小学校に入って 二週間くらい たった日のこと。たんにんの ゆかり先生が、朝のかいのとき、すごいことを おしえてくれた。「この学校では、一年生ひとりと 六年生ひとりが ペアを組んで、一年間いっしょに あそんだり、べんきょうしたりします」すごーい。すごーい。おねえさんが ほしいって、ずっと おもってたんだ。ペアの おねえさんて どんなふうかな。せが たかくて、やさしい おねえさんだと いいな。いっしょに あそんで くれるかな。おやつを つくって くれたりは……しないよなぁ。
　つぎの日の 二時間目、みんなが まちに まっていた『なかよし しゅうかい』がはじまった。一れつに ならんだ 一年生の前に、六年生が すすんでくる。すっごく ドキドキして、下を むいてた。わたしの 前に、六年の おねえさんの 足が とまった。きたっ！　いきを 大きく すってから、かおを 上げた。わたしの前に 立っていたのは、やせた 小さな おねえさん。大きな めがねを かけてた。「あ、あ、あの、よろしくおねがいします」おねえさんは、はやくちで いうと、あたまを ぺこんと 下げた。ちょっと、おもってたのと ちがう。先生の あいずで、名前カードを こうかんした。カードには、「おかださき　なかよくしましょう」ってかいてあった。おねえさん、さきちゃんて いうんだ。じっと かおを見たら、さきちゃん、まっかになって、下をむいちゃった。