2023 公立一貫校の受検結果と進学状況

2023 年 2 月 18 日

 中学入試が終わり、弊社会員の合格者や進路選択の状況がほぼ判明しつつあります。そこで今回は、弊社会員の公立一貫校受検状況と、合格者数、進路としての選択状況をお伝えしようと思います。なお、資料はあくまで参考としてお知らせするものです。会員家庭から提出していただいた報告書をもとに作成していますので、絶対的なものではありません(まだ未提出の家庭が若干あります)。

 とりあえず、弊社会員の主要な受検対象である広島県立広島中学校と広島市立広島中等教育学校の受検状況と合格・進学の様子はあらかた掌握できていますので、この2校についてご紹介してみましょう。

主要公立一貫校の受検状況と弊社会員の合格・進学状況 (2/24 現在)

学校名 定員 志願者 弊社受検者 弊社合格者 弊社進学者
県立広島中学校 160 638 男子27 57 男子11 34 男子8 24
女子30 女子23 女子16
市立広島中等教育学校 120 354 男子19 38 男子11 27 男子7 17
女子19 女子16 女子10

※県立叡智学園中学校の合格者は3名、進学者は2名です。

 公立一貫校は、基本的に合格発表時は定員数通りに合格者を公表します。したがって上記2校共にかなりの倍率であり、一定期間のきちんとした受検対策なしには受かりません。これまで県立広島中学校も市立広島中等教育学校も、弊社会員の受検状況を見るかぎり男子よりも女子の進学対象校として人気が高く、女子の受検者が男子よりもかなり多い現象が続いていました。これは複数の子どものいる家庭の経済的な負担や、女子の共学志向が高いことなどが主な原因と考えられます。

 ただし、県立広島は平成16年の開校当初から「ことば科(中学課程)」などの教育実践が評価されるとともに、大学への進学実績も良好なことから、最近では弊社においても男子の受検者・合格者の比率が高くなり、実際に受かった場合にも進路として選択するケースが増えています。

 市立広島中等教育のほうは、弊社会員においては女子のほうに人気が偏り、弊社の男子は受かっても進路として選択されるケースが少なかったのですが、今年に関してはかなりの数の合格者が進路として選択しています。その理由はまだ掌握していませんが、同校は熱心な教育実践で入学者の満足度も高く、男子受験生の人気が高まったとしても不思議ではありません。

 

① 県立広島中学校

 弊社からの受検者の校舎別の内訳を見ると、地元の東広島校からの受検者が最も多く、僅差で広島校から多く受検しています。最近は呉校からの受検者も増えており、合格者も5名出ています。その他の校舎からの受検者は男女とも少数でした。なお、弊社の場合は基本的に広島の有力私学への進学指導が中心となっていますが、県立広島は上述のように東広島市および周辺地域以外のJR沿線に住まいのある家庭のお子さんの受検が徐々に増えています。私学受験に対応する十分な基礎学力をつけたうえで公立一貫校対策の指導を受けた子どもたちの学力は総じて高く、ノートルダム清心や広島女学院との重複合格者が多数います。県立広島に進学したら、大学受験までの6年間でやることは基本的に同じですから、これまで培ってきた確かな基礎学力が大いに威力を発揮することでしょう。

 なお、県立広島に合格したものの、他校を進路に選んだ受験生の進路はつぎのとおりです。男子は、修道1名、国際学院1名(このお子さんは広島学院・修道にも合格)、広島中等教育1名でした。女子は、ノートルダム清心4名、広島女学院1名、広島大学附属1名でした。合格者のうち1名は、まだ進路が判明していません。

 

②広島中等教育学校

 広島中等教育学校は、安佐北区の山間の団地に位置するため、交通手段がバスに限られます。しかも市の中心部から遠いため、弊社会員の場合、三篠校と広島校会員の受検がほとんどです。男子の場合、これらの学区の受験生の最もポピュラーな進学対象校は修道であり、多くの受験生が修道との併願でした。したがって、修道に受かったら大半が修道を選択するのが一般的でした。しかし、今年は男子合格者の歩留まりがかつてないほどほどよく、合格者11名中7名が同校に進学する模様です。

 広島中等教育学校は、立地条件ゆえ県立広島ほど多くの受験生を集めていませんが、それでも実質倍率はかなり高く、簡単には受からない学校となっています。弊社の合格者を見ても、かなり高い学力を有している子どもたちでした。今年は特にその傾向が強く、たとえば男子の場合、広島学院や修道との併願ですべて合格した受験生もおり、そのなかには進路としても同校を選択している例もあります。

 ついでながら、広島中等教育学校は「山間の奥まった場所にある」というイメージが強く、そのため受験生の居住地が安佐北区や安佐南区などに偏っています。ですが、バスの便は結構多く、多少は遠くても進学する価値のあるよい学校だと思います。筆者は同校の近隣に居住していますが、見かける生徒さんの立ち居振る舞いは好ましく、勉学にしっかりと向き合っているという印象があります。通学にかかる時間を調べ、この学校を受験候補の一つにあげてみてはいかがでしょうか。

 なお、広島中等教育学校に合格したものの、重複合格した他校を進路に選んだ受験生はつぎの通りです。男子は、広島学院2名、修道1名でした。女子は、ノートルダム清心3名、広島大学附属2名でした。女子合格者のうち2名は、まだ進路が確認されていません。

 

 上述のように、弊社は広島の伝統的私学4校(学院・修道・清心・女学院)への進学指導を軸に置いた指導をしていますが、近年は公立一貫校への進学希望者が相当数あり、公立一貫校対策の指導にも力を入れています。6年生の4月末までの「基礎力養成期」の指導は悉皆で行っており、「応用力養成期」に入ってから希望者を対象に公立一貫校対策の指導をしています。私立の有力校に行く受験生と遜色ない基礎学力をつけておけば、公立一貫校に入ってからも学力面で大いに飛躍が期待できるでしょう。また、大学受験で求められる学力はどんな形態の中学高校を経由しても一緒ですから、なおさら基礎を固めておくことが有効に作用すると確信しています。

 この記事が来年以後の受験生家庭の参考になれば幸いです。

 

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家庭学の受験環境で得ていただきたいもの その2

2023 年 2 月 10 日

 今回は、前回お伝えしたことの続きを書いてみようと思います。これから学習塾選びをされるご家庭の保護者だけでなく、新年度の会員として通学を予定されているお子さんの保護者にもぜひ読んでいただきたいなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 前回、受験のプロセスで身につけはるべきは入試を突破できるテスト学力だけでは不十分で、志望校進学後の教育環境の下で有意義な学校生活を送り、学業面で飛躍を遂げるうえで欠かせない資質を身につけることが重要だといったような趣旨のことをお伝えしました。それが何かについては、前回のブログで「お子さんは、こんな問題を抱えていませんか?」という問いかけで例示した、10項目の表現を裏返しにしてみるとおわかりいただけることでしょう。

児童期までに身につけておきたい習慣や姿勢

.学校の宿題は、早めに(帰宅後夕食ま
  でに)済ませる(※塾のない日)。

.計画的な学習の習慣を身につける。
.遊びと勉強の切り替えができる。
 
(勉強の時間になったら机に着く)
.何事も、決めたことは最後までやり
  遂げようと努力をする。
.やるべきことの優先順位をつけ、重要事項を後回しにしない。
.朝の起床をはじめ、自分のことは自分でやれる。
.失敗をしたら理由を振り返り、同じ失敗をしないようにする。
.自分のしたことを客観的に評価できる(ある程度自分に厳しい)。
.何事につけ、先を見通して行動する姿勢を身につける。
10.仲間と励まし合ったり競い合ったりすることに熱心である。

 上記の10項目は、受験学力を身につけるうえで必須ではないかもしれません。テスト学力は大人の指示やサポートで補えるからです。しかしながら、中学や高校に進学したらもはや大人の力を借りることはできません。何につけても自分で判断して行動する自律性が問われるようになります。この行動の自律性は、一朝一夕には備わりません。また、自我が確立する児童期までに身につけておくべきものです。それをおざなりにすると、何をするにつけても自律的行動の欠落が足を引っ張り、一生自らの抱える問題として尾を引くことになりがちです。当面危ぶまれるのは学業面での飛躍ですが、学業で後れを取った後の挽回がいかに難しいかは、前回お伝えしたとおりです。

 ですから、中学受験をめざすなら、「学力+行動の自律性」の獲得を目標に掲げた受験生活を送るべきではないでしょうか。言わずもがなですが、児童期は子育ての重要な時期にあたります。子どもの自律性を育むことは親としての重要な仕事の一つです。勉強の見守りと同じぐらい、あるいはそれ以上に子どもの内面の成熟・成長を大切にしていただきたいものですね。ただし子どもの内面の成長曲線は一人ひとりみな違います。なかには親の期待通りに成長しないお子さんもいることでしょう。ですが、そこで業を煮やして無理矢理勉強させても子どもの自律は遅くなるばかりです。そしてそのつけは子ども自身が先々の苦労という形で払わされることになってしまいます。

 残念ながら、自律と学力形成の両方を大切にした受験生活は、親子が望む最高の受験結果をもたらしてくれるとは限りません。それでも、自律に向けた成長の流れはたとえゆっくりでも決して無駄になりません。どの中学校に進学したとしても、内面の成長が追い付き始めたなら、徐々に好循環の連鎖が子どもの背中を押してくれるようになります。やるべきことを自分で判断し、それが少しずつできるようになってくるのです。人生の見通しは、概ね社会への参入後に定まっていきますが、自律に向けて努力を怠らなかった人は、この段階で確かな手応えをもてるようになっていくことでしょう。これこそががはるかに重要だと思います。

 ここで、新年度の講座の開始段階から当分の間保護者にお願いしたい見守りと応援のスタンスをお伝えしてみようと思います。

・会員家庭には、必ず学習の計画表を作成していただきます。親が決
 めるのではなく、一緒に考えながら子どもが実行可能な計画になる
 よううまくサポートすると実行が伴います。

・当面は、行動の自己管理と自発性を評価軸に応援してあげてくださ
 い。計画通りやれたら、すかさずほめてあげてください(親の評価
 がまだ一番意欲に影響する年齢です)。努力を評価軸に!

・生活上、自分のことは自分でやる習慣が、行動の自律のベースにな
 ります。行動の主体性も、生活習慣の自立から生まれます。

・4・5年生は、子どもの学習状況を保護者が掌握することが必要で
 す。「難しいことをやっているんだね。がんばって!」と、応援し
 てやりましょう(4年は、取り組んだ問題の〇つけもお願いしてい
 ます)。

 ・2週間に1度のテスト(マナビーテスト)が終わったら、ベストを
  尽くせたかどうかを親
子で振り返りましょう。

・成績が悪かったときこそ、親の関わりが問われます。
 叱るのではなく、「どこがいけなかったのかな?」と反省点を考え
 させたり、一緒に悔しがったりすれば子どもは素直に反省します。

 開講後の学習(授業や家庭学習)について、詳しくは配布資料等でお伝えします。どんな指導を受けているのか、親はどう関わるべきかについて、保護者がしっかりと把握されていれば、自然とお子さんの勉強への関わりも妥当なものになります。

 未完成な小学生の受験ですから、親は心配や骨折りの毎日になりがちです。しかし、親の関わりが子どもを自律へと向かわせるものであれば、段々と親の負担は少なくなっていきます。逆に、あれもこれもと親が手を貸せば、受験が近づくほどに親の苦労は増え続けていきます。子どもの内面の成長を期待しつつ、適切な間合い、すなわち「つかず離れず」の見守りと応援をお願いしたいと存じます。そうすれば、やがてお子さんは受験での合格に求められる学力を自らの力で養うとともに、自分を適切に律する姿勢も身につけられることでしょう。

 以上のような考えに基づく受験生活で、志望校合格の夢が叶えられるよう応援してあげてください。このような受験なら、その結果がいちばん希望したものにならなかったとしても、お子さんの将来は前途洋洋です。自律こそ、人間として成功するための一大条件なのですから。

弊社の教室で学び、受験をめざしてみませんか? 入会をお待ちしています!

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家庭学の受験環境で得ていただきたいもの その1

2023 年 2 月 3 日

 中学入試が終わり、弊社会員の合格状況も概ね判明しています。ほぼ例年と変わりません。近日中に公表する予定です。まだ若干残っている補欠の繰り上がり合格者を確認するとともに、進路選択の報告書があらかた届い段階で、「弊社会員の入試結果と進路選択状況」という資料としてまとめ、本ブログにてお伝えするつもりです。よろしくお願いいたします。

 中学入試シーズンが終わったところで、まもなく新年度の講座が弊社でも始まります。前年度からの継続会員家庭、新規に入会手続きをされたご家庭が多数ありますが、2月の初旬ですので、まだ学習塾選びを終えておられないご家庭も少なくないと思います。

 そこで今回は、「家庭学習研究社で送る受験生活で得ていただきたいものは何か」についてお伝えしようと思います。もし興味をおもちになったら、ぜひご入会ください。なお、受験勉強は一定の基礎学力を有していないと空回りする恐れがあります。また、辛いばかりの受験生活を送ることにもなりかねません。そこで、入会をご希望のお子さんには算数と国語の学力状態を判定するテストを実施し、一定の基準に達していたらご入会いただくことになっています。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

 多くの中学入試では、算数、国語、理科、社会の学力試験が行われます。学力試験ではないものの、公立一貫校の入学者選抜(適性検査)においても、これらの教科の基礎学力が要求されます。したがって、国立・私立・公立を問わず、6か年一貫教育の中学・高等学校に進学するにあたっては、テスト対策としての教科学習が学校の勉強とは別に必要となります。大概の入試では、優秀な受験生を選別するために小学校課程の学習で養える学力よりも高いレベルの学力が要求されますが、特に算数においてはその傾向が強く、教科書内容と入試問題との難易度のギャップが大きいことで知られます。

 伝統と実績のある国・私立中学校の入試ともなると、受験生の学力の平均値も高く、ちょっとした失敗をするだけで高い学力を有しているはずの受験生でも不合格の憂き目を見ることが少なくありません。そこで、どの学習塾においてもかなりの量や質の学習課題を受験生に与え、スキルアップを重ねながら受験に通用する学力に仕上げていく指導をしています。ですが、入試で合格点を取ることだけに時間や労力を投入した受験生活を送るのは、子どもたちの将来にとって決して望ましいことではありません。それは、肉体的精神的な負担が大きいという理由だけで申しあげているのではありません。中学進学後の学校生活でさらなる成長を遂げるうえでも、さらにはやがて社会に参入した後の人生を有意義なものにするうえでも必須となる重要な資質を養う機会を失ってしまう恐れがあるのです。

 たとえば、学力レベルの高い私立の中高一貫校に進学したとします。そこへ入ると、再び高いレベルの学習を毎日こなしていく生活が始まります。宿題も小学校時代よりもはるかに多く出されます。数学や英語などの主要教科のカリキュラムは前倒しされ、中2終了時にはあらかた中学校課程の学習を終えることになります。生徒間の競争という側面も、一般の公立中学校よりもはるかに強いでしょう。

 このような学習環境のもとでわが子が有意義に学ぶ生活をし、成果をあげるためにはどんな資質や能力、姿勢が求められるでしょうか。そこに目を遣ることなく施した受験対策は砂上の楼閣に過ぎません。たとえば、今おたくのお子さんはつぎのような問題を抱えていませんか?

 

1.学校の宿題をちゃんとやらないことがある。

2,遊びと勉強の切り替えがうまくできず、遊びに引きずられることが多い。

3.勉強の計画を立てず、行き当たりばったりの取り組みを続けている。

4.いったん始めたことを最後までやり通す意志や根気が足りない。

5.重要なことを後回しにしがちで、やるべきことの優先順位がつけられない。

6.朝自分で起きられず、親に起こしてもらいがちである。

7.失敗の振り返りや反省をせず、同じ過ちを繰り返しがちである。

8.何をするにつけても自己評価が甘い。

9.先を見通す目がなく、何事につけても考えが甘い。

10.人との競争を嫌がり、避けて通りがちである。

 

 こういった要素を多くもつ人間は、今日の社会で自分を通用させることができませんし、何をするにつけても、どんな環境に身を置いてもうまくやっていくのに苦労をすることになります。優秀な生徒の通う学校に進学すると、行動の自律性や判断力、実行力、自己修正力、環境適応力などがかなりの水準で求められます。先生がよい授業をしてくれても、それを吸収するための構えが足りなかったり、家で見直しや補強を自分でできなかったりすれば、まして宿題をやることすらできないようでは、1年も経たないうちに流れについて行けなくなってしまいます。そういう生徒をフォローすることを求める保護者がおられますが、そもそも私学は自分のことを自分でできないような生徒が行くところではありません。先生に頼るのはお門違いです。また、再び塾通いをしても、社会に通用する自律性を育てることがますますままならない人間になってしまいます。

 行動の自律性は、児童期までに身につけるべきものです。中学校に進学すると、部活や交友などが加わり、学ぶ教科も多様になり、毎日の生活はますます多岐にわたるようになります。一旦後手に回った勉強を巻き返すには、積み残した勉強をやり直しながら、新規に学習する事柄にも取り組まねばなりません。それは大変なことです。中学生や高校生は忙しい毎日を送っています。一旦後手に回った学習を立て直すのがいかに大変かは、保護者にはよくおわかりいただけると思います。

 もしも、上記にあげた10個の問題を中学受験のプロセスで解消できたならどうでしょう。親の心配は格段に減りますし、何よりもお子さんの中学高校生活が快適なものになるでしょう。児童期は、個々の性格や物事に対する取り組みの姿勢が定まる時期にあたります。中学受験準備の生活を通して、自律型の人間に成長できるよう指導する。それが家庭学習研究社の掲げる学習指導の基本方針です。指導のシステム、授業、教材、テストの制度、保護者への情報サービス等は、全てこの方針に基づいています。志望校に受かったことの真の価値を決定づけるのは、「進学後の教育環境で更なる成長のために求められる準備をしていたかどうか」にあります。言いかたを変えるなら、この準備をしっかりとしていたお子さんは、どの中学校に進学しても学校環境に適応し、自己の成長を自ら引き出せる自律の人になっている」ということです。これをめざしたいのです。

 無論、この目標を達成するプロセスは平坦ではありません。小学生にとって上記に挙げた10個の問題は誰にも生じがちなものであり、適切な行動へ導くには周囲の大人、とりわけ保護者のサポートが欠かせません。ですが、完璧にならずともこういった要素の重要性を子どもに教え、子どもに働きかけることが大切だと思います。高度な内容の課題に早くから手をつけるよりも、自分でものごとを考え自分で見通しをもってやり遂げる姿勢を養ったり、失敗を薬にして自分を修正する力を養ったりするほうが、将来の大成につながるのではないでしょうか。そのほうが地に足の着いた勉強ができますから、本物の学力が身につくのは間違いありません。

 以上のような考えに基づく弊社の学習指導について、また、弊社の学習指導全般について、各校舎の責任者が保護者にご説明する「入会ガイダンス」という催しも開催しています。各校舎で、開講までにあと1~2回実施する予定です。よろしければ、弊社のHPの催し案内をご覧いただき、ご都合が合えばぜひ参加ください。資料のお取り寄せも可能です。本部事務局または最寄りの校舎にお申し付けください。折り返しご家庭に送付いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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12歳の挑戦に幸あれ!!

2023 年 1 月 28 日

 広島県内の主要中学校の入学試験がまもなく終わろうとしています。ただし、本日(1月28日)に行われる県立広島中学校の入会者選抜(適性検査)をめざしている受験生も多数おられることでしょう。ベストパフォーマンスを発揮されますように!

 広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院等、広島の有力私立一貫校の入試はすでに終了し、合格者の発表も行われました。あとは若干の補欠合格者に繰り上がりがあるかどうかといった段階です。弊社の会員の入試結果も掌握していますが、補欠からの繰り上がり合格者の確認を終えていませんので、公表はもうしばらく先になろうかと思います。ご了承ください。

 入試を終えて無事に合格の夢を叶え、万歳の声をあげたり、ほっと胸を撫でおろしたり、無言で静かに万感の思いを噛みしめたり…。結果は同じでも、表情や態度への表れは受験生のタイプに応じてそれぞれに異なっていることでしょう。しかし、念願が叶った喜びはみな同じです。みなさん、ほんとうによくがんばりましたね。そして、おめでとうございます!

 受験生の子どもたちは、この日のために長い期間、勉強以外のやってみたいことや楽しみを我慢し、自由に使える時間を制限して受験勉強に打ち込んできました。受験までの道のりは誰にとっても決して平たんではありません。人がうらやましがるような成績のお子さんでも必ず好不調の波はありますし、受験までのプロセスで様々な葛藤を抱えるものです。まして、成績が上がったり下がったりを繰り返してきたお子さんは、揺れる感情に翻弄されることも多く、そのたびに「負けるもんか!」と歯を食いしばってやる気を鼓舞し、受験勉強を投げ出したい気持ちを克服されたのではないでしょうか。

 中学受験の主役は、言うまでもなく入試に臨むお子さん自身です。ですが、まだ独り立ちには程遠い年齢の小学生の受験は、高校や大学をめざす生徒さんのそれと同じわけにはいきません。何かあるたびに取り組みや生活の様子が変わるわが子をいかにサポートするか、そのつど保護者は悩まれたことでしょう。外ならぬわが子のことゆえ、山あり谷ありのプロセスを見守るのは辛いものです。まだ小学生の受験ですから心配の種は尽きません。

 調子が上がったときのわが子を見るのは親としてうれしいものです。その成長ぶりに目を細めたこともおありだったでしょう。しかし、よいことよりもはるかに多いのが、未熟さをさらけ出す場面です。成績が低迷したり、取り組みに異変を来したりすることはしょっちゅうですし、がんばっているのに成績が伴わないで苦しむことも少なくありません。なかには、遊びにかまけたり、友達付き合いに気持ちが傾いてしまったりするお子さんもいます。そういうことがあるたびに心配し、叱ったり、励ましたり、一緒に残念がったり落ち込んだり、物言わぬわが子に静かに寄り添ったり…。親だからこその苦労です。その意味において、保護者、とりわけ生活面でのフォーローもかねて世話をされてきたおかあさんには、心より慰労の言葉をかけて差し上げたくなります。ほんとうにお疲れさまでした。

 ただし、筆者は家庭学習研究社に在籍して35年以上になりますが、中学受験の世界に長い間籍を置いてつくづく思うことがあります。それは、「中学受験には勝者も敗者もない。中学受験をしたことのほんとうの成果は、この後の人生で少しずつ明確になってくるのだ」ということです。

 受験というものの宿命ですが、合格する受験生もいれば、合格の夢の叶わない受験生もいます。しかしながら、合格した受験生は必ず以後の人生が保障されるのかというと、決してそうではありません。また、合格できなかった受験生は以後もずっとその結果を引きづって辛い思いをするのかというと、これまた決してそんなことはありません。中学高校の先生がたに伺っても、「受験をやり直すと、受験生の順位はその都度相当変わるでしょう」とおっしゃいますし、さらには「入学時の成績の序列がそのまま6年間継続されるということはありません」とはっきりおっしゃいます。つまり、たとえ入学試験であっても、テストでほんとうの子どもの力は測れませんし、ましてや先の人生を占うことなどできないのです。受験生活の成果として信じられる確かなもの。それは努力の積み重ねで培われた、ものごとに取り組む姿勢ではないでしょうか。これこそが中学受験で得た宝物です。これまでの努力は少しも無駄にはなっていません。これからも努力する姿勢を決して失わないでいただきたいですね。

 毎年のように保護者にお願いしていることがあります。それは、これまでの受験生活を親子で振り返ってみることです。志望校に受かったお子さんにも、受験生活での反省点はあると思います。逆に、志望校進学の夢が叶わなかったお子さんにも、受験生活で得た貴重なものがあるはずです。成果と反省点を検証し、新たな中学校生活に臨んでいただきたいですね。

 個人的に筆者が思う中学受験をすることの価値とは、大まかに言うとつぎのようなものです。

 

①学習の習慣や、計画に沿った行動様式が身につく。
②決めたことをやるのが当たり前だという実行力が養われる。
③自分の取り組みを振り返り、自分で修正する力が養われる。

 

 この三つは、長い人生で自己の夢を実現させたり、有意義な生活を送ったりできるかどうか左右する重要な要素です。これらを養う格好の場が中学受験への挑戦だったのです。お子さんが最後まで受験勉強を継続されてことをまずはほめていただきたいのですが、そのうえで上記の三つについてどのぐらい身についたかを一緒に振り返ってみてください。

 なかには受験の結果が期待通りにならず、気持ちが塞いでいるお子さんもおられるでしょう。そんなお子さんの保護者におかれては、気持ちの落ち着いたころ合いを見計らい、一緒に受験生活を振り返っていただきたいですね。どのお子さんにも、受験生活を通じて上記の三つについて進歩しておられるのは間違いありません。そのことを指摘したうえで、最後まで努力してきたことをぜひ喜び褒め称えてあげていただきたいと存じます。そして、自信と希望を胸にして新たに始まる中学校生活へと送り出してあげてください。

 

受験で身につけた努力の姿勢こそ宝物。12歳の挑戦に幸あれ!

            

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2023低学年部門「体験学習会」のご案内

2023 年 1 月 20 日

 広島県内の中学入試がいよいよ佳境に入ってきました。1月21日(土)は修道と広島女学院、22日(日)は広島学院とノートルダム清心、23日(月)は広島大学附属の入試が行われる予定です。これらの中学校は昔から広島の受験生にとってあこがれの存在です。今も変わりません。第一志望校にしている受験生がたくさんおられることでしょう。心身のコンディションを整え、全力を尽くしましょう!

受験生のみなさんの健闘を心からお祈り申し上げます。

 

 今回は、受験対策を始める前の年齢のお子さん、具体的にはこの4月から小学1~3年生になるお子さんの保護者に向けたご案内です。「中学受験を考えている。今からどんな勉強をしておけばいいのか知りたい」というかたもおられるかと思います。このようなかたのためにあるのが弊社の低学年部門です。以下は、指導の基本的な方針と、講座の特色を簡単にご説明したものです。

 

①「低学年部門」の学習指導方針

1.子どもに命令して思うままに動かすような指導は行いません。弊社の指導担当者の役割は、学ぶ楽しさを子どもに実感させることであり、それによって学びの能動性を引き出すことにあります。こういった趣旨に基づく授業を起点とし、先々の学力伸長が見込める子どもの育成にあたっていきます。

2.保護者には上記の考えをご理解いただき、保護者と学習塾との連携で子どもの望ましい学習姿勢を築いていきたいと考えています。やらされ勉強ではなく、子ども自身のがんばりで学力を伸ばしてこそ、子どもの将来につながると考えるからです。

3.少人数集団指導という点では、玉井式もジュニアも同じです。週1回の指導ですが、一人ひとりの長所と短所をなるべく具体的に掌握し、進歩しつつある点、改善すべき点をしっかりと掌握した指導の実践を心がけています。

4.指導担当者には、上記の考えを理解したうえで、個々の特性や能力を活かした授業の実現に向けてがんばってもらっています。特に大切にしているのは子どもたちの授業への積極的な参加意識です。そのせいか、ほとんどの子どもたちが、塾への通学を楽しみにしてくださっています。

5.低学年部の通学は週1日が原則であり、授業だけでは十分な成果は見込めません。そこで、玉井式もジュニアスクールも、家庭学習用の教材を用意し、毎日継続して取り組んでいただくようにしています。授業で学ぶ楽しさを実感し、家庭で自学自習の習慣を築いていく。この二つがかみ合うことで強固な学力基盤を築いていきます。

 

②「玉井式国語的算数教室」 1~3年生対象

 高学年になってから顕在化する学力差の原因になりがちな資質やセンスに着目し、それらを重点的に伸ばすのがこの講座の最大の特色です。つまり、オールインワンの講座ではなく、明確な指導意図(イメージング力の育成)をもった講座です。具体的にはつぎのような成果を意図しています。

1.算数の課題の場面をイメージし、自分で立式できる能力を育む。

2.図形の識別能力、イメージ操作能力などを引き出す。

3.長文読解力を養う(著述内容をイメージし、追体験しながら楽しめる
  力を養う)。

 玉井式は必ずしも学習指導要領に沿っておらず、高学年の学習内容をシンプルな形で先取り体験させている点がジュニアスクールとの違いです。また、3年生になるとかなり難しい課題もあります。ただし、1~2年生からこの講座になじんでいるお子さんは、最後まで楽しく通ってくださっています。高学年の受験部門(4~6年生)でも、トップランクの成績をあげているお子さんが相当数おられます。

 玉井式の特色の一つは、授業にアニメーションを活用していることです。キャラクターを中心として展開する物語が算数課題となっており、具体的な状況で数に関わる様々な課題を解決していく学習を楽しく体験していただけます。また、図形もアニメーションの特性を最大限に活用し、短い時間で効率的に図形の感覚的素養に刺激を当てる体験を提供しています。子どもたちにとって、アニメーションを介した学習は掛け値なしに楽しいもののようで、全員が食い入るように画面に集中し、充実した学びの時間を実現している点が自慢です。

 ただし、アニメーションが授業を行うわけではありません。アニメーションはあくまで学習を有効にするためのツールであり、授業自体は専門の先生(授業担当者)が行います。担当者は一人ひとりの授業参加の様子を掌握し、全員が積極的に授業に加わって成果をあげるよう導いていきます。

 

③「ジュニアスクール」 3年生対象

 ジュニアスクールは、玉井式とは対照的に算数と国語のバランスをとった内容の講座であることがその特徴でしょう。学習の流れは基本的に指導要領に沿っており、難しい内容を扱うよりも、基礎・基本の習得を大切にしています。また、先々も長く続く集団指導を視野に入れ、積極的な授業姿勢を育てるなど、集団指導への適応性の高い子どもの育成を柱に掲げています。

1.発言・発表の場を多く設け、集団指導への適性を育てる。

2.低学年期の子どもの特性を踏まえ、具体物を用いた指導を行う。

3.受験対策の前提となる基礎学力を養う。

 以前、ジュニアスクールの説明会で、「低学年期こそ、コミュニケーション能力を育む重要な時期だ」とお伝えしました。すると、保護者から大きな反応がありました。中学校進学後の学力形成や社会参加において、コミュニケーション能力は決定的な役割を果たしますから、当然のことでしょう。

 また、算数の基礎基本である「数の操作能力」を磨くとともに、学習場面で出てくる数のもつ意味を理解し、「立式する力」の育成に努めています。難しい内容の学習を訓練で形式的に解けるようになるよりも、基本をじっくり育てることを大切にしている点を評価する声もかなりいただきました。

 ジュニアスクールでは、「読み書きの態勢づくり」を大切にしています。特に読む力は、中学受験では全ての教科の成績に大きな影響を及ぼします。弊社では「音読練習帳」を独自に作成し、家庭で音読練習に取り組んでいただくなど、読みの態勢づくりに力を入れています。

 また、家庭学習の習慣づけ、基礎学力保障という観点から、家庭勉強に力を入れているのも、ジュニアスクールの特徴です。ただし、家庭学習の実践にあたっては保護者のご理解とサポートが欠かせません。玉井式よりもやや保護者のサポートが多めになることをご承知おきください。

 ジュニアスクールの出身者も、高学年になってからの受験勉強でトップランクの成績を収めている児童が一定数います。ジュニアスクールには通学のない「ホームワークコース」がありますが、このコースからも高学年の部門で優秀な成績を収めている児童が少なくありません。

 

 1月末から2月にかけて、弊社の各校舎で低学年部門の「体験授業会」を実施いたします。ちょっと興味をもってくださっただけのご家庭も、「試しにわが子がどう反応するか確かめたい」というかたも歓迎いたします。以下は、日程を簡単にお知らせしたものです。興味をおもちになったかたは、ホームページに詳しい案内がありますので、それをご覧になったうえでお申し込みください。

 

2023「低学年部門」体験授業会の日程 ※画像をクリックすると拡大表示されます

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カテゴリー: お知らせ, ジュニアスクール, 小学1~3年生向け, 玉井式, 行事のお知らせ