2016 年 12 月 のアーカイブ

世界中を席巻する“男子の問題”って!?

2016 年 12 月 26 日 月曜日

 気がつけば、このブログも年内最終回となっています。1年が経つのは本当に早いものですね。みなさんにとって、この1年はどんな年だったでしょうか。

 中学受験に関わる広島県内の学習塾にとっては、相変わらず厳しい状況が長く続いています。少子化に歯止めがかからないうえ、中学受験熱が沈静化しつつあることが主要な原因でしょう(東京をはじめとする大都市圏では、相変わらず中学受験が盛んなようですが)。そのいっぽうで、学習塾の数が大幅に減っているのかというと、そんな話は聞きません。やがては一部の地域を除くと、学習塾の淘汰が進んでいくのではないかと思われます。

 弊社もこうした流れのなかで埋没し、存在感を失わないようがんばらねばなりません。来年度以降は、これまで以上に「子どもの望ましい成長に資する学習指導」の実現に向けて精進してまいります。また、子どもたちの合格の夢が叶うよう全力で応援してまいります。引き続きご支援をよろしくお願い申し上げます。

 先日、図書館でふと手にした本の題名が気になり、少し立ち読みをするや否やたちまちその内容に気持ちを奪われてしまいました。以前から気になっていた話題をとりあげたものだったからです。その話題とは、「男子の問題が世界中で深刻化している」というものでした。今回は、その本のごく一部にふれるに過ぎませんが、男子の何が問題とされているのかについてお伝えしようと思います。

 まずは、次の引用文をお読みください。

 「学力」のさまざまな側面のなかでも、ほとんどの国においてとりわけ「男子の問題」とされるのが、「読解力」である。これまでのPISAの結果を見る限り、ほとんどの参加国で、「読解力」に関する男子の平均得点は女子のそれを有意に下回っている(国立教育政策研究所2015)。また、義務教育修了後の進学動向において、女子の方がよりアカデミックなタイプの学校へ進学する割合が高い国も目立つ。たとえばアメリカでは、2007年に学部(undergraduate)レベルの高等教育機関に入学した女性は、男性の1.3倍であった。ドイツでも、中等教育段階で最も学力が高いとされる学校種である「ギムナジウム」への進学者は女子の方が多いし、1970年には6割を越えていた一般大学入学資格取得者に占める男子の割合は、2002年には44%にまで低下している。

 さらに、男子の学校生活や社会生活への不適応を示す例としてしばしば挙げられる次の諸傾向も、各国でほぼ共通して見られるものである。すなわち、男子は女子に比べて、学習活動に積極的に参加したり学校生活を楽しんだりする度合いが低いこと、特殊教育で学ぶ生徒の割合が高いこと、学習障害と診断される率が高いこと、後期中等教育段階での留年率が高いこと、自殺率が高いこと、虐待の被害者となる率が高いこと、刑務所に収容される率が高いこと、学校における成功と齟齬をきたすような態度や習癖をもちやすいことなどである。

 どうでしょう。「学校生活や社会生活への不適応」の例としてあげられているものは、相当に深刻な問題を内包しているものばかりです。

 日本の男子の問題は、筆者自身多少なりとも感じていたことです。以前、小学生を例にあげ、「男子は女子よりも精神年齢の発達で後れを取り、国語の読解力に差が生じやすいほか、何かにつけて女子のほうが活動的であり、喧嘩をしても男子は女子にかなわないことが多い」といったようなことを書いたことがあります。また、中学や高校においても、「男子よりも女子のほうがまじめに勉強するので優秀な生徒が多くなってきていること、最近では大学入試においても女子のほうが優位に立ちつつあることなどについても書いた記憶があります。

 ですが、欧米諸国の顕著な傾向としては、学力以外の生活面における乱れや、人間としての劣化とさえ言えるほどの逸脱が国を問わず進みつつあるという点です。どの国であれ、このような重大な問題を放置するわけにはいきません。男子の補償教育の必要が叫ばれ、各国で対策が講じられているといいます。

 かつては、ジェンダーに関わる問題の大半は「男女の不平等」であり、教育を受ける際に女子が不利をかこつことが多いことや、就職において女子には様々な制限や差別があったことでした。しかしながら、1990年代の半ばごろからジェンダーに関わる問題は、女子が不平等な扱いを受ける問題ではなく(無論、今も完全に解消されたわけではありません)、男子の学力低下、劣化、逸脱の問題へと変わってきています。問題にすべきは女子ではなく男子になったのです。

 先ほど引用した本の著者は、諸外国の実状などを調べたうえで、この男子の問題を二つのタイプに分けて説明しておられました(以下の説明は著者の書かれている内容を簡略にしたものです)。

 一つは、「厄介者としての男子」という見かたです。学業不振や粗暴なふるまいなどの問題に対し、責任を男子自身に求め、このような男子を排除されて然るべき「厄介者」とみなします。

 こうした見かたをしている国の例としてイギリスがあげられていました。これは、「自由主義の原則に基づく社会においては、競争的環境で成功するための機会は万人に与えられているのだから、そうした機会を活かせるかどうかは個人に委ねられた問題であり、失敗したとすればその責任はその人自身に帰するべきである」という考えかたに立ちます。いわゆる新自由主義に立脚した考えかたです。学業面で苦労し、辛い思いにさらされている男子は、手を差しのべるべき“かわいそうな”人間ではなく、自分自身で這い上がる姿勢の欠落した‟落ちこぼれ”であるとみなされるわけです。

 こうした見かたが主流になるにつれ、かつて少々の逸脱や反学校的な態度をとる生徒に対する寛容な見かたが影を潜め、真面目に学校で学んでいる他の生徒の迷惑や邪魔になるとして、非難する風潮が強くなっているといいます。

 もう一つは、「被害者」としての男子という見かたです。男子が直面している様々な問題は、男子に不利な状況からもたらされたもので、彼らを救い出すべき対象とみなします。前述のような、男子の粗暴なふるまいや反学校的態度を全く違った観点でとらえ、「男らしさの危機」といったような、被害者的なとらえかたをします。こうした見かたをする国は多いようですが、先ほどの著者は「それが最も顕著にみられるのがオーストラリアである」とし、オーストラリア政府の報告書の内容を紹介しておられました。

 それによると、「シングルマザーの家庭や、約8割を占めている初等教育学校では、男子はモデルとなる同性の教師から適切なふるまいや人間関係のありかたを学ぶ機会を奪われている」とされています。また、「初等教育や中等教育の現場では、受動的で言語を重視した女子向きの学習スタイルがとられる傾向がある」「かつては肉体労働や熟練労働への就業によって男性は女性よりも高い割合でフルタイムの雇用にありついていたが、近年はそうした職業が衰退している」云々。

 こうした問題が進行しているにもかかわらず、女子を支援するためのプログラムの実行に注力するあまり、男子の教育ニーズを明らかにしてそれを満たそうという試みがほとんどなされていない。――オーストラリア政府の報告書には、そのような見解が示されていました。

 どうでしょう。この二つはある意味で正反対の「加害者」と「被害者」という、相反する視点でとらえてあるものですが、いずれも男子に関わる問題を看過できない由々しいものという認識に立っています。果たしてどちらが現実に向き合ったものなのか、専門家でない筆者には語る知識も資格もありません。先ほどの本を熟読したうえで、子どもをもつ保護者に有益な情報が得られたらまた話題としてとりあげてみようと思います。

 なお、日本における男子の問題については、年が明けたらいずれ詳しい情報をお届けしようと思います。正月明けのブログ再開は、1月10日(火)を予定しています。よろしくお願いいたします。

 みなさん、よい年をお迎えください。


カテゴリー: 子どもの発達, 子育てについて

低学年部門「HWコース 親子勉強会」実施報告 その2

2016 年 12 月 19 日 月曜日

 前々回につづき、去る11月26日に実施しました「1~3年生ホームワークコース親子勉強会」のご報告をいたします。その1は保護者向け説明会に関する報告でしたが、2回目の今回は子ども達が参加した授業の様子を少しだけお伝えいたします。

 1年生は、「ひろさくらべ」の学習です。最初に単元の導入を兼ねて、「場所取りゲーム」を行いました。チーム対抗で代表者がじゃんけんを行い、勝ったチームは青い正方形を二つマス目に置き、負けたチームは赤い正方形を一つだけマス目に置くというルールで、マス目がすべて埋まるまでじゃんけんを繰り返し、合計の面積の広さを競います。ルールのわかりやすい単純なゲームなのですが、子ども達はみんな盛り上がり、喜んで取り組んでいました。
 そして、ここからがこの授業のねらいです。全てのマス目が埋まった黒板上のゲーム盤を見て、赤の面積と青の面積、どちらが広いのかを子ども達自身でジャッジしてもらいます。大人は「それぞれいくつの正方形があるかを数えればいい」と考えますが、ここではあえて先生も答えやヒントなどを言いません。子どもたちなりに自分で考えてもらいます。ゲームの勝敗がかかっていますから、子ども達はみんな真剣。「小さな四角の数を数える」はもちろん、「赤のところと青のところを重ねて比べる」「見た感じで青が大きい気がする」など色々な考え方が出てきます。
 さて・・・、どういう方法が一番結果がわかりやすいかな?

 2年生は、ひき算の学習です。といっても、たくさん並んだ計算問題に取り組む・・・というようなものではなく、こちらも楽しくゲーム形式で学んでいきます。
 今回取り組むのは、「3ケタ-2ケタ」のひき算。二人組になり、「ひき算の答えをできるだけ大きくすること」を目指して、交互にさいころをふって出た目の数を好きな位に当てはめていきます。ここでのポイントは、「ひき算の答えが大きい方が勝ち」というルールをどれだけ理解できているかです。
 ひき算の答えを大きくしたい場合は、引かれる数をできるだけ大きく、引く数をできるだけ小さくしなければなりません。最初は先生からヒントを与えることはせず、自分でその点に気づけるかどうかが勝負の分かれ目です。とはいえ、それに気づいていても、目の数の大小は運次第ですから、教室のあちらこちらで「やった!」とか「うわー」などという声があがっていました。こうした活動を通して、筆算をつかった計算方法はもちろん、数の構成や大小、数の操作などについても学んでいきます。

 cimg2045%e3%83%96%e3%83%ad%e3%82%b0%e7%94%a823年生は、「順序を表す言葉」について学びました。ここでも単なる知識として言葉のルールを学ぶだけではなく、子ども達には楽しく頭と手を動かしてもらいます。まずは、先生から作り方の説明を受けて、牛乳パックなどの厚紙と輪ゴムを使って「パッチンカエル」を作ります。作り方そのものは単純ですから、楽しみながら全員ちゃんと作ることができました。
 さて、ここからが今回の主題。途中から参観に入ってこられた保護者の皆さんに対して、子ども達から「パッチンカエル」の作り方を伝えてもらいます。授業の前半で学んだ「順序を表す言葉」を活かし、お母さん達がやってくるまでに書いた自分なりの作り方の説明書きを読んでもらって作るのです。たとえうまく伝わらず、保護者の方が上手に作れなかったとしても、子ども達が手を出すことは禁止です。あくまでも「言葉で」伝えなければなりません。こうした経験の中で、順序立てて話をすることの重要性や、相手の立場に立つならどのような説明がわかりやすいのかといった点を学んでもらいます。

 いずれのクラスも、途中から保護者の方に参観していただき、わが子と一緒に学ぶ機会を設けました。参観する機会はあっても、親子で授業を受けたり教室でわが子の課題に丸つけをするような機会はあまりないと思いますから、子ども達はもちろんのこと、多くの保護者の方達もとても楽しそうに活動されていました。和やかでとても良い雰囲気の催しになったと思います。

 このように、低学年部門では、何よりまず「学ぶ楽しさ」を子ども達に感じてもらいたいという思いで授業の設計や教材作成、実際の指導にあたっています。低学年の講座に通ってくれている大半の子ども達のご家庭は将来の中学受験を考えられていますから、学力の向上を目指すのは当然のこと。ただ、そのための基礎学力を身につけるためには、今のうちに「勉強って楽しい!」と感じられるような学習の土台づくりが欠かせません。
 今後もこのような機会をご提供できるよう、様々な催しを企画していきたいと考えていますので、ぜひその際にはご参加ください。

(butsuen)


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12.4「広島県中学入試模擬試験」最終回を終了

2016 年 12 月 12 日 月曜日

 広島県内の中学入試のほとんどは1月に実施されます。そこで、入試のスケジュールに合わせ、毎年12月の初旬に模擬試験の最終回(第5回)を実施しています。

 今年も例年と同じように、男子が修道中学校を、女子が広島女学院中学校を会場にお借りして、12月4日(日)に実施しました。当日の受験者は、男子が約670名、女子が約570名と、ほぼ昨年と同じくらいでした。冬の訪れを感じされるこの季節、会場も実際に多くの受験生が入試で訪れる中学校での模擬試験は、より受験の雰囲気に近い条件での予行演習となったことでしょう。

 この日の天候は、午前中から小雨が降り、条件としてはよいとは言えませんでしたが、入試は1月の中旬~下旬に行われることが多く、年によっては降雪に見舞われることもあります。傘を持参するなど、天気のことを少し気にかけながらテストを受ける体験も、予行演習の一環と思えばこれはこれで意味があることでしょう。

 子どもというものは、1回でも同じような経験をしていると、2度目は意外と動じないものです。ですから、実際に受験する可能性の高い中学校で試験を受けるこの体験は、随分精神的にプラスの作用をもたらすのは間違いありません。

 20161212このことは、次のように言い換えることができるでしょう。「あくまで模擬試験、予行演習なのだから、緊張して冷静さを失ったり、思いがけないミスをしたりすることもよい薬にできるのだ」と。そう、模擬試験で仮にしくじりがあったとしても、それを本番で失敗しないための教訓にすればよいのです。

 来年1月の受験を控えておられるご家庭の保護者で、このブログをお読みくださっているかたへ一言。もしもお子さんが「緊張して、ミスをたくさんしてしまった」と落ち込んでおられたなら、「それも意味のある練習の一つだよ。本番で巻き返せば、模擬試験を受けた甲斐があったというものだよ」などと、励ましていただきたいと存じます。

 さて、模擬試験に参加されたお子さんのご家庭には、もうしばらくしたら採点済みの答案や、成績などのデータ資料が届くと思います。教科ごとの点数、全体順位、合格可能性の予測などの数値的な結果は大変気になるところでしょう。もしもよいデータが得られていたなら、大いにお子さんをほめ、「最後まで油断することなくがんばりなさい」と、激励してあげてください。

 とは言え、あくまでもデータはデータであり、本番の入試合格を確約するものではありません。ですから、安心しきったり、浮かれたりすることなく、よかったところ足りなかったところを冷静に検証し、最後の詰めをしっかりとしていくようお願いいたします。

 いっぽう、結果が思わしくなかった場合ですが、合格可能性の予測は過去の蓄積データをもとに、かなりシビアに算定されていますので、期待通りの判定が得られずガッカリされたかたが多かったのではないかと思います。合格確実圏や合格有望圏に至らなかったからと言って、ただがっかりしたのでは模試を受けた意味がなくなってしまいます。成績が期待通りでなかった場合、まずは教科ごとにミスで落とした問題を徹底的に洗い出していきましょう。

 お子さんが落ち着いて冷静に対処していたなら、正解を得ていたはずの問題はありませんでしたか? というより、必ずあるはずです。まだ完成の域には遠く及ばない年齢の受験ゆえ、「中学受験での合否はミスの数で決まる」と、言われるほどですから。

 4教科、すべて見直しをしてください。そうして、教科ごとにベストを尽くせていた場合の得点を計算し直し、その結果を資料と照らし合わせ、おおよその順位を確かめてみてください。おそらく、相当結果は違ってくるでしょう。その結果が、本来得ていたはずの成績なのだと自分に言い聞かせ、決してあきらめずに自分の力を信じて最後の詰めをしていくのです。無論、同じことはすべての受験生に言えることです。しかし、失敗をどれだけ生かせるかが本番での結果の違いをもたらすのです。保護者におかれては、このようなアドバイスと励ましをお願いいたします。絶対に希望と意気込みを失ってはいけません。「最後まであきらめない!」――この精神で本番に臨みましょう。

 模擬試験最終回のチェックを終えたら、そこからが仕上げの重要な学習の始まりとなります。各教科の出題単元とお子さんの成績を照合していきましょう。このことは、もうお子さん自身でもできるようになっておられると思います。ただし、お子さんが精神的に落ち込んでいたり、どうやってよいかわからないでいたりするような場合には、親子で検討会を開いてもよいでしょう。無論、模擬試験で出題されなかった単元もたくさんあります。これまで入試対策で使用してきたテキストの単元を点検し、お子さんが仕上げ切れていない単元、苦手な単元を絞り込み、最後の対策に活かしていきましょう。

 なお、苦手意識の強い単元は、あまり深入りしたり時間をかけ過ぎたりしないことです。弊社の副教材の「アタック」などは、基礎的な内容の総チェックにも大いに役立つでしょう。不安なところ、苦手とするところにエネルギーを過剰に投入すると、よけいに不安が助長され、やってもほとんど身につかなくなる恐れがあります。時間を決め、基礎内容に絞って点検と埋め合わせをしていきましょう。

 今までにもお伝えしていますが、入試では満点を取る必要はさらさらありません。4教科平均7割取れればほとんどの中学校は合格です。受験する中学校の過去の合格ラインを確かめてみてください。驚くような高得点が求められる学校など一つもありません。仮に、苦手教科があって足を引っ張る可能性があったとしても、全体で総得点が合格のラインに届けばよいのですから、必要以上に気を取られないことです。

 誰にも得意教科、苦手教科がそれぞれあることでしょう。仕上げにあたっては、得意教科はさらに伸ばし、不得意教科は少しでも底上げを図る。そのバランスが大切です。どちらかに偏らないようにしましょう。模擬試験で提供する資料に、設問別の正答率を掲載した「ニュース」という薄い冊子があります。先ほど7割程度(それ以下の場合も多い)得点すればよいということをお伝えしましたが、そのことに立ち返ると、★印5つの難問はできていなくても気にする必要のない問題と言えます。★印3つまでの問題が必ず正解を得ておきたいレベルの問題です。そこを基準にして問題のやり直しや知識の埋め合わせをするとよいでしょう。

 模擬試験の最終回の実施と歩調を合わせ、先週から今週にかけては、弊社の各校舎で「6年部保護者説明会」を実施しています。この説明会において、これからの入試対策の総仕上げのポイントについてご説明します。また、出願、入試直前の心得、入試当日の心得など、入試本番を迎えるにあたって必要な事柄を網羅した内容となっています。

 ご都合などで参加できなかったご家庭におかれても、資料を細部まで点検していただき、入試本番への準備をお子さんがしっかりとやれるようバックアップしていただきたいと存じます。

 受験するのは12歳の小学生です。生活の習慣が混乱をきたすほど、あまり変わったことをやると心身ともに変調を来しかねません。心配なことが少々あったとしても、親は泰然自若とし、お子さんが普段のペースを壊さないよう配慮しながら、毎日与えられた時間の中でやれることをやっていくよう応援してあげてください。

 来春の入試へのチャレンジが、お子さんの“12歳の集大成”となりますように!


カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 行事レポート

低学年部門「HWコース 親子勉強会」実施報告 その1

2016 年 12 月 5 日 月曜日

 弊社の低学年部門(小学1~3年生対象)には、「ホームワークコース」(HWコース)という通学のない指導の受け皿があるのをご存知でしょうか。

 弊社の低学年部門は、直接の下部組織である「ジュニアスクール」と、外部から導入した「玉井式国語的算数教室」とがありますが、ホームワークコースはジュニアスクールに設置した特設コースです。現在の会員は60数名ですが、このコースを経て受験部門に進学した児童の成績がよいこともあり、少人数ながらも畳まずに続けています。1ヶ月分の家庭学習教材をお送りし、家庭でお子さんの取り組んでいただいたテストの添削をしています。

 20160105c先日(11月26日)、このホームワークコースの会員家庭親子(一部、ホームワークコースに興味をもっておられる会員以外のご家庭も参加されました)を対象に、「親子勉強会」という催しを開催しました。

 この催しは、日頃家庭で勉強に取り組んでいるお子さんと、お子さんのホームワーク(家庭学習用に弊社が提供しているプリント教材)の○つけやフォローをしておられる保護者にお集まりいただき、「より望ましい学習生活の実現に向けた契機にしていただこう」という趣向で企画したものです。この春初めて実施した催しですが、参加者は少数ながら好評をいただき、秋にも開催してみようということになりました。

 この催しの実施にあたっては、お子さんには授業の楽しさを味わう経験を契機に勉強に向かうモチベーションを高めてもらおうと考えました。また保護者には、低学年期の学習で大切にすべきことは何かということを軸に置きながら、家庭でのフォローのポイントなどについてお知らせしたほか、お子さんの授業参加の様子を参観していただきました。

 今回は、筆者が担当した保護者向けの説明の内容をかいつまんでご報告してみようと思います。次回は、お子さんの授業参加の様子や、参観された保護者の様子、アンケートにご記入いただいた催しの感想などを、別の担当者からご紹介しようと思っています。

 では、まず筆者が保護者にお伝えした話をご紹介しましょう。まず、「家庭での子どもの勉強が活性化するかどうか、成果をあげられるかどうかは、親の熱心度で決まる!」ということをお伝えしました。これは、長年低学年児童の学習指導にあたってきた経験と、ホームワークの○つけの具合(親の関わり)と、子どもの取り組みの姿勢や成績との関係を検証してきた経験に基づく私どもの見解です。低学年児童にとって親は絶対的な存在であり、親が勉強に関心を寄せ、熱心に関わるかどうかで子どもの取り組みも変わってくるのだということを、ぜひ保護者にお伝えしたいと考えました。

 小学校入学からの2~3年間は、学力を飛躍させるための種まきをする重要な段階にあります。そこで、次は「低学年時の学習はココを押さえる!」というテーマで、男子と女子の学習上のポイントについてお話しました。まず知っておいていただきたいこととして、知能は「結晶性知能」と「流動性知能」に大別されますが、言語や思考、判断に関わるのが結晶性知能で、学習活動の大半はこの知能の働きによって支えられています。20161205bところが、この知能の発達カーブは、男子と女子とでは異なります。男子のほうが遅れをとる確率が高く、中学受験に間に合わないケースもそれが原因になりがちです。そのことを踏まえ、男子のほうから話題を進めていきました。

 一般に男子と比べて女子は言語習得の流れがスムーズに進みます。したがって、男子よりも話し言葉の操作も書き言葉の操作も達者です。ところが男子はそうはいきません。いわゆる“幼稚なタイプ”が多く、語彙力の不足、読書量の不足、読解力の不足、思考力の発達の遅れといったように、言語活動の立ち遅れが学力形成のブレーキになりがちです(この話をしたら、思い当たる節があるのか、夫婦で顔を見合わせたり、知り合い同士で苦笑しておられたりする様子が見られました)。この悪循環を断ち切り、よい流れを築くための方策として欠かせないのが“音読の励行”であるということをお伝えしました。

 20161205すでにこのブログにおいて何度もお伝えしましたが、音読がスムーズに行われるようになると、自然と黙読への移行が促されます。声に出さずに活字の流れから意味を吸収できるようになった子どもは、読書を好むようになり、それが語彙の増強、思考力・読解力の伸びという連鎖をもたらします。音読を親が奨励し、子どもが文章を声に出して読めば、親も子ども自身もちゃんと読めているかどうかわかります。ただし、お子さんには「ちゃんと読めているかどうか」の判断をするのはまだ難しいものです。そこで保護者に、当分の間音読のパートナーを務めていただくようお願いしました。

 無論、読みの熟達のみに気を奪われてしまうのも問題です。家庭でお子さんと会話をする時間を設け、親の言いたいことを伝えるだけでなく、子どもの話にも耳を傾けていただくようお願いしました。男子は話しかたが稚拙でまどろっこしいもの。しかし、学校でも塾でもそのまどろっこしい話の相手になってくれる人はいません。そこで親に求められるのは、子どもが話したいことを頭の中でまとめ、順序立てて話ができるようになるための練習台になってやることです。これは親しかできません。

 いっぽうの女子については、低学年時に放っておくと育ちにくい流動性知能の発達に目配りをしていただくようお願いしました。流動性知能とは、図形の空間認識や識別、速さなどの単元に深く関わる知能です。この知能は、理屈で考えたり学習事項を覚えたりするのではなく、瞬間的に反応することで問題を解決する神経系の知能です。こうした分野の学習は、女子よりも男子が優れていると思われがちですが、9歳前後までにこうした領域の刺激にふれる体験をすれば女のお子さんも状況は随分変わってきます。

 なぜ男女で差が生じやすいのかというと、男子は放っておいても砂場遊び、積み木遊び、タングラム、レゴ、模型自動車遊びなどを通じて、流動性知能に刺激を当てています。ところが女子はそうではありません。女子のお子さんは、静的で色彩豊かな遊びを好みます。たとえば、人形の着せ替えごっこ、買い物ごっこ、塗り絵など。ですから、意図的に流動性知能の発達を促すための働きかけをしてやる必要があります。

 弊社の高学年部門に通い、トップレベルの成績をあげる女子児童の大半は、広島大学附属中学校やノートルダム清心中学校などに進学していますが、理系にも強いお子さんが相当数います。彼女らは、先々難関大学の理数系に進学する゛リケジョ”になる確率が極めて高いと言えます。そういう流れを意識するなら、またそういった進路を親が期待するなら、低学年期の学習に流動性知能の発達を促す仕掛けが必要です(無論、計算操作の習熟や算数的な思考の育成も重要です)。

 筆者のもち時間は30分でしたが、こういった事柄を欲張ってしゃべっているうちにどんどん時間が無くなってしまいました。それでもお伝えしたいことをしゃにむにしゃべり続けたのですが、教室いっぱいにおられたおとうさんやおかあさんがたが、ニコニコ笑顔で聞いてくださったり、しきりに頷いてくださったり、熱心にメモを取ってくださったりしている様子が目に入り、大変励まされました。

 この後もたくさんのことを欲張ってお伝えしました。「流動性知能と結晶性知能の発達の特徴」「低学年期の学習で成果をあげるための条件」「学びの能動性を育てる親の働きかけとは」「日本の親に欠けているものは何か」「子どもに反省を促すときのアプローチ法」など、駆け足でお伝えしました。

 後半は急ぎ過ぎてじっくりとお話しできなかったのが残念でしたが、当日参加くださった保護者がみなさん熱心で、その日のスケジュールが全て終わった後も質問をくださるなど、本当に頭の下がる思いをした次第です。終わった後、「今日はこの催しを実施してよかったね」とスタッフみんなで言い交わしたほどでした。


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