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2年生向け季節の本

こぎつねキッペのふゆのうた タイトル こぎつねキッペのふゆのうた
著者 今村 葦子(作)
降矢 奈々(絵)
出版社 ポプラ社
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「ね!みて、みて!」
「こっ、これは、なんだ?」
 森のなかまたちが、みかづき池のほとりでこうふんしてさわいでいます。そうです。みかづき池にこおりがはったのです。この冬、みんなは、生まれてはじめて本物のこおりというものを見たのです。かけらを手にとって、太陽にすかして色をじいっと見てみたり、はじをぱくっとかじってみたり、そして、かちかちにこおった池のこおりの上を歩いてみたり……。みんなはじめて見るこおりがめずらしくてたまりません。

  こねずみやうさぎ、といった重さのかるい子たちは、もう待ちきれずにこおりの上にとびだして、ぴゅーっとすべったり、くるくる回ったり、わいわい楽しそうにかけています。けれども、くまやたぬきなどの体の大きな子たちは、こおりがわれやしないかと心配で、思いきってとびだしてはいけません。池のはじで、他の子たちの楽しそうな様子をうらやましそうにながめているばかりでした。こぎつねのキッペもいっしょにくやしそうに、足をじたばたさせていました。それもそのはず、「あぶないことしちゃいけません」といつもとうさんやかあさんに言われているけれど、こおりなんてものは、初めてであったので、あぶないかあぶなくないかなんてわからなかったのです。

生まれてはじめて見るこおり。そのわくわく感は、お子さんにとっては、初雪が降ったときや朝起きた時まっ白にゆきが積もっていたときの気持ちに近いのではないでしょうか。キッペをはじめ、森のなかまたちがこおりで無邪気に遊ぶ様子をぜひ、そんな初雪のときのような気持ちを思い出しながら読んでいただきたいと思います。
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