に、のろのろひつじとせかせかひつじが、となりどうしでくらしていました。その名の通り、のろのろひつじは、いつでも、のろのろしていました。せかせかひつじは、いつでも、せかせかしていました。それでも、ふたりはともだちでした。

  年に一度、毛を売りに行く日にふたりは一緒に町へでかけます。のろのろひつじは、自分ではのんびりあるいているつもりはないのですが、せかせかひつじについていくことができません。せかせかひつじも、相手をおいていくつもりはないのですが、ふり返るとだいぶ後ろの方でのろのろひつじがあわてています。毛を売ったあと、ふたりはケーキ屋にむかいます。
「なににする?」
 せかせかひつじは、歩きながらせかせかと考えはじめてしまいます。
「みてからきめるよ。」
と、のろのろひつじはこたえます。

  のろのろひつじが得意なのは、スープをつくることです。ゆっくりゆっくりと煮込んだスープは、とてもおいしいので、せかせかひつじは大好きなのですが、それをつくることはできません。一方、せかせかひつじは、編み物が得意です。のろのろひつじが、冬を前にマフラーをなくしてしまって、
「いまから編んでも、寒くなる前にはとても間にあわないよ。」
と困っているのをきいて、せかせかひつじは、こっそりとマフラーを編んでプレゼントします。

 あそんだり、おしゃべりをしたり、おでかけしたり、ふたりはいつもいっしょでした。

全く正反対の二人ですが、それぞれの個性が、お互いのやりとりやエピソードを通して、おだやかな世界の中でえがかれています。読みながら、自分をどちらかにあてはめて「こういうところは、のろのろひつじに似ているな、こういうところは、せかせかひつじに似ているな」と、同感することもあるかもしれません。最後はおもいがけない展開なのですが、そのあとの二人はどうなったかを親子で思い巡らしてみるのも楽しいでしょう。
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