2013 年 6 月 のアーカイブ

成績アップは効果的復習から! ~おかあさんの勉強会1~

2013 年 6 月 6 日 木曜日

 先週から今週にかけて、弊社の各校で「第1回おかあさんの勉強会」を実施しました。この催しは、家庭でお子さんをフォローしておられるおかあさんがたを元気づけ、受験生活の充実に向けて連携していこうという趣旨で始めたものです。対象者は、4・5年部「週3日コース」のおかあさんです。今回は、「成績アップは効果的復習から!」というテーマで実施しました。

 復習のやりかたについては、学習塾がお子さんに指導をしています。ですから、本来は保護者に働きかけるべきものではありません。しかし、小学生の受験勉強は本人任せにすると空回りに陥るおそれもあります。原則や望ましいやりかたについて、おかあさんがたにも一緒に考えていただき、サポートに役立てていただこうと思いました。

 また、授業後の復習や、テキストの単元のまとめ学習のありかたを見直すことは、テスト成績をあげるうえで最も即効性のある方法です。もしも次のテストで早速効果が現れれば、それが“成功体験”になり、お子さんに自信や意欲が湧いてくるのではないでしょうか。

 今回の勉強会の内容は、次のようなものです。なお、この勉強会では「算数」を例にあげて一緒に考えていただきました。

①マナビーテストに備えた「復習」の現状を振り返る ~算数~

 まずは、これまでに何回か実施されたマナビーテストの結果と、それに備えた学習(主にまとめの復習)がどのようであったかを振り返っていただきました。マナビーテストは、2週間を一括りにした単元テストです。2週間の努力の成果を、このテストで競い合う形式になっています。

 そのあと、グループ単位で最初のワークを始めました。お子さんの家庭での復習の状況を項目ごとに◎○△×のチェックを入れ、がんばっている点と不十分な点について、順に一人ずつお話しいただきました。聞いている人には感想やアドバイスをお願いしました。

 各家庭の様子を聞くと、お互いに問題点が明確になってきます。それを受け、「現在のわが子の課題は何か」を一人ひとり1枚の紙に大きく書き、順に発表しました。おしまいに、このワークを通して気づいたことを話し合いました。

②子どもは「復習」の現状をどう思っている?

 おかあさんがたに、家庭勉強(テストに備えた復習)について振り返っていただいたところで、今度は復習への取り組み状況について、子どもたちに実施したアンケートの結果をお伝えしました。

 アンケートは、全校舎の4・5年部で各1クラスずつ実施しました。「テストに備えた復習をしているか」「授業後の復習をしているか」などの質問をしたのですが、4・5年生ともにほとんどのお子さん(約9割)が「ちゃんとしている」もしくは「だいたいしている」と答えていました。

 「おかあさんは、アドバイスしてくれたり、ほめてくれたりするか」「今の成績に満足しているか」という質問においては、4年生と5年生とでは違った傾向が見られました。「アドバイス・ほめ言葉」が5年生になると少なくなるという結果、また、「成績への満足度」は5年生になると低くなるという結果が出たのですが、この点についての弊社の見解(実は、子どもの成長の証なんですね。現実をシビアに見るようになっているのです)をご説明しました。

③復習は学んで1カ月が絶好のチャンス!

 この項目では、「記憶はどうやってつくられるのか」をご説明し、復習がなぜ大切なのか、いつ復習するとよく記憶に残るのか、などについて一緒に勉強しました。人間の記憶は、大脳辺縁系の海馬と呼ばれる器官でつくられます。先日も、そのことについてブログに記事を書きましたが、記憶の仕組みについてある程度詳しく知っておくと、復習の重要性をお子さんにお話しされるときにも説得力が増すでしょう。そうした意図もあり、少し詳しく学びました。復習というと、授業後やテスト前に集中しがちですが、記憶は約1ヶ月間かけてつくられるという知見に基づくと、テスト後やテスト結果の返却後の復習が非常に大切であることがわかります。そのことについてもお話ししました。

④よい復習のしかたとはどのようなものか

 復習のしかたについては、授業を通じて指導担当者が子どもたちに指導しています。しかし、小学生の家庭勉強は、親のフォローなしにはなかなか定着しないし、よいやりかたがわからないまま成績不振に陥るおそれもあります。当日は、おかあさんがたにお子さんが現在使っておられる算数のノートをご持参いただき、学習の作業場としてのノートの重要性やよいノートの規準について一緒に考えてみました。

 特に重要なのは間違えた箇所です。それを消さずにチェックを入れ、その脇にやり直しをしていくことの大切さについてお話ししました。どう間違えたのか、どう改めたのかがそのまま記録に残っているノートがよいノートであり、後で見直しができることが復習においては効力を発揮します。

 授業中、予習でやったところが間違っていたとわかると、こっそり消して書き直すお子さんがいます。多くの場合、「間違えていたらおかあさんに怒られる」というのが理由のようです。そこで、「間違えたときが伸びるチャンスなんです」ということを、おかあさんがたに強調してお伝えしました。

⑤効果的な復習の作戦を親子で立てよう!

 ここまで一緒に勉強したことをもとに、最後はグループごとにワークに取り組んでいただきました。ワークのテーマは、「成績アップにつながる復習とは!?」です。復習についていろいろ学んだことを踏まえると、今のわが子の問題点や改めるべき点が見えてきた人もおられるでしょう。それを、順にお話しいただきました。そして、わが子にどういうアドバイスをしたらよいかをみなさんで話し合っていただきました。

 グループごとにどんなアドバイス案が出たか、発表をしていただきたかったのですが、時間がもうありません。そこで、「家に帰られてから、親子で復習大作戦を立ててください」という話をして終了となりました。

 以上が、「第1回おかあさんの勉強会」のおおよその流れです。全部の校舎で同じような流れになったかどうかはわかりませんが、おおよそは同じように進めたと思います。

 第2回目は、子どもの学習意欲がテーマとなっています。もし興味をおもちになったなら、参加してみてはどうでしょうか。なお、既に2回目を終えた校舎、定員に達している校舎もあります。参加される場合、お電話でお確かめのうえお申し込みください。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: お知らせ, アドバイス, 勉強について, 勉強の仕方, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴, 行事のお知らせ

「家庭学習」と「宿題」の違いとは?

2013 年 6 月 3 日 月曜日

 勉強は毎日の積み重ねです。「やったりやらなかったり」では、成果はなかなか現れてきません。こうした継続性の問題とともに、「どういう気持ちで学んでいるか」という心のありようも、成果に大きな影響を及ぼすファクターです。

 前向きな気持ちで学ぶか、イヤイヤ学ぶかによって、少しの間に相当な成果の違いが生じるものです。今回は、この「学ぶときの気持ち」の重要性にスポットを当てて書いてみようと思います。

 さて、お子さんは毎日の家庭学習を意欲的にやりこなしておられるでしょうか。親が見かねて注意をしたり叱ったりしなくても、その日に決めた勉強に率先して取り組んでおられるでしょうか。

 今、「家庭学習」という言葉を使いましたが、ここで言う家庭学習とは、「授業の予習・復習」「テキストの練習問題・発展課題などの取り組み」「副教材の学習」「テストの見直し・やり直し」などを意味します。

 これらの学習のなかには、指導担当者から「ここを家でやっておきなさい」といったように具体的に指示が出される場合もあります。しかしながら、基本的に弊社の教室に通っての受験勉強は、「何を」「いつ」「どれだけ」やるかについて、予め原則を指導したら、あとは子どもたち自身が自分で判断して取り組むような流れになっています。これは、「自学自習」を受験対策の基本においているからです。

 したがって、弊社では「宿題」という形での課題を出していません。子どもたちの家庭学習は、宿題ではなく、子どもたち自身による自主的な、自己管理に基づく学習なのです。

 しかしながら、なかにはそういうふうに受け止めておられないご家庭もあるようです。たとえば、保護者のかたから「家庭学は宿題が多いから大変」「宿題をこなすのが負担のようです」といったことを言われることがときどきあります。また、子どもたちからも、「塾の宿題が多くてしんどい」といったような言葉が聞こえてくることがあります。

 筆者は、そういう声を耳にするととても残念な気持ちになります。「宿題」「多い」「しんどい」などの言葉は、勉強に対するネガティブな姿勢や捉えかたの裏返しであり、この種の言葉が出てくる家庭のお子さんの成績がよいことはほとんどありません。つまり「なぜ受験勉強をするのか」のおおもとが揺らいでおり、「勉強を(親に・塾に)させられている」という意識が垣間見えるのです。親も一緒に「宿題がしんどい」と受け止めてしまうと、お子さんの勉強は積極的になりようがありませんし、活性化することも期待できません。

 物事は何でもそうですが、ポジティブにとらえてやれば成果もあがるし、面白くもなります。逆に、「イヤだ」「やりたくない」「辛い」などのような受け止めかたをすると、成果も上がらないし、ネガティブな姿勢が一層染みついていきます。

 人間が学んだり経験したりしたことを記憶に残すのは、大脳辺縁系(脳のなかで最も古い部分)にある「海馬」と呼ばれる部位です。専門家の本を読むと、「海馬は記憶の司令塔」「海馬は記憶の加工場」などと書かれていますが、子どもたちの受験勉強にあたっても、「学んだことが記憶に残るかどうか」は、海馬の働きによって決まります。

 ところで、子どもたちが「もっと知りたい!」「ここは、どうなっているのだろう?」などと、興味津々の態度で学ぶとき、海馬でθ(シータ)波と呼ばれる脳波が発生し、それに伴って海馬の入り口にある歯状回の神経細胞の増殖が促進されるそうです。この場所のニューロンが増えるということは、記憶の容量が増えるということで、学んで得た知識が長期記憶として残りやすくなるということです。

 海馬のθ波については以前書いたことがありますが、学ぶときの気持ちが前向きな子どもは、ただ学ぶのが苦痛でないというだけでなく、脳の機能もよくなるということなのです。

 子どもが興味をもつのは勉強ばかりではありません。むしろ勉強以外のものをやりたがることのほうが圧倒的に多いものです。そこで、大人はつい無意識に子どもに「何やってるの!」とか「いい加減にテレビを切って、勉強を始めなさい!」などと叱ってしまいますが、こういった押しつけの勉強では海馬にθ波が発生することは期待できません。

 私たちは教室で、子どもたちに考えることの楽しさや醍醐味にふれる経験を提供しようとがんばっていますが、「もっともっとがんばらなければならない」ということを痛感します。

 いつも笑顔で塾にやってきて、楽しそうに授業を受け、テストでも必ずといってよいほどよい成績をあげる子どもが一定数います。勉強のよさを知り、楽しく学べるから成果もあがるのでしょう。勉強も辛くないのでしょう。こういうお子さんが一人でも増えるようがんばることが、私たちの使命だと思います。

 ご家庭でお子さんを見守っておられる保護者におかれても、叱ったり命令したりして机に向かわせるのではなく、自発的に机について学ぶ子どもにするようがんばっていただきたいと存じます。もしもそれがうまく行ったなら、受験での合格が得られるのはもちろんのこと、先々の長い学びの人生に確かな足がかりができたと言っても過言ではありません。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 勉強の仕方, 子どもの発達, 子どもの自立, 子育てについて, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴